JPH0546598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動販売機等に使用されるポツプアウ
ト型ロツクハンドル装置に関するものである。

［従来の技術］ 特開昭50−102149号公報等に開示されたポツプ
アウト型ロツクハンドル装置は、正面ケース部に
外筒体を突設し、外筒体に回転可能かつ軸方向に
移動不能に取付けた施錠軸の後部周面に雄螺子部
を設け、外筒体に嵌挿される内筒体をハンドルに
突設し、内筒体をバネによつて前方に摺動付勢
し、内筒体の前部に錠前を収容固定し、施錠軸の
前部を内筒体の後部に挿入して連動部材によつて
連結し、錠前のロータに連動して内筒体の側面壁
部の透孔から出没するラツチを内筒体の中間部に
収容し、自動販売機筐体等の固定枠体の内側プレ
ートに支持させたナツト体に施錠軸の雄螺子部を
螺合させて扉を閉鎖位置に錠止し、ラツチ体の先
端部を外筒体の側面壁部の受部に係合させてハン
ドルを退没位置に保持するものである。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、従来装置では施錠軸の雄螺子部
が外筒体の後端面から長く突出しているため、装
置全体の奥行が比較的深いものであり、固定枠体
のナツト体支持用内側プレートと扉間における装
置の格納用スペースがそれだけ大きくなる。

そのため、小型薄型化が図られている最近の自
動販売機等では、前記格納用スペースによつて内
部空間が広く占用されるため、自動販売機本来の
内部機構の設計配置の自由度を制約することにな
る。

従つて本考案の目的は、装置全体の奥行が短い
ので、格納用スペースの確保のために自動販売機
等の内部空間を過分に占用することがなく、自動
販売機等の小型薄型化の傾向に的確に対応できる
と共に、ナツト体とロツクボルトの螺合と解除が
迅速になされるため、操作の簡便性にも優れたポ
ツプアウト型ロツクハンドル装置を提供すること
である。

［課題を解決するための手段］ 以下、添付図面中の参照符号を用いて説明する
と本考案のポツプアウト型ロツクハンドル装置で
は、扉１に固着される正面ケース部２の背面部に
外筒体３を突設し、施錠軸４を外筒体３に回転自
在に収容し、ナツト体５を施錠軸４の後部に設
け、ナツト体５に螺合するロツクボルト６を固定
枠体７に設け、施錠軸４の後部にロツクボルト６
が入り込む空洞部８を設け、正面ケース部２に収
納されるハンドル９に外筒体３に嵌挿される内筒
体１０を突設し、内筒体１０をバネ１１によつて
前方に突出付勢してある。

そして、錠前１２を内筒体１０の前部に収容固
定し、施錠軸４の前部を内筒体１０の後部に挿入
して連動部材１３によつて連結し、錠前１２のロ
ータ１４に連動して内筒体９の側面壁部の透孔１
５から出没するラツチ１６を内筒体９の中間部に
収容し、外筒体３の側面壁部にラツチ体１６の先
端部が係合する受部１７を設けてある。

そして、前記ナツト体５を外筒体３の内部に軸
方向に移動不能に設けられた母体５ａと、母体５
ａの中央テーパー孔１８に収容される遊動ネジ片
５ｂとに分割して構成し、中央テーパー孔１８に
挿入される施錠軸４の後部周面に軸方向の長孔１
９を設け、遊動ネジ片５ｂを半径方向及び軸方向
に移動可能に長孔１９に嵌合し、施錠軸４をバネ
２０によつて前方に摺動付勢してある。

そして、遊動ネジ片５ｂをバネ２１で後方に摺
動付勢して中央テーパー孔１８の内面に当接さ
せ、内筒体１０の内周面に施錠軸４の案内用突出
部２２，２２を設け、案内用突出部２２の側端面
２２ａの後端部に連動部材１３の端部１３ａが入
り込む凹部２３を設け、ハンドル９を押して凹部
２３の前壁面２３ａで連動部材１３の端部１３ａ
を押し、施錠軸４を後退させることによつて遊動
ネジ片５ｂの螺子山を空洞部８内に突出させ、ロ
ツクボルト６と螺合させるようになつている。

［作用］ 錠前１２に所定の鍵２７を挿入してロータ１４
を所定方向に回転操作すると、ロータ１４に連動
したラツチ体１６が半径方向に摺動し、ラツチ体
１６の先端部が外筒体３の受部１７から脱出して
内筒体１０の透孔１５内に没入し、これによつて
外筒体３に対する内筒体１０の錠止が解除され
る。そのため、内筒体１０はバネ１１の付勢によ
つて外筒体３と施錠軸４に沿つて前方に摺動し、
ハンドル９が正面ケース部２内から握持可能な位
置に突出する。

このようにハンドル９をポツプアウトさせる
と、連動部材１３の端部１３ａが内筒体１０の背
面壁部２８に衝接する。ここで、ハンドル９を右
回りに回転させると、連動部材１３の端部１３ａ
に各案内用突出部２２の側端面２２ｂが当接する
ため、施錠軸４はハンドル９と同方向に回転す
る。

この施錠軸４の回転に伴ない、遊動ネジ片５ｂ
は長孔１９の左側壁面に押されるため、右回りに
回転する。このとき、施錠軸４がバネ２０によつ
て前方に摺動付勢され、また、遊動ネジ片５ｂの
後端斜面２９が長孔１９の後端壁面に押されるた
め、遊動ネジ片５ｂはロツクボルト６の螺子山に
沿つて螺進しながら遠心方向に移動し、遊動ネジ
片５ｂの螺子山とロツクボルト６の螺子山との係
合が浅くなる。

施錠軸４が右回りに約１回転した段階では、遊
動ネジ片５ｂの螺子山が施錠軸の長孔１９内に退
没するため、遊動ネジ片５ｂとロツクボルト６の
螺合が完全に解除され、固定枠体７に対する扉１
の締付け施錠が解除される。そのため、扉１はハ
ンドル９を手前に引くことによつて開放され、そ
の過程でロツクボルト６が施錠軸４の空洞部８と
ナツト体５から脱出する。

扉の開放状態では、遊動ネジ片５ｂはバネ２１
の摺動付勢によつて外側斜面３０が中央テーパー
孔１８の内周面に当接し、後端斜面２９が長孔１
９の後端壁面に当接しているため、遊動ネジ片５
ｂの螺子山は施錠軸４の長孔１９内に退没した位
置に的確に保持されている。そのため、扉１を閉
鎖するとき、ロツクボルト６は外筒体３の背面壁
部３１の中央孔３２から母体５ａの中央テーパー
孔１８に円滑に入り込み、施錠軸４の空洞部８に
進入する。

この状態でハンドル９を若干左に回すと、第５
図に示したように連動部材１３の端部１３ａが案
内用突出部２２の後端部の凹部２３に入り込むこ
とになる。そこで、ハンドル９を若干押して連動
部材１３の端部１３ａを凹部２３の前壁面２３ａ
で押すと、施錠軸４がバネ２０の付勢に抗して後
方に摺動する。この施錠軸４の後退によつて、遊
動ネジ片５ｂはバネ２１の付勢によつて直ちに長
孔１９内を後退しながら求心方向に移動し、遊動
ネジ片５ｂの螺子山が長孔１９から空洞部８内に
突出し、ロツクボルト６の螺子山と係合する。

更にハンドル９を左回りに約１回転させると、
遊動ネジ片５ｂとロツクボルト６が完全に螺合
し、扉１が固定枠体７に対して再び締付け錠止さ
れる。そこで、ハンドル９を若干右に回して連動
部材１３の端部１３ａを前記凹部２３から脱出さ
せた後、ハンドル９を正面ケース部２に押込む
と、内筒体１０の摺動終端において第１図に示し
たようにラツチ体１６が外筒体３の受部１７と係
合する。これによつて内筒体１０が外筒体３に再
び錠止され、ハンドル９は正面ケース部２内の握
持不能な位置に保持される。

［実施例］ 第１図に示した実施例では、長方形状の正面ケ
ース部２は取付孔３３から螺子孔３４に螺子込ま
れるビス３５によつて自動販売機等の扉１に固着
されている。円形断面の外筒体３は正面ケース部
２の背面中央部に突設され、外筒体３の背面壁部
３１の中央孔３２には施錠軸４が回転自在に挿通
されている。

固定枠体７は自動販売機等の筐体であり、ロツ
クボルト６は固定枠体７の一部を成す支持プレー
ト７ａの貫通孔２４に挿通されており、支持プレ
ート７ａの両側でロツクボルト６に螺合した２個
の取付ナツト２５，２６を締付けることによつ
て、支持プレート７ａに固着されている。

断面円形の内筒体１０は長方形板状のハンドル
９の背面中央部に突設され、内筒体１０の背面壁
部２８の中央孔３６には施錠軸４が嵌挿されてい
る。施錠軸４の前端部の横断孔３７は、スプリン
グピンより成る連動部材１３が挿入固定されてい
る。第３図に示したように連動部材１３の端部１
３ａに各案内用突出部２２の側端面２２ａ，２２
ｂが当接することによつて、ハンドル９と連動部
材１３の回転遊びは約90度に設定されている。

内筒体１０の前進摺動は、連動部材１３の端部
１３ａが内筒体１０の背面壁部２８に当接するこ
とによつて制止される。内筒体１０の付勢用バネ
１１は円錐形の圧縮コイルバネで構成され、外筒
体３の内周受溝３８に挿入固定した止めリング３
９と内筒体１０の背面壁部２８の間に挿入されて
いる。

公知の種々の錠機構を採用できる錠前１２の外
筒体４０には、固定用リング４１が前端鍔部４２
に密接するように螺合され、内筒体１０の半径方
向の透孔４３からビス４４を固定用リング４１の
螺子孔４５に螺子込むことによつて、錠前１２が
内筒体１０に抜脱及び回転不能に固着されてい
る。ロータ１４の断面小判形の螺子棒部には、ロ
ータの回転角度規制用円盤４６が嵌合され、ナツ
ト４７によつて締付け固着されている。

内筒体１０の中間部にはラツチケース４８が回
転不能に挿入固定されている。ラツチ体１６はラ
ツチケース４８に内蔵した圧縮コイルバネ４９に
よつて突出方向に摺動付勢されている。ロータ１
４の先端部に設けたカム突起５０がラツチ体１６
の前面部の従動溝５１に係合している。外筒体３
の受部１７は透孔で構成されている。

ナツト体５の母体５ａは外筒体３に回転可能に
嵌合され、前記止めリング３９と外筒体３の背面
壁部３１によつて軸方向への移動を阻止されてい
る。母体５ａの前端部には軸方向の割溝５２を直
径上に設けてあり、第２図に示したように割溝５
２には施錠軸４の外周面の連動用突起５３が係合
している。

母体５ａの前部の内周受溝５４には止めリング
５５が挿入固定されている。施錠軸４の付勢用バ
ネ２０は円錐形の圧縮コイルバネであり、止めリ
ング５５と連動用突起５３の根元部との間に挿入
されている。母体５ａの中央テーパー孔１８には
施錠軸４の後端部が挿入されている。連動用突起
５３が前記止めリング３９に当接することによつ
て、施錠軸４の前進が限界づけられている。

遊動ネジ片５ｂの前端面には可動座金５６が当
接している。遊動ネジ片５ｂの付勢用バネは円錐
形の圧縮コイルバネであり、止めリング５５と可
動座金５６との間に挿入されている。遊動ネジ片
５ｂは１個のみでもよいが、ロツクボルト６との
螺合連結をより安定的かつ強固に実施するために
は、母体５ａの中心点に関して対称的に配置され
る複数個に構成するのが望ましい。

尚、前記割溝５２と連動用突起５３を除去して
ナツト体５の母体５ａを外筒体３に対して回転不
能に嵌合したり、母体５ａを外筒体３に固着した
り、母体部分を外筒体３と一体に形成することも
できる。

［考案の効果］ 以上のように本考案のポツプアウト型ロツクハ
ンドル装置では、ナツト体５を外筒体３に収容し
た施錠軸４側に設ける一方、ロツクボルト６を固
定枠体７側に設け、施錠軸４の後部にロツクボル
ト８が入り込む空洞部８を設けてあるので、装置
全体の奥行が短縮されており、格納用スペースの
確保のために自動販売機等の内部空間を過分に占
用して内部機構の配置設計の自由度を狭くするこ
とがなく、自動販売機等の小型薄型化の傾向に的
確に対応することができる。

更に本考案のロツクハンドル装置では、ナツト
体５を軸方向に移動不能な母体５ａと、母体５ａ
の中央テーパー孔２１に収容される遊動ネジ片５
ｂとに分割して構成し、遊動ネジ片５ｂを長孔２
２に半径方向及び軸方向に移動可能に嵌合し、施
錠軸４をバネ２０によつて前方に摺動付勢し、遊
動ネジ片５ｂをバネ２１によつて後方に摺動付勢
してあり、また、内筒体１０の内周面に設けた案
内用突出部２４，２４の側端面２４ａの後端部に
連動部材１３の端部１３ａが係合する凹部２５を
設け、凹部２５の前壁面２５ａで連動部材１３の
端部１３ａを押して施錠軸４を後退させるように
したので、ナツト体５とロツクボルト６の螺合及
び解錠がハンドル９の若干の回し押し操作によつ
て迅速かつ的確になされることになり、操作の簡
便性にも優れている。

更に請求項(2)のロツクハンドル装置では、ロツ
クボルト６を固定枠体７側の支持プレート７ａの
貫通孔２４に挿通し、ロツクボルト６に螺合した
２個の取付ナツト２５，２６で支持プレート７ａ
を両側から締付けて固着したので、取付ナツト２
５，２６の螺合位置を前後に調節することによつ
て、扉１と支持プレート７ａとの間の寸法が異な
る各種の自動販売機等に広範に使用することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るポツプアウト
型ロツクハンドル装置の施錠時の縦断面図であ
り、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図であり、第
３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図であり、第４図は
該ロツクハンドル装置の解錠時の縦断面図であ
り、第５図は第４図のＣ−Ｃ線断面図である。 １……扉、２……正面ケース部、３……外筒
体、４……施錠軸、５……ナツト体、５ａ……遊
動ネジ片、６……ロツクボルト、７……固定枠
体、８……空洞部、９……ハンドル、１０……内
筒体、１１……ハンドルの付勢用バネ、１２……
錠前、１３……連動部材、１４……ロータ、１５
……透孔、１６……ラツチ体、１７……受部、１
８……中央テーパー孔、１９……長孔、２０……
施錠軸の付勢用バネ、２１……遊動ネジ片の付勢
用バネ、２２……案内用突出部、２２ａ，２２ｂ
……側壁面、２３……凹部、２３ａ……前端面、
２４……貫通孔、２５，２６……取付ナツト、２
７……鍵、２８……内筒体の背面壁部、２９……
遊動ネジ片の後端斜面、３０……遊動ネジ片の外
側斜面、３１……外筒体の背面壁部、３２……外
筒体の中央孔、３３……取付孔、３４……螺子
孔、３５……ビス、３６……内筒体の中央孔、３
７……横断孔、３８……内周受溝、３９……止め
リング、４０……外筒部、４１……固定用リン
グ、４２……前端鍔部、４３……透孔、４４……
ビス、４５……螺子孔、４６……回転角度規制用
円盤、４７……ナツト、４８……ラツチケース、
４９……ラツチ体の付勢用バネ、５０……カム突
起、５１……従動溝、５２……割溝、５３……連
動用突起、５４……内周受溝、５５……止めリン
グ、５６……可動座金。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 扉１に固着される正面ケース部２の背面部に
   外筒体３を突設し、施錠軸４を外筒体３に回転
   自在に収容し、ナツト体５を施錠軸４の後部に
   設け、ナツト体５に螺合するロツクボルト６を
   固定枠体７に設け、施錠軸４の後部にロツクボ
   ルト６が入り込む空洞部８を設け、正面ケース
   部２に収納されるハンドル９に外筒体３に嵌挿
   される内筒体１０を突設し、内筒体１０をバネ
   １１によつて前方に突出付勢し、錠前１２を内
   筒体１０の前部に収容固定し、施錠軸４の前部
   を内筒体１０の後部に挿入して連動部材１３に
   よつて連結し、錠前１２のロータ１４に連動し
   て内筒体９の側面壁部の透孔１５から出没する
   ラツチ１６を内筒体９の中間部に収容し、外筒
   体３の側面壁部にラツチ体１６の先端部が係合
   する受部１７を設け、前記ナツト体５を外筒体
   ３の内部に軸方向に移動不能に設けられた母体
   ５ａと、母体５ａの中央テーパー孔１８に収容
   される遊動ネジ片５ｂとに分割して構成し、中
   央テーパー孔１８に挿入される施錠軸４の後部
   周面に軸方向の長孔１９を設け、遊動ネジ片５
   ｂを半径方向及び軸方向に移動可能に長孔１９
   に嵌合し、施錠軸４をバネ２０によつて前方に
   摺動付勢し、遊動ネジ片５ｂをバネ２１で後方
   に摺動付勢して中央テーパー孔１８の内面に当
   接させ、内筒体１０の内周面に施錠軸４の案内
   用突出部２２，２２を設け、案内用突出部２２
   の側端面２２ａの後端部に連動部材１３の端部
   １３ａが入り込む凹部２３を設け、ハンドル９
   を押して凹部２３の前壁面２３ａで連動部材１
   ３の端部１３ａを押し、施錠軸４を後退させる
   ことによつて遊動ネジ片５ｂの螺子山を空洞部
   ８内に突出させ、ロツクボルト６と螺合させる
   ポツプアウト型ロツクハンドル装置。 (2) ロツクボルト６を固定枠体７側の支持プレー
   ト７ａの貫通孔２４に挿通し、ロツクボルト６
   に螺合した２個の取付ナツト２５，２６によつ
   て支持プレート７ａを両側から締付けて、ロツ
   クボルト６を固着した請求項(1)記載のポツプア
   ウト型ロツクハンドル装置。