JPH0547308B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、除雪鋤刃、ロードグレーダー刃、除
氷刃（歯形ロードグレーダー刃）、掘削機用歯、
浚渫船用歯、スチールカツタ等、鉄基体上の鋳造
合金（キヤストアロイ）に焼結超硬合金を埋込む
ことにより製造された、高耐摩耗強度に高強靭性
と耐破断強度を併せ持つ被損耗物品に関する。こ
のような被損耗鋳込物品は、摩耗を受ける部分に
粉砕したランダム形状の個片状態のキヤストイン
カーバイト（炭化物混入鋳造合金）の耐摩耗性被
損耗層を具備或いは、当該部分がこの種の層から
成ることに特徴がある。

例えば、種々の形式の刃物において、この被損
耗層の削除（チツピング）の危険が刃の前側と後
側で大きいが、堀削機用刃ではこの種の危険が被
損耗層の全ての側で顕著である。

これに対し本発明の目的は、上記問題点を解消
することにある。

本発明によれば、この種被損耗層中の超硬合金
のチツピングを減じることができ、そして炭化物
混入鋳造合金から成る被損耗層と純粋な鋳造合金
との間に鋳造合金より高靭性を有する別の金属性
材料の層、を設けることによつて製品のクラツク
伝播に対する対抗力を高めることができる。一般
に、この金属性材料は鋳造合金より高い融点を有
している。この材料の層厚は10μｍから数cmまで
の範囲に亘るものであるが、最小限0.3mmで、好
ましくは１〜８mmである。

本発明の特徴はこの金属材料層と同様に炭化物
混入鋳造物の被損耗層が鋳造合金のみの充分肉厚
な外層によつて保護されていることにある。この
保護外層は、第一に、被損耗層のチツピングの危
険を更に減じ、そして製品のクラツク生成に対す
る抵抗を強めるが、これは焼結超硬合金の混入即
ち、被損耗層の生成と同時に生成するのが有益で
ある。この保護外層の肉厚は平均で、少くとも１
mm、好ましくは３mmである。鋳造合金はそれ自体
公知の態様のものであり、（スエーデン特許第
399911号参照）、好ましくはそれ自体低耐摩耗強
度のグラフアイト鋳鉄から必須的に成り、その組
成は、カーボン等価物、Ceq、即ち炭素と等価な
合金性元素と他の成分を含有している他に、炭素
含有量が鋳鉄の特性への影響の関点から最少3.5、
最大6.0％であるように調製されている。粉砕物
を用いる場合には、超硬合金添加量の少くとも90
％が１〜８mmの粒子サイズを有している。

本発明によれば、被損耗物品は、公知の技法の
修正した方法によつて製造し得る（例えば、スエ
ーデン特許第102563号参照）。

シート材料には、融点が鋳造合金の融点を少く
とも50℃超える、好ましくは200℃〜400℃超える
ものであるものが選定される。鋳鉄、例えばグラ
フアイト鋳鉄で鋳込むときには、低炭素鋼（スチ
ール）が適当なシート材料になる。一般に、この
スチールの炭素含有量は最大0.2％である。もつ
と高融点の鋳造合金で鋳込む場合には、もつと耐
熱性のシート材料、例えば、ダングステンやモリ
ブデンを選定可能である。

シート材料、即ち鋳造合金の保護外層４と、焼
結超硬合金（炭化物合金）の個片群が埋込まれて
成る鋳造合金の被損耗層２との間に介在する特定
金属材料の中間層３は、鋳造法の工程に際しその
冷却効果によつて保護外層−中間層（シート）−
被損耗層の三者の良好な金属結合が阻害されない
範囲で肉薄にすべきである。しかし、シートの厚
さは、シートが完成鋳造物物品中に実質的に無傷
で残つていのだけの肉厚にすべきである。換言す
れば、この金属材料中間層３は鋳造法の工程に際
し、保護外層４と被損耗層２間の金属の実質的相
互拡散を抑制する障壁を構成するものでなければ
ならない。しかし、これは、シート肉厚が比較的
広い範囲で変動し得ることを意味している。これ
らは、鋳物物品及び延長物のサイズ、形状及び部
品中の被損耗層の場所によつて決められる。更に
この限界は、鋳造合金の融点に依存し、しかも、
鋳造合金のクラツク伝播を止めるシート材料の性
能に依存している。一般的に、肉厚は、少くとも
0.3mmであり、好ましくは、１〜８mmである。

第１図は本発明の構成を除氷刃の具体例によつ
て示すものである。この除氷刃は、鋳造合金の保
護外層４及び同様の鋳造合金とこれに混入された
焼結超硬合金個片群を含んで成る被損耗層２を有
する。本発明によれば、もう一つの金属材料、好
ましくはスチールシートの中間層３が保護外層４
（ときには１側のみの）と被損耗層２との間に設
けられる。本発明に係る他の可能なタイプである
除雪鋤刃、ロードグレーダー刃の構成は第２図に
示しており、他方第３図は本発明の堀削機用歯や
浚渫船用歯の構成を示している。これら図中の番
号は第１図のものに対応したものである。

第４図は、除氷刃の歯の一部の断面図であり、
この部分では、鋳造合金Ｂに埋込まれている超硬
合金個片群Ａを含んで成る被損耗層２がその一方
の側で、もう一つの金属材料層３を介して同様の
鋳造合金のみから成る１の保護層４によつて保護
され、また他の側では同様の保護外層によつて直
接保護されている。超硬合金個片群Ａと鋳造合金
Ｂの間に合金化領域、即ち拡散領域Ｃが存在して
いる。

本発明により、高強靭性と耐破断強度を併せ持
つ全くユニークな耐摩耗強度を有する超硬合金と
鋳造合金から成る物品が出現した。本発明の金属
材料中間層３の特性及び被損耗層２を囲む保護外
層４により、被損耗層中の超硬合金がチツピング
する危険が著しく減じられ、しかも製品のクラツ
ク伝播に対する抵抗力を強める結果が得られ、こ
のことが極高耐摩耗強度の超硬合金の有効使用と
なり、また完成鋳物物品に著しく高い耐破断強度
をもたらす結果となつている。

本発明によれば、道路メインテナンス（保修）
のための被損耗層物品として下記の試験例による
グラフアイト鋳鉄と超硬合金を含んで成るものを
製造することが可能になつた。

粉砕して１〜５mmの個片群にされた超硬合金
（グレード：WC−６重量％−Co）を除氷刃
（1220mm長）の金型に設置した低炭素鋼の金属シ
ートボツクスに鋳込み前に入れた。鋳込みは1370
℃で実施され、ノジユールグラフアイト鋳鉄を鋳
造合金として使用した。このようにして得られた
本発明品の除氷刃と本発明の特徴となる金属材料
中間層３と保護外層４なしに、即ち除氷刃の歯の
表面に被損耗層２が位置しているように製造され
た従来品除氷刃の試験の結果によると、本発明品
は従来品より７〜８倍大きな強度が得られた。従
来品を調べるといづれも被損耗層中の超硬合金の
チツピングが著しく生じた。その上、ある場合に
は、従来品除氷刃の多数の歯が高ストレスによつ
て破損していた。

前記特徴の構成を有する本発明による除氷刃の
比較試験の結果によれば従来品の除氷刃よりも14
〜15倍の耐摩耗性強度が得られ、被損耗層２中の
超硬合金の僅かなチツピングしか観測されなかつ
た。それと同時に、向上した破断強度の結果とし
て歯の破損は生じなかつた。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，Ｂは本発明に係る物品例の除氷刃を
示す断面図と一部切欠き正面図、第２図Ａ，Ｂは
本発明に係る物品例の除雪鋤刃又はロードグレー
ダ刃を示す断面図と一部切欠き正面図、第３図は
本発明に係る物品例の堀削機用歯又は浚渫船用歯
を示す一部切欠き側面図及び第４図は本発明に係
る除氷刃の歯の金属組織顕微鏡写真である。 図において；１：被損耗物品、２：被損耗層、
３：金属材料中間層、４：保護外層、Ａ：超硬合
金個片、Ｂ：鋳造合金、Ｃ：拡散領域。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 焼結超硬合金と鉄を母材とする鋳造合金とを
   含んで成り、鋳造法によつて製造される高機械強
   度と高靭性を併せ持つ高耐摩耗強度を有する被損
   耗物品において、当該物品１が：鉄基鋳造合金の
   保護外層４、層内に焼結超硬合金の個片群が埋込
   まれた状態の前記のものと同じ鉄基鋳造合金の被
   損耗層２及び層４と２の間に介在する別の金属材
   料の中間層３を含んで構成され、中間層３が該鋳
   造合金より靭性が高く、且つ該鋳造合金より少く
   とも50℃は融点が高いものであつて、これにより
   該鋳造法の工程に際し、層４と２の間の金属の実
   質的拡散を抑制する障壁を構成するようにしたこ
   とを特徴とする被損耗物品。 ２ 該鋳造合金が鋳鉄から成ることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載の被損耗物品。 ３ 該中間層３の金属材料がスチールであること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項〜第２項のい
   づれか一項に記載の被損耗物品。 ４ 該中間層３の層厚が少くとも0.3mmであるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第３項に記載の被
   損耗物品。