JPH0541917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、万年筆や製図用筆記具におけるイン
キタンクにインキを注入充填する際に用いられる
インキ注入用容器に関し、特に、これのノズル部
の改良に関するものである。

（従来の技術とその問題点） 従来、万年筆や製図用筆記具においては、その
インキタンクに収容されたインキが消費される
と、このインキタンクを筆記具本体内部より取り
外し、インキ注入用容器でもつてインキを再注入
するという方式のものがある。

かようなインキ注入用容器は一般に、本体が外
方よりの押圧に対して変形可能となる様樹脂等よ
り構成され、内部には適宜組成のインキが充填さ
れ、またその上部には、インキタンク開口部内に
挿通可能なインキ注入の為のノズル部を有してい
るものであるが、このものによると、実際にイン
キタンク内に前記ノズル部を挿通させてインキを
注入する際、インキタンク内部に残留しているイ
ンキによつてタンク内面には膜が形成されている
こともあり、この膜によつて注入時の空気が逃げ
場を失い、この状態で更にインキの注入作業が続
行されると、次第に前記膜は上方に移動してイン
キが完全に満たされる以前にその膜はインキタン
ク開口部に到達して泡となり、その結果、開口部
近傍をインキで汚損するばかりかインキをインキ
タンク内に規定量注入できず、もつて筆記距離を
著しく低下せしめるという不具合を有しているも
のであつた。

そもそもこの様な不具合は、インキ組成物にお
ける粘度や表面張力等の諸物性及びインキタンク
の材質やその径寸法を鑑みた上で膜の形成を阻止
し、これを解決せんとする技術的アプローチも一
つには考えられるが、上記不具合を完全に払拭す
るには至らず自ずと限界があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案はこの様な事情に基づきなされたもの
で、インキ注入用容器に於けるノズル部に簡単な
工夫を施すことによつて以上の不具合を解消せん
とするものである。

即ち本考案は、内部にインキを収容すると共
に、上部には該インキをインキタンクに注入する
ためのノズル部を備えたインキ注入用容器におい
て、前記ノズル部の外側長手方向に空気交換用溝
を設けたことを特徴とするインキ注入用容器に於
けるノズル構造を要旨とするものである。

（作用） 本考案によれば、上記要旨の如く、インキ注入
用容器に於けるノズル部の外側長手方向に空気交
換用溝を設けた為、該ノズル部をインキタンクの
開口部内に挿通させインキを注入充填するに際し
ては、タンク内面にインキによる膜が形成されて
いてもインキ注入時におけるタンク内の空気が空
気交換用溝を通つて外部に放出されることから、
膜の上昇に伴つてインキタンク開口部に泡が発生
することを極力防止でき、よつて付近を汚染した
り、インキ充填量不良による筆記距離低下といつ
た種々の不具合が解消されるものである。

（実施例） 以下、本考案を添付図面に示す実施例に基づき
詳細に説明する。

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示すもの
で、参照符号１は、外方よりの押圧に対して変形
可能な可撓性を有する樹脂等の適宜材質よりなる
本体２と、該本体２上部に備えられたノズル部３
とから成るインキ注入用容器であつて、前記本体
１内部には顔料系、染料系を問わず適宜組成より
なるインキが収容されている。前記ノズル部３の
外側長手方向には、その全長にわたつて、第２図
にその横断面をもつて示す如く空気交換用溝３が
設けられており、従つて、実際にこのインキ注入
用容器１をもつてインキタンク４内にインキを注
入充填するに際しては、第３図に示す如く、ノズ
ル部３をインキタンク４の開口部４ａに挿通さ
せ、容器の本体側壁（図示せず）を手で適度に押
圧してやれば内部のインキ５はノズル孔３ｂを通
つてインキタンク４内に注入され、その規定量支
障無く充填できるわけである。即ち第４図に示す
通り、インキタンク４内のインキ５は、ノズル部
３の空気交換用溝３ａ内部まではその表面張力や
粘度そして溝３ａの巾の関係から完全に浸透しな
いもので、常に空気交換用溝３ａの存在が保証さ
れる結果、インキ注入時に発生する空気がこの空
気交換用溝３ａを通つて外部に放出される為所期
の目的を達成し得るわけである。

従つて、本考案における空気交換用溝の巾は、
インキ膜の浸透性を考慮してあまり大きく設定し
ない方が好ましく、また、ノズル部をインキタン
クに完全に挿通した際、そのノズル部における空
気交換用溝の一端はインキタンク開口部よりも上
方に存在しているものの方が望ましい。また、こ
の溝はノズル先端から根本にまで形成されている
ことが好ましいが、インキタンクへのインキ注入
時に、インキタンクの最小内径部分（一般的には
開口部）に位置することが可能であれば良い。

本考案におけるインキ注入用容器のノズル構造
については、上記実施例に示す以外に、例えば第
５図にその横断面を示す如く、異形断面１３とし
たり、また第６図に示す如く単純な筒体としての
ノズル部２３に空気交換用溝２３ａを設けた筒状
部材を被覆してもよいなど種々の態様を採用し得
るものであつて、要はインキ注入のための機能を
もつたノズル部の外側に空気が逃げるための溝が
設けてあればよいわけである。

（考案の効果） 叙上の如く本考案は、内部にインキを収容する
と共に、上部には該インキをインキタンクに注入
するためのノズル部を備えたインキ注入用容器に
おいて、前記ノズル部の外側長手方向に空気交換
用溝を設けたので、インキタンクに対するインキ
の注入に当たつては空気の混入により泡などが生
じて手等を汚すことが極力防止でき、また、イン
キタンクに必要量のインキがスムースに充填でき
るなど優れた長所を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるインキ注入用容器の一例
を示す斜視図、第２図は第１図に於ける−線
横断面図、第３図はインキ注入時の状態を示す要
部縦断面図、第４図は第３図に於ける−線横
断面図、第５図及び第６図は第２図に相当する他
の実施例を示す横断面図である。 １……インキ注入用容器、２……本体、３，１
３，２３……ノズル部、３ａ，１３ａ，２３ａ…
…空気交換用溝、４……インキタンク、５……イ
ンキ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部にインキタンクを収容すると共に、上部に
   は該インキをインキタンクに注入するためのノズ
   ル部を備えたインキ注入用容器に於けるノズル構
   造において、前記ノズル部の外側長手方向に前記
   インキタンクへの挿通部分から非挿通部分に連通
   するインキタンク空気交換用溝を設けたことを特
   徴とするインキ注入用容器に於けるノズル構造。