JP3948469B2 - 避雷型風力発電装置 - Google Patents

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Description

便利で快適な現代社会は大量のエネルギー、とくに電気によって支えられている。しかしながら、エネルギーの根源は天然資源によることが極めて多く、ここに再生可能なエネルギーを開発して地球環境を維持するために、近年、風力発電がわが国でも採択されるようになって来た。同時に軽量の樹脂製プロペラやブレード風車への雷害の機会も増えている。本発明は、落雷頻度を著しく低減せしめた避雷型風力発電装置に関する。
風力発電とは風の力で風車を回し、風車と直結された発電機で電気を作る発電装置である。風車には、水平型風車のプロペラ型やオランダ型が多く採択され、その直径は数メートルないし100メートルほどの大型のものまで建設されている。従来、欧州製の発電装置が輸入され、わが国においては、現状の雷多発条件の中で落雷事故を生じている。また、国産風力発電装置においても効果的な避雷対策が見出されていないまま製品化されているため落雷事故に遭遇しており、その対策方法は不明とされてきた。
周知のように、雷の発生頻度は、一般に、高緯度・高所につれて増大する。国際的には年間雷発生日数(IKL)が発表され、IKLの低い欧州に比べると、わが国の本州および高所・西南地域ではIKLが30〜40にも達する。このため風力発電装置には、避雷針や誘雷針(ここでは、雷電界を検出し、放電を生じせしめた動作原理によって雷を誘導する避雷針のことをいう、以下同じ)を装備したり、遮蔽線を張り巡らすなど、試行錯誤の中でいろいろな工夫を重ねている。しかし、未だ決定的な対策が施されて無いのが現実である。
260年前にフランクリンが発明した避雷針とその効果に対する、国内・国際規格できめられた避雷針の雷遮蔽保護角の捉え方である。一般に、地上にある漂遊導体は、たとえ遮蔽保護角内(以下、回転球体法の半径外を含む)にあっても、その物体の形状と対接地条件などで決まる誘雷放電が、雷雲隗のリーダの動きに捕獲されれば落雷は生ずる。
解決しようとする問題点は、避雷針とその効果に対する、国内・国際規格で定められた避雷針の雷遮蔽保護角内にあっても、その物体の形状と接地・非接地で決まる誘雷に寄与する放電開始電圧があるらしいということである。すなわち、落雷模擬実験によると雷は高いところに落ちるのではなく、漂遊導体の形状と地上高に支配されるという澤栗の仮説(換言すれば、接地・非接地で決まる誘雷に寄与する放電開始電圧が数分の1に低下して落雷する確率が数倍高くなることがある。非特許文献1.p6参照、)に従う。
澤栗:「避雷対策と落雷模擬実験」電子情報通信学会、EMCJ研究報告200−1533p7
仮説を裏付けていた事実は、支線式中波送信アンテナに構造上組み込まれていた碍子で浮いた支線の一部(漂遊導体)を接地することを実施した結果であった。これまで全国各地で毎年1回以上雷害に遭遇した送受信無線装置・制御装置などが、発明者の避雷対策によって雷害が除去されている(非特許文献2.参照)。
澤栗:「放送・通信端末の避雷対策」情報通信東海、2001.6p40−50
避雷対策は無線装置・制御装置も含めて、これまで全国7箇所の累計40余年の無事故実績を得ている。換言すれば、この対策により30〜40数回程度の落雷事故を防いだことになる。仮説は、さらに落雷模擬実験によって確認され、漂遊導体では同条件の接地導体に比べてその放電開始電圧が低減する確率が存在することが示され、新しい現象に対する推論が述べてられている(非特許文献1参照)。
本発明は、地上にある漂遊導体もしくは漂遊導体になる可能性(絶縁物表面の雷雨時の雨水溜りなど)を除去することにより、著しい避雷効果を中・大型の風力発電装置に提供し、損壊を防止することにより安全・経済性を確保することを特徴とする。
発明の実施するための最良の形態
以下、従来例と本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1と図2は、本発明に関連する風力発電装置の代表的な従来例の図である。ここでは、風力発電装置はその取付け鉄塔などに設置して所望の保護角を有する避雷針を取り付けて運用することが望まれる。しかし、プロペラ半径が大きくなると、プロペラの上部を保護範囲に含む避雷針の取り付けも経済的・構造的に困難になる。しかも、そのプロペラ用ブレードが一部分の補強金属で構成されていて漂遊導体となっていたり、あるいは雷雨時の雨滴そのものが漂遊導体であるばかりでなく、ブレードの表面が雨滴によって濡れることで大きな漂遊導体になる可能性をもつ。この結果として澤栗仮設によれば避雷効果を著しく損なうものとなるのである。
図3は風力発電装置において、軽量に作られたプロペラ用ブレードの全表面を導電性樹脂(カーボン混入・導電性樹脂など、以下同じ)にしたり、あるいはブレードの全表面を電気導体で覆い(めっき・貼り付け・導電性ペイントなど、以下同じ)、かつすべての導体を電気的に接地へ接続する構造にすることにより、前出の雷雨時の落雷頻度を著しく低減せしめた避雷型風力発電装置(請求項1)。
図4は前記の風力発電装置において、絶縁物製のプロペラ用ブレードの全表面の導電性樹脂あるいは電気導体の覆いを電流的に補強するため、全長にわたり埋め込み導線構造にして軽量化を図り、雷電流による破断から保護したもの。(請求項1)
図5は前記の風力発電装置において、絶縁物製のプロペラ用ブレードの全表面を覆う電気導体の代わりにメッシュ状の導体により、軽量化を図ったもの。(請求項1)
図6は前記の風力発電装置において、絶縁物製のプロペラ用ブレードの全表面の電気導体の代わりのメッシュ状の導体の覆いを電流的に補強するため、全長にわたり埋め込み導線構造にして軽量化を図り、雷電流による破断から保護したもの。(請求項1)
上述の避雷型風力発電装置において、プロペラ用ブレードの導体の引き出し線を、ハブ・ロータを通してブラシ付け接触式スリーブ構造によって取り出して接地へ接続するもの。
接触式スリーブ構造によって、導体部に雷誘導電位を与えないためには、常に接触を良好ならしめる構造のブラシ・スリーブ構造が好ましいが、磨耗に伴うメンテナンスが必要になる。
上述の避雷型風力発電装置において、プロペラ用ブレードの導体の引き出し線を、ハブ・ロータを通して非接触式スリーブ構造(周円)あるいは円盤構造によって取り出して等価的に接地へ接続したもの。(図面省略、請求項2)。
導体の集約引き出しをロータ軸に接続し、ロータ軸に対して周円構造で極微ギャップの非接触式スリーブ構造によって取出だす仮想接地へ接続する非接触スリーブ構造によって、導体部の雷誘導電位をゼロにすることはできないが、雷誘導電位を極めて低く抑えることにより、性能的に誘雷効果は損ねない。この方式は非接触によってメンテナンス・フリーの著しい信頼性を得るものである。空気の標準状態での放電電界強度は3kV/mmと言われているので、例えば、非接触部の対向空隙を0.1mmに保つならば、300V以下に導体部の雷誘導電位を制限した高信頼の仮想接地ができる。許容誘導電位をいくらにすべきかは、設置場所の避雷効果との兼ね合いになる。すなわち性能と信頼性にリスクを伴う。
上述の避雷型風力発電装置において、プロペラ用ブレードの導体の引き出し線を、ハブ・ロータを通して接触する軸受け構造を利用して等価的に接地へ接続したもの(図面省略、請求項1)。
導通性を安定に得ることが出来れば、接触部である程度の抵抗(100オーム程度)が許されるから、金属の軸受けによる接触を用いることで特にブラシ・スリーブ構造は無くてもよい。
発明の効果
雷現象は1752年に米国のフランクリンらによる雷実験から、電気であることが証明され、フランクリンは避雷針を実用化するとともに、特許を取得したと伝えられている。以来、避雷針は世界の各国に伝えられるとともに、1800年当初にファラディらによる電気磁気現象の現れとしての説明がなされた。1930〜1940年代に至り、シンプソン・ウィルソン・ワルタ・シュミットや寺田寅彦らの研究で、現象の一層の解明がなされ、避雷針は進化して、避雷線・ファラディゲージ(静電シールド)・架空地線の形になったが、もはやこれらの避雷効果を疑う者はいない。しかしながら、雷現象の神秘は未だそれを決定的に回避できるまでに至ってないのが現実である。
1882年ニューヨークのパール街の発電所がエジソンの送配電方式によって創業を開始した。以降、コストの高い地中埋設でなく、空中に延々と張り巡らせた送電架線が方々に建設されて同時に雷害に遭遇することとなっている。本来、送電に関しては雷害に安全な地下埋設送電やケーブル送電が採用されるべきであるにもかかわらず多大の避雷対策の試行錯誤と研究が蔓延しており、送電線の接地あるいは架空線による見かけ遮蔽、避雷器の装着など、混沌としているのが、現実である。一方において1895年マルコーニによる無線通信の実用化こそは、地上の空間を共有して、送受信間を結ぶために、大小のアンテナをかざさざるを得ず、この時からアンテナと雷現象は、その周波数スペクトラムにおいて共存を強いられることになっているのである。発明者は長年にわたり、中波放送・超短波テレビ放送の建設・運用に従事してきた経験により、その支線(使用電波波長の十分の一程の長さに区切られて電波放射の障害を回避)などが漂遊状態であれば落雷を誘発することがわかってきた。度重なる現場経験から、「漂遊導体を無くせ」が得られたのだった。このことは登山家のピッケルに落雷したとか、接地されていないブリキ屋根に落雷とか、ゴルフクラブやこうもり傘に落雷などとして知られていることでもあるが、これを正しく受け止めていない電気技術界の現実(例えば、雷は高いところに落ちるという単純なことば)に対しては素朴な疑問をもつ者のひとりである。
では、なぜ「漂遊導体」が落雷の対象になるのか。大学で電機磁気学を勉強した者でも容易には説明できない。そこで本発明の根拠にもなる「漂遊導体」と「接地導体」を同形状・同高さについて調べてみることになった。雷雲を球状電極に見立て、大地を金属平板として球状電極に負の高電圧を印加して放電開始電圧を求め比較するのである。題して落雷模擬実験とした。実験の外観模様を図7に示す。ここで漂遊・接地試料の形状は同一面積(1cm)の△☆○としたが、尖りの鋭い△の角に電界が集中するためデータが顕著に表れたのでこれについて報告する。図8にその放電開始電圧対試験導体の高さの特性を示す。それによると「漂遊導体」の方が「接地導体」よりも放電開始電圧が同じ場合もあるが、その1/3程度に低下して放電する確率もあるという実験結果となった。換言すれば、接地することにより放電確率が著しく減少することになる。
澤栗仮説は▲1▼地上にある漂遊導体は雷雲隗の高さと、地上高によって按分された電位にさらされて帯電した導体が、その尖りに応じた電界集中でコロナやアーク放電を生じてそこに誘雷する。▲2▼自然現象である雷が漂遊導体に与える電位は導体の地上高にかかわらず零から雷雲隗の電位までのあらゆる値が確率として存在していることにより誘雷する。とのいずれかであると推論している(非特許文献1.参照)。
ここで重要なのは、接地導体(避雷針など)でも落雷するのであって、落雷に耐え得る装置であれば実用上目的を達成できる。本発明は軽量化のプロペラ構造上、直撃の落雷に耐え得るものとすることは一般に困難である。そこで、本発明はプロペラ用ブレードに施した導体面などに対しては、落雷確率が極めて小さくなるようにとどめた。可能な限り〔図1〕のように風力発電機のプロペラ自身は、従来の避雷針の保護角内に風車を遮蔽することが好ましい。しかし、風車の直径が大きくなると経済的・構造的に従来の避雷針の取り付けは困難である。
たとえば、経済的な小型の誘雷針を本発明の避雷型風力発電装置のハウジングの上に取り付ける場合を実用手段として考える。この場合は避雷針の地上高の2〜3倍の高さまでのプロペラ上部に対して、小型の誘雷針の放電開始電圧から適切な避雷条件が与えられる簡便な手段である。
さらに、構造的に可能な方法として〔図9〕のように避雷型風力発電装置のプロペラ上部より、数メートル高い別建ての鉄塔上に誘雷針を取り付ける場合を実用手段として考える。この場合は誘雷針のかなりの周辺が保護範囲になり、より適切な避雷条件が与えられる。
以上、本発明の避雷型風力発電装置を使用すれば、避雷針や誘雷針を必要最小限に経済的に併設装備したり、遮蔽線を張り巡らすなどの工夫によって、著しく落雷事故を低減した対策が実現できる。
従来例、風力発電装置外観図 従来例、風力発電装置内部構造図 実施例、本願発明の避雷型風力発電装置のプロペラ用ブレード構造図 実施例、本願発明の避雷型風力発電装置のプロペラ用ブレード構造図 実施例、本願発明の避雷型風力発電装置のプロペラ用ブレード構造図 実施例、本願発明の避雷型風力発電装置のプロペラ用ブレード構造図 落雷模擬実験外観図 落雷模擬実験結果の放電開始電圧特性図 実施例、本願発明の避雷型風力発電装置外観図ならびに誘雷針による避雷強化例 実施例、本願発明の避雷型風力発電装置内部構造図
符号の説明
1.プロペラ、ロータリブレード
2.ハブ
3.ロータ軸
4.軸受
5.ブレーキ
6.発電機
7.ハウジング
8.避雷針
1−1.プロペラ、ブレード(接地導体)
1−2.ブレード全長にわたる埋込み電線(接地導体)
1−3.ブレード全表面を覆う電気導体(接地導体)
1−4.ブレード全表面を覆うメッシュ導体(接地導体)
2−1.ハブ(接地導体)
3−1.ロータ軸(接地導体)、ブラシ(接地導体)または非接触ギャップ(仮想接地導体)付
4−1.軸受(接地導体)
5.ブレーキ
6.発電機
7−1.ハウジング(接地導体)
8−1.誘雷針(仮想接地導体)

Claims (2)

  1. 風力発電装置において、プロペラ用ブレードの全表面を導電性樹脂あるいは電気導体で覆い、あるいは軽量化を図るため電気導体の代わりにメッシュ状の導体で覆い、雨滴の漂遊化を防止し、さらに、その全表面の覆いを電流的に補強するため、全長にわたり埋め込み導線構造にして軽量化を図り、落 雷時の雷電流による破断から保護して、これらの導体を含めて、ブレードの全表面に漂遊導体を一切形成することなく、すべての導体の引き出し線を、ハブ・ロータを通して接触する金属製軸受け構造をそのまま利用して接地へ接続することにより、雷雨時の落雷頻度を著しく低減せしめた避雷型風力発電装置。
  2. 請求項1の避雷型風力発電装置において、プロペラ用ブレードの導体の引き出し線を、接触する金属製軸受け構造の利用に加えて、ハブ・ロータを通して非接触式スリーブ(周円)あるいは円盤構造によって取り出して等価的に接地へ接続し、落雷時の雷電流による破断から保護したもの。
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