JPH053940U - 重量計測器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動や動揺のある環境下でも、その振動など
の影響を受けずに迅速かつ高精度に試料の重量を計測す
る。 【構成】 試料受け１を支承するばね２と、そのばね２
に振動を与えて上記試料受け１を強制的に振動させる加
振器６と、上記試料受け１の変位を検出するための変位
検出手段４と、その変位検出手段４の検出値から上記試
料受け１の上記加振器６に対する振幅の応答倍率を求
め、その応答倍率を上記ばね２の共振曲線に対応させて
得られた強制振動数比から試料の質量を求める質量検出
手段７とを備えていることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は試料の重量を精密に測定するための計測器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、温度に対する試料の微小な質量変化の計測には、天秤の一方の皿を電気 炉内に配置し、その皿に試料を載せ、温度を徐々に上昇させながら他方に設けら れた磁石とコイルによる電磁力を調節して天秤をつり合わせることにより各温度 における質量を求める熱天秤が用いられていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、熱天秤は天秤を介しての試料重量と電磁力の微妙なつり合いを 検出することにより計測を行うため、これに外部から振動や動揺が伝わると微小 な計測ができない。したがって、船上等、大きな動揺のある環境における使用に は適していないという問題があった。

【０００４】 そこで、本考案者等は図４に示すように、試料受け４１と共に上下移動する磁 性部材４２の上部に電磁石４３を設け、磁性部材４２が電磁石４３に引き寄せら れて浮上する瞬間を常閉接点４４でとらえて試料の重量を電気的に求めるように 構成した磁気浮動式の平衡重量計を案出した。しかし、船上等のように動揺のあ る環境で高精度の測定を実施しようとする場合には、動揺等による外因的な加速 度の影響を無視できない。

【０００５】 本考案の目的は、船上等、動揺のある環境においても迅速かつ高精度に試料の 重量を測定し得る重量計測器を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案による重量計測器は、試料受けを支承するばね と、そのばねに振動を与えて上記試料受けを強制的に振動させる加振器と、上記 試料受けの変位を検出するための変位検出手段と、その変位検出手段の検出値か ら上記試料受けの上記加振器に対する振幅の応答倍率を求め、その応答倍率を上 記ばねの共振曲線に対応させて得られた強制振動数比から試料の質量を求める質 量検出手段とを備えているものである。

【０００７】

【作用】

加振器の強制振動の周波数を低い方から徐々に上げていくと、振幅倍率Ｘ／Ｘ ₀ は図４のように変化する。この共振曲線の形は質点の質量が変っても、すなわ ち試料受けに試料を載せても、ばねが同じであれば同一であるので、強制振動数 比ω／ω₀ が０〜１の間の任意の一点の振幅の応答倍率Ｘ／Ｘ₀ を求めることに より固有振動数ω₀ が求まる。固有振動数ω₀ は、試料の質量ｍ、試料受けの質 量をＭ、ばね定数をｋとすると、次の式（１）で与えられる。

【０００８】

【数１】

【０００９】 試料受けの質量Ｍおよびばね定数ｋは既知なので、固有振動数ω₀ がわかれば 試料の質量ｍが求められる。固有振動数ω₀ は、この重量計測器に測定環境の振 動や動揺による外因的な加速度が作用しても変化しない。したがって、船上等、 動揺のある環境においても、その影響を受けずに微小重量を計測することが可能 となる。

【００１０】

【実施例】

次に、本考案の実施例にいて説明する。

【００１１】 本考案に係る重量計測器の一実施例を図１に示す。図において、１は試料受け であり、受け皿状の試料受け１はこれを下方から弾性支持するばね２と共に振動 系３を構成する。ばね２は計測器本体５に固定された加振器６の上部に取り付け られており、加振器６によって振動系３に周波数可変的に振動が与えられるよう になっている。試料受け１は図示しないガイド部材によって上下方向のみに移動 できるようになっており、その下方には、これに臨ませて変位検出手段たるレ− ザ干渉距離計４が設けられている。このレ−ザ干渉距離計４並びに上記加振器６ は質量検出手段たるコンピュ−タ７に電気的に接続されている。このコンピュ− タ７のメモリには、上記ばね２の共振特性デ−タ（図＃に示した共振曲線を数値 化したもの）が予め記録されている。

【００１２】 次に、作用について説明する。

【００１３】 試料受け１に試料を載せた後、加振器６を作動させる。加振器６はその振動数 ωを徐々に上げつつ振動系３に振動を与えていく。試料受け１の振幅は加振器６ の振動数ωが高くなるにつれて徐々に変化する。レ−ザ干渉距離計４は、試料受 け１までの距離を連続的に検出し、その結果をリアルタイムでコンピュ−タへ出 力する。コンピュ−タ７は、レ−ザ干渉距離計４の検出値から試料受け１の変位 （振幅）Ｘ₀ を求め、試料受け１の加振器６に対する振幅の応答倍率Ｘ／Ｘ₀ を 求める。コンピュ−タ７はさらに、メモリ上の共振特性デ−タに基いて、ここで 求めた応答倍率Ｘ／Ｘ₀ が上記ばね２の強制振動数比ω／ω₀ が０〜１の共振曲 線に対応する強制振動数比ω／ω₀ から固有振動数ω₀ を求め、そのω₀ を式（ １）に代入して試料の質量ｍを求める。振動系３の固有振動数ω₀ は、計測器自 体に振動や動揺による外因的な加速度が作用しても変化することはないので、こ の重量計測器を用いれば船上等においてもその振動や動揺の影響を受けずに微小 重量を迅速に計測することができる。なお、計測値の信頼性を評価する必要があ る場合は上記計測を繰り返し行う。

【００１４】 以上の実施例では変位検出手段としてレ−ザ干渉距離計４を用い、これと試料 受け１間の距離から試料受け１の変位Ｘ₀ を求める例を示したが、図２に示すよ うに加速度計８を試料受け１に一体的に取付けて試料受け１が振動する際の加速 度を検出するようにしてもよい。この場合、検出された加速度値を２回積分する ことによって試料受け１の変位Ｘ₀ が求められる。

【００１５】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、測定環境の振動や動揺による外因的な加速度に よって変化しない振動系の共振特性に基いて試料の重量を求めるようにしたので 、船上等、大きな振動や動揺のある環境下でも迅速かつ高精度に試料の重量を計 測することができるという優れた効果が発揮できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る重量計測器の一実施例を示す構成
図である。

【図２】本考案に係る重量計測器の他の実施例を示す構
成図である。

【図３】ばね質点系の共振曲線を示す図である。

【図４】従来例を示す概略構成図である。

【符号の説明】

１ 試料受け ２ ばね ４ レ−ザ干渉距離計（変位検出手段） ６ 加振器 ７ 質量検出手段 ８ 加速度計（変位検出手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 宇都宮 正時 東京都江東区豊洲二丁目１番１号 石川島 播磨重工業株式会社東京第一工場内 (72)考案者 幅田 望 東京都江東区豊洲二丁目１番１号 石川島 播磨重工業株式会社東京第一工場内

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 試料受けを支承するばねと、該ばねに振
   動を与えて上記試料受けを強制的に振動させる加振器
   と、上記試料受けの変位を検出するための変位検出手段
   と、該変位検出手段の検出値から上記試料受けの上記加
   振器に対する振幅の応答倍率を求め、その応答倍率を上
   記ばねの共振曲線に対応させて得られた強制振動数比か
   ら試料の質量を求める質量検出手段とを備えていること
   を特徴とする重量計測器。