JPH054587A - 動力舵取装置 - Google Patents

動力舵取装置

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JPH054587A
JPH054587A JP18314091A JP18314091A JPH054587A JP H054587 A JPH054587 A JP H054587A JP 18314091 A JP18314091 A JP 18314091A JP 18314091 A JP18314091 A JP 18314091A JP H054587 A JPH054587 A JP H054587A
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Yoshitomo Tokumoto
欣智 徳本
Osamu Sano
修 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 動力舵取装置の動作油圧を発生する油圧ポン
プの駆動に要するエンジンの無為な動力負担を軽減して
燃費低下を防ぐ共に、必要時には、十分な油圧及び油量
を確保する。 【構成】 ポンプ本体1にモータ2を直結すると共に、
これらを油圧クラッチ3を介してエンジン4の出力端に
連結する。ポンプ本体1から油圧制御弁5を経て油圧ア
クチュエータ6に送給する油圧を、中途にソレノイドバ
ルブ7を備えた導油路8を介して油圧クラッチ3に導入
する。車速センサ9による検出結果に基づいて開閉制御
部90が発する開閉指令によりソレノイドバルブ7を開閉
し、高速走行時にはソレノイドバルブ7を閉止して油圧
クラッチ3を遮断状態とし、ポンプ本体1をモータ2に
より駆動し、停止時及び低速走行時には、ソレノイドバ
ルブ7を開放して油圧クラッチ3を係合状態とし、ポン
プ本体1をエンジン4により駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に搭載した油圧ポ
ンプの吐出油圧を送給されて操舵補助力を発生する油圧
式の動力舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の自動車においては、舵取りのため
の舵輪(ステアリングホィール)操作に要する労力負担
を軽減して快適な操舵感覚を得るべく、動力舵取装置
(パワーステアリング装置)が広く普及している。
【0003】この動力舵取装置は、操舵補助力の発生源
として油圧アクチュエータを用いる油圧式と、同じく電
動モータを用いる電動式とに大別される。前者、即ち油
圧式の動力舵取装置は、車両に搭載された油圧ポンプが
発生する油圧を舵取機構中に配した油圧アクチュエータ
に舵輪操作に応じて送給し、この送給油圧により油圧ア
クチュエータが発生する油圧力にて舵取りを補助するも
のである。
【0004】ところで、自動車の舵取りは操向車輪に作
用する路面反力に抗して行われるものであり、路面反力
の大小は車速の遅速及び操向角度の大小に対応すること
から、動力舵取装置においては、低速走行時又は停止時
に大きく舵取りがなされた状態、所謂据え切り状態にお
いて最大の操舵補助力を発生する必要があり、動作油圧
の発生源となる前記油圧ポンプの仕様は、据え切り状態
での必要油圧及び必要油量を確保し得ることを基準とし
て選定されている。
【0005】またこの油圧ポンプの駆動には、車両に搭
載されたエンジンを利用するのが合理的であり、油圧ポ
ンプの駆動軸とエンジンの出力軸とをVベルト等の伝動
手段を介して直結し、エンジンの駆動力の一部を油圧ポ
ンプの駆動に用いる構成が一般的に採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが前述の如く仕
様決定された油圧ポンプをエンジンにて駆動する場合、
該エンジンの回転速度の大小は車速の高低に略対応する
ことから、前記油圧ポンプは、大きい操舵補助力を必要
としない高速走行時に多量の吐出油を発生することにな
る。この吐出油の大部分は、油圧アクチュエータに送給
されることなく油タンクに還流せしめられる余剰油であ
り、この余剰油の昇圧のための無為な動力負担により、
前記エンジンの負荷増大及びこれに伴う燃費低下を招来
する難点があった。
【0007】特に近年においては、米国において検討さ
れているCAFE(Corporate AverageFuel Economy:企業
平均燃費)値による燃費規制等、自動車の燃費規制は一
層強化される傾向にあり、このような燃費規制に対処す
るためにも、前述した無為な動力消費の解消が重要な課
題となっている。
【0008】このような難点を解消すべく、特開昭57-1
34364 号公報等には、前記油圧ポンプとエンジンとの連
結部に電磁クラッチを介装し、この電磁クラッチを車速
の検出結果に基づいて係断せしめ、油圧ポンプの駆動を
低速時にのみ行わせる構成とした動力舵取装置が提案さ
れている。
【0009】ところがこの構成においては、例えば、減
速中又は加速中に操舵を行う際に、電磁クラッチの係断
前後に操舵感覚の変化が生じ、運転者に違和感を与える
難点があり、また一方、据え切り時に油圧ポンプに必要
とされる駆動力に対して十分な係断能力を有するべく選
定される前記電磁クラッチが大型のものとなり、この電
磁クラッチを、車上の限定された空間に配された油圧ポ
ンプの周辺に配設し得ない場合が多く、実現に困難を伴
う不都合があった。
【0010】また本願出願人は、電動モータに直結され
た油圧ポンプの駆動軸とエンジンの出力軸とを電磁クラ
ッチを介して連結し、この電磁クラッチを車速の遅速に
応じて係断せしめ、高速走行時には電動モータにて油圧
ポンプを駆動し、低速走行時及び停止時にはエンジンと
電動モータ又はエンジン単独にて油圧ポンプを駆動する
構成とした動力舵取装置を既に提案している(実願平3-
111081号)。
【0011】この構成においては、高速走行時において
も油圧ポンプが駆動され、該油圧ポンプからの送給油圧
により所定の操舵補助力が得られるから、電磁クラッチ
の係断前後における操舵感覚の変化は小さく、前記特開
昭57-134364 号公報に開示された動力舵取装置における
前者の難点は解消されるが、油圧ポンプの駆動軸とエン
ジンの出力軸とを係断する電磁クラッチの大型化は避け
られず、該電磁クラッチの配設に困難を伴うという後者
の難点は同様に生じる。
【0012】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、油圧源たる油圧ポンプとエンジンとを係断する
手段を小型化し、据え切り時における必要油圧及び必要
油量が確保できると共に、高速走行時におけるエンジン
の無為な動力負担が軽減される動力舵取装置を、実現可
能に提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る動力舵取装
置は、車両に搭載されたエンジン及び電動モータ、又は
エンジン単独にて駆動される油圧ポンプからの送給油圧
により操舵補助力を発生する動力舵取装置において、前
記油圧ポンプの駆動軸と前記エンジンの出力端との間に
介装された油圧クラッチと、該油圧クラッチの係断用の
油圧として前記送給油圧を導く導油路と、前記車両の走
行速度を検出する車速センサと、該車速センサによる検
出車速の遅速に応じて前記導油路を開閉する手段とを具
備することを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明においては、車速が低く、大なる操舵補
助力を必要とする場合、油圧ポンプから動力舵取装置に
送給される油圧は、開状態にある導油路を経て油圧クラ
ッチにも導入され、該油圧クラッチは強固に係合され
て、油圧ポンプはエンジンから伝達される十分な駆動力
により駆動される。逆に、車速が高く、大なる操舵補助
力が不要である場合、閉状態にある前記導油路からの油
圧の導入停止により、油圧クラッチが遮断状態又は弱い
係合状態となり、油圧ポンプはこれに直結された電動モ
ータの駆動力、又はエンジンから伝達される限定された
駆動力により駆動される。
【0015】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1及び図2は本発明に係る動力舵取装置
(以下本発明装置という)のシステム構成を示すブロッ
ク図である。図中1は、動作油圧を発生するポンプ本体
であり、図1におけるポンプ本体1は、これに直結され
たモータ2と、油圧クラッチ3を介して連結されたエン
ジン4とにより駆動される構成となっており、図2にお
けるポンプ本体1は、油圧クラッチ3を介して連結され
たエンジン4のみにより駆動される構成となっている。
【0016】ポンプ本体1の吐出油は、舵輪50と舵取機
構60とを連結する舵輪軸51の中途に構成された油圧制御
弁5を経て、舵取機構60に操舵補助力を加えるべく配さ
れた油圧アクチュエータ6に送給されており、この送給
油圧はまた、その中途にソレノイドバルブ7を備えた導
油路8を介して油圧クラッチ3に導入されている。
【0017】油圧制御弁5は、舵輪50に加えられた操舵
トルクにより舵輪軸51に生じる捩れに応じて油圧を給排
する動作をなし、この給排動作に伴ってポンプ本体1か
ら送給される油圧により油圧アクチュエータ6は、前記
操舵トルクの方向及び大きさに対応する油圧力を発して
舵取機構60に加える動作をなす。これにより、舵輪50の
操作に応じた舵取機構60の動作、即ち車両の舵取り動作
が補助される。
【0018】また、ポンプ本体1から油圧制御弁5への
送給油圧は、ソレノイドバルブ7が開放状態にある場
合、導油路8を介して後述の如き構成の油圧クラッチ3
に導入される。油圧クラッチ3においては、この導入油
圧の作用により強固な係合状態が得られ、このときポン
プ本体1は、油圧クラッチ3を介して伝達されるエンジ
ン4の駆動力により駆動される。逆に、ソレノイドバル
ブ7が閉止状態にあり、油圧クラッチ3への送給油圧が
遮断された場合、図1の構成においては、油圧クラッチ
3の係合状態が完全に解除されて、ポンプ本体1は、こ
れに直結されたモータ2により駆動されるようになして
あり、また図2の構成においては、油圧クラッチ3は、
所定の弱い押し付け力により係合する不完全な係合状態
に移行し、ポンプ本体1はエンジン4からの伝動により
駆動されるが、このときの伝動量は油圧クラッチ3の滑
りにより限定される。
【0019】ソレノイドバルブ7の開閉は、開閉制御部
90から与えられる開閉指令に応じて行われる。開閉制御
部90の入力側には、車両の走行速度を検出する車速セン
サ9の検出結果が与えられており、開閉制御部90は、車
速センサ9の検出結果が予め設定された所定の基準速度
を上回ったとき閉指令を、逆に基準速度以下であるとき
開指令を発するようになしてある。
【0020】図1に示す動力舵取装置は、ポンプ本体
1、モータ2及び油圧クラッチ3を一体的に備える図3
に示すポンプ組立体を用いて実現される。図示のポンプ
本体1は、複数枚のベーンを半径方向への進退自在に備
える円筒状のロータ10を偏肉環状をなすカムリング11の
内側に同軸的に遊嵌し、これらをカムリング11の一側に
同軸的に位置決めしたプレッシャプレート12と共にハウ
ジング14内に一体的に収納した後、カムリング11の他側
をエンドプレート13にて閉塞して、カムリング11の内周
とロータ10の外周との間に複数のポンプ室を形成してな
る公知のベーンポンプである。
【0021】またモータ2は、ポンプ本体1のハウジン
グ14の外側面にその一側を同軸的に固定された薄肉円筒
形のヨークハウジング21の内周にマグネットを固設して
なる固定子20と、これの内部に同軸回動自在に支承さ
れ、外周にコイルを巻着してなる回転子22とを備え、ヨ
ークハウジング21の他側に固設されて回転子22の支承部
材を兼ねるグロメット23を介して行われる前記コイルへ
の給電により、ヨークハウジング21内側に固定子20によ
り形成された磁界中の回転子22に回転力を得る構成とな
っている。
【0022】回転子22の回転軸24は、ヨークハウジング
21の両側、即ちポンプ本体1のハウジング14の内側、及
びグロメット23の外側に夫々延設されており、ハウジン
グ14側への延設部は、図示の如く、ハウジング14に内嵌
固定された玉軸受とエンドプレート13の軸心部に嵌着さ
れた軸受ブッシュとにより支承してあり、ロータ10はこ
れらの支承位置間に嵌着してある。
【0023】即ちポンプ本体1とモータ2とは、共通の
回転軸24を介して直結されており、ポンプ本体1のロー
タ10は、モータ2への給電に伴う回転子22の回転に応じ
て回転し、ハウジング14の外側に固設された吸込管15か
らエンドプレート13側の吸込油路16を経て前記ポンプ室
に導入される油を昇圧する動作をなし、昇圧された油
は、プレッシャプレート12背面側の圧力室17、及びこれ
に連通された弁室18を経て吐出される。
【0024】一方油圧クラッチ3は、前記グロメット23
の外側面に同軸的に固設したクラッチハウジング30の内
部に構成してある。油圧クラッチ3への入力軸31は、玉
軸受32によりその中途部を支承されてクラッチハウジン
グ30の内外に延設させてあり、クラッチハウジング30外
側への入力軸31の延設端は、これに嵌着されたVプーリ
33、及び該Vプーリ33に巻装された図示しないVベルト
を介して前記エンジン4の出力軸に連結されている。
【0025】また、クラッチハウジング30内側への入力
軸31の延設端は、グロメット23の軸心部に突出するモー
タ2の回転軸24の延設端に適宜に間隔を有して突き合わ
せてあり、これら両軸24,32の突き合わせ端部には、わ
ずかな間隙を有して相互に対向する一対の摩擦板34,35
が夫々嵌着してあり、入力軸31に嵌着された摩擦板35の
背面側、即ち、他方の摩擦板34との対向面の逆側には、
受圧板36が対向せしめてある。この受圧板36は、クラッ
チハウジング30の内周と入力軸31の外周との間に軸長方
向への摺動自在に嵌挿してあり、該受圧板36の背面側に
は、図示の如く、クラッチハウジング30に嵌着されたX
リングとオイルシールとによりその内外周を液密に封止
された導圧室37が形成されている。
【0026】以上の構成により受圧板36は、導圧室37の
内圧を受圧して摩擦板35に向けて摺動し、該摩擦板35を
対向する摩擦板34に押し付ける作用をなし、このとき両
摩擦板34,35間に作用する摩擦力により、入力軸31と回
転軸24とが係合される。なお受圧板36の非摺動時におけ
る摩擦板35との間の間隔は、両板35,36間に図示の如く
介装されたコイルばねの作用により一定に保たれてお
り、導圧室37への油圧導入に伴う油圧クラッチ3の係合
動作、同じく油圧導出に伴う係合解除動作が確実に行わ
れるようになしてある。
【0027】前記導圧室37は、クラッチハウジング30の
外面に開口を有して穿設された連結孔80に基端を発し、
その中途にソレノイドバルブ7を備えた導圧孔81の先端
が開口させてあり、前記連結孔80には、ポンプ本体1の
吐出側に基端を発し、図中に2点鎖線にて示す如く配管
された導圧管82の先端が連結してある。従って油圧クラ
ッチ3の前述した係合動作は、中途にソレノイドバルブ
7を備え、連結管82、連結孔80及び導圧孔81からなる導
油路8を介して導入されるポンプ本体1の吐出油圧によ
り生じる。
【0028】導油路8を開閉するソレノイドバルブ7
は、図示の如く、クラッチハウジング30の外側に固設さ
れたバルブハウジング70に薄肉円筒形のシリンダ筒71を
内嵌固定し、このシリンダ筒71の外側に励磁コイル72を
周設すると共に、シリンダ筒71の内側に軸長方向への摺
動自在にスプール73を嵌挿して、このスプール73の一端
を前記導圧孔81の中途に嵌着した導圧ノズル74の先端に
臨ませた構成となっている。而してスプール73は、励磁
コイル72への通電によりシリンダ筒71の内部に生じる磁
界の作用によりコイルばねの付勢に抗して図の左向きに
摺動し、このとき導圧ノズル74の先端が開放されて、導
油路8全体に連通状態が得られる。即ち、導油路8を経
ての導圧室37への油圧の導入及びこの導入油圧による油
圧クラッチ3の係合動作は、励磁コイル72への通電に伴
うソレノイドバルブ7の開放により生じ、逆に励磁コイ
ル72への通電遮断時には、スプール73が導圧ノズル74の
先端を閉止して導圧室37への油圧送給が遮断される結
果、油圧クラッチ3における係合状態は解除される。
【0029】油圧クラッチ3の係合時には、Vプーリ33
を介して入力軸31に伝達されるエンジン4の駆動力が回
転軸24を介してロータ10に伝達され、このときポンプ本
体1は、エンジン4により駆動されて前述のポンプ作用
を行い、一方油圧クラッチ3の係合遮断時にポンプ本体
1は、これに直結されたモータ2により駆動されて同様
のポンプ作用を行う。油圧クラッチ3の係合及び遮断
は、ソレノイドバルブ7の前述した開閉に応じて生じ、
この開閉は、開閉制御部90の前述した動作に応じて行わ
れる。
【0030】即ち、車速センサ9により検出される現状
の車速が高いとき、即ち高速走行時には、ソレノイドバ
ルブ7の閉止に伴う油圧クラッチ3の係合遮断により、
ポンプ本体1は、モータ2により回転駆動され、逆に車
速センサ9にて検出される現状の車速が低いとき、即ち
低速走行時又は停止時には、ソレノイドバルブ7の開放
に伴って導入されるポンプ本体1自身の吐出油の作用に
より油圧クラッチ3が係合状態となり、ポンプ本体1
は、Vプーリ33を介して伝達されるエンジン4の出力に
より回転駆動される。
【0031】前述した如く、動力舵取装置の出力端であ
る油圧アクチュエータ6に要求される操舵補助力は、高
速走行時において小さく、また停止時及び低速走行時に
は大きい。従って、ロータ10がモータ2により駆動され
る高速走行時には、ポンプ本体1から油圧制御弁5を経
て油圧アクチュエータ6に送給される油量は少なくてよ
く、また高い送給油圧も必要としない。このことから、
モータ2は小容量のもので十分となり、図3に示す如く
モータ2の小型化が実現される。
【0032】一方、油圧クラッチ3の係合によりロータ
10がエンジン4により駆動される低速走行時及び停止時
においては、該エンジン4の十分に大きい出力によりポ
ンプ本体1からの送給油に高い油圧と大油量とが確保さ
れ、この送給油により動作する油圧アクチュエータ6
は、大なる操舵補助力を余裕をもって発生することがで
きる。エンジン4によるこの動力負担は低速走行時及び
停止時に限って行われるから、これによるエンジン4の
燃費低下は少ない。またこのとき、エンジン4とロータ
10との係合は、油圧による摩擦板34,35の押し付けに伴
って高い係合力が得られる油圧クラッチ3により行わ
れ、更にこの油圧クラッチ3の係合動作は、ソレノイド
バルブ7の開放に伴って導油路8を経て導入されるポン
プ本体1自身の発生油圧により行われるから、ポンプ本
体1及びモータ2と同軸上に、図示の如き小径の摩擦板
34,35を備えた小型の油圧クラッチ3によりポンプ本体
1への所要の動力の伝達が可能となる。
【0033】一方、図2に示す動力舵取装置は、ポンプ
本体1及び油圧クラッチ3を一体的に備える図4に示す
ポンプ組立体を用いて構成される。本図におけるポンプ
本体1及び油圧クラッチ3の基本構成は図3に示すもの
と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略
し、図3との相違点についてのみ述べる。
【0034】第1の相違点は、ポンプ本体1のハウジン
グ14にクラッチハウジング30が固定してあり、該クラッ
チハウジング30内に突出するロータ10の回転軸24と油圧
クラッチ3の入力軸31とが直接的に突き合わされ、この
付き合わせ部に摩擦板34,35が嵌着してあることであ
り、モータ2が不要となることから更なる小型化が達成
される。
【0035】また第2の相違点は、ポンプ本体1の吐出
側を油圧クラッチ3の導圧室37に連通する導油路8が、
ハウジング14及びクラッチハウジング30に穿設された導
圧孔83により構成され、連結管82を不要としたことにあ
り、この構成もまた、モータ2の省略により達成され
る。なお、この導油路8中途のソレノイドバルブ7は、
導圧孔83の中途にハウジング14を穿設して形成された円
形断面のスプール孔75内での図示しないスプールの移動
により開閉動作をなすべく構成してある。
【0036】更に第3の相違点は、摩擦板34,35間の初
期間隙が0であり、摩擦板35が自身の弾性により摩擦板
34に常時押し付けられるように位置決めされていること
にある。即ち、油圧クラッチ3は、常に弱い係合状態に
あり、導圧室37へ導入される油圧は、摩擦板34,35間の
押し付け力を増し、係合状態を強化する作用をなすのみ
である。
【0037】而して、ソレノイドバルブ7が閉止されて
いる高速走行時には、ポンプ本体1は、弱い係合状態に
ある油圧クラッチ3を介して伝達されるエンジン4の駆
動力により駆動されて所定の油圧を発生するが、このと
きのエンジン4の動力負担は、油圧クラッチ3が滑りを
生じない範囲に限られており、エンジン4の燃費の低下
量は少ない。この状態で車速が所定の基準速度以下とな
り、ソレノイドバルブ7が開放されると、導油路8を経
て導入されるポンプ本体1の吐出圧により油圧クラッチ
3に強固な係合状態が得られ、ポンプ本体1への十分に
大きい動力伝達が可能となり、ポンプ本体1からの送給
油に高い油圧と大油量とが得られ、この送給油により動
作する油圧アクチュエータ6は、大なる操舵補助力を余
裕をもって発生することができる。
【0038】なおこの実施例の場合、導油路8を経て導
入される油圧は油圧クラッチ3の係合状態の強弱の切換
えに用いられており、本願における油圧クラッチ3の係
断の内の「断」は、完全な遮断状態だけでなく、不完全
な遮断状態、即ち弱い係合状態も含んでいる。
【0039】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明装置において
は、操舵補助力を発生する油圧アクチュエータへの送給
油圧を発生する油圧ポンプの駆動軸と車両に搭載したエ
ンジンの出力軸との間に、前記送給油圧の作用により係
合動作をなす油圧クラッチを介装し、この油圧クラッチ
へ前記送給油圧を導く導油路を車速の遅速に応じて開閉
する構成により、無為な動力負担に伴うエンジンの燃費
低下を招来することなく、必要時における十分な操舵補
助力が得られ、近年における強化された燃費規制に対処
し得ると共に、このために必要な前記油圧クラッチは小
型のもので十分なことから、ポンプ本体周辺の限定され
た空間への配設が可能であり、実現が容易である等、本
発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の第1実施例のシステム構成を示す
ブロック図である。
【図2】本発明装置の第2実施例のシステム構成を示す
ブロック図である。
【図3】第1実施例の実施に用いるポンプ組立体の側断
面図である。
【図4】第2実施例の実施に用いるポンプ組立体の側断
面図である。
【符号の説明】
1 ポンプ本体 2 モータ 3 油圧クラッチ 4 エンジン 5 油圧制御弁 6 油圧アクチュエータ 7 ソレノイドバルブ 8 導油路 9 車速センサ 10 ロータ 24 回転軸 34 摩擦板 35 摩擦板 36 受圧板 37 導圧室

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 車両に搭載されたエンジン及び電動モー
    タ、又はエンジン単独にて駆動される油圧ポンプからの
    送給油圧により操舵補助力を発生する動力舵取装置にお
    いて、前記油圧ポンプの駆動軸と前記エンジンの出力端
    との間に介装された油圧クラッチと、該油圧クラッチの
    係断用の油圧として前記送給油圧を導く導油路と、前記
    車両の走行速度を検出する車速センサと、該車速センサ
    による検出車速の遅速に応じて前記導油路を開閉する手
    段とを具備することを特徴とする動力舵取装置。
JP3183140A 1991-06-26 1991-06-26 動力舵取装置 Expired - Fee Related JP3038362B2 (ja)

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KR100448803B1 (ko) * 2002-05-02 2004-09-16 현대자동차주식회사 동력조향장치에 사용되는 오일펌프의 동력전달구조

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