JPH055365B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は重工業地帯のような塵埃の多い場所で
用いるのに好適な屋外用ブツシングに関するもの
である。

（従来の技術） 重工業地帯においては多量の導電物質が空中に
浮遊しているため、重工業地帯の変電所等に設置
されたブツシングの気中碍管の表面には風に乗つ
てこれらの導電物質が付着し、特に風上に製鉄工
場等がある場合には付着量が著しく多くなる。こ
のような付着物は雨によつて流されるが雨が少な
い場合には付着量が次第に増加し、更に雨が降つ
たときに気中碍管表面に大きな漏洩電流が流れて
その発熱によつてトラツキングと呼ばれる碍管表
面の侵食現象が発生することがある。このトラツ
キングは気中碍管の上部及び下部の金具に接して
いる部分に生じ易く、特に電界が集中し易く、電
気的集塵効果が高いために導電物質の付着量が多
くなり易い気中碍管の下部に集中的に発生する。
これを放置すると気中碍管のアークによる極部加
熱が原因となつて、碍管全体の破壊という大事故
に至るおそれがある。

そこで従来は碍管を定期的に拭き掃除する方法
や活線洗浄装置により洗浄する方法により付着物
を除去していたが、前者は停電が必要となるので
好ましくなく、また後者は設備費がかかるうえに
水飛沫が周辺に飛散して損害を与える欠点があつ
た。更にまた長大ブツシングを用いて表面洩れ距
離を大きく取る方法もあるが、設備費が高価とな
るうえ長期間雨が降らないと付着物の蓄積が多く
なりやはりトラツキングを生ずる可能性があるた
め、完全な解決策とは言うことができないもので
あつた。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は上記したような従来の問題点を解決し
て、空中の浮遊物質が多い地域で使用してもトラ
ツキングを生ずることのない屋外用ブツシングを
目的として完成されたものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、ブツシングの気中碍管のアース側の
外周部のみに、風上側を高くした埃避けを取付け
たことを特徴とするものである。

（実施例） 次に本発明を図示の実施例について詳細に説明
すると、第１図に示す第１の実施例において、(1)
はブツシングの気中碍管、(2)はブツシング全体を
変圧器等に取付けるための支持金具、(3)は油中碍
管である。このようなブツシングの気中碍管１の
支持金具２に近いアース寄りの部分の外周には、
合成樹脂のような絶縁材料からなる水平断面が円
形状で風上側を高くした埃避け４が固定されてい
る。埃避け４の底面には適当数の水抜き孔７を形
成してある。このような埃避け４を取付ければ、
空中に浮遊している鉄粉等の導電物質は埃避け４
によつて遮蔽され気中碍管１の下部に付着するこ
とが防止され、気中碍管上部が導電性物質付着に
より導電性になつても、下部一帯が清浄で絶縁帯
を形成するため、漏洩電流路がそこで遮断状態と
なり、通常時の電圧では漏洩電流が殆ど流れなく
なり、付着物に起因するトラツキングが防止され
る。埃避け４は図示のように風上側に高い部分５
を形成するとともに、風下側には低い部分６を形
成したもので、埃避け４は製鉄所等の汚染源のあ
る方向またはその地点において年間を通じて風上
となる率の高い方向に高い部分５を向けて支持金
具２の上に固定したものである。そのようにすれ
ば、風上側から飛来する導電物質を有効的に遮蔽
することができ、また全体を同一高さとした場合
よりも風下側の風抜けが良好となつて内部に淀み
が生じにくいので導電性物質が淀み内で失速落下
して碍管表面への付着が極めて少ないという利点
がある。

次に第２図〜第４図に示す第２の実施例では埃
避け４の風下側に２枚の尾翼８，８を形成すると
ともに、埃避け４の下面に小型の車軸９を付け、
支持金具２の外周に突設された環状レール１０上
を自由に転動できるようにしてある。本実施例に
おいては、埃避け４は尾翼８に風を受けて常に風
上に高い部分５が向くように回転するので、第１
の実施例のものよりも確実に導電物質の遮蔽をす
ることができる。

次に第５図に示す第３の実施例では、ブツシン
グの付近に風向計１１が設けられており、風向を
電気信号に変換したうえで増幅器１２により増幅
し、これを制御部１３により演算したうえでサー
ボモータのような回転駆動装置１４を作動させて
埃避け４を強制的に回転させる。この駆動用及び
制御用の電源は例えばブツシングの内部からコン
デンサコアの静電誘導電流を電線１５によつて取
出して用いることもできる。なお１６は埃避け４
を回転自在に支持するベアリング、１７は電界制
御用のシールドである。このシールド１７は埃避
け４の外周上端部の角部の電界を緩和してそこか
らコロナが発生することを防止する効果があると
ともに、シールド１７を接地すればアークホーン
の接地側電極を兼ねさせることもでき、さらに、
ブツシングのアース寄りの部分一帯の電界全体を
緩和するため耐電圧性能を向上させる効果もあ
る。本実施例の埃避け４もその風下側の部分は切
欠かれた形状となつている。本実施例においては
風速が小さい場合にも確実に埃避け４を風向に合
わせて回転させることができ、またブツシング全
体が斜めに取付けられている場合にも埃避け４を
正確に回転できる利点がある。

更に第６図に示す第４の実施例のように、第３
の実施例のモータ式の如く機械的な回転駆動装置
１４に代えて埃避け４の底面の金属電極１８と環
状誘導コイル１９とから構成される誘導式の回転
駆動装置が用いることもできる。ここで１２は演
算、増巾部であり２０は電源である。この場合に
は風向計１１の出力により環状誘導コイル１９上
に直接回転電界を形成できるから、制御機構を第
３の実施例よりも簡素化できる利点がある。

（発明の効果） 本発明は以上に説明したところから明らかなよ
うに、気中碍管のアース側の外周部のみに風上側
を高くした埃避けを取付けたものであるから、電
界集中に起因する電気的集塵効果によるアース側
の集中的な汚損を防止することができ、また風に
乗つて飛来する空中の導電物質を効果的に遮蔽し
て気中碍管のアース側表面への付着を防止でき、
トラツキングの発生を防止することができる。ま
た本発明の埃避けは風上側を高くし、風下側を低
くあるいは開放したので、風が内部で淀むことが
なく優れた付着防止効果が得られる。なお埃避け
は金属材料によつて形成することもでき、この場
合にはブツシングのアークホーンの接地側電極を
兼ねさせることができ、またその先端を丸く形成
すればコロナ発生防止効果、ブツシングの接地部
近傍の電界緩和による耐電圧性能向上効果を持た
せることもできる。このように本発明のブツシン
グは重工業地帯のような空中の浮遊物質が多い地
域で使用してもトラツキングを生ずることのない
ものであるから、従来の問題点を解消した屋外用
ブツシングとして、産業の発展に寄与するところ
は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例を示す一部切欠
正面図、第２図は第２の実施例を示す一部切欠正
面図、第３図はその埃避けの平面図、第４図はそ
の断面図、第５図は第３の実施例を示す一部切欠
正面図、第６図は第４の実施例の一部切欠正面図
である。 １：気中碍管、４：埃避け、５：高い部分、
８：尾翼、１４：回転駆動装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブツシングの気中碍管１のアース側の外周部
   のみに、風上側を高くした埃避け４を取付けたこ
   とを特徴とする屋外用ブツシング。 ２ 埃避け４が汚染源の方向又は年間を通じて風
   上となる率の高い方向に高い部分５を向けて固定
   されたものである特許請求の範囲第１項記載の屋
   外用ブツシング。 ３ 埃避け４が風向きに応じてそれ自体を回転さ
   せるための尾翼８を備えたものである特許請求の
   範囲第１項又は第２項記載の屋外用ブツシング。 ４ 埃避け４が別に設けられた風向計と連動する
   回転駆動装置１４により風上側に向けて回転され
   るものである特許請求の範囲第１項又は第２項記
   載の屋外用ブツシング。