JPH0532988A - 均一な電気粘性流体 - Google Patents

均一な電気粘性流体

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JPH0532988A
JPH0532988A JP3220064A JP22006491A JPH0532988A JP H0532988 A JPH0532988 A JP H0532988A JP 3220064 A JP3220064 A JP 3220064A JP 22006491 A JP22006491 A JP 22006491A JP H0532988 A JPH0532988 A JP H0532988A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 屈曲性分子鎖に、複数個の液晶性基を結合さ
せた液晶性化合物を主成分とした電気粘性流体。具体例
には式(1)のように結合させた結晶性化合物Aがあ
る。 (モノメチルシロキサンとジメチルシロキサンの共重合
シリコーンにおけるモル比x:y=1:1,重合度約3
0である) 【効果】 均一系の電気粘性流体であって、電圧をかけ
ないときは屈曲性鎖の性質で柔らかいが、電圧をかける
と液晶基が節になって屈曲鎖同志のからみが増大し、粘
度上昇が著しいので振動吸収やトルク伝達などのアクチ
ュエーターに利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は均一系の電気粘性流体に
関するものであり、振動吸収、トルク伝達、サーボ制御
などのアクチュエーターとして利用される。
【0002】
【従来の技術】電圧印加により粘性が大きく瞬間的かつ
可逆的に変化する電気粘性流体は、既に1940年代よ
りシリカやでんぷんなどの含水微粒子を絶縁油に分散さ
せた、いわゆるWinslow流体(USP24178
50)としてよく知られている。
【0003】その後含水微粒子にイオン交換樹脂粒子
(特開昭50−92278)やゼオライト粒子(特開平
2−3711)を用いる方法、また有機半導体粒子(G
B2170510)、表面絶縁化した導電体粒子(特開
昭64−6093)、液晶ポリマー粒子(Procee
dings the 2nd Int’l Conf.
on ERF、P231、1989)などの非含水粒子
を用いる方法、など多くの改良が提案されている。しか
しながら、これらの粒子を用いる方法は、短期的には優
れた性能を示すものの長期的には粒子の沈降分離や沈降
粒子の凝集粘土化が避けがたく実用化の大きな障害にな
っている。
【0004】一方、粒子を用いない均一なものとして
も、例えばニトロメタンやニトロベンゼンなどの極性液
体{Japan.J.Appl.Phys.16 P1
775(1977)}、コレステリック液晶混合物{C
ommunicationsP3865(1965)}
やメトキシベンジリデンブチルアニリン(MBBA)な
どの低分子液晶{Japan.J.Appl.Phy
s.17 P1525(1978)および、英国公開特
許第2208515A}、強誘電性ポリマー溶液(第3
9回高分子討論会予稿集、18U07、1990)を用
いる方法などが研究されているが、いずれも殆ど電気粘
性効果は得られていない。
【0005】液晶性物質は電圧印加により分子配向し各
種の特性に異方性を生じる。粘度特性に対しても異方性
によるある方向の粘性には増大が見られることから、前
述の如く電気粘性流体への適用が検討されているが、粘
性増加は小さく殆ど顧みられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は液晶物質の高
速応答性や低電圧制御性などの優れた特徴を活かしつ
つ、大きく粘性変化する液晶系の流体を開発し、粒子沈
降の問題がない均一系の電気粘性流体およびそれを用い
たアクチュエーターの実現を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】従来検討されてきた液晶
性物質はいずれも低分子の液晶そのものであり、電圧印
加して分子(ドメイン)を配向させても大きな粘性増加
は生じない。本発明者らはこの原因を、低分子液晶では
ドメイン間の結合力は小さく、そのために全体としての
粘度は大して増大しないものと考えた。そこで、この液
晶性物質を適度の長さの分子鎖に結合することにより、
あるいは高分子化させることにより、配向した際のドメ
イン間の結合力が高まり大きな粘性の増加が得られるの
ではないかとの考えを基に鋭意研究を重ねた。その結
果、1つの分子鎖に複数個の液晶性基を結合した液晶性
化合物が極めて大きな電気粘性効果の発現することを発
見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、屈曲性の1つの分子鎖に複数個の液晶性基を直接あ
るいはスペーサーを介して結合した液晶性化合物あるい
はその分散物からなる電気粘性流体にある。
【0008】本発明にいう複数個の液晶性基を1つの分
子鎖に導入した液晶性化合物とは、図1〜図5にモデル
的に示されるように、 1)液晶性基が1つの分子鎖に対して、直接あるいはス
ペーサーを介して、枝のようにぶら下がった形で結合し
た側鎖型液晶化合物(図2)(図5)、 2)液晶性基・分子鎖・液晶性基…のような主鎖型液晶
化合物(図1)(図3) 3)主鎖型液晶化合物の液晶性基あるいは分子鎖にさら
に液晶性基を結合した複合型液晶性化合物(図4)のい
ずれでもよい。
【0009】本発明にいう分子鎖とは、炭素や珪素を主
成分とするアルキレンやシロキサンなどの鎖状化合物や
ベンゼン環やグルコース環などの環状化合物からなる分
子を1単位とする単量体、あるいは単独重合体または共
重合体であり、重合体の場合、その重合度は2から10
0である。また、この分子量は必要に応じて分子鎖中に
エステル結合、アミド結合、エーテル結合などの結合基
を介在させることもできる。分子鎖は剛直でもよいが、
屈曲性の分子鎖が好ましい。屈曲性分子鎖とは柔らかく
て、比較的低温でも流動性を示し、かつ、電圧印加した
とき液晶性物質の配向を妨げない分子鎖である。特にそ
の分子鎖を構成する単位でオリゴマーあるいはポリマー
を合成した場合、そのガラス転移温度(Tg)が常温以
下、好ましくは0℃以下、より好ましくは−20℃以下
となる屈曲性分子鎖は、低温から使用できる電気粘性流
体を得るのに好ましい。このような屈曲性分子鎖として
は、具体的には、例えば1)メチレン、エチレン、プロ
ピレンなど−Cm2m−(ここでmは1から18の整
数)で表されるアルキレン基、2)オキシエチレン、オ
キシプロピレン、オキシブチレンなど−OCm2m
(ここでmは1から5の整数)で表されるオキシアルキ
レン基、3)ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロ
キサンなど−SiR12O−(ここでR1、R2は炭素数
1〜10のアルキル基あるいはフェニル基を示す。)で
表わされるシロキサンなどを1単位とする単量体、ある
いは単独重合体または共重合体である。これらの重合体
の場合、その重合度は2から100、より好ましくはア
ルキレンやオキシアルキレンでは2から10、シロキサ
ンでは2から30である。これらの屈曲性分子鎖は、上
記の1)および2)に示した単位では一部のHの代わり
に液晶性基を導入するための、メチレン、ポリメチレン
(炭素数2から18)、アミド、ウレタン、エステル、
エーテル、カーボネートなどの2官能性の結合基やアル
キル基(炭素数1から8)、フェニル基などの側鎖基
を、また3)に示した単位では一部または全部のR1
代わりに上記同様の結合基をもつことができる。このよ
うな分子鎖は末端あるいは側鎖に、液晶性基あるいはス
ペーサーと化学的に結合できる少なくとも2個以上の複
数個の結合基を持つことが必要である。
【0010】分子鎖を構成する単位の中でも、屈曲性の
シロキサンやアルキレン骨格構造は電気的特性や液晶性
の発現において好ましい。特にシロキサン骨格構造は、
Tgが−120℃以下であり、アルキレンやオキシアル
キレン骨格構造よりも低温での流動性に優れ、屈曲性分
子鎖に複数個の液晶性物質を結合した際に比較的低温か
ら液晶性を発現しやすいことや、基底粘度の低い液晶性
化合物を形成しやすいことから好ましい。分子鎖は一定
の長さでも、ある程度広い分子量分布、例えば分子量分
布指数Mw/Mnが2以上を持っていてもよい。また分
子鎖間はある程度架橋されていてもよいが、架橋により
電圧印加時の液晶性物質の配向が妨げられるようであ
り、好ましくは分子鎖間の架橋はない方がよい。
【0011】本発明でいう液晶性基とは、シッフ塩基
系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル
系、安息香酸エステル系、シクロヘキシルカルボン酸エ
ステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシク
ロヘキサン系、コレステリル系など、従来知られている
低分子液晶の液晶性を発現させる中核的分子構造、いわ
ゆるメソゲンを含み、かつスペーサーや先述の結合基と
結合する1官能性あるいは2官能性の基をいう。メソゲ
ンについて詳しくは、松本正一”液晶エレクトロニク
ス”(オーム社)やAdvances in Poly
mer Science 59,P103,Sprin
ger−Verlag(1984)に代表例が記載され
ている。液晶性基の中でも誘電異方性が大きなものやス
メクチック液晶性を示すものが、低電圧の印加で大きな
電気粘性効果や応答性を得る上で好ましく、中でも特に
正の大きな誘電異方性を持つものやスメクチック液晶相
を形成するものが好ましい。スメクチック液晶相は正と
負の誘電異方性をもつ2種類のネマチック液晶性基を組
み合わすことによっても発現させることができる。
【0012】液晶性基は先述の結合基を介して分子鎖に
直接結合されることもあるが、一般には液晶性基の動き
や配向を容易にするため、−Cm2m−や−(SiR3
4O)m−(ここでmは1から18までの整数、また、
3、R4はメチルやエチルなどのアルキル基を示す。)
などの従来公知の、いわゆるスペーサーと呼ばれる2官
能性の分子を介して分子鎖に結合されることが好まし
い。スペーサーの長さは液晶性化合物の液晶相、転移温
度、応答速度など多くの特性に関連し電気粘性効果にも
影響する。
【0013】例えばシロキサン骨格からなる屈曲性分子
鎖に安息香酸エステル系の液晶性基を−Cm2m−基を
スペーサーに用い導入した場合、mが3ではネマチック
相を示すが、mが7ではスメクチック相を示し大きな電
気粘性効果を発現する。1つの分子鎖に異なる長さのス
ペーサーを用い液晶性基を導入することにより、液晶作
動温度範囲や応答速度を改良することができる。特に長
さが長短で2倍以上異なるスペーサーを用いた場合その
効果が大きい。
【0014】本発明の電気粘性流体は同一の液晶性化合
物を単独で用いてもよいし、異なる液晶性化合物を複数
混合して用いてもよい。また、種類の異なる液晶性基あ
るいはスペーサー長さの異なる液晶基を、1つの分子鎖
に導入した液晶性化合物であってもよい。特にスペーサ
ーの長さが異なる2種以上の液晶性化合物を混合したも
のは液晶作動温度範囲が広がり好ましい。更に1つの分
子鎖に1個の液晶性基をもつ液晶性物質を、1つの分子
鎖に複数個の液晶性基をもつ液晶性化合物に混合するこ
とも上記の効果や基底粘度低減の効果があり好ましい。
【0015】本発明者らは上記のような液晶化合物の混
合以外に、ある種の分散媒体で本発明の液晶性化合物を
分散することにより、電気粘性効果の増大、液晶作動温
度範囲の拡大、応答速度の上昇、更に基底粘度の低減な
どに於いて著しい効果のあることを発見した。本発明に
いう液晶性化合物の分散物とは、この液晶性化合物を分
散させた際、あるいはこの液晶性化合物に添加した際、
分散物の液晶性は消失させず、かつ電気粘性流体として
使用できないほど分散物の電気抵抗に大きな低下をもた
らさない分散媒体に分散されたものをいう。このような
分散媒体としては、それ自体では液晶性を示さず、分子
鎖とは強い親和性をもつが液晶性基とは親和性が弱く、
本発明の液晶性化合物に混合してこれを分散させてもそ
の液晶性を消失させない比較的低粘度の物質である。例
えばジメチルシリコーンの側鎖に安息香酸エステル型の
液晶性基を結合した液晶性化合物の場合、トルエンやジ
クロロメタンでは液晶基とは親和性が強すぎて液晶性化
合物を溶解し液晶性を消失させて電気粘性効果を全く発
現しなくなり好ましくないが、ジメチルシリコーンやフ
ェニル基含有量の少ないフェニル・メチルシリコーン、
流動性パラフィンなどは好ましく、これらがこの場合の
分散媒体にあたる。一般に液晶性化合物と同種の分子鎖
をもつ物質がとりわけ好ましい。分散媒体としての適正
を評価する簡易な方法として、液晶性化合物にほぼ等容
積混合して加熱溶解させた後、偏光板に挾んで液晶性の
変化を調べる方法が挙げられる。分散物における分散媒
体の比率は1から90、好ましくは5から80重量%で
ある。
【0016】本発明の液晶性化合物およびその分散物か
らなる電気粘性流体の電気粘性効果は、液晶相を呈する
温度領域内で発現し、より高温のアイソトロピック相で
は殆ど発現しない。印加電圧特性については、直流・交
流のいずれでも発現するが、低分子の一般の液晶と同
様、直流では長期の連続的な作動には問題を生じ易い。
そのため交流やパルス化した直流で作動することが好ま
しい。また、ディスプレイの分野である種の低分子の液
晶がその応答速度を向上させるために利用される高低2
周波の電圧印加で作動する方法を、本発明の液晶性化合
物の液晶性基の種類によっては適応することも可能であ
る。本発明の電気粘性効果は、従来の微粒子分散系の電
気粘性流体のように印加電圧の2乗に比例して増大し続
けるのではなく、ある程度以上の電圧では上昇率が低下
して飽和する傾向をもつようである。また本発明の液晶
性化合物からなる電気粘性流体の発生剪断応力や応答速
度は多くの場合、剪断速度による影響を受ける傾向があ
るが、従来の電気粘性流体とは異なり、高剪断速度領域
において高い発生剪断応力を保持し、またより高い応答
速度を示す傾向がある。そのため、本発明の電気粘性流
体を用いたアクチュエーターは、より高い剪断速度、例
えば100sec-1で使用することもできる。更にまた
本発明の電気粘性流体は特に高剪断速度での使用に適性
が高いことから、電極間隔を、例えば1mm以下、更に
は0.5mm以下のように狭くして使用することがで
き、従って、電気粘性流体に同じ電界強度をかけるにし
ても、実質的に低い印加電圧でアクチュエーターを作動
することも可能となる。電極間隔を狭くした場合、電極
同士の接触による電気的短絡を生じるおそれが高くなる
が、本発明の電気粘性流体は電気絶縁性の球状粒子を僅
かに分散させてこれを防止したり電極間隔を一定以上に
保たせることができる。例えば設定された電極間隔が、
100μmの場合、粒径100μm好ましくは80μm
以下、1μm以上の球状微粒子をこの目的の効果が現れ
かつ他の性能の邪魔にならない、0.01vol%以上
10vol%以下の範囲で含有させ分散させることがで
きる。このような微粒子としては、できるだけ液晶性化
合物に近い比重の粒子、例えばシリコーン、ポリスチレ
ン、ポリエチレンなどの有機ポリマーや、シリカ、アル
ミナなどの無機物、特に中空状の粒子が挙げられる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の混合物を電気粘性流に用いた
場合の効果を、実施例と比較例をもってより具体的に説
明する。なお、本発明でいう電気粘性効果、誘電異方
性、液晶性、およびガラス転移温度の測定は下記の方法
に従った。
【0018】1.電気粘性効果 プレート対向面全体が電極を形成するように改造された
一対の平行円盤(下側円盤がモーターに接続して回転、
上側円盤がトルク計に接続して剪断応力を測定する)を
もつプレート*プレート型の回転粘度計を用い電気粘性
効果を測定した。電極間に試料を挾み、所定の温度と所
定の剪断速度で試料に剪断を与え、所定の電圧を印加し
た際の剪断応力と電流値を測定した。本発明にいう発生
剪断応力とは、電圧印加による剪断応力の増分のことで
ある。なお、本実施例では、対向部の電極径は32m
m、電極間隔は0.50mm、剪断速度は200sec
-1、印加電圧は直流0〜2kv/mmであった。
【0019】2.誘電異方性 日本電子機械工業会規格EIAJ ED−2521(1
990.2)(液晶材料の誘電率測定方法)に準じた方
法によった。ホメオトロピック配列およびホモジニアス
配列するように表面処理した2組の行板透明電極を用
い、所定の温度(実用作動温度)および周波数(50H
z)での容量を計り計算よりそれぞれの誘電率を求め
た。誘電異方性は前者の値から後者を値を引いた値であ
る。
【0020】3.液晶性 示差走査熱量計及び偏光顕微鏡を用い測定した。2枚の
偏光板に試料を挾み偏光性をみる方法も簡便方として適
用した。
【0021】4.ガラス転移温度 示差走査熱量計またはデュラトメーターを用いて測定し
た。
【0022】実施例1から21および比較例1における
電気粘性効果の測定結果については、表1にまとめて示
した。特に断わりのない限り、直流電圧を印加し剪断速
度200sec-1で測定した際の値を示した。
【0023】実施例1 1)液晶性シリコン重合体Aの合成 p−ヒドロキシ安息化酸37gを、水酸化カリウム30
g、水40ml、エタノール190mlの混合液に溶解
させた後、沃化カリウム0.3gを加え、5−ブロモペ
ンテン40gを滴下した。これを80℃で12時間還流
した後、塩酸でpH3に保った水400mlに注ぎ、得
られた沈殿を70℃のエタノールに溶解し再結晶し、白
色板状結晶の生成物(a−1)約40gを得た。
【0024】14gの生成物(a−1)に塩化チオニル
16gと数滴のジメチルホルムアミドを加え、室温で3
0分撹拌した後、真空下で過剰の塩化チオニルを除去し
た。これをテトラヒドロフラン(THF)110mlに
溶解した後、p−シアノフェノール8gとトリエチルア
ミン9gを溶解した5℃のTHF280mlの中に滴下
し、5℃で4時間撹拌した。その後、THFを減圧留去
し、新たにジクロロメタン300mlに溶解し、分液ロ
ートを用いて3回水洗いした。硫酸ナトリウムで脱水
後、シリカゲル(ワコーゲルC200)を詰めたカラム
を通して精製した。ジクロロメタンを留去後、70℃の
エタノールを用いて再結晶し、白色針状結晶の生成物
(a−2)約20gを得た。
【0025】モノメチルシロキサン(A)とジメチルシ
ロキサン(B)からなる共重合体シリコーン(A/Bモ
ル比=1/1、重合度約30)6gと、14gの生成物
(a−2)をトルエン110mlに溶解し、塩化白金酸
6水塩10mgを加えて80℃で24時間反応させた
後、トルエンを留去した。70℃のエタノールで洗浄
後、ジクロロメタン150mlに溶解し、シリカゲルを
通し未反応物を除去した後、ジクロロメタンを真空加熱
により除去して、液晶基を側鎖にもつ液晶性化合物Aを
約20g得た。
【0026】
【化1】
【0027】液晶性化合物Aは赤外線吸収スペクトル分
析の結果、SiHに基づく2140cm-1の吸収は著し
く減少し、かわりにニトリル基に基づく2235cm-1
やカルボキシル基に基づく1735cm-1の吸収が大き
く現われていた。
【0028】2)液晶挙動 示差走査熱量計および加熱プレートのついた偏光顕微鏡
を用いて液晶挙動を観察から、本反応で得られた液晶性
化合物Aは室温から90℃以下で、スメスティック相を
形成することが確認された。
【0029】3)電気粘性効果 85℃(スメクティック相)および120℃(アイソト
ロピック相)において測定した。アイソトロピック相で
は電気粘性効果は全く発現しないことがわかる。
【0030】実施例2 1)液晶性化合物Bの合成 水120mlに溶解した水酸化カリウム100gとエタ
ノール500mlの混合液に、p−ヒドロキシ安息化酸
99g、沃化カリウム0.7gを溶解させ、アリルブロ
マイド86gを滴下して加えた。この溶液を80℃で1
2時間還流した後冷却し、水150mlを加えた後、塩
酸でpH3に調整した。析出した沈殿を濾別後、エタノ
ールから再結晶し、90gの生成物(b−1)を得た。
【0031】17gの生成物(b−1)に塩化チオニル
17gと数滴のジメチルホルムアミドを加え、室温で1
時間撹拌して酸クロリド体とし、真空下で過剰の塩化チ
オニルを除去した。テトラヒドロフラン(THF)10
0mlに溶解した酸クロリド体を、p−シアノフェノー
ル12gとトリエチルアミン13gを溶解した0℃のT
HF250mlの中に滴下し、0℃でさらに1時間撹拌
した。THFを真空下で除去し残渣をジクロロメタンに
溶解し水洗した。シリカゲルカラム(ワコーゲルC20
0)で精製して26gの生成物(b−2)を得た。
【0032】トルエンに溶解した3.5gのα,ω−ビ
ス(ハイドロジエン)ポリジメチルシロキサン{東芝シ
リコーン(株)TSL9546}および5.0gの生成
物(b−2)に塩化白金酸6水塩2mgを加え80℃で
24時間還流した。トルエンを除去後、残渣をシリカゲ
ルカラム(ワコーゲルC200)で精製して、シロキサ
ン両末端に液晶性基が導入された液晶性化合物Bを4.
5得た。
【0033】
【化2】
【0034】液晶性化合物Bの赤外線吸収スペクトル分
析の結果は、Si−Hに基づく2128cm-1の吸収は
消滅しており、かわりにニトリルN基に基づく2222
cm-1やカルボキシル基に基づく1733cm-1の吸収
が生じていた。
【0035】2)液晶挙動 示差走査熱量計および加熱プレートのついた偏光顕微鏡
を用いて液晶挙動を観察した結果、生成物(b−2)は
室温から110℃の間で、液晶性化合物Bは室温から7
0℃の間で、それぞれ液晶相を形成することが確認され
た。
【0036】3)電気粘性効果 25℃(スメクチィック相)および80℃(アイソトロ
ピック相)において測定した。液晶性化合物Bは基底粘
度が低く、室温でも大きな電気粘性効果の発現すること
がわかる。
【0037】実施例3 1)液晶性化合物Cの合成 実施例1と同様にして、p−ヒドロキシ安息香酸28g
と10−臭化ウンデシレン47gを反応させて淡黄色を
おびた約20gの生成物(c−1)を得た。
【0038】16gの生成物(c−1)に塩化チオニル
10gと数滴のジメチルホルムアミドを加え、室温で3
0分撹拌した後、真空下で過剰の塩化チオニルを除去し
た。これをテトラヒドロフラン(THF)90mlに溶
解した後、p−シアノフェノール7gとトリエチルアミ
ン7gを溶解した5℃のTHF220mlの中に滴下
し、5℃で4時間撹拌した。その後、THFを減圧留去
し、新たにジクロロメタン200mlに溶解し、分液ロ
ートを用いて3回水洗いした。芒硝で脱水後、シリカゲ
ル(ワコーゲルC200)を詰めたカラムを通して精製
した。ジクロロメタンを留去後、70℃のエタノールを
用いて再結晶し、白色針状結晶の生成物(c−2)19
gを得た。
【0039】モノメチルシロキサン(A)とジメチルシ
ロキサン(B)からなる共重合体シリコーン(A/Bモ
ル比=1/1、重合度約30)8gと、21gの生成物
(c−2)をトルエン200mlに溶解し、塩化白金酸
6水塩10mgを加えて80℃で24時間反応させた
後、トルエンを留去した。70℃のエタノールで洗浄
後、ジクロロメタン50mlに溶解し、シリカゲルを通
し未反応物を除去した後、ジクロロメタンを真空加熱に
より除去して、液晶基を側鎖にもつ液晶性化合物Cを約
16g得た。
【0040】
【化3】
【0041】液晶性化合物Cは赤外線吸収スペクトル分
析およびNMR分析の結果、SiHの吸収は消えて、か
わりにニトリル基やカルボキシル基に基づく吸収が大き
く現れていた。
【0042】2)液晶挙動 示差走査熱量計および加熱プレートのついた偏光顕微鏡
を用いて液晶挙動を観察から、本反応で得られた液晶性
化合物Cは70℃付近でスメスティック相を、105℃
付近でアイソトロピック相を形成することが確認され
た。
【0043】3)電気粘性効果 85℃(スメクティック相)および120℃(アイソト
ロピック相)において測定した。
【0044】実施例4 1)液晶性化合物Dの合成 水30mlに溶解した水酸化カリウム3.75gとエタ
ノール300mlの混合液に、4−Cyano−4’−
hydroxydiphenyl 10.5g、沃化カ
リウム0.05gを溶解させ、アリルブロマイド6.2
3gを滴下して加えた。この溶液を80℃で12時間還
流した後冷却し、水50mlを加えた後、塩酸でpH3
に調整した。析出した沈殿を濾別後、シリカゲルカラム
(ワコーゲルC200)で精製して生成物(d−1)を
10.2g得た。
【0045】トルエンに溶解したα,ω−ビス(ハイド
ロジエン)ポリジメチルシロキサン{東芝シリコーン
(株)TSL9586}9.4gおよび生成物(d−
1)6.1gに塩化白金酸6水塩0.1mgを加え12
0℃で24時間還流した。トルエンを除去後、残渣をシ
リカゲルカラム(ワコーゲルC200)で精製して、シ
ロキサン両末端に液晶性物質が導入された液晶性化合物
Dを10.5g得た。
【0046】
【化4】
【0047】2)液晶挙動 −10℃から15℃において液晶性を示したが、25℃
以上においてはアイソトロピック相となった。
【0048】3)電気粘性効果 5℃で測定した。高温になるほど発生応力が低下してい
き、25℃では全く発現しなくなった。
【0049】実施例5 1)液晶性化合物Eの合成 水60mlに溶解した水酸化カリウム8.0gとエタノ
ール200mlの混合液に、4−Cyano−4’−h
ydroxydiphenyl 10.5g、沃化カリ
ウム0.43gを溶解させ、エタノール50mlに溶解
した6−Bromo−n−caproic Acid
10.6gを滴下して加えた。この溶液を85℃で18
時間還流した後冷却し、水100mlを加えた後、塩酸
でpH3に調整した。析出した沈殿を炉別後、エタノー
ルから再結晶して生成物(e−1)を8.7g得た。こ
れを塩化チオニルで酸クロ体とした後、テトラヒドロフ
ラン(THF)30mlに溶解し、次に1,7−Hep
tanediol 1.06gとトリエチルアミン2.
12gを溶解した0℃のTHF20mlの中に滴下し、
0℃でさらに1時間撹拌した。THFを除去後残渣をジ
クロロメタンに溶解し水洗した後、シリカゲルカラム
(ワコーゲルC200)で精製して3.3gの液晶性化
合物Eを得た。
【0050】
【化5】
【0051】2)液晶挙動 25℃から80℃まで液晶性を示した。
【0052】3)電気粘性効果 71℃で電気粘性効果を測定した。これより高温側で
も、また低温側でも発生応力は低下した。
【0053】実施例6 1)液晶性化合物Fの合成 ジエチルエーテル250mlに溶解したテレフタル酸ク
ロリド15.9gを、p−ヒドロキシ安息化酸21.6
gとトリエチルアミン79.3gを溶解した0℃のジエ
チルエーテル400mlの中に滴下し、0℃でさらに1
時間撹拌した。塩酸でpH2とした後、濾別、水洗、乾
燥して化合物(f−1)を20.1g得た。この一部を
塩化チオニルで酸クロ体とした後、その3.0gを1,
1,2,2−テトラクロロエタン(TCE)50mlに
溶解し1,3−Bis(3−hydroxypropy
l)−1,1,3,3−tetramethyldis
iloxane{信越化学工業(株)LS7400}
2.1gと窒素気流下100℃24時間反応させた。T
CEを留去し、残渣を塩化メチレンに溶解させ、分液ロ
ートを用い水洗して酸成分を除去した後、塩化メチレン
を留去し固いアメ状の液晶性化合物Fを4.5g得た。
【0054】
【化6】
【0055】2)液晶挙動 液晶性化合物F単独では、常温では明確な液晶性は観察
されなかったが、0℃付近では液晶性が発現した。ジメ
チルシリコーン(DMS,20cp)を30wt%混合
し加熱したものでは70℃から95℃で明確な液晶性を
示した。
【0056】3)電気粘性効果 DMS(20cp)を30wt%混合し加熱したものに
つき、80℃での電気粘性効果を直流および交流(50
Hz)を印加して測定した。
【0057】実施例7 1)液晶性化合物Gの合成 実施例1の化合物(a−1)の合成と同様にして、p−
シアノビフェノール−12.3gと5−ペンチルブロマ
イド9.5gを反応させて化合物(g−1)約11gを
得た。
【0058】モノメチルシリコーン(重合度約20)
7.8gと生成物(g−1)41gをトルエン400m
lに溶解し、塩化白金酸6水塩2mgを加えて80℃で
24時間反応させた後、トルエンを留去した。70℃の
エタノールで洗浄後、シリカゲルを通し未反応物を除去
した。ジクロロメタンを真空加熱により留去して、目的
の液晶基を側鎖にもつ液晶性化合物Gを約40g得た。
【0059】
【化7】
【0060】液晶性化合物GはIRスペクトル分析およ
びMR分析の結果、SiHに基づく吸収は著しく減少
し、かわりにニトリル基やカルボキシル基に基づく吸収
が大きく現れていた。
【0061】2)液晶挙動 常温から140℃までスメクチック相を示した。
【0062】3)電荷粘性効果 90℃で測定した。液晶性化合物Aに比べて液晶性基の
含有量が多いにもかかわらず発生応力が低い。液晶性化
合物Gの液晶性基の誘電異方性は正ではあるが、液晶性
化合物Aのものに比べて低いことに起因すると考えられ
る。
【0063】実施例8 1)液晶性化合物Hの合成 実施例2と同様にして合成した化合物(b−2)9.8
gとモノメチルシロキサン(A)とジメチルシロキサン
(B)からなる共重合体シリコーン(A/Bモル比=1
/2、重合度約30)6.6gをトルエン70mlに溶
解し、塩化白金酸6水塩1mgを加えて110℃で24
時間反応させた後、トルエンを留去した。エタノールで
洗浄後、シリカゲルを通し未反応物を除去した後、ジク
ロロメタンを真空加熱により除去して、液晶基を側鎖に
もつ液晶性化合物Hを約8g得た。
【0064】
【化8】
【0065】液晶性化合物Hは赤外線吸収スペクトル分
析およびNMR分析の結果、SiHの吸収は消えて、か
わりにニトリル基やカルボキシル基に基づく吸収が大き
く現れており、SiHは90%以上液晶性基で置換され
ていることが確認された。
【0066】2)液晶挙動 液晶性合物Hは80℃付近までネマティック相を、90
℃以上ではアイソトロピック相を形成することが確認さ
れた。ジメチルシリコーン(DMS,20cp)および
テトラメチルテトラフェニルシロキサン(TPS,40
cp)をそれぞれ50wt%混合し加熱したところ、前
者は液晶性が保持されていたが、後者は液晶性が消失し
ていた。
【0067】3)電気粘性効果 上記のDMSおよびTPSを混合した2種類の試料につ
き電気粘性効果を測定した。
【0068】実施例9 1)液晶性化合物Iの合成 実施例2と同様にして合成した化合物(b−1)12.
5gを塩化チオニルで、酸クロリド体にし、p−ヘキシ
ルオキシフェノール13.6gとともにTHF中で実施
例2と同様に反応させて化合物(i−1)約20gを得
た。
【0069】実施例2と同様にして、化合物(i−1)
10.6gとモノメチルシロキサン(A)とジメチルシ
ロキサン(B)からなる共重合体シリコーン(A/Bモ
ル比=1/2、重合度約30)6.3gをトルエン65
mlに溶解し、塩化白金酸6水塩1mgを加えて110
℃で24時間反応させた後、トルエンを留去した。エタ
ノールで洗浄後、リカゲルを通し未反応物を除去した
後、ジクロロメタンを真空加熱により除去して、液晶基
を側鎖にもつ液晶性化合物Iを約12g得た。
【0070】
【化9】
【0071】液晶性化合物Iは赤外線吸収スペクトル分
析およびNMR分析の結果、SiHの吸収は消えて、か
わりにカルボキシル基に基づく吸収が大きく現れてお
り、SiHは95%以上液晶性基で置換されていること
が確認された。
【0072】2)液晶挙動 液晶性化合物Iは70℃付近までは液晶性を示したが、
80℃以上ではアイソトロピック相を形成することが観
察された。
【0073】3)電気粘性効果 DMS(20cp)を50wt%混合し加熱した試料に
つき電気粘性効果を測定した。実施例8の液晶性化合物
HにDMSを混合したものに比べて発生応力も低くまた
応答性も遅い。
【0074】実施例10 1)液晶性化合物Jの合成 トルエンに溶解した1,1,3,3,5,5−Hexa
methyl−1,5−dihydrotrisilo
xane{チッソ(株)H7322}4.8gおよび実
施例2と同様にして得られた生成物(b−2)12.8
gに塩化白金酸6水塩0.1mgを加え120℃で24
時間還流した。トルエンを除去後、残渣をジクロロメタ
ンに溶解しシリカゲルカラム(ワコーゲルC200)を
用いて精製して、シロキサン両端に液晶性物質が導入さ
れた液晶性化合物Jを5.8g得た。
【0075】
【化10】
【0076】2)液晶挙動 65℃まで液晶性を示したが70℃維持用ではアイソト
ロピック相を示した。 3)電気粘性効果 液晶性化合物Jの単独およびDMS(20cp)を30
wt%混合したし量につき50℃および70℃で電気粘
性効果を測定した。
【0077】実施例11 正の誘電異方性(10〜20)を示す液晶性基をもつ実
施例8の液晶性化合物Hと負の誘電異方性(−5〜0)
を示す液晶性基をもつ実施例9の液晶性化合物Iを等量
(重量)混合し100℃に加熱してよく撹拌し試料とし
た。いずれも単独ではネマチック相を呈していたが混合
したものは、75℃でスメクチック相を呈した。
【0078】実施例12 実施例2および実施例3と同様にして得られた化合物
(b−2)1.5gおよび化合物(c−2)2.1g
を、モノメチルシロキサン(A)とジメチルシロキサン
(B)からなる共重合体シリコーン(A/Bモル比=1
/2、重合度約30)2.0gとともにトルエン350
mlに溶解し、ジシクロペンタジエニルPt(2)クロ
ライド1mgを加えて110℃で24時間反応させた
後、トルエンを留去した。エタノールで洗浄後、ジクロ
ロメタン50mlに溶解し、シリカゲルを通し未反応物
を除去した後、ジクロロメタンを真空加熱により除去し
て、液晶基を側鎖にもつ液晶性化合物Kを約4g得た。
【0079】
【化11】
【0080】2)液晶挙動 25℃から130℃においてスメクチック相が観察され
た。
【0081】3)電気粘性効果 90℃で測定した値を表1に示すが、液晶性化合物Cや
Hよりもより広い、60℃から100℃までの温度範囲
で高い電気粘性効果を示した。
【0082】実施例13 1)液晶性化合物Lの合成 6−ブロヘキシルアルコール18.3gとp−ヒドロキ
シ安息香酸14.0gを実施例1と同様にして水酸化カ
リウムの存在下で反応させ生成物(l−1)16gを得
た。
【0083】生成物(l−1)12g、アクリル酸30
ml、p−トルエンスルホン酸2g、およびハイドロキ
ノン2gをクロロホルム30mlに溶解して,Dean
−Stark apparatusを用いて24時間還
流を行い、水洗、クロロホルム留去、および再結晶を経
て生成物(l−2)約9gを得た。次にこの生成物(l
−2)8.1gを実施例1と同様に塩化チオニルを用い
酸クロリド体にした後、THF中でp−メトキシフェノ
ール3.0gと反応させて生成物(l−3)9.5gを
得た。
【0084】生成物(l−3)9.0gおよび重合開始
剤としてAIBN 0.15gをトルエン100mlに
溶解し60℃で6時間重合を行い冷却した後、5℃のエ
ーテル中に滴下して沈殿させ、再沈殿による精製を経て
平均重合度30のアクリル酸エステル重合体からなる液
晶性化合物L7.5gを得た。
【0085】
【化12】
【0086】2)液晶挙動 常温から90℃までスメクチック相を示し、110℃で
はアイソトロピック相を示した。
【0087】3)85℃で電気粘性効果を測定した。
【0088】実施例14 1)液晶性化合物Mの合成 水80mlに溶解した水酸化カリウム10.5gとエタ
ノール260mlの混合液に、4−Cyano−4’−
hydroxydiphenyl 13.3g、沃化カ
リウム0.56gを溶解させ、エタノール75mlに溶
解した8−Bromooctanoic Acid 1
6.0gを滴下して加えた。この溶液を85℃で18時
間還流した後冷却し、水130mlを加えた後、塩酸で
pH3に調整した。析出した沈殿を炉別後、エタノール
から再結晶して生成物(m−1)を12.0g得た。
【0089】生成物(m−1)3.1gとポリプロピレ
ングリコール(PPG、平均分子量1500)10.3
gをトルエン400mlに加え、生成する水を除去しな
がら130℃で46時間還流した。トルエンを除去した
残渣を塩化メチレンに溶解させ、飽和重曹水で中和しよ
く水洗した後、濃縮しジクロロメタンに溶解してシリカ
ゲルカラム(ワコーゲルC200)で精製して約7gの
液晶性化合物Mを得た。
【0090】
【化13】
【0091】2)液晶挙動 35℃以下の温度で弱いが液晶性を示した。
【0092】3)電気粘性効果 15℃で測定した。
【0093】実施例15 1)液晶性化合物Nの合成 水50mlに溶解した水酸化カリウム15.5gとエタ
ノール200mlの混合液に、エチレングリコール6.
5g、沃化カリウム0.63gを溶解させ、エタノール
150mlに溶解したp−Bromobenzoic
acid 42.1gを滴下して加えた。この溶液を8
5℃で20時間還流した後冷却し、水150mlを加え
た後、塩酸でpH3に調整する。析出した沈殿を濾別
後、エタノールから再結晶して生成物(n−1)を2
1.9g得る。
【0094】化合物(n−1)を塩化チオニルで酸クロ
体とした。
【0095】テトラヒドロフラン(THF)100ml
に溶解した酸クロリド体18.2gを、p−Butox
yphenol 17.9gとトリエチルアミン14.
2gを溶解した0℃のTHF120mlの中に滴下し、
0℃でさらに1時間撹拌した。THFを除去後残渣をジ
クロロメタンに溶解し水洗した。シリカゲルカラム(ワ
コーゲルC200)で精製して27.3gの液晶性化合
物Nを得た。
【0096】
【化14】
【0097】2)液晶挙動 110℃から130℃において液晶性が観察された。
【0098】3)電気粘性効果 120℃で測定した。高電圧では電流値が高くなり2k
v/mmでは安定な測定はできなかった。
【0099】実施例16 1)液晶性化合物oの合成 p−ヒドロキシ安息化酸21.6gをジメチルエーテル
400mlに溶解させ、トリエチルアミン79gを加え
た。氷冷却下ジメチルエーテル250mlに溶解したテ
レフタル酸ジクロリド15.9gを滴下してさらに1時
間撹拌した。塩酸でpH3に調整し、析出した沈殿を濾
別後、水洗い、乾燥して生成物(o−1)を20g得
た。生成物(o−1)のIRは、水酸基に基づく124
5cm-1の吸収が消失しており、芳香族エステル基に基
づく1789cm-1が発現していた。
【0100】生成物(o−1)10.3gに塩化チオニ
ル80gと数滴のジメチルホルムアミドを加え、70℃
で1時間撹拌した後、真空下で過剰の塩化チオニルを除
去して酸クロリド体11.2g得た。
【0101】酸クロリド体4.64gおよび両末端アル
コール変性シリコーンオイル(日本ユニカー(株)F−
235−80)4.19gを1,1,2,2−テトラク
ロロエタン50mlに溶解させ、窒素気流下100℃で
24時間撹拌した。反応液を濃縮留去後、残渣を塩化メ
チレン150mlに溶解し、飽和重曹水で中和した。塩
酸でpH3とした後、水層がpH7になるまで水洗、濃
縮して液晶性化合物oを約8g得た。
【0102】
【化15】
【0103】2)液晶挙動 室温から90℃で液晶性が観察された。
【0104】3)電気粘性効果 液晶性化合物o単独およびDMS(20cp)を30w
t%混合した試料につき80℃で電気粘性効果を測定し
た。混合により極めて大きな発生剪断応力の向上が見ら
れた。
【0105】実施例17 実施例3の液晶性化合物Cと実施例8の液晶性化合物H
を等重量混合し100℃で加熱し撹拌した後、90℃で
電気粘性効果を測定した。60℃から90℃でスメクチ
ック相が観察された。
【0106】実施例18 実施例1の液晶性化合物Aと比較例1の液晶性物質Rを
等重量混合し100℃で加熱し撹拌した後、80℃で電
気粘性効果を測定した。液晶性物質Rの混合により基底
粘度が著しく低下し、応答速度も大幅に向上した。
【0107】実施例19 実施例2の液晶性化合物Bに比較例1の液晶性物質Rを
30wt%混合し100℃で加熱し撹拌した後、40℃
で電気粘性効果を測定した。混合物は基底粘度の低下や
応答速度の向上に大きな効果を示した。
【0108】実施例20 実施例6の液晶性化合物Fに比較例1の液晶性物質Rを
30wt%混合し100℃で加熱し撹拌した後、60℃
で電気粘性効果を測定した。液晶性化合物F単独に比べ
発生剪断応力の増大が見られた。
【0109】実施例21 実施例1の液晶性化合物Aおよび実施例2の液晶性化合
物Bにそれぞれ、ジメチルシリコーン(20cp)を3
0wt%混合し100℃に加熱し撹拌した後、前者は7
0℃で、後者は25℃で電気粘性効果を測定した。低電
圧で大きな発生剪断応力が見られ応答速度も大きく向上
した。
【0110】比較例1 1)液晶性物質Rの合成 トルエンに溶解した片末端SiHシロキサン{東芝シリ
コーン(株)XC96−A5496}10.5gおよび
生成物(b−2)3.7gに塩化白金酸6水塩0.3m
gを加え120℃で20時間還流した。トルエンを除去
後、残渣をシリカゲルカラム(ワコーゲルC200)で
精製して、シロキサン片末端に液晶性物質が導入された
液晶性物質(R)を4.9g得た。
【0111】
【化16】
【0112】2)液晶挙動 0℃以上の温度では全く液晶性は見られなかった。
【0113】3)電気粘性効果 いずれの温度においても全く電気粘性流効果は発現しな
かった。
【0114】実施例22 実施例1の液晶性化合物Aおよびこれにジメチルシリコ
ーン(DMS,20cp)を30重量%混合し100℃
に加熱し撹拌した二種類の試料につき、印加電圧(直
流)および剪断速度による電気粘性効果に対する影響を
調べその結果を、図2および3に示した。
【0115】破線は液晶性化合物A単独、実線はDMS
を混合したものを示す。
【0116】実施例23 実施例3の液晶性化合物Cに、粒径20から80μmの
分布を持つ球状の架橋されたスチレンポリマー粒子を1
wt%添加した試料につき、電極間隔を100μmにし
たディスク間に封入し、剪断速度200sec-1で85
℃での電気粘性効果を測定した。結果を図4に実線で示
した。比較のため液晶性化合物Cのみを通常の電極間隔
である500μmのディスクを用いて剪断速度200s
ec-1で測定した際の電気粘性効果も図4に点線で示し
た。これより本試料は電極間隔が100μmでも500
μmの場合と同程度の電界強度依存性を示すことがわか
る。なお、シリコーンポリマー粒子を添加しなかった後
者の試料では電極間隔を100μmにしたディスクでは
回転軸の振れにより電極間の接触が生じ測定が不可能で
あった。
【0117】実施例24 実施例8の液晶性化合物Hにジメチルシリコーン(DM
S,20cp)を30wt%混合した試料について、直
流、交流(50Hz)および直流パルス(duty比=
1:1、50Hz)の3種類の電極を用いて80℃で
1.0kv/mm(実効電圧)の電圧を印加して電気粘
性効果の持続性を調べた。その結果、直流では初期の発
生応力は後者2つに比べて高いものの時間の経過ととも
に初期の約40%の値にまで低下した。一方、交流では
初期は直流の70%弱と低いものの3日後でも初期と殆
ど変わらない値を維持し、またパルス直流でも直流に比
べて低下も少なく初期の約30%の低下に留った。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】本発明は従来提案されてきた粒子分散系
の電気粘性流体の大きな欠点の一つであった粒子の沈降
分離の問題がなく、優れた応答性を示す均一系の電気粘
性流体である。バルブ、クラッチ、ブレーキ、トルクコ
ンバーターなどのコンパクトで電子制御で作動する新し
いアクチュエータに、上記の問題なく長期間安定に使用
することが可能となる。特に高精度のサーボ制御システ
ム系への展開が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】以上、本発明の液晶性化合物の代表的な分子構
造を示す模式図である。
【図6】液晶性化合物A(破線)およびそれにジメチル
シリコーン(DMS)を混合したもの(実線)の印加電
圧と発生剪断応力の関係を示すグラフ。
【図7】液晶性化合物A(破線)およびこれにDMSを
混合したもの(実線)の剪断速度と発生剪断応力の関係
を示すグラフ。
【図8】液晶性化合物Cの電気粘性効果の測定における
電極間隔と発生剪断応力の関係を示すグラフ。実線は1
00μm、破線は500μmの時の値である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105/76 107/28 107/44 107/50 // C10N 30:04 40:14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数個の液晶性基を直接あるいはスペー
    サーを介して1つの分子鎖に結合した液晶性化合物ある
    いはその分散物からなる均一系の電気粘性流体。
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JPH07150164A (ja) * 1993-11-30 1995-06-13 Agency Of Ind Science & Technol 電気粘性流体
JPH08113791A (ja) * 1994-10-14 1996-05-07 Asahi Chem Ind Co Ltd 電気粘性流体
JPH08245976A (ja) * 1995-03-13 1996-09-24 Nitta Ind Corp アクチュエータ用作動流体
US6495071B1 (en) 1996-02-01 2002-12-17 New Technology Management Co., Ltd. Method of using electro-sensitive movable fluids
JP2004137250A (ja) * 2002-08-19 2004-05-13 Naotake Nakamura 液晶性化合物及びそれを用いた電気粘性流体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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