JPH0544283B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車両用座席などに備えられるヘツドレ
スト装置に係り、特にヘツドレスト本体がシート
バツクの上部の左右両側に設けられるステー部材
に支持されてなるいわゆる門型のヘツドレスト装
置に関し、ヘツドレスト本体を直接操作して上下
及び前後可動調節が行えるようにしたものであ
る。

〔従来の技術〕

車両用座席におけるヘツドレスト装置にはヘツ
ドレスト本体をシートバツクの上部に設けられる
左右のステー部材により両側から支持するように
したいわゆる門型形状のものがある。

ところで、このようなヘツドレスト装置として
は、実開昭58−1360号公報において、シートバツ
クフレームの上縁の左右両側にブラケツトを介し
て左右の各ステーが上下両端を固定して立設され
て、この各ステーにはヘツドレストのフレーム側
に固着された左右のサポートが上下方向に摺動自
在に嵌着され、そして一方のステーとサポートと
の間には任意位置での係合、解除を自由に行い得
るロツク装置が介装されてこのロツク装置の操作
部材をシートバツクの上面とヘツドレストの下面
との間に位置して備え、この操作部材によりロツ
ク装置を解除操作することによりヘツドレストの
高さを調整できるように構成したものが提案され
ている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしこの構成のヘツドレスト装置はヘツドレ
ストをシードバツクに対して両側にて支持する左
右のステーとサポートのうち一方側のステーとサ
ポートとの間にのみロツク装置を介装し他方側の
ステーとサポート間は摺動自在の片側ロツクであ
るため摺動自在側が常時ヘツドレストの荷重によ
り下方へ摺動即ち落ち込む状態となつてヘツドレ
ストは全体的に横方向に傾斜した状態となり、そ
のため上下作動に円滑さが欠ける不具合があり、
またロツク装置を操作する操作部材はヘツドレス
トの下側に配されるのでヘツドレストの下位置状
態ではシートバツクの上面とヘツドレストの下面
との間隔が狭く操作しににくなり、またヘツドレ
ストの上位位置では操作部材は外部に表出するの
で外観を損うなどの不具合がある。

本発明は斯る点に鑑みてなされたものでヘツド
レストの上下作動を円滑にし、ロツク装置の操作
部材の操作性を向上し、更に、該操作部材の見栄
えを向上するようにしたヘツドレスト装置を提供
することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記の問題を解決するためにヘツドレ
スト本体がシートバツクの上部の左右両側に設け
られるステー部材に支持されてなるヘツドレスト
装置において、ヘツドレスト本体のフレームに貫
通されフレームに対して相対的に回転される管状
軸と、この管状軸およびヘツドレストフレームの
間に備えられ相対的回転の調節を行う回転ロツク
機構と、両端部に幅ａと厚みｂとの関係ａ＞ｂと
した係合部が形成され管状軸に両端係合部が突出
された状態で回動自在に挿通される支持軸と、こ
の支持軸および上記ヘツドレストフレームの間に
備えられヘツドレストフレームの所定範囲以上の
回転にて支持軸を回動させる連動機構と、両側ス
テー部材に設けられ支持軸の両端係合部が幅方向
にて係合される係合段部を上下方向に所要間隔で
複数形成すると共にこの係合段部間を支持軸の両
端係合部の厚みよりやや幅広の溝孔により連設し
た係合支持部材とから構成したものである。

〔作用〕

以上のような構成によれば、ヘツドレスト本体
は直接回動操作することにより回転ロツク機構に
よるシートバツクに対する前後位置の調節が行
え、また、ヘツドレスト本体を押し上げると支持
軸は両端係合部がステー部材に設けた支持係合部
材の係合段部の上縁に摺接されるため回動されて
両端係合部が係合段部間の係合溝に厚み方向にお
いて対応する状態となつてその溝孔を通過して次
段の係合段部に係合することとなる。このように
してヘツドレスト本体を押し上げることにより支
持軸はステー部材の支持係合部材に対して順次上
方へ係合移動できてヘツドレスト本体を高位置に
設定することができる。

またヘツドレスト本体を下げる場合はヘツドレ
スト本体を前後の調節範囲以上に回転することに
より支持軸が連動機構を介して回動されてその両
端係合部が支持係合部材の溝孔に厚み方向におい
て対向され、この状態でヘツドレスト本体を押し
下げることにより支持軸の係合部が係合溝を通過
してヘツドレスト本体は下動されることになり高
さを低下させることができる。

このようにしてヘツドレスト本体を直接操作す
ることによりその前後位置及び高さの調節を行う
ことができる。

〔実施例〕

以下本発明の一実施例を図面を参照して説明す
る。

図においてＨは車両用座席Ｓのシートバツク
Sbの上部に備えられるヘツドレスト装置の全体
を示し、ヘツドレスト本体１を両側からステー部
材２ａ，２ｂにより後述する支持機構を介して支
持して構成される。３はヘツドレスト本体１のフ
レーム即ちヘツドレストフレームで前面部、上面
部及び後面部からなるパネル４の両側部のやや内
側により側面板５ａ，５ｂを固着して構成され、
この周面をクツシヨン材６により囲撓すると共に
表皮７により被覆してヘツドレスト本体１を形成
する。

ヘツドレストフレーム３の両側面板５ａ，５ｂ
には対向して軸孔８ａ，８ｂが穿設されてフラン
ジ付きブツシユ９ａ，９ｂを嵌着し、このブツシ
ユ９ａ，９ｂを介して両側面板５ａ，５ｂに管状
軸１０を貫通軸支してあり、この管状軸１０の一
端突出部１０ａと一方の側面板５ａとの間にはラ
チエツト方式の回転ロツク機構１１が備えられて
いる。この回転ロツク機構１１は管状軸１０の一
端突出部１０ａに固定される歯板１２と一方の側
面板５ａの外面に歯板１２の歯部と対応して枢着
される爪片１３とからなり、歯板１２の歯部は前
方へ傾斜する複数の追歯１４とこの追歯１２の前
端と所要間隔をおいて対応する突起部１５とから
構成されている。また爪片１３はほぼコ字状で一
端部１３ａが歯板１２の最前端の追歯の歯溝に係
合した状態で他端部１３ｂが突起部１５にほぼ対
応するように形成されており他端部１３ｂ側の屈
曲部においてピン１６により側面板５ａに枢着さ
れて一端部１３ａ側に植立したピン１７と側面板
５ａに突設した突片１８との間にトグルスプリン
グ１９が上述の枢着部近傍を通過して架張され、
常時一端部１３ａが歯板１２の追歯の歯溝に歯合
するように回動偏奇されている。

また管状軸１０の両端突出部１０ａ，１０ｂの
端末には四辺形状のスライダ２０ａ，２０ｂが固
定されており、この管状軸１０にこれより長い支
持軸２１が回動可能に挿通され、この両端部には
幅ａと厚みｂとの関係がａ＞ｂとなる断面半円形
状の係合部２１ａ，２１ｂが形成されている。ま
たこの支持軸２１の中間部にはピン２２が突設さ
れて管状軸１０に周方向に長く形成された長孔２
３から突出されている。一方管状軸１０に長孔２
３から所要距離だけ離れた部位にブラケツト２４
が突設され、このブラケツト２４とピン２２との
間において管状軸１０に捩りコイルスプリング２
５が巻装されて一端はピン２２に他端はブラケツ
ト２４に係合され支持軸２１に対して一方向に回
転偏奇、即ち両端係合部２１ａ，２１ｂの円弧面
２１a₁，２１b₁が下向きに位置するように回転偏
奇させており、またブラケツト２４と一方の側面
板５ａとの間にリターンスプリング２６が架張さ
れている。

更に他方の側面板５ｂの内面にはピン２２の前
側に所要間隔を置いて連動機構たるフツク２７が
突設されている。

また車両用座席ＳのシートバツクSbの上部左
右に対峙して固定されるステー部材２ａ，２ｂの
内側部には上述した管状軸１０の両端突出部１０
ａ，１０ｂの端末に固定されたスライダ２０ａ，
２０ｂが上下方向に摺動自在に係合される係合支
持部材である断面〓状のアウタスライダ３０ａ，
３０ｂが固着され、このアウタスライダ３０ａ，
３０ｂには中央部上下方向に上述した支持軸２１
の両端係合部２１ａ，２１ｂが厚みｂ方向に通過
できる溝孔たる連通溝３１ａ，３１ｂが形成され
てこの連通溝３１ａ，３１ｂの一側縁に係合部２
１ａ，２１ｂが幅ａ方向に係合される複数の切り
欠き状の係合段部３２ａ、〔３２a₁，３２a₂，３
２a₃〕、３２ｂ、〔３２b₁，３２b₂，３２b₃〕を所
要間隔で形成してあり、この係合段部３２ａ，３
２ｂは上縁が内方へ傾斜した鋸歯状に形成されて
いる。また連通溝３１ａ，３１ｂの下部は支持軸
係合部２１ａ，２１ｂが幅ａ方向に通過できる幅
に形成され最下段の係合段部３１ａ，３１ｂの下
側は内方へ傾斜されている。

そしてこのステー部材２ａ，２ｂに固着された
アウタスライダ３０ａ，３０ｂに下側からヘツド
レスト本体１側の管状軸１０に固定したスライダ
２０ａ，２０ａを挿入すると共に支持軸２１の係
合部２１ａ，２１ｂをアウタスライダ３０ａ，３
０ｂの連通溝３１ａ，３１ｂの下口側から挿通し
係合段部３２ａ，３２ｂに係合する。

この状態でステー部材２ａ，２ｂをシートバツ
クSbの上部両側部に固着することによりヘツド
レスト本体１がシートバツクSbの上部に装着さ
れ、そしてステー部材２ａ，２ｂをロールバー３
３ａ，３３ｂで覆うことにより第７図に示す車両
用座席Ｓが得られる。以上のように構成されるヘ
ツドレスト装置Ｈの動作を説明する。

ヘツドレスト本体１はステー部材２ａ，２ｂに
固着したアウタスライダ３０ａ，３０ｂの係合段
部３２ａ，３２ｂの１つに支持軸２１の両端係合
部２１ａ，２１ｂがその幅ａ方向において係合さ
れ所望の高さに保持されこの状態でシートバツク
Sbに対して最後方に位置する場合、回転ロツク
機構１１は第２図に示すように爪片１３の一端部
１３ａが歯板１２の追歯１４の最後部の歯溝に噛
合してヘツドレストフレーム３即ちヘツドレスト
本体１は前方からの押圧力に抗してその位置に保
持されている。

この状態においてヘツドレスト本体１を前方へ
押圧または引くように回動させるとヘツドレスト
フレーム３はステー部材２ａ，２ｂに支持された
状態にある管状軸１０を軸として前方へ回動さ
れ、このため側面板５ａに枢着されている爪片１
３は前方へ移動することになり、そのため爪片１
３の一端部１３ａは歯板１２の前方の追歯１４の
歯溝に順次噛合され、この噛合によりヘツドレス
トフレーム３は前方へ順次回動した状態で保持さ
れることになり、ヘツドレスト本体１はシートバ
ツクSbに対して前方位置へ移動される。このよ
うにしてヘツドレスト本体１は後方より前方へ変
位されて着座者の頭部との間隔を任意に調節する
ことができ、この状態で前側より衝撃が加わつて
も歯板１２と爪片１３の噛合によりこれを確実に
受け止めることができる。

またこの状態においてヘツドレスト本体１を持
ち上げると支持軸２１はその両端係合部２１ａ，
２１ｂの水平面２１a₂，２１b₂がステー部材２
ａ，２ｂ側のアウタスライダ３０ａ，３０ｂの係
合段部３２ａ，３２ｂの傾斜上縁３２a₁，３２b₁
に当接することにより捩りコイルスプリング２５
の偏倚力に抗して回転され、そのため係合部２１
ａ，２１ｂはその厚みｂ方向において連通溝３１
ａ，３１ｂに対向することになり、従つてこの連
通溝３１ａ，３１ｂを通過し、次段の係合段部３
２ａ，３２ｂに達すると支持軸２１は捩りコイル
スプリング２５の弾力により回動されて係合部２
１ａ，２１ｂはこの係合段部３２ａ，３２ｂに係
合される。このようにしてヘツドレスト本体１を
持ち上げることにより順次上方へ移行することが
できてヘツドレスト本体１を高位置に設定するこ
とができる。

またこのようにして高位置に設定されたヘツド
レスト本体１を下げるにはヘツドレスト本体１を
回動調節範囲の最前方位置より更に前方へ押圧す
ることによりヘツドレストフレーム３を回動調節
範囲より更に大きく回動させると、他側面板５ｂ
に突設したフツク２７が支持軸２１に突設したピ
ン２２に当接し、このためピン２２は押圧されこ
れにより支持軸２１は管状軸１０に対して回動さ
れて両端部の係合部２１ａ，２１ｂがその厚みｂ
方向においてアウタスライダ３０ａ，３０ｂの連
通溝３１ａ，３１ｂに対向され、このため支持軸
２１はアウタスライダ３０ａ，３０ｂに対してロ
ツクが解除され連通溝３１ａ，３１ｂに沿つて下
方へ移動することができる。

従つて、ヘツドレスト本体１はステー部材２
ａ，２ｂに対して下方位置へ移動でき所望の高さ
においてヘツドレスト本体１から手を離すとリタ
ーンスプリング２６によつてヘツドレストフレー
ム３は復帰回動され即ち最後部まで戻り、このた
めフツク２７による支持軸２１のピン２２の押圧
が解除され支持軸２１は捩りコイルスプリング２
５の偏倚力により復帰回動されて両端部の係合部
２１ａ，２１ｂがその幅ａ方向においてアウタス
ライダ３０ａ，３０ｂの係合段部３２ａ，３２ｂ
に係合されヘツドレスト本体１はステー部材２
ａ，２ｂに対して低位置にロツクされることにな
る。

このようにしてヘツドレスト本体１の高さを任
意に設定することができる。

〔発明の効果〕

以上のように本発明によればヘツドレスト本体
を回動することによりシートバツクに対する前後
位置を変えることができ、またヘツドレスト本体
を持ち上げることによりその高さを高位置に設定
することができると共にヘツドレスト本体を前方
へ回動即ちフルストロークまで回動することによ
りステー部材に対するロツクが解除され下方へ移
動できてその高さを低位置に設定することができ
るように構成したので従来のロツク解除レバーな
どをヘツドレスト本体の下側に配するものに比
し、操作性が著しく向上され着座者は着座状態の
まま振り向くことなくヘツドレスト本体の前後及
び上下位置を調節することができてヘツドレスト
本体を所望する位置に確実に設定でき、特に本発
明においてはヘツドレストを高位置に調整する場
合は単に押し上げるだけでよいので着座状態のま
ま片手で操作が可能となる。しかもロツク機構は
ヘツドレスト本体に内蔵されレバー、ノブなどの
操作部分を外面側に備える必要がないので外観が
損われることなく、しかも安全性が一層向上され
るなどの効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるヘツドレスト装置の一実
施例のパネルを省略した分解斜視図、第２図は第
１図においてパネルを取り付けた状態の−線
断面図、第３図は同−線断面図、第４図はヘ
ツドレスト本体とステー部材との係合状態におけ
る横断平面図、第５図は同、一部分の縦断正面
図、第６図は同、係合部分の説明図、第７図は本
発明によるヘツドレスト装置を備えた車両用座席
の一例の斜視図である。 図中１はヘツドレスト本体、２ａ，２ｂはステ
ー部材、３はヘツドレストフレーム、１０は管状
軸、１１は回転ロツク機構、２１は支持軸、２１
ａ，２１ｂは係合部、２７は連動機構としてのフ
ツク、３０ａ，３０ｂは係合支持部材としてのア
ウタスライダ、３１ａ，３１ｂは溝孔たる連通
溝、３２ａ，３２ｂは係合段部である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ヘツドレスト本体がシートバツクの上部の左
   右両側に設けられるステー部材に支持されてなる
   ヘツドレスト装置において、 上記ヘツドレスト本体のフレームに貫通され、
   該フレームに対して相対的に回転される管状軸
   と、 該管状軸および上記ヘツドレストフレームの間
   に備えられ相対的回転の調節を行う回転ロツク機
   構と、 両端部に幅ａと厚みｂとの関係をａ＞ｂとした
   係合部が形成され、上記管状軸に上記両端係合部
   が突出された状態で回動自在に挿通される支持軸
   と、 該支持軸および上記ヘツドレストフレームの間
   に備えられ上記ヘツドレストフレームの所定範囲
   以上の回転にて上記支持軸を回動させる連動機構
   と、 上記両側ステー部材に設けられ上記支持軸の両
   端係合部が幅方向にて係合される係合段部を上下
   方向に所定間隔で複数形成すると共に該係合段部
   間を上記支持軸の両端係合部の厚みよりやや幅広
   の溝孔により連設した係合支持部材とを有してな
   るヘツドレスト装置。