JPH055926Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本考案は各産業界の各種処理対象の過工程で
使用されるフイルタープレス機に用いる過布に
関する。 ［従来の技術］ 従来、フイルタープレス機に使用する過布と
しては、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成
繊維の織布の過布を用いるのが主体となつてお
り、一部にニードルフエルトの過布を使用して
いるのが実状である。 ［考案が解決しようとする課題］ 上記合成繊維の織布の過布はニードルフエル
トの過布に比べて、表面に凹凸があるためにケ
ーキの剥離性が劣り、また織り目の空隙があるこ
とと弾性がないことから過漏れが多い等の欠点
があった。 一方、ニードルフエルトの過布は合成繊維の
織布の過布に比べて単繊維の集合体で形成され
ており、かつ体積があるために、織布から入り込
んだ汚れが出にくくなり、目詰まりがしやすくな
るという難点があつた。また合成繊維の織布の
過布に比べ体積があるために保水性が高くなり、
水分率が高くなる等の欠点があつた。 本考案は上記の点に鑑みてなされたものでその
目的とするところは上層に細デニールの単一成分
繊維からなるウエツブ層を、下層に太デニールの
単一成分繊維からなるウエツブ層をそれぞれ配置
し、従来のように複合繊維を使用したり、繊維同
士を熱融着したりすることなく、上層に高密度の
層を、下層に低密度の層をそれぞれ簡単、かつ容
易に形成し、全体として通水抵抗を少なくして、
ケーキの剥離性を良好ならしめるとともに過漏
れが少なく、かつ目詰まりがなく、水分率の低い
フイルタープレス用過布を提供することにあ
る。 ［課題を解決するための手段］ 本考案に係るフイルタープレス用過布は、目
の粗い織布からなる基布層と、該基布層を挟んで
上層に繊度が0.5以上3.0未満デニール範囲の単一
成分繊維からなるウエツブ層を配置してニードル
パンチングにて一体化した高密度の層を形成し、
下層に繊度が3.0以上30デニール範囲の単一成分
繊維からなるウエツブ層を配置してニードルパン
チングにて一体化した低密度の層を形成したもの
である。 ［作用］ 本考案に係る過布をフイルタープレス機に適
用した場合、処理廃水が過材としての本考案に
係る過布の表面に接すると、上層のウエツブ層
の表面は細デニールの繊維で覆われ、表面が平滑
にされているために、ケーキ粒子の過布への侵
入が殆ど阻止される。また僅かに上層のウエツブ
層に侵入したケーキ粒子も目の粗い基布層を通過
し、下層のウエツブ層も太デニールで、粗になつ
ているため、ケーキ粒子は目詰まりすることなく
過布を通過する。また上層のウエツブ層の表面
は平滑であるために、ケーキの剥離性が良く、下
層のウエツブ層も太デニールであるため通水抵抗
が少なく良好な過材となる。 ［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に基いて説明す
る。 ＜実施例 １＞ １は織布からなる基布層で、100〜300g／m²の
目付けで、10〜30本／吋程度の経緯密度のポリエ
ステル、ポリプロピレン等の合成繊維モノフイラ
メント、マルチフイラメント又はスパン糸による
平織物とする。本例では経糸500d、緯糸250dの
太さのポリエステルのモノフイラメントを使用し
て平織構造とした。２は織布からなる基布層１の
上に形成した上層の細デニールのウエツブ層で、
繊度が0.5以上3.0未満デニール範囲の単一成分繊
維からなるの合成繊維で目付けは約200g／m²と
する。本例では太さ1.4dで、長さ38mmのポリエス
テルフアイバーの200g／m²のウエツブを前記基
布層１の上に載せてニードリングしたものであ
る。３は織布からなる基布層１の下に形成した下
層の太デニールのウエツブ層で、繊度が3.0以上
30デニール範囲の単一成分繊維からなるの合成繊
維で目付けは全体の過布の400〜1000g／m²の
目付けから上層のウエツブ層２と基布層１の各目
付けを引いた残りとする。本例では太さ6dで、
長さ51mmのポリエステルフアイバーの285g／m²
のウエツブを前記基布層１の下にあてニードリン
グにより一体化したものである。さらに上記一体
化した３層構造の過布の上層のウエツブ層２の
表面のみをバーナーで毛やきを行なつた後、ロー
ルプレス機で150℃、30Kg／cm、2m／minの条件
でプレス加工仕上げを行ない本案のフイルタープ
レス用過布を得た。 次に、従来品として、上記本案のフイルタープ
レス用過布で使用したと同一の織布からなる基
布層を構成し、該基布層の上層と下層のそれぞれ
に、共に太さ2d、長さ51mmのポリエステルフア
イバーと太さ6d、長さ51mmのポリエステルフア
イバーとを75％対25％の割合で均一に混合したウ
エツブを上記本案のフイルタープレス用過布と
同一の製作条件でニードリングしてフイルタープ
レス用従来過布Ａを得た。 また従来品として、上記本案のフイルタープレ
ス用過布で使用したと同一の織布からなる基布
層を構成し、該基布層の上層と下層のそれぞれに
織布を配設してフイルタープレス用従来織布過
布Ｂ，Ｃを得た。 上記本考案品と従来品を同一条件で試験した結
果、次の表の通りであつた。

【表】

【表】 上記表から判るように、本考案品は細デニール
繊維と太デニール繊維とを層別にし、目的にあつ
た性能を各層に分担させることで、フイルタープ
レス用過布として、大幅な性能向上が図られ
た。 ＜実施例 ２＞ Ａ社のコンスターチのフイルタープレス機に本
考案品と従来品を適用して試験をした結果は次の
通りであつた。 従来品の織布過布は寿命が６ケ月であつた
が、洗浄に週２回の洗濯が必要であり、そのため
にフイルタープレス機に織布過布を掛け外しを
しなければならず、１回に半日、週１日分の停台
が必要であつた。また上記従来品の織布過布は
操業中も時として過布に対するケーキの剥離不
良があるために、ヘラで掻き落す必要があり、能
率的に余り良くなかつた。 これに対し、本考案品は寿命が６ケ月であり、
従来品の織布過布と変りはなかつたが、洗濯回
数はゼロであつた。但し、オンマシン状態で週２
回程の高圧洗浄を行なつた。従つて、機械の停台
はなく、また過布に対するケーキの剥離性も良
く、ヘラで掻き落すようなこともなかつた。 ［考案の効果］ 本考案は上記の説明から判るように、目の粗い
織布からなる基布層と、該基布層を挟んで上層に
繊度が0.5以上3.0未満デニール範囲の単一成分繊
維からなるウエツブ層を配置してニードルパンチ
ングにて一体化した高密度の層を形成し、下層に
繊度が3.0以上30デニール範囲の単一成分繊維か
らなるウエツブ層を配置してニードルパンチング
にて一体化した低密度の層を形成したので、上層
に細デニールの単一成分繊維からなるウエツブ層
を、下層に太デニールの単一成分繊維からなるウ
エツブ層をそれぞれ配置し、ニードルパンチング
するだけで、上層に高密度の層を、下層に低密度
の層をそれぞれ簡単、かつ容易に形成することが
でき、全体として通水抵抗の少ないフイルタープ
レス用過布が安価に得られる。 したがつて、従来のように高価な複合繊維を使
用したり、上層を高密度に形成する場合に繊維同
士を熱融着させて高密度にするといつた熱処理工
程が一切不要であり、かつ熱融着時の通気度調整
の困難さからも解放される。 こうして得られた上層のウエツブ層は、表面が
平滑化され、かつ弾力性を有することとなり、ケ
ーキの剥離性が良好で、過漏れが少なくなると
いう優れた効果を奏する。またケーキ粒子の大部
分は密な層の表面で阻止され、該表面を通過した
ケーキ粒子も目の粗い層を通過することとなつて
目詰まりをすることがなく、しかも目の粗い太デ
ニール層の形成により通水抵抗も少なく水分率の
低い過布を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す断面図である。 １……目の粗い織布からなる基布層、２……上
層の細デニールの単一成分繊維からなるウエツブ
層、３……下層の太デニールの単一成分繊維から
なるウエツブ層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 目の粗い織布からなる基布層と、該基布層を挟
   んで上層に繊度が0.5以上3.0未満デニール範囲の
   単一成分繊維からなるウエツブ層を配置してニー
   ドルパンチングにて一体化した高密度の層を形成
   し、下層に繊度が3.0以上30デニール範囲の単一
   成分繊維からなるウエツブ層を配置してニードル
   パンチングにて一体化した低密度の層を形成した
   ことを特徴とするフイルタープレス用過布。