JPH0549193B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は300A以上の大電流ブツシングの温度
上昇試験装置に関するものである。

（従来の技術） 一般に、大電流ブツシングの温度上昇試験装置
は、第４図に示すように変圧器を模擬した油槽１
に絶縁油Ｏを満たした油槽装置に供試用の大電流
ブツシング３及び引き出しブツシング１６を装着
し、通電したい電流値に適したサイズの平角銅板
又は銅撚線３１（以下単に気中導体３１という）
によりこれらを連絡し、かつ両ブツシング３，１
６の油中端子金具どうしを導体３２により接続し
て閉回路を形成する。

一方、200Vの交流電源２７から誘導電圧調整
器２６を介して複数台の電源用変流器３３を並列
に接続し、前述の閉回路が１ターンの２次巻線と
なるように電磁結合させる。さらに、大電流ブツ
シング３に通電したい電流値に応じて、電源用変
流器３３の並列台数を増加し、導体３１のサイズ
を決める。２次巻き線に流れる電流は測定用変流
器３４と電流計３５により計測するようになつて
いる。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、前記従来のブツシング試験装置は、
導体３１の表皮効果により電流密度が一定値を越
すと、導体インピーダンスが大きくなり、電源用
変流器３３の台数を増加してもその割りに電流値
が増えないという問題があつた。又、電源用変流
器３３を複数台並べると、配置に最少限必要な横
幅が大きくなり、前述の閉回路を形成する気中導
体３１を大きくせざるを得ない。それにより閉回
路で形成される２次巻線（気中導体３１）のイン
ピーダンスが大きくなり、電源用変流器３３の台
数を一定とした場合には、２次巻線に流れる電
流、つまり大電流ブツシング３に流れる電流が小
さくなるという問題があつた。

この発明の目的は、電源用変流器を可及的少な
い台数で、供試用の大電流ブツシングに所定の電
流を通電することができる大電流ブツシングの試
験装置を提供することにある。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） 本発明は前記問題点を解消するため、油槽に引
き込みブツシングと供試用の大電流ブツシングを
貫通支持し、両ブツシングの油中側の端子金具ど
うしを油中導体により接続し、気中側の端子金具
どうしを複数の気中導体により並列に接続して複
数の閉回路を構成し、各気中導体には電源用変流
器及び測定用変流器をそれぞれ電磁結合するとい
う手段を採つている。

（作用） 本発明は複数の気中導体により閉回路を複数個
形成するため、気中導体を形成する銅等の導電材
の使用量を増やして、閉回路のインピーダンスを
下げ、電源用変流器の使用台数を減少させること
ができるとともに、気中導体に大電流を流すこと
ができる。

（実施例） 以下、本発明を具体化した一実施例を第１図〜
第３図に基づいて説明する。

供試用大電流ブツシング３の試験用絶縁油を貯
留するための油槽１の上面１ａにはパツキン２を
介して大電流ブツシング３が貫通するように支持
され、同ブツシング３の途中に設けたフランジ金
具４を図示しないボルトにより前記上面１ａに固
定している。又、前記大電流ブツシング３の内腔
３ａ内には油通路５ａを透設した銅よりなる導電
筒体５が挿入され、その上端部に形成した雄ネジ
５ｂには端子板６ａを取付けた気中端子金具６が
螺合されている。又、導電筒体５の上端寄りには
蓋板７が例えば蝋や銀焼付等の金属固定剤８によ
り固定され、同蓋板７と大電流ブツシング３の上
端面との間には油密性を保持するためのパツキン
９が介在されている。

一方、前記導電筒体５の下端部内周には油中端
子板１１を取付けた油中端子金具１０が嵌入固定
され、同端子金具１０の外周雄ネジ１０ａには締
付リング１５が螺合され、同締付リング１５と前
記大電流ブツシング３の下端面との間には、スペ
ーサ１２、バネ１３、座板１４が締付固定されて
いる。

又、前記油槽１の上面１ａには前記大電流ブツ
シング３と同様に引き出しブツシング１６が嵌装
されている。そして、前記両ブツシング３，１６
の気中側の端子板６ａ，６ａの間には、第１図に
示すように第１の平角銅板又は銅撚線１７（以下
単に第１気中導体１７という）と、第２の平角銅
板又は銅撚線１８（以下単に第２気中導体１８と
いう）が並列に接続され複数の閉回路が構成され
ている。又、油槽１内においては、両ブツシング
３，１６の油中端子金具１０の油中端子板１１，
１１の間には、油中平角銅板又は銅撚線１９（以
下単に油中導体１９という）が接続されている。

前記第１及び第２の気中導体１７，１８には、
高さ１ｍの架台２０に支持された第１電源用変流
器２１及び第２電源用変流器２２がそれぞれ電磁
結合されるとともに、第１測定用変流器２３、第
２測定用変流器２４もそれぞれ電磁結合されてい
る。前記両測定用変流器２３，２４にはそれぞれ
電流計２５が接続されている。又、前記両電源用
変流器２１，２２は、誘導電圧調整器２６を介し
て200Vの交流電源２７に接続されている。

一方、前記油槽１には絶縁油Ｏを循環させなが
ら、適温に加熱するために、油循環路２８が接続
され、その途中には油ポンプ２９及び加熱装置３
０が直列に接続されている。

次に、前記のように構成した大電流ブツシング
の温度上昇試験装置について、その作用を説明す
る。

この温度上昇試験装置では予め大電流ブツシン
グ３の必要箇所に熱電対（図示略）を設け、各熱
電対を温度測定装置に接続しておく。

今、油ポンプ２９及び加熱装置３０を作動させ
て、油槽１内の絶縁油Ｏの温度を基準温度（例え
ば40℃）に保持する。

一方、交流電源２７から誘導電圧調整器２６を
介して第１及び第２の電源用変流器２１，２２に
より第１気中導体１７及び第２気中導体１８に電
流を誘導発生させる。このようにして、大電流ブ
ツシング３の各部に発生する温度をそれぞれ測定
してブツシング３の品質を判別する。

さて、本発明実施例では、大電流ブツシング３
と引き出しブツシング１６の両気中端子金具６，
６の端子板６ａ，６ａ間に第１気中導体１７と第
２気中導体１８を並列に接続して複数の閉回路を
構成し、両気中導電ケーブル１７，１８に第１電
源用変流器２１及び第２電源用変流器２２を配置
したので、両気中導電ケーブル１７，１８のイン
ピーダンスを減少して大電流ブツシング３に合流
する電流値を増加することができる。又、一つの
長いケーブルに多数の電源用変流器を直列に電磁
結合させる従来の試験装置と比較して、設置スペ
ースの裕度を高めることができる。

変電所の壁貫ブツシングのように気中と気中を
つなぐブツシングで、電圧階級が高くなると、例
えば275KV、4000Aの壁貫ブツシングでは、ブツ
シングの長さが11ｍに及び従来の方法では、電源
用変流器を10台並列に接続しなければならなかつ
た。しかし、本発明による方法では、両気中導体
１７，１８に４台ずつ、計８台の電源用変流器２
１，２２で所定の電流、つまり4000Aをブツシン
グに通電することができた。

なお、前記実施例では両電源用変流器２１，２
２を架台２０により地上高さから約１ｍ程度に浮
上したが、この場合には浮遊磁束が減少するの
で、大電流ブツシング３に流す電流を一層大きく
することができる。

発明の効果 以上詳述したように、本発明は複数の気中導電
ケーブルで複数の閉回路を構成しその夫々に電源
用変流器と測定用変流器を電磁結合し、大電流ブ
ツシングには各々の気中導電ケーブルを流れる電
流の合計電流が流れるようにしたので、各気中導
電ケーブルのインピーダンスを下げることがで
き、電源用変流器の使用台数を減少することがで
きるとともに、設置スペースの裕度を高めること
ができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のブツシングの電気試験装置の
一実施例を示す略体平面図、第２図は電源用変流
器の支持構造を示す正面図、第３図は試験装置全
体の正面図、第４図は従来の大電流ブツシングの
温度上昇試験装置を示す略体回路図である。 １……油槽、３……大電流ブツシング、５……
導電筒体、６……気中端子金具、１０……油中端
子金具、１１……油中端子板、１６……引き出し
ブツシング、１７……第１気中導体、１８……第
２気中導体、１９……油中導体、２０……架台、
２１……第１電源用変流器、２２……第２電源用
変流器、２３……第１測定用変流器、２４……第
２測定用変流器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 油槽に引き込みブツシングと供試用の大電流
   ブツシングを貫通支持し、両ブツシングの油中側
   の端子金具どうしを導体により接続し、気中側の
   端子金具どうしを複数の気中導電体により並列に
   接続して複数の閉回路を構成し、各気中導電体に
   は電源用変流器及び側定用変流器をそれぞれ電磁
   結合したことを特徴とする大電流ブツシングの温
   度上昇試験装置。 ２ 前記電源用および測定用変流器は高さ１ｍの
   架台上に設置されている特許請求の範囲第１項に
   記載の大電流ブツシングの温度上昇試験装置。