JPH05322719A - 自動車排ガスサンプリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】自動車排ガス分析装置のサンプリング装置にお
いて、フィルタホルダなどの熱に弱い部品を排ガスの熱
から保護する構成、および、採取された排ガスが十分に
冷却される構造のサンプリング装置を提供する。 【構成】ガス採取口１を先端部分に持つサンプリングプ
ローブ２と、サンプリングされたガスのダストおよびミ
ストを取除くフィルタを備えたフィルタホルダ３と、こ
のフィルタホルダにプローブ接続用キャップ４を介して
接続されたサンプリングチューブ５とで構成されるサン
プリング装置において、サンプリングプローブ２に断熱
カバー６を設け、熱に弱い部品が直接高温ガスに曝され
ることが無いようにし、熱に弱い部品を保護する構成、
および、断熱カバー６の背面に放熱フィン７を備え、採
取された排ガスが冷却される構造のサンプリング装置を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車排ガスを分析す
る排ガス分析装置のサンプリング系におけるプローブの
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車排ガス分析装置は自動車の排ガス
の成分を定性・定量分析し、以て地球環境の保全に役立
たせる目的で、車検整備などの時点で車両の整備状況の
点検手段の一つとして広く使用されている。この分析装
置に排ガスを導入するために、排ガスサンプリング装置
は自動車の排気管にサンプリングプローブを挿入して排
ガスを採取する。

【０００３】次に、従来より実施されている自動車排ガ
スサンプリング装置の構成を図５により説明する。図に
おいて、１はガス採取口、２はサンプリングプローブ、
３はフィルタホルダ、４はプローブ接続用キャップ、５
はサンプリングチューブであり、サンプルガスは採取口
１から吸引され、サンプリングプローブ２の内部を経由
し、サンプリングチューブ５を通り、排ガス分析装置に
流入するように構成されている。

【０００４】フィルタホルダ３にはフィルタエレメント
が挿入され、採取口から流入したガス中のダストおよび
ミストを取り除く働きをする。なお、サンプリングプロ
ーブおよびサンプリングチューブを通り、凝縮したドレ
ンは、分析装置本体に取付けられているドレンセパレー
タに集められポンプによって排出される。フィルタホル
ダ３および接続用キャップ４はプラスチックなどの合成
樹脂で構成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の自動車排ガスサ
ンプリング装置は前記従来技術で述べたような構成であ
り、排ガスを採取する時は、このサンプリングプローブ
を自動車の排気管に挿入する。アイドリング時の排ガス
を採取する場合は排ガス温度が比較的低いため、フィル
タホルダ３および接続用キャップ４などの合成樹脂で形
成されている部分に排ガスが当たっても溶けることはな
かった。しかし、走行状態の排ガスを採取する場合は排
ガス温度も高温となり、また排気量も増大するため、フ
ィルタホルダ３および接続用キャップ４などの熱に弱い
部分に排ガスが直接当たると変形、溶融などの原因とな
る。

【０００６】また、採取したガスは分析部に入る前段階
では、十分に冷却されていなければならない。このた
め、このガスを冷却するような構造も必要となる。ま
た、フィルタホルダ３および接続用キャップ４をアルミ
等の金属で作ることも考えられるが、プラスチックなど
に比べて加工が複雑であるため量産時はコスト高とな
る。本発明は上記の点にかんがみてなされたものであ
り、その目的は前記した課題を解決して、排ガスサンプ
リング装置のフィルタホルダなどの熱に弱い部分を保護
する構成、および、採取したガスが十分に冷却される様
な構造の自動車排ガスサンプリング装置を提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の自動車排ガスサンプリング装置は、前記サ
ンプリングプローブに形状がコーン状の金属製の断熱カ
バーを配置して構成するものとする。また、この形状の
断熱カバーの外側の面（自動車の排ガスが直接当たる
面）に、断熱材をコーティングしたものを断熱カバーと
して配置して構成するものとする。さらに、これらの断
熱カバーとフィルタホルダの間に断熱カバーと同一形状
の金属性カバー（断熱材のコーティングがされていない
もの）を、少なくとも一個以上備えることにより、サン
プリングガスの放熱フィンの役割を構成するものとす
る。

【０００８】

【作用】上記構成により、自動車の排気管から出た高温
の排ガスは、断熱カバーに大部分が当り、側流され、大
気に放出される。従って、フィルタホルダおよび接続用
キャップなどは、直接高温の排ガスに曝されることがな
くなり、保護することが可能となる。また、断熱材がコ
ーティングされた断熱カバーは、直接高温の排ガスが断
熱カバーへ当り、排ガスより断熱カバーへの熱の授受が
抑えられるので、前記断熱材がコーティングされていな
い断熱カバーを使用した場合よりもサンプルガスの温度
を低くすることができる。さらに、必要に応じて断熱カ
バーと同一形状の金属性カバー（断熱材のコーティング
がされていないもの）を、少なくとも一個以上備えるこ
とにより、サンプリングプローブが排気管内で高温の排
ガスに曝されることにより受けた熱量および断熱カバー
が受けた熱量を放熱することにより、採取したガスを十
分に冷却することも可能である。

【０００９】

【実施例】図１は本発明の実施例の要部構成図を、図２
は本発明の他実施例の要部構成図を、図３は図１および
図２の実施例のコーン形状の断熱カバー、および図２の
実施例のコーン形状の放熱フィンの構成図を、図４は図
３の断熱カバーに断熱材をコーティングした他実施例の
構成図を示すものであり、図５に対応する同一部材には
同じ符号が付してある。

【００１０】図１においては、１はガス採取口、２はサ
ンプリングプローブ、３はフィルタホルダ、４はプロー
ブ接続用キャップ、５はサンプリングチューブであり、
断熱カバー６はフィルタホルダ３の前方にコーン状に、
サンプリングプローブに取り付けられている。図２は、
前記図１の構成において、断熱カバー６とフィルタホル
ダ３の間に、カバー６と同一形状のカバー７を１個また
は必要に応じて複数個装備したものであり、この場合カ
バー７は放熱フィンとして利用される。図３は断熱カバ
ー６、および放熱フィン７の構成図を示す。図４は断熱
カバー６の外側の面に断熱材９をコーティングした構成
図を示す。

【００１１】上記構成において、自動車の排気管内の排
ガスは、採取口１よりサンプルガスが吸引され、サンプ
リングプローブ２の内部を経由して、サンプリングチュ
ーブ５を通り排ガス分析装置に流入する。一方、大部分
の高温の排ガス８は、図示の矢印の如くサンプリングプ
ローブ２の外側に沿って流れ、断熱カバー６に当り、そ
の進行方向を変更し、直接フィルタホルダ３および接続
用キャップ４などが、高温の排ガスに曝されることがな
く、熱に弱い部分の変形、溶融などから保護することが
できる。

【００１２】断熱カバー６は高温排ガスが直接当たるた
め、熱不良導体が好ましいが、外部からの衝撃とか、高
温に曝されるなどの強度的な点から金属製が好ましい。
図３に示すように、この断熱カバーが金属製の場合で
も、高温排ガスからサンプリングプローブ２が排気管中
で受熱した、或いは断熱カバー６が受けた熱があるが、
一方断熱カバー６の背面側からの大気への放熱により、
断熱カバー６がない場合よりもサンプリングプローブ２
の温度を下げることができる。また、図４に示すよう
に、前記金属製の断熱カバー６の排ガスが直接当たる面
にグラスウール、あるいはセラミックス繊維などの断熱
材９をコーティングしたものを断熱カバーとして配置し
て構成すれば、断熱カバー６が受ける熱を遮断できるの
で、サンプリングプローブ２の温度をより効果的に下げ
ることができる。

【００１３】さらに、図２の構成で、断熱カバー６とフ
ィルタホルダ３の間に、カバー６と同一形状のカバー７
を１個または必要に応じて複数個装備し、放熱フィンと
して利用すれば大気への放熱面積を増やすことができる
ので、サンプリングプローブ２の温度をより効果的に下
げることができる。即ち、サンプルガスの温度をより効
果的に下げることができる。

【００１４】

【発明の効果】以上述べたように本発明の構成によれ
ば、断熱カバーをフィルタホルダの前方に設けることに
より、熱的に弱い部材であるフィルタホルダおよび接続
キャップに高温の排ガスが直接当たることが避けられる
とともに、断熱カバーがない時よりも、断熱カバーを付
けることによりサンプリングプローブの温度を下げるこ
とができる。実験例では、断熱カバーがない時のサンプ
リングプローブの屈曲部の温度が１８０℃であったもの
が、断熱カバー（断熱材コーティングなし）を付けるこ
とによりサンプリングプローブの同一部位の温度を１３
０℃に下げることができた。断熱材コーティング有りの
断熱カバーを使用すれば、高温排ガスが直接断熱カバー
に与える熱を遮断できるので、サンプリングプローブ２
の温度をより効果的に下げることができる。さらに、放
熱フィンを取り付けることにより、サンプリングプロー
ブが排ガスから受けた熱量、および、断熱カバーが受け
た熱量が十分放熱されるため、十分冷却されたサンプル
ガスをガス分析装置に供給することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の要部構成図

【図２】本発明の他実施例の要部構成図

【図３】図１、２のコーン状断熱カバー、および放熱フ
ィンの構成図

【図４】図１、２の断熱カバーの他実施例の構成図

【図５】従来例の全体構成図

【符号の説明】

１ ガス採取口 ２ サンプリングプローブ ３ フィルタホルダ ４ プローブ接続用キャップ ５ サンプリングチューブ ６ 断熱カバー ７ 放熱フィン ８ 排ガス ９ 断熱材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス採取口を先端部分に有するサンプリン
   グプローブと、サンプリングされた排ガスのダストおよ
   びミストを取り除くフィルタを備えたフィルタホルダ
   と、このフィルタホルダにプローブ接続用キャップを介
   して接続されたサンプリングチューブと、で構成される
   前記排ガスの流路と排ガス分析装置の間に介装される自
   動車排ガスサンプリング装置において、前記サンプリン
   グプローブに設けられた断熱カバーを備えたことを特徴
   とする自動車排ガスサンプリング装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載の自動車排ガスサンプリン
   グ装置において、断熱カバーはその表面に断熱材がコー
   ティングされていることを特徴とする自動車排ガスサン
   プリング装置。
3. 【請求項３】請求項１または２に記載の自動車排ガスサ
   ンプリング装置において、断熱カバーとフィルタホルダ
   の間に、放熱フィンを少なくとも一個以上備えたことを
   特徴とする自動車排ガスサンプリング装置。