JPH05346384A - においセンサヘッド - Google Patents
においセンサヘッドInfo
- Publication number
- JPH05346384A JPH05346384A JP18054192A JP18054192A JPH05346384A JP H05346384 A JPH05346384 A JP H05346384A JP 18054192 A JP18054192 A JP 18054192A JP 18054192 A JP18054192 A JP 18054192A JP H05346384 A JPH05346384 A JP H05346384A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- odor
- sensor
- head
- glass transition
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 多数のにおい物質に対して、高選択性、高感
度、優れた再現性・繰返し特性を発揮し、におい質をも
明確に認識するにおいセンサヘッドを提供する。 【構成】 多数個の水晶振動子及び表面弾性波素子のう
ち少なくとも一方の表面に電極を介して、におい物質を
選択的に吸着する有機薄膜を設けてなるヘッドを複数個
含み、個々のヘッドの固有振動の変化からにおい物質及
びにおい質を判定するマルチヘッド型においセンサにお
いて、前記有機薄膜が、測定環境温度より低いガラス転
移点を有する高分子を主体とすることを特徴とするにお
いセンサヘッド。
度、優れた再現性・繰返し特性を発揮し、におい質をも
明確に認識するにおいセンサヘッドを提供する。 【構成】 多数個の水晶振動子及び表面弾性波素子のう
ち少なくとも一方の表面に電極を介して、におい物質を
選択的に吸着する有機薄膜を設けてなるヘッドを複数個
含み、個々のヘッドの固有振動の変化からにおい物質及
びにおい質を判定するマルチヘッド型においセンサにお
いて、前記有機薄膜が、測定環境温度より低いガラス転
移点を有する高分子を主体とすることを特徴とするにお
いセンサヘッド。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、実時間で複数の化学物
質、例えばにおい物質を識別するマルチヘッド型におい
センサ、及び実時間でにおい質を識別できるにおい質セ
ンサに関する。
質、例えばにおい物質を識別するマルチヘッド型におい
センサ、及び実時間でにおい質を識別できるにおい質セ
ンサに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、においセンサの検出部を多数個に
し、その応答のパターン化によりガス状物質の種類を認
識しようとする方法が注目を集めている。この方法は人
間の匂い認識機構(嗅覚)、すなわちアクロス・ファイ
バーパターン説を模倣したものであり、各センサの応答
をパターン化し、ニューラルネットなどのデータ処理に
より化学物質の認識能を向上しようとしている。センサ
ヘッド部での化学物質検出法により次の3方法が報告さ
れている。 1)化学物質吸着による半導体の伝導度変化〔例とし
て、カネヤス マサヨシ(Kaneyasu masayoshi )、IE
EE トランザクションズ コンポーネンツ、ハイブリ
ッズ アンド マニファクチャリング テクノロジー
( IEEE TransactionsComponents, Hybrids and Manufa
cturing Technology )、第CHMT−10巻、第267
頁(1987)〕、 2)薄膜被覆水晶振動子への化学物質吸着〔例として、
ナカモト タカミチ(Nakamoto Takamichi )、センサ
アンド アクチュエータース( Sensor and Actuators
) 、第B1巻、第473頁(1990)、 3)薄膜被覆表面弾性波素子への化学物質吸着〔例え
ば、スーザン、エル、ローズ−ペルソン( Susan L.Ro
se-Pehrsson ) ら、アナリティカル ケミストリー( A
nalytical Chemistry ) 、第60巻、第2801頁(1
988)〕。
し、その応答のパターン化によりガス状物質の種類を認
識しようとする方法が注目を集めている。この方法は人
間の匂い認識機構(嗅覚)、すなわちアクロス・ファイ
バーパターン説を模倣したものであり、各センサの応答
をパターン化し、ニューラルネットなどのデータ処理に
より化学物質の認識能を向上しようとしている。センサ
ヘッド部での化学物質検出法により次の3方法が報告さ
れている。 1)化学物質吸着による半導体の伝導度変化〔例とし
て、カネヤス マサヨシ(Kaneyasu masayoshi )、IE
EE トランザクションズ コンポーネンツ、ハイブリ
ッズ アンド マニファクチャリング テクノロジー
( IEEE TransactionsComponents, Hybrids and Manufa
cturing Technology )、第CHMT−10巻、第267
頁(1987)〕、 2)薄膜被覆水晶振動子への化学物質吸着〔例として、
ナカモト タカミチ(Nakamoto Takamichi )、センサ
アンド アクチュエータース( Sensor and Actuators
) 、第B1巻、第473頁(1990)、 3)薄膜被覆表面弾性波素子への化学物質吸着〔例え
ば、スーザン、エル、ローズ−ペルソン( Susan L.Ro
se-Pehrsson ) ら、アナリティカル ケミストリー( A
nalytical Chemistry ) 、第60巻、第2801頁(1
988)〕。
【0003】しかし、これらセンサに用いられている被
覆材料はいずれも再現性、繰返し測定、安定性に問題が
あり、実用化に適さない。そこで、高選択性を発揮する
だけでなく、高感度、再現性、繰返し特性に優れた安定
なセンサヘッドが、特に、認識すべきにおい物質が多数
になるに従って、望まれている。また、ガス状物質の化
学種を認識するだけでなく、その化学物質によって人間
がどのように感じるのかを、すなわちにおい質を最適に
計測できるセンサヘッドも望まれている。
覆材料はいずれも再現性、繰返し測定、安定性に問題が
あり、実用化に適さない。そこで、高選択性を発揮する
だけでなく、高感度、再現性、繰返し特性に優れた安定
なセンサヘッドが、特に、認識すべきにおい物質が多数
になるに従って、望まれている。また、ガス状物質の化
学種を認識するだけでなく、その化学物質によって人間
がどのように感じるのかを、すなわちにおい質を最適に
計測できるセンサヘッドも望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多数
のにおい物質に対して、高選択性、高感度、優れた再現
性・繰返し特性を発揮し、におい質をも明確に認識する
高分子を塗布したにおいセンサヘッドを提供することに
ある。
のにおい物質に対して、高選択性、高感度、優れた再現
性・繰返し特性を発揮し、におい質をも明確に認識する
高分子を塗布したにおいセンサヘッドを提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明はにおいセンサヘッドに関する発明であって、多数
個の水晶振動子及び表面弾性波素子のうち少なくとも一
方の表面に電極を介して、におい物質を選択的に吸着す
る有機薄膜を設けてなるヘッドを複数個含み、個々のヘ
ッドの固有振動の変化からにおい物質及びにおい質を判
定するマルチヘッド型においセンサにおいて、前記有機
薄膜が、測定環境温度より低いガラス転移点を有する高
分子を主体とすることを特徴とする。
発明はにおいセンサヘッドに関する発明であって、多数
個の水晶振動子及び表面弾性波素子のうち少なくとも一
方の表面に電極を介して、におい物質を選択的に吸着す
る有機薄膜を設けてなるヘッドを複数個含み、個々のヘ
ッドの固有振動の変化からにおい物質及びにおい質を判
定するマルチヘッド型においセンサにおいて、前記有機
薄膜が、測定環境温度より低いガラス転移点を有する高
分子を主体とすることを特徴とする。
【0006】従来の水晶振動子やSAWデバイスのマル
チヘッドを検出部とした化学物質センサは本質的にはポ
リイオンコンプレックス、フタロシアニン顔料などのよ
うな硬い有機膜を用いた化学センサであり、いずれの高
分子においても選択性、感度、再現性、繰返し特性に問
題があった。
チヘッドを検出部とした化学物質センサは本質的にはポ
リイオンコンプレックス、フタロシアニン顔料などのよ
うな硬い有機膜を用いた化学センサであり、いずれの高
分子においても選択性、感度、再現性、繰返し特性に問
題があった。
【0007】本発明と従来技術との差は、このマルチヘ
ッドのセンサ検出部に、ガラス転移点が測定環境温度よ
り低温である高分子を水晶振動子に装備したところにあ
り、これにより選択性、感度、再現性、繰返し特性を改
善することができる。また、高分子とにおい物質との相
互作用が大きくなることからにおい質をも明確に認識で
きる。
ッドのセンサ検出部に、ガラス転移点が測定環境温度よ
り低温である高分子を水晶振動子に装備したところにあ
り、これにより選択性、感度、再現性、繰返し特性を改
善することができる。また、高分子とにおい物質との相
互作用が大きくなることからにおい質をも明確に認識で
きる。
【0008】本発明のセンサヘッドに使用する有機薄膜
としては、すべて測定環境温度より低いガラス転移点を
有するポリエステル高分子からなるもの、あるいは測定
環境温度より低いガラス転移点を有するポリエステル高
分子と、基準となるポリエチレン類高分子からなるもの
を挙げることができる。
としては、すべて測定環境温度より低いガラス転移点を
有するポリエステル高分子からなるもの、あるいは測定
環境温度より低いガラス転移点を有するポリエステル高
分子と、基準となるポリエチレン類高分子からなるもの
を挙げることができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0010】実施例1 図1には、ガラス転移点が室温以下である3種の高分子
類、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4−ブ
チレンアジペート)(PBA)、ポリ(エチレンサクシ
ネート)(PES)及びガラス転移点が210℃である
ポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンオキシド)
(PPO)を水晶振動子に被覆(1μm)し、バラ香料
であるフェニルエチルアルコールにさらしたときの周波
数応答を示す。図1中横軸は時間(分)、縦軸は周波数
変化量〔ΔF(Hz)〕を示す。におい発生は香料をろ紙の
先端部にしみこませ(約5〜10mg)、それをセンサの
下に設置したガラス容器(150cc)に入れることによ
って行った。明らかにガラス転移点が低い高分子はPP
Oと比較して応答が大きく、また元の周波数に戻り易い
ことがわかった。表1には、各種高分子を被覆したセン
サをフェニルエチルアルコールにさらしてから6分後の
周波数変化量(ΔF6min )及びセンサヘッドを大気に
戻してからΔF6min の10%に戻るまでに要する時間
(T90%)を各被覆高分子のガラス転移点と共に示
す。
類、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4−ブ
チレンアジペート)(PBA)、ポリ(エチレンサクシ
ネート)(PES)及びガラス転移点が210℃である
ポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンオキシド)
(PPO)を水晶振動子に被覆(1μm)し、バラ香料
であるフェニルエチルアルコールにさらしたときの周波
数応答を示す。図1中横軸は時間(分)、縦軸は周波数
変化量〔ΔF(Hz)〕を示す。におい発生は香料をろ紙の
先端部にしみこませ(約5〜10mg)、それをセンサの
下に設置したガラス容器(150cc)に入れることによ
って行った。明らかにガラス転移点が低い高分子はPP
Oと比較して応答が大きく、また元の周波数に戻り易い
ことがわかった。表1には、各種高分子を被覆したセン
サをフェニルエチルアルコールにさらしてから6分後の
周波数変化量(ΔF6min )及びセンサヘッドを大気に
戻してからΔF6min の10%に戻るまでに要する時間
(T90%)を各被覆高分子のガラス転移点と共に示
す。
【0011】
【表1】
【0012】明らかにガラス転移点が室温より低温であ
る高分子は高感度であり、元の周波数に速やかに戻る安
定性に優れた応答を示した。また、これら低ガラス転移
点高分子は元の周波数に十分戻ることから繰返し測定の
再現性がよく、連続測定に適している。一方、PPOの
ようなガラス転移点の高い高分子類は連続測定に対して
徐々に周波数が減少し、0.2wt%程度の香料の吸蔵が
観測された。この現象はセンサ応答の再現性を低下させ
た。
る高分子は高感度であり、元の周波数に速やかに戻る安
定性に優れた応答を示した。また、これら低ガラス転移
点高分子は元の周波数に十分戻ることから繰返し測定の
再現性がよく、連続測定に適している。一方、PPOの
ようなガラス転移点の高い高分子類は連続測定に対して
徐々に周波数が減少し、0.2wt%程度の香料の吸蔵が
観測された。この現象はセンサ応答の再現性を低下させ
た。
【0013】実施例2 実施例1で示したガラス転移点の低い高分子の有効性を
示すために8個の水晶振動子を1つにまとめたマルチヘ
ッドにおいセンサを作製し、各種匂い物質の認識性をニ
ューラルネットを用いて確認した。作製したマルチヘッ
ド型においセンサーのヘッド部の構造図を図2に、検出
部の拡大図を図3に示す。各図中、1は水晶振動子、2
は下地電極、3は有機高分子薄膜、4は発振回路であ
る。水晶振動子はATカット10MHz 基本波振動を用
い、1ngの化学物質吸着により1Hz・cm2 の振動数の減
少が観察される。この周波数変化から化学物質の吸着量
を評価できる。下地電極は金(800Å)/クロム(5
0Å)(電極面積0.2cm2 )、高分子薄膜は各種溶媒
(クロロホルム、テトラヒドロフラン)に高分子を溶解
させた後のディッピング法により下地電極上に成膜した
(高分子薄膜0.9μm)。発振回路は10×80mmの
基板上に4ヘッド分作製し、2本重ね合すことによって
円柱状(φ35×80mm)の8ヘッドセンサとした。
示すために8個の水晶振動子を1つにまとめたマルチヘ
ッドにおいセンサを作製し、各種匂い物質の認識性をニ
ューラルネットを用いて確認した。作製したマルチヘッ
ド型においセンサーのヘッド部の構造図を図2に、検出
部の拡大図を図3に示す。各図中、1は水晶振動子、2
は下地電極、3は有機高分子薄膜、4は発振回路であ
る。水晶振動子はATカット10MHz 基本波振動を用
い、1ngの化学物質吸着により1Hz・cm2 の振動数の減
少が観察される。この周波数変化から化学物質の吸着量
を評価できる。下地電極は金(800Å)/クロム(5
0Å)(電極面積0.2cm2 )、高分子薄膜は各種溶媒
(クロロホルム、テトラヒドロフラン)に高分子を溶解
させた後のディッピング法により下地電極上に成膜した
(高分子薄膜0.9μm)。発振回路は10×80mmの
基板上に4ヘッド分作製し、2本重ね合すことによって
円柱状(φ35×80mm)の8ヘッドセンサとした。
【0014】被覆高分子としては8種のポリエステル高
分子材料、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)(PB
A)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ
(エチレンアジペート)(PEA)、ポリ(エチレンア
ゼレート)(PEAz)、ポリ(2,2−ジメチル−
1,3−プロピレンサクシネート)(PPS)、ポリ
(トリメチレンアジペート)(PTA)、ポリ(1,4
−シクロヘキサンジメチレンサクシネート)(PC
S)、ポリ(トリメチレンサクシネート)(PTS)を
用いた。これら高分子はいずれも室温未満のガラス転移
点を有する。
分子材料、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)(PB
A)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ
(エチレンアジペート)(PEA)、ポリ(エチレンア
ゼレート)(PEAz)、ポリ(2,2−ジメチル−
1,3−プロピレンサクシネート)(PPS)、ポリ
(トリメチレンアジペート)(PTA)、ポリ(1,4
−シクロヘキサンジメチレンサクシネート)(PC
S)、ポリ(トリメチレンサクシネート)(PTS)を
用いた。これら高分子はいずれも室温未満のガラス転移
点を有する。
【0015】用いた匂い物質は、1:p−アニスアルデ
ヒド(サンザシ様の香り)、2:シトラール(レモン調
の香り)、3:ゲラニオール(優雅なバラ様の香り)、
4:フェニルエチルアルコール(弱いバラ様の香り)、
5:α−テルピネオール(ライラック様の香り)の単一
香料であり、応答値としては3分後の値を用いた。ま
ず、これら5つの香りの応答パターンをバックプロパゲ
ーション法(入力層88セル、中間層10セル、出力層
5セル)を用いて学習し、におい識別を行った。25回
の繰返し学習を行った所で誤認識が0となり、教師信号
との誤差2乗和は30回の繰返しで0.46まで低下し
た。
ヒド(サンザシ様の香り)、2:シトラール(レモン調
の香り)、3:ゲラニオール(優雅なバラ様の香り)、
4:フェニルエチルアルコール(弱いバラ様の香り)、
5:α−テルピネオール(ライラック様の香り)の単一
香料であり、応答値としては3分後の値を用いた。ま
ず、これら5つの香りの応答パターンをバックプロパゲ
ーション法(入力層88セル、中間層10セル、出力層
5セル)を用いて学習し、におい識別を行った。25回
の繰返し学習を行った所で誤認識が0となり、教師信号
との誤差2乗和は30回の繰返しで0.46まで低下し
た。
【0016】学習終了時点での中間層、出力層の各ニュ
ーロンの結合の強さ(荷重値)を用いて、香りの識別を
行った。識別試験は1つの香りに付き30回の繰返し測
定を行い、そのパターンを用いて学習済み荷重値で識別
を行った。p−アニスアルデヒドでは30回の繰返し測
定を行い、97%の認識率を達成した。シトラールでは
30回の繰返し測定を行い、100%の認識率を達成し
た。ゲラニオールでは、100%の認識率を達成した。
フェニルエチルアルコールでは、100%の認識率を達
成した。α−テルピネオールでは、97%の認識率を達
成した。また、全体では150回の繰返し測定を行い、
誤認識が2回、すなわち99%の認識率を達成できた。
表2にはこの結果をポリ(トリメチレンサクシネート)
の代りにポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンオキ
シド)(PPO)を用いた場合と比較して示した。
ーロンの結合の強さ(荷重値)を用いて、香りの識別を
行った。識別試験は1つの香りに付き30回の繰返し測
定を行い、そのパターンを用いて学習済み荷重値で識別
を行った。p−アニスアルデヒドでは30回の繰返し測
定を行い、97%の認識率を達成した。シトラールでは
30回の繰返し測定を行い、100%の認識率を達成し
た。ゲラニオールでは、100%の認識率を達成した。
フェニルエチルアルコールでは、100%の認識率を達
成した。α−テルピネオールでは、97%の認識率を達
成した。また、全体では150回の繰返し測定を行い、
誤認識が2回、すなわち99%の認識率を達成できた。
表2にはこの結果をポリ(トリメチレンサクシネート)
の代りにポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンオキ
シド)(PPO)を用いた場合と比較して示した。
【0017】
【表2】 表 2 においセンサの認識率 ──────────────────────────────────── 低ガラス転移点高分子 低ガラス転移点高分子+PPO ──────────────────────────────────── p−アニスアルデヒド 97% 93% シトラール 100% 97% ゲラニオール 100% 97% フェニルエチル アルコール 100% 93% α−テルピネオール 97% 97% ────────────────────────────────────
【0018】PPOをセンサヘッドに加えるとにおい物
質の吸蔵によって再現性が低下し、認識率の低下がみら
れた。以上のことより、測定温度より低いガラス転移点
を有する高分子を用いたにおいセンサは高認識性をもつ
ことが明らかとなった。
質の吸蔵によって再現性が低下し、認識率の低下がみら
れた。以上のことより、測定温度より低いガラス転移点
を有する高分子を用いたにおいセンサは高認識性をもつ
ことが明らかとなった。
【0019】実施例3 実施例1で示した低ガラス転移点を有する高分子被覆セ
ンサヘッドがにおい質の測定に有効かどうかを明らかに
するために、高分子被覆8ヘッド水晶振動子式におい質
センサを作製し、人間のにおい主観との相関を検討し
た。用いた香料は一般の調香師が用いている各種ノート
の中から表3〜表7に示す15ノート、37種を用い
た。
ンサヘッドがにおい質の測定に有効かどうかを明らかに
するために、高分子被覆8ヘッド水晶振動子式におい質
センサを作製し、人間のにおい主観との相関を検討し
た。用いた香料は一般の調香師が用いている各種ノート
の中から表3〜表7に示す15ノート、37種を用い
た。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
【表6】
【0024】
【表7】
【0025】センサの構成及び被覆高分子は実施例2と
同様である。センサ応答値としては、香料にさらした後
3分後の値を用いた。
同様である。センサ応答値としては、香料にさらした後
3分後の値を用いた。
【0026】図4にはセンサ応答を主成分分析し、成分
1と成分2の主成分得点をプロットしたものを示す。図
中横軸は成分1(PBA、PES、PEA、PTS)
(寄与率36.3%)、縦軸は成分2(PEAz、PT
A、PCS)(寄与率23.7%)を示す。また、Aは
テルペン系アルコール・アルデヒド、Bは脂肪族エステ
ル(テルペン系アルコールのエステル化物)、Cは飽和
脂肪族アルデヒド、Dは芳香族、Eはサリチル酸類を示
し、A〜Eをそれぞれ枠で囲んでいる。明らかにこのセ
ンサは香料をその特徴的な分子構造によって分離してい
ることがわかる。
1と成分2の主成分得点をプロットしたものを示す。図
中横軸は成分1(PBA、PES、PEA、PTS)
(寄与率36.3%)、縦軸は成分2(PEAz、PT
A、PCS)(寄与率23.7%)を示す。また、Aは
テルペン系アルコール・アルデヒド、Bは脂肪族エステ
ル(テルペン系アルコールのエステル化物)、Cは飽和
脂肪族アルデヒド、Dは芳香族、Eはサリチル酸類を示
し、A〜Eをそれぞれ枠で囲んでいる。明らかにこのセ
ンサは香料をその特徴的な分子構造によって分離してい
ることがわかる。
【0027】一方、人間が匂い物質をどのように評価し
ているかを明らかにするために、匂い物質の主観評価実
験を行った。匂い物質としてはセンサ応答を調べたとき
と同じ香料を用いた。被験者は20才代の女性8名であ
り、55の形容詞群(記述尺度,情緒連想度,色連想
度)を7段階尺度で評定させた。それぞれの主観評価は
主成分分析され、その結果として共通した二つの成分が
得られ、第一成分は“快適度”(寄与率は約40%)
を、第二成分は、“さわやか度”又は“優雅さ度”(寄
与率は約11%)を表していると結論づけられた(累積
寄与率51%)。
ているかを明らかにするために、匂い物質の主観評価実
験を行った。匂い物質としてはセンサ応答を調べたとき
と同じ香料を用いた。被験者は20才代の女性8名であ
り、55の形容詞群(記述尺度,情緒連想度,色連想
度)を7段階尺度で評定させた。それぞれの主観評価は
主成分分析され、その結果として共通した二つの成分が
得られ、第一成分は“快適度”(寄与率は約40%)
を、第二成分は、“さわやか度”又は“優雅さ度”(寄
与率は約11%)を表していると結論づけられた(累積
寄与率51%)。
【0028】図5には第一、第二主成分の各匂いの主成
分得点(8名による平均値)をプロットした結果を示
す。図5におけるA〜Eは図4と同義であり、A〜Eを
それぞれ枠で囲んでいる。図5から明らかなように各匂
い物質の快適度は芳香族類を除いてその特徴的な分子構
造によって分類されており、鎖状炭化水素ではテルペン
系が最も快適な匂いで、エステル化されると快適度は低
下する。一方、飽和脂肪族アルデヒドは全般的に不快な
匂いである。対して、さわやか度は化学構造との明確な
相関は見られないが、芳香族類は全般的にさわやか度が
低い(優雅さ度が大きい)傾向にある。この結果から匂
いの質は官能基ではなく匂い分子の化学構造を反映して
いることが明らかとなった。この分類は、先に示したセ
ンサ応答と類似している。
分得点(8名による平均値)をプロットした結果を示
す。図5におけるA〜Eは図4と同義であり、A〜Eを
それぞれ枠で囲んでいる。図5から明らかなように各匂
い物質の快適度は芳香族類を除いてその特徴的な分子構
造によって分類されており、鎖状炭化水素ではテルペン
系が最も快適な匂いで、エステル化されると快適度は低
下する。一方、飽和脂肪族アルデヒドは全般的に不快な
匂いである。対して、さわやか度は化学構造との明確な
相関は見られないが、芳香族類は全般的にさわやか度が
低い(優雅さ度が大きい)傾向にある。この結果から匂
いの質は官能基ではなく匂い分子の化学構造を反映して
いることが明らかとなった。この分類は、先に示したセ
ンサ応答と類似している。
【0029】そこで、センサ応答値から主観評価を行う
ために、基準変数としては主観評価実験における主成分
得点を、説明変数としては各ヘッドのセンサ応答値を用
いて重回帰分析を行った。第一成分とセンサ応答値との
間には重相関係数0.85(P<0.001)の有意な
相関が見られ、快適性をセンシングできることがわかっ
た。一方、第二成分についても重み係数の調整により重
相関係数0.83(P<0.001)の有意な相関が観
測された。以上のことは、8個の水晶振動子式センサの
応答値を用いて、その応答値の重みを変化させるだけで
人間の匂い主観の2成分(累積寄与率51%)を同時に
計測できることを示しており、低ガラス転移点を有する
高分子を用いることによりにおい質を明確にセンシング
できることを見出した。
ために、基準変数としては主観評価実験における主成分
得点を、説明変数としては各ヘッドのセンサ応答値を用
いて重回帰分析を行った。第一成分とセンサ応答値との
間には重相関係数0.85(P<0.001)の有意な
相関が見られ、快適性をセンシングできることがわかっ
た。一方、第二成分についても重み係数の調整により重
相関係数0.83(P<0.001)の有意な相関が観
測された。以上のことは、8個の水晶振動子式センサの
応答値を用いて、その応答値の重みを変化させるだけで
人間の匂い主観の2成分(累積寄与率51%)を同時に
計測できることを示しており、低ガラス転移点を有する
高分子を用いることによりにおい質を明確にセンシング
できることを見出した。
【0030】以上の結果は、測定温度より低いガラス転
移点を有する高分子を被覆したセンサヘッドは、におい
物質及びにおい質に対する認識性、感度、再現性・繰返
し特性に優れていることを示している。
移点を有する高分子を被覆したセンサヘッドは、におい
物質及びにおい質に対する認識性、感度、再現性・繰返
し特性に優れていることを示している。
【0031】実施例4 実施例3に示したように、におい主観とセンサ応答との
間に有意な相関が観測されたが、より相関を上げるため
には、性質が異なり基準となる高分子を一つ入れておく
必要がある。そこで、実施例3における8種のポリマー
のうちの任意の1つ、例えばポリ(トリメチレンサクシ
ネート)の代りにハイデンシティポリエチレン(ジエネ
ラル サイエンス Corp.製)を加え、同様な実験を行っ
た。その結果、第一成分とセンサ応答値との間に重相関
係数0.93(P<0.001)、第二成分とセンサ応
答値との間には0.90(P<0.001)のより有意
な相関が見られた。
間に有意な相関が観測されたが、より相関を上げるため
には、性質が異なり基準となる高分子を一つ入れておく
必要がある。そこで、実施例3における8種のポリマー
のうちの任意の1つ、例えばポリ(トリメチレンサクシ
ネート)の代りにハイデンシティポリエチレン(ジエネ
ラル サイエンス Corp.製)を加え、同様な実験を行っ
た。その結果、第一成分とセンサ応答値との間に重相関
係数0.93(P<0.001)、第二成分とセンサ応
答値との間には0.90(P<0.001)のより有意
な相関が見られた。
【0032】
【発明の効果】以上の実施例で示したように高選択性、
高感度、再現性・繰返し特性に優れたにおいセンサは一
般的な場所での使用が可能であり、例えば、コーヒーな
どの倉庫管理における品質管理、環境汚染物質の監視、
また、におい質が計測できることから、人間の代りとな
るセンサとして利用され、香料を使用した製品の検査、
におい発生器と組合せたにおい空間の制御、官能検査に
おける感性検査ロボットなどへの有効利用が期待され
る。
高感度、再現性・繰返し特性に優れたにおいセンサは一
般的な場所での使用が可能であり、例えば、コーヒーな
どの倉庫管理における品質管理、環境汚染物質の監視、
また、におい質が計測できることから、人間の代りとな
るセンサとして利用され、香料を使用した製品の検査、
におい発生器と組合せたにおい空間の制御、官能検査に
おける感性検査ロボットなどへの有効利用が期待され
る。
【図1】3種ポリエステル類及びPPOを被覆高分子と
したセンサのフェニルエチルアルコールに対する時間応
答を示すグラフである。
したセンサのフェニルエチルアルコールに対する時間応
答を示すグラフである。
【図2】水晶振動子式マルチヘッド型においセンサのヘ
ッド部の構造図である。
ッド部の構造図である。
【図3】図2のヘッド部の検出部の拡大図である。
【図4】37種合成香料のセンサ応答において得られた
各香料の主成分得点を第一及び第二成分に対してプロッ
トした図である。
各香料の主成分得点を第一及び第二成分に対してプロッ
トした図である。
【図5】37種合成香料の主観評価実験において得られ
た各香料の主成分得点を第一及び第二成分に対してプロ
ットした図である。
た各香料の主成分得点を第一及び第二成分に対してプロ
ットした図である。
1:水晶振動子、2:下地電極、3:有機高分子薄膜、
4:発振回路
4:発振回路
Claims (3)
- 【請求項1】 多数個の水晶振動子及び表面弾性波素子
のうち少なくとも一方の表面に電極を介して、におい物
質を選択的に吸着する有機薄膜を設けてなるヘッドを複
数個含み、個々のヘッドの固有振動の変化からにおい物
質及びにおい質を判定するマルチヘッド型においセンサ
において、前記有機薄膜が、測定環境温度より低いガラ
ス転移点を有する高分子を主体とすることを特徴とする
においセンサヘッド。 - 【請求項2】 前記有機薄膜が、すべて測定環境温度よ
り低いガラス転移点を有するポリエステル高分子からな
ることを特徴とする請求項1に記載のにおいセンサヘッ
ド。 - 【請求項3】 前記有機薄膜が、測定環境温度より低い
ガラス転移点を有するポリエステル高分子と、基準とな
るポリエチレン類高分子からなることを特徴とする請求
項1に記載のにおいセンサヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18054192A JPH05346384A (ja) | 1992-06-16 | 1992-06-16 | においセンサヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18054192A JPH05346384A (ja) | 1992-06-16 | 1992-06-16 | においセンサヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05346384A true JPH05346384A (ja) | 1993-12-27 |
Family
ID=16085080
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18054192A Pending JPH05346384A (ja) | 1992-06-16 | 1992-06-16 | においセンサヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05346384A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006275862A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Yokohama Tlo Co Ltd | 臭気測定装置 |
US7140255B2 (en) | 2003-08-19 | 2006-11-28 | Ngk Insulators, Ltd. | Devices and method of measuring a mass |
JP2010216851A (ja) * | 2009-03-13 | 2010-09-30 | Olympus Corp | 物質検出システム |
JP2020055205A (ja) * | 2018-10-02 | 2020-04-09 | 東ソー株式会社 | 金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂部材複合体の製造方法 |
-
1992
- 1992-06-16 JP JP18054192A patent/JPH05346384A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7140255B2 (en) | 2003-08-19 | 2006-11-28 | Ngk Insulators, Ltd. | Devices and method of measuring a mass |
JP2006275862A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Yokohama Tlo Co Ltd | 臭気測定装置 |
JP2010216851A (ja) * | 2009-03-13 | 2010-09-30 | Olympus Corp | 物質検出システム |
JP2020055205A (ja) * | 2018-10-02 | 2020-04-09 | 東ソー株式会社 | 金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂部材複合体の製造方法 |
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