JPH0558790A - 薄膜超伝導体用基板および薄膜超伝導体用基板の製造方法 - Google Patents

薄膜超伝導体用基板および薄膜超伝導体用基板の製造方法

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JPH0558790A
JPH0558790A JP3199559A JP19955991A JPH0558790A JP H0558790 A JPH0558790 A JP H0558790A JP 3199559 A JP3199559 A JP 3199559A JP 19955991 A JP19955991 A JP 19955991A JP H0558790 A JPH0558790 A JP H0558790A
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thin film
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single crystal
gao
srla
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JP3199559A
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Kozo Nakamura
浩三 中村
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】酸化物超伝導体に対し、格子不整合が0である
単結晶基板を提供し、酸化物薄膜の超伝導性の安定化を
はかることを目的とする。 【構成】薄膜超伝導体用基板において本発明の第1で
は、組成が次式 (1)に示すK2 NiF4 型の結晶構造を
有する、SrLa1-x Ndx GaO4 (0.1 <x <
0.9 ) (1) ストロンチウム−ランタン−ネオジム−ガリウム系酸化
物単結晶を酸化物超伝導体用基板として用いるようにし
ている。また本発明の第2では、SrLaGaO4 単結
晶基板表面にSrNdGaO4 薄膜を形成し、拡散処理
を行い、表面組成がSrLa1-x Ndx GaO4 (0 <
x <1 )となるようにしている。また本発明の第3で
は、SrNdGaO4 単結晶基板表面にSrLaGaO
4 薄膜を形成し、拡散処理を行い、表面組成がSrLa
1-x Ndx GaO4 (0 <x <1 )となるようにしてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜超伝導体用基板およ
び薄膜超伝導体用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超伝導現象は、物質の示すさまざまな電
磁気的性質の中で最も特異な性質であるといわれてお
り、完全導電性、完全反磁性、磁束の量子化等、夫々の
性質を利用し応用面での今後の発展が期待されている。
【0003】このような超伝導現象を利用した電子デバ
イスとしては、高速スィッチ、高感度検波素子、高感度
磁束計をはじめ、広範囲の応用が期待されている。
【0004】従来の超伝導デバイスによく用いられる超
伝導体としては、例えば基板上にプラズマスパッタ―法
によりNb3 Ge薄膜がある。この臨界温度は高々23
°Kであり、液体ヘリウム温度でしか使用できないもの
である。しかしながら、液体ヘリウムの使用は、液化・
冷却付帯設備の必要性に伴う冷却コストおよび技術的負
担の増大、更には、ヘリウム資源が極めて少ないことな
どの理由から、産業および民生分野での超伝導体の実用
化をはばむ大きな問題となっていた。
【0005】そこで、高臨界温度の超伝導体を得るため
にさまざまな試みがなされており、特に、酸化物超伝導
薄膜の最近の研究はめざましく、超伝導臨界温度は77
°Kを上まわり、安価な液体窒素を冷媒として動作させ
ることが可能となった。
【0006】このような酸化物超伝導薄膜は、従来、主
として、スパッタ法あるいは蒸着法等により、高温に加
熱したMgO単結晶基板あるいはSrTiO3 単結晶基
板上に形成するという方法がとられている。
【0007】また、その他基板用単結晶としては、サフ
ァイア、YSZ,シリコン、砒化ガリウム、LiNbO
3 ,GGG、LaGaO3 ,LaAlO3 等が、注目さ
れている。
【0008】しかしながら、MgO単結晶基板あるいは
SrTiO3 単結晶基板を基板として用いる従来の薄膜
形成方法では、超伝導臨界電流(Jc)を安定して大き
くすることはできず、また超伝導臨界温度(Tc)が不
安定であるという問題があった。
【0009】ところで、優れたエピタキシャル膜を生成
するためには、基板材料としては次に示すような条件を
持つことが必要である。
【0010】(a)薄膜結晶との格子整合が良いこと、
(b)エピタキシャル膜成長時における基板との相互拡
散による膜質の劣化がないこと、(c)基板材料は高温
に加熱されるため、高融点、少なくとも1000℃以上
の融点を有すること、(d)結晶性の良好な単結晶が入
手可能であること、(e)電気的に絶縁性を有するこ
と、等である。
【0011】一方、高臨界温度の酸化物超伝導体として
は、LnBa2 Cu3 7-x (x=0 〜1 ,Ln:Y
b,Er,Y,Ho,Gd,Eu,Dy)、Bi−Sr
−Ca−Cu−O系の酸化物薄膜、Tl−Ba−Ca−
Cu−O系の酸化物薄膜など、多くの酸化物が報告され
ている。
【0012】そして、これらの酸化物の格子定数aおよ
びbは全て3.76〜3.92オングストロームの範囲
にある。また、座標系を45°回転させてみれば、2の
平方根をaに乗じたものおよび2の平方根をbに乗じた
ものを基本格子ともみることができ、この場合は格子定
数aおよびbは5.32〜5.54オングストロームと
表現されている。
【0013】これに対して、現在広く使用されている基
板材料である、酸化マグネシウム(MgO)は、a=
4.203オングストロームであり、格子定数の差は7
〜11%にも達し、良好なエピタキシャル成長膜を得る
のは極めて困難であった。これは、サファイア、YS
Z,シリコン、砒化ガリウム、LiNbO3 ,GGGに
ついても同様であった。
【0014】また、SrTiO3 はMgOに比べて酸化
物超伝導薄膜との格子定数の差は小さく、0.4〜4%
であり、格子整合性に優れている。しかし、SrTiO
3 は、現在のところ、ベルヌーイ法で作製されているの
みで、結晶性は極めて悪く、エッチピット密度が10個
/cm2 より大きい結晶しか得ることは出来ず、このよう
な結晶性の悪い基板上に良質なエピタキシャル膜を得る
には困難が伴う。また、大形の基板の入手も不可能であ
った。
【0015】さらにLaGaO3 単結晶は、格子定数a
=5.496オングストローム、b=5.554オング
ストロームであり、酸化物超伝導体との良好な格子整合
が期待されるが、150℃付近で相転移を生じるため、
結晶内に双晶を含んでしまうという問題があり、LaG
aO3 単結晶の超伝導薄膜用基板としての実用化に際し
ては双晶の除去が大きな課題となっている。
【0016】また、LaAlO3 単結晶についても、格
子定数a=b=3.788オングストロームであり、酸
化物超伝導体との良好な格子整合が期待されるが、融点
が2100℃と極めて高いため、単結晶の作製が極めて
困難であり、またこの場合も結晶内に双晶を含んでしま
うという問題があった。
【0017】そこで本発明者らは、この問題を解決する
ため、種々の実験の結果、良好なエピタキシャル超伝導
薄膜を形成することのできる単結晶基板材料として、本
発明者は、組成が下式に示すようなK2 NiF4 型の結
晶構造を有するストロンチウム−ランタン−ガリウム系
酸化物単結晶基板を提案し、この基板上に酸化物超伝導
薄膜をエピタキシャル成長法により形成する方法を示し
た(特願昭63−323739号)。
【0018】Sr1-x La1-y Ga1-z 4-W (-0.05 <x <0.05,-0.05 <y <0.05,-0.05 <z <
0.05 ,-0.2<W <0.2 ) このSrLaGaO4 単結晶の格子定数はa=3.84
3オングストローム,c=12.686オングストロー
ムであり、このSrLaGaO4単結晶の酸化物超伝導
体薄膜に対する格子定数の差は−1.6〜2.6%と極
めて小さい。また、結晶構造も極めて近く、SrLaG
aO4 単結晶の酸化物超伝導体薄膜との格子整合性は優
れている。
【0019】また、本発明者らは、SrNdGaO4
結晶基板を提案した(特願平1−249930号)。こ
のSrNdGaO4 単結晶の格子定数はa=3.817
オングストローム,c=12.538オングストローム
であり、これも多くの酸化物長伝導体に対して優れた格
子整合性を有する材料である。さらに、本発明者らは、
この出願でSrLa1-x Ndx GaO4 (0.000001<x
<0.1 )においてSrNdGaO4 に比べてこの上に形
成される酸化物超伝導体のゼロ抵抗温度Tc0および超伝
導臨界電流Jc の向上をはかることができることを示し
た。
【0020】またSrLa1-x Ndx GaO4 (0.0001
<x <0.1 )においてSrNdGaO4 に比べてこの上
に形成される酸化物超伝導体のゼロ抵抗温度Tc0および
超伝導臨界電流Jc の向上をはかることができることを
示した(特願平2−100836号)。
【0021】しかしながら、超伝導薄膜用基板として従
来用いられている材料は、いずれも酸化物超伝導体と完
全に格子定数を一致させることはできず、超伝導膜に歪
を与え、これが欠陥の原因となっていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、超伝
導薄膜用基板として用いられている材料は、前述した超
伝導薄膜との格子整合性が良好であっても完全に一致す
るものがなく、安定な超伝導装置を得ることが困難であ
った。
【0023】本発明の第1は、前記実情に鑑みてなされ
たもので、酸化物超伝導体の格子定数であるa=3.8
20〜3.840オングストロームあるいはその21/2
倍であるa=5.402〜5.431オングストローム
の範囲にある格子定数を有する酸化物超伝導体に対し、
格子不整合が0である単結晶基板を提供し、酸化物薄膜
の超伝導性の安定化をはかることを目的とする。
【0024】また、本発明の第2は、酸化物超伝導体の
格子定数であるa=3.820〜3.840オングスト
ロームあるいはその21/2 倍であるa=5.402〜
5.431オングストロームの範囲にある格子定数を有
する酸化物超伝導体に対し、格子不整合が0である基板
を容易に形成する方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の第1で
は、組成が次式 (1)に示すK2 NiF4 型の結晶構造を
有する、SrLa1-x Ndx GaO4 (0.1 <x<
0.9 ) (1) ストロンチウム−ランタン−ネオジム−ガリウム系酸化
物単結晶を酸化物超伝導体用基板として用いるようにし
ている。
【0026】また本発明の第2では、SrLaGaO4
単結晶基板表面にSrNdGaO4 薄膜を形成し、拡散
処理を行い、表面組成がSrLa1-x Ndx GaO
4 (0 <x<1 )となるようにしている。
【0027】また本発明の第3では、SrNdGaO4
単結晶基板表面にSrLaGaO4 薄膜を形成し、拡散
処理を行い、表面組成がSrLa1-x Ndx GaO
4 (0 <x<1 )となるようにしている。
【0028】
【作用】本発明者らは、SrLa1-x Ndx GaO4
ついての改良を重ね、SrLaGaO4 の単結晶化につ
いて種々の研究を重ね、0 <x <1 の範囲で任意の組成
をとっても単結晶を作成し得ることを見出だし、特にB
iSrCaCuO系の超伝導体に対し格子不整合を0に
調整し得ることを見出だした。
【0029】BiSrCaCuO系の物質は、組成比に
より若干の格子定数の違いはあるが、110度K相にお
いてa=5.42オングストロームとなる。これに対
し、SrLa1-x Ndx GaO4 のxを0.404に調
整することにより格子定数の完全一致をみることができ
ることを見出だした。
【0030】このように格子定数を完全一致させること
により、格子不整合が存在する場合に比べ著しく結晶性
の優れた超伝導薄膜を得ることができ、安定した超伝導
装置を得ることができる。
【0031】これは、BiSrCaCuO系の物質に限
らず、格子定数aがSrLaGaO4 とSrNdGaO
4 との間にある超伝導体について全て格子不整合を0に
調整することにより効果的に作用する。
【0032】ここでSrLa1-x Ndx GaO4 のx <
0.1 およびx >0.9 の範囲では、SrLaGaO4 とS
rNdGaO4 単体との大きな差はなく、本発明の効果
は0 .1<x <0.9 の範囲において特に顕著である。
【0033】本発明の第2では、SrLaGaO4 単結
晶基板表面にSrNdGaO4 薄膜を形成し、拡散処理
を行うようにしているため、初期のSrNdGaO4
膜の膜厚と拡散処理温度および拡散処理時間を調整する
ことにより、相互拡散を生ぜしめ、表面組成がSrLa
1-x Ndx GaO4 (0 <x <1 )の任意の値をとるよ
うに容易に制御することができる。
【0034】したがって上層に形成する酸化物超伝導薄
膜の組成に応じてこの拡散を制御し、格子定数を一致さ
せることにより、歪の全くない酸化物超伝導薄膜を得る
ことができる。
【0035】本発明の第3についても同様で、SrNd
GaO4 単結晶基板表面にSrLaGaO4 薄膜を形成
し、拡散処理を行うようにしているため、初期のSrL
aGaO4 薄膜の膜厚と拡散処理温度および拡散処理時
間を調整することにより、相互拡散を生ぜしめ、表面組
成がSrLa1-x Ndx GaO4 (0 <x <1 )の任意
の値をとるように容易に制御することができる。
【0036】したがって上層に形成する酸化物超伝導薄
膜の組成に応じてこの拡散を制御し、格子定数を一致さ
せることにより、歪の全くない酸化物超伝導薄膜を得る
ことができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しつつ詳細に説明する。
【0038】実施例1 本発明の第1の実施例では、図1に示すように、SrL
0.596 Nd0.404 GaO4 単結晶を基板1として用
い、この上層にBiSrCaCuO系超伝導体薄膜2を
形成して超伝導装置を構成したことを特徴とするもので
ある。
【0039】次にこのSrLa0.596 Nd0.404 GaO
4 単結晶の製造方法について説明する。
【0040】まず、出発原料として、SrCO3 (純度
99.99%)を557.7gr とLa2 3 (純度99.99%)を281.
2gr と,Nd2 3 (純度99.99%)を395.3gr と,Ga
2 3 (純度99.999% )を382.0gr を混合し、1000
℃で仮焼し脱炭酸処理を行った後、粉砕しプレス成形し
た。ここでx の値の調整はLa2 3 とNd2 3 のモ
ル比率を制御することによって行うことができる。
【0041】このようにして形成された成形体を大気中
で1300℃で焼結することによりし、約1450gの
SrLa1-x Ndx GaO4 焼結体を得た。
【0042】この焼結体を外形約80mm、高さ約80m
m、肉厚2mmのイリジウムるつぼに入れ、高周波加熱に
よって溶融せしめた。ここでは0.5〜2%の酸素を含
む窒素雰囲気を用いた。
【0043】このようにして融解せしめたSrLa1-x
NdxGaO4 から、[100]方位の種結晶を用い
て、チョクラルスキー引上げ法により、SrLa1-x
x GaO4単結晶を成長させた。
【0044】ここで種結晶としては、x <0.5 ではSr
LaGaO4 [100]単結晶を用いx >0.5 ではSr
NdGaO4 [100]単結晶を用いた。もちろんSr
La1-x Ndx GaO4 を用いてもよいことはいうまで
もない。
【0045】結晶の引上げ条件は、引上げ速度0.8mm
/ Hr、結晶回転速度30rpmで、直径30mm,長さ
60mmの[100]軸単結晶を得ることができた。ここ
ではSrLaGaO4 やSrNdGaO4単体の結晶引
上げよりもやや引上げ速度を下げる必要がある。
【0046】このようにして形成された単結晶の格子定
数はa=3.8325でありその21/2 倍であるa=
5.420は、BiSrCaCuO系超伝導体薄膜2の
aと完全に一致する。
【0047】SrLa1-x Ndx GaO4 のLaとNd
の比率に対する偏析係数K=Cs /Cl は1ではなく、
そのため結晶の上部と下部に若干の濃度差は生じるはず
であるが、1に近い値であるため、上記単結晶体では有
意の濃度差は認められなかった。
【0048】このようにして、形成されたSrLa
0.596 Nd0.404 GaO4 単結晶をスライスし、研磨し
(001)面超伝導体薄膜形成用基板が完成する。
【0049】この基板1を用いて、アルゴン/酸素(混
合比1:1)の雰囲気下でRFマグネトロンスパッタリ
ング法により、膜厚1000オングストロームのBi2
Sr2 Ca2 Cu3 x超伝導体薄膜2を堆積した。こ
こでターゲットとしては成膜後の組成比がBi2 Sr2
Ca2 Cu3 x となるような組成のものを用いるよう
にした。
【0050】堆積後、酸素雰囲気中でアニール処理を施
した。
【0051】このようにして堆積した薄膜の結晶性をX
線2結晶法によって測定した。
【0052】測定はCuK2 線を用い、(0010)面
のピークの半値幅をロッキングカーブから求めることに
よって行った。
【0053】この結果を表1に示す。
【0054】
【0055】この結果から明らかなように、0.1 <x <
0.9において著しく半値幅が狭く、つまり結晶の歪が小
さく結晶性の良い薄膜を得ることができることがわか
る。
【0056】特に格子定数の完全一致するx=0.404 で最
も優れた結果を示している。
【0057】なお比較のために従来のSrTiO3 を用
いた場合の半値幅の測定結果をも示すが、これに比べ大
幅に半値幅の小さい薄膜を得ることができることが分か
る。このように、歪の小さい薄膜においては、超伝導特
性のばらつきも小さく、膜表面の平坦性も優れ、各種超
伝導薄膜素子を形成するのに好適である。
【0058】なお、前記実施例ではx=0.404 の場合につ
いて説明したが、これに限定されることなく、SrLa
GaO4 とSrNdGaO4 の間にある酸化物超伝導体
のいずれについても認められるものである。
【0059】実施例2 この例では、相互拡散により単結晶基板表面にSrLa
0.596 Nd0.404 GaO4 層を形成し、これを基板とし
て用いBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x薄膜を形成してい
る。
【0060】まず図2(a) に示すように、SrLaGa
4 (001)基板11上に、RFマグネトロンスパッ
タリング法により膜厚0.6μm のSrNdGaO4
2を形成する。ここでターゲットとしては、成膜後の膜
組成がSrNdGaO4 となるように調整したものを用
いるようにした。
【0061】この後真空または高純度アルゴンの雰囲気
下で拡散処理を行った。拡散条件は、温度1000℃時
間21時間とした。この処理により表面組成は図2(b)
に示すようにSrLa0.596 Nd0.404GaO4 13と
なった。ここで基板の表面層を構成するこのSrLa
0.596 Nd0.404 GaO4 13の格子定数はa=3.8
33オングストロームでありその21/2 倍であるa=
5.42オングストロームであり、この上層に形成する
Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜14のaと完全に一
致する。
【0062】この後図2(c) に示すように、この基板を
用いて、アルゴン/酸素(混合比1:1)の雰囲気下で
RFマグネトロンスパッタリング法により、膜厚100
0オングストロームのBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x
伝導体薄膜14を堆積した。ここでターゲットとしては
成膜後の組成比がBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x となる
ような組成のものを用いるようにした。
【0063】堆積後、酸素雰囲気中でアニール処理を施
した。
【0064】このようにして堆積した薄膜の結晶性をX
線2結晶法によって測定した。
【0065】測定はCuK2 線を用い、(0010)面
のピークの半値幅をロッキングカーブから求めることに
よって行った。
【0066】この結果を表2に示す。
【0067】
【0068】この結果から明らかなように、著しく半値
幅が狭く、つまり結晶の歪が小さく結晶性の良い薄膜を
得ることができることがわかる。
【0069】特に格子定数の完全一致するx=0.404 で最
も優れた結果を示している。
【0070】このように、歪の小さい薄膜においては、
超伝導特性のばらつきも小さく、膜表面の平坦性も優
れ、各種超伝導薄膜素子を形成するのに好適である。
【0071】なお、前記実施例ではx=0.404 の場合につ
いて説明したが、これに限定されることなく、SrLa
GaO4 とSrNdGaO4 の間にある酸化物超伝導体
のいずれについても膜厚とアニール条件の制御により容
易に調整可能である。
【0072】実施例3 実施例2ではSrLaGaO4 (001)基板11上
に、SrNdGaO4 12を形成しこれらの相互拡散に
より単結晶基板表面にSrLa0.596 Nd0.404 GaO
4 層を形成した例について説明したが、この例ではSr
NdGaO4 (001)基板21上に、SrLaGaO
4 22を形成しこれらの相互拡散により単結晶基板表面
にSrLa0.596 Nd0.404 GaO4 層を形成し、これ
を基板として用いBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜を
形成している。
【0073】まず図3(a) に示すように、SrNdGa
4 (001)基板21上に、RFマグネトロンスパッ
タリング法により膜厚0.6μm のSrLaGaO4
2を形成する。ここでターゲットとしては、成膜後の膜
組成がSrLaGaO4 となるように調整したものを用
いるようにした。
【0074】この後真空または高純度アルゴンの雰囲気
下で拡散処理を行った。拡散条件は、温度1000℃時
間8.5時間とした。この処理により表面組成は図3
(b) に示すようにSrLa0.596 Nd0.404 GaO4
3となった。ここで基板の表面層を構成するこのSrL
0.596 Nd0.404 GaO4 23の格子定数はa=3.
833オングストロームでありその21/2 倍であるa=
5.42オングストロームであり、この上層に形成する
Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜24のaと完全に一
致する。
【0075】この後図3(c) に示すように、この基板を
用いて、アルゴン/酸素(混合比1:1)の雰囲気下で
RFマグネトロンスパッタリング法により、膜厚100
0オングストロームのBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x
伝導体薄膜24を堆積した。ここでターゲットとしては
成膜後の組成比がBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x となる
ような組成のものを用いるようにした。
【0076】堆積後、酸素雰囲気中でアニール処理を施
した。
【0077】このようにして堆積した薄膜の結晶性をX
線2結晶法によって測定した。
【0078】測定はCuK2 線を用い、(0010)面
のピークの半値幅をロッキングカーブから求めることに
よって行った。
【0079】この結果を表3に示す。
【0080】
【0081】この結果から明らかなように、著しく半値
幅が狭く、つまり結晶の歪が小さく結晶性の良い薄膜を
得ることができることがわかる。
【0082】特に格子定数の完全一致するx=0.404 で最
も優れた結果を示している。
【0083】このように、歪の小さい薄膜においては、
超伝導特性のばらつきも小さく、膜表面の平坦性も優
れ、各種超伝導薄膜素子を形成するのに好適である。
【0084】なお、前記実施例ではx=0.404 の場合につ
いて説明したが、これに限定されることなく、SrLa
GaO4 とSrNdGaO4 の間にある酸化物超伝導体
のいずれについても膜厚とアニール条件の制御により容
易に調整可能である。
【0085】
【効果】以上説明してきたように、本発明によれば、組
成が次式に示すK2NiF4 型の結晶構造を有する、S
rLa1-x Ndx GaO4 (0.1 <x <0.9 )スト
ロンチウム−ランタン−ネオジム−ガリウム系酸化物単
結晶を酸化物超伝導体用基板として用いるようにしてい
るため、結晶性が良好で超伝導特性の安定した超伝導薄
膜を得ることができる。
【0086】また本発明の方法によれば、SrLaGa
4 単結晶基板表面にSrNdGaO4 薄膜を形成し、
あるいはSrNdGaO4 単結晶基板表面にSrLaG
aO4 薄膜を形成し、相互拡散を行うことにより、表面
組成がSrLa1-x Ndx GaO4 (0 <x <1 )の任
意の値をとるように容易に制御することができ、結晶性
が良好で超伝導特性の安定した超伝導薄膜を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の超伝導装置を示す図
【図2】本発明の第2の実施例の超伝導装置の製造工程
【図3】本発明の第3の実施例の超伝導装置の製造工程
【符号の説明】
1 SrLa0.596 Nd0.404 GaO4 単結晶基板 2 Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜 11 SrLaGaO4 12 SrNdGaO4 13 SrLa0.596 Nd0.404 GaO4 14 Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜 21 SrNdGaO4 22 SrLaGaO4 23 SrLa0.596 Nd0.404 GaO4 24 Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成が次式 (1)に示すK2 NiF4 型の
    結晶構造を有する、 SrLa1-x Ndx GaO4 (1) (0.1 <x <0.9 ) ストロンチウム−ランタン−ネオジ
    ム−ガリウム系酸化物単結晶から構成されたことを特徴
    とする薄膜超伝導体用基板。
  2. 【請求項2】 SrLaGaO4 単結晶基板表面にSr
    NdGaO4 薄膜を形成する工程と、 拡散処理を行い、相互拡散により表面組成をSrLa
    1-x Ndx GaO4 (0 <x <1 ) とする拡散工程とを
    含むことを特徴とする薄膜超伝導体用基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 SrNdGaO4 単結晶基板表面にSr
    LaGaO4 薄膜を形成する工程と、 拡散処理を行い、相互拡散により表面組成をSrLa
    1-x Ndx GaO4 (0 <x <1 )とする拡散工程とを
    含むことを特徴とする薄膜超伝導体用基板の製造方法。
JP3199559A 1991-08-08 1991-08-08 薄膜超伝導体用基板および薄膜超伝導体用基板の製造方法 Pending JPH0558790A (ja)

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