JPH0532922A - インクジエツトプリンタ用インク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 顔料分散系インクにおいて、インク保存安定
性、印字品質、インク吐出ノズルでのインク目詰まり、
記録紙上でのインクの乾燥速度を両立させるインクジェ
ットプリンタ用インクを提供する。 【構成】 分散媒体が非極性の絶縁性溶媒であり、前記
分散媒体に分散剤を使い、色材として強磁性体顔料を分
散したインク組成物において、前記分散剤がソルビタン
脂肪酸エステル系化合物である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクを飛翔させ、記
録紙等の被転写媒体上に文字や画像を形成するインクジ
ェット記録装置に供するインクに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクジェット記録方式としては
コンティニュアスタイプとオンデマンドタイプの２つの
方式に大別することができる。この様なインクジェット
方式に用いるインクとしては、染料を水に溶解させたイ
ンクが主流をしめている（以下水性インクと呼称す
る）。水性インクは、各種の水溶性染料を水または水及
び水溶性水溶性有機溶剤からなる溶媒中に溶解、必要に
より各種添加剤が添加されたものが現在用いられてい
る。これらのインクジェット記録の長所としては、直接
記録であるためにプロセスが簡単である。インパクト方
式ではないために無騒音である、カラー化が容易であ
る、高速記録が可能である、普通紙が使用できるため低
ランニングコストである、微小インク滴を吐出させるた
めに高解像度の記録が可能である等の優れた特徴を有し
ておりその将来が注目されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の従来技
術では、方式の違いにより多少異なるが、共通の技術的
課題として、 １ 被転写紙上でインクがにじみ、高品位な記録画像が
得られない。

【０００４】２ インクの被転写紙上での乾燥速度が遅
く、おびきが起きる。

【０００５】３ ノズル及びインク供給経路で目詰まり
し、インク吐出が安定しないが挙げられる。

【０００６】また、上記問題点を解決しようとする試み
も為されており、例えば、特公昭５５ー２９５４６号公
報には、特定の界面活性剤を添加し表面張力を下げてイ
ンクの被転写紙への吸着性を高めたものが提案されてお
り、特公昭５６ー５７８６２号公報には、強塩基性物質
を添加しｐＨをあげ、普通紙の耐水処理剤であるサイズ
剤やパルプ剤を化学的に溶解し、ドットの広がりと吸収
性を制御する方法が報告されており、また特公昭５８ー
１３６７５号公報には、インク中に分子量４万以上のポ
リビニルピロリドンをいれ、ドットの広がりと被転写紙
への吸収性を制御する方法が提案されているが、これら
の試みは前記問題点の一部分を解決するものであり、問
題点のすべてを解決する対策にはなっていない。またこ
れらのインクは水溶性染料を使うため、インクジェット
記録を行った場合被転写紙上での耐水性、耐光性におい
て劣ったものとなった。また水溶性染料を含んだ記録液
自体の保存安定性も染料の自然分解によりあまり高くな
い。

【０００７】そこで最近では、この様な染料系のインク
ジェットプリンタ用インクに代えて、顔料系インクジェ
ットプリンタ用インクをインクジェット記録方式に適用
する試みが為されている。この顔料系インクジェットプ
リンタ用インクには、得られた記録画像の耐光性や耐水
性が、上記染料系に較べ極めて良好であるという利点が
認められる。しかしながら、顔料はインク分散媒体に不
溶性であるが故に、それをインク中に微分散する上で高
度の技術を要すると共に、その分散安定性を高めること
は非常に困難なものである。

【０００８】そこで本発明の目的とするところは、前述
の問題点を解決するもので、第１に記録液自体の保存安
定性に優れたインクジェットプリンタ用インクを提供す
るところにある。第２に被転写媒体上でインクがにじ
み、高品位な記録画像を得ることである。第３にインク
の被転写紙上での乾燥速度が早くおびきが起きないこと
である。第４にノズル及びインク供給経路で目詰まりせ
ず、インク吐出が安定するインクジェットプリンタ用イ
ンクを提供することにある。この他に本発明の目的とす
るところは、被転写紙上での耐水性、耐光性に優れたイ
ンクジェットプリンタ用インクを提供するところにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
プリンタ用インクは、分散媒体が非極性の絶縁性溶媒で
あり、前記分散媒体に分散剤を使い、色材として強磁性
体顔料を分散したインク組成物において、前記分散剤が
ソルビタン脂肪酸エステル系化合物であることを特徴と
する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。

【００１１】本発明において、分散剤として使うことの
できるソルビタン脂肪酸エステル系化合物として具体的
に例示すると、ソルビタンモノオレエート、ソルビタン
モノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビ
タントリオレエート等である。この化合物の使用量は強
磁性体顔料に対して０．１〜５０重量％が好ましい。ま
た、本発明のインクジェットプリンタ用インクの強磁性
体顔料分散剤としては、前記のソルビタン脂肪酸エステ
ル化合物の他に、公知の非イオン性界面活性剤、陰イオ
ン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性
剤、高分子分散剤を併用することも可能である。

【００１２】本発明に用いることのできる強磁性体顔料
としては、酸化鉄顔料があげられる。具体的には、チタ
ン工業社製のタロックスＢＬー１０、１５、戸田工業社
製のＭＡＴー３０５、ー２２２等である。その他酸化鉄
表面を樹脂等で被覆した加工顔料も使用できる。その添
加量は、１〜３０重量％が好ましいが、さらには３〜１
２重量％が好ましい。顔料の粒径は１０μｍ以下の顔料
を使うことが出来るが、さらには０．１μｍ〜５μｍの
粒子からなる顔料を用いることが好ましい。

【００１３】本発明に分散媒体として使用できる非極性
の絶縁性溶媒としては、脂肪族炭化水素溶剤、具体的に
はエクソン社のアイソパー、フィリップ石油社のソルト
ール、出光石油化学社のＩＰソルベント、石油ナフサで
はシェル石油化学社のＳ．Ｂ．Ｒ．、シェルゾール、モ
ービル石油社のベガゾール等がある。本発明の非極性の
絶縁性溶剤に必要な特性としては、毒性の少ないこと、
引火性が少ないこと、臭気が少ないことである。これら
は場合によっては２種類以上併用して用いることが出来
る。

【００１４】また、本発明におけるインクジェットプリ
ンタ用インクには上記必須成分の他に、インクの粘度調
整あるいは、印字記録後の記録物の耐擦過性向上の目的
で樹脂等を添加することが出来る。具体的には、エチル
セルロース樹脂、ポリアクリルエステル樹脂、アマニ油
変性アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ポリプ
ロポレン、ポリアミド樹脂、クマロンインデン樹脂、ロ
ジン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェ
ノール変性キシレン樹脂、無水マレイン酸樹脂、イソプ
レン樹脂、スチレン樹脂、エチレン・メタクリル酸共重
合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート共重合体樹
脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂等が好ましく、
インク保存性の観点より溶剤に可溶であることが好まし
い。さらにまた印字後の記録物のブロッキングの点から
みると。樹脂の融点あるいは軟化点は５０℃以上が好ま
しい。またこれらは場合によって２種類以上の樹脂を併
用して使うこともできる。

【００１５】以上の述べたインク組成物を使ったインク
ジェットプリンタ用インクは既知の方法で製造すること
ができる。一例をあげると、非極性の絶縁性溶剤に分散
剤を加え、必要に応じて樹脂を添加した後、顔料を加
え、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機
で処理し、均一分散系とし本発明のインクジェットプリ
ンタ用インクを得る。

【００１６】インク物性としては、印字装置の動作時の
温度を０〜５０℃に設定した場合におけるインク粘度
は、ヘッドの高速応答下におけるインクの液滴形成安定
性と飛翔安定性の観点から吐出時ノズル付近において、
３０ｍＰａ・ｓ以下であることが必要であり、さらによ
り高速応答性実現の為には１．０〜１５ｍＰａ・ｓがよ
り好ましい。

【００１７】以下にインクの成分について具体的に説明
する。

【００１８】表１に本発明の実施例によるインク組成及
び比較例のインク組成を示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】なお表１に示した比較例３のインク組成は
市販の水性インクとほぼ同様な組成である。インクを作
製後以下の評価項目を設け本発明のインクジェットプリ
ンタ用インク及び比較例のインクを評価した。

【００２１】インク保存安定性：７０℃の高温下に密封
したインクを２ヶ月放置した後、観察し、 ・沈降は見られるが容易に再分散する。・・好適（◎） ・沈降は見られるが凝集（ハードケーキ）は起こってい
ない。・・（○）適 ・沈降凝集が発生している。・・不適（×） によって分類評価した。結果を表２に示す。

【００２２】

【表２】

【００２３】次にインクの印字品質、記録紙上での乾燥
速度、吐出部での目詰まり試験を評価する目的で行うイ
ンク印字評価は図１に示す如きインクジェットプリンタ
ヘッドを用いて行った。図１は本実施例に用いたインク
ジェットヘッド構造を示す断面図である。具体的にはキ
ャビティ３の壁面に、積層された圧電素子よりなる圧力
発生部材２が接着された構造を有す。駆動時には、印加
電圧により圧力発生部材２がたわむことによってキャビ
ティ内のインクを加圧することによりインクがノズル１
より吐出される。尚図中図１の４はインクであり、５は
ノズル１から吐出したインク滴である。本インクジェッ
トプリンタヘッドの吐出ノズル径は５０μｍ、圧電素子
駆動電圧５０Ｖ、駆動周波数２ｋＨｚ、解像度３００ド
ット／インチであった。

【００２４】上述の如きインクジェットプリンタヘッド
の構造によれば、吐出スピードが早いためインクの転写
面積が広くなる、少ドット化が可能、高解像度化が可
能、粘度、表面張力等のインク物性に対するマージンが
広い、目詰まりしにくい等のインジェットプリンタとし
てのすぐれた特性が得られる。

【００２５】前述のインクジェットプリンタヘッドを使
い以下の評価を行った。

【００２６】印字評価：印字品質と記録紙上でのインク
乾燥性確認を行う。

【００２７】印字品質：各種被転写紙に対して印字後、
目視あるいは顕微鏡観察（６０倍）によりインクのにじ
みの有無を評価し、 ・目視あるいは顕微鏡観察によってもにじみが確認でき
ない。 ・・好適（◎） ・目視ではにじみは確認できないが顕微鏡観察により確
認できる。・・適（○） ・目視、顕微鏡観察のどちらにおいてもにじみは確認で
きる。 ・・不適（×） によって分類評価した。結果を表２に示す。

【００２８】インク乾燥性：フルベタ印字後、別の記録
紙を印字面に合わせてインク移りがなくなるまでの時間
を調査し、 ・５秒以内でインク移りしなくなる。・・好適（◎） ・６０秒以内でインク移りしなくなる。・・適（○） ・裏移りしなくなるまで６０秒以上かかる。・・不適
（×） によって分類評価した。結果を表２に示す。

【００２９】インク目詰まり試験：図１に示した構造の
ヘッドにインクを充填し、４０℃の環境にノズルにキャ
ップなしの状態で１週間放置し、インクの吐出状況を評
価し、 ・すぐに吐出・・好適（◎） ・ゴム板で擦り吐出・・適（○） ・吐出しない・・不適（×） により分類評価した。結果を表２に示す。

【００３０】本発明のインクジェットプリンタ用インク
は、いずれも今回実施した全ての評価でインク保存安定
性が高く、にじみの無い高印字品質で、紙上のインクが
重ねられた紙へ裏移りしなくなるまでの時間は短く、ま
たインクのノズル部での目詰まり試験においても良好な
結果を示し、インクジェットプリンタ用インクとして好
ましいものであった。一方比較例１〜３のインクでは、
インク保存安定性、印字品質、インク乾燥性試験、ノズ
ル目詰まり試験の何れかがインクジェットプリンタ用イ
ンクとして不適であった。

【００３１】さらに、本発明のインクジェットプリンタ
用インクは再生紙であるゼロックス社製新ＣＫ紙、Ｒ
紙、本州製紙社製やまゆり紙に前記印字品質評価を行っ
たところ、上記３種の再生紙に対しても、にじみ等の少
ない良好な印字品質を得ることができた。

【００３２】以上、本発明の実施例を詳細に説明した
が、本発明のインクジェットプリンタ用インクはこれら
の構成、材料、製造方法に限定されるのものではない。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェットプリンタ用インクによれば従来から問題とされて
いた普通紙に対するにじみがなく、印字乾燥性に優れ、
ノズルの目詰まりのない印字品質の良い印刷を可能にす
る効果を有する。また特定の分散剤を使用することで高
いインク保存安定性を実現出来た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェットプリンタ用インクの記
録方法を示した断面図である。

【符号の説明】

１ ノズル ２ 圧力発生部材（積層圧電素子） ３ キャビテイ部材 ４ インク ５ インク滴

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 分散媒体が非極性の絶縁性溶媒であり、
   前記分散媒体に分散剤を使い、色材として強磁性体顔料
   を分散したインク組成物において、前記分散剤がソルビ
   タン脂肪酸エステル系化合物であることを特徴とするイ
   ンクジェットプリンタ用インク。