JPH054660A - 梱包用緩衝材とその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被梱包物に対する順応性に富み、かつ外力に
対し強靭で、外筐内での片寄りがなく、安価に得ること
ができる梱包用緩衝材およびその製造方法を提供する。 【構成】 重ね合わされた２枚の実質的に非伸縮性を有
するプラスチックシート２，２を備え、両シート２，２
を接着部３により複数区域に区画してこれら接着部３で
囲まれた区域内を空気室４，４…とし、これら空気室
４，４…内に空気を封入した梱包用緩衝材１、および実
質的に非伸縮性の２枚のプラスチックシート２，２を重
ね合わせて供給し、このシートをその供給方向にそう縦
方向の接着部および前記方向に交叉し一部に非接着部３
ｂを残置した接着部３により複数の空気室４，４…を区
画形成し、前記非接着部３ｂを通じて各空気室４，４…
に空気を充填したのち前記非接着部３ｂを接着し、各空
気室４，４…内に空気を封入するようにした梱包用緩衝
材の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は梱包時に用いる緩衝材お
よびその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】精密機器をはじめ、破損しやすい物品
（以下これらを被梱包物という）を外筐内に詰納して梱
包し、これを輸送する際に被梱包物が破損することがな
いようにするため、外筐と被梱包物との間に緩衝材を充
填して隙間を埋め、外筐に衝撃的外力が加わったとき緩
衝材によりその衝撃を吸収して緩衝し、被梱包物を外力
から保護するようにしている。

【０００３】従来から用いられているこの種の梱包用緩
衝材としては、被梱包物の形状に合わせて成形された
発泡スチロール製の緩衝材、２枚のプラスチックフィ
ルムを重ね、１枚のフィルムをバキュームにより吸引し
て内部に空気が吸入された半球状の膨出突部を列設した
緩衝材、プラスチックフィルムで風せん状の袋を形成
し、その内部に空気を封入した緩衝材、筒状のプラス
チックフィルムに空気を吹込み、一定間隔毎に９０°方
向を異にして溶着し、空気が封入された正四面体が連続
する短冊状の緩衝材（特開昭５９−５４５１５号公報）
などがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかして前記の発泡
スチロールによるものは、被梱包物の形状に倣って成形
されるので、梱包される被梱包物ががたつくことなく安
定して保護され、外力に対する緩衝効果が高い利点を有
する反面、型を用いて成形することが必要となるため特
定の梱包物専用品となり、品種の多い機器類の梱包にあ
っては緩衝材の製造コストが高くなって梱包に要する経
費が嵩むとともに、必要とする緩衝機能を与えるには所
定の肉厚を持たせなければならず、そのため被梱包物の
容積に対し外筐の外形寸法が大きくなり、運搬や格納時
等に嵩張るという問題がある。

【０００５】またの半球状突起を列設したプラスチッ
クフィルムによるものは、比較的少容積内に詰納するこ
とができ、複雑形状の被梱包物であってもその形状にな
じませて使用することができるが、その製造にはバキュ
ームによりフィルムを吸引して膨出させるので、フィル
ム自体伸縮性を有することが必須となり、そのため圧力
が加わると膨出部のフィルムが伸びて内部の空気による
クッション効果を喪失し、緩衝材としての機能を果さな
くなって重量の大きい被梱包物には使用し得ないという
問題がある。

【０００６】さらに，によるものは、被梱包物と外
筐との隙間に詰込んで使用することになるが、個々ばら
ばらであるため所定の箇所に位置を定めて詰納すること
が難かしく、運搬中片寄って肝腎な箇所の緩衝作用を果
さなくなり、確実な緩衝効果が得られないという問題が
ある。

【０００７】本発明はこれに鑑み、被梱包物への順応性
に富み、かつ外力に対し強靭で、外筐内での片寄りがな
く、しかも安価に得ることができる梱包用緩衝材および
その製造方法を提供するにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する
問題点を解決することを課題としてなされたもので、重
ね合わされた２枚の実質的に非伸縮性を有するプラスチ
ックシートを備え、両シートを接着部により複数区域に
区画してこれら接着部で囲まれた区域内を空気室とし、
これら空気室内に空気を封入したことを特徴とする梱包
用緩衝材を請求項１とし、実質的に非伸縮性を有する２
枚のプラスチックシートを重ね合わせて供給し、このシ
ートをその供給方向にそう縦方向の接着部および前記供
給方向に交叉し一部に非接着部を残置した横方向の接着
部により複数の空気室を区画形成し、前記非接着部を通
じて各空気室内に空気を充填したのち前記非接着部を接
着し、各空気室内に空気を封入するようにしたことを特
徴とする梱包用緩衝材の製造方法を請求項２とする。

【０００９】

【作用】緩衝材は全体としてシート状をなしているの
で、外筐の内面と被梱包物との間隙が狭い箇所にはシー
ト状のまゝで挿入し、間隙の広い箇所には接着部で２つ
折りあるいは４つ折り状に折り曲げて挿入する。これに
より各空気室内の空気が緩衝体となって被梱包物を外部
からの緩衝に対し緩衝し、被梱包物を外力から保護す
る。この際、シートは非伸縮性であるから空気室が荷重
によって偏平化することがなく、常に緩衝機能を失なう
ことがない。また各空気室は縦横列に繋がって配列され
ているので、個々の空気室の位置が変動せず、外筐内で
片寄ることがない。

【００１０】また製造については、一連の空気室を非接
着部により互いに連通状態におき、これら一連の空気室
に空気を圧入したのち前記非接着部を接着することによ
り各空気室を独立させて空気を封じ込めるので、その製
造が連続的に行なえ、被梱包物の大きさや形状に即して
任意の大きさに切断することにより所望の緩衝材を得る
ことができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照して
説明する。

【００１２】本発明による緩衝材１は、実質的に伸縮性
を有しない２枚のプラスチックシート２，２（例えばポ
リエチレン２軸延伸フィルム等）を重ね合わせ、両シー
ト２，２を接着部３により複数区域に区画してこれら接
着部３で区画された区域が空気室４，４…とされ、これ
ら空気室４，４…内に空気が封入された構成である。上
記接着部３による区画については、図１に斜視図を、図
３に平面図を示すように格子状に接着され、各空気室
４，４…が舛目状に形成される。この場合、１個当りの
空気室４の縦横巾の寸法は被梱包物の大きさや形状に応
じて定められる。

【００１３】上記のように空気室４，４…を格子状に配
列することにより、空気室４，４…を区画している接着
部３により２つ折り、乃至は４つ折り状として使用する
ことができる。したがって図４に例示するように被梱包
物５と外筐６との間の隙間が狭い箇所には緩衝材１を展
開した状態のまゝ挿入し、また上記間隙が広い場合には
２つ折り、４つ折りとしてその間隙に応じて詰納するこ
とができ、これにより外筐６内に被梱包物５をがたつく
ことなく梱包することができる。

【００１４】上記実施例において、緩衝材１を２つ折り
あるいは４つ折りとした場合、その折目に位置する空気
室４の隅部が突出する形態となり、その隅部にピンホー
ルが生じることが考えられる。これに対処するには、図
５に示すように接着部３の交点３ａの空気室４，４…の
隅部４ａに角切り状に斜めに接着部３が入り込むよう接
着部３の長手方向に対し４５°傾向いた四角形状に接着
することにより、折り曲げた際に空気室４，４…の隅部
の突出がなく、空気圧によりピンホールが生じることを
防ぐことができる。ピンホール防止のためには、この
他、隅部４ａが円弧状になるように接着してもよいし、
空気室自体の平面形状を円や楕円のような角無しの曲線
形状としてもよい。さらに折り曲げを容易にするため、
図６に示すように前記接着部３の交点３ａの中心に円孔
７を穿設するようにしてもよい。

【００１５】上記各実施例では、空気室４，４…を縦横
とも直列状に配列した場合を示したが、緩衝材１が折れ
曲がりにくい状態で使用することが望ましい対象物の梱
包用とするには、空気室４，４を千鳥配置とすることに
より折線が存在せず、折れ曲がりにくゝなって被梱包物
に倣って緩衝材１を詰納することができる。

【００１６】次に上記図１乃至図３に示した緩衝材１を
製造する方法の一例について図７乃至図９により説明す
る。

【００１７】非伸縮性のプラスチックシート２，２の原
反２ａ，２ａを軸装しておき、これら原反２ａ，２ａか
ら引出されたシート２，２の両側端をヒートシーラ８，
８により所要巾にわたり熱接着すると同時にこの接着さ
れた範囲内に図示しない穿孔手段によりパーフォレーシ
ョン９，９…を一定の間隔をおいて穿孔する。このパー
フォレーション９，９…にスプロケット１０，１０…が
係合されてその駆動によりシート２，２…が定量送りさ
れる。

【００１８】これに続いてシート２，２…の流れ方向に
間隔をおいて配置される上下２対の空気遮断機構１１，
１２のうち上流側の空気遮断機構１１に空気吹込み管１
３のノズル１３ａ，１３ａ…を臨ませ、上下のシート
２，２間に空気を吹込むようにする。

【００１９】接着部３は、加熱圧接部１４の上下の型１
５，１５により加熱圧着して形成される。この型１５，
１５は、複数個（図では６個）の空気室４，４…を同時
に区画形成するため、縦方向の接着部および横方向の接
着部を形成する加熱圧接部分１５ａ，１５ｂを有し、横
方向加熱圧接部分１５ｂは途中に切欠部１５ｃを有して
いて、この部分で図９のように非接着部３ｂを形成す
る。

【００２０】したがってこの加熱圧接部１４を経由して
上下のシート２，２間に接着部３により区画形成された
空気室４，４…は、非接着部３ｂ，３ｂ…により内部が
シート２，２の流れ方向に連通した状態におかれる。こ
れにより空気吹込み管１３のノズル１３ａ，１３ａ…か
ら吹込まれる空気は縦列の空気室４，４…のすべてにわ
たって空気が充填される。空気が充満するにつれてシー
ト２，２の左右が中央へ引き寄せられ、巾が次第に減少
するので、スプロケット１０，１０…は予じめ縮小する
巾を見込んで配設しておくことにより対処する。

【００２１】前記のように空気室４，４…に空気を吹込
んだのち、前記非接着部３ｂ，３ｂ…をヒートシーラ１
６によりスポット的に熱接着してこれを閉じ、各空気室
４，４…に空気を封じ込めた状態とする。

【００２２】その後シート２，２の両側端のパーフォレ
ーション９，９…部分をロールカッタ等の切断機１７，
１７により切除し、次いで所定の長さで裁断することに
より緩衝材１が得られる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、重
ね合わされた２枚の実質的に非伸縮性を有するプラスチ
ックシートを接着部により複数区域に区画してこれら接
着部により囲まれた区域内を空気室とし、これら空気室
内に空気を封入した構成としたことにより、被梱包物を
梱包する際に被梱包物と外筐との間の間隙に詰納したの
ち外筐の外部から衝撃が加わってもシートが伸びて偏平
化することがなく、緩衝材としての緩衝機能を失うこと
がない。また各空気室は縦横列に繋がって配列されてい
るので、梱包後振動等によって個々の空気室が移動せ
ず、外筐内で片寄ることがない。さらに被梱包物の外形
状にならって詰納することができるので汎用性に富み、
しかも折り畳んで詰納することができるので被梱包物と
外筐との間隙の如何に拘らず順応させることができ、詰
納作業も容易である。

【００２５】また本発明による製造方法によれば、各空
気室に空気を吹込んだのちに非接着部を接着して個々の
空気室に空気を封入するので、その製造を連続的に行な
うことができ、被梱包物の大きさや形状に応じて任意の
大きさに裁断することにより所望の緩衝材を容易に得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による梱包用緩衝材の一実施例を示す斜
視図。

【図２】図１の一部を断面とした拡大斜視図。

【図３】図１の平面図。

【図４】図１の梱包用緩衝材の使用例を示す略示断面
図。

【図５】接着部の変形例を示す一部の平面図。

【図６】接着部の他の変形例を示す一部の平面図。

【図７】図１の梱包用緩衝材の製造方法の一例を示す平
面図。

【図８】図７の略示側面図。

【図９】図７の工程の途中段階でのシートの状態を示す
平面図。

【符号の説明】

１ 梱包用緩衝材 ２ プラスチックシート ３ 接着部 ３ａ 交点 ３ｂ 非接着部 ４ 空気室 ５ 被梱包物 ６ 外筐 ７ 円孔 ８ ヒートシーラ ９ パーフォレーション １０ スプロケット １１ 空気遮断機構 １２ 空気遮断機構 １３ 空気吹込み管 １３ａ ノズル １４ 加熱圧接部 １５ 型 １６ ヒートシーラ １７ 切断機 １８ 外袋 １９ 袋部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜 博 徳 長野県諏訪市大和三丁目３番５号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 山 代 博 東京都品川区西大井五丁目５番８号 株式 会社イーピーイ内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】重ね合わされた２枚の実質的に非伸縮性を
   有するプラスチックシートを備え、両シートを接着部に
   より複数区域に区画してこれら接着部で囲まれた区域内
   を空気室とし、これら空気室内に空気を封入したことを
   特徴とする梱包用緩衝材。
2. 【請求項２】実質的に非伸縮性を有する２枚のプラスチ
   ックシートを重ね合わせて供給し、このシートをその供
   給方向にそう縦方向の接着部および前記供給方向に交叉
   し一部に非接着部を残置した横方向の接着部により複数
   の空気室を区画形成し、前記非接着部を通じて各空気室
   内に空気を充填したのち前記非接着部を接着し、各空気
   室内に空気を封入するようにしたことを特徴とする梱包
   用緩衝材の製造方法。