JPH0547311U - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 各可動部材とアーム間の摺動摩擦抵抗を低下
させて、内燃機関のバルブタイミングの制御応答性を向
上すると共に、摩耗を防止して耐久性の向上を図る。 【構成】 カムシャフトの一端部にボルトによって固定
されたアーム６を、ピストンの進退動に伴い複数のスラ
イダー１２〜１５を介して正逆回動させることにより、
カムシャフトとタイミングスプロケット４との相対回動
位相を変換するバルブタイミング制御装置において、前
記スライダー１２〜１５の一側面１２ａ〜１５ａと摺接
するアーム６の側端面７ａ〜８ｂの高低位部の両端縁２
８ａ〜２９ｂ付近を円弧状に形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関の吸気バルブあるいは排気バルブの開閉時期を運転状態に 応じて可変制御するバルブタイミング制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種バルブタイミング制御装置としては、種々提供されており、その 一例として本出願人が先に出願した特願平２−４０８７６４号に記載されたもの がある。

【０００３】 これは、図４〜図６に示すように構成され、吸気バルブを開閉作動させるカム シャフト１の一端部１ａにスリーブ２がボルト３により軸方向から固着されてい ると共に、該スリーブ２の外周にクランク軸から回転力が伝達されるタイミング スプロケット４が支承されている。

【０００４】 前記スリーブ２は、肉厚筒状のスリーブ本体２ａと、該スリーブ本体２ａの先 端側に有する薄肉筒状の小径部２ｂと、後端側に有する大径フランジ部２ｃとか らなり、小径部２ｂの外周にはタイミングスプロケット４のフロントカバー５と 一緒にボルト３により共締めされたアーム６が固着されている。このアーム６は 、図５に示すように円形状の基部６ａから延出した扇状の各延出部７，８の両側 端面７ａ，７ｂ、８ａ，８ｂが互いに反対方向へ傾斜状に形成されている。

【０００５】 前記タイミングスプロケット４は、筒状本体４ａの後端側外周面にタイミング チェーンが巻装される歯車４ｂを有すると共に、前端側内周面に略台形状の突起 部９，１０が対向配置されている。

【０００６】 また、スリーブ２とタイミングスプロケット４との間には円環状のピストン１ １がカムシャフト１軸方向へ進退動自在に介装されていると共に、該ピストン１ １の前面に４つのスライダー１２，１３，１４，１５が周方向の等間隔位置に設 けられている。この各スライダー１２〜１５は、図５及び図６に示すように夫々 が略矩形片状を呈し、内部軸方向に貫通したピン１６…を介してピストン１１の 前端部に回転自在に支持されていると共に、夫々の延出部７，８の各側端面７ａ 〜８ｂに当接する一側面１２ａ，１３ａ，１４ａ，１５ａが各側端面７ａ〜８ｂ と同一傾斜角度に形成されている一方、各円弧状の他側面１２ｂ，１３ｂ，１４ ｂ，１５ｂが突起部９，１０の凹状両側面９ａ，９ｂ、１０ａ，１０ｂに摺接し ている。また、対向する一対のスライダー１２，１４は、各ピン１６，１６の外 周に巻装されたコイルスプリング１７，１８のばね力で一側面１２ａ，１４ａが 側端面７ａ，８ａに常時緊密に当接して隙間つまりバックラッシの発生が防止さ れている。

【０００７】 前記ピストン１１を進退動させる駆動機構は、図４に示すように該ピストン１ １をアーム６方向に付勢する圧縮スプリング１９と、フロントカバー５とピスト ン１１前面との間に形成された油圧室２０に油圧を供給して圧縮スプリング１９ のばね力に抗してピストン１１を後退動させる油圧回路２１とを備えている。こ の油圧回路２１は、一部がカムシャフト１及びスリーブ２の各ボルト挿通孔とボ ルト３の軸部との間に形成されて、上流端が電磁切換弁２２を介してオイルポン プ２３と連通する主通路２４と、アーム６の内部に亘って形成されて、前記主通 路２４の下流端と油圧室２０とを連通する連通路２５とから主として構成されて いる。前記電磁切換弁２２は、機関運転状態を検出するコントロールユニット２ ６から出力される制御信号に基づいて切り換え駆動するようになっている。尚、 図中２７はオイルポンプ２３の吐出圧を一定に調整する圧力調整弁である。

【０００８】 そして、例えば機関低負荷時には、コントロールユニット２６からの制御信号 により電磁切換弁２２が制御されて、油圧室２０への作動油の供給が遮断される 。したがって、ピストン１１は、圧縮スプリング１９のばね力により前方へ進出 して、各スライダー１２，１４の一側面１２ａ，１４ａがアーム６の対向側端面 ７ａ，８ａを押圧しつつ該アーム６をタイミングスプロケット４の回転方向と逆 方向に回動させる。これにより、カムシャフト１が、タイミングスプロケット４ に対して一方向に相対回動して吸気バルブの閉時期を遅れ側に制御する。

【０００９】 一方、高負荷域に移行した場合は、電磁切換弁２２を介してオイルポンプ２３ から圧送された作動油が主通路２４及び連通路２５を通って油圧室２０に供給さ れ、該油圧室２０内の圧力上昇に伴いピストン１１が後退動する。したがって、 別異のスライダー１３，１５の一側面１３ａ，１５ａが今度はアーム６の異なる 対向側端面７ｂ，８ｂを押圧して該アーム６をタイミングスプロケット４の回転 方向に回動させる。これにより、カムシャフト１が、タイミングスプロケット４ に対して他方向に相対回動して吸気バルブの閉時期を進み側に制御するようにな っている。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記先願に係るバルブタイミング制御装置にあっては、アーム６の 各傾斜状側端面７ａ，７ｂ，８ａ，８ｂの高低位部の両端縁７ｃ，７ｄ、８ｃ， ８ｄがエッジ状になっているため、ピストン１１の前後動に伴い各スライダー１ ２〜１５の各一側面１２ａ〜１５ａが各側端面７ａ，７ｂ，８ａ，８ｂに所定の 押圧力で摺接した際に、各両端縁７ｃ，７ｄ，８ｃ，８ｄにより各一側面１２ａ 〜１５ａに集中荷重が発生して面圧が高くなり、該各一側面１２ａ〜１５ａ上の 潤滑用油膜が切られてしまう。この結果、各スライダー１２〜１５の各一側面１ ２ａ〜１５ａとアーム６の各側端面７ａ〜８ｂとの間に大きな摺動摩擦抵抗が発 生する。したがって、両者６，１２〜１５の円滑な摺動が阻害されてバルブタイ ミング制御応答性が低下すると共に、摩耗が発生して耐久性の低下が余儀なくさ れる。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記従来の問題点に鑑みて案出されたもので、クランク軸から回転力 が伝達される回転体と、該回転体が配置されるカムシャフトの一端部に固定され たアームと、前記回転体とカムシャフトとの間に介装されて、該カムシャフトの 軸方向に進退動するピストンと、該ピストンの前端部に設けられ、かつ傾斜状の 側面が前記ピストンの進退動に伴いアームの傾斜状側端面を押圧しつつ正逆回動 させる可動部材と、前記ピストンを機関運転状態に応じて進退動させる駆動機構 とを備えたバルブタイミング制御装置において、前記アームの側端面の高低位部 の端縁を、略曲面状に形成したことを特徴としている。

【００１２】

【作用】

前記構成の本考案によれば、アームの各側端面の端縁を、略曲面状に形成した ため、各可動部材の各側面との摺接時において該端縁と各側面との面圧が低下し て、該各側面上の油膜切りを十分に防止することが可能となり、該油膜による常 時円滑な摺動作用が得られる。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳述する。尚、本実施例は、前記先 願に係るバルブタイミング制御装置と基本構成は同一であるから、共通の構成個 所には同一の符号を付して重複説明を省略する。

【００１４】 本考案に係るバルブタイミング制御装置は、図２及び図３に示すように構成さ れ、図中２はカムシャフト一端部に軸方向から螺着したボルト３によって締付け 固定されたスリーブ、４は該スリーブ２の外周に支承された回転体たるタイミン グスプロケットであって、前記スリーブ２は小径部に前記ボルト３により共締め されたアーム６が固着されている。

【００１５】 図中１１はピストン、１２〜１５は該ピストン１１の前端部にピン１６…を介 して連結されたスライダー、１９はピストン１１をアーム６方向に進出移動させ る圧縮スプリング、２０は油圧室である。２２は油圧回路２１の途中に介装され た電磁切替弁、２３はオイルポンプである。

【００１６】 そして、前記アーム６は、図３に示すようにボルト締めされる楕円状の基部６ ａと、該基部６ａの両側に一体に設けられた略扇状の延出部７，８とを備えてい る。前記基部６ａは、中央に前記小径部２ｂに嵌合する嵌合孔６ｃが形成されて いる。

【００１７】 一方、前記延出部７，８は、図２及び図３に示すように夫々の両側端面７ａ， ７ｂ、８ａ，８ｂが互いに反対方向に傾斜状に形成されていると共に、該両側端 面７ａ，７ｂ、８ａ，８ｂの高低位部の前後両端縁２８ａ，２８ｂ、２９ａ，２ ９ｂ付近が曲面状に形成されている。即ち、各側端面７ａ〜８ｂの略全体は、図 １に示すように平坦状になっているが、その両端縁２８ａ〜２９ｂの付近が面取 りされて曲面状に形成されている。

【００１８】 したがって、本実施例によれば、機関運転状態が低負荷域から高負荷域に移行 し、あるいは高負荷域から低負荷域に移行して、ピストン１１が駆動機構により 進退動すると、各スライダー１２〜１５の一側面１２ａ〜１５ａが、アーム６の 延出部７，８の各側端面７ａ，７ｂ、８ａ，８ｂを押圧しつつ摺動するが、この 際、各両端縁２９ａ〜２９ｂ付近が略円弧状に形成されているため、該両端縁２ ８ａ，２９ａの各一側面１２ａ〜１５ａに対する集中荷重が分散されて面圧が十 分に小さくなる。このため、各一側面１２ａ〜１５ａ上に形成されている油膜が 両端縁２８ａ〜２９ｂによって切られることがない。この結果、斯かる油膜によ る各スライダー１２〜１５とアーム６との常時円滑な摺動作用が得られ、従動ス プロケット４とカムシャフト１との相対回動位相変換速度が向上する。

【００１９】 また、各スライダー１２〜１５とアーム６間の摩耗の発生が防止されるため、 各摺動部位を硬化するための焼き入れ等の熱処理加工が不要となり、コストの低 廉化が図れると共に、耐久性の向上が図れる。

【００２０】 本発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、アーム６の両端縁２ ８ａ〜２９ｂを直接面取付りして全体を曲面状に形成すれば各スライダー１２〜 １５との摺動性が一層良好となる。

【００２１】

【考案の効果】

以上の説明で明らかなように、本考案に係る内燃機関のバルブタイミング制御 装置によれば、とりわけ各可動部材の側面と摺接するアームの各側端面の高低位 部の端縁を、略曲面状に形成したため、各可動部材との摺接時における各先端縁 での各側面に対す面圧が十分に低下し、各側面上の油膜切れを防止することがで きる。この結果、該油膜による各可動部材とアームとの常時円滑な摺動作用が得 られ、回転体とカムシャフトとの相対回動位相変換速度が向上する。依って、バ ルブタイミングの制御応答性が向上する。

【００２２】 しかも、各可動部材とアーム間の摩耗の発生が防止されて、耐久性の向上とコ ストの低廉化該図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す図２のＡ部拡大図。

【図２】図３のＢ−Ｂ線断面図。

【図３】本実施例の要部断面図。

【図４】先願に係るバルブタイミング制御装置の全体構
成図。

【図５】図４のＣ矢視図。

【図６】図５のＤ−Ｄ線断面図。

【符号の説明】

１…カムシャフト、１ａ…一端部、４…タイミングスプ
ロケット（回転体）、６…アーム、７ａ〜８ｂ…側端
面、１１…ピストン、１２〜１５…スライダー（可動部
材）、１２ａ〜１５ａ…一側面、２８ａ〜２９ｂ…両端
縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク軸から回転力が伝達される回転
   体と、該回転体が配置されるカムシャフトの一端部に固
   定されたアームと、前記回転体とカムシャフトとの間に
   介装されて、該カムシャフトの軸方向に進退動するピス
   トンと、該ピストンの前端部に設けられ、かつ傾斜状の
   側面が前記ピストンの進退動に伴いアームの傾斜状側端
   面を押圧しつつ正逆回動させる可動部材と、前記ピスト
   ンを機関運転状態に応じて進退動させる駆動機構とを備
   えたバルブタイミング制御装置において、前記アームの
   傾斜状側端面の高低位部の端縁を、略曲面状に形成した
   ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装
   置。