JPH05332888A - 自動車の故障診断システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、簡易な構成により故障診断を行
えるようにすることを目的とする。 【構成】 自動車１２に設けられた送信手段により、各
ＥＣＵからの故障データ，所定の識別コードからなる故
障メッセージを微弱電波による無線信号として送信し、
各受信局１１により各々の受信エリア内の自動車１２か
らの送信信号を受信し、受信局１１から故障メッセージ
を電話回線１３を介してサービス工場１４のターミナル
ユニットに送信し、ターミナルユニットにより当該自動
車１２のユーザの特定及び故障内容の診断を行う。 【効果】 従って、自動車１２に搭載する装置として従
来のパーソナル無線機のような大型で高価なものが不要
となり、小型でかつ安価な構成で済み、ユーザが認識で
きない故障もターミナルユニット側で予見することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車の故障発生時
に、受信局を介して所定のサービス工場等のターミナル
ユニットに自動的に故障に関するデータを送信し、ター
ミナルユニットにおいてユーザの特定と故障の内容の診
断をする自動車の故障診断システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の故障を診断するシステムとして
図８に示すようなオフボード式故障診断システムが一般
によく知られている。

【０００３】このシステムは、図８に示すように、自動
車１の各部に設けられたＥＣＵ２ａ，２ｂ，２ｃ，２
ｄ，…がそれぞれ管轄する各種の故障検出用センサから
の出力に基づき、各ＥＣＵ２ａ，２ｂ，…により故障が
検出され、検出された故障に関する故障データは各ＥＣ
Ｕ２ａ，２ｂ，…の内蔵メモリに一旦格納され、サービ
ス工場において車室内に設置された所定のコネクタ３を
介して診断装置４が接続され、診断装置４の操作部５の
所定キーを操作することによって、各ＥＣＵ２ａ，２
ｂ，…に蓄積されていた故障データがコネクタ３及びケ
ーブルを介して診断装置４に読み込まれ、故障データの
内容が識別コード等に基づいて診断され、その診断結果
が診断装置４の表示部６に表示されるようになってい
る。

【０００４】ところが、このようなオフボード式の場
合、故障内容の判断を容易に行うことができる反面、ユ
ーザがサービス工場に出向かなければならず煩雑であ
り、しかもユーザが認識していない故障を予見すること
ができず、故障が軽微なうちに処理することができな
い。

【０００５】また、診断装置４をコネクタ３に接続した
のち、所定のキー操作を行う必要があり、作業上手間及
び時間がかかる。

【０００６】一方、これらオフボード式の不都合を解消
する手法として、特開平２−７２００号公報に記載のよ
うな故障通信システムがあり、これは道路脇のサインポ
スト等に設置された微弱発信局から最もアクセスし易い
サービス工場を、自動車に設けられた微弱受信局に知ら
せ、自動車側において通常利用する自宅近くのサービス
工場のほか現在位置でアクセスし易いサービス工場を記
憶しておくようにし、エンジンの油圧低下など運行に支
障を生ずるような故障が自動車の故障検知装置により検
知されると、自動車及びサービス工場双方に設けられた
パーソナル無線機の操作によって最もアクセスし易いサ
ービス工場に故障情報が通知されてすぐにそのサービス
工場を利用できるようにし、又ランプ切れなど運行に支
障のない故障の場合には、通常利用しているサービス工
場にパーソナル無線機の操作によって故障情報が通知さ
れ、適当な時期にそのサービス工場を利用できるように
したものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この場合パー
ソナル無線機を自動車及び各サービス工場に備えなけれ
ばならず、しかも故障情報を通知するには自動車側でユ
ーザがパーソナル無線機を操作しなければならないた
め、自動車に搭載する装置としては大型で高価になり、
操作が煩雑になる。

【０００８】そこでこの発明は、上記のような問題点を
解消するためになされたもので、自動車に搭載すべき装
置の小型化及び低廉化を図り、簡易な構成により自動的
に故障診断を行えるようにすることを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明に係る自動車の
故障診断システムは、自動車に設けられ故障検出用セン
サの出力から各部の故障を検知して故障データを送出す
るＥＣＵと、前記自動車に設けられ前記各ＥＣＵからの
故障データに少なくとも当該自動車の識別コードを付加
して故障メッセージを形成し前記故障メッセージを微弱
電波による無線信号として送信する送信手段と、複数の
地域に設置され各々の受信エリア内における前記自動車
の前記送信手段からの送信信号を受信して前記故障メッ
セージを送出する受信局と、サービス工場に設置され前
記受信局からの前記故障メッセージを受信し当該自動車
のユーザの特定及び故障内容の診断を行うターミナルユ
ニットとを備えたことを特徴としている。

【００１０】

【作用】この発明においては、自動車に設けられた送信
手段により、ＥＣＵからの故障データ，所定の識別コー
ドからなる故障メッセージが微弱電波に無線信号として
送信され、各受信局により各々の受信エリア内の自動車
からの送信信号が受信されて受信局から送出される故障
メッセージが、サービス工場のターミナルユニットに送
信されてこのターミナルユニットにより当該自動車のユ
ーザの特定及び故障内容の診断が行われるため、自動車
に搭載される装置としては従来のパーソナル無線機のよ
うな大型で高価なものは不要となり、小型でかつ安価な
構成で済み、一方ユーザが認識できない故障もターミナ
ルユニット側で予見することができ、ターミナルユニッ
トにおいて診断された故障内容に応じ、特定したユーザ
に個別に故障内容を通知することによって、迅速かつ的
確な処理が可能になる。

【００１１】

【実施例】図１はこの発明の自動車の故障診断システム
の一実施例の概略図、図２は自動車における各部の配置
説明図、図３は自動車の送信手段のブロック図、図４は
受信局のブロック図、図５はサービス工場におけるター
ミナルユニットのブロック図、図６は送信データのフォ
ーマットを示す図、図７は動作説明用フローチャートで
ある。

【００１２】まず、システム全体について説明すると、
複数の地域に受信局１１が設置され、各受信局１１の各
々の受信エリア内に自動車１２が到達したときに、自動
車１２に搭載された後述の送信手段により形成される故
障メッセージが微弱電波による無線信号として送信さ
れ、この送信信号が受信局１１により受信され、受信局
１１と電話回線１３により接続されたサービス工場１４
のターミナルユニットに、電話回線１３を介して受信局
１１から受信した故障メッセージが送信され、ターミナ
ルユニットによりこのデータに基づいて当該自動車のユ
ーザの特定及び故障内容の診断が行われる。

【００１３】つぎに、自動車１２における配置について
説明すると、図２に示すように、複数個所にＥＣＵ２０
ａ，２０ｂ，２０ｃ，…が設けられ、各ＥＣＵ２０ａ，
２０ｂ，２０ｃ，…により各々が担当するエンジン，ト
ランスミッション，パワーステアリング等の各種負荷の
制御，故障検出用センサ（図示せず）の制御等が行わ
れ、いまセンサにより故障が検出されると、センサの出
力からＥＣＵ２０ａ，…それぞれにより故障が検知さ
れ、これらＥＣＵ２０ａ，…の近くに設置された送信手
段２１により、センサからの故障データにこの自動車１
２の年式，車種，車両ナンバを表す識別コードが付加さ
れて所定のフォーマットの故障メッセージが形成され、
微弱電波による無線信号としてアンテナ２２を介して送
信される。

【００１４】尚、図２において、２３はステアリング、
２４はタイヤである。

【００１５】ところで、上記した送信手段２１は、図３
に示すように、発振器２１ａと、データバッファ用ＲＡ
Ｍ２１ｂと、ＦＳＫモデム２１ｃと、発振器２１ａの発
振周波数を分周する分周器２１ｄと、この分周器２１ｄ
からの分周信号に基づいてモデム２１ｃの出力の周波数
変換を行う周波数変換器２１ｅと、この変換器２１ｅの
出力を増幅してアンテナ２２に送出する増幅回路２１ｆ
とにより構成されている。

【００１６】いま、図７（ａ）に示すように、ＥＣＵ２
０ａ，…により故障が検出されると（ステップＳ１）、
ＥＣＵ２０ａ，…によってバッファ用ＲＡＭ２１ｂに所
定の診断コードが蓄積され（ステップＳ２）、さらに車
両識別コード（以下識別コードをＩＤという）が付加さ
れて故障メッセージが形成される（ステップＳ３）。

【００１７】この診断コードは、ＥＣＵ２０ａ，…によ
って検出された故障の内容、即ち故障箇所，故障の状態
などに応じて予め割り当てられたコードのうち該当する
ものであり、車両ＩＤは自動車の車種，ナンバープレー
トに標記された車両ナンバーである。

【００１８】そして、図７（ａ）に示すように、発振器
２１ａの発振周波数（例えば４．８ＫＨｚ）を分周器２
１ｄにより分周して得られた周波数（例えば１２００Ｈ
ｚ）を変調周波数として、ステップＳ３で形成された故
障メッセージがＦＳＫモデム２１ｃによってＦＳＫ変調
され、例えばビット内容“０”が１１８０Ｈｚに、ビッ
ト内容“１”が９８０Ｈｚに変調されたのち（ステップ
Ｓ４）、この変調信号が周波数変換器２１ｅによる例え
ば３２０．０１ＭＨｚの搬送周波数に変換され（ステッ
プＳ５）、その後増幅回路２１ｆにより増幅され（ステ
ップＳ６）、アンテナ２２を経て送信され（ステップＳ
７）、これらの動作が故障継続中繰り返し行われる。

【００１９】ところで、送信手段２１から送信されるデ
ータのフォーマットは図６（ａ）に示すようになってお
り、これは１つの送信データの単位である１メッセージ
のフォーマットを示し、１つのメッセージは複数のフレ
ームからなり、故障データであることを表す先頭のフレ
ームであるヘッダに続いて自動車の年式ＩＤ，車種及び
車両ナンバーをそれぞれ示す２つの車両ＩＤフレームが
設けられ、その後に故障内容に応じた複数の診断コード
のフレームが続き、所定のエンドコードフレームと誤り
検出用のチェックサムフレームとが続く構成である。

【００２０】このとき、各フレームそれぞれは、図６
（ｂ）に示すように、１ビットのスタートビットＳＴ
と、データ内容を表す８ビットのデータ部Ｄと、冗長検
査用の１ビットのパリティビットＰＢと、１ビットのス
トップビットＳＰとからなる。

【００２１】尚、送信手段２１における送信速度は車両
の検出可能速度，受信局の検出範囲から設定される。

【００２２】つぎに、各受信局１１の構成について説明
すると、図４に示すように、受信用アンテナ１１ａと、
発振器１１ｂと、周波数変換器１１ｃと、中間周波増幅
器１１ｄと、ＦＳＫモデム１１ｅとにより構成されてい
る。

【００２３】そして、図７（ｂ）に示すように、アンテ
ナ１１ａを介して自動車１２からの送信信号が受信され
ると（ステップＴ１）、受信信号が周波数変換器１１ｃ
によって発振器１１ｂの発振信号と混合され、中間周波
増幅器１１ｄによって中間周波信号に変換され（ステッ
プＴ２）、さらに増幅されたのち（ステップＴ３）、Ｆ
ＳＫモデム１１ｅによってバイナリデータに復調されて
次に説明するターミナルユニットに伝送される（ステッ
プＴ４）。

【００２４】また、サービス工場１４のターミナルユニ
ット２５は図５に示すように構成され、各受信局１１の
ＦＳＫモデム１１ｅと電話回線１３を介して接続された
ＲＳ−２３２Ｃのインターフェイスを備えたパーソナル
コンピュータ等のデータ端末装置２５ａと、このデータ
端末装置２５ａに接続されたデータ表示用のプリンタ２
５ｂと、他のターミナルユニット２６やホストコンピュ
ータ２７に接続されたモデム２５ｃと、ユーザに関する
データや故障に関するデータ等を格納した故障診断用の
データベース２５ｄとからなり、電話回線１３を介して
受信局１１から送信されてきた故障データはデータ端末
装置２５ａに入力され、このデータ端末装置２５ａによ
りデータの解析が行われ、送信元の自動車のユーザが特
定されるとともに、故障内容の診断が行われる。

【００２５】そして、このようにユーザの特定，故障内
容の診断が行われると、別途電話或いは郵便などの手段
によってユーザに対して故障内容が通知される。

【００２６】従って、ＦＳＫ方式の送信手段２１，受信
局１１を設けることによって、従来のパーソナル無線機
のような大型で高価な装置を自動車１２に搭載する必要
がなく、自動車１２に搭載する装置は小型で、安価かつ
簡単な構成で済み、微弱電波による故障データの送信を
簡易に行うことができる。

【００２７】また、各受信局１１によって受信された自
動車１２からの故障メッセージを電話回線１３を介して
サービス工場１４のターミナルユニット２５に送信する
ため、ターミナルユニット２５により故障データを自動
的に収集することができ、しかもユーザが認識できない
ような軽微な故障であってもこれを予見することがで
き、ターミナルユニット２５において特定したユーザへ
の個別の通知によって、迅速かつ的確に故障に対する措
置を採ることが可能になる。

【００２８】なお、上記実施例ではＦＳＫ変復調方式を
採用した場合について説明したが、特にこれのみに限定
されるものではなく、送信手段２１，受信局１１の構成
も上記実施例に限定されるものでないのは勿論である。

【００２９】また、各受信局１１とサービス工場１４の
ターミナルユニット２５との間は電話回線１３を介した
送受信に限らず、無線による送受信を行うようにしても
よいのは言うまでもない。

【００３０】

【発明の効果】以上のように、この発明の自動車の故障
診断システムによれば、自動車に設けた送信手段から微
弱電波による無線信号として故障メッセージを受信局に
送信し、これを受信した受信局からサービス工場のター
ミナルユニットにさらに故障メッセージを送信するよう
にしたため、自動車に搭載される装置としては従来のパ
ーソナル無線機のような大型で高価なものは不要とな
り、小型でかつ安価な構成で済み、一方ユーザが認識で
きない故障もターミナルユニット側で予見することがで
き、ターミナルユニットにおいて診断された故障内容に
応じ、特定したユーザに個別に故障内容を通知すること
によって、迅速かつ的確な処理を採ることが可能にな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の自動車の故障診断システムの一実施
例の概略図である。

【図２】図１の自動車における各装置の配置図である。

【図３】図２における送信手段のブロック図である。

【図４】図１における受信局のブロック図である。

【図５】図１におけるターミナルユニットのブロック図
である。

【図６】図１の動作説明用のデータフォーマットを示す
図である。

【図７】図１の動作説明用フローチャートである。

【図８】従来の自動車の故障診断システムの概略図であ
る。

【符号の説明】

１１ 受信局 １２ 自動車 １３ 電話回線 １４ サービス工場 ２１ 送信手段 ２５ ターミナルユニット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車に設けられ故障検出用センサの出
   力から各部の故障を検知して故障データを送出するＥＣ
   Ｕと、前記自動車に設けられ前記ＥＣＵからの故障デー
   タに少なくとも当該自動車の識別コードを付加して故障
   メッセージを形成し前記故障メッセージを微弱電波によ
   る無線信号として送信する送信手段と、複数の地域に設
   置され各々の受信エリア内における前記自動車の前記送
   信手段からの送信信号を受信して前記故障メッセージを
   送出する受信局と、サービス工場に設置され前記受信局
   からの前記故障メッセージを受信し当該自動車のユーザ
   の特定及び故障内容の診断を行うターミナルユニットと
   を備えたことを特徴とする自動車の故障診断システム。