JPH0541527A - 電子流制御素子 - Google Patents

電子流制御素子

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JPH0541527A
JPH0541527A JP19453391A JP19453391A JPH0541527A JP H0541527 A JPH0541527 A JP H0541527A JP 19453391 A JP19453391 A JP 19453391A JP 19453391 A JP19453391 A JP 19453391A JP H0541527 A JPH0541527 A JP H0541527A
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JP
Japan
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electrons
traveling
electrode
electron
flow control
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JP19453391A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Mizushima
宜彦 水島
Kazutoshi Nakajima
和利 中嶋
Toru Hirohata
徹 廣畑
Takashi Iida
孝 飯田
Sadahisa Warashina
禎久 藁科
Kenichi Sugimoto
賢一 杉本
Tomoko Suzuki
智子 鈴木
Hirobumi Suga
博文 菅
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Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、極低温ないし極微細構造を要せず
して、すなわち室温において実用的な電子管と等価な動
作をする半導体素子を可能とするものである。 【構成】 半導体媒質(1)には、陰極(2)及び陽極
(3)が対向して設けられ、いずれも金属薄膜などの導
電性材料を、真空蒸着等の方法で形成したものである。
この陰極(2)から外部電源(4)によって電気的に電
子を注入し、半導体媒質(1)中に非平衡電子(11)
を発生させる。このとき。両電極間(2、3)の電界強
度を数kV/cmに制御することによって、室温で半導
体電子弾道素子を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子流制御機能を有す
る半導体素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体はすべて、その内部を走行
する電子の格子フォノンや電子同志等による散乱が多い
ため、その散乱緩和時間(平均自由時間)はきわめて短
く(たとえば10-12 秒)、電子のドリフト運動(速
度)は、この散乱緩和時間によって決まる移動度と外部
電界強度によって制約されている。さらに数kV/cm
以上の強電界のもとでは、もはや電界強度を強くしても
伝導帯での谷間散乱によってドリフト速度は飽和し、一
定の値となる(たとえば107 cm/秒)。電子のドリ
フト運動を利用した、すべての半導体素子は、このよう
な概念を設計の基本としている。
【0003】一方、三極管など電子管内における電子
は、その空間においては実質的に散乱を受けずに、外部
電磁界によってのみ制御されるので、半導体内の電子と
は異なる特別の性質を持つ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体内部において、
上記電子管のような特性を実現するには、極低温及び超
高純度として、電子の散乱をできる限り減らす必要があ
るが、それでも平均自由行程(散乱緩和時間内にドリフ
ト走行する距離)が1μm以下であるため、制御電極は
じめ素子の寸法は極微細構造を必要とするほどの大きさ
となり、特殊な場合しか実現できないものである。現
に、実用化されている素子は無い。
【0005】本発明では、これらの既往の常識を打破
し、半導体内において従来よりも極めて長い電子の散乱
緩和時間、ないし平均自由行程を実現する手段を発見し
たことにより、極低温ないし極微細構造を要せずして、
すなわち室温において、実用的な、電子管と等価な動作
をする半導体素子を可能とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子流制御
素子は半絶縁性のIII-V族化合物半導体に設けられた導
電性電極を等価陰極とし、これと対向して設けられた導
電性電極を等価的な陽極とし、半導体内の等価陰極端近
傍に非平衡電子を発生させる手段を有し、等価陰極と等
価陽極との間隔が、弱電界時の電子の平均自由行程より
充分長い1μm程度以上に選ばれ、これらの電極間に外
部からバイアス電界を与える手段を有し、その電界強度
が、外部から、電子の走行方向に対して、垂直な方向に
与えられた磁界によって、電極間電流が急減することが
確認できるような領域に設定されてあり、これによっ
て、電子の散乱緩和時間が長くなり、その平均自由行程
が電極間走行距離以上になされた状態が実現されたこと
が特徴である半導体媒質から構成され、これに電子の走
行状態ないし走行経路を制御する電極、ないし磁界等の
手段を付加した構造を特徴とする。
【0007】なお、この電子流制御素子は、半導体基板
内において、非平衡電子を電界ドリフトによって、収容
ないし配分せしめる陽極部分として、複数区割有集積型
構造を有するものであってもよい。
【0008】さらに、前述の電子の走行状態ないし走行
経路を制御する電極は、電界効果型トランジスタのゲー
トと等価であるもの、静電誘導型トランジスタのゲート
と等価であるもの、バイポーラトランジスタのベースと
等価であるもの、三極管のグリッドと等価であるもの、
走行電子の速度変調を行うようになされたもの、電子管
の電子ビーム偏向電極と等価であるもの等が考えられ
る。
【0009】また、本発明の電子流制御素子は、それぞ
れの電子が、その電子波の波動関数を保存しつつ走行す
るため、その走行電子の波動関数を利用して、半導体中
を走行する電子に伴う波動の間の干渉を起こさせ、その
干渉出力を得るような電極配置および素子構造をなした
もの、さらに電子の走行空間を構成する半導体媒質が、
III-V族化合物半導体を多重積層して得られた量子井戸
構造をなし、電子波との間の干渉を起こさせるようにし
たものであってもよい。ここで用いられる半導体として
は半絶縁性GaAsもしくはInPが望ましい。
【0010】なお、請求項2ないし11記載の電子流制
御素子のうちの少なくとも2つの単位要素素子を組み合
わせ、集積化した電子流制御素子であってもよい。
【0011】
【作用】本発明によれば、半導体内において従来よりも
極めて長い電子の散乱緩和時間ないし平均自由行程を実
現する手段を得ることができるので、極低温ないし極微
細構造を用いることなく、室温において、実用的な、電
子管と等価な動作をする半導体素子を得ることができ
る。
【0012】
【実施例】本発明は、以上の説明にもあるように、半導
体内部において、走行電子に対する、格子やその他によ
る散乱効果が少なく、あたかも電子が真空中を走行する
ような状況に近くなることを実現しようとするものであ
る。そのためには、まず半導体媒質として、半絶縁性の
III-V族化合物半導体が選ばれる。III-V族化合物半導
体のGaAsやInPには、高純度化、もしくはこれら
にそれぞれCr(クロム)やFe(鉄)等の不純物、な
いしはこれらにO(酸素)等を組み合わせてドーピング
し、107 Ωcm以上に高抵抗化された半絶縁性基板が
あり、ここに用いられる半導体材料として最適である。
しかしこの場合においても、これに与えられる電界強度
が弱い場合には、格子フォノンやその他による散乱のた
め、走行電子の散乱緩和時間が短く(半絶縁性GaAs
で約10-12 秒)、従って平均自由行程も短く(同、約
10-5cm)、上記の目的には適さなかった。
【0013】本発明者の研究によって、これを打開する
方法が発見された。それは、半絶縁性の半導体基板に外
部から強電界を与える方法である。与えるべき電界強度
は次のようにして決まる。電界を与えた状態において、
電子の走行方向に対して垂直方向の磁界を加えると、あ
る磁界強度において電極間の通過電流、すなわち陽極へ
の到達電子数が急減する。このような現象がみられる程
度以上の電界強度を、半導体媒質に与えればよい。本発
明者の実験結果によれば、このときの電界強度は0.5
kV/cm以上であった。
【0014】この電極間電流の急減する点の磁界強度か
ら、サイクロトロン周波数の公式を用いて、電子の散乱
緩和時間を見積もることができる。そうして求められた
値は半絶縁性GaAsの場合、室温において10-10
10-9秒であった。従来より、活性層もしくは能動層と
して一般に用いられているn型のGaAsでは、この値
は室温で10-12 秒程度であり、電子の運動が磁界に対
してほとんど反応しないことがわかっていた。しかし本
発明の場合、これより2〜3桁も長いことがわかる。こ
のことは、極低温でしか実現しなかった従来の電子弾道
素子と同程度の状態が、室温において実現されているこ
とを表している。これによれば、当該半導体内を外部電
界によってドリフト走行する電子は、ほとんど何者にも
衝突、散乱されずに陽極に到達することが容易になる。
こうして得られた電子状態は、いわゆる弾道電子と呼ば
れる状態であって、半導体内を走行する電子にとって、
実質的に真空管内を走行するのと同様の状態が実現して
おり、いわば理想的な空間である。
【0015】従来、このような状態を実現するには、前
述の通り半導体として高純度のものを用い、これを極低
温(たとえば液体ヘリウム温度)で動作させることによ
り、不純物散乱および格子散乱を極力抑えた上で、さら
に極微細工作をしなければならなかった。
【0016】しかるに本発明においては、既述条件さえ
満たせば、室温でしかも極微細工作を必要とせずに、弾
道電子状態を実現できることが分かった。これらのこと
は、従来全く試みられたことがなかったのである。以
下、この特性を利用した半導体電子弾道素子の具体例を
説明する。
【0017】図1は、素子の基本構造を示したものであ
る。半導体媒質1には、半絶縁性のGaAs、もしくは
InP等のIII−V族化合物半導体が用いられる。陰
極2および陽極3はそれぞれこの半導体媒質1に対向し
て設けられ、いずれも金属薄膜などの導電性材料を、真
空蒸着等の方法で形成したものである。これらは、共に
半導体媒質1とブロッキング(ショットキー)接触であ
っても、オーム性接触であっても、またそれらの組合わ
せであっても、素子の基本的動作に関する限り、いっこ
うに構わない。ただし、余分の電子注入を避けるため
に、必要によりブロッキング接触が使用される。さらに
良好なオーム性接触を得るために、半導体媒質1の電極
表面部分に薄い低抵抗層(n+ 層)が形成されていても
構わない。重要なことは、これらの電極を通じて外部電
源4から電圧を印加したときに、半導体媒質1の両電極
間にわたって、一様に上記の通りの強電界が与えられる
ことである。この強電界によって、この半導体媒質1内
を走行する非平衡電子11の散乱緩和時間が非常に長く
なるのである。
【0018】ここで、半導体媒質1内を走行する非平衡
電子11を発生させるには、陰極2から外部電源4によ
って、電気的に電子を注入する方法が最も簡単である。
ただし、熱平衡電子数を大きく上回るほどの非平衡電子
数を発生させると、半導体媒質1の半絶縁性としての性
質が失われてしまうので、印加電圧を必要以上に大きく
しないこと、具体的には、両電極間の電界強度が100
kV/cmを越えないようにすることが望ましい。本特
許においては、通常3kV/cm以下の電界で充分であ
り、1kV/cm程度でも有効に動作する。また、陰極
2の近傍に光を照射することによって、非平衡電子を発
生させてもよい。この場合においても、照射光量を調整
して、過剰な量の電子を発生させないようにする必要が
ある。
【0019】ここで、陰極2の近傍で発生した非平衡電
子11が半導体媒質1中でほとんど散乱を受けずに陽極
3に到達するための条件を、一具体例として、半導体媒
質1として半絶縁性GaAsを用いた場合について示
す。室温、数kV/cmの強電界中における半絶縁性G
aAs内電子の散乱緩和時間は、前述の通り10-10
10-9秒であり、平均のドリフト速度を簡単のため10
8 cm/秒とすると、平均自由行程は0.1〜1mmと
なる。電極間距離をこれ以下に選べばよいので、仮に1
0μmとした場合、数kV/cmの電界を与えるために
は、電源電圧を数Vに、0.1mmでは数10Vにすれ
ばよい。これらの簡単な条件を満たすだけで、室温にお
いて半導体電子弾道素子が実現できる。
【0020】次に、この基本的な構造に、弾道電子の走
行状態ないし走行経路を制御する電極、ないし磁界等の
手段を付加した具体例を示す。まず図2(a)は、電界
効果型トランジスタ(FET)を実現したものである。
これは従来のFETと基本的に同じ電極構造で、ソース
電極52 とドレイン電極53 の間を走行する非平衡電子
11のチャネルを、ショットキー接触ゲート電極5にゲ
ート電圧電源6により印加する電圧信号によって制御す
るものであるが、活性層には半絶縁性の半導体媒質1を
そのまま用いる。ここでドリフト走行する非平衡電子1
1は、外部電源4によって、上記の電界条件を満たすべ
く与えられた電界によって、弾道運動をしているので、
特性は、高移動度トランジスタ(HEMT)と同等とな
り、これを先に述べたような素子寸法、すなわち微細工
作を必要とせずに室温で得ることができる。また、前述
の通りソース電極52 またはその近傍に光照射すること
により、電界効果型フォトトランジスタとすることも可
能である。また、素子構造を、図2(b)に示すように
縦型にしても構わない。この場合においても、上記の電
界条件を満たすように、素子構造ならびにドレイン印加
電圧を選ぶことにより、ソース電極52 とドレイン電極
3 の間を走行する電子は弾道運動をするので、同様に
高特性のFETを実現することができる。
【0021】図3は、静電誘導型トランジスタ(SI
T)を実現したものである。半絶縁性半導体媒質1の表
裏に、それぞれソース電極52 、ドレイン電極53 を設
けることによって厚さ方向にチャネルを形成し、これを
ソース電極52 と互い違いに設けられたショットキー接
触ゲート電極5に、ゲ−ト電圧電源6により印加する電
圧信号によって制御するものである。微細工作無しで、
チャネル全域を従来型SITと同様に空乏化でき、ドレ
イン電流の非飽和特性、すなわち三極管特性を得ること
ができる。これは、半導体内を走行する非平衡電子11
が、真空中を走行しているのと同様にほとんど散乱され
ていないためで、いわば固体三極管が実現されていると
考えてよい。この意味において、ここにおける制御電極
であるゲート電極5は、三極管のグリッドと等価であ
る。
【0022】図4は、陰極2の近傍で発生した非平衡電
子11を、別に設けた加速電極51 と陰極2との間に、
加速電圧電源61 により印加する電圧(以下、加速電圧
という)によって加速し、加速電極51 と陽極3との間
の電子走行空間でさまざまな変調や集束、制御を行うこ
とができるようにしたものである。ここで該空間におけ
る非平衡電子11の速度は、加速電圧の大きさ、すなわ
ち加速電極51 と陰極2のポテンシャル差によって決ま
るので、加速電圧を変化させることによって、非平衡電
子11の速度を変調することができる。これは、電子管
における速度変調管や進行波管に相当するもので、それ
らの電極構成を適宜応用することができる。
【0023】図5(a)は図4における電子走行空間を
はさむように2枚1組の平行板を設けて制御電極7と
し、これに制御電圧電源8から電圧信号を印加して、こ
こを走行する非平衡電子11の軌道を電界偏向により制
御するものである。この非平衡電子11は真空中を走行
する電子と等価なため、このように外部電界により簡単
に偏向することができるのである。これによって、陽極
3に到達する電子数を制御して、出力電流量を変化させ
ることができる。
【0024】図5(b)はこれを発展させたもので、平
行平板を上下、左右にそれぞれ1組ずつ設けて制御電極
1 、72 とし、それに応じて制御電圧電源81 、82
も2組設けて、それぞれ独立に制御することにより、電
子軌道を半導体内で自由に2次元に走査することができ
る。ここで複数の陽極31 〜3n をそれぞれ独立に設け
ておくことによって、パターン信号の入出力素子として
動作させることができる。さらに、陽極3の代わりにL
EDやEL素子を設けることにより、直接、光のドット
パターンとしても出力できる。
【0025】図6は、図5において電界によって電子ビ
ームの軌道を制御する代わりに、磁界によってこれを行
うものである。半導体媒質1を走行する非平衡電子11
は、真空中を走行する電子と等価なため、先に述べたよ
うに外部磁界によるローレンツ力によって、その軌道を
偏向することができる。偏向用電磁石14は電子走行空
間に外部磁界を与えるためのものであり、これに流す偏
向電磁石用電流15を変化させて、磁界強度を変化させ
ることによって、電界制御の場合と同様の効果を得るこ
とができ、また逆に、磁界測定用素子として用いること
もできる。この場合には、陽極3で観測される電流の変
化を検出するか、別にホール効果測定用の電極を追加し
て用いることもできる。また、測定しようとする磁界に
応じて加速電圧電源6からの加速電圧を変化させ、最大
感度として使用することが望ましい。
【0026】図7は、走行する電子の波動関数を利用し
て、さまざまな制御を行う素子である。走行電子は衝
突、散乱が無いことから、その波動関数が保存されるた
め、電子ビームは波動関数として伝播する。すなわち、
2つの陰極21、22 ないし制御電極による電子ビーム
出射口を設け、その各々の大きさを電子ビームの波長
(たとえば、典型的には加速電圧10Vの場合の波長で
ある10-5cm)以下にし、加速電極51 と加速電圧電
源61 によって加速することにより、2つの電子波を得
ることができる。これら2つの電子波が半導体媒質1の
空間を走行した後に合成されるようになされれば、その
位相差に応じて干渉パターンを示す。出射時または走行
時に電子波の位相を変化させれば、該干渉パターンはそ
れに応じて変動するので、これを出力として陽極31
n において取り出すことにより、信号処理を行うこと
ができる。制御入力としては、図に示すように電界また
は磁界による走行長(経路)を変化させることが可能で
ある。あるいは、経路の等価誘電率を変えるために電界
による電気光学効果や、キャリヤ集束によるキャリヤ密
度変化を利用することができる。また、半導体媒質1中
における干渉効果を起こさせる制御入力として、超音波
等の力学的歪みによる周期変動を加え、これと干渉させ
ることも可能である。ただし、本構成においては、ある
時間後にはランダムに合成されてしまうため、電子注入
は実質的に極短パルスで行われる必要がある。
【0027】図8は、図7と同じく、走行電子が波動関
数を保存することを利用して、2つの電子波を干渉させ
るものであるが、この構成では半導体媒質を途中から左
右に分離して、それぞれが電子の導波路となるように、
電子ビームの波長と同程度の大きさとし、これらを再び
結合させることにより、定常的に電子波を干渉させるこ
とができるようにしたものである。ここで、半絶縁性半
導体媒質1は半導体基板12上に設けられ、その寸法は
電子ビームの波長と同程度であり、途中から左右に分離
した後、再び結合して導波路11 、12 を設ける。陰極
2から注入され、加速電極51 と加速電圧電源61 によ
って加速することによって得られた電子波は、半導体媒
質からなる2つの導波路11 と12 に分離され再び合成
されたときに干渉を起こし、この様子が陽極3で電流値
として観測される。ここで、一方の媒質、例えば導波路
2 のみに、制御電極7と制御電圧電源8によって、外
部から電界を印加すれば、ここを通過する電子ビームの
波長が変化するために、干渉状態がこれによって変化
し、これに伴い陽極3で観測される電流値が変化する。
この構成では、半導体媒質の大きさが電子波の波長と同
程度に小さく、媒質内で電子波の波長は定常的に保存さ
れるため、陰極からの電子注入を極短パルスで行う必要
がなくなる。
【0028】また、上記のように走行電子はコヒーレン
トな波動と見なせるので、半導体媒質中に設けられた周
期的構造(量子力学的なミニバンドを持つ)と相互作用
をする。たとえばGaAs−GaAlAsの薄膜層を周
期的に積層したものは量子力学的井戸として知られてい
る。図9は、半導体媒質1中にこのような量子力学的井
戸10を設けたものである。本発明の場合には、これら
の積層周期長さは電子波の波長と同程度であることが望
ましいので、従来おもに使用されていた量子井戸の周期
長とは異なり、それより長い10-5cm程度のものが選
ばれる。この積層構造は、走行電子波の波長、すなわち
加速電圧電源61 によって著しく透過、もしくは反射係
数が異なることにより波長フィルターとして動作するた
め、制御論理素子として使用することができる。
【0029】さらに、以上に示した本発明によるそれぞ
れの素子は、すべて半絶縁性半導体基板を用いて作製さ
れているため、これらを組み合わせて同一半導体基板上
に集積化することが用意である。こうして得られた集積
回路は、まさに真空管を半導体基板上に集積したことに
等しく、これにより、従来存在しなかったような、高い
機能をもった集積回路の実現が可能となる。また、半絶
縁性基板は、その高抵抗性のため素子間分離の必要がな
く、従来より集積回路の基板として非常に適していると
されている。このため、本発明における素子を組み合わ
せ、また必要に応じて従来型の素子を含めて、半絶縁性
半導体基板上に集積化することは、非常に有効である。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、半絶縁性のIII−V
族化合物半導体媒質を活性層として用い、これに0.5
kV/cm以上の強電界を与えることにより、室温にお
いて電子弾道素子ないし電子流制御素子の作製が可能に
なる。これによって、室温でしかも微細工作を必要とし
ない高移動度トランジスタ(HEMT)、三極管動作
(非飽和特性)をするトランジスタ、あるいは外部電界
ないし磁界によって変調できる真空管にような素子が実
現可能になる。このことは、真空管が集積可能になった
ことと等価であり、今後の工業技術への貢献度は計り知
れないものがある。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子流制御素子の基本的構造を示
した図である。
【図2】弾道電子の走行状態ないし走行経路を制御する
手段を有する電子流制御素子を示す図である。
【図3】静電誘導型トランジスタ(SIT)を示す図で
ある。
【図4】電子走行空間で種々の変調や集束、制御を行う
手段を有する構造を示した図である。
【図5】電子ビームの軌道を電界によって行う手段を有
する構造の具体例を示した図である。
【図6】電子ビームの軌道を磁界によって行う手段を有
する構造の具体例を示した図である。
【図7】走行電子の波動関数を利用して制御を行う手段
を有する構造を示した図である。
【図8】走行電子の波動関数を利用して制御を行う手段
を有する構造を示した図である。
【図9】半導体媒質中に量子力学的井戸を設けた構造を
示す図である。
【符号の簡単な説明】
1…高抵抗半導体媒質 11 、12 …導波路 13 …活性層 2、21 、22 …陰極 3、31 〜3n …陽極 4…外部電源 5…ゲート(ベース)電極 51 …加速電極 52 …ソース電極 53 …ドレイン電極 6…ゲート(ベース)電圧電源 61 …加速電圧電源 7、71 、72 …制御電極 8、81 、82 …制御電圧電源 9…絶縁薄膜 10…量子力学的井戸 11…非平衡電子 12…半導体基板 13…空乏層 14…偏向用電磁石 15…偏向電磁石用電流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 孝 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 藁科 禎久 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 杉本 賢一 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 鈴木 智子 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 菅 博文 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半絶縁性のIII-V族化合物半導体に設け
    られた導電性電極を等価陰極とし、これと対向して設け
    られた導電性電極を等価的な陽極とし、半導体内の等価
    陰極端近傍に非平衡電子を発生させる手段を有し、上記
    等価陰極と等価陽極との間隔が、弱電界時の電子の平均
    自由行程より充分長い1μm程度以上に選ばれ、これら
    の電極間に外部からバイアス電界を与える手段を有し、
    その電界強度が、外部から、電子の走行方向に対して、
    垂直な方向に与えられた磁界によって、電極間電流が急
    減することが確認できるような領域に設定されてあり、
    これによって、電子の散乱緩和時間が長くなり、その平
    均自由行程が電極間走行距離以上になされた状態が実現
    された半導体媒質から構成され、これに電子の走行状態
    ないし走行経路を制御する電極、ないし磁界等の手段を
    付加した構造を特徴とする、電子流制御素子。
  2. 【請求項2】 半導体基板内において、非平衡電子を電
    界ドリフトによって収容ないし配分せしめる陽極部分と
    して、複数区割有集積型構造を有する請求項1記載の電
    子流制御素子。
  3. 【請求項3】 前記電子の走行状態ないし走行経路を制
    御する電極が、電界効果型トランジスタのゲートと等価
    である請求項1記載の電子流制御素子。
  4. 【請求項4】 前記電子の走行状態ないし走行経路を制
    御する電極が、静電誘導型トランジスタのゲートと等価
    である請求項1記載の電子流制御素子。
  5. 【請求項5】 前記電子の走行状態ないし走行経路を制
    御する電極が、バイポーラトランジスタのベースと等価
    である請求項1記載の電子流制御素子。
  6. 【請求項6】 前記電子の走行状態ないし走行経路を制
    御する電極が、三極管のグリッドと等価である請求項1
    記載の電子流制御素子。
  7. 【請求項7】 前記電子の走行状態ないし走行経路を制
    御する電極が、走行電子の速度変調を行うようになされ
    た請求項1記載の電子流制御素子。
  8. 【請求項8】 前記電子の走行状態ないし走行経路を制
    御する電極が、電子管の電子ビーム偏向電極と等価であ
    る請求項1記載の電子流制御素子。
  9. 【請求項9】 走行電子の波動関数を利用して、半導体
    中を走行する電子に伴う波動の間の干渉を起こさせ、そ
    の干渉出力を得るような電極配置および素子構造をなし
    た請求項1記載の電子流制御素子。
  10. 【請求項10】 電子の走行空間を構成する半導体媒質
    が、III-V族化合物半導体を多重積層して得られた量子
    井戸構造をなした請求項1記載の電子流制御素子。
  11. 【請求項11】 半導体として半絶縁性GaAsもしく
    はInPが用いられた請求項1記載の電子流制御素子。
  12. 【請求項12】 請求項2ないし11のいずれか1項記
    載の電子流制御素子のうちの少なくとも2つの単位要素
    素子を組み合わせ、集積化した電子流制御素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010093268A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Samsung Electronics Co Ltd 量子干渉トランジスタとその製造及び動作方法
WO2021086871A1 (en) * 2019-10-28 2021-05-06 Psiquantum, Corp. Electronic components employing field ionization

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