JPH05320907A - 成膜方法及び装置 - Google Patents

成膜方法及び装置

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JPH05320907A
JPH05320907A JP12856892A JP12856892A JPH05320907A JP H05320907 A JPH05320907 A JP H05320907A JP 12856892 A JP12856892 A JP 12856892A JP 12856892 A JP12856892 A JP 12856892A JP H05320907 A JPH05320907 A JP H05320907A
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JP
Japan
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substrate
film
mixed layer
ion
vacuum
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Withdrawn
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JP12856892A
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English (en)
Inventor
Akinori Ebe
明憲 江部
Satoru Nishiyama
哲 西山
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
Yasuo Suzuki
泰雄 鈴木
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来に比べ簡単、安価に、また、生産性良
く、基体上に連続的に密着性良好な膜を形成できる成膜
方法及び成膜装置を提供する。 【構成】 成膜すべき基体Tを連続的に移動させつつ該
基体表面にイオン源4からイオンを照射するとともに蒸
発源5から所定物質を真空蒸着させ、イオン源4による
イオン照射は蒸発源5からの蒸発物質到達領域のうち蒸
着速度が該領域中心部より遅い基体移動方向において上
流側の部分に対して行い、それによって基体表面に先に
基体材料原子と蒸着物質原子との混合層を連続的に形成
しつつ、引き続き該混合層上に所定厚さの真空蒸着膜を
連続的に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子材料、金属、ガ
ラス、セラミック等の材料からなる各種基体表面に所望
の膜を連続的に形成する成膜方法及びそれを実施する装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子材料からなるプリント配線
基板上への配線前駆体である金属膜の形成、ステンレス
スチール板等の基材表面への耐腐食性膜の形成、液晶デ
ィスプレイガラス基板への半導体膜の形成等にあたり、
所定物質を基体表面に真空蒸着させ、成膜することが広
く行われている。
【0003】かかる真空蒸着成膜はスパッタリング法に
よる成膜等に比べ成膜速度が大きいという利点を有す
る。しかし、真空蒸着による成膜では、基体表面とそれ
に形成された膜との界面における相互付着力が弱く、成
膜後における基体の加工等において該膜が基体から剥落
する等の問題がある。例えば、プリント配線基板として
ポリイミドフィルムを用い、その表面に配線形成用のA
l膜を成膜した場合、成膜後該フィルムが高温、低温に
さらされると、該Al膜が剥がれたり、ステンレススチ
ール板上にその腐食を防止するためのAl膜を成膜した
場合、成膜後該ステンレススチール板を折り曲げ加工、
プレス加工等すると該Al膜が折れたり、剥がれたりす
るという問題がある。
【0004】かかる問題を解決するため、従来提案され
ている有力な方法は、基体表面への所定物質の真空蒸着
にイオン照射を併用し、該イオン照射により、基体表面
部に基体材料構成原子と蒸着物質構成原子との密着混合
層(ミキシング層)を形成し、該混合層上に同様な材質
の所定厚さの蒸着膜を密着性良く形成するという方法で
ある。
【0005】この密着性を高めるためのミキシング層の
形成は成膜する膜厚すべては必要とせず、基体と膜との
界面付近だけをイオン照射し、ミキシング層形成後、真
空蒸着により任意の膜厚まで成膜される。また、かかる
イオン照射併用の真空蒸着成膜において、成膜の能率化
のため、ストリップ状、板状等の基体を連続的に移動さ
せて成膜することも提案されている。
【0006】図5はそのような連続成膜を実施する装置
例を示しており、この装置によると、図示しない排気装
置により所定成膜真空度に維持可能の真空容器9内が二
つの部分91、92に区画される。一方の部分91には
混合層形成用の所定物質蒸発源93及びイオン源94
が、他方の部分92には混合層上に所定厚さの蒸着膜を
形成するための所定物質蒸発源95が配置される。基体
96は一方の部分91から他方の部分92へ通され、部
分91で混合層形成後、部分92で所定厚さの蒸着膜が
形成される。
【0007】このように、真空容器9内を二つの成膜部
分91、92に分ける理由は、基体の移動速度に合わせ
て成膜条件を定めると、混合層を形成する工程ではイオ
ン照射量に合わせて蒸着速度を小さく調整する必要があ
り、全体の成膜速度を向上させようとすると、混合層を
形成する工程と、その後の蒸着膜を形成する工程では蒸
着速度を大きく異ならせる必要があるからである。
【0008】このほか、特開昭60−141869号公
報に記載の方法及び装置も提案されている。この成膜方
法及び装置によると、基体の送り方向に沿って、真空容
器内に第1イオン源、第1蒸発源、第2イオン源、第2
蒸発源(イオンプレーティング手段を組み合わせること
もある)が配置され、第1イオン源によるイオン照射に
て基体表面の浄化、活性化といった前処理を行い、その
後、第1蒸発源にて、混合層形成用の蒸着膜を形成し、
次に第2イオン源によるイオン照射にて混合層を形成
し、さらに第2蒸発源にて混合層上に所定厚さの蒸着膜
を形成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5や
特開昭60−141869号公報に記載の成膜方法及び
装置によると、混合層形成のために最低1台のイオン源
及び1台の蒸発源を要し、さらに、別途蒸着膜形成のた
めの最低1台の蒸発源を要するので、蒸発源数が多くな
り、それだけ成膜コストが高くつくという問題がある。
【0010】また、特開昭60−141869号公報の
方法及び装置によると、混合層形成にあたり、第1蒸発
源にて先に蒸着膜を形成し、そのあとで第2イオン源に
てこれにイオン注入を行うので、該第2イオン源による
イオンエネルギーをそれだけ大きくしなければならな
い。或いは基体の送り速度を大幅に低下させることも考
えられるが、それでは生産性が低下する。
【0011】そこで本発明は、従来に比べ簡単、安価
に、また、生産性良く、基体上に連続的に密着性良好な
膜を形成できる成膜方法及び成膜装置を提供することを
課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明方法は、成膜すべき基体を連続的に移動させつつ該基
体表面にイオン源からイオンを照射するとともに蒸発源
から所定物質を真空蒸着させ、前記イオン照射は前記蒸
発源からの蒸発物質到達領域のうち蒸着速度が該領域中
心部より低い前記基体移動方向において上流側の部分に
対して行い、それによって基体表面に先に基体材料原子
と蒸着物質原子との混合層を連続的に形成しつつ、引き
続き該混合層上に所定厚さの真空蒸着膜を連続的に形成
することを特徴とする。
【0013】また、前記課題を解決する本発明装置は、
成膜すべき基体を連続的に移動させるための手段と、移
動する該基体の表面に所定物質の真空蒸着を行うための
一台の蒸発源と、移動する該基体の表面に向けイオンを
照射するための一台のイオン源とを備え、前記イオン源
は、それによるイオン照射を前記蒸発源からの蒸発物質
到達領域のうち蒸着速度が該領域中心部より低い前記基
体移動方向において上流側の部分に対して行い、それに
よって基体表面に予め基体材料原子と蒸着物質原子との
混合層を連続的に形成しつつ、引き続き該混合層上に所
定厚さの真空蒸着膜を連続的に形成することができるよ
うに配置してあることを特徴とする。
【0014】前記本発明の方法及び装置において、イオ
ン源の配置を工夫することで前記イオン照射の一部を、
前記蒸発源からの蒸発物質到達領域より前記基体の移動
方向において上流側の外部に対し同時に行わせ、それに
よって基体表面を前記混合層形成直前に前処理するよう
にしてもよい。また、前記イオン源の配置を工夫して、
前記混合層形成のためのイオン照射を、単位時間、単位
面積当りに基体表面へ到達する蒸発物質原子の数Mとイ
オンの数Nの比(M/N)が10〜1000の範囲のも
のとなるように行うことが望ましい。
【0015】形成される膜の基体への密着性はこの輸送
比に大きく影響される。好ましい輸送比は、基体の種
類、蒸着させる元素、用いるイオン種、イオンエネルギ
ー等により異なってくるが、一般的には略10〜100
0の範囲が好ましく、10より小さいと(換言すればイ
オン照射の割合が大きいと)、基体のダメージが大きく
なり、膜密着力が低下するし、1000より大きいと
(換言すればイオン照射の割合が小さいと)十分な混合
層が形成されない。
【0016】前記本発明の方法及び装置において基体を
連続的に移動させる手段は種々考えられる。例えば基体
が無端ベルト形態のもののときは、これを回動させる複
数のプーリを含む移動手段が、また、基体が可撓性の帯
状のもののときは、これを往復動させる繰出しリールや
ドラム等と巻取りリールやドラム等を含む移動手段が、
基体が板状のときは、これを往復動させるローラコンベ
ア等の各種コンベアが考えられる。
【0017】
【作用】本発明方法及び装置によると、成膜すべき基体
は連続的に移動せしめられ、該基体表面に蒸発源から所
定物質が真空蒸着されるとともに該蒸着領域のうちの中
心部から外れた基体送り方向において上流側の部分(蒸
着速度の比較的低い部分)にイオン源からイオンが照射
され、それによって該基体表面に基体材料原子と蒸着物
質原子との混合層が形成されつつ、引き続き該混合層が
蒸着速度の速い蒸着領域中心部及びそれ以降の部分を通
過することで該混合層上に前記と同じ蒸発源にて所定厚
さの膜が真空蒸着形成される。
【0018】イオン源によるイオン照射の一部が混合層
形成前の前処理に向けられるようにイオン源を配置して
あるときは、該イオン照射の一部に混合層形成直前の基
体表面が曝され、それにより該基体表面の活性化、水分
等除去の浄化の前処理がなされ、その後引き続き、混合
層及び所定厚さの真空蒸着膜が形成される。
【0019】
【実施例】以下、本発明に係る成膜方法の1例及びそれ
を実施する成膜装置例を図面を参照して説明する。図1
はかかる成膜装置例の概略構成を示している。図1の成
膜装置は、中央部に成膜真空容器1を備えている。容器
1の一側部には補助真空室11及び12が順次接続さ
れ、さらにそれらの外側に基体繰出しリール2が配置さ
れている。また、容器1の他側部には補助真空室13、
14が順次接続され、さらにそれらの外側に基体巻取り
リール3が配置されている。
【0020】リール2は回転自在であり、必要に応じ慣
性力による惰性回転を抑制するブレーキ装置が付設され
るものである。リール3には電磁クラッチ等の継手装置
31を介してモータ32が連結されている。リール3は
継手装置31を係合させ、モータ32をオンすることで
図上反時計方向回りに回転駆動可能である。端部の補助
真空室12、14と外部との各隔壁、補助真空室(11
と12)及び(13と14)間の各隔壁、補助真空室1
1、13と真空容器1との各隔壁のそれぞれには、リー
ル2、3間に支持されるストリップ状の基体Tを通過さ
せ得るできるだけ小さい通孔12a、11a、1a、1
b、13a、14aが設けてある。なお、図中、15、
16はそれぞれ基体を案内するために容器1内に設けた
案内ローラ対である。
【0021】また、真空容器1、補助真空室11、1
2、13、14にはそれぞれ真空ポンプ接続部1c、1
1b、12b、13b、14bを設け、これに図示しな
い真空ポンプを接続してあり、これにより容器及び各室
内を真空引きして容器1内を所定の成膜真空度に維持で
きる。真空容器1内には、リール2に近い方にイオン源
4が、リール3に近い方に蒸発源5が配置してあり、こ
れらは、リール2、3に支持されて移動する基体Tの表
面移動路に下方から臨んでいる。
【0022】イオン源4は、ここでは面イオンビームを
基体T表面に照射できるものである。また、蒸発源5
は、それには限定されないが、ここではエレクトロビー
ムによる蒸発源(EB蒸発源)である。イオン源4と蒸
発源5は、基体T表面におけるイオン源4からのイオン
ビーム到達領域が、蒸発源5からの蒸発物質到達領域の
中心部より基体送り方向において上流側へずれるよう
に、すなわち、蒸着速度の遅い上流側部分へずれるよう
に配置してある。
【0023】また、蒸発物質が到達できる領域の一部に
蒸着量を計測する膜厚モニター6が配置してあり、イオ
ンが到達できる領域の一部にイオン照射量を計測するビ
ームモニター7が配置してある。イオン源4及び蒸発源
5は、イオン照射量及び蒸着量の制御部51に接続され
ており、モニター6、7の出力は図示しないラインでこ
こへ入力される。この制御部からの指示により、イオン
源4は混合層形成のための必要適切なイオン照射を行
い、蒸発源5は混合層形成とそれに引き続く混合層上へ
の真空蒸着膜形成のための蒸着量を得るように目的物質
を蒸発させる。
【0024】以上説明した成膜装置によると、本発明方
法は次のように実施される。リール2には成膜すべきス
トリップ状の基体Tを予め巻き納めておき、この基体の
リード端を前記補助真空室11、12、13、14及び
真空容器1における通孔11a、12a、13a、14
a、1a、1bに通し、もう一つのリール3に連結す
る。この状態でリール3側の継手装置31を係合させて
おく。かくして補助真空室11、12、13、14及び
真空容器1内を図示しない真空ポンプにて真空引きし、
真空容器1内を約1×10-6〜1×10-4(Torr)
の成膜真空度に維持する。
【0025】その後、蒸発源5より予めそこへ収容した
金属の如き目的物質を蒸発させ、基体T表面に真空蒸着
させると同時的にイオン源4から該表面にアルゴンガス
等の不活性ガスのイオンビームを照射する一方、リール
3側のモータ32を運転し、基体Tをリール2からリー
ル3へ巻き取るようにして基体Tを所定速度で連続的に
一定方向に移動させる。
【0026】かくして、連続的に移動する基体Tの表面
に目的物質を真空蒸着させると同時的に該蒸着領域のう
ちの中心部から外れた蒸着速度の遅い部分、換言すれば
蒸発物質原子の到達が比較的少ない部分、さらに言う
と、良好な膜密着力が得られる混合層が形成される輸送
比M/Nを示す部分にイオンを照射し、基体表面上に基
体材料構成原子と目的物質構成原子との混合層を連続的
に形成し、引き続き該混合層を蒸着領域の蒸着速度の大
きい中心部及びそれ以降の部分に通過させることで、混
合層上に速い成膜速度で所定厚さの真空蒸着膜を連続的
に形成する。
【0027】かかる混合層の形成における照射イオン種
やイオンエネルギー、輸送比、混合層厚さは蒸着する物
質や基体の種類によって異なるが、イオンエネルギーは
500eV〜20KeV程度、輸送比(M/N)は約1
0〜1000程度、混合層厚100〜3000Å程度が
好ましい。前記制御部51はこの範囲でイオン源4と蒸
発源5の制御を行う。
【0028】このようにして、先に形成された混合層上
に引き続き所定厚さの真空蒸着膜を連続的に形成し、成
膜を終了する。かくして基体T上に得られた膜は、基体
材料との界面に密着性の良い混合層が形成されているの
で、全体として、基体Tに対し密着性が良い。また、こ
の密着性良好な膜は、前述のように1台のイオン源と1
台の蒸発源により簡単、安価に得られている。
【0029】また、基体Tは連続的に送られるので、膜
の生産性も良好である。次に、図1の装置による成膜の
具体例を説明する。 基体T:ストリップ状のステンレス鋼板 送り速度:6m/min 蒸発源5による蒸着物質:アルミニウム 成膜真空度:5.0×10-5Torr 蒸発源5による成膜速度:2000Å/sec イオン源4:イオンビーム引出し電極の中心軸線が、蒸
発源5の中心軸線と基体表面との交点Aより基体移動方
向において上流側へ300mm離れた位置Bで基体表面
に交わるように配置。
【0030】イオン種 アルゴンイオン エネルギー 2KeV ビーム電流密度 0.8mA/cm2 。 基体表面での面イオンビームサイズ 基体送り方向に1
50mm、それと直角な方向に700mm。 混合層形成における輸送比M/N:Al/Arイオン=
60 かくして、ステンレス鋼板上に混合層厚が約1000
Å、Al膜厚が約1μmの密着性の良いAl膜が形成さ
れた。
【0031】このAl膜の密着力をテストするため、比
較例としてイオン照射による混合層形成を行わずに他の
条件は前記具体例と同様にしてAl膜を形成したステン
レス鋼板を準備し、両者を150℃の温度に曝し、所定
時間経過ごとにJISC−5016に準じてAl膜の引
きはがし強さテストを行ったところ、図2の結果を得
た。図2のグラフにおいて○印ラインは具体例によるA
l膜について、□印ラインは比較例について示してい
る。
【0032】このテスト結果から分かるように、イオン
照射を併用して混合層を形成しなかった比較例では、時
間の経過とともにAl膜の密着力は著しく低下するが、
イオン照射を併用して混合層を形成した本発明に係るA
l膜は、時間が経過しても安定した密着力を維持してい
る。次に本発明に係る他の方法例をこれを実施する成膜
装置例とともに説明する。図3はかかる成膜装置の概略
構成を示している。
【0033】図3の成膜装置は、成膜真空容器10を含
み、これには図示しない真空ポンプを接続してあり、こ
れにより容器10内を所定の成膜真空度に維持できる。
容器10内の上部にはリール20及びリール30が配置
されている。リール20は容器10外のモータ201に
て図上反時計方向回りに回転駆動可能である。リール3
0は回転自在であり、必要に応じ、慣性回転を抑制する
ブレーキ装置を付設してもよい。
【0034】容器10内中央部には回転自在の案内ドラ
ム8が架設してあり、リール30からリール20へ巻き
取られるストリップ状の基体Tをその周囲で支持して案
内することができる。また、真空容器10内下部には、
ドラム8の真下に蒸発源50が配置してあり、蒸発源5
0の横、且つ、リール30の下方にイオン源40が配置
してある。さらに、ドラム8の両側に、リール20、3
0側へ蒸発物質やイオンが入り込むことを防止する仕切
板80を設けてある。
【0035】イオン源40は、ここでは面イオンビーム
を基体T表面に照射できるものである。また、蒸発源5
0は、それには限定されないが、ここではエレクトロビ
ームによる蒸発源(EB蒸発源)である。イオン源40
と蒸発源50は、ドラム8に案内される基体T表面にお
けるイオン源40からのイオンビーム到達領域が、蒸発
源50からの蒸発物質到達領域の中心部より基体送り方
向において上流側へずれるように、すなわち、蒸着速度
の遅い上流側部分へずれるように配置してあり、しか
も、イオンビームの一部(本例では略半分)が基体送り
方向において蒸発物質到達領域の上流側に隣合うイオン
照射前処理域Sに照射されるように配置してある。ま
た、イオンビームの中心と案内ドラム8上の基体Tの表
面とが交わる位置Bの近傍に該前処理域への蒸発物質飛
着を防止する防着板401を設けてある。
【0036】さらに、蒸発物質が到達できる領域の一部
に蒸着量を計測する膜厚モニター60が配置してあり、
イオンが到達できる領域の一部にイオン照射量を計測す
るビームモニター70が配置してある。イオン源40及
び蒸発源50は、イオン照射量及び蒸着量の制御部50
1に接続されており、モニター60、70の出力は図示
しないラインでここへ入力される。この制御部からの指
示により、イオン源40は前処理及び混合層形成のため
の必要適切なイオン照射を行い、蒸発源50は混合層形
成とそれに引き続く混合層上への真空蒸着膜形成のため
の蒸着量を得るように目的物質を蒸発させる。
【0037】以上説明した成膜装置によると、本発明方
法は次のように実施される。リール30には成膜すべき
ストリップ状の基体Tを予め巻き納めておき、この基体
のリード端を案内ドラム8の周囲に巻回させてもう一つ
のリール20に連結しておく。かくして真空容器10内
を図示しない真空ポンプにて真空引きし、真空容器10
内を約1×10-6〜1×10-4(Torr)の成膜真空
度に維持する。
【0038】その後、蒸発源50より予めそこへ収容し
た金属の如き目的物質を蒸発させ、ドラム8上の基体T
表面に真空蒸着させると同時的にイオン源40から該表
面にアルゴンガス等の不活性ガスのイオンビームを照射
するとともに、リール20をモータ201で駆動し、基
体Tをリール30からリール20へ巻き取るようにして
基体Tを所定速度で連続的に一定方向に移動させる。
【0039】かくして、連続的に移動する基体Tの表面
に目的物質を真空蒸着させると同時的に該蒸着領域のう
ちの中心部から上流側へ外れた蒸着速度の遅い部分、換
言すれば蒸発物質原子の到達が比較的少ない部分、さら
に言うと、良好な膜密着力が得られる混合層が形成され
る輸送比M/Nを示す部分にイオンを照射すると同時
に、さらに上流側の前処理域Sにおける基体表面にもイ
オン照射する。
【0040】このようにして、連続移動する基体表面に
イオン照射による表面活性化、水分等除去の浄化の前処
理を行い、引き続き前処理後の基体表面に基体材料構成
原子と目的物質構成原子との混合層を連続的に形成し、
さらに引き続き該混合層を蒸着領域の蒸着速度の大きい
中心部及びそれ以降の部分に通過させることで、混合層
上に速い成膜速度で所定厚さの真空蒸着膜を連続的に形
成する。
【0041】かかる混合層の形成における照射イオン種
やイオンエネルギー、輸送比、混合層厚さは蒸着する物
質や基体の種類によって異なるが、この場合も、イオン
エネルギーは500eV〜20KeV程度、輸送比(M
/N)は約10〜1000程度、混合層厚100〜30
00Å程度が好ましい。前記制御部501はこの範囲で
イオン源40及び蒸発源50を制御する。
【0042】このようにして、先に形成された混合層上
に引き続き所定厚さの真空蒸着膜を連続的に形成し、成
膜を終了する。かくして基体T上に得られた膜は、基体
材料との界面に前処理後、密着性の良い混合層が形成さ
れているので、全体として、基体Tに対し密着性が良
い。また、この密着性良好な膜は、前述のように1台の
イオン源と1台の蒸発源により前処理、混合層形成及び
真空蒸着膜形成を順次引き続き行うことで簡単、安価に
得られている。
【0043】また、基体Tは連続的に送られるので、膜
の生産性も良好である。次に、前記図3の装置による成
膜の具体例を説明する。 基体T:ポリイミドフィルム 送り速度:6m/min 蒸発源50による蒸着物質:アルミニウム 成膜真空度:5.0×10-5Torr 蒸発源50による成膜速度:2000Å/sec イオン源40:イオンビーム引出し電極の中心軸線が、
蒸発源5の中心軸線と基体表面との交点Aより基体移動
方向において上流側へ300mm離れた位置Bで基体表
面に交わるように配置し、面イオンビームの略半分を前
処理に使用。
【0044】イオン種 アルゴンイオン エネルギー 2KeV ビーム電流密度 0.8mA/cm2 。 基体表面での面イオンビームサイズ 基体送り方向に2
50mmそれと直角な方向に700mm 混合層形成における輸送比M/N:Al/Arイオン=
80 かくして、ポリイミドフィルム基体T上に混合層厚が約
1000Å、Al膜厚が約1μmの密着性の良いAl膜
が形成されたメタライズドフィルムが得られた。また、
このフィルムはイオン照射前処理を施したことで、フィ
ルム強度のテスト等における熱履歴(例えば−30℃〜
130℃)に対してもAl膜の密着力の低下は見られ
ず、安定した高い密着力が維持された。
【0045】このAl膜の密着力をテストするため、比
較例として図2の装置において前処理域Sへのイオン照
射を妨げる図示しない部材を配置して前処理を行わず、
他の条件は前記具体例と同様としてAl膜を形成したポ
リイミドフィルムを準備し、両者を−30℃〜130℃
の熱サイクル(約1サイクル/日)に曝し、所定時間経
過ごとにJISC−5016に準じてAl膜の引きはが
し強さテストを行ったところ、図4の結果を得た。図4
のグラフにおいて△印ラインは具体例によるAl膜につ
いて、□印ラインは比較例について示している。
【0046】このテスト結果から分かるように、イオン
照射前処理を行わなかった比較例でも、時間の経過に拘
らずAl膜の密着力は安定しているものの、イオン照射
前処理を行って形成したAl膜は、さらに密着力が高
く、且つ、時間が経過しても安定した密着力を維持して
いる。なお、本発明は前記実施例に限定されるものでは
なく他にも種々の態様で実施できる。例えば、図1の装
置及びそれによる本発明方法において、基体Tを移動さ
せるリール2、3は真空容器1内に設置してもよく、こ
の場合は補助真空室11〜14を省略できる。また、図
3の装置及びそれによる本発明方法において、図1の装
置のように、リール20、30を真空容器10外に配置
してもよく、この場合、必要に応じ、図1の装置におけ
るような補助真空室を設けてもよい。さらに、図3の装
置において防着板401は必ずしも必要ではない。ま
た、図1の装置においても、イオンビーム照射の一部を
前処理に利用してもよく、さらに、かかる防着板401
と同様の機能を有する防着板を設けてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、従
来に比べ簡単、安価に、また、生産性良く、基体上に連
続的に密着性良好な膜を形成できる成膜方法及び成膜装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる成膜装置の一例の概
略構成図である。
【図2】ステンレス鋼板上のAl膜の引きはがし強さテ
スト結果を示すグラフである。
【図3】本発明方法の実施に用いる成膜装置の他の例の
概略構成図である。
【図4】ポリイミドフィルム上のAl膜の引きはがし強
さテスト結果を示すグラフである。
【図5】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1、10 真空容器 11、12、13、14 補助真空室 11a、12a、13a、14a、1a、1b 基体通
孔 2、3、20、30 リール 31 継手装置 32、201 リール駆動モータ 4、40 イオン源 5、50 蒸発源 51、501 制御部 6、60 膜厚モニター 7、70 ビームモニター 8 基体案内ドラム 401 防着板 T 基体 S 前処理域
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 泰雄 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜すべき基体を連続的に移動させつつ
    該基体表面にイオン源からイオンを照射するとともに蒸
    発源から所定物質を真空蒸着させ、前記イオン照射は前
    記蒸発源からの蒸発物質到達領域のうち蒸着速度が該領
    域中心部より低い前記基体移動方向において上流側の部
    分に対して行い、それによって基体表面に先に基体材料
    原子と蒸着物質原子との混合層を連続的に形成しつつ、
    引き続き該混合層上に所定厚さの真空蒸着膜を連続的に
    形成することを特徴とする成膜方法。
  2. 【請求項2】 前記イオン照射の一部を、前記蒸発源か
    らの蒸発物質到達領域より前記基体の移動方向において
    上流側の外部に対し同時に行わせ、それによって基体表
    面を前記混合層形成直前に前処理する請求項1記載の成
    膜方法。
  3. 【請求項3】 前記混合層形成のためのイオン照射を、
    単位時間、単位面積当りに基体表面へ到達する蒸発物質
    原子の数Mとイオンの数Nの比(M/N)が10〜10
    00の範囲のものとなるように行わせる請求項1又は2
    記載の成膜方法。
  4. 【請求項4】 成膜すべき基体を連続的に移動させるた
    めの手段と、移動する該基体の表面に所定物質の真空蒸
    着を行うための一台の蒸発源と、移動する該基体の表面
    に向けイオンを照射するための一台のイオン源とを備
    え、前記イオン源は、それによるイオン照射を前記蒸発
    源からの蒸発物質到達領域のうち蒸着速度が該領域中心
    部より低い前記基体移動方向において上流側の部分に対
    して行い、それによって基体表面に予め基体材料原子と
    蒸着物質原子との混合層を連続的に形成しつつ、引き続
    き該混合層上に所定厚さの真空蒸着膜を連続的に形成す
    ることができるように配置してある成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記イオン源が、前記イオン照射の一部
    を前記蒸発源からの蒸発物質到達領域より前記基体の移
    動方向において上流側の外部に対し同時に行い、それに
    よって基体表面を前記混合層形成直前に前処理すること
    ができるように配置してある請求項4記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記イオン源が、前記混合層形成のため
    のイオン照射を、単位時間、単位面積当りに基体表面へ
    到達する蒸発物質原子の数Mとイオンの数Nの比(M/
    N)が10〜1000の範囲のものとなるように行うこ
    とができように配置してある請求項4又は5記載の成膜
    装置。
JP12856892A 1992-05-21 1992-05-21 成膜方法及び装置 Withdrawn JPH05320907A (ja)

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