JPH0555729B2 - - Google Patents

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JPH0555729B2
JPH0555729B2 JP60247554A JP24755485A JPH0555729B2 JP H0555729 B2 JPH0555729 B2 JP H0555729B2 JP 60247554 A JP60247554 A JP 60247554A JP 24755485 A JP24755485 A JP 24755485A JP H0555729 B2 JPH0555729 B2 JP H0555729B2
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Shoji Kamya
Juji Yokota
Yoshio Kumada
Tatsuhiko Fukuoka
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明はアルミニウム系すべり軸受に関し、よ
り詳しくは内燃機関のすべり軸受に用いて好適な
アルミニウム系すべり軸受に関する。
「従来の技術」 従来、アルミニウム系すべり軸受としては既に
種々のものが知られている。一般にアルミニウム
系すべり軸受は、裏金の表面にAl−Sn系軸受合
金層を形成したものからなるが、その他、裏金の
表面に形成したAl−Sn系軸受合金層上にオーバ
レイ層を形成したもの、裏金の表面に純Al層を
介してAl−Sn系軸受合金層を形成したもの等が
知られている。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、最近の自動車用エンジンにおいては
高出力化や高回転化が図られ、また高燃費化に伴
なつて高温度で低粘度オイルが使用されることか
ら、軸受にとつてはより厳しい条件となつてきて
おり、一層の性能向上が望まれている。
本発明はそのような事情に鑑み、アルミニウム
系すべり軸受の構造および成分についての種々の
研究を行なつた結果、優れた性能が得られるアル
ミニウム系すべり軸受を見出したものである。
「課題を解決するための手段」 すなわち本発明のアルミニウム系すべり軸受
は、裏金の表面に、Al層、Al−Sn系軸受合金層、
およびオーバレイ層を順次形成し、かつ上記裏金
の裏面にコーテイング層を形成したすべり軸受で
あつて、上記Al層を純Al、又はこれに2wt%以下
のCu及び/又はMgを添加した材料とするととも
に、該Al層の厚さを、該Al層と上記Al−Sn系軸
受合金層との合計厚さの約1/2以下とし、また上
記Al−Sn系軸受合金層をAlに3〜20wt%のSn
と、総量で0.1〜1wt%のCr,Mn,Zr,V,Mo,
Co,Nbのうちの1種以上とを添加した材料とす
るとともに、上記オーバレイ層をPb系合金とし、
さらに上記コーテイング層の硬さをHv15〜80と
したものである。
「作用」 そのような構造および成分を有するアルミニウ
ム系すべり軸受は、従来のアルミニウム系すべり
軸受に比較して、高温下において良好な耐疲労性
が得られるようになる。
特に上記オーバレイ層は、軸粗さ、うねり等に
対する初期なじみ性にすぐれ、片当りに対しても
容易に変形、流動、摩耗してなじむようになる。
また耐焼付性に富むとともに、異物の埋収性も良
好である。さらに比較的早期に流体油潤滑条件を
確保し、片当り等による応力集中を緩和させるた
め、下地であるAl−Sn系軸受合金層の耐疲労性
を向上させ、軸受としての総合的な焼付、疲労特
性を改善させる。
また上記裏金の裏面に形成したコーテイング層
は、裏金とこれを支持するハウジングとの間で生
ずるフレツチング摩耗およびその結果による摩耗
粉の堆積、或いは潤滑油の炭化によるスラツジの
堆積等を埋収する。したがつてこのコーテイング
層は、上記堆積物が成長すると部分的に盛り上り
を生じて軸受面内で強い片当り状態となり、その
部分で集中荷重が発生して早期に疲労破壊するこ
とを防止する効果がある。
「実施例」 以下図示実施例について本発明を詳細に説明す
ると、第1図において、1は裏金、2はAl層、
3はAl−Sn系軸受合金層、4はオーバレイ層で、
それらAl層2、Al−Sn系軸受合金層3、オーバ
レイ層4は裏金1の表面側にその順に順次形成し
てあり、また裏金1の裏面にはコーテイング層5
を形成している。
上記裏金1としては通常の裏金鋼板、例えば
SPCCを用いている。
Al−Sn系軸受合金層3としては、特に軸受使
用雰囲気温度(150〜200℃)で強度の高いものが
必要であり、Alに3〜20wt%のSnと、総量で0.1
〜1wt%のCr,Mn,Zr,V,Mo,Co,Nbのう
ちの1種以上とを添加した材料から形成してい
る。
そのような成分のAl−Sn系軸受合金層3は、
これだけでもすべり軸受として使用できるだけの
耐焼付性と耐疲労性とを有しており、しかも150
〜200℃という高温下で硬さの低下が少なくしか
も強度も高く耐荷重性もあるので、仮に表層のオ
ーバレイ層4が摩耗してなくなつても充分使用に
耐えられる。
上記Al−Sn系軸受合金層3の材料としては、
上述した成分に、さらに5wt%以下のPb、10wt
%以下のSi、2.5wt%以下のCu及び/又はMgの
うちの1種以上を含有させてもよい。上記Pbは
なじみ性を向上させるとともにSnの潤滑性を改
善し、Siはそれ自体の硬さおよびSiと他の元素と
の金属間化合物の硬さが高いので、耐摩耗性を向
上させる。さらにCu及び/又はMgは材料の延び
をあまり低下させずに強度をあげる効果がある。
また、上記裏金1とAl−Sn系軸受合金層3と
の間のAl層2は、純Al、又はこれに2wt%以下の
Cu及び/又はMgを添加した材料からなつてい
る。なお、純Alとは工業用純Alの意味で、
JIS1050等を使用することができる。上記Al層2
は裏金1とAl−Sn系軸受合金層3との密着強度
を増大させるとともに、疲労強度を増大させる。
すなわち、裏金1と、高温硬さの大きい上述の
材料からなるAl−Sn系軸受合金層3との間に、
高温硬さの小さい上述の材料からなるAl層2を
介在させると、高温状態において、高温硬さの小
さいAl層2が高温硬さの大きいAl−Sn系軸受合
金層3に対するクツシヨン材として作用するよう
になるので、疲労強度が向上する。また、そのよ
うなAl層2は片当りを吸収するとともに、Al−
Sn系軸受合金層3の放熱性を向上させるので、
それによつても疲労強度が向上する。
上記Al層2の厚さは5μmからAl−Sn系軸受合
金層3と同程度の厚さまで、すなわちAl層2と
Al−Sn系軸受合金層3との合計厚さの約1/2まで
が望ましい。薄すぎると衝撃吸収性、片当り吸収
性が劣り、他方、Al−Sn系軸受合金層3よりも
厚くなると耐荷重性が低下し、結果として耐焼付
性、耐疲労性が低下する。
さらに上記オーバレイ層4はPb系合金からな
るもので、このPb系合金としては、Pbに、15wt
%以下のSn、15wt%以下のIn、5wt%以下のCu、
5wt%以下のSbのうちの1種以上を添加した材料
を用いることが望ましい。このオーバレイ層4
は、化学メツキ、電気メツキ或いは乾式メツキ
(スパツタリング等)によつて形成することがで
き、必要であればAl−Sn系軸受合金層3上に下
地処理として4〜5μm厚以下のNiメツキ又はCu
メツキを形成し、そのメツキ上に形成してもよ
い。
上記オーバレイ層4は、軸粗さ、うねり等に対
する初期なじみ性にすぐれ、片当りに対しても容
易に変形、流動、摩耗してなじむようになる。ま
た耐焼付性に富むとともに、異物の埋収性も良好
である。さらに比較的早期に流体油潤滑条件を確
保し、片当り等による応力集中を緩和させるた
め、下地であるAl−Sn系軸受合金層3の耐疲労
性も向上し、軸受としての総合的な焼付、疲労特
性が改善される。
上記オーバレイ層4の厚さは1〜30μmが望ま
しく、3〜10μmの範囲がより好ましい。薄すぎ
ると上述した効果が少なくなり、厚すぎるとオー
バレイ層4自体の疲労強度が劣り、早期に疲労し
て油膜切れを起こし、やがては焼付に至るように
なる。
次に、上記裏金1の裏面に形成したコーテイン
グ層5は、裏金1とこれに支持する図示しないハ
ウジングとの間で生じるフレツチング摩耗および
その結果による摩耗粉の堆積、或いは潤滑油の炭
化によるスラツジの堆積等を低減させるためのも
のであり、このコーテイング層5は、上記堆積物
が成長すると部分的に盛り上りを生じて軸受面内
で強い片当り状態となり、その部分で集中荷重が
発生して早期に疲労破壊することを防止する効果
がある。
上記コーテイング層5は硬さがHv15〜80であ
り、具体的にはCu,Ni,Alやそれらの合金、或
いはPTFE、ポリアミド、ポリエチレン等の合成
樹脂を用いることができる。そしてCu,Niにつ
いては電気メツキ又はクラツドにより、またAl
についてはフラツシユメツキ、クラツド若しくは
スパツタにより形成することができる。なお上記
硬さは、裏金1にコーテイング層5を形成した後
に、該コーテイング層5の表面側からマイクロビ
ツカース計で計測したものである。
上記コーテイング層5は、その硬さがHv15未
満では効果が少なくなり、他方、Hv80を越える
とコーテイング層5と上記ハウジングとの間に介
在された異物を充分に埋収できなくなり、局部的
な盛り上りが発生するようになるので、Hv15〜
80の範囲が望ましい。また、厚さは、所定の効果
を得るためには0.3μm以上が望ましく、厚すぎる
と軸受の耐久性が低下するので、100μm以下、
望ましくは30μm以下がよい。
次に、本発明の効果を実験結果について説明す
る。この実験は回転荷重試験機を用いて疲労強度
を測定したもので、8000rpmで軸を回転させ、測
定すべき試料に面圧300Kg/cm2の回転荷重を与え
てその試料に疲労が生じるまでの時間を測定した
ものである。このとき、潤滑油はSAE 10W−30
を使用し、軸受背面温度が所定の温度となるよう
に油温を制御した。
第2図は上記実験結果を示したもので、同図に
おいて、試料1,2が本発明品、試料1a〜1c,
2a,2bが比較材である。それらの試料の成分は
下記のとおりである。
(試料1) オーバレイ層:Pb−10%Sn−2%Cu 5μm厚 Al−Sn系軸受合金層:Al−12%Sn−1.5%Pb
−2.5%Si−1%Cu−0.2%Cr Al層:JIS 1050 50μm厚 裏金:SPCC コーテイング層:0.6μm厚のCuメツキ (試料2) オーバレイ層:Pb−10%Sn−2%Cu 5μm厚 Al−Sn系軸受合金層:Al−20%Sn−1%Cu Al層:JIS 1050 50μm厚 裏金:SPCC コーテイング層:0.6μm厚のCuメツキ (試料1a) 試料1からコーテイング層5を省略したもの。
(試料1b) 試料1からオーバレイ層4を省略したもの。
(試料1c) 試料1からオーバレイ層4およびコーテイング
層5を省略したもの。
(試料1d) 試料1からAl層2、オーバレイ層4およびコ
ーテイング層5を省略したもの。
(試料2a) 試料2からコーテイング層4を省略したもの。
(試料2b) 試料2からAl層2、オーバレイ層4およびコ
ーテイング層5を省略したもの。
第2図の実験結果から理解されるように、本発
明に係る試料1,2においては、各試料1,2か
らそれぞれコーテイング層5を省略した比較材1
a,2aに比較して、高い疲労強度が得られてい
る。また試料1からオーバレイ層4を省略する
と、コーテイング層5を省略するよりも悪い結果
が得られており(比較材1b,1c)、このとき、
試料1からオーバレイ層4のみを省略した比較材
1bよりも、オーバレイ層4とコーテイング層5
とを省略した比較材1cの方が一層悪い結果が得
られている。
「発明の効果」 以上のように、本発明によれば、耐疲労性に優
れたアルミニウム系すべり軸受を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す断面図、第2
図は疲労強度を測定した実験結果を示す図であ
る。 1……裏金、2……Al層、3……Al−Sn系軸
受合金層、4……オーバレイ層、5……コーテイ
ング層。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 裏金の表面に、Al層、Al−Sn系軸受合金層、
    およびオーバレイ層を順次形成し、かつ上記裏金
    の裏面にコーテイング層を形成したすべり軸受で
    あつて、上記Al層を純Al、又はこれに2wt%以下
    のCu及び/又はMgを添加した材料とするととも
    に、該Al層の厚さを、該Al層と上記Al−Sn系軸
    受合金層との合計厚さの約1/2以下とし、また上
    記Al−Sn系軸受合金層をAlに3〜20wt%のSn
    と、総量で0.1〜1wt%のCr,Mn,Zr,V,Mo,
    Co,Nbのうちの1種以上とを添加した材料とす
    るとともに、上記オーバレイ層をPb系合金とし、
    さらに上記コーテイング層の硬さをHv15〜80と
    したことを特徴とするアルミニウム系すべり軸
    受。 2 上記Al−Sn系軸受合金層が、さらに5wt%
    以下のPb、10wt%以下のSi、2.5wt%以下のCu
    及び/又はMgのうちの1種以上を含むことを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載のアルミニ
    ウム系すべり軸受。 3 上記オーバレイ層のPb系合金が、Pbに、
    15wt%以下のSn、15wt%以下のIn、5wt%以下
    のCu、5wt%以下のSbのうちの1種以上を添加
    した材料であることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項又は第2項に記載のアルミニウム系すべり
    軸受。 4 上記オーバレイ層が、下地処理としてAl−
    Sn系軸受合金層上に施されたNiメツキ又はCuメ
    ツキ上に形成されていることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の
    アルミニウム系すべり軸受。
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