JPH054372B2

JPH054372B2 -

Info

Publication number: JPH054372B2
Application number: JP63214128A
Authority: JP
Inventors: Kimio Hirakawa; Nobuhiko Mizuta; Ryuzo Azuma; Hiroshi Yamashita
Original assignee: Onoda Cement Co Ltd
Current assignee: Onoda Cement Co Ltd
Priority date: 1988-08-29
Filing date: 1988-08-29
Publication date: 1993-01-19
Also published as: JPH0262827A

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野本発明は、イネ科植物ジザニアラテイフオリ
ア（Zizania latifolia）（和名まこも；以下
「まこも」と記す）の菌えいからエキスを抽出す
る方法及びそのエキスを有効成分として含む浴用
剤に関する。

従来の技術まこもは、池や川などに自生する多年生植物で
あり、これに黒穂病菌の一種の糸状菌ウステイラ
ーゴエスカレンタ（Ustilago esculenta）が寄
生すると、茎基部に菌えいを形成する。この菌え
いは黒穂胞子層の形成程度によつてマコモズミ型
とマコモタケ型がある。中国や台湾に自生または
植栽されているまこもの菌えいは、肥大が著しく
「たけのこ」のようになるマコモタケ型である。
これを〓白と称している。この菌えいは野菜とし
て食用に供された他、浴用剤としても使用しうる
ことが知られている。

従来の入浴法はまこもの生鮮粉末約50gを洗面
器にとり、60〜70℃のやや熱い湯約1lに懸濁し、
40℃前後の湯に入れて十分攪拌するか、厚手のフ
ランネル袋にまこもの生鮮粉末を入れこの袋を浴
槽中に入れ入浴するものである。

まこも入浴法は自然治癒力を高め、浄血作用を
有することが知られている（美容健康浴 76頁、
陳天麗編著、得利書店、香港1985年）。まこも入
浴法によつて、体を暖めると、冷え症を除き、血
液の循環を促進し、凝つた筋肉、血管及び神経を
ほぐす効果があることが知られている。特に神経
痛、腰痛、リユウマチ痛に対して効果がある。ま
た、特に女性には、冷え症、更年期障害に対して
効果がある。更に、皮膚に光沢を与え美容的な効
果もある。これは浄血作用により皮膚内部の汚物
が清掃されるためである。

発明が解決しようとする課題しかしながら、まこもの生鮮粉末そのままでは
繊維質は溶けないで浴槽中に残る上、生鮮粉末に
は保存性がないので市場に製品として流通するに
は適していなかつた。

生鮮粉末の代わりに乾燥粉末あるいはエキスと
することも考えられる。しかし、乾燥粉末を使用
しても不溶性の繊維質の問題は解決せず、入浴用
水としても、清浄な水を好む日本人には受容しが
たい。また、エキスにして冷暗所で保存しても、
２〜３ケ月保存すると、発酵臭を呈するようにな
り、次第に刺激臭を発するようになる。従つて、
いずれも保存性にかける欠点があつた。

課題を解決するための手段本発明は第１に、保存性に優れたエキスを提供
することを目的とする。

第２に、浴用剤の有効成分として使用するのに
適したエキスを提供することを目的とする。

第３に、エキスを有効成分として含む使用上便
利であり、入浴効果を高める浴用剤を提供するこ
とを目的とする。

上記の目的は下記によつて達成することができ
る。

抽出工程の前にまこも菌えいを水蒸気で蒸すこ
とによつて、保存性に優れたエキスを得ることが
できる。さらに、具体的にはまこもの菌えい温度
を70〜100℃に保ち、30分間〜１時間蒸した後、
そのまままたは所望により乾燥し、水または親水
性溶媒でエキスを抽出する。

原料のまこもは生鮮または乾燥のいずれであつ
てもよく、粉末または細切が適当である。

前処理時のまこも菌えい温度は70〜100℃、好
ましくは80〜100℃、特に好適なのは90〜95℃で
ある。

蒸した菌えいをそのまま抽出工程に供するか、
または乾燥した後抽出工程に供するかは抽出工程
の条件と勘案の上、作業能率、経済性等の点から
決定されるべきである。

前記親水性溶媒としては、アルコールまたはグ
リコールを用いることができるが、親水性溶媒で
あれば広く用いることができる。親水性界面活性
剤の水溶液（例えばポリオキシエチレンノニルフ
エニルエーテル１％水溶液）であつてもよい。好
ましいのは、低級アルコール（例えば、エタノー
ル、プロパノール）、低級グリコール（例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
チレングリコール）であるが、エタノール、ブチ
レングリコールが特に好ましい。

抽出条件は、粉末を用いた場合常温で７日間程
度であるが、加温すれば抽出時間を短縮すること
ができる。加温する場合には、抽出溶媒の沸点以
下で行わなければならないことは言うまでもな
い。50℃程度に加温した場合には、１日で十分に
抽出することができる場合もある。これらの条件
は、原料、抽出溶媒等を勘案して決定されるべき
である。

本発明の方法によつて製造されたエキスは、保
存性に優れている上、薬草香と樹脂香を混合した
ようなほのかな苦味と甘味とを併せ持つ東洋的な
ハーブ様香気を有し、また菌えいを前処理せずに
水または親水性溶媒で抽出したエキスに比べ、香
気とコクに優れている。また、この香気は他の天
然香料と混合しても損なわれることはなく、調香
上の支障もみられない。

本発明方法によつて製造されたエキスは単独で
は勿論、他の添加剤とともにエキスを有効成分と
して含有して成る浴用剤とすることによつて、使
用上有利な浴用剤とすることができる。本発明の
浴用剤は、本方法によつて製造されたエキスの
他、他の生薬エキス、香料、色素、または一般的
に使用されている添加剤を含むことができる。こ
れらを配合して所望の浴用剤を調製することがで
きる。

例えば、既知の浴用効果のあるカミツレ、チン
ピ、トウキ等の生薬エキスと混合して、浴用剤と
することができる。

また、芒硝、重曹等既知の浴用効果のある無機
塩類と混合することによつて、作用の相加効果を
得ることができる。

さらに天然香料、合成香料と混合調香し、入浴
の精神的効果を高めることによつて商品価値を高
めることもできる。特に他の生薬エキス、香料、
無機塩混合系となした浴用剤は優れた特性を有す
る。

本発明の浴用剤は、液状、粉状、顆粒状、錠剤
などの各種の剤形に慣用の方法で製造することが
できる。

本発明の浴用剤に使用するエキス量は、特別に
制限されることなく適宜有効量を使用することが
できるが、例えば、0.2〜３％程度の量で使用す
ることができる。

本発明の浴用剤は、不溶性異物を含まず身体を
暖める作用に優れ、血液の循環を改良し、体の老
廃物を除去し、美容的効果も有する。

以下に実施例ををあげて本発明を更に詳しく説
明する。

実施例実施例１台湾産まこも菌えいを細切し、凍結乾燥した。
その菌えい100gを蒸し器で１時間蒸した。この
時のまこも菌えいの温度は90〜95℃であつた。次
いで蒸した菌えいにエタノール500mlを加え、常
温で７日間抽出を行つた。抽出液をろ過し、褐色
透明なエキス300mlを得た。

得られたエキスを、冷暗所で２ケ月保存し、そ
の臭いの変化を検討したところ、保存前後におい
て甘味を帯びた芳香は変わることがなく、発酵臭
を呈することはなかつた。

得られたエキスの香料との調香性を検討したと
ころ、調香性は良好であつた。

比較例１台湾産まこも菌えいを細切し、凍結乾燥したも
のをそのままエタノールによつて実施例１と同様
に抽出したエキスを、冷暗所で２ケ月保存し、そ
の臭いの変化を検討したところ、２ケ月後には酸
敗臭を呈した。

得られたエキスの香料との調香性を検討したと
ころ、調香性は不良であつた。

実施例２台湾産まこも菌えいを細切し、蒸し器で１時間
蒸した後、熱風乾燥し、乾燥菌えい20部に、１，
３−ブチレングリコール100部を加え、７日間常
温で抽出を行つた。抽出液をろ過し、50部のエキ
スを得た。

比較例２台湾産まこも菌えいを細切し、凍結乾燥したも
のをそのまま、１，３−ブチレングリコールによ
つて実施例２と同様に抽出したエキスを、冷暗所
で２ケ月保存し、その臭いの変化を検討したとこ
ろ、２ケ月後には酸敗臭を呈した。

試験例１実施例１で得たエキスについて、次の急性皮膚
刺激性試験及び光毒性試験を行つた。

［急性皮膚刺激性試験］ OECDガイドラインNo.404急性皮膚刺激試験
法（1981年）によつて試験を行つた。３匹の白色
ウサギを用い、エキス0.5mlを皮膚と４時間接触
させた。３匹中２匹に軽微な発赤が認められた
が、24時間後には完全に消失した。

この結果よりエキスは皮膚に対して、刺激性は
ないと判定した。

［光毒性試験］６匹の白色ウサギの皮膚に、エキス0.1mlを塗
布し、塗布部位に10J／cm²の紫外線を照射した。

６匹全部において紫外線照射の前後で変化は見
られなかつた。

この結果より、エキスに光毒性はないと判定し
た。

次いで、エキスのエタノールを留去した濃縮物
について変異原性試験を行い、安全性について検
討した。

［変異原性試験］厚生省のガイドラインに準拠し、Salmonella
typhimurium変異株TA1535，TA1537，TA98，
TA100及びEscherichia coli変異株WP uvr Ａを
用いてエイムス試験を行つた。代謝活性成分Ｓ−
9mixとしてAroclor誘導ラツト肝臓ミクロゾーム
フラクシヨンを使用した。プレート当たり50.0μg
から5000.0μgまで５段階についてＳ−9mixの添
加及び無添加について試験した。

Ｓ−9mixの添加、無添加に拘わらず、変異原
性を示さなかつた。

試験例２実施例１で得たまこも菌えいエキス10mlを、40
℃の湯約200lに加え、入浴に供した。実験は健常
成人男子３人について、入浴直後にセンサーを装
着し、入浴直後から100分までの左下肢膝関節後
部大腿部深部体温を深部体温計（仁丹テルモ製、
コアテンプCTM−205）を用いて測定した。実験
時の室温は24.5〜25.5℃であつた。入浴は１分30
秒の全身浴を５分間隔で２回行い、入浴後はタオ
ルで十分に水気をとつた。

比較のために本発明のまこも菌えいエキスの代
わりに同量の水を加えた湯を用いて同様の試験を
行つた。以上の結果を第１図に示した。図中−Γ
−は本発明のエキス、−●−は水を用いた場合で
ある。

温度が安定した60分後の体温を比較すると、本
発明のエキスを用いた場合は36.4℃、水では35.5
℃であつた。即ち、本発明のエキスでは浴用剤を
使用しなかつた場合に比べると、0.9℃高値であ
り、身体を暖め、血液の循環を改良する作用が認
められた。

実施例３まこもエキス２重量部と重曹96.9重量部及び適
量の色素を香料をミキサーで十分混合し、粉状浴
用剤を製造した。

この浴用剤25gを、40℃の湯約200lに加え、入
浴に供したところ身体を暖め、血液の循環を改良
する作用が認められた。

発明の効果本発明の方法により製造したエキスは、不溶性
異物を含まず保存性に優れている。

本発明の方法により製造したエキスを使用した
浴用剤は、身体を暖め、血液の循環を改良する作
用に優れているので、自然治癒力を高めることが
期待できる。

また、本発明の浴用剤によつて、体を暖める
と、冷え症を除き、血液の循環を促進する効果が
期待できる。特に神経痛、腰痛、リユウマチ痛の
緩解にも寄与するものと考えられる。更に、身体
を暖め、血液の循環を改良することによつて、女
性の冷え症、更年期障害の治療にも効果が期待で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の方法により製造したエキス
を浴用剤として用いた場合（試験例２）の左下肢
膝関節後部大腿部深部体温の変化を示すグラフで
ある。

Claims

【特許請求の範囲】１ジザニアラテイフオリア（Zizania
latifolia）の菌えいを、菌えい温度70〜100℃で
30分間〜１時間蒸して前処理を行つた後、そのま
ままたは所望により乾燥し、水または親水性溶媒
でエキスを抽出する方法。２前記親水性溶媒がエタノールまたはブチレン
グリコールである、菌えいからエキスを抽出する
請求項１記載の方法。３請求項１記載の方法により製造したエキスを
有効成分として含むことを特徴とする浴用剤。