JPH05321595A - 導水路トンネル構造およびその施工方法 - Google Patents

導水路トンネル構造およびその施工方法

Info

Publication number
JPH05321595A
JPH05321595A JP4135400A JP13540092A JPH05321595A JP H05321595 A JPH05321595 A JP H05321595A JP 4135400 A JP4135400 A JP 4135400A JP 13540092 A JP13540092 A JP 13540092A JP H05321595 A JPH05321595 A JP H05321595A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concrete layer
fiber sheet
reinforcing fiber
tunnel
fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4135400A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3236663B2 (ja
Inventor
Yoshinori Suganuma
義則 菅沼
Minoru Sawaide
稔 沢出
Makoto Saito
誠 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Tonen General Sekiyu KK
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Tonen Corp
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Tonen Corp, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP13540092A priority Critical patent/JP3236663B2/ja
Publication of JPH05321595A publication Critical patent/JPH05321595A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3236663B2 publication Critical patent/JP3236663B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 導水路トンネル掘削内壁面に形成された吹き
付けコンクリート層2および充填コンクリート層5など
の内表面に、樹脂接着剤を介して強化繊維シート3を貼
り付け、この表面に覆工コンクリート層4を打設する。 【効果】 種々の条件の下で採用することができ、地質
の変化に対して充分に対応することができるとともに、
短い工事工程で低コストに施工することができる覆工コ
ンクリート層を有する導水路トンネル構造、およびその
施工方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水力発電所用導水路ト
ンネルの他、河川放水路、ダムのバイパス用水路、農業
用水路、上下水道あるいは工業用水用水路等に用いられ
る導水路トンネルの構造およびその施工方法に関し、特
に、大きな内水圧が作用する圧力導水路に有用なトンネ
ルの構造およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、圧力導水路トンネルは、その断
面形状やその大きさ、作用内水圧の大きさ、土被り深
さ、地下水位の高さ、トンネル周辺岩盤の力学的および
水理学的特性、地形条件、および社会的環境条件等によ
り、無筋コンクリート覆工、鉄筋コンクリート覆工、内
張鋼管・鉄筋コンクリート覆工等を選択することによっ
て施工されている。また、条件によっては、無巻トンネ
ル、吹き付けコンクリート覆工等のきわめて簡単なも
の、あるいは、コンタクトグラウトと高い圧力によるプ
レストレスを期待したコンソリデーショングラウトを併
用したものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の施工方法においては次のような問題があった。 無筋コンクリート覆工 (1) 力学的安定性および水理学的条件に限界があるた
め、限定された条件下においてしか採用することができ
ない。 (2) 断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性の高い地盤な
どにおいては採用することができない。もしも、このよ
うなところで採用しようとすると、鉄筋量が多くなると
ともに覆工厚も大きくなり、場合によっては、地盤強
化、止水効果を得るための注入工などを施工する必要が
生じ、コスト高となる。この工法は、地質あるいは条件
変化に柔軟に対応することができないため、さらに不経
済となる欠点を有している。 (3) トンネル周辺地山が持つ、掘削に伴う応力開放によ
る強度低下の後の残された内水圧に対する地盤の受動力
が、その破壊に伴う不連続性などから、充分な効果が発
揮されず、過大と考えられる覆工となってしまう。 (4) 変化する地質によっては充分に対応することができ
ず、コンクリート覆工にクラックが生じた場合には止水
性がなくなり、また、その地質、地形あるいは土被り条
件によっては湧水問題に発展するおそれがある。
【0004】鉄筋コンクリート覆工 (1) 狭い坑内での鉄筋の加工、組立て作業は難しく、か
なりの時間とコストが必要となるとともに、このための
人員を確保することも難しくなる。 (2) 地質の変化に対してある程度の対応はできるが充分
ではなく、鉄筋量(配筋量)を多くすることによって対
応できる範囲までしか対応することができない。 (3) 覆工厚さは、鉄筋組立ておよびその条件でのコンク
リートの打設から施工に伴って必要なものとなってしま
う。また、コンクリート打設においても、施工条件の厳
しさから、軟練りコンクリートとなり、あるいは、締固
めしにくいものからポーラスなものあるいは天端空洞の
大きな、低品質のコンクリートとなり、必ずしもその経
済性は高くない。 (4) 鉄筋コンクリート覆工であっても、地質変化に伴う
荷重の増加、内水圧に対する受働力の低下、温度変化、
コンクリートの物理的特性の違い等によって、クラック
が発生することがある。その場合、充分な止水性が得ら
れず、湧水の問題に発展することがある。 (5) 厳しい条件のもとで大きな内水圧に耐えさせるため
に施工する、高い圧力によるコンソリディーショングラ
ウトによって、その荷重が大きくなり、覆工コンクリー
ト層の厚さが内水圧のみの場合の条件よりも大きくなっ
てしまい、経済性の低い設計、施工となるおそれがあ
る。 (6) 覆工コンクリート層にクラックが発生するおそれが
ある。また、硬岩と断層破砕帯の取り合い部分などの地
質急変箇所等においては、鉄筋コンクリート構造であっ
ても追随性に限界があり、変位挙動に大きな差異が生じ
てクラックを大きくしてしまうおそれがある。
【0005】内張鋼管・鉄筋コンクリート覆工 (1) 内張鋼管の施工から、その工事工程の取り合いによ
って長い工期が必要となる。 (2) 内張鋼管の施工と鉄筋コンクリートの打設から工事
費が大きくなってしまう。必ずしも合理的なものではな
く、経済的な設計、施工法ではない。 (3) 地山の変化などに対して、鋼管の材料手配、購入、
部材の切断、加工など、鋼管による対応はきわめて難し
いため、鉄筋コンクリートの鉄筋量を増加する対応方法
しかなく、その対応には限界がある。 (4) 鋼管の搬入、据え付けのために、斜坑、横坑などの
搬入施設、および設備を必要とし、そのコストも大きく
不経済である。 (5) 鋼管の搬入、据え付けに伴う継手部の溶接作業等の
ためのスペースを確保する必要性から、覆工コンクリー
ト層の厚さが、設計上必要な鋼管肉厚あるいは覆工コン
クリート層の厚さよりも大きなものとなってしまい不経
済である。
【0006】このため、本発明は、断層破砕帯、土被り
の浅い所、透水性の高い地盤など、種々の条件の下で採
用することができ、かつ、地質の変化に対して充分対応
することができるとともに、低コスト、短期間で施工す
ることができる覆工コンクリート層を有する導水路トン
ネル構造およびその施工方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、請求項1記載の導水路
トンネル構造は、トンネル掘削内壁面に形成された吹き
付けコンクリート層と、前記吹き付けコンクリート層内
表面に樹脂接着剤を介して貼り付けられた強化繊維シー
トと、前記強化繊維シート表面に打設された覆工コンク
リート層とを有するものである。
【0008】請求項2記載の導水路トンネル構造は、請
求項1において、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、
高強度炭素繊維、、ガラス繊維等の無機強化繊維、アラ
ミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維等の
有機強化繊維からなる群から選択された、少なくとも一
つの材料により形成されるものである。
【0009】請求項3記載の導水路トンネル構造は、請
求項1において、強化繊維シートが、ガラス等の繊維か
らなる基盤クロスの表面に、強化繊維を一方向に配列し
て樹脂粘着剤により固着してなるものである。
【0010】請求項4記載の導水路トンネルの施工方法
は、導水路トンネルを掘削する工程と、トンネルの掘削
内壁面に吹き付けコンクリート層を形成する工程と、前
記形成された吹き付けコンクリート層内表面に樹脂接着
剤を介して強化繊維シートを貼り付ける工程と、前記貼
り付けられた強化繊維シート表面に覆工コンクリート層
を打設する工程とを有するものである。
【0011】
【作用】請求項1記載の導水路トンネル構造において
は、トンネル掘削内壁面に形成された吹き付けコンクリ
ート層と覆工コンクリート層との間に、高い引っ張り耐
力を有する強化繊維シートが設けられているため、この
強化繊維シートが作用内水圧による覆工コンクリート層
の変位を抑制し、覆工コンクリート層に発生する応力を
小さくし、減少させる。その結果、覆工コンクリート層
のクラックの発生が抑えられる。また、覆工コンクリー
ト層にクラックが発生した場合、強化繊維シートの存在
により高い止水性が得られる。
【0012】請求項2記載の導水路トンネル構造におい
ては、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、高強度炭素
繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維、アラミド繊維、ポ
リアリレート繊維、ポリエチレン繊維等の有機強化繊維
という極めて高い引っ張り耐力、高強度、高靭性を有す
る材料により形成されているため、高い作用内水圧ある
いは偏外圧に対して、より高いクラックの止水性、大き
な補強効果が得られる。
【0013】請求項3記載の導水路トンネル構造におい
ては、強化繊維シートが、ガラス等の繊維からなる基盤
クロスの表面に、さらに強化繊維を一方向に配列して樹
脂粘着剤により固着した構造を有しているため、極めて
高い強度、靭性を付与することができる。
【0014】請求項4記載の導水路トンネルの施工方法
においては、トンネルの掘削された内壁面に形成された
吹き付けコンクリート層内表面に、樹脂接着剤を介して
強化繊維シートを貼り付け、この強化繊維シート表面に
覆工コンクリート層を打設するという極めて簡単な方法
により導水路トンネルの施工がなされる。このため、高
いクラックの止水性、大きな補強効果を持ち、かつ、地
質の変化に対して充分に対応することができる覆工コン
クリート層の施工を、短期間に低コストででき、しか
も、断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性の高い地盤な
ど、種々の条件の下でも採用することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の導水路トンネル構造およびそ
の施工方法を、添付図面を参照しながら詳細に説明す
る。図1は本発明の覆工された導水路トンネル構造の一
実施例を示す断面図、図2はその吹き付けコンクリート
部および充填コンクリート部の拡大断面図、図3は強化
繊維シート部の拡大断面図である。図において、1は馬
蹄形断面の掘削坑が形成された地山であり、この掘削坑
内壁面には、吹き付けコンクリート層2が形成されてお
り、さらに、掘削坑下部には充填コンクリート層5が設
けられ、円形断面のトンネル坑を形成している。この円
形断面のトンネル坑の内表面、すなわち、吹き付けコン
クリート層2および充填コンクリート層5の内表面に
は、樹脂接着剤6を介して、強化繊維シート3が貼り付
けられている。この強化繊維シート3の表面には覆工コ
ンクリート層4が打設されている。
【0016】図2に示されているように、前記吹き付け
コンクリート層2には所定間隔ごとにロックボルト7が
設けられ地山1に打ち込まれている。吹き付けコンクリ
ート層2の内表面に貼り付けられた強化繊維シート3
は、図3に示されているように、繊維からなる基盤クロ
ス31の表面に、強化繊維33を一方向に配列して樹脂
粘着剤32により、吹き付けコンクリート層2および充
填コンクリート層5に固着して一体としたものであり、
一層の厚みが0.2〜1.0mm程度としたものであ
る。この基盤クロス31を形成する繊維としてはたとえ
ばガラス繊維が用いられ、その単位面積当たりの重量は
80〜430g/m2 程度であることが好ましい。ま
た、基盤クロス31の表面に固着される強化繊維33と
しては、高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガラス繊維
等の無機強化繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊
維、ポリエチレン繊維等の有機強化繊維等の各種高強度
繊維が用いられる。
【0017】前記強化繊維シート3として用いることが
できる高弾性炭素繊維、高強度炭素繊維、ガラス繊維等
の無機強化繊維、もしくは、アラミド繊維、ポリアリレ
ート繊維、ポリエチレン繊維等の有機強化繊維として
は、それぞれ、東燃株式会社製のフォルカシートFTS
−C1−17(弾性率:25,000kg/cm幅,引
張り強度:380kg/cm幅)、FTS−C0−20
(弾性率:28,000kg/cm幅,引張り強度:2
80kg/cm幅)、FTS−AT−20(弾性率:
9,500kg/cm幅,引張り強度:350kg/c
m幅)、FTS−VB−20(弾性率:9,500kg
/cm幅,引張り強度:330kg/cm幅)、FTS
−GE−30(弾性率:10,500kg/cm幅,引
張り強度:220kg/cm幅)等がある。
【0018】また、強化繊維33を基盤クロス31に固
着する樹脂粘着剤32としては、樹脂接着剤6と相溶性
の高いエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化
剤を含まないものが用いられる。また、強化繊維シート
3を吹き付けコンクリート層2および充填コンクリート
層5に貼り付けるための樹脂接着剤6としては、東燃株
式会社製のFR−E1,FR−E2等のエポキシ系樹
脂、同社製のFR−V1等のビニルエステル系樹脂、あ
るいは東邦天然ガス株式会社製のCP300,CF−5
等のエポキシ系樹脂等が用いられる。覆工コンクリート
層4としては、無筋コンクリートを用いることもできる
し、SFRC(スチールファイバー混入コンクリー
ト)、減量化した鉄筋コンクリート等の鉄筋コンクリー
トを用いることもできる。
【0019】上記強化繊維シート3は、図3に示されて
いるように、強化繊維33が吹き付けコンクリート層2
もしくは充填コンクリート層5側となる状態で、かつ、
強化繊維33の方向が導水路トンネルの周方向に合致し
た状態で、樹脂接着剤6により前記コンクリート層2も
しくは充填コンクリート層5に貼り付けられている。こ
れら強化繊維シート3を、導水路トンネルの周方向に所
定のラップ長を確保して重ね合わせ順次張り合わせるこ
とにより、トンネル断面全体がこれら強化繊維シート3
により隙間なく覆われている。また、断層破砕帯や軟弱
層がトンネル掘削内壁面に部分的に出現した場合には、
その長手方向(延長方向)にも所定のラップ長を確保し
て重ね合わせて貼り付け、補強効果を高めるように施工
する。
【0020】上記のような導水路トンネル構造によれ
ば、トンネル掘削内壁面に形成された吹き付けコンクリ
ート層と覆工コンクリート層との間に、高い引っ張り耐
力を有する強化繊維シートが設けられているため、この
強化繊維シートが作用内水圧による覆工コンクリート層
の変位を抑制し、覆工コンクリート層に発生する応力を
小さくすることができる。その結果、覆工コンクリート
層へのクラックの発生が抑えられ、たとえ、覆工コンク
リート層にクラックが発生しても、強化繊維シートの存
在により高い止水性を得ることができる。また、トンネ
ル周辺の地山が持つ、掘削に伴う応力開放による強度低
下の後の残された内水圧に対する地盤の受働力を、破壊
に伴う不連続性や偏心の度合いが小さくされること等に
より、充分な補強効果を持たせて発揮することができ
る。
【0021】また、強化繊維シートを、高弾性炭素繊
維、高強度炭素繊維、ガラス繊維等の無機強化繊維、も
しくは、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチ
レン繊維等の有機強化繊維という極めて高い引っ張り耐
力、高強度、高靭性を有する材料により形成すれば、高
い作用内水圧に対して、より高いクラックの止水性、大
きな補強効果を得ることが可能となる。
【0022】上記のように、強化繊維シートを、ガラス
等の繊維からなる基盤クロスの表面に、強化繊維を一方
向に配列して樹脂粘着剤により固着した構造とすれば、
極めて高い強度、靭性を付与することができる。その結
果、高い作用内水圧に対して、さらに高いクラックの止
水性、大きな補強効果を効率よく得ることができる。
【0023】次に、本発明の導水路トンネルの施工方法
について説明する。まず、NATM工法等により、馬蹄
形断面状に掘削された掘削坑内面に、吹き付けコンクリ
ート層2を用いて一次覆工を施した後、高圧ウォータジ
ェットにより吹き付けコンクリート層2の表面を清浄に
する。次いで、止水グラウト等の湧水処理、変状に伴う
破壊箇所および凹凸部をモルタル等により補修を行な
い、さらに、掘削坑下部に充填コンクリート層5を打設
して円形断面のトンネル坑として形成する。また、TB
M(トンネルボーリングマシン)により掘削された円形
断面掘削坑内面に吹き付けコンクリート層2などの一次
覆工を施工した後、上記同様、清掃、湧水処理、補修等
を施してトンネル坑として形成する。硬岩等、条件によ
っては、そのままの状態をトンネル坑とする。
【0024】そして、吹き付けコンクリート層2および
充填コンクリート層5の内表面に下地処理を施した後、
樹脂接着剤6(たとえばグリース状のエポキシ樹脂)を
塗布し、前述の強化繊維シート3をこの吹き付けコンク
リート層2もしくは充填コンクリート層5の内表面に貼
り付ける。この際、強化繊維シート3上から強化繊維3
3の方向に沿ってしごいて樹脂接着剤を強化繊維シート
3全体に含浸させ、さらに、強化繊維シート3上に樹脂
接着剤6を補充塗布し、所定の養生時間を確保して樹脂
接着剤6を硬化させる。そして、充分な付着強度を確保
するため、この強化繊維シート3内表面にプライマー塗
布および種石吹き付け等により表層付着処理を施した
後、二次覆工コンクリート層4を打設すれば、施工作業
は完了する。
【0025】なお、強化繊維シート3を、1層のみでな
く、トンネル断面・内水圧の大きさ、地盤の力学特性、
覆工コンクリート層4の厚さ、地下水位の高さとその作
用外力等から求められる必要耐力に応じて、必要な枚数
だけ重ねて貼り付け、多層とすることもできる。
【0026】上記のような導水路トンネルの施工方法に
よれば、掘削されたトンネル内壁面に形成された吹き付
けコンクリート層内表面に、樹脂接着剤を介して強化繊
維シートを貼り付け、この強化繊維シート表面に覆工コ
ンクリート層を打設するという極めて簡単な方法により
導水路トンネルの施工がなされる。このため、高いクラ
ックの止水性、大きな補強効果を持ち、かつ、地質の変
化に対して充分に対応することができる覆工コンクリー
ト層の施工を、短期間に低コストで可能とし、しかも、
断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性の高い地盤など、
種々の条件の下でも採用することを可能とする。
【0027】図4は、上述の施工方法により考えられた
本発明の導水路トンネル構造の内水圧に対する耐力を、
外力から模擬的に引張り耐力を知るための試験装置を示
す正面図である。この試験装置は、油圧ジャッキ42に
より、ロードセル43、鋼けた44、角材45、ゴム板
46を介して、導水路トンネルにみたてた被測定物41
の上面に荷重を加えるとともに、これを変化させ、荷重
に対する被測定物41の変位量を測定できるようにした
ものである。
【0028】被測定物41として、厚さ73mm、長さ
695mmのヒューム管の外面に、強化繊維の炭素繊維
シート(東燃株式会社製、フォルカシート FTS−C
1−17)を2層(厚さ 0.8mm)をエポキシ樹脂
接着剤(東邦天然ガス株式会社製のCP−300P)を
用いて、本発明の導水路トンネル構造と同様にひび割れ
の発生したものに貼り付けたものを用いた。この強化繊
維シートを貼り付ける前と後の結果が図5のグラフに示
されている。この測定結果によると、無処理・補強もな
にもしない場合には、5,846kgf/m の荷重で
ひび割れが発生したが、上記強化繊維シートをひび割れ
が発生したものに貼り付けると、ひび割れ部分が補修、
補強されて、28,964kgf/m の荷重で破壊さ
れた。この結果から、覆工コンクリート層外面に強化繊
維シートを有する本発明の導水路トンネル構造によれ
ば、従来の導水路トンネル構造の数倍の内水圧に耐えら
れることが推測される。
【0029】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、請求項
1記載の本発明の導水路トンネル構造によれば、トンネ
ル掘削内壁面に形成された吹き付けコンクリート層と覆
工コンクリート層との間に、高い引っ張り耐力を有する
強化繊維シートが設けられているため、この強化繊維シ
ートが作用内水圧による覆工コンクリート層の変位を抑
制し、覆工コンクリート層に発生する応力を小さくし、
減少させることができる。その結果、覆工コンクリート
層へのクラックの発生が抑えられる。たとえ、覆工コン
クリート層にクラックが発生しても、強化繊維シートの
存在により高い止水性を得ることが可能である。また、
トンネル周辺の地山が持つ、掘削に伴う応力開放による
強度低下の後の残された内水圧に対する地盤の受働力
が、破壊に伴う不連続性や偏心の度合いが小さくされる
こと等により、充分な補強効果を持たせて発揮すること
ができる。
【0030】請求項2記載の導水路トンネル構造によれ
ば、強化繊維シートが、高弾性炭素繊維、高強度炭素繊
維、ガラス繊維等の無機強化繊維もしくは、アラミド繊
維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維等の有機強
化繊維という極めて高い引っ張り耐力、高強度、高靭性
を有する材料により形成されているため、高い作用内水
圧に対して、より高いクラックの止水性、大きな補強効
果を得ることができる。
【0031】請求項3記載の導水路トンネル構造によれ
ば、強化繊維シートが、ガラス等の繊維からなる基盤ク
ロスの表面に、強化繊維を一方向に配列して樹脂粘着剤
により固着した構造を有しているため、極めて高い強
度、靭性を付与することができる。したがって、高い作
用内水圧に対して、さらに高いクラックの止水性、大き
な補強効果を効率よく得ることができる。
【0032】請求項4記載の導水路トンネルの施工方法
においては、トンネルの掘削された内壁面に形成された
吹き付けコンクリート層内表面に、樹脂接着剤を介して
強化繊維シートを貼り付け、この強化繊維シート表面に
覆工コンクリート層を打設するという極めて簡単な方法
により導水路トンネルの施工がなされる。このため、高
いクラックの止水性、大きな補強効果を持ち、かつ、地
質の変化に対して充分に対応することができる覆工コン
クリート層の施工を、短期間に低コストで可能とし、し
かも、断層破砕帯、土被りの浅い所、透水性の高い地盤
など、種々の条件の下でも採用することができる利点が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の覆工された導水路トンネル構造の一
実施例を示す断面図である。
【図2】 その吹き付けコンクリート層部および充填コ
ンクリート部の拡大断面図である。
【図3】 強化繊維シート部の拡大断面図である。
【図4】 本発明の導水路トンネル構造の内水圧に対す
る耐力を模擬的に知るための試験装置を示す正面図であ
る。
【図5】 強化繊維シートを貼り付ける前と後の変位量
−荷重特性の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 地山 2 吹き付けコンクリート層 3 強化繊維シート 4 覆工コンクリート層 5 充填コンクリート層 6 樹脂接着剤 31 基盤クロス 32 樹脂粘着剤 33 強化繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 誠 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1−3−1 東燃株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル掘削内壁面に形成された吹き付
    けコンクリート層と、前記吹き付けコンクリート層内表
    面に樹脂接着剤を介して貼り付けられた強化繊維シート
    と、前記強化繊維シート表面に打設された覆工コンクリ
    ート層とを有することを特徴とする導水路トンネル構
    造。
  2. 【請求項2】 前記強化繊維シートは、高弾性炭素繊
    維、高強度炭素繊維、、ガラス繊維等の無機強化繊維、
    アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレン繊維
    等の有機強化繊維からなる群から選択された、少なくと
    も一つの材料により形成されることを特徴とする請求項
    1記載の導水路トンネル構造。
  3. 【請求項3】 前記強化繊維シートは、ガラス等の繊維
    からなる基盤クロスの表面に、強化繊維を一方向に配列
    して樹脂粘着剤により固着してなるものであることを特
    徴とする請求項1記載の導水路トンネル構造。
  4. 【請求項4】 導水路トンネルを掘削する工程と、この
    掘削されたトンネル内壁面に吹き付けコンクリート層を
    形成する工程と、前記形成された吹き付けコンクリート
    層内表面に樹脂接着剤を介して強化繊維シートを貼り付
    ける工程と、前記貼り付けられた強化繊維シート表面に
    覆工コンクリート層を打設する工程とを有することを特
    徴とする導水路トンネルの施工方法。
JP13540092A 1992-05-27 1992-05-27 導水路トンネル構造およびその施工方法 Expired - Fee Related JP3236663B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13540092A JP3236663B2 (ja) 1992-05-27 1992-05-27 導水路トンネル構造およびその施工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13540092A JP3236663B2 (ja) 1992-05-27 1992-05-27 導水路トンネル構造およびその施工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05321595A true JPH05321595A (ja) 1993-12-07
JP3236663B2 JP3236663B2 (ja) 2001-12-10

Family

ID=15150838

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13540092A Expired - Fee Related JP3236663B2 (ja) 1992-05-27 1992-05-27 導水路トンネル構造およびその施工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3236663B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100425908B1 (ko) * 2001-05-23 2004-04-03 주식회사유신코퍼레이션 복합부재 지보공틀과 고밀도 폴리에틸렌 메시를 이용한 터널의 시공법
KR100436853B1 (ko) * 2002-08-28 2004-06-23 임철웅 유리장섬유 쇼크리트를 이용한 터널 시공법
CN105401562A (zh) * 2015-10-24 2016-03-16 江南水利水电工程公司 一种水电站泄洪洞混凝土防裂方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100425908B1 (ko) * 2001-05-23 2004-04-03 주식회사유신코퍼레이션 복합부재 지보공틀과 고밀도 폴리에틸렌 메시를 이용한 터널의 시공법
KR100436853B1 (ko) * 2002-08-28 2004-06-23 임철웅 유리장섬유 쇼크리트를 이용한 터널 시공법
CN105401562A (zh) * 2015-10-24 2016-03-16 江南水利水电工程公司 一种水电站泄洪洞混凝土防裂方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3236663B2 (ja) 2001-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xanthakos Ground anchors and anchored structures
Armour et al. Micropile design and construction guidelines: Implementation manual
CN210564548U (zh) 强至极强岩爆条件下隧洞联合支护系统
CN115110969A (zh) 隧道衬砌缺陷的加固防护治理方法
CN114635720A (zh) 大断面深埋软岩隧道联合支护体系及施工方法
JP3240417B2 (ja) 導水路トンネルの施工方法および導水路トンネル
Gao et al. Influence of Benoto bored pile construction on nearby existing tunnel: A case study
JP3250045B2 (ja) 耐圧力コンクリート壁構造およびその施工方法
Ergun Deep excavations
JPH05321595A (ja) 導水路トンネル構造およびその施工方法
CN117231232A (zh) 一种穿越活动断裂带的新型隧道抗震与抗错结构
CN116816387A (zh) 一种硬岩压气储能硐室的功能梯度复合衬砌结构设计方法
HOEK et al. Design of large powerhouse caverns in weak rock
CN112064677B (zh) 一种适用于明洞结构损坏后快速修复方法
CN114165269A (zh) 基于钢混组合支架及喷碹的复合支护系统及其施工工艺
Liu et al. Deformation characterisation and distress diagnosis of a metro shield tunnel by adjacent constructions
JP2821555B2 (ja) シールド掘進用立坑壁
Webb et al. Field tests of buried pipe installation procedures
CN206667185U (zh) 引航道护岸修复结构
CN111519657A (zh) 一种可调节式地下埋管支承系统及其施工与调节方法
JPH05231095A (ja) 導水路トンネル構造および導水路トンネルの補修方法
CN113585355B (zh) 一种防止地下室外墙防水层保护板粘贴倾倒的施工工艺
McDonald et al. Repair and rehabilitation of dams: case studies
RU88767U1 (ru) Скальный лист
KR20010037349A (ko) 수중 콘크리트 구조물의 보수보강 공법

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010828

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees