JPH05333364A - 空間光変調装置 - Google Patents

空間光変調装置

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JPH05333364A
JPH05333364A JP16218892A JP16218892A JPH05333364A JP H05333364 A JPH05333364 A JP H05333364A JP 16218892 A JP16218892 A JP 16218892A JP 16218892 A JP16218892 A JP 16218892A JP H05333364 A JPH05333364 A JP H05333364A
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祐二 小林
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成浩 吉田
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直久 向坂
Terushige Hori
輝成 堀
Seiji Fukushima
誠治 福島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 空間光変調素子の解像度を良好に保ったま
ま、書き込み動作を複数回繰り返し行うことができる空
間光変調装置を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置10
は、FLCSLM1と、駆動電源2と、該駆動電源2に
接続された極性反転コントローラ3を備えている。極性
反転コントローラ3は、駆動電源2がFLCSLM1に
印加する書き込み駆動電圧Vw、書き込み補償電圧
wc、消去駆動電圧Ve、及び、消去補償電圧Vecの極
性を、制御動作Sの周期Tsにしたがって、反転制御す
る。したがって、Vw、Vwc、Ve、及び、Vecの極性
は、各制御動作S毎に反転する。 【効果】 FLCSLM内に電荷が蓄積するのを抑制で
き、制御動作を繰り返し行っても、書き込みパターンの
解像度の劣化を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空間光変調装置、より
詳しくは、強誘電性液晶空間光変調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空間光変調装置とは、情報を2次元ある
いは1次元の並列光情報として処理するデバイスであ
る。かかる空間光変調装置は、空間光変調素子と、これ
に駆動電圧を印加するための駆動電源を備えている。空
間光変調素子は、アドレス材料層と光変調材料層からな
るものである。駆動電源が空間光変調素子に駆動電圧を
印加している間に、パターン情報がアドレス材料に入力
されると、光変調材料層の光学的特性が該パターン情報
に応じて変化する。この結果、該パターン情報が空間光
変調素子に書き込まれる。また、読みだし光を該光変調
材料層に照射すると、該読みだし光は該光変調材料の光
学的特性に応じた変調をうけ出射する。この結果、該パ
ターン情報の読みだしが行われる。
【0003】かかる空間光変調装置には、駆動電源が直
流の駆動電圧を印加するタイプのものがある。たとえ
ば、ある種の液晶空間光変調装置(LCLV)やBSO
空間光変調装置(PROM)、MSLM(Microchannel
Spatial Light Modulator)等である。そして、該液晶
空間光変調装置の一つに、強誘電性液晶空間光変調装置
がある。
【0004】平成2年公開特許公報第289827号
は、図8Aに示すような強誘電性液晶空間光変調装置を
提案している。該強誘電性液晶空間光変調装置は、強誘
電性液晶空間光変調素子(以下、「FLCSLM」とい
う)1と、該FLCSLM1を直流電圧の制御パルスで
駆動するための駆動電源2とからなる。該FLCSLM
1では、光変調材料層である強誘電性液晶層(以下、
「液晶層」という)1Fが、一対の配向層1Eと1Gの
間に設けられている。該配向層1Eの該液晶層1Fと反
対の側には、誘電体ミラー1Dと、アドレス材料層とし
てのアモルファスシリコン層(以下、「α−Si層」と
いう)1Cと、書き込み側透明電極(以下、「電極」と
いう)1Bと、ガラス層1Aが設けられている。また、
該配向層1Gの該液晶層1Fと反対の側には、読み出し
側透明電極(以下、「電極」という)1Hと、ガラス層
1Iとが設けられている。該液晶層1Fはカイラルスメ
クチックC(Sc *)液晶である。また、該α−Si層1
Cは光伝導体層である。かかる構成の強誘電性液晶空間
光変調装置20においては、パターン情報は、該FLC
SLM1の書き込み側面に書き込み光として入射し、読
みだし光は読みだし側面に入射する。
【0005】駆動電源2は、該FLCSLM1の該一対
の電極1Bと1Hの間に、書き込み用の直流駆動電圧パ
ルス(以下、「書き込み駆動電圧」という)Vwと消去
用の直流駆動電圧パルス(以下、「消去駆動電圧」とい
う)Veを、相等しいパルス時間τだけ印加する。な
お、書き込み駆動電圧Vwと消去駆動電圧Veとは、その
極性が反対である。駆動電源2はまた、書き込み駆動電
圧を印加する直前に、書き込み用直流補償電圧パルス
(以下、「書き込み補償電圧」という)Vwcを、該パル
ス時間τだけ印加する。書き込み補償電圧Vwcは、書き
込み駆動電圧Vwとは極性が反対だが絶対値が等しい。
駆動電源2はさらに、消去駆動電圧を印加する直前に、
消去用直流補償電圧パルス(以下、「消去補償電圧」と
いう)Vecを、該パルス時間τだけ印加する。消去補償
電圧Vecは、消去駆動電圧Veとは極性が反対だが絶対
値が等しい。
【0006】上記構成の空間光変調装置20に、2次元
のパターン情報を記録する際には、図8Bに示すよう
に、まず、消去用の一様光パルスを、FLCSLMの書
き込み面全体に照射させる。これと同期して、駆動電源
2が、消去補償電圧Vecと消去駆動電圧Veをこの順で
該FLCSLM1に印加する。該一様光パルスが照射さ
れているα−Si層1C全体が低抵抗となるため、液晶
層1F全体には、該電圧Vec及びVeとそれぞれ極性の
等しい高電圧Vfec及びVfeがかかることになる。そし
て、消去駆動電圧Veの印加が終了する時には、電圧V
feの絶対値と該パルス幅τとの積が、液晶材料に固有の
あるしきい値c以上となる。したがって、この時には、
液晶層1F内の全部の液晶分子が、その自発分極Pが電
圧Vfe(つまり、消去駆動電圧Ve)の極性の方向に向
くように一様に揃っている。つまり、液晶層に既に記録
されていたパターンが消去されている。(以下、上記動
作を、「消去動作E」という。)次に、2次元パターン
の書き込み光パルスを書き込み面に照射させる。これと
同期して、駆動電源2が、書き込み補償電圧Vwcと書き
込み駆動電圧Vwを、この順で該FLCSLM1に印加
する。α−Si層では、該2次元パターン光の明部が照
射された部分のみが低抵抗となっている。このため、液
晶層にかかる電圧Vfwc及びVfwは、該パターン光の明
部に対応した部分のみが高電圧となる。したがって、書
き込み駆動電圧Vwの印加が終了する時には、液晶層の
うち該パターンの明部に対応した領域のみにおいて、電
圧Vfwの絶対値と該パルス幅τとの積が該しきい値c以
上となっている。したがって、この時には、該明部に対
応した領域のみの液晶分子が、その自発分極Pが電圧V
fw(つまり、書き込み駆動電圧Vw)の極性の方向に向
くように反転している。つまり、液晶層に該2次元パタ
ーンが記録されている。(以下、上記動作を、「書き込
み動作W」という。)液晶層1Fはメモリー性を有する
ため、書き込み駆動電圧Vwの印加を終了した後も、液
晶分子の配列状態はそのままの状態に維持される。した
がって、かかる書き込み動作の後に該読みだし面を介し
て該液晶層1F内に入射した読みだし光は、該液晶の配
列状態(つまり、該2次元パターン)に応じた変調をう
け、再び、該読みだし面から出射する。このようにし
て、該記録された2次元パターンの読みだしが行われ
る。(以下、上記動作を、「読みだし動作R」とい
う。)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明者ら
は、上記従来の強誘電性液晶空間光変調装置で、上記従
来の消去動作E・書き込み動作W・読みだし動作Rから
なる制御動作Sを、図8Bに示すごとく複数回繰り返し
行っていくと、以下のような問題点が生じることを発見
した。すなわち、該制御動作Sを繰り返していくにした
がい、各制御動作の読みだし動作で得られる読みだしパ
ターンの解像度が、次第に低下していってしまうのであ
る。これは、制御動作Sを繰り返し行っていくにつれ、
書き込み動作Wにおいてパターンが適切に書き込まれな
くなっていくためと考えられる。
【0008】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、空間光変調素子の解像度を良好に
保ったまま、制御動作(書き込み動作)を複数回繰り返
し行うことができる空間光変調装置を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の空間光変調装置においては、空間光変調素
子に対し該制御動作Sを複数回繰り返し行う場合は、各
制御動作Sで印加する電圧の極性を、各制御動作毎に、
あるいは、制御動作の1回または複数回おきに、反転さ
せることとした。
【0010】すなわち、本発明の空間光変調装置は、空
間光変調素子と、該空間光変調素子にその極性を変化さ
せながら直流電圧を印加するための駆動電源とを、備え
ている。ここで、該空間光変調素子は、強誘電性液晶空
間光変調素子であることが好ましい。
【0011】
【作用】上記構成を有する本発明の空間光変調装置にお
いては、該駆動電源は、該空間光変調素子に直流電圧を
印加し、情報の書き込みを行う。空間光変調装置が情報
の書き込み動作を繰り返し行う場合には、該駆動電源
は、各書き込み動作毎に、あるいは、書き込み動作の1
回または複数回おきに、直流電圧の極性を変化させなが
らこれを印加する。なお、ここで、情報とは、書き込む
べきパターン情報の他、該書き込まれたパターン情報を
消去するために書き込む一様パターン情報をも含む。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0013】図1Aに示すように、本発明の実施例にか
かる強誘電性液晶空間光変調装置10は、FLCSLM
(強誘電性液晶空間光変調素子)1と駆動電源2の他
に、該駆動電源2に接続された極性反転コントローラ3
をも備えている。該極性反転コントローラ3は、駆動電
源2がFLCSLM1に印加する書き込み駆動電圧
w、書き込み補償電圧Vwc、消去駆動電圧Ve、及び、
消去補償電圧Vecの極性を、制御動作Sの周期Tsにし
たがって、反転制御させるためのものである。なお、本
発明の実施例で用いるFLCSLM1は、図8Aに示し
たFLCSLM1とほぼ同様のものであり、ガラス層1
Iの上に反射防止膜1Jが設けられている点、及び、ス
ペーサの代わりにエポキシを用いた点以外は同じであ
る。
【0014】図1Bは、図1Aに示す強誘電性液晶空間
光変調装置10の、本発明にかかる制御動作方法を示す
タイミングチャートである。本発明によれば、図8Bに
示す制御動作方法と異なり、極性反転コントローラ3の
動作により、各制御動作S毎に、Vw、Vwc、Ve、及
び、Vecの極性を、交互に反転させている。すなわち、
駆動電源2は、各制御動作Sにおいて、Vw、Vwc
e、及び、Vecを、その絶対値を一定に保ったままそ
の極性のみを反転させながら印加する。
【0015】本発明では、かかる動作方法を採用したた
め、従来とは異なり以下のような優れた効果が得られる
と考えられる。 (1)FLCSLM1のα−Si層1Cの特性(具体的
には、電荷の移動状態)が、印加される電圧の極性によ
って異なることは、従来より知られていた。電荷の移動
状態の相違は、α−Si層中に電荷を蓄積させる。そし
て、かかる蓄積電荷は、既述の電圧Vfw及びVfeが液晶
層1Fに適切にかかるのを阻害し、書き込み及び消去動
作の障害になる。そこで、従来より、駆動電圧Vw及び
eを印加する直前に、極性が逆の補償電圧Vwc及びV
ecを同一時間だけ印加していた。互いに逆の極性を有す
る電圧の印加時間のバランスを保つことにより、α−S
i層に電荷が蓄積するのを防止するためである。しかし
ながら、従来の動作方法で制御動作Sを複数回繰り返し
行っていく場合には、該補償電圧を印加しているにもか
かわらず、電圧の極性のバランスが次第に崩れ、電荷が
徐々に蓄積していってしまうと、考えられる。しかしな
がら、本発明の動作方法によれば、制御動作S毎に、印
加する全ての電圧Vw、Ve、Vwc、Vecの極性を反転さ
せる。したがって、制御動作Sを複数回繰り返し行って
いっても、α−Si層にかかる電圧の極性のバランスが
崩れることがなく、電荷の蓄積を防止できると、考えら
れる。 (2)また、従来の動作方法によれば、読みだし動作R
の期間Tr中、該液晶分子の自発分極Pは、所定の方向
に向き続ける。すなわち、書き込みパターン光のうち明
部に対応する液晶分子のそれは、書き込み駆動電圧Vw
の極性の方向に向き続け、暗部に対応する液晶分子のそ
れは、消去駆動電圧Veの極性の方向に向き続ける。こ
のため、配向層1E・1G、ミラー層1D,及び、α−
Si層1C内では、該自発分極Pの方向に沿って、電荷
の移動や拡散が行われる。したがって、同一のパターン
に対して該制御動作Sを複数回繰り返し行うと、各読み
だし期間で電荷が常に同一の方向に移動してしまう。こ
のため、該制御動作Sを多数回繰り返した後には、電荷
が一定の位置へ蓄積され、該蓄積された電荷が該液晶層
への電圧Vfw及びVfeの印加を阻害する、と考えられ
る。しかしながら、本発明の動作方法によれば、制御動
作毎に、駆動電圧Vw、Veの極性が反転するので、各制
御動作の読みだし期間毎に、電荷の移動方向も反転す
る。したがって、制御動作を繰り返し行っていっても、
電荷が蓄積されることがないと、考えられる。 以上のように、本発明の動作方法によれば、従来の動作
方法と異なり、配向層1E・1G、ミラー層1D、及
び、α−Si層1Cへの電荷の蓄積を抑制することがで
きる。したがって、制御動作Sを繰り返し行っても、消
去及び書き込み動作を適切に行うことができるため、書
き込みパターン(ひいては読み出しパターン)の解像度
を良好に保つことができる、という効果が得られる。
【0016】なお、図1Bに示すように、本発明におけ
る制御動作方法においては、従来の方法と異なり、読み
だし動作Rの期間Tr内のみ、読みだし光を空間光変調
素子1の読みだし側面に入射させている。これは、書き
込み動作Wの期間Tw中に、読みだし光がα−Si層1
C内に漏れてしまうことを防ぎ、書き込みパターンのコ
ントラストの劣化を防止するためである。また、本発明
の制御動作方法では、消去動作終了時点から書き込み動
作開始時点までの間に、期間Tqを設定している。該期
間Tqは、読みだし動作期間Trに比べて非常に短い。読
みだし動作Rにおいて該読みだし動作期間Trを長くと
っているのは、FLCSLMから出射した読みだし光の
光強度をなるべく大きくする必要があるからである。さ
らに、本発明では、該電圧Vw、Vwc、Ve、及び、Vec
の絶対値や、その印加時間τw、τwc(=τw)、τe
及び、τec(=τe)を、強誘電性液晶空間光変調装置
10の用途に応じて任意に選択することができる。
【0017】本発明者らは、本発明の強誘電性液晶空間
光変調装置10を、上記動作方法により動作させる場合
に、その書き込み解像度がどのように変化していくかを
測定する実験をおこなった。
【0018】図2は、その測定実験に用いた測定装置の
光学系統図である。該測定装置は、空間光変調装置10
のFLCSLM1の書き込み側面に消去用一様光と干渉
縞パターン光を照射するためのマッハツェンダー干渉系
101と、該FLCSLMの読みだし側面に読みだし光
を照射させるための読みだし光学系102と、FLCS
LMで変調され出射した読みだし光を空間的にフーリエ
変換するためのフーリエ変換レンズ103と、フーリエ
変換により該レンズの像側焦点面上に結像される複数の
回折光光点のうち1次回折光光点または2次回折光光点
の光強度を検出するための検出系104からなる。
【0019】マッハツェンダー干渉系101は、2枚の
平面ミラー101M、101M’と、2枚の平面ハーフ
ミラー101HM、101HM’からなり、ハーフミラ
ー101HMからミラー101Mを経てハーフミラー1
01HM’に到る光路長Aと、ハーフミラー101HM
からミラー101M’を経てハーフミラー101HM’
に到る光路長Bとが、互いに等しくなるように配置され
ている。ミラー100からマッハツェンダー干渉系10
1に入射する書き込み光は、ハーフミラー101HM
で、二の光ビームに分割され、それぞれ、ミラー101
M及びミラー101M’を経てハーフミラー101H
M’に達する。ハーフミラー101HM’をハーフミラ
ー101HM’に対して一定の角度だけ傾けた場合に
は、書き込み光は、該FLCSLMの書き込み側面に、
一定の干渉縞を形成する。したがって、FLCSLMに
書き込み補償電圧Vwcと書き込み駆動電圧Vwを印加し
ている間、ハーフミラー101HM’をハーフミラー1
01HMに対して一定の角度だけ傾け干渉縞パターンを
書き込み側面に照射することにより、書き込み動作Wを
行わせることができる。なお、消去動作Eは、FLCS
LMに消去補償電圧Vecと消去駆動電圧Veを印加して
いる間、図示しないLED光をFLCSLMの書き込み
側面に一様に照射することにより、行うことができる。
【0020】読みだし光学系102は、読みだし光光源
としてのHe−Neレーザ装置102Hと、該レーザ装
置からの読みだし光のビーム径を所望の値に変換するた
めのビーム径変換光学系102Bと、ハーフミラー10
2HMからなる。なお、該ビーム径変換光学系102B
は、第一及び第二のコリメータレンズ102L、102
L’と、その間に設けられたスペイシャルフィルタ10
2Fからなる。また、検出系104は、ミラー104M
と、1次回折光光点または2次回折光光点の光量を検出
するためのフォトディテクタ104Dと、1次回折光光
点または2次回折光光点のみをフォトディテクタ104
Dに入射させるためのアパーチャ104Aからなる。
【0021】干渉縞が記録されたFLCSLMの液晶層
1Fは、読みだし側面から入射する読みだし光に対して
位相回折格子として機能する。すなわち、液晶層1F
は、記録された干渉縞の明縞のエッジ部において、読み
だし光を回折することによりその位相を変調する。かか
る位相変調を受けた読みだし光は、FLCSLMの読み
だし側面から出射し、フーリエ変換レンズ103に到
る。該フーリエ変換レンズ103は、該読みだし光を空
間的にフーリエ変換し、その像側焦点面上に、複数の回
折光光点を結像する。該形成された複数の回折光光点
は、該縞パターンの縞の並ぶ方向(縞の延びる方向に垂
直な方向)と平行な方向に、該干渉縞パターンの縞間隔
(該縞の並ぶ方向における縞の間隔)と一定の関係にあ
る間隔で並ぶ。該干渉縞の縞間隔はハーフミラー101
HM’の傾き角度より決まるため、該回折光光点の位置
も決まってくる。そこで、該アパーチャ104Aを、複
数の回折光光点のうち1次または2次の回折光光点のみ
がフォトディテクタ104Dに到達するような位置に設
けることにより、1次または2次の回折光光点の強度の
測定を行う。
【0022】FLCSLMの液晶層に、干渉縞パターン
の明縞のエッジ部が明瞭に記録されている場合、すなわ
ち、FLCSLMのコントラストが高い場合には、該エ
ッジ部における回折効率が高くなるので、形成される回
折光光点の光強度が高くなる。一方、干渉縞パターンの
エッジ部が不明瞭でコントラストが低い場合には、回折
効率が低くなり、回折光光点の光強度は低くなる。した
がって、フォトディテクタ104Dの検出結果により、
FLCSLMのコントラストの状態を測定することがで
きる。
【0023】上記構成の測定装置において、図3Aに示
すような本発明の動作方法で空間光変調装置10を制御
し、1次回折光強度を検出していった。すなわち、図1
Bの方法と同様に、印加電圧Vwc、Vw、Ve、Vecの極
性を繰り返し反転させながら、各制御動作Sをおこなっ
た。ここで、印加電圧Vwc、Vw、Ve、Vecの絶対値を
すべて6[V]に、印加時間τwc、τw、τe、τecをす
べて500[μs]に、消去動作Eの終了時点から書き
込み動作開始時点までの時間Tqを50[μs]に、読
みだし期間Trを2000[μs]にとった。したがっ
て、消去動作E、書き込み動作W、及び、読みだし動作
Rからなる一の制御動作Sにかかる時間Tsは、およそ
4[ms]であった。かかる制御動作Sを繰り返すにつ
れ、1次回折光強度がいかに変化していったかを示した
のが図3Bである。また、以上と同一の方法で2次回折
光強度の測定もおこなった。この結果も、図3Bに重ね
て示した。図3Bから明かなように、制御動作Sを繰り
返しおこなっても、1次回折光強度も2次回折光強度も
いずれも減少しなかった。たとえば、制御動作Sを約4
250回繰り返した(動作開始から17[s]たった)
時点でも、回折光強度はほとんど減少しなかった。な
お、図3Aより明かなように、読みだし光は、読みだし
期間Trのみ照射される。したがって、フォトディテク
タ104Dも、該読みだし期間中だけ読みだし光光量を
検出したはずである。しかしながら、FLCSLMの動
作速度がきわめて早いために、フォトディテクタ104
Dはその動作に追従できず、図3Bに示すように、検出
された回折光強度は、消去動作期間Teや書き込み動作
期間Twにも0にはなっていない。
【0024】次に、比較のために、図4Aに示すような
動作方法で強誘電性液晶空間光変調装置10を動作させ
ながら、測定を行った。すなわち、従来の動作方法と同
様に、印加電圧の極性を一定に保ったまま各制御動作S
を行う以外は、上記図3Aの制御方法と同一の条件で、
空間光変調装置10を制御し測定を行った。この測定の
結果得られた1次回折光強度の変化する様子を示したの
が、図4Bである。この図から明かなように、従来のよ
うに印加電圧の極性を一定に保ったまま制御動作を繰り
返していくと、回折光強度は次第に減少していった。す
なわち、制御動作Sを約4250回繰り返した時点(動
作開始から17[s]たった時点)で、回折光強度は、
測定開始時点で得られた回折光強度の約半分になった。
【0025】図3B及び4Bの実験結果を比較してみれ
ば明かなように、本発明のように印加電圧の極性を反転
させながら制御動作を繰り返すことにより、解像度を良
好に保ちつつパターンの書き込みを行い続けることがで
きることが、確かめられた。
【0026】以下、図1Aの本実施例の強誘電性液晶空
間光変調装置10、及び、図1Bの制御方法の応用例を
説明する。
【0027】図5Aは、強誘電性液晶空間光変調装置1
0をインコヒーレント−コヒーレント変換装置(以下、
「ICTD」という)として利用する場合の構成を示
し、図5Bは、この場合に採用すべき本発明の制御方法
の応用例を示すタイミングチャートである。ここで、I
CTDとは、インコヒーレント光のパターンをコヒーレ
ント光のパターンに変換する装置である。空間光変調装
置10をICTDとして利用する場合には、図5Aに示
すように、インコヒーレント光の書き込みパターンをF
LCSLM1の書き込み側面に入射させる。そして、コ
ヒーレントな読みだし光Lrを読みだし側面に入射させ
る。具体的には、たとえば、読みだし光を偏光子201
で直線偏光にした後FLCSLMに入射させ、出射した
読みだし光を検光子202に通すように構成すれば良
い。この場合、該液晶層1F内に入射した読みだし光の
偏光面は、液晶層1F内で、液晶分子の配列状態に依存
した回転角度量だけ回転するため、該検光子を通して得
られる読みだし光は、該書き込み光パターンと同一の強
度分布を有することになる。なお、かかるICTDとし
て空間光変調装置10を利用する場合には、たとえば、
電圧Vw、Vwc、Ve、及び、Vecの絶対値を互いに等し
くし、また、その印加時間τw、τwc(=τw)、τe
及び、τec(=τe)も互いに等しい値τにすれば良
い。
【0028】空間光変調装置10を上記機能を有するI
CTDとして利用する場合、書き込み駆動電圧Vwの極
性が反転すると、得られる読みだしパターンが反転して
しまう。たとえば、電圧Vwが正の場合に得られる読み
だしパターンをポジパターンとすると、電圧Vwが負の
場合には、ネガパターンが得られてしまう。そこで、図
5Bに示すように、制御動作Sに対して読みだし動作R
を一つおきに行えば、ポジパターン(またはネガパター
ン)のみを繰り返し得ることができる。
【0029】図6Aは、強誘電性液晶空間光変調装置1
0をスペックル法に利用する場合の構成を示し、図6B
は、この場合に採用すべき本発明の制御方法の応用例を
示すタイミングチャートである。空間光変調装置10を
スペックル法に利用する場合には、図6Aに示すよう
に、移動・変形等変位する物体301に、レーザダイオ
ード(LD)302等により、ある時間間隔Δtをおい
て2回、コヒーレント光を照射する。該二回の照射光が
物体の粗面等で拡散反射して形成する二のスペックルパ
ターン(以下、「スペックルパターン1及び2」とい
う)を、FLCSLM1に二重記録する。このFLCS
LMに、He−Neレーザ装置303からの読みだし光
をFLCSLMに照射する。ここで、FLCSLMの液
晶層1Fは、そのスペックルパターン1及び2の明斑点
部と暗部の境のエッジ部で該読みだし光を回折させる位
相回折格子として機能する。したがって、該液晶層1F
内で位相変調された読みだし光を、フーリエ変換レンズ
304で空間的にフーリエ変換すると、その像側焦点面
上に、該スペックルパターン1及び2の相関に対応した
干渉縞が得られる。そこで、かかる干渉縞の状態を検出
することにより、スペックルパターン1及び2の相関、
ひいては、該物体の該時間間隔Δtにおける移動量Sと
移動速度V(=S/Δt)を求めることができる。な
お、FLCSLMに記録されたスペックルパターンを消
去するための消去動作Eにおいては、発光ダイオード
(LED)305により一様な光をFLCSLMに照射
しつつ、電圧Vec、Veを印加する。
【0030】空間光変調装置10をスペックル法に利用
する場合には、図6Bに示すように、書き込み駆動電圧
wの印加中に、コヒーレント光を2回該物体301に
照射させ、該スペックルパターン1及び2をFLCSL
Mに記録するようにすれば良い。なお、図に示すよう
に、補償電圧Vwc印加中にもかかるコヒーレント光の照
射を行い、解像度の劣化の防止が図られている。なお、
スペックル法に空間光変調装置10を利用する場合に
は、たとえば、電圧Vw、Vwc、Ve、及び、Vecの絶対
値を互いに等しくし、また、その印加時間τw、τ
wc(=τw)、τe、及び、τec(=τe)も互いに等し
い値τにすれば良い。ところで、スペックル法において
は、既述のように、液晶層に記録されたスペックルパタ
ーンの明斑点部の暗領域とのエッジ部で、読みだし光を
回折変調している。したがって、該電圧Vwの極性が正
の制御動作Sでも負の制御動作Sでも、読みだし動作R
を行い、読みだし光の回折変調を行わせることができ
る。したがって、物体の速度の時間的変化状態を、制御
動作Sの時間Tsのサイクルで測定することができる。
【0031】図7は、強誘電性液晶空間光変調装置10
を図6Aのようにスペックル法に利用する場合の、本発
明の制御方法の他の応用例を示すタイミングチャートで
ある。既述の図3B、5B、及び、6Bを参照して説明
した動作方法においては、ある回iの制御動作Si(i
=1、2、・・・)の書き込み動作Wiで書き込まれた
パターンは、次回i+1の制御動作Si+1の消去動作E
i+1により完全に消去される。そして、該制御動作Si+1
の書き込み動作Wi+1で、新たなパターンが書き込まれ
る。しかし、図7の動作方法においては、書き込み駆動
電圧絶対値|Vw|とその印加時間τwを、消去駆動電圧
絶対値|Ve|とその印加時間τeに対し、適当な値に選
ぶことにより、ある回iの制御動作Siの書き込み動作
iで書き込まれたパターンPiが、次回i+1の制御動
作Si+1の消去動作Ei+1では完全には消去されず、その
次の回i+2の制御動作Si+2の消去動作Ei+2によりは
じめて完全に消去されるようにしている。したがって、
該i+1回目の制御動作Si+1の書き込み動作Wi+1でパ
ターンPi+1が書き込まれると、FLCSLM1には、
パターンPiとパターンPi+1とが二重記録されることに
なる。(なお、|Vwc|=|Vw|、τwc=τw、|Vec
|=|Ve|、τec=τeである。)したがって、図7に
示すように、時刻tiにおいて電圧VwcとVwを印加する
のと同時に、レーザダイオード302にて物体を照射し
て、FLCSLMにスペックルパターンPiを書き込
む。時刻ti+1にて、再び、電圧VwcとVwを印加しつ
つ、レーザダイオードにて物体を照射して、スペックル
パターンPi+1をFLCSLMに書き込む。したがっ
て、読みだし動作Ri+1では、スペックルパターンPi
i+1の相関を測定し、時刻ti−ti+1間の物体301
の移動状態を演算することができる。同様にして、時刻
i+1−ti+2間、時刻ti+2−ti+3間、・・・、時刻t
n−tn+1間の物体の移動状態を求めることができるた
め、該物体の移動状態を連続して測定することができ
る。なお、本動作方法においては、ある制御動作Si
て得られたスペックルパターンPiがポジパターンの場
合には、次の制御動作Si+1にて得られるスペックルパ
ターンPi+1はネガパターンとなる。しかしながら、ス
ペックル法においては、読みだし光を、スペックルパタ
ーンの明斑点部のエッジ部により回折変調するので、パ
ターンが互いに反転したスペックルパターンPiとPi+1
に対しても、その相関に応じた干渉縞を形成させ該相関
を求めることができるのである。
【0032】本発明は、上述した実施例の強誘電性液晶
空間光変調装置及びその制御方法に限定されることな
く、本発明の主旨から逸脱することなく、種々の変更が
可能となる。
【0033】たとえば、上述の実施例は、FLCSLM
を採用する強誘電性液晶空間光変調装置にかかるもので
ある。しかし、本発明の空間光変調装置は、FLCSL
Mを採用するものには限られない。本発明は、直流駆動
電圧を印加して動作させる空間光変調素子を採用した空
間光変調装置に、広く適用できる。なぜなら、かかる直
流駆動電圧を印加する空間光変調素子においては、FL
CSLMと同様に、光変調材料層に隣接する層内におけ
る電荷の蓄積が、解像度の劣化をもたらすものと考えら
れるからである。したがって、本発明は、強誘電性液晶
以外の液晶を用いた液晶空間光変調素子(LCLV)や
BSO空間光変調素子(PROM)、MSLM(Microc
hannel Spatial Light Modulator)等を採用した空間光
変調装置に、広く適用することができる。
【0034】また、本発明の空間光変調装置は、図1A
の構成に限られない。たとえば、駆動電源2が、極性反
転コントローラ3を内蔵していても良い。
【0035】さらに、上記実施例や応用例においては、
各制御動作S毎に、印加電圧の極性を交互に反転させて
いった。しかし、本発明は、これに限られない。たとえ
ば、印加電圧極性の反転動作を、制御動作Sに対して一
回または複数回おきにおこなうようにしても良い。
【0036】また、上記応用例では、空間光変調装置を
ICTDとして利用する場合、及び、スペックル法に応
用する場合について説明したが、これらの説明より明か
なように、他の目的にも本発明の空間光変調装置及びそ
の動作方法を容易に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
本発明の空間光変調装置においては、駆動電源が、空間
光変調素子に対し、その極性を反転させながら直流電圧
を印加し、情報の書き込みを行わせる。すなわち、空間
光変調装置が情報の書き込み動作を繰り返し行う場合に
は、駆動電源は、各書き込み動作毎に、あるいは、書き
込み動作の1回または複数回おきに、直流電圧の極性を
変化させながらこれを印加する。したがって、本発明の
空間光変調装置によれば、空間光変調素子に対し書き込
み動作を複数回繰り返し行う場合、空間光変調素子にか
かる電圧の極性は、書き込み動作毎に、あるいは、書き
込み動作の1回または複数回おきに変化する。したがっ
て、空間光変調素子内の電荷の蓄積を抑制することがで
きるため、制御動作を繰り返し行っていっても、書き込
みパターンの解像度が劣化するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 本発明の実施例にかかる強誘電性液晶空間
光変調装置の断面構成図である。
【図1B】 本発明の実施例にかかる強誘電性液晶空間
光変調装置の動作制御方法を示すチミングチャートであ
る。
【図2】 強誘電性液晶空間光変調装置の解像度の時間
的変化状態を測定する測定装置の光学系統図である。
【図3A】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置の解
像度の時間的変化状態を測定すべくおこなった本発明の
動作制御方法のタイミングチャートである。
【図3B】 図3Aの動作制御を行った場合の、強誘電
性液晶空間光変調装置の解像度の時間的変化状態の測定
結果を示すグラフである。
【図4A】 従来の強誘電性液晶空間光変調装置の解像
度の時間的変化状態を測定すべくおこなった動作制御方
法のタイミングチャートである。
【図4B】 図4Aの動作制御を行った場合の、強誘電
性液晶空間光変調装置の解像度の時間的変化状態の測定
結果を示すグラフである。
【図5A】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置をI
CTDとして利用する場合の光学系統図である。
【図5B】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置をI
CTDとして利用する場合の、本発明の動作制御方法を
示すタイミングチャートである。
【図6A】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置をス
ペックル法に利用する場合の光学系統図である。
【図6B】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置をス
ペックル法に利用する場合の、本発明の動作制御方法を
示すタイミングチャートである。
【図7】 本発明の強誘電性液晶空間光変調装置をスペ
ックル法に利用する場合の、本発明の他の動作制御方法
を示すタイミングチャートである。
【図8A】 従来の強誘電性液晶空間光変調装置の断面
構成図である。
【図8B】 従来の強誘電性液晶空間光変調装置の動作
制御方法を示すチミングチャートである。
【符号の説明】
1 FLCSLM 2 駆動電源 3 極性反転コントローラ 10 強誘電性液晶空間光変調装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向坂 直久 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 堀 輝成 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 福島 誠治 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間光変調素子と、該空間光変調素子に
    その極性を変化させながら電圧を印加するための駆動電
    源とを備えたことを特徴とする空間光変調装置。
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