JPH054010U - 超音波探触子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】搬送される被検材の周りを回転して超音波にて
走査し全周面に亙るオンラインによる欠陥検出に供する
超音波探触子の信頼性向上を図る。 【構成】搬送する管状または丸棒状の被検材の周りを高
速回転する探触子ホルダに超音波探触子を装着し，被検
材の全周面に亙る欠陥検出や管状の被検材の厚さ測定を
行う。超音波探触子の取付部に設けられたプラグは装着
と同時に電気接続され，バランス取りも簡単に行えて，
装着が迅速にできる。また高速回転や被検材搬送による
断線事故が回避され信頼性が向上できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は例えば長手方向に搬送される管状または丸棒状の被検材の周りを高 速回転して，超音波の送波ならびに受波を行い被検材の欠陥検出や厚さ測定など に供する超音波探触子の信頼性向上に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図６は例えば従来の超音波探触子の一例を示す要部断面図，図において１は超 音波探触子，２は本体，５は振動子，６は背板，７ノズルブロック，９はノズル ，１０は取付部，１１は被検材，１４は探触子ホルダ，１５はケーブル，１６は 固定具，１７は水室，矢印は被検材１１の搬送方向である。

【０００３】 従来の超音波探触子は上記のように構成され，長手方向に搬送される被検材１ １の周りを高速度で回転する探触子ホルダ１４に超音波探触子１が設けられ，超 音波探触子１には片面に背板６を備え超音波を発生する振動子５が本体２内へ配 置されている。本体２にはノズルブロック７を付設し，水室１７から導入された 音響結合剤として加圧された水をノズル９から被検材１１へ向け放出して，ノズ ルブロック７と被検材１１との間に水柱を形成し水柱ノズル音響結合方式による 超音波の伝送が行われる。

【０００４】 被検材１１の周りを高速回転する探触子ホルダ１４へ設けられた超音波探触子 １ は，搬送される被検材１１の周面をヘリカル状に走査し，上記音響結合方式に 基づいて被検材１１との超音波の送受波を行い，全周面に亙る欠陥検出ならびに 管肉厚測定に供せられる。このとき超音波探触子１への付勢信号の付与ならびに 超音波探触子１からの信号の伝送は取付部１０を経て本体２へ接続されるケーブ ル１５を介して行われ，ケーブル１５は固定具１６にて探触子ホルダ１４の要所 へ固定される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の超音波探触子では，搬送速度１５〜２０ｍ／分にて長手方 向に走行する被検材１１の全周面に亙る欠陥検出を行うに際して，探触子ホルダ １４の回転速度は下記のとおりとなる。 高速度にて回転する探触子ホルダ１４へ設けられた超音波探触子１には大きな 遠心力が作用するので，探触子ホルダ１４の円滑な回転ならびに探触子ホルダ１ ４と被検材１１との間隙を一定の状態に保持するためにはバランス取りが行われ る。

【０００６】 本体２内部の構成品は充填材などにて固定できるので遠心力による干渉から回 避される。しかし超音波探触子１は付勢信号の付与ならびに信号の伝送のため取 付部１０から外部へ向けてシールド線などを用いたケーブル１５が配線されてい る。ケーブル１５には探触子ホルダ１４の高速回転による遠心力や被検材１１搬 送時の振動などによって外力が加わり，長時間使用すると断線事故が発生する。

【０００７】 超音波探触子１を探触子ホルダ１４へ装着する時，ケーブル１５は断線事故防 止のため固定具１６による探触子ホルダ１４への固定やケーブル１５の電気接続 ならびに回転時のバランス取りが行われる。従って超音波探触子１は装着や交換 時の着脱が迅速且つ効率良くできないという問題点があった。

【０００８】 この考案はかかる問題点を解決するためになされたもので，探触子ホルダ１４ への着脱ならびにバランス取りなどが迅速且つ効率良く行えて，ケーブル１５の 断線事故が防止でき信頼性の向上が図れる超音波探触子を得ることを目的とする 。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る超音波探触子は，振動子前面に配設され導入された音響結合剤 を振動子から放射される超音波の伝搬路に沿って被検材へ向け放出するノズルが 設けられたノズルブロックと，振動子に電気接続され付勢信号の付与ならびに受 波信号の伝送に供し探触子を固定する取付部に設けられて探触子の装着と共に電 気接続が行われるプラグを設けたものである。

【００１０】

【作用】

この考案においては，被検材の周りを高速度で回転しつつ超音波の送波ならび に受波を行う振動子が設けられた本体には，被検材との間の音響結合のため水柱 を形成するノズルブロックが付設されている。

【００１１】 また超音波探触子への付勢信号の付与ならびに受波信号伝送のため振動子と電 気接続されたプラグは，上記本体と並列に取付部に設けられ，超音波探触子を探 触子ホルダへ装着するとき取付部を固定すると，上記プラグは探触子ホルダに設 けられたレセプタクルと同時に電気接続される。上記のとおり超音波探触子の着 脱ならびにその電気接続は同時に簡易且つ迅速に行える。

【００１２】 また超音波探触子内部の振動子とプラグとの電気接続には軽量な電線が用いら れるので，探触子ホルダに装着して被検材の周りを高速回転する時に作用する遠 心力や被検材搬送時の振動などによる影響が軽減され，これらに起因する断線事 故の発生が防止され信頼性が向上できる。更に超音波探触子はその構造が標準化 できるので交換時などのバランス取りが簡単に行える。

【００１３】

【実施例】

この考案の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。図１はこの考案の 一実施例を示す要部断面図，図２は図１の底面図，図３は図２のＡ−Ａ断面図で ，１，２，５，６，７，９，１０，１１，１４，は上記従来探触子と同一であり ，３はプラグ，４はレセプタクル，８は連通口を示している。

【００１４】 上記のように構成された超音波探触子においては，本体２の一方にはこれを装 着する取付部１０がまた他方にはノズルブロック７が付設されている。例えば片 面に背板６を有する複数の振動子５は相互に並列接続され充填材にて本体２内に 固定されている。取付部１０には上記本体２と並んで上記振動子５に電気接続さ れた同軸式のプラグ３がジュラコンなどの絶縁材を介して設けられている。

【００１５】 超音波探触子１を探触子ホルダ１４へ装着すると，プラグ３は探触子ホルダ１ ４へ設けられたレセプタクル４へ嵌入して同時に電気接続される。プラグ３へ電 気信号を供給すると並列に接続された振動子５は一斉に付勢されて超音波を発生 する。本体２には超音波の放射方向にノズルブロック７が付設され，各振動子５ から放射される超音波の伝搬路に沿ってノズル９即ち貫通孔が穿設され，ノズル ９には音響結合剤を導入する連通口８が結合されている。

【００１６】 実装状態においては，連通口８から導入された音響結合剤としての加圧水はノ ズル９から放出され，ノズル９に近接して配置された被検材１１との間に水柱を 形成する。振動子５から放射された超音波は上記水柱ノズル結合方式により被検 材１１と音響結合され，複数の振動子５からの超音波ビームは被検材１１へ垂直 に入射して所定の照射域を形成する。また，管状の被検材１１の肉厚測定におい ては，超音波探触子１には単一振動子５が用いられる。

【００１７】 超音波探触子１と被検材１１との間隙即ち水距離が小さくできるので，探触子 ホルダ１４の回転速度の変動などによる水柱即ち超音波ビームによる照射域の変 化が抑制され、被検材１１との音響結合が安定化できて超音波の伝搬が効率良く 行え，被検材１１の垂直探傷や肉厚測定がオンラインにおいて正しく行える。

【００１８】 超音波探触子１を探触子ホルダ１４へ装着するとプラグ３も同時に電気接続さ れ，更に標準構造をなす超音波探触子１の装着時のバランス取りが簡単にできる のでその着脱は簡易且つ迅速に行える。

【００１９】 図４はこの考案の他の実施例を示す要部断面図，図５は図４の正面図を示して いる。各部の構成，動作ならびに装着は上記実施例と同一であるが，管状の被検 材１１に対して超音波探触子１のノズル９から放出される音響結合剤としての加 圧水により水柱を形成する。

【００２０】 上記水柱を伝搬路とする超音波ビームは，被検材１１に対して所定の角度をな して入射する。即ち超音波探触子１は斜角探傷による管状の長手方向ならびに円 周方向の欠陥検出に利用できる。超音波探触子１を探触子ホルダ１４へ装着する と上記実施例と同様にプラグ３とレセプタクル４の電気接続も同時に行われる。

【００２１】 上記のとおり管状の被検材１１の長手方向，円周方向および垂直方向の全周面 に亙るオンラインにおける各種形状の欠陥検出ならびに管肉厚測定に用いられる 各種の超音波探触子１は，何れも類似した形状，構造をなし，探触子ホルダ１４ への着脱が容易でバランス取りも簡単にできる。

【００２２】 超音波探触子１の内部接続には軽量の電線が用いられるので，高速回転時の遠 心力の作用ならびに被検材１１の搬送時の振動により電線に加わる外力が軽減で きて，断線事故の発生が防止され信頼性向上に貢献できる。超音波探触子１は単 一の振動子５にて構成され照射域が小さくなっても同様の動作が行える。

【００２３】

【考案の効果】

この考案は以上説明したとおり，取付部には本体と並んでその装着と同方向に プラグが設けられ，超音波探触子を装着すると同時にプラグの電気接続が行われ る簡単な構造により，超音波探触子は装着が簡易且つ迅速にできる。断線事故が 回避され信頼性が向上できる。高速回転時のバランス取りが簡単にできるという 効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す要部断面図

【図２】図１の底面図

【図３】図２のＡ−Ａ断面図

【図４】この考案の他の実施例を示す要部断面図

【図５】図４の正面図

【図６】従来の超音波探触子の一例を示す要部断面図

【符号の説明】１ 超音波探触子 ２ 本体 ３ プラグ ４ レセプタクル ５ 振動子７ ノズルブロック ９ ノズル

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向に搬送される管状または丸棒状
   の被検材の周りを高速回転しつつ被検材との間に超音波
   の送波ならびに受波を行う超音波探触子において，振動
   子前面に配設され導入された音響結合剤を上記振動子か
   ら放射される超音波の伝搬路に沿って被検材へ向け放出
   するノズルが設けられたノズルブロックと，上記振動子
   に電気接続され付勢信号の付与ならびに受波信号の伝送
   に供し当該探触子を固定する取付部に設けられ探触子の
   装着と共に電気接続が行われるプラグとを備えたことを
   特徴とする超音波探触子。
2. 【請求項２】 振動子は単一振動子よりなる請求項１記
   載の超音波探触子。
3. 【請求項３】 振動子は複数の振動子よりなる請求項１
   記載の超音波探触子。
4. 【請求項４】 音響結合剤は水である請求項１記載の超
   音波探触子。
5. 【請求項５】 振動子からの超音波の伝搬路は被検材と
   垂直の方向をなす請求項１記載の超音波探触子。
6. 【請求項６】 振動子からの超音波の伝搬路は被検材の
   搬送方向または被検材の円周方向に対し斜めの方向をな
   す請求項１記載の超音波探触子。