JPH0544434U - 鍛造用ワークの整列供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、鍛造機にワークを整列供給する装
置において、送り出しの際にワークに衝撃を与えず、供
給した個々のワークを確実にハンドリングできるように
する。 【構成】 ワークを整列状態で送り出す熱処理炉１と、
水平な整列テーブル２との間に、シュート３を設け、そ
のシュート３の出口１０を、整列テーブル２の上面に沿
って水平方向に開口させる。上記の構造では、ワークａ
を、熱処理炉１内の整列状態のまま水平に整列テーブル
２に送り出すため、ワークに衝撃が加わらず、また熱に
よるワーク同士の溶着が生じない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、鍛造機にワークを自動供給するためのワークの整列供給装置に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

鍛造機に対するワークの供給は、熱処理炉により加熱されたワークを整列状態 で取り出し、その各々のワークをロボットハンド等により鍛造機のプレス位置ま で移動させることにより行なわれる。

【０００３】 従来、熱処理炉からワークを整列状態で取り出す方法は、図９に示すように、 熱処理炉１の出口と、鍛造機に付属して設けた整列テーブル３１との間に、上下 に垂直なシュート３２を設け、熱処理炉１から押し出されるワークを順次シュー ト３２を介して整列テーブル３１へ送り出す方法がとられている。

【０００４】 上記の熱処理炉１は、通常、高周波熱処理炉等が使用され、図４に示すように 炉内部に設けた移動コンベヤ６により、ワークａを縦列の整列状態で炉内に送り 込み、その状態で加熱しつつ各ワークを順次送り出すようになっている。

【０００５】 一方、シュート３２は、出口側が整列テーブル３１に対して垂直に向き合せて 設けられ、その出口３３と整列テーブル３１の上面との間にワーク１個分の長さ より若干大きな間隔をあけて配置されており、ワークａをシュート出口３３から 整列テーブル３１上面に自由落下させて送り出すようにしている。

【０００６】 この整列テーブル３１上に送り出されたワークは、最下部のものから順次ロボ ットハンド２３や搬送コンベヤ等により取り出され、鍛造機のプレス位置等へハ ンドリングされる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記従来の供給装置では、各ワークがシュート３２の出口から整列 テーブル３１の上面に落下して取り出されるため、その落下の衝撃によりワーク に細かいクラック等が入る場合があり、加えて、ワークは加熱されて軟化してい るため、衝撃によってその下面が拡がって変形する場合がある。しかし、このよ うなクラックや変形は、ワークを鍛造加工した状態でワークの内部や表面に傷や 欠陥を生じさせる原因となり、加工品質を著しく悪化させる欠点がある。

【０００８】 また、加熱により高温状態になったワークは、図１０に示すようにシュート３ ２の内部で上下方向に複数個積み重なると、各ワークの接触面が熱によって溶着 状態になることがあるが、このようなワーク同士の溶着は、ロボットハンド等に よるワークの取り出しに大きな障害となり、安定したワークの自動供給に支障を きたす問題がある。

【０００９】 上記の熱によるワーク同士の溶着は、ロボットハンド等によるワークの取り出 しを出来るだけ速くし、シュート３２内部に複数のワークが積み重ならないよう にすれば防止することができるが、しかしこのような方法は、ロボットハンド等 によるハンドリング速度と、熱処理炉１における移動コンベヤのワーク送り出し 速度や加熱温度の変化等とを正確に同期させる必要があるため、その制御が極め て難しい作業になる。

【００１０】 そこで、この考案は、整列テーブルへの送り出し時にワークに衝撃を与えるこ とがなく、しかも送り出した各々のワークを溶着させずに確実にハンドリングす ることができる整列供給装置を提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、この考案は、鍛造用ワークを整列状態で送り出す 熱処理炉と、その熱処理炉より下方に設けた整列テーブルとの間に、出口が整列 テーブルの上面に沿って水平方向に開口するシュートを設け、そのシュートの下 面に、ワークを上記整列した向きで案内する案内部を設けた構造としたのである 。

【００１２】 なお、上記の構造において、シュートの下面を、シュートの長さ方向に延びる 複数の丸棒を平行に配列して形成し、その各丸棒の周面をワークの案内部とする ことができる。

【００１３】 また、上記構造におけるシュートの出口に、その出口を開閉する停止板を設け 、シュートの出口の近傍に、ワークの検出器と、その検出器の信号によりワーク をシュート出口から押し出す押し出し手段とを設けるようにしてもよい。

【００１４】

【作用】

上記の構造においては、ワークが、シュートの出口から整列テーブルの上面に 沿って水平方向に送り出されるため、落下による衝撃がなく、ワークにクラック や変形を生じさせない。

【００１５】 また、各ワークを水平に整列した状態で整列テーブル上に待機させることがで きるため、熱によるワーク同士の溶着が生じず、各々のワークを確実にハンドリ ングすることができる。

【００１６】

【実施例】

図１及び図２は、鍛造機にワークを自動供給するための供給装置を示しており 、この自動供給装置は、この考案に係る整列供給装置Ａと、その整列供給装置Ａ により取り出されたワークを鍛造機のプレス位置ｂへ搬送するためのハンドリン グ装置Ｂとから構成される。

【００１７】 上記整列供給装置Ａは、図１及び図３に示すように、熱処理炉１と、その熱処 理炉１の下方に配置される整列テーブル２と、熱処理炉１と整列テーブル２の間 に設けられるシュート３とから構成され、整列テーブル２は、図３及び図５に示 すように、シュート３の出口側に固定される水平な固定台４と、その固定台４に 接続する搬送コンベヤ５とから形成されている。

【００１８】 上記熱処理炉１は、従来と同様に図４に示すような高周波熱処理炉等が用いら れ、炉の下部に、ワークａを縦列の整列状態で移動させる移動コンベヤ６が設け られ、炉内部に、縦列状態で移動するワークａを鍛造に最適な温度以上に加熱す る加熱室７が設けられている。また、炉出口には、シュート３の入口が連結され 、移動コンベヤ６によって送られるワークを、順次シュート３内に投入するよう になっている。

【００１９】 上記シュート３は、図３及び図５に示すように、シュートの長さ方向に延びる 複数の丸棒８を所定の間隔をあけて環状に配列し、その丸棒８の外側を複数の鉄 製フランジ枠９で保持固定して形成されている。このシュート３は、出口側が次 第に先細になるように形成され、その先端の出口１０が、整列テーブル２の上面 に沿って水平方向に開口するように配置されている。また、シュート３の形状は 、熱処理炉１に連結する入口から出口１０に向かって滑らかに下降する傾斜形状 で形成されており、ワークａがシュート内部ではねたり落下等をせずに、連続し てスムーズに滑り落ちるように形成されている。

【００２０】 上記シュート３の下面には、図６に示すように、４本の丸棒８ａ、８ｂ、８ｃ 、８ｄが左右に対称させて互いに平行に配列されており、その各丸棒８ａ〜８ｄ の周面が、ワークａを縦列状態で案内するための案内部１１を形成している。す なわち、図６（ａ）に示すように、比較的径が小さいワークａは、内側の丸棒８ ａ、８ｂの周面で案内され、図６（ｂ）のように大径のワークａ’になると、外 側の丸棒の８ｃ、８ｄの周面で案内される。また、断面が矩形となったワークａ ’’は、外側の丸棒８ｃと内側の丸棒８ａ、８ｂの周面により案内される。その 他、断面が六角形や台形等の形状をした異形のワークであっても、複数の丸棒８ の周面によって縦列状態で移動するように案内することができる。

【００２１】 また、シュート３の出口１０には、図５及び図７に示すように、その出口１０ を塞ぐ停止板１２が上端を支点として回動可能に取付けられている。この停止板 １２は、バランサとしての錘り１３を備えており、この錘り１３の作用により、 通常時下向きに回動し、シュート出口１０を閉鎖した状態にある。

【００２２】 また、シュート出口１０の近傍には、ワークａがシュート３内を通過したこと を検出する近接スイッチ等のワーク検出器１４が設けられ、シュート３の背面側 の下方には、その出口１０に向かって伸縮する押し出し用シリンダ１５が配置さ れている。この押し出し用シリンダ１５は、上記ワーク検出器１４と電気的に接 続しており、そのワーク検出器１４から検出信号が入ると伸長し、先端の押圧板 １６によりワークａをシュート出口１０から押し出して、整列テーブル２の搬送 コンベヤ５まで送り出すようになっている。

【００２３】 なお、停止板１２の下部に設けた切欠き１７は、復帰する押圧板１６を通過さ せるためのものである。

【００２４】 一方、整列テーブル２は、前述したようにシュート出口１０に連続する固定台 ４と、搬送コンベヤ５とから構成され、その両者共、上面が水平に配置されてい る。上記搬送コンベヤ５は、高熱のワークを安定して搬送するために、図４に示 すごとく金属製のチェーン１８に金属製の受け板１９を多数取付けて形成され、 そのコンベヤ５の両側に、ワークをコンベヤ中央に案内するためのガイド板２０ 、２０が設けられている。

【００２５】 また、上記搬送コンベヤ５の先端部には、搬送されたワークを、コンベヤ５に 隣接した旋回テーブル２１へ移動させる送り出し手段２２が設けられており、そ の旋回テーブル２１に送り出されたワークがハンドリング装置Ｂのロボットハン ド２３で把持され、鍛造機のプレス位置ｂへ搬送されるようになっている。

【００２６】 この実施例は上記のような構造で成り、次にその作用を説明する。 ワークａは、熱処理炉１の内部に、縦列の整列状態で搬入されると、その炉内 部で、鍛造に最適な温度より若干高い温度まで加熱される。

【００２７】 この加熱されたワークａは、移動コンベヤ６の移動によって順次シュート３に 送られ、シュート３の内部を通って整列テーブル２へ送られる。この場合、シュ ート３を構成する丸棒８の案内により、各ワークａは熱処理炉１に投入されたま まの姿勢でシュート３下面を滑り落ち、出口１０の停止板１２に当たって停止す る。

【００２８】 このようにワークが出口１０で停止した状態では、ワーク検出器１４がワーク の通過を検出しているため、次に、その検出器１４の信号により押し出し用シリ ンダ１５が伸長し、ワークをシュート出口１０から整列テーブル２の搬送コンベ ヤ５まで押し出す。

【００２９】 このようにして、熱処理炉１の内部の各々のワークは、上記と同じ方法で順次 シュート３を通って搬送コンベヤ５上に押し出され、その搬送コンベヤ５により それぞれ所定の間隔をあけた状態で、ハンドリング装置Ｂの取出し位置まで搬送 される。

【００３０】 上記のようにこの実施例の構造では、ワークが、熱処理炉１に投入された整列 状態を維持されたまま搬送コンベヤ５上に水平方向に送り出されるため、ワーク に落下による衝撃が加わらず、ワーク表面にクラックや変形が生じない。

【００３１】 また、各ワークはシュート３内部を搬送された後、上下に積み重なることなく 、水平に並んだ状態で搬送コンベヤ５上に配列されるため、熱によるワーク同士 の接着が生じず、各ワークを個々にハンドリング装置Ｂによってハンドリングす ることができる。

【００３２】 また、送り出された各ワークは、搬送コンベヤ５上に任意の数だけ並べて待機 させておくことができるため、ハンドリング装置Ｂの取出し速度に関係なく、熱 加熱炉１の移動コンベヤ６の送り速度等を自由に設定することが可能となり、速 度の調整を極めて容易にできる利点もある。

【００３３】 なお、上記の例では、整列テーブル２を固定台４と搬送コンベヤ５とで構成し たが、整列テーブルを固定台だけで形成し、その固定台上にシュートから送り出 された各ワークを、直接ロボットハンド等によりプレス位置に搬送するようにし てもよい。

【００３４】 また、シュート３は、図示したような複数の丸棒を組合せた構造とせず、環状 の一体成形されたパイプを使用することもできるが、この場合は、パイプの下面 にワークを案内するためのガイドを設ける。

【００３５】

【効果】

以上のように、この考案は、ワークを、整列テーブルの上面に沿って水平に送 り出すようにしたので、ワークに落下の衝撃を与えることがなく、クラックや変 形を生じさせない。したがって、鍛造における傷や欠陥の発生が少なくなり、品 質の安定した鍛造加工を行なうことができる。

【００３６】 また、送り出したワークは、整列テーブル上に水平に並んだ状態で待機させる ことができるため、熱によるワーク同士の溶着を防止でき、各ワークを確実にハ ンドリングできる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】鍛造機のワーク自動供給装置を示す正面図

【図２】同上の平面図

【図３】実施例の整列供給装置を示す一部横断平面図

【図４】同上の熱処理炉の内部構造を示す正面図

【図５】同上のシュート出口部分を示す縦断正面図

【図６】ａは図５のVI−VI線に沿った断面図、ｂはワー
クの案内状態を示す断面図

【図７】図５のVII −VII 線に沿った断面図

【図８】実施例の作用状態を示す縦断正面図

【図９】従来例を示す一部縦断正面図

【符号の説明】

１ 熱処理炉 ２ 整列テーブル ３ シュート ５ 搬送コンベヤ ８ 丸棒 １０ 出口 １２ 停止板 １４ ワーク検出器 １５ 押し出し用シリンダ Ａ ワーク整列供給装置

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鍛造用ワークを整列状態で送り出す熱処
   理炉と、その熱処理炉より下方に設けた整列テーブルと
   の間に、出口が整列テーブルの上面に沿って水平方向に
   開口するシュートを設け、そのシュートの下面に、ワー
   クを上記整列した向きで案内する案内部を設けたことを
   特徴とする鍛造用ワークの整列供給装置。
2. 【請求項２】 上記シュートの下面を、シュートの長さ
   方向に延びる複数の丸棒を平行に配列して形成し、その
   各丸棒の周面をワークの案内部としたことを特徴とする
   請求項１に記載の鍛造用ワークの整列供給装置。
3. 【請求項３】 上記シュートの出口に、その出口を開閉
   する停止板を設け、シュートの出口の近傍に、ワークの
   検出器と、その検出器の信号によりワークをシュート出
   口から押し出す押し出し手段とを設けたことを特徴とす
   る請求項１又は２に記載の鍛造用ワークの整列供給装
   置。