JPH0559246U - 容積流量計の軸受構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定流体で軸受を潤滑する軸受循環路を安価
で簡単に形成し、特に低粘度流体に対し器差特性を安定
にする。 【構成】 回転子軸２に貫通し回転子１の端面に固着さ
れたスラストリング５と、該スラストリング５および回
転子軸２とで摺動し、端面板３の軸受室４内に固着され
たブッシュホルダ７内に圧入されたブッシュ６とで、回
転子１の回転方向に傾斜した外径溝５ａと、溝６ｂと、
スパイラル溝６ａと、軸受室４と、液連通孔７ａと、流
通孔８とサイドクリアランス１０とからなる循環路を形
成し、外径溝５ａに導入される測定流体でスラストリン
グ５と回転子軸２とを潤滑する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】

本考案は、容積流量計の軸受構造に関し、より詳細には、軸受部に対し測定流 体を強制循環させる軸受構造に関する。

【０００２】

【従来技術】

周知の如く、容積流量計は、計量室内で一対の回転子が測定流体の流体差圧に より回転駆動され、前記計量室内の流体が回転子により排除される容積を基準流 量として、回転子の回転に比例して流量を計測するものである。このように流量 計回転子は、流量に比例して回転するので、容積流量計には回転子と、該回転子 軸を軸承する軸受が設けられている。中、小形の容積流量計では、回転子軸は、 計量室内に一端を埋設して固着し、軸受が回転子内に嵌挿された、いわゆる軸固 定形のものが多い。しかし、大形の容積流量計では回転子軸は、回転子と一体的 に固着され、軸受を本体の筐体に装着するいわゆる軸回転形のものが主流をなし ている。

【０００３】 回転子軸の軸受は、ボール、あるいはローラーベアリング、プレーンベアリン グが用いられるが、これらの軸受は測定流体により選択されることが多い。すな わち、ボールベアリングは回転摩擦トルクが小さいので、スラリーの少ない液体 の測定には適しているが、スラリーを含む液体とか、腐食性の液体用としては、 主として、カーボン系のプレーンベアリングが用いられる。しかし、カーボン系 の材質は、軟質で摩擦係数が小さく、安価で且つ耐食性が優れている等の長所が あるが、プレーンベアリングは、測定流体の性状、特に粘度が低下すると回転摩 擦トルクが増大する。この結果、測定精度を低下させるので軸受の摺動面には油 溝が設けられて潤滑性能の向上を計っているが、測定液が常に油溝に供給される ことがなく、流体の種類、特に低粘度の流体では精度が不安定で耐久性が悪いと いう問題があった。

【０００４】

【目的】

本考案は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、計量室内の測定液を、 回転子のスラストリングから軸受を通り、軸受室内に導びき、再び軸受外部を通 って計量室に循環させる流通路を形成することにより、特に低粘度の測定液に対 して精度が安定し、耐久性の優れた容積流量計の軸受構造を提供することを目的 としてなされたものである。

【０００５】

【構成】

本考案は、上記目的を達成するために、（１）容積流量計の流量計本体の端面 板に設けられた軸受室内で回転子軸を軸承する軸受構造を、一面が回転子端面に 固着し回転子軸に挿通した円環板状のスラストリングと、該スラストリングおよ び前記回転子軸に摺動するブッシュと、該ブッシュを圧入固着し前記軸受室内に 係止されるブッシュホルダと、前記軸受室を封止する盲蓋とで構成し、前記スラ ストリングの外周面に回転子側とブッシュ側とに連通し、回転子回転方向斜めに 離間して設けられた溝と、前記ブッシュにスラストリングとの摺動面半径方向に 設けられた溝と、該溝に連通し回転子軸の軸受の内面軸受部に設けられたスパイ ラル溝と、軸受室と、ブッシュホルダの軸方向に穿孔された液導通孔と、回転子 端面および流量計本体の端面板とのサイドクリアランスとで測定流体の液循環路 を形成したこと、更には、（２）前記（１）において、前記ブッシュホルダの外 周面の中央部に環状の突起部を形成して、該突起部で軸受室内周面に当接するよ うにしたことを特徴とするものである。以下、本考案の実施例に基づいて説明す る。まず、本考案を適用する容積流量計の基本構成について説明する。

【０００６】 図３は、本考案の容積流量計の軸受構造を適用する容積流量計の基本構成を説 明するための図で、図中、２０は容積流量計、２１は流量計本体、２１ａは端面 板、２１ｂは計量室、２２は軸受室、２３，２４は回転子、２５，２６は回転子 軸、２７は軸受、２８は主動磁石、２９は隔板、３０は従動磁石、３０ａは指示 計軸である。

【０００７】 図３において、回転子２３，２４に各々回転子軸２５，２６を一体的に固着し て流量計本体２１に設けられた軸受室２２内の軸受２７により軸承される。回転 子２３，２４は互いに噛合するヘリカルギヤで計量室２１ｂ内に回転自在に噛合 している。噛合した回転子２３，２４は流量計本体２１に設けられた流入口と流 出口と流体の圧力差により流量に比例して回転する。回転子軸２５の一端には主 動磁石２８が固着されている。主動磁石２８の回転は円筒状体の隔板２９により 液シールされて従動磁石３０に伝達され、指示計軸３０ａに回転子２３の回転を 伝達する。図中、点線Ａで囲まれた部分は本考案の対象となる軸受構造部分であ る。

【０００８】 図１，図２は、本考案における流量計軸受構造を説明するための図で、図１は 断面図、図２は分解斜視図で、図中、１は回転子、２は回転子軸、３は端面板、 ４は軸受室、５はスラストリング、６はブッシュ、７はブッシュハウジング、８ は流通孔、９は盲蓋、１０はサイドクリアランス、１２は固定ピン、１３はボル トである。

【０００９】 図１，２において、スラストリング５は耐摩耗性の優れた硬質金属に円環板状 体で回転子軸２に挿通され、一方の面は回転子１の端面に固定ピン１２によって 固着され、他面は、ブッシュ６に対する摺動面となっている。また、スラストリ ング５の外周面には斜め方向に両方の円環面に連通する外径溝５ａが設けられて いる。スラストリング５と摺動するブッシュ６は摩擦係数の小さい硬質カーボン からなる円筒体で、円筒体の摺動面には、半径方向に伸びる溝６ｂが設けられ、 回転子軸２の軸受部となる内周壁面にはスパイラル溝６ａが設けられている。溝 ６ｂとスパイラル溝６ａとは連通するように溝位置が定められている。

【００１０】 ブッシュ６は円筒状のブッシュホルダ７に圧入固着されおり、ブッシュホルダ ７の一方の端面でピン７ｃにより端面板３に固着され、他方の端面にはＯリング ７ｄが設けられて盲蓋９により液密に押圧されている。ブッシュホルダ７の外周 面の中央部近傍には周方向に僅かに突起する環状の突状部７ｂが設けられて端面 板３の軸受室壁面３ｂに当接している。また、ブッシュホルダ７には両端面を軸 方向に貫通する液導通孔７ａが穿孔され、端面板３を貫通する流通孔８を介して サイドクリアランス１０と軸受室４との間を連通している。盲蓋９はＯリング９ ａにより液シールされボルト１３により端面板３に固着され軸受室４を形成して いる。

【００１１】 次に、上述の構成になる軸受構造の作用について述べる。まず、測定流体の流 通路について述べる。回転子１に固着したスラストリング５の外径溝５ａからは 、サイドクリアランス１０から、端面板３に固着されたブッシュ６の溝６ｂとス パイラル溝６ａを経由して軸受室４に到る流通路が形成されている。軸受室４か らは、ブッシュホルダ７の液導通孔７ａと端面板３の流通孔８を経てサイドクリ アランス１０に到る流通路が形成されている。従って、測定流体は、サイドクリ アランス１０からブッシュ６と回転子軸２との摺動面を潤滑しながら、軸受室４ を経て再びサイドクリアランス１０に循環する流通路を形成する。

【００１２】 次に、上記した循環する流通路について述べる。回転子２３と２４とは互いに 噛合して各々逆方向に回転するが、スラストリング５も、各々の回転子２５，２ ６と共に回転する。従ってスラストリング５も各々逆方向に回転する。このため 外径溝５ａの斜め方向の向きも互いに反対となる。回転子１の回転に従ってサイ ドクリアランス１０の測定流体の流れは回転子１と端面板３との間でせん断流と なり外径溝５ａに導入されるので、外径溝５ａの方向は回転子２３，２４側の開 口位置に対してブッシュ５側の開口位置が回転方向に離間した位置となるように 傾斜する向きである。すなわち、外径溝５ａ内に測定流体が動圧により効果的に 導入されるようにしている。このため測定流体流は、前記循環路内を強制的に循 環する循環流となり軸摺動面が潤滑される。

【００１３】 ブッシュハウジング７の外周面に設けられた環状の突起部７ｂは回転子軸２の 自動調心作用を有し、回転子軸２の軸圧がブッシュ６に均等に作用するので摩擦 変動も少なく、容積流量計２０の器差の安定性をもたらす。 なお、図３においては回転子２３，２４をヘリカル歯車としたが、非円形歯車 の場合、その他の回転子においても同様の効果が得られる。また、ブッシュ７の 端面に設けられた溝７ａを、スラストリング５の摺動面側に外径溝５ａと連通す るように設けてもよい。

【００１４】

【効果】

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、回転子端面に固着されたス ラストリングの外周に設けられた外径溝５ａとブッシュ６の溝５ｂおよびスパイ ラル溝５ａの流路から、軸受室４を通りブッシュホルダ７の液連通孔７ａと流通 孔８を介して計量室のサイドクリアランス１０に到る計測流体の強制循環路が形 成されるので軸受摩擦が低減され、しかも、循環路の流路も微小断面の溝である から循環流も小さく精度に影響されることもなく安価で高精度な流量操性をもつ 軸受構造が得られる。しかも、循環流は流量に応じて大きくなるので高流量域の 特性に有利となる。また、自動調心作用を与えたので更に安定な流量計測精度が 得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案における流量計軸受構造を説明するた
めの断面図である。

【図２】 本考案における流量計軸受構造を説明するた
めの分解斜視図である。

【図３】 本考案の容積流量計の軸受構造を適用する容
積流量計の基本構成を説明するための図である。

【符号の説明】

１…回転子、２…回転子軸、３…端面板、４…軸受室、
５…スラストリング、６…ブッシュ、７…ブッシュハウ
ジング、８…流通孔、９…盲蓋、１０…サイドクリアラ
ンス、１２…固定ピン。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容積流量計の流量計本体の端面板に設け
   られた軸受室内で回転子軸を軸承する軸受構造を、一面
   が回転子端面に固着し回転子軸に挿通した円環板状のス
   ラストリングと、該スラストリングおよび前記回転子軸
   に摺動するブッシュと、該ブッシュを圧入固着し前記軸
   受室内に係止されるブッシュホルダと、前記軸受室を封
   止する盲蓋とで構成し、前記スラストリングの外周面に
   回転子側とブッシュ側とに連通し、回転子回転方向斜め
   に離間して設けられた溝と、前記ブッシュにスラストリ
   ングとの摺動面半径方向に設けられた溝と、該溝に連通
   し回転子軸の軸受の内面軸受部に設けられたスパイラル
   溝と、軸受室と、ブッシュホルダの軸方向に穿孔された
   液導通孔と、回転子端面および流量計本体の端面板との
   サイドクリアランスとで測定流体の液循環路を形成した
   ことを特徴とする容積流量計の軸受構造。
2. 【請求項２】 前記ブッシュホルダの外周面の中央部に
   環状の突起部を形成して、該突起部で軸受室内周面に当
   接するようにしたことを特徴とする請求項１記載の容積
   流量計の軸受構造。