JPH0545597Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、複胴船に関し、特に船橋や客室等を
備える上部構造物の波浪等によつて生じる動揺を
軽減できるようにした、上部構造物用動揺軽減装
置付き複胴船に関する。

〔従来の技術〕

従来の双胴船では、第５図に示すように、主船
体１に対して、船橋や客室を有する上部構造物２
が、一体に設けられている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで上述のように従来の双胴船が波浪中を
航行する際には、主船体の動揺は、そのまま上部
構造物の動揺となり、波浪によつては、主船体１
の動揺が大きくなつて、乗客や乗員に船酔をはじ
め種々の苦痛を与えるという問題点がある。

本考案は、上述の問題点を解決しようとするも
ので、複胴船における主船体に緩衝的に支持した
上部構造物に、水中へ垂下された没水体および減
揺フインを装備することにより、波浪中において
も、上部構造物の動揺を軽減できるようにした、
上部構造物用動揺軽減装置付き複胴船を提供する
ことを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、本考案の上部構造
物用動揺軽減装置付き複胴船は、少なくとも左右
の胴体からなる複胴船の主船体に緩衝装置を介し
て支持された上部構造物をそなえ、上記上部構造
物から上記左右の胴体の相互間におけるストラツ
トを介し水中へ垂下され同ストラツトよりも膨大
化されて上記上部構造物を部分的に支持しうる没
水体が設けられるとともに、上記左右の胴体の相
互間において上記没水体からその両側方へ突出し
た減揺フインが装備されたことを特徴としてい
る。

〔作用〕

上述の本考案の上部構造物用動揺軽減装置付き
複胴船では、主船体と緩衝装置によつて連結され
た上部構造物が、波浪中航行時の波浪衝撃等の高
い周波数動揺成分を緩衝装置にて吸収されるよう
になり、波浪による船体運動の動揺成分について
は、水中へ垂下され上記上部構造物の重量の一部
を支える没水体とそれに取付けられた減揺フイン
により制御される。

〔実施例〕

以下、図面により、本考案の一実施例としての
上部構造物用動揺軽減装置付き複胴船について説
明すると、第１図はその側面図、第２図はその正
面図、第３図はその船底から見た平面図である。

第１図および第２図に示すように、図示しない
エンジン等を備えた双胴船としての主船体１の上
方に、船橋や客室等を有す上部構造物２が主船体
１から分離して備えられている。そして主船体１
上において、上部構造物２は、緩衝装置としての
緩衝バネ５，６と空気圧シリンダー３，４とによ
り、四隅で支持されており、空気圧シリンダー
３，４は上部構造物２の重量を支え、ダンパーの
役目を果たすものである。

また、この双胴船の左右の胴体の相互間におい
て、上部構造物２の底部より水中へ垂下されたス
トラツト７の下部に、ほぼ楕円形の縦断面および
横断面を有する没水体８が連結され、このように
してストラツト７よりも大幅に膨大化された没水
体８の前部の左右面には、上記左右の胴体の相互
間において減揺フイン９が装着され、同没水体８
の後部の左右面には、同様に上記左右の胴体の相
互間においてフラツプ１０が取付けられている。
そして、減揺フイン９およびフラツプ１０の迎角
を変える駆動手段として、ロータリアクチユエー
タ１４，１５（第４図参照）が設けられている。

上述の構成により、船橋，客室等を有する上部
構造物２は、主船体１上の緩衝装置により支持さ
れるほか、膨大化された没水体８によつても支持
されているので、上記緩衝装置のクツシヨン効果
と没水体８による部分的な支持とにより、波浪中
航行時に生じる主船体１の加速度が、そのまま伝
わらず緩和されたものとなる。すなわち、上部構
造物が緩衝装置を介し主船体にのみ支持される場
合と比べて、本実施例では上部構造物２からスト
ラツト７を介し水中へ垂下された没水体８によつ
ても上部構造物２が部分的に支持されるため、上
記緩衝装置における緩衝ばね５，６などを軟らか
いものとすることができ、これにより主船体１の
動揺や振動が同緩衝装置で十分に吸収されるよう
になつて、主船体１の動揺等による上部構造物２
への影響が大幅に緩和されるのである。

さらに、緩衝支持された上部構造物２の姿勢角
制御を、没水体８における減揺フイン９およびフ
ラツプ１０で行なうことにより、上部構造物２の
横揺れおよび縦揺れを著しく軽減することができ
る。

没水体８に取付けた減揺フイン９およびフラツ
プ１０を駆動制御する制御系は、第４図に示すと
おりである。

すなわち、上部構造物２上に設置した動揺検出
器１１の信号が制御演算装置１２にとりこまれ
て、ここで油圧サーボ制御装置１３への信号が作
り出され、ロータリアクチユエータ１４，１５に
取付けられた減揺フイン９およびフラツプ１０を
駆動して、上部構造物２の動揺を抑制する制御が
行なわれる。

例えば、上部構造物２の縦揺れを制御する場
合、前部のフイン９と後部のフラツプ１０とを互
いに逆方向に駆動する。また横揺れを制御する場
合は、前部のフイン９と後部のフラツプ１０とを
左右舷で逆方向に駆動して、揺れが少ないように
制御する。

上述のように、この上部構造物用動揺軽減装置
付き複胴船によれば、船橋および客室を有する上
部構造物２が緩衝装置で支持されるとともに、フ
イン９およびフラツプ１０を取付けた没水体８
が、複胴船の胴体の相互間でストラツト７を介し
上部構造物２から垂下されるので、没水体８によ
る上部構造物２の部分的な支持で同上部構造物２
の安定化がもたらされるほか、さらに減揺フイン
９およびフラツプ１０に作用する流体力を利用し
て、容易に上部構造物２の縦揺れおよび横揺れの
制御が行なわれるようになり、これにより上部構
造物２の動揺を軽減して、乗心地の良好な複胴船
を提供することができる。

またストラツト７、没水体８および減揺フイン
９等が、主船体１における左右の胴体の相互間に
配設されるので、これらが船側外方に設けられて
邪魔物になる場合に比べて、操船が容易になる利
点もある。

なお、上述の実施例は、本考案を双胴船に適用
した場合について示されているが、本考案は三胴
船以上の多胴船にも適用することができる。

〔考案の効果〕 以上、詳述したように、本考案の上部構造物用
動揺軽減装置付き複胴船によれば、主船体に緩衝
装置を介して支持される上部構造物からストラツ
トを介し水中へ垂下され同ストラツトよりも膨大
化された没水体による上部構造物の部分的な支持
と、同没水体の減揺フインに作用する流体力と相
まつて、上部構造物の安定化が適切にもたらされ
るようになり、これにより主船体の動揺に拘らず
上部構造物の動揺を十分に軽減して乗心地の改善
に寄与しうる利点がある。

またストラツト、没水体および減揺フインが、
主船体における左右の胴体の相互間に配設される
ので、これらが船側外方に設けられて邪魔物にな
る場合に比べて、操船が容易になる利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本考案の一実施例としての上部構
造物用動揺軽減装置付き複胴船を示すもので、第
１図はその側面図、第２図はその正面図、第３図
はその船底から見た平面図、第４図はその制御系
を示すブロツク図であり、第５図は従来の双胴船
を示す正面図である。 １……主船体、２……上部構造物、３，４……
空気圧シリンダー、５，６……緩衝バネ、７……
ストラツト、８……没水体、９……減揺フイン、
１０……フラツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも左右の胴体からなる複胴船の主船体
   に緩衝装置を介して支持された上部構造物をそな
   え、上記上部構造物から上記左右の胴体の相互間
   におけるストラツトを介し水中へ垂下され同スト
   ラツトよりも膨大化されて上記上部構造物を部分
   的に支持しうる没水体が設けられるとともに、上
   記左右の胴体の相互間において上記没水体からそ
   の両側方へ突出した減揺フインが装備されたこと
   を特徴とする、上部構造物用動揺軽減装置付き複
   胴船。