JPH0545088A - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 仕切り部材（７）を、互いに重ね合わされ周
縁の一部において連接された１対の仕切り板（１２）
（１３）で構成する。そしていずれか一方の仕切り板
（１２）に前記スリット状開口部（１０）の内面ないし
はヘッダー内面に係合する抜け止め片（１４）を切り起
こし形成する。そして該仕切り部材（７）を、スリット
状開口部（１０）を通じてヘッダー（３）内に挿入配置
する。この配置状態において、仕切り部材（７）を前記
抜け止め片（１４）がスリット状開口部（１０）の内面
ないしはヘッダー内面に係合された状態でヘッダー
（３）内に接合一体化する。 【効果】 仕切り部材（７）は、その抜け止め片（１
４）の係合作用により、ろう付け前の配置状態において
適性な位置決め状態に確実に保持されてヘッダー（３）
に接合される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばカークーラー
用凝縮器等として用いられるアルミニウム等の熱交換器
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、例えばカークーラー用の凝縮器と
して、高熱交換性能、低圧力損失を実現しうる、いわゆ
るマルチフロータイプと称される熱交換器が好んで使用
される傾向にある。

【０００３】このマルチフロー熱交換器は、一般に、所
定間隔をおいて並列状に配置された複数本のチューブの
両端に１対の中空ヘッダーが連通状態に接続されたもの
となされている。そして、この熱交換器では、チューブ
によって構成される流通路を熱交換媒体が蛇行状に流通
するようにする等の目的において、一方又は両方のヘッ
ダーの内部がその長さ方向の所定の位置で仕切り部材に
て仕切られたものとなされることがある。

【０００４】このマルチフロー熱交換器のヘッダー仕切
り構造として、従来より、図１０に示されるように、ヘ
ッダー（６１）の内周面に適合する円板状の仕切り部
（６２ａ）の周端部の一定領域に径方向外方に一体に突
出する突出縁部（６２ｂ）が設けられた一枚ものの仕切
り板（６２）が用いられ、この仕切り板（６２）が、ヘ
ッダー（６１）の側面に形成された周方向のスリット状
開口部（６３）を通じてヘッダー（６１）内に挿入さ
れ、仕切り部（６２ａ）をヘッダー内空間部に、突出縁
部（６２ｂ）をスリット状開口部（６３）内にそれぞれ
存置せしめた配置状態において、該ヘッダー（６１）に
一括ろう付けにより接合一体化されたものが採用されて
いる。なお、（６４）はチューブ、（６５）はコルゲー
トフィンである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、仕切り
板（６２）の厚さとスリット状開口部（６３）の開口高
さとの関係は、これらの製作、加工に伴う寸法、形状誤
差により開口部（６３）への仕切り板（６２）の挿入が
困難ないし不可能とならないように、仕切り板（６２）
の厚さがスリット状の開口部（６３）の幅よりも若干小
さく設計されているのが一般的で、そのため、上記のよ
うな仕切り構造では、ヘッダー（６１）に嵌め込んだ後
ろう付けを終了するまでの間に、仕切り板（６２）がヘ
ッダー（６１）から抜け落ちたり、位置ずれを起こして
適正な配置状態でろう付けされないことがあった。

【０００６】この発明は、かかる従来の欠点に鑑み、仕
切り部材を常に適正な配置状態でヘッダーにろう付け一
体化することができる構造の熱交換器を提供し、仕切り
構造において製品としての信頼性を高めることを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的において、この
発明は、複数本のチューブが連通状態に接続された中空
ヘッダーを有し、該ヘッダー内が、その周側面に形成さ
れた周方向のスリット状開口部を通じて挿入配置された
仕切り部材によって仕切られた熱交換器であって、前記
仕切り部材は、互いに重ね合わされ周縁の一部において
連接された１対の仕切り板からなり、かつそのいずれか
一方の仕切り板に前記スリット状開口部の内面ないしは
ヘッダー内面に係合する抜け止め片が切り起こし形成さ
れてなるもので、該仕切り部材が、前記抜け止め片をス
リット状開口部の内面ないしはヘッダー内面に係合され
た状態でヘッダー内に接合一体化されてなることを特徴
とする熱交換器を要旨とする。

【０００８】

【作用】仕切り部材をヘッダーのスリット状開口部から
挿入すると、抜け止め片がスリット状開口部の内面ない
しはヘッダー内面に係合される。

【０００９】かかる係合作用により、仕切り部材のろう
付け前におけるヘッダーからの脱落、位置ずれなどが防
止される。そのため仕切り部材は、常に適正な配置状態
でヘッダーにろう付けされる。

【００１０】

【実施例】以下に、この発明の熱交換器をカークーラー
用凝縮器に適用した実施例を説明する。なお、本発明の
熱交換器が、ルームエアコン用熱交換器、オイルクーラ
ー等の各種マルチフロータイプの熱交換器に適用される
得るものであることはいうまでもない。

【００１１】図２及び図３に示す実施例において、
（１）は偏平チューブ、（２）はコルゲートフィンで、
これらは並列状態に交互に上下方向に配置されている。
（３）（４）は左右のヘッダーで、偏平チューブ（１）
の両端に連通状態に接続されている。（５）は左側ヘッ
ダー（３）に連通状態に接続された熱交換媒体の入口
管、（６）は右側のヘッダー（４）に接続された同出口
管である。そして、（７）は、ヘッダー（３）（４）内
を所定高さ位置において仕切る板状の仕切り部材で、こ
の仕切り部材（７）により、複数本のチューブ（１）に
よって構成される流通路を熱交換媒体が蛇行状に流通す
るようにされている。なお、（８）は上下最外側のコル
ゲートフィン（２）の外側に該フィンを保護するために
配置されたサイドプレートである。

【００１２】偏平チューブ（１）は、アルミニウム製の
押出型材によるもので、図１に示すように内部が長手方
向に沿う仕切り壁により複数の冷媒通路に区画されて伝
熱性および耐圧性の高められた、いわゆるハモニカチュ
ーブが使用されている。なお、押出型材によらず、電縫
管等を使用しても良い。

【００１３】コルゲートフィン（２）は、チューブ
（１）と略同じ幅のアルミニウムシート材をコルゲート
状に成形すると共にルーバーが切り起こされたものであ
る。このシート材としてろう材層がクラッドされたアル
ミニウムブレージングシートが使用されている。

【００１４】ヘッダー（３）は、片面または両面にろう
材層がクラッドされたアルミニウムブレージングシート
を筒状に成形してその対応側縁部どおしを突き合わせ状
態にろう付けした円筒状のヘッダーパイプ（３ａ）の端
部開口をアルミニウム製ヘッダーキャップ（３ｂ）にて
塞いだものとなされている。ヘッダー（４）についても
同様である。なお、上記ヘッダー（３）（４）に代え
て、押出管、電縫管等を用いても良い。

【００１５】このヘッダー（３）の側面には、周方向ス
リット状のチューブ挿入孔（９）が長さ方向に所定間隔
おきに列設されている。

【００１６】そして、これらのチューブ挿入孔（９）と
反対側の側面に、チューブ挿入孔（９）間の位置におい
て、ヘッダー（３）の略半周にわたる周方向のスリット
状開口部（１０）が形成されている。なお、このスリッ
ト状開口部（１０）は、チューブ挿入孔（９）がヘッダ
ーパイプ（３ａ）の突き合わせ接合部（３ｃ）に跨がら
ない態様で形成されている関係上、この突き合わせ接合
部（３ｃ）に跨った状態に形成されている。

【００１７】前記仕切り部材（７）は、アルミニウム製
の１対の対称な仕切り板（１２）（１３）が重ね合わせ
状にされ、これらが先端部において相互に連接されたも
のである。仕切り板（１２）（１３）はそれぞれ、図
１、図４及び図５に示すように、ヘッダー（３）の内周
面に適合する円板状の仕切り部（１２ａ）（１３ａ）
と、該仕切り部（１２ａ）（１３ａ）の基端側半周部に
そこから径方向外方に一体に突出された突出縁部（１２
ｂ）（１３ｂ）と、該突出縁部（１２ｂ）（１３ｂ）の
周縁部に相反する方向に立ち上がり状に連接されたリブ
（１２ｃ）（１３ｃ）とを有するものに形成されてい
る。

【００１８】一方の仕切り板（１２）には、図４及び図
５に示すように、その仕切り部（１２ａ）内の略中央部
から該仕切り部（１２ａ）と突出縁部（１２ｂ）との境
界位置に至る舌片状の抜け止め片（１４）が切り起こし
形成され、その先端部側が反り上がった状態となってい
る。

【００１９】上記仕切り部材（７）は、アルミニウムシ
ートにプレス加工を施して、図６に示すように、仕切り
板（１２）（１３）どおしがその先端部において極く短
尺な連接部（１５）を介して連接された中間加工品（１
６）を作製し、然る後、これを連接部（１５）において
屈曲し重ね合わせ状にすることによって製作されてい
る。なお、この場合、重ね合わせ状とした状態において
連接部（１５）に起因して生じる若干の出っ張りは可及
的に小さくなるように設計すべきである。しかしその出
っ張りが無視しえないような場合は製作後、仕上げ加工
により補整すればよい。

【００２０】また、他の製作方法として、プレス加工に
よりつくられた２枚のアルミニウムシート製の仕切り板
（１２）（１３）を、図７に示すように、所定の角度、
例えば９０度に保持した状態で先端部同士を突き合わ
せ、該先端部同士をろう接等により接合し、しかるの
ち、両仕切り板（１２）（１３）を接合部（１７）を軸
にリブ（１２ｃ）（１３ｃ）の立ち上がりのない側の面
どおしを重ね合わせ状に屈曲することによってつくって
も良い。

【００２１】上記仕切り部材（７）の素材としては、ア
ルミニウム両面ブレージングシートが好適に用いられ
る。もっとも、仕切り板（１２）（１３）の対向面をろ
う付する目的で片面ブレージングシートを用いても良
い。あるいは、かゝるブレージングシートに代えてろう
材層の被覆形成されていないアルミニウム板を用いるこ
とも許容される。

【００２２】上記各熱交換器構成部材は、所定間隔おき
に並列状に配置した複数本のチューブ（１）の両端に、
チューブ（１）の端部をチューブ挿入孔（９）に挿入す
ることによってヘッダー（３）（４）を組み付けると共
に、チューブ（１）間にコルゲートフィン（２）を挿入
配置し、その他、サイドプレート（８）、入口管
（５）、出口管（６）等の組み付けを行う。

【００２３】併せて、仕切り部材（７）をスリット状開
口部（１０）を通じてヘッダー（３）内に挿入し、図４
及び図５に示すように、仕切り部（１２ａ）（１３ａ）
をヘッダー（３）の内部空間に配置すると共に突出縁部
（１２ｂ）（１３ｂ）をスリット状開口部（１０）内に
配置する。

【００２４】このように該仕切り部材（７）を挿入する
と、前記抜け止め片（１４）はスリット状開口部（１
０）に押圧されて仕切り部（１２ａ）と面一状態となる
ような倒伏状態となり該仕切り部材（７）の挿入がスム
ースに行われる。そして上述のような配置状態になった
とき、前記抜け止め片（１４）はその弾性復元力により
元の反り上がり状態となって先端部がスリット状開口部
（１０）の内面ないしはヘッダー内面に係合され、かつ
リブ（１２ｃ）（１３ｃ）がスリット状開口部（１０）
の入口周縁部に当接された状態に配置され、熱交換器組
立体に組み立てられる。

【００２５】上述のように抜け止め片（１４）がスリッ
ト状開口部（１０）の内面ないしはヘッダー内面と係合
するので、仕切り部材（７）の抜出方向への移動変位が
確実に阻止される。なお、この明細書において、スリッ
ト状開口部（１０）の内面ないしはヘッダー内面という
ときは、スリット開口部（１０）の内側縁部をも含む意
味において使用するものとする。

【００２６】そして、この熱交換器組立体は、ろう付け
炉内において、ヘッダーパイプ（３ａ）の側縁突き合わ
せ部を含めて、一括ろう付けにより相互に接合一体化さ
れ、熱交換器に製作される。このろう付け実施に至るま
で、仕切り部材（７）はヘッダー（３）に対して適正配
置状態を保持され、その結果、該仕切り部材（７）はそ
の適正配置状態においてヘッダー（３）にろう付けさ
れ、仕切り構造において信頼性の高い熱交換器に製作さ
れる。

【００２７】また、仕切り部材（７）はアルミニウムブ
レージングシートによってつくられ、両仕切り板（１
２）（１３）の対向面にはろう材層が存在しているの
で、一括ろう付けにより、そのろう材にて隙間が塞が
れ、ヘッダー（３）内のシール性は良好に保たれる。な
お、この隙間を塞ぐ方法として、上記のようなブレージ
ングシートの使用によるものの他、置きろう等の各種方
法が採用され得るものであることはいうまでもない。

【００２８】更に、仕切り部材（７）として、１対の仕
切り板（１２）（１３）を重ね合わせ状に構成したもの
を採用したことにより、１枚ものの仕切り部材にリブを
形成する場合に比べて、リブ（１２ｃ）（１３ｃ）の薄
肉化が図れ、従って、ヘッダー（３）の外周面のリブ
（１２ｃ）（１３ｃ）による出っ張りを小さくして、商
品価値の高い熱交換器に製作することができる。

【００２９】図８は、仕切り部材の変更例を示すもの
で、仕切り板（１２）（１３）の特に突出縁部（１２
ｂ）（１３ｂ）間に弾力用の隙間（１８）が形成される
ように、仕切り板（１２）（１３）が湾曲加工により側
面視幅方向に対向側を凹とする若干の曲線描くように成
形されている。そのほかは上記実施例と同様であるので
説明を省略する。本実施例によれば、この弾力用の隙間
（１８）により、仕切り部材（７）の両突出縁部（１２
ｂ）（１３ｂ）はヘッダー（３）のスリット状開口部
（１０）の周縁に強いスプリッグバック性を呈して当接
され、仕切り部材（７）のより確実な位置決め状態が達
成される。

【００３０】図９は、他の実施例を示すもので、仕切り
部材（７）としてリブのない構造のものを採用したもの
である。他の構成は前記実施例と同様であるので、対応
箇所に同一符号を付してその説明を省略する。

【００３１】

【発明の効果】上述の次第で、この発明にかゝる熱交換
器においては、仕切り部材が、互いに重ね合わされ周縁
の一部において連接された１対の仕切り板からなり、か
つそのいずれか一方の仕切り板に前記スリット状開口部
の内面ないしはヘッダー内面に係合する抜け止め片が切
り起こし形成されてなるもので、該仕切り部材が、前記
抜け止め片をスリット状開口部の内面ないしはヘッダー
内面に係合された状態でヘッダー内に接合一体化されて
なるものであるから、仕切り部材が、ろう付け前の挿入
配置状態で、ヘッダーから脱落したり、位置ずれを起こ
したりするのを防止することができる。

【００３２】従って、本発明の構成によれば、常に適正
配置状態において仕切り部材をヘッダーにろう付け接合
することができ、信頼性の高い熱交換器を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】仕切り部材、ヘッダー、チューブ、フィンを分
離状態で示す一部断面斜視図である。

【図２】熱交換器の全体正面図である。

【図３】熱交換器の全体平面図である。

【図４】仕切り部材を挿入した状態を示すヘッダーの縦
断面図である。

【図５】仕切り部材を挿入した状態を示すヘッダーの横
断面図である。

【図６】仕切り部材の製作過程を示す平面図である。

【図７】仕切り部材の製作方法の他の例を示す側面図で
ある。

【図８】仕切り部材の変更例を示す斜視図である。

【図９】他の実施例を示すもので、仕切り部材、ヘッダ
ー、チューブ、フィンを分離状態で示す一部断面斜視図
である。

【図１０】従来の熱交換器を、仕切り部材、ヘッダー、
チューブ、フィンを分離状態にして示す一部断面斜視図
である。

【符号の説明】

１…チューブ ３、４…ヘッダー ７…仕切り部材 １０…スリット状開口部 １２、１３…仕切り板 １４…抜け止め片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本のチューブ（１）が連通状態に接
   続された中空ヘッダー（３）を有し、該ヘッダー（３）
   内が、その周側面に形成された周方向のスリット状開口
   部（１０）を通じて挿入配置された仕切り部材（７）に
   よって仕切られた熱交換器であって、 前記仕切り部材（７）は、互いに重ね合わされ周縁の一
   部において連接された１対の仕切り板（１２）（１３）
   からなり、かつそのいずれか一方の仕切り板（１２）に
   前記スリット状開口部（１０）の内面ないしはヘッダー
   内面に係合する抜け止め片（１４）が切り起こし形成さ
   れてなるもので、該仕切り部材（７）が、前記抜け止め
   片（１４）をスリット状開口部（１０）の内面ないしは
   ヘッダー内面に係合された状態でヘッダー（３）内に接
   合一体化されてなることを特徴とする熱交換器。