JPH05321928A - 動圧型軸受け装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 動圧型軸受け装置に関するもので、アキシャ
ル方向のガタおよびラジアル方向の振動剛性に対して、
強い具体的構成を提供する。 【構成】 軸体１を外筒５に回転自在に挿入し、互いに
対向する軸体１の外側面と外筒５の内側面との少なくと
も一方にラジアル動圧発生用グルーブを形成するととも
に、軸体１の固定面に対向する端部に軸体１の直径より
径大の円板状のスラスト板６を形成し、そのスラスト板
６の固定面に対向する下６ａ面と固定面の少なくとも一
方に第一のアキシャル動圧発生用グルーブを形成すると
ともに、互いに対向するスラスト板６の上面部６ｂと外
筒５の端部５ｂに第二のアキシャル動圧発生用のグルー
ブを形成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、回転軸を外筒に回転自
在に挿入し、互いに対向する前記回転軸の外側面と前記
外筒の内側面との少なくとも一方にラジアル動圧発生用
グルーブを形成するとともに、前記回転軸の端部とその
端部と対向する固定面の少なくとも一方にアキシャル動
圧発生用のグルーブを形成した動圧型軸受け装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、低騒音、低振動或は高速回転
を目的としてレーザープリンタ用ポリゴンミラー駆動モ
ータ、ＶＴＲシリンダモータ等の軸受けに動圧型軸受け
装置が採用されてきている。

【０００３】しかし、それ以上に高性能を求められ、か
つ小型化、長寿命が要求される小型磁気ディスク駆動モ
ータにはアキシャル方向のガタ及び抜け防止方法、及び
ラジアル方向の振動剛性に対し画期的な改善案が無く、
今まで採用が見合わされてきた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来のアキ
シャル方向のガタ、或いは抜け止めは、軸に対しＣリン
グやグリッブ゜止め輪等により行われていたが、精度の
あるガタ規制が困難な上、斜めに止められると非回転物
との間で片当たりし、摩耗粉が発生して軸受け寿命を短
くする事もあった。或いは、アキシャルガタを規制する
ため動圧型軸受けと併用でボールベアリングを使用し、
スペース的に劣性に甘んじる場合もあった。

【０００５】また、アキシャルギャップ型面対向モータ
に於いては、マグネットの吸引力により軸をアキシャル
の一方向へ押しつけ、アキシャル動圧により浮上させて
回転させる構造を取っている物もあるが、大きい衝撃荷
重に耐える程のマグネット吸引力にするとモータの消費
電流が製品スペックをオーバーするため、据置型製品の
ように衝撃が少ない分野でしか利用していない。また万
一の安全のため改めて別の部分で抜け止め防止機構を設
けている。

【０００６】一方、ラジアル方向の振動剛性に対して
は、従来は軸長手方向に２箇所以上のラジアル動圧グル
ーブを設け対策していたが、製品高さがだんだん低くな
り、１箇所しか動圧グルーブが設けられなくなると振動
剛性の劣化で軸が傾きやすくなる問題がおこってきた。

【０００７】本発明は、これらの問題を改善し、アキシ
ャル方向のガタ及び抜け防止、及びラジアル方向の振動
剛性に対し動圧型軸受け本来の高性能を維持しつつ、か
つ安価に製造出来る動圧型軸受け装置を提供するもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の動圧型軸受け装
置は、軸体を外筒に回転自在に挿入し、互いに対向する
前記軸体の外側面と前記外筒の内側面との少なくとも一
方にラジアル動圧発生用グルーブを形成するとともに、
前記軸体の端部とその端部と対向する固定面の少なくと
も一方にアキシャル動圧発生用のグルーブを形成した動
圧型軸受け装置において、前記軸体の前記固定面に対向
する端部に前記軸体の直径より径大の円板状体部を形成
し、その円板状部の前記固定面に対向する面と前記固定
面の少なくとも一方に第一のアキシャル動圧発生用グル
ーブを形成するとともに、互いに対向する前記円板状部
の上面部と前記外筒との少なくとも一方に第二のアキシ
ャル動圧発生用のグルーブを形成したことを特徴とす
る。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、回転軸体の端部にその軸径
より大きい直径の円板状部を形成し、その円板状体部の
下面および上面にそれぞれ互いに逆方向のアキシャル方
向の動圧が発生するため、回転軸体のアキシャル方向の
ガタおよびラジアル方向の振動に対する回転軸の傾きも
防止する事が出来る。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明動圧型軸受け装置をディスク
駆動モータに利用した一実施例の断面図である。図１に
おいて、１は軸体であり、その先端には円筒状のハブ２
が固定されている。そのハブ２の内側にはバックヨーク
３を介して円筒状のマグネット４が接着固定されてい
る。そして、前記軸体１の他端には、軸体１より径大の
円板状のスラスト板６がねじ７で固定されている。

【００１１】このスラスト板６の下面６ａには（図３）
に示すように軸体１の直径より大きい同心円上に動圧が
発生するようにアキシャル動圧発生用の動圧グルーブ１
３が形成されているとともに、後述の外筒５の端部５ａ
と対向する上面６ｂにもアキシャル動圧発生用の動圧グ
ルーブ（図示せず）が形成されている。

【００１２】５は動圧軸受けを形成する外筒であり、下
方より前記軸体１が挿入された状態で、プレート８とと
もにベース９にねじ１０により固定されている。そして
前記外筒５の内周には（図２）に示すようにラジアル動
圧発生用のグルーブ５ｂが形成されており、この外筒５
と軸体１との間、前記スラスト板６の下面６ａとプレー
ト８との間および前記スラスト板６の上面６ｂと外筒５
の端部５ａとの間には油などの流体がそれぞれ注入さ
れ、動圧軸受け装置を形成している。なお、１１は前記
外筒５の外周に固定された電機子であり、この電機子１
１と前記マグネット４とによりモータを形成している。

【００１３】前記プレート８の中心部にはくぼみが動圧
が軸回転により効率よく発生するために設けられてい
る。

【００１４】以上の構成に於いて、モータ、即ち軸体１
が回転すると、ラジアル方向の動圧は図２のように発生
し、アキシャル方向の動圧はスラスト板６の下面６ａと
プレート８との間およびスラスト板６の上面と外筒５の
端部５ａとの間にそれぞれ逆方向に図３の様に軸心より
離れた位置に双山となって発生し、共に一定の隙間を保
ち、流体皮膜潤滑層を形成しながら安定回転する。

【００１５】動圧は軸受け隙間が小さくなるほど高くな
る性質を持っているので、軸体１にアキシャル上下方向
に衝撃等の外部応力が加わっても、スラスト板６の上下
面にそれぞれ形成したアキシャル動圧軸受け部によって
保持され、安定した高さを保つ事が出来る。

【００１６】また、ラジアル方向の振動等による応力が
加わった場合は、ラジアル動圧と、軸心より離れた双山
のアキシャル動圧により、軸体１が傾きにくく、ラジア
ル振動剛性に強い構造となっている。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明は、従来の動圧型
軸受け装置に対し、アキシャル方向のガタ及び抜け防
止、及びラジアル方向の振動剛性に対し動圧型軸受け本
来の高性能を維持しつつ、かつ安価に製造出来る動圧型
軸受け装置を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の動圧軸受け装置をディスク駆動モータ
に利用した一実施例を示す断面図

【図２】同実施例に使用される外筒の断面とラジアル動
圧との関係を示す図

【図３】同実施例に使用される外筒の断面とアキシャル
動圧との関係を示す図

【符号の説明】

１ 軸体 ２ ハブ ３ バックヨーク ４ マグネット ５ 外筒 ６ スラスト板 ７ ねじ ８ プレート ９ ベース １０ ねじ １１ 電機子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸体を外筒に回転自在に挿入し、互いに対
   向する前記軸体の外側面と前記外筒の内側面との少なく
   とも一方にラジアル動圧発生用グルーブを形成するとと
   もに、前記軸体の端部とその端部と対向する固定面の少
   なくとも一方にアキシャル動圧発生用のグルーブを形成
   した動圧型軸受け装置において、前記軸体の前記固定面
   に対向する端部に前記軸体の直径より径大の円板状体部
   を形成し、その円板状部の前記固定面に対向する下面と
   前記固定面の少なくとも一方に第一のアキシャル動圧発
   生用グルーブを形成するとともに、互いに対向する前記
   円板状部の上面部と前記外筒との少なくとも一方に第二
   のアキシャル動圧発生用のグルーブを形成したことを特
   徴とする動圧型軸受け装置。
2. 【請求項２】第一のアキシャル動圧発生用グルーブによ
   り発生する動圧の中心が軸体の直径より大なる位置にな
   るように、前記円板状部に前記第一のアキシャル動圧発
   生用グルーブが形成されていることを特徴とする請求項
   １記載の動圧型軸受け装置。