JPH05340209A - ヒータドレンタンク器内圧力調節装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒータドレンタンクと対をなす低圧給水加熱
器を除外した場合も、ヒータドレンポンプを停止させる
ことなく、ヒータドレンを復水系統へ効率よく回収する
こと。 【構成】 低圧給水加熱器４等から排出されるドレンを
回収するとともに、そこで発生したフラッシュ蒸気を上
記低圧給水加熱器に供給し、またそこから排出されるド
レンを復水系統に戻すようにしたヒータドレンタンク１
２における器内圧力調節装置において、上記ヒータドレ
ンタンク１２の上部と低圧給水加熱器４に加熱蒸気を供
給する加熱蒸気管５とを、止め弁２２を有するヒータド
レンタンク圧力調節管２１によって接続した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、火力発電プラントにお
ける給水加熱器から排出されるドレンを回収するヒータ
ドレンタンクの器内圧力調節装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、火力発電プラントにおいては、
給水加熱器から排出されるドレンをヒータドレンタンク
に回収して気水分離させ、発生した蒸気をこれと対をな
す低圧給水加熱器に回収することが行なわれている。そ
して、このヒータドレンタンクで回収されたドレンは、
ヒータドレンポンプによって復水系統の当該低圧給水加
熱器の２次側に戻される。

【０００３】上記ヒータドレンタンクと対をなす低圧給
水加熱器は、蒸気タービンと加熱蒸気管を介して接続さ
れており、その加熱蒸気管によって蒸気タービンからの
抽気が加熱蒸気として低圧給水加熱器に供給される。し
たがって、ヒータドレンタンクの器内圧力は蒸気タービ
ン負荷に従って変化する。

【０００４】すなわち、当該低圧給水加熱器とヒータド
レンタンク発生蒸気管によって接続されているヒータド
レンタンクの器内圧力は低圧給水加熱器の器内圧力に一
致して、蒸気タービンの負荷変化に従って変動してお
り、それより下流側（高圧側）の給水加熱器と当該低圧
給水加熱器の圧力差によってヒータドレンタンク内で発
生するヒータドレンタンク発生蒸気がバランスされてい
る。

【０００５】したがって、当該低圧給水加熱器の加熱管
リーク等の不具合により、その給水加熱器を除外して運
転する場合は、ヒータドレンタンクの器内圧力が当該低
圧給水加熱器回りの止め弁の閉鎖によって制御されなく
なり、ヒータドレンの回収はドレンポンプを介しての復
水系統から、復水器へと変更する必要が生ずる。

【０００６】すなわち、上述のようにヒータドレンタン
クと対をなす低圧給水加熱器を除外して運転する場合
は、ヒータドレンタンクの器内圧力を制御する機能がな
くなるので、いきおい正常なヒータドレンポンプも除外
しなければならなくなり、復水系統に回収していたヒー
タドレンは復水器へ戻さねばならなくなる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、一般に復水
系統へヒータドレンを回収する場合と復水器へ回収する
場合を比較すると、熱消費率上では高温側から排出され
るドレン温度と復水器での飽和温度との差分に相当する
熱損失が生じ、その値は通常１〜５Kcal／kwh の程度と
なる。

【０００８】また、通常復水系統へヒータドレンポンプ
を介して回収していたドレンを復水器を介して回収する
ために、復水ポンプから当該低圧給水加熱器までの復水
系統は通常の場合の１２０〜１４０％の復水量を処理す
る必要がある。そのためにポンプの予備機を生かした２
台運転を必要とし、場合によっては系統の圧力損失の増
加によって復水調節弁のサイズ不足などから、ドレン処
理のために蒸気タービンの負荷制限をせざるを得ないこ
ともある。

【０００９】本発明はこのような点に鑑み、ヒータドレ
ンタンクと対をなす低圧給水加熱器を除外した場合も、
ヒータドレンポンプを停止させることなく、ヒータドレ
ンを復水系統へ効率よく回収することができ、しかも復
水器回り系統の運転に大きな外乱を与えないようにした
ヒータドレンタンク器内圧力調節装置を得ることを目的
とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の第１発明は、低
圧給水加熱器及びこの低圧給水加熱器で加熱された復水
をさらに高温に加熱する高温側給水加熱器から排出され
るドレンを回収するとともに、そこで発生したフラッシ
ュ蒸気を上記低圧給水加熱器に供給し、またそこから排
出されるドレンを復水系統に戻すようにしたヒータドレ
ンタンクにおける器内圧力調節装置において、上記ヒー
タドレンタンクの上部と低圧給水加熱器に加熱蒸気を供
給する加熱蒸気管とを、止め弁を有するヒータドレンタ
ンク圧力調節管によって接続したことを特徴とする。

【００１１】また第２の発明は、上記ヒータドレンタン
クの上部と復水器とをヒータドレンタンク圧力調節管に
よって接続するとともに、そのヒータドレンタンク圧力
調節管に、低圧給水加熱器に加熱蒸気を供給する加熱蒸
気管内の圧力とヒータドレンタンク内の圧力との差圧に
よって制御される圧力調節弁を設けたことを特徴とす
る。

【００１２】

【作用】低圧給水加熱器をバイパスして運転する場合、
ヒータドレンタンクで発生した蒸気の低圧給水加熱器へ
の供給を停止するとともに、ヒータドレンタンク圧力調
節管に設けられた止め弁を開き、或は圧力調節弁の開度
が制御され、それによりヒータドレンタンク内の圧力が
当該低圧給水加熱器が運転しているときと同じ圧力に制
御される。

【００１３】

【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。

【００１４】図１は本発明の一実施例を示す系統図であ
って、蒸気タービン１から排出された蒸気は復水器２で
復水され、その復水は復水ポンプ３によって低圧給水加
熱器４に送られ、そこで蒸気タービン１の途中段落から
加熱蒸気管５を介して供給される加熱蒸気と熱交換して
加熱され、その後さらに図示しない複数の高圧側の給水
加熱器に順次送られて加温されボイラに供給される。

【００１５】上記低圧給水加熱器４が接続されている復
水管６には、低圧給水加熱器４の入口側及び出口側にそ
れぞれ復水入口弁７及び復水出口弁８が設けられてお
り、この復水入口弁７の上流側と復水出口弁８の下流側
とが復水バイパス弁９を有するバイパス管１０によって
接続されている。すなわち、必要に応じて低圧給水加熱
器４をバイパスして復水を高圧側の給水加熱器に供給し
得るようにしてある。

【００１６】また、前記高圧側の給水加熱器及び低圧給
水加熱器４で発生したドレンは、それぞれヒータドレン
管１１ａ，１１ｂを介してヒータドレンタンク１２に回
収される。

【００１７】上記ヒータドレンタンク１２の上部は、止
め弁１３を有するヒータドレンタンク発生蒸気管１４を
介して低圧給水加熱器４に接続されており、またヒータ
ドレンタンク１２の下部はヒータドレンタンクドレン管
１５を介して前記復水出口弁８の下流側の復水管６に接
続され、そのヒータドレンタンクドレン管１５にはヒー
タドレンポンプ１６が設けられている。さらに、上記ヒ
ータドレンタンクドレン管１５には、ヒータドレンポン
プ１６の入口側からドレン管１７が分岐導出され、その
ドレン管１７の先端は復水器２に接続されている。なお
図中符号１８はドレン管１７に設けた水位調節弁、１９
はヒータドレン管１１ｂに設けたヒータドレン止め弁で
ある。

【００１８】ところで、加熱蒸気管５には、その加熱蒸
気管５に設けられている抽気弁２０の上流側にヒータド
レンタンク圧力調節管２１の一端が接続され、その他端
が圧力調節弁２２を介してヒータドレンタンク１２の上
部、すなわちヒータドレンタンク発生蒸気管１４の止め
弁１３よりヒータドレンタンク１２側に接続されてい
る。

【００１９】しかして、常時においては復水バイパス弁
９、水位調節弁１８、及び圧力調節弁２２が閉じられて
おり、ヒータドレンタンク１２内で発生したフラッシュ
蒸気はヒータドレンタンク発生蒸気管１４を通って低圧
給水加熱器４に加熱蒸気として回収され、給水の加熱に
供される。

【００２０】一方、上記低圧給水加熱器４及び高圧側の
給水加熱器で発生したドレンはそれぞれヒータドレン管
１１ｂ，１１ａを経てヒータドレンタンク１２に回収さ
れ、そのドレンはヒータドレンポンプ１６によりヒータ
ドレンタンクドレン管１５を通って、低圧給水加熱器４
より下流の復水管６内に回収される。また、上記ヒータ
ドレンポンプ１６が停止された場合、或はヒータドレン
タンク１２内の水位が一定以上になった場合には、水位
調節弁１８が開かれ、ヒータドレンタンク１２内のドレ
ンが復水器２に排出される。

【００２１】そこで、低圧給水加熱器加熱管リーク等の
不具合により給水加熱器を除外して運転する場合には、
復水入口弁７、復水出口弁８、止め弁１３、ヒータドレ
ン止め弁１９、抽気弁２０が全閉され、復水バイパス弁
９及び圧力調節弁２２が全開される。

【００２２】したがって、ヒータドレンタンク１２内が
ヒータドレンタンク圧力調節管２１を介して蒸気タービ
ン１の途中段落に連通し、ヒータドレンタンク１２内の
器内圧力が、低圧給水加熱器４が蒸気タービン１に接続
されていた時と同じ圧力に維持される。そのため、ヒー
タドレンタンク１２内のドレンは通常時と全く同様にし
てヒータドレンポンプ１６によって復水系統に回収する
ことができる。すなわち、蒸気タービン１の負荷変動が
生じた場合でも、ヒータドレンタンク、ヒータドレンポ
ンプ系統を安定して運転することができる。

【００２３】図２は本発明の第２の発明を示す系統図で
あって、ヒータドレンタンク発生蒸気管１４には、止め
弁１３より上流側にヒータドレンタンク圧力調節管２３
が接続されており、そのヒータドレンタンク圧力調節管
２３の他端は復水器２に接続され、このヒータドレンタ
ンク圧力調節管２３には圧力調節弁２４が設けられてい
る。

【００２４】また、ヒータドレンタンク１２には器内圧
力を検出するヒータドレンタンク圧力検出器２５が設け
られ、加熱蒸気管５には抽気弁２０より上流側に加熱蒸
気圧力を検出する加熱蒸気圧力検出器２６が設けられて
いる。

【００２５】そして、上記ヒータドレンタンク圧力検出
器２５及び加熱蒸気圧力検出器２６でそれぞれ検出され
た両圧力信号の偏差信号によって、上記圧力調節弁２４
の開度が制御されるようにしてある。

【００２６】しかして、通常時においては図１記載のも
のと同様に作動し、低圧給水加熱器４を除外して運転す
る場合すなわち低圧給水加熱器４をバイパスして運転す
る場合には、復水入口弁７、復水出口弁８を閉じ、復水
バイパス弁９が全開され、また抽気弁２０、ヒータドレ
ン止め弁１９、及び止め弁１３が全閉される。したがっ
て、圧力調節弁２４が、加熱蒸気圧力検出器２６及びヒ
ータドレンタンク圧力検出器２５の両検出圧力の偏差に
よって開動作され、ヒータドレンタンク１２内で発生す
る蒸気が復水器２へ逃がされ、ヒータドレンタンク１２
の器内圧力が加熱蒸気圧力すなわち低圧給水加熱器４が
蒸気タービンに接続されていた時と同じ圧力に維持され
る。

【００２７】これによって、図１に記載のものと同様に
蒸気タービン１の負荷変動にかかわらず、ヒータドレン
タンク、ドレンポンプ系統を安定して運転することがで
きる。

【００２８】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、ヒ
ータドレンタンクと対をなす低圧給水加熱器を除外した
場合でも、ヒータドレンポンプを停止することなく連続
して運転でき、ドレンを復水系統へ回収することができ
る。そのため、ヒータドレンの熱効率の良い回収を行な
うことができ、省エネルギを図ることかできるととも
に、復水系統回りの運転上の制約をなくすことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の発明のヒータドレンタンク器内圧力調節
装置の系統図。

【図２】第２の発明のヒータドレンタンク器内圧力調節
装置の系統図。

【符号の説明】

１ 蒸気タービン ２ 復水器 ４ 低圧給水加熱器 ５ 加熱蒸気管 ７ 復水入口弁 ８ 復水出口弁 ９ 復水バイパス弁 １２ ヒータドレンタンク １４ ヒータドレンタンク発生蒸気管 １５ ヒータドレンタンクドレン管 １６ ヒータドレンポンプ ２１，２３ ヒータドレンタンク圧力調節管 ２２，２４ 圧力調節弁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】低圧給水加熱器及びこの低圧給水加熱器で
   加熱された復水をさらに高温に加熱する高温側給水加熱
   器から排出されるドレンを回収するとともに、そこで発
   生したフラッシュ蒸気を上記低圧給水加熱器に供給し、
   またそこから排出されるドレンを復水系統に戻すように
   したヒータドレンタンクにおける器内圧力調節装置にお
   いて、上記ヒータドレンタンクの上部と低圧給水加熱器
   に加熱蒸気を供給する加熱蒸気管とを、止め弁を有する
   ヒータドレンタンク圧力調節管によって接続したことを
   特徴とする、ヒータドレンタンク器内圧力調節装置。
2. 【請求項２】低圧給水加熱器及びこの低圧給水加熱器で
   加熱された復水をさらに高温に加熱する高温側給水加熱
   器から排出されるドレンを回収するとともに、そこで発
   生したフラッシュ蒸気を上記低圧給水加熱器に供給し、
   またそこから排出されるドレンを復水系統に戻すように
   したヒータドレンタンクにおける器内圧力調節装置にお
   いて、上記ヒータドレンタンクの上部と復水器とをヒー
   タドレンタンク圧力調節管によって接続するとともに、
   そのヒータドレンタンク圧力調節管に、低圧給水加熱器
   に加熱蒸気を供給する加熱蒸気管内の圧力とヒータドレ
   ンタンク内の圧力との差圧によって制御される圧力調節
   弁を設けたことを特徴とする、ヒータドレンタンク器内
   圧力調節装置。