JPH0544377U - 被覆アーク溶接用ガスシールドノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被覆アーク溶接における溶滴が大気の影響を
受けることなく安定した高品質の溶接金属を得る。 【構成】 被覆アーク溶接棒２の外周に配置され不活性
ガスを導く伸縮可能な筒状ノズル本体５と、筒状ノズル
本体５の先端に取付けられたシールドカップ６と、筒状
ノズル本体５の基端に設置された昇降モーター９及びワ
イヤ巻取りドラム１０とを具えており、被覆アーク溶接
においてアーク１４を大気よりシールドし溶接金属への
大気混入を防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、超高張力鋼の被覆アーク溶接に好適な被覆アーク溶接用ガスシール ドノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

被覆アーク溶接においては、図４縦断面図に示すように、ホルダー１でチャッ クした被覆アーク溶接棒２を溶融して母材２０の表面に溶接金属２１を形成して いくにあたり、溶滴２２及び溶接金属２１は被覆剤２′の燃焼，解離によって発 生する被覆ガス２３により大気からシールドされ、大気中の酸素や窒素の混入を 防ぎ酸化，窒化の少ない溶接金属２１を形成している。しかしながら、このよう な被覆アーク溶接において、被覆ガス２３が溶接技倆により不安定状態となった 場合、大気からのシールドが不完全となり、溶滴２２の酸化，窒化が起こり、ま た極めて高いじん性品質を要求する材質の場合においては、かかる不安定状態が 溶接金属２１中の酸素，窒素の増加からじん性値の低下をまねくこととなる。更 に超高張力鋼の被覆アーク溶接においては、不安定状態が生ぜず安定な溶接施工 が維持された場合でも、被覆剤２′からの発生ガスによってガスシールドすると いう技術的限界から、不活性ガスシールドされるＧＴＡＷ法で得られる溶接金属 中のガス成分量より、被覆アーク溶接で得られる溶接金属中のガス成分量がはる かに多く、このため溶接金属のじん性が劣るという問題があり超高張力鋼に対す る被覆アーク溶接適用の大きな制限となっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、このような事情に鑑みて提案されたもので、アークを不活性ガスで シールドすることによって溶滴が大気の影響を受けることなく安定した高品質の 溶接金属を得ることができ、特に高じん性を有する溶接においてはじん性低下を 起こすことなくより高いじん性を持った溶接金属を得ることができる被覆アーク 溶接用ガスシールドノズルを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

そのために本考案は、被覆アーク溶接においてアークを大気よりシールドし溶 接金属への大気混入を防止するガスシールドノズルであって、被覆アーク溶接棒 の外周に配置され不活性ガスを導く伸縮可能な筒状ノズル本体と、上記筒状ノズ ル本体の先端に取付けられたシールドカップと、上記筒状ノズル本体の基端に設 置された伸縮調整手段とを具えたことを特徴とする。

【０００５】

【作用】

本考案被覆アーク溶接用ガスシールドノズルにおいては、被覆アーク溶接棒の 周囲に配置された伸縮可能な筒状ノズル本体から導かれる不活性ガスが、先端の シールドカップからアーク発生部に対して吹き出し、被覆剤より発生するガスに 加えて不活性ガスでアークがシールドされ、大気よりアークが遮断され溶接金属 への酸素，窒素の混入が防止される。また被覆アーク溶接棒が順次溶融してゆく に伴れ筒状ノズル本体が収縮し、常に同一状態でシールドが確保される。

【０００６】

【実施例】

本考案被覆アーク溶接用ガスシールドノズルの一実施例を図面について説明す ると、図１は側面図、図２は図１のII−IIに沿った縦断面図、図３は平面図であ る。上図において、ホルダー１には、軸線に直交する向きに被覆アーク溶接棒２ がチャックされるとともに、軸線に沿いシールドガス供給チューブ３が被覆アー ク溶接棒２の位置まで延設されている。このシールドガス供給チューブ３の先端 にノズル支持台４が設置されるとともに、ノズル支持台４に被覆アーク溶接棒２ を囲繞する伸縮可能な筒状ノズル本体５が取付けられており、更に筒状ノズル本 体５の先端にシールドカップ６が付設されている。このシールドカップ６にはノ ズル支持台４との間にばね７が張装されるとともに、多数のオリフィス８が穿設 されている。またノズル支持台４の外側に昇降モーター９とそれに連結するワイ ヤ巻取りドラム１０が設置されており、このワイヤ巻取りドラム１０に一端が巻 回されたワイヤ１１がガイドローラー１２を通って筒状ノズル本体５の軸線方向 に延び、その他端がシールドカップ６に結ばれている。更にホルダー１上に昇降 スイッチ１３が付設され、その電気回路が昇降モーター９に接続されている。

【０００７】 このような装置において、被覆アーク溶接棒２の先端に発生するアーク１４は 、シールドガス供給チューブ３より供給され筒状ノズル本体５を通りシールドカ ップ６のオリフィス８より吹き出される不活性のシールドガス１５によりシール ドされる。被覆アーク溶接棒２は順次消耗しアーク１４とシールドカップ６の距 離は近くなってゆくが、消耗に合わせて昇降スイッチ１３を操作することにより 、ワイヤ１１がワイヤ巻取りドラム１０に巻取られて筒状ノズル本体５が収縮し 、常にアーク１４とシールドカップ６の距離は適切な値に調整される。なお被覆 アーク溶接棒２が消耗し尽し次の被覆アーク溶接棒２をチャックした場合は、ま た昇降スイッチ１３を操作し昇降モーター９を逆転させることにより、筒状ノズ ル本体５が伸びて被覆アーク溶接棒２の先端近傍にシールドカップ６が設置され る。

【０００８】 かくしてこのような装置によれば、被覆アーク溶接棒２の先端に発生するアー ク１４は不活性のシールドガス１５でシールドされ、溶滴が大気の影響を受ける ことなく安定した高品質の溶接金属が形成される。また筒状ノズル本体５を伸縮 することにより、常にアーク１４とシールドカップ６の距離は適切な値に調整さ れ、シールドガス１５による十分かつ有効なシールドが行われる。

【０００９】

【考案の効果】

要するに本考案によれば、被覆アーク溶接においてアークを大気よりシールド し溶接金属への大気混入を防止するガスシールドノズルであって、被覆アーク溶 接棒の外周に配置され不活性ガスを導く伸縮可能な筒状ノズル本体と、上記筒状 ノズル本体の先端に取付けられたシールドカップと、上記筒状ノズル本体の基端 に設置された伸縮調整手段とを具えたことにより、アークを不活性ガスでシール ドすることによって溶滴が大気の影響を受けることなく安定した高品質の溶接金 属を得ることができ、特に高じん性を有する溶接においてはじん性低下を起こす ことなくより高いじん性を持った溶接金属を得ることができる被覆アーク溶接用 ガスシールドノズルを得るから、本考案は産業上極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案被覆アーク溶接用ガスシールドノズルの
一実施例の側面図である。

【図２】図１のII−IIに沿った縦断面図である。

【図３】平面図である。

【図４】従来の被覆アーク溶接の施工状況を示す縦断面
図である。

【符号の説明】

１ ホルダー ２ 被覆アーク溶接棒 ３ シールドガス供給チューブ ４ ノズル支持台 ５ 筒状ノズル本体 ６ シールドカップ ７ ばね ８ オリフィス ９ 昇降モーター 10 ワイヤ巻取りドラム 11 ワイヤ 12 ガイドローラー 13 昇降スイッチ 14 アーク 15 シールドガス

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 被覆アーク溶接においてアークを大気よ
   りシールドし溶接金属への大気混入を防止するガスシー
   ルドノズルであって、被覆アーク溶接棒の外周に配置さ
   れ不活性ガスを導く伸縮可能な筒状ノズル本体と、上記
   筒状ノズル本体の先端に取付けられたシールドカップ
   と、上記筒状ノズル本体の基端に設置された伸縮調整手
   段とを具えたことを特徴とする被覆アーク溶接用ガスシ
   ールドノズル。