JPH05327039A - 超電導限流装置 - Google Patents
超電導限流装置Info
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Abstract
い大容量の超電導トリガコイルを得るとともに、特性の
劣化を防止すべく短絡電流による多重クエンチを防止し
得る超電導限流装置を提供する。 【構成】 超電導トリガコイルを構成する複数の超電導
コイル31,32は互いに負の相互インダクタンスを有
するとともに、互いに無誘導となるように直並列接続さ
れている。
Description
電流等の過電流を抑制する超電導限流装置に関し、更に
詳しくは、臨界電流により超電導体が突然常電導体に相
転移する超電導体のクエンチ現象を利用した交流超電導
スイッチである超電導トリガコイルの通電電流密度を増
大させて、限流時のジュール損失を低減し得る超電導限
流装置に関する。
故が発生すると、数十kAにも及ぶ事故電流が流れ、系
統及び機器に大きなダメージを与えてしまう。この様な
事故電流を瞬時に検出し抑制する為の限流技術の一つ
に、最近超電導を応用したものが考案されている。
回路例を示したもので、既に特開平2−168525号
にて公開されているものである。本例において、1は電
源、2は遮断器、3は限流器、3aは超電導限流コイル
(以下、限流コイルと称す)、3b,3cはトリガコイ
ル、3dはスイッチ、3gはクエンチセンサ、4は負
荷、11は回路の全電流を検出するための変流器、12
はトリガコイル3b,3cのループ電流を検出するため
の変流器、13は制御電源、14はループ電流位相検出
器、15はループ電流位相検出回路を主回路に接離する
ためのスイッチ、16はトリガコイルの両端電圧の位相
を検出するトリガコイル電圧位相検出器、17はトリガ
コイルの電流および電圧の位相差を比較検出する位相比
較器を示している。
説明する。定常時、回路電流は無誘導で超電導(抵抗
零)のトリガコイル3b,3c側を流れ、正常に負荷4
へ給電されつづける。次に負荷4が短絡するなどして、
過大な事故電流が回路に流れ、その値がトリガコイル3
b,3cを構成している超電導線の臨界電流値に達する
と、トリガコイル3b,3cがクエンチして高抵抗体に
転移する。その結果、事故電流は抑制され、トリガコイ
ル3b,3cよりインピーダンスの低い限流コイル3a
側へ転流していく。この間、トリガコイル3b,3cは
常電導体となっているので、発熱して冷媒を消費しつづ
けるのと同時に超電導線の温度も上昇することになる。
スイッチ3dは、トリガコイル3b,3cに流れていた
電流が限流コイル3a側へ転流した直後に開放して、冷
媒の蒸発を抑制すると同時に、トリガコイル3b,3c
の冷却速度を速めて次の事故発生に対応できるようトリ
ガコイル3b,3cの超電導復帰を助ける。トリガコイ
ル3b,3cの超電導復帰は、各位相検出器14,16
とその比較器17によって検出され、系統の事故が復旧
したことおよび前記トリガコイル3b,3cが超電導復
帰したことの2条件が揃うとスイッチ3dが閉成して定
常状態に復帰できる。
が極めて速く、短絡電流のような急峻な立ち上がりを持
つ過電流に対しても、第1波から限流できる優れた特徴
を有する反面、超電導体をクエンチさせる方式のため、
限流動作(クエンチ)時にかなりのジュール損失Pjが
発生する。その値は電源電圧Vが一定であれば、次式に
示すようにトリガコイルのクエンチ抵抗値Rqに反比例
する。
冷却している冷媒の消費(気化)は、少なくなり経済的
な装置とすることができる。このクエンチ抵抗Rqを大
きくする方法として、超電導線のマトリクス(安定化
材)を高抵抗化する方法が考えられる。
使用されている銅(Cu)をマトリクスとする超電導線
と、この種トリガコイルに使用されるCu−Ni(30
%)マトリクス超電導線の固有抵抗値の温度特性比較図
である。同図から分かるとおり、Cu−Ni(30%)
マトリクス超電導線の固有抵抗値は、Cuマトリクス超
電導線の固有抵抗値に対して、常温において約25倍、
10Kにおいては1000倍以上にも達する。
%)マトリクス超電導線を適用することにより、大きな
クエンチ抵抗が得られ、限流時の冷媒消費を格段に抑制
することができる。しかしその反面、マトリクスを高抵
抗化することによって安定性が低下し、擾乱に対して弱
くなることから、通電電流密度が低下することも分かっ
てきた。
は、通常の電線と同様に、撚線にする方法が用いられ
る。しかし、前述のように高抵抗マトリクスで比較的安
定度の低い超電導線において撚線構成を採用した場合、
交流通電時の電磁力などによって、撚線内部に微小な素
線の動きが生じ、その時の摩擦熱によりクエンチするケ
ースが出てくる。
i極細多心線(Cu−Ni(30%)マトリクス)を撚
線(1次及び2次)したときの素線あたりの交流クエン
チ電流値Iqの減少傾向を電流の時間変化di/dtに
対して示す図である。同図から分かるとおり、超電導導
体のクエンチ電流値は電流の時間変化(di/dt)値
によっても多少変化するが、高いdi/dt領域ではほ
ぼ一定となる。この飽和領域での撚線によるクエンチ電
流値を比較すると、撚次数が増大する毎に超電導導体を
構成している素線一本あたりのクエンチ電流値が低下し
ている。すなわち、素線では約100Aの通電容量があ
る線でも1次撚線にすると67〜75Aに、さらに2次
撚線にすると23〜30Aまで低下する。撚線にしてク
エンチ電流値が低下したり不規則にばらつくのは超電導
線に機械的な動きが起きていることによるものと考えら
れる。
上させるためには、撚次数の低い導体でコイルを作り、
それらコイルを並列に構成した方が効果的と思える。
製作したトリガコイルの構成とその内部接続を示す図で
ある。両図において、トリガコイルは内側の無誘導コイ
ル3b,3cと外側の無誘導コイル3d,3eの2組か
ら構成されており、各コイルの導体には前述の2次撚線
が用いられている。同種の超電導導体を用いて全コイル
同時にクエンチさせようとしても、クエンチ電流値は前
述した超電導導体自身の不安定性や、コイル内部の磁界
分布、さらにはコイル巻枠との整合の程度などによって
同一とはならない場合が多い。このようなコイルを用い
て短絡試験を行ったところ数回の試験で動作電流が低下
していく劣化が発生した。
結果であり、コイル3b,3c側を流れる電流I31と
コイル3d,3e側電流I32との間に複雑な電流のや
り取り(転流/再転流)が見られる(図中のEはトリガ
コイルの両端電圧)。この複雑な電流変化は、無誘導コ
イルを並列化したことに起因しておりこの様なコイル特
性のため劣化が生じたと考えられる。
誘導が無く独立したインピーダンス素子となっており、
クエンチ後のインピーダンス成分は殆ど抵抗性である。
従って、短絡電流が流れ始めると、まずクエンチ電流値
が小さい方のコイル、例えば3b,3cが最初にクエン
チ(”A”点)するが、この時のクエンチは極めて狭い
範囲に留まる可能性がある。何故ならクエンチした側の
回路電流は発生抵抗が極僅かであっても、相手コイルの
インピーダンスがより小さいと、その上昇が抑制さ
れ(”B”点)、まだクエンチしていない相手コイル3
d,3e側へ電流が転流していくからである。
b,3cからの転流電流と自身を流れていた電流が重畳
するため、前述した電流I31より大きなdi/dt値
を有する電流が流れることになる。この種コイルには、
印加電流のdi/dt値が大きいほどクエンチ領域も広
い範囲に及ぶ傾向がある。
ル3d,3eのクエンチ抵抗値も大きなものとなり、急
激な再転流電流が部分的にクエンチしているコイル3
b,3c側へ流れる(”C”点)。この再転流電流によ
って、既にクエンチしているコイル3b,3cの常電導
部には大きなジュール損失が発生して温度が上昇し、熱
劣化や焼損が生じることになる。
の技術においては、トリガコイルの通電電流密度と通電
容量を増大させようとする場合において、使用する超電
導導体の撚次数を上げる方法では素線の動きによって通
電効率が低下し、また低次数の撚線を用いてコイルをた
だ単に並列化する方法ではトリガコイルに多重クエンチ
が生じてコイル特性が劣化する問題がある。
その目的とするところは、極力低次数の撚線を用いて通
電電流密度の高い大容量の超電導トリガコイルを得ると
ともに、特性の劣化を防止すべく短絡電流による多重ク
エンチを防止し得る超電導限流装置を提供することにあ
る。
め、本発明の超電導限流装置は、超電導体の臨界電流値
によるクエンチ現象を利用して交流電路に生じる過電流
を抑制する超電導トリガコイルを有する超電導限流装置
であって、前記超電導トリガコイルは、各々所定の条
数、所定の巻方向および所定の巻回数を有し、互いに負
の相互インダクタンスを有するように同軸に設けられる
とともに、互いに無誘導となるように直並列接続された
複数の超電導コイルから構成されることを要旨とする。
イルを構成する複数の超電導コイルは互いに負の相互イ
ンダクタンスを有するとともに、互いに無誘導となるよ
うに直並列接続されている。
る。
限流装置に適用される超電導トリガコイルの構成を示す
斜視図である。同図に示す超電導トリガコイルは、第1
の超電導コイルである内側コイル31および該内側コイ
ル31に対して同軸的に外側に巻装された第2の超電導
コイルである外側コイル32から構成されている。
内部接続を示す回路図であるが、図1,2に示すよう
に、内側コイル31は右巻きの超電導コイル31a,3
1b,31cが3条に巻装され、外側コイル32は左巻
きの超電導コイル32a,32b,32cが同様に3条
に巻装されている。また、内側コイル31の両側端子3
1d,31eおよび外側コイル32の両側端子32d,
32eは、図2に示すように、3条のコイルが2並列に
なるように接続されている。
される超電導トリガコイルは、従来の超電導トリガコイ
ルのような1層1条の巻線構成でなく、1層のコイル巻
枠に複数条(本実施例では3条)のねじ溝加工を施し、
3条の超電導コイルを巻装したことを特徴としている。
すなわち、通電効率が高くて比較的直径の細い1次撚線
を1層3条に巻装し、この3条コイルの両端を互いに接
続することにより1次撚線を3並列に構成した超電導コ
イルを得ている。
(1組)同軸に近接して構成し、これらのコイルの巻方
向を互いに超磁力が打ち消し合うように逆巻に巻装し、
2個のコイルの両端を互いに短絡接続することにより、
6条の超電導コイルが並列かつ電磁気的に無誘導となる
ように密に結合された超電導トリガコイルを構成してい
るのである。
ルを利用した超電導限流装置では、超電導トリガコイル
が3条2並列のコイルとなっているので、1次撚線の通
電容量の6倍に相当する連続通電容量を得ることができ
る。
ルの動作状態の電気的等価回路図である。同図に示す超
電導トリガコイルは、内側コイル31および外側コイル
32がそれぞれ自己インダクタンスL31,L32を有
して示され、定常電流に対しては両コイル31,32と
も超電導状態を維持し、互いの自己インダクタンスL3
1,L32を互いに打ち消すように負に磁気結合(−
M)しているため、図3(b)に示すように該超電導ト
リガコイルのインピーダンスはほぼゼロになっている。
導コイル31,32のいずれか一方の例えば内側コイル
31がクエンチした時の状態が図3(c)に示されてい
るが、この状態ではクエンチした方の内側コイル31に
クエンチ抵抗R31が発生して、コイル電流I31を減
衰(限流)させる。このように内側コイル31の電流が
低減すると、内側コイル31の発生磁束も減少するた
め、コイル31,32の間の無誘導状態が崩れ、まだク
エンチしていない方の外側コイル32にはリアクトル作
用が発生する。
は、電磁気的な現象であるので、短絡電流のような急峻
な上昇電流に対しても遅れなく応答する。また、この作
用は常に内側コイル31と外側コイル32との間の分流
アンバランスを解消するように作用するので、一方のコ
イルのみがクエンチした時、または図3(d)に示すよ
うに両コイルが共にクエンチし、かつそのクエンチ抵抗
値が大きく相違したとしても、従来のコイルのようにコ
イル間で短絡電流のやりとりを生じて、コイルが劣化し
たり焼損することがなくなる。
内側コイル31と外側コイル32とが磁気的に密に結合
しているので、種々の回路条件下でもいずれか一方のコ
イルにクエンチが発生すると、ほぼ同時かつ均等に短絡
電流を分担して限流動作を行うことができる。
体的構成の一例として、トリガコイル用導体に上述した
図7で示した1次撚線、すなわち交流クエンチ電流が6
7A〜75A/素線のものを用いた場合について説明す
る。
細く、またターン間に発生する電磁力(通電電流の2乗
に比例)も1/4となるので、その分巻線ピッチを狭く
できる。従って、コイル外形が従来のコイルと同じであ
れば、1条当りの導体の長さは従来の1条巻コイルと同
等にすることができる。
線を用いて並列無誘導コイルを構成しているので、72
本の超電導素線が並列に使用されていることになる。
線における素線容量の72倍、すなわち23A×72=
1656Aとなる。
イルは、素線6本が撚り合わされた1次撚を6本並列接
続しているので、超電導素線の数量は36本となり、従
来のコイルの1/2の導体断面積となっている。しかし
ながら、連続通電容量は1次撚における素線通電容量の
36倍、すなわち67A×36=2412Aとなり、従
来のコイルの約1.5倍の通電容量が得られる。
は、従来のコイルと比較して、1/2の通電断面積で約
1.5倍の通電容量を有するとともに、約2400Aま
での回路電流に対して安定して、インピーダンスがほぼ
ゼロの超電導状態を維持し、これ以上の電流が流れる
と、クエンチして限流作用を行う。
を図4に示す回路にトリガコイル3b,3cの代りに適
用した場合の作用について説明する。
が開始されると、回路電流は、図3(b)に示すように
超電導でほぼ無誘導のトリガコイル31,32を通って
正常に負荷4へ給電される。次に、例えば負荷4に短絡
事故が発生して、短絡電流が流れ、この短絡電流の波高
値が2400Aを超え、トリガコイル31の方にクエン
チが発生すると、トリガコイル31には抵抗R31が生
じてトリガコイル31の回路電流を限流する。トリガコ
イル31の回路電流が減少すると、コイル32には前述
したようなインピーダンス作用が生じてトリガコイル3
2側の回路電流もほぼ同時に限流される(図3
(c))。
抵抗分とコイル32のリアクタンス分によって限流され
るが、短絡電流の上昇が著しい場合には、トリガコイル
31がクエンチした後も回路電流は上昇を続け、その値
がコイル32のクエンチ電流値を超えると、コイル32
にもクエンチが生じる。その結果、短絡電流は、両コイ
ル31,32のクエンチ抵抗値とそれらコイル電流のア
ンバランス度に応じて生じるリアクタンス分によって所
定値に限流される(図3(d))。
きしたコイルについて説明したが、本発明はこれに限定
されるものでなく、このようなコイルに適用される超電
導導体の撚次数および巻条数は任意のものでよい。ま
た、コイルの組み合せも本実施例のように1組の2並列
無誘導コイルで説明したものに限定されず、複数並列ま
たは直並列で複数組のコイル構成にしても同様に作用効
果を得ることができる。
超電導トリガコイルを構成する複数の超電導コイルは互
いに負の相互インダクタンスを有するとともに、互いに
無誘導となるように直並列接続されているので、低い次
数の撚線で大容量の超電導トリガコイルを構成でき、1
条当りの巻線の長さも従来のコイルと同等にすることが
でき、通電断面積が小さくなった分クエンチ抵抗を増大
することができる。また、種々の短絡条件下やトリガコ
イルのクエンチ電流にばらつきがあっても、超電導コイ
ル間の相互誘導作用により多重クエンチによるトリガコ
イルの特性劣化を防止することができる。更に、超電導
トリガコイルの超電導線の損失は導体体積に比例し、通
電電流密度が向上した分、使用する超電導導体の体積が
減少するので、その交流損失も減少し、超電導トリガコ
イルを冷却する冷凍機のコンパクト化および省電力化を
図ることができる。
用される超電導トリガコイルの構成を示す斜視図であ
る。
す回路図である。
気的等価回路図である。
ルの電気抵抗の温度特性を示す図である。
多心線クエンチ電流の撚線次数による低下特性を示す図
である。
ル構成を示す図である。
磁力方向との関係を示す図である。
波形を示す図であり、横軸は時間変化を示し、縦軸のE
はトリガコイルの両端電圧波形、I31は内層コイル3
b,3cの合成電流の変化、I32は外層コイル3d,
3eの合成電流の変化を示している。
Claims (1)
- 【請求項1】 超電導体の臨界電流値によるクエンチ現
象を利用して交流電路に生じる過電流を抑制する超電導
トリガコイルを有する超電導限流装置であって、前記超
電導トリガコイルは、各々所定の条数、所定の巻方向お
よび所定の巻回数を有し、互いに負の相互インダクタン
スを有するように同軸に設けられるとともに、互いに無
誘導となるように直並列接続された複数の超電導コイル
から構成されることを特徴とする超電導限流装置。
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JPH05327039A true JPH05327039A (ja) | 1993-12-10 |
JP3231837B2 JP3231837B2 (ja) | 2001-11-26 |
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JP12881192A Expired - Fee Related JP3231837B2 (ja) | 1992-05-21 | 1992-05-21 | 超電導限流装置 |
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JP (1) | JP3231837B2 (ja) |
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