JPH0548346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は高圧配電線路に使用する開閉器の短絡
表示装置の改良に係り、特にその短絡表示動作を
確実にすると同時にその表示を見易くした構造に
関するものである。

〔従来技術〕

高圧配電線路において使用されるケース入り開
閉器においては、雷等の異常電圧によつてケース
内において相間短絡等の短絡事故が発生した場合
にこの事故状態を知らせる表示装置が備えられて
いる。

〔本考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記密閉ケースに備えられる従来の
表示装置は同装置の表示片が装置の保持筒に対し
て気密を保持する構造になつているため、表示片
と収納筒との間にはその表示片側Ｏリングを嵌装
させている。そのため少しでも表示片や保持筒の
寸法が違つたりすると両者間の摩擦力が急激に高
くなり、内部短絡時にケース内の圧力が上昇して
表示片に圧力が加わり表示片を押し出そうとして
も所定通りに表示片が動かないという問題があ
り、この問題は特に短絡電流が2000A程度の比較
的小さな場合にあつた。

また、上記従来の表示装置にあつては、ピスト
ンや保持筒に高い寸法精度が要求されるためコス
ト高になるという問題があつた。

また、上記従来のものにおいては、短絡時に突
出する表示片が小さくその表示面積が少ないため
表示が見にくいという問題もあつた。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記の問題点を解決するためのもの
で、第１の考案は、貫通穴２ａを形成したケース
２の外面２ｂに、上記貫通穴２ａを囲むようにし
てケース内外を貫通する収納孔３ａを設けた筒形
の保持金具３を取付け、さらに上記収納孔３ａに
は、その軸芯方向にピストン６を摺動可能に備
え、該ピストン６の前記貫通穴２ａ側には受圧部
６ａを設け、反対側の先端は収納孔３ａより突出
するように形成し、しかも前記ピストン６には、
これを前記貫通穴２ａ側に付勢するバネ７を設
け、上記保持金具３の下面側には、表示板１１
を、これが保持金具の下面を被覆した姿勢からほ
ぼ180度反転するように回転可能に備え、しかも
前記表示板１１には、これを前記被覆姿勢に保持
する保持手段１６と、この表示板１１の保持状態
が解除されたときに同板を反転せしめるバネ１４
を備え、保持金具３には前記表示板１１をほぼ
180度反転した位置で止めるストツパ２０を設け、
更に、上記保持金具３の上面とケース外面との間
には上記ケース２の貫通穴２ａを塞ぐようにして
薄肉でかつ伸縮性を有するゴムキヤツプ１０を密
着して介在させたことを特徴とするもので、第２
の考案は、上記表示板１１の内面である表示部１
１ａと保持金具３の下面である表示部３ｄとが同
一色に着色されていることを特徴とするもので、
更に第３の考案は、対向する上記ピストン６の先
端と上記表示板１１との間には誤表示防止用のギ
ヤツプＧが形成されていることを特徴とするもの
である。

〔実施例〕 以下、本考案の短絡表示装置１を図面に基づき
説明する。

２は例えば柱上用開閉器等の密閉したケース、
２ａはケース２に設けた貫通穴であり一般にはケ
ースの底面に位置して設けられる。３は貫通穴２
ａを囲むようにしてケース２の外側にネジ着した
アルミニウム等の軽量部材からなる略筒形の保持
金具、４はケース外面２ｂに元部を固着した保持
金具取付用のボルト、５はナツト、６は保持金具
３の内部に階段状に形成した収納孔３ａに対し上
下方向に摺動可能に内装したピストンであり、そ
の上部側の受圧部６ａをケース内（上）側に位置
させて上記の貫通穴２ａを塞ぐようにし、また下
部側のガイド部６ｂはその下端６ｃをガイド穴３
ｂに挿入した状態で設けられている。７は受圧部
６ａの下面側の凹部６ｄと収納孔３ａの下部の内
方段部３ｃとの間に介在したバネで、ピストン６
を常時上方（ケース内方向）へ付勢している。８
はピストン６の上方への突出を規制するためにガ
イド６ｂの下端６ｃにビス９で止着した係止板で
あり、常時において同板８は保持金具３の下部外
面である表示部３ｄに係止している。１０は上記
ケースの貫通穴２ａを気密的に塞ぐためのゴムキ
ヤツプで、薄肉でかつ伸縮性のあるゴム製等で形
成され、その中央部を前記ピストンの受圧部６ａ
の上側に位置させ、周縁を保持金具３の上面に形
成した凹部３ｅとケース外面２ｂ間とに密着した
状態で介在して保持されている。１１は表示板
で、第１図の実線で示すような保持金具３の下部
外面３ｄを被覆したイの状態と、これから反時計
方向へ180度反転した鎖線ロの状態とにヒンジ構
造で備えられている。更に、表示板１１は、同板
を使用時における強風や運搬あるいは組立時にお
ける引つ掛け等から護るために保持金具３の下面
側の凹部３ｆ内に収納された状態で取付けられて
いる。更に表示板１１は、上記ピストン６のガイ
ド部６ｂの下端６ｃに対し、誤表示防止用のギヤ
ツプＧを有して対向配置されている。なお、上記
のギヤツプＧの寸法は、周囲温度、通電電流によ
る温度上昇等に伴うケースの内圧上昇時のやむを
得ないピストンの下方への摺動を考慮して、この
下方への摺動時においてはガイド部６ｄの下端６
ｃが表示板１１に当接しないような寸法に設定
し、誤表示防止を図つている。１４は表示板１１
を図示反時計方向に回転させるべく常時付勢した
回転用のバネ、１５は表示板１１の内面である表
示部１１ａ側に一体に付設した磁性体、１６は保
持金具３の表示部３ｄに上記磁性体１５と対向し
て付設したフエライト性の磁石であり、正常時に
おいては表示板１１が、同板の磁性体１５が保持
金具３の磁石１６に吸着して保持される。尚、上
記の表示板１１を付勢（回転）する上記バネ１４
のバネ力に比べて若干大きく設定されている。２
０は、上記表示板１１が上記の如く180度回転し
てその位置で止まるように、反転位置を規制する
ストツパである。

次に上記構成の表示装置１の動作について説明
する。

今、雷サージ等によりケース内において相間短
絡が発生し、そしてその場合の短絡電流が2000A
程度だつたとする。

すると、ケース内の気圧が例えば0.3気圧以上
に上昇し、この圧力がゴムキヤツプ１０をを介し
てピストン６の受圧部６ａに加わり、ピストン６
はそのバネ７のバネ力に抗して下方（ケース外方
向）へ摺動（突出）し、その受圧部６ａの下面６
ｅが収納孔３ａの上部の係止段部３ｇに係止した
状態では摺動は阻止される。上記ピストン６の下
方への摺動によつて、ガイド部６ｂの下端６ｃが
保持金具３のガイド３ｂから突出し、同下端６ｃ
が表示板１１の内面である表示部１１ａに衝突す
る。この衝突力によつて表示板１１の磁性体１５
が保持金具３の磁石１６から離れて表示板の保持
状態が解除される。すると表示板１１は実線イの
状態からバネ１４のバネ力により一挙に反転し、
180度回転した図示鎖線ロの状態でストツパ２０
に当り、その位置が保持される。

表示板１１によつて隠されていた表示板の内面
である表示部１１ａと、保持金具３の下面である
表示部３ｄが表れると共にこれら両表示部３ｄ，
１１がほぼ同一面上に位置して広がり、短絡事故
があつたことを表示する。なお、上記の表示部１
１ａ，３ｄを赤色、黄色等の鮮明色で着色した
り、またはこれらど同色の夜間反射塗料を施すこ
とによつて表示部１１ａ，３ｄの目視確認をしや
すくしている。

第３図は本考案の他の実施例を示すもので、前
記実施例とは、ピストン６の受圧部６ａの外周６
ｇに接する補助ガイド１７を係止段部３ｇの上方
に位置する内周面３ｈに嵌着したことと、さらに
表示板１１を取付けるための軸１３が保持金具３
の下面側の凹部３ｆに位置して設けられているこ
とが相異しているほかは、ほぼ同一である。ま
た、前記実施例におけるストツパ２０と同様の作
用をなすストツパ２０ａは、保持金具３における
前記凹部３ｆを形成する外周壁の下端で形成して
いる。

〔考案の効果〕

本考案は以上の構成であるから、短絡事故等に
は表示板を180度反転させて、正常時に隠された
状態にあつた保持金具の表示部を露出させると同
時に、反転した表示板の内側の表示部を、前記保
持金具側の表示部に対して延長的に露出させて、
その表示面積を増大させるようにしたので、その
両表示面を同一に着色しておくことにより、短絡
事故の表示を容易に知ることができる。

また、従来のものは短絡発生時の圧力上昇によ
つて摺動するピストンが気密用のＯリングにより
その動きが阻害されるようなことがあつたが、本
考案ではピストン部の気密保持は伸縮性に富んだ
薄肉のゴムキヤツプによつて行なうためピストン
の摺動動作が確実になる。

また、ゴムキヤツプはケース外面と保持金具と
の間に密着状態で介在しケースの貫通穴を気密的
に塞ぎピストンおよびこれを付勢するバネとは無
関係のため、常時におけるケースの気密性を高め
ることができる。

また、ピストンのガイド部の下端とこれに対向
的に配置した表示体との間には、周囲温度、通電
電流等の温度上昇に伴うケース内圧力上昇による
ピストンの摺動を許容するギヤツプを設けたの
で、正常な圧力上昇時において表示板が誤つて反
転せず、そのため短絡表示に対する信頼性が高く
なる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
本考案の短絡表示装置の縦断面図、第２図は一部
を破断した状態の第１図の底面図、第３図は本考
案の他の実施例を示す短絡表示装置の縦断面図で
ある。 ２……ケース、２ａ……貫通穴、２ｂ……ケー
ス外面、３……保持金具、３ａ……収納孔、３ｄ
……表示部、６……ピストン、６ａ……受圧部、
７……バネ、１０……ゴムキヤツプ、１１……表
示板、１１ａ……表示部、１４……バネ、１６…
…磁石、２０……ストツパ、Ｇ……ギヤツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 貫通穴２ａを形成したケース２の外面２ｂ
   に、上記貫通穴２ａを囲むようにしてケース内
   外を貫通する収納孔３ａを設けた筒形の保持金
   具３を取付け、さらに上記収納孔３ａには、そ
   の軸芯方向にピストン６を摺動可能に備え、該
   ピストン６の前記貫通穴２ａ側には受圧部６ａ
   を設け、反対側の先端は収納孔３ａより突出す
   るように形成し、しかも前記ピストン６には、
   これを前記貫通穴２ａ側に付勢するバネ７を設
   け、上記保持金具３の下面側には、表示板１１
   を、これが保持金具の下面を被覆した姿勢から
   ほぼ180度反転するように回転可能に備え、し
   かも前記表示板１１には、これを前記被覆姿勢
   に保持する保持手段１６と、この表示板１１の
   保持状態が解除されたときに同板を反転せしめ
   るバネ１４を備え、保持金具３には前記表示板
   １１をほぼ180度反転した位置で止めるストツ
   パ２０を設け、更に、上記保持金具３の上面と
   ケース外面との間には上記ケース２の貫通穴２
   ａを塞ぐようにして薄肉でかつ伸縮性を有する
   ゴムキヤツプ１０を密着して介在させたことを
   特徴とする開閉器の短絡表示装置。 ２ 上記表示板１１の内面である表示部１１ａと
   保持金具３の下面である表示部３ｄとが同一色
   に着色されていることを特徴とする請求項１記
   載の開閉器の短絡表示装置。 ３ 対向する上記ピストン６の先端と上記表示板
   １１との間には誤表示防止用のギヤツプＧが形
   成されていることを特徴とする請求項１又は２
   記載の開閉器の短絡表示装置。