JPH0554580U - 難燃性二重構造織物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐光性及び耐熱性に優れた二重構造織物を提
供する。 【構成】 経五枚朱子経二重織り組織の織物であって、
主として表面に出る経糸を難燃性を有する天然繊維もし
くは化学繊維で構成するとともに、主として裏面に出る
経糸をアラミド系繊維で構成し、緯糸をアラミド系繊維
で構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、アラミド系繊維を含む、難燃性や耐光性に優れた二重構造織物に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、アラミド系繊維は耐熱性、難燃性に優れた特長が注目され、各種ユニフ ォーム、作業服や寝装品、内装品、産業資材分野で多く用いられている。しかし 、アラミド系繊維は耐光性が悪いため使用範囲が限定されていた。

【０００３】 アラミド系繊維の耐光性の悪い点を補い、併せて優れた耐熱性、難燃性を有す る布帛を得るために、特公平2-44942 号公報では糸の芯部にアラミド系繊維が、 糸の周辺部に防炎性の付与されたセルロース系繊維が配置された複合糸で編織さ れた布帛が提案されている。

【０００４】 しかしながら上記の布帛では、糸の周辺部に配置された防炎性の付与されたセ ルロース系繊維の厚みが少ないため、前記のアラミド系繊維の欠点を十分に補え ないという問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上述した問題を解決し、アラミド系繊維の耐光性の悪い点を補い、 併せて天然繊維もしくは化学繊維の耐熱性の悪い点を補った、優れた耐熱性、難 燃性を有する布帛である難燃性二重構造織物を提供することを技術的な課題とす るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、経二重織組織の織物であって、主として表面に出る経糸を難燃性を 有する天然繊維もしくは化学繊維で構成するとともに、主として裏面に出る経糸 をアラミド系繊維で構成し、緯糸をアラミド系繊維で構成したことを特徴とする 難燃性二重構造織物を要旨とするものである。

【０００７】 以下、本考案を図面により詳細に説明する。 図１は本考案の一実施態様を示す概略図である。

【０００８】 経二重織組織は、経糸二重、緯糸一重からなる組織で、図１は経五枚朱子経二 重織であって、難燃性を有する天然繊維もしくは化学繊維を主に表に出る経糸１ とし、アラミド系繊維を主に裏に出る経糸２とし、緯糸３をアラミド系繊維とし た織物である。

【０００９】 本考案に用いられるアラミド系繊維はパラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊 維何れでもよいが、好ましくはメタフェニレンジアミンとイソフタル酸クロライ ドから合成されるメタ系アラミド繊維、例えばアピエール（ユニチカ製）等であ り、フィラメント、紡績糸の何れでもよい。

【００１０】 本考案で用いられる難燃性を有する天然繊維もしくは化学繊維とは、難燃性を 有する天然繊維又はアラミド繊維以外の難燃性を有する化学繊維を意味し、ポリ クラールやモダクリル、難燃性を付与した綿、羊毛等の天然繊維やレーヨン、ポ リエステル、ポリアミド、アクリル等の化学繊維が用いられるが、耐光性のよい 綿、ポリエステル等が好ましい。

【００１１】 本考案の難燃性二重構造織物は、裏面が主にアラミド系繊維で構成されている ため、裏面側の耐熱性、難燃性がよく、一方、表面側はアラミド系繊維以外の難 燃性繊維で構成されているため、耐光性がアラミド系繊維より向上する。このた め、本発明の布帛を、裏面側を室内側としてカーテン等に使用すれば、難燃性も 十分であり、かつ、布帛の変色を防止することができる。

【００１２】

【実施例】 次に、本考案を実施例によって具体的に説明する。 なお、実施例及び比較例において、耐光性及び難熱性は次のようにして測定さ れる値である。 耐光性−耐光堅牢度 ＪＩＳ Ｌ−０８４２ 難熱性−限界酸素指数値（ＬＯＩ値） ＪＩＳ Ｋ−７２０１

【００１３】 実施例１ メタ系アラミド系繊維であるアピエール（ユニチカ製）の原着綿による紡績糸 （40番手双糸）を主に裏に出る経糸とし、綿糸（40番手双糸）を主に表に出る経 糸として、アピエール（ユニチカ製）の原着綿による紡績糸（32番手双糸）を緯 糸として目付け 350ｇ／ｍ² の経五枚朱子経二重構造織物を製織した。 得られた布帛を通常の方法で精錬、漂白した後、防炎加工剤として、ピロバテ ックスｃｐ（チバガイギー製）を用いて綿に難燃性を付与した。 この布帛に通常の洗濯を行い、洗濯回数３回と洗濯前とでそれぞれ耐光堅牢度 及び限界酸素指数値（ＬＯＩ値）を測定した。この時、耐光堅牢度は布帛の表面 より測定した。

【００１４】 比較例１ 全経糸と緯糸の両方に綿糸（40番手双糸）を用いた以外は、実施例１と同様に 実施した。

【００１５】 比較例２ アピエール（ユニチカ製）の原着綿による紡績糸（40番手双糸）を用いた以外 は、実施例１と同様に実施した。

【００１６】 上記実施例及び比較例の織物について、耐光堅牢度及び限界酸素指数を測定し た結果を表１に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】 表１から明らかなように、実施例で得られた布帛は、耐光堅牢度及び限界酸素 指数値（ＬＯＩ値）が洗濯前と洗濯後であまり変化もなく良好な値であり、耐光 性及び難熱性に優れていることを示している。また、比較例１で得られた布帛は 耐光性は良好であるが、限界酸素指数値（ＬＯＩ値）が実施例の値より低く、難 熱性に劣り、比較例２で得られた布帛は難熱性は良好であるが、耐光堅牢度が４ 級未満であり耐光性に劣っていた。

【００１９】

【考案の効果】

上述したように、本考案の難燃性二重構造織物は、洗濯後も耐光堅牢度及び限 界酸素指数値（ＬＯＩ値）にあまり変化もなく耐久性が良好であり、耐光性及び 難熱性に優れた布帛である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施態様を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 主に表に出る経糸 ２ 主に裏に出る経糸 ３ 緯糸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 経二重織組織の織物であって、主として
   表面に出る経糸を難燃性を有する天然繊維もしくは化学
   繊維で構成するとともに、主として裏面に出る経糸をア
   ラミド系繊維で構成し、緯糸をアラミド系繊維で構成し
   たことを特徴とする難燃性二重構造織物。