JPH05318416A - 改質木材の製法 - Google Patents

改質木材の製法

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JPH05318416A
JPH05318416A JP13393692A JP13393692A JPH05318416A JP H05318416 A JPH05318416 A JP H05318416A JP 13393692 A JP13393692 A JP 13393692A JP 13393692 A JP13393692 A JP 13393692A JP H05318416 A JPH05318416 A JP H05318416A
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wood
compound
formaldehyde
impregnated
reaction
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JP13393692A
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English (en)
Inventor
Arihiro Adachi
有弘 足立
Hiroaki Usui
宏明 碓氷
Hiroyuki Ishikawa
博之 石川
Satoru Konishi
悟 小西
Kenji Onishi
兼司 大西
Ryusuke Honda
龍介 本田
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度な寸法安定性を有し、耐水・耐湿性等の
耐候性に優れるとともに、表面の木質感が失われていな
い改質木材を効率良く得ることができるとともに、薬剤
の含浸量を削減できる方法を提供する。 【構成】 ホルムアルデヒドと反応して不溶性硬化樹脂
化し得る化合物Aの溶液を含浸させた後、ホルムアルデ
ヒドおよび/またはその誘導体の蒸気存在下で原料木材
を加熱し、木材内でホルマール化反応を行わせることに
より、木材組織内に不溶性硬化樹脂を生成・定着させる
際、化合物Aの溶液の含浸を原料木材の表面層だけに行
うようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、住宅設備、建築材料
等に用いられる改質木材の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木材の割れや反り、変形を抑える
手段として木材に寸法安定性を付与する方法としては、
たとえば、下記〜の方法がある。 化学修飾 木材成分のセルロースの親水性水酸基を化学反応により
疎水基に置換させることにより、木材の吸湿性や寸法変
化を減少させる方法。化学修飾を行うための化合物とし
ては、酸無水物、ハロゲン化有機酸、エポキシド、ハロ
ゲン化アルキル、イソシアネート類、ホルマリン等が挙
げられる。
【0003】 WPC 木材内にスチレンやメタクリル酸メチル等のモノマーを
溶媒下で含浸させた後、加熱または電子線放射等を行う
ことによって、木材内に不溶化した樹脂を生成させる方
法。この方法によれば、寸法安定性が向上する他、硬度
や耐摩耗性も向上する。
【0004】 水溶性樹脂によるバルキング ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノ
メタクリレート等の水溶性樹脂を木材の細胞壁内に含浸
させた後、それらを乾燥、硬化させることにより、寸法
安定性を向上させる方法。この方法では、含浸させる樹
脂が水溶性であるため、扱いやすく、また、樹脂を細胞
壁内まで含浸させることができる。
【0005】しかし、前記〜の方法は、それぞれ、
下記(a)〜(b)の問題を有していた。 (a)前記の方法では、未反応物あるいは反応残さが
残留することにより、異臭がしたり、酸による木材の強
度劣化が起きたりする。また、反応工程が複雑である。
【0006】(b)前記の方法では、木材に含浸させ
るモノマーが疎水性であるため、同モノマーが木材の細
胞壁内までは含浸されない。そのため、高い寸法安定性
を付与するためには、含浸前の木材重量に対し50〜1
00重量%もの多量のモノマーを含浸させる必要があ
る。その結果、木材表面の木質感がなくなる。 (c)前記の方法では、含浸させた樹脂が乾燥、硬化
後も依然として水に易溶性であるため、木材の吸水・吸
湿により樹脂が木材表面に溶出し、性能が低下する。す
なわち、木材の耐水・耐湿性等の耐候性が低くなる。
【0007】このように、木材の寸法安定化処理は、い
ろいろな方法で行われているが、ほとんど反りのない高
寸法安定化を実現しているものは、アセチル化とWPC
を組み合わせた方法があるに過ぎない(抗膨潤能ASE
=90%以上)。しかし、この方法により得られた改質
木材は、前述したように、木質感がなくなるとともに、
酢酸臭がある等の欠点を有したものとなっていた。
【0008】上記の問題を解消するために、発明者ら
は、種々検討を重ねた。その結果、ホルムアルデヒドと
反応して不溶性硬化樹脂化し得る化合物Aを溶媒に溶解
した状態で原料木材に含浸させた後、ホルムアルデヒド
および/またはその誘導体の蒸気の存在下で、前記原料
木材を加熱し、木材内でホルマール化反応を行わせるこ
とによって、木材組織内に不溶性硬化樹脂を生成・定着
させる改質木材の製法を開発した。この方法によれば、
木材の細胞壁内に樹脂が充填されることによって得られ
るバルキング効果と、ホルマール化による木材成分同士
間の架橋および木材成分と前記樹脂との間の架橋により
木材成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン等)
の親水性水酸基が疎水化する化学修飾効果とによって、
木材が高度に寸法安定化する。前記化合物Aとホルムア
ルデヒドおよび/またはその誘導体は、高反応率で反応
するため、未反応物を除去する必要がなくなる。化合物
Aとホルムアルデヒドおよび/またはその誘導体は、溶
液または蒸気の状態で含浸されるため、木材細胞壁内ま
で効率良く含浸させることができるので、寸法安定化に
必要な含浸量が少なくてすみ、木材表面の木質感が保た
れる。しかも、含浸後は水に不溶化して木材内部に固定
されるため、木材の吸水・吸湿により表面にしみ出す恐
れがないので、木材の耐水・耐湿性等の耐候性が向上す
る。また、ホルマール化処理により、防腐・防虫性も付
与される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、化合物Aを
原料木材に含浸させた後、ホルムアルデヒドおよび/ま
たはその誘導体の蒸気存在下で原料木材を加熱する上述
の方法では、化合物Aは、バルキング効果による寸法安
定性の向上、必要に応じて用いられる酸触媒が原因とな
る木材の着色の防止等の効果を持っているが、寸法安定
性の向上に対しては、酸触媒の選択や反応条件の調整に
より、ホルムアルデヒドおよび/またはその誘導体によ
る木材成分のホルマール化だけで充分である。したがっ
て、化合物Aの効果としては、木材の着色を防止するだ
けとなっているのが現状である。そこで、改質木材の性
能を維持しながら、化合物Aの含浸量を少なくすること
が考えられる。それが可能であれば、得られる改質木材
の重量が軽くてすみ、木材の長所である軽量性を維持す
ることができるとともに、工程の簡略化、処理時間の短
縮等が可能になり、コストの削減にもつながり、工業的
に有利となる。
【0010】そこで、この発明は、高度な寸法安定性と
防腐・防虫性を有し、耐水・耐湿性等の耐候性に優れ、
表面の木質感が失われていない改質木材を効率良く得る
ことができるとともに、薬剤の含浸量を少なくすること
ができ、そのため、木材の軽量性を維持し、処理コスト
を削減することができる方法を提供することを課題とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる改質木材の製法は、ホルムアルデ
ヒドと反応して不溶性硬化樹脂化し得る化合物(この明
細書中、単に「化合物A」と称する。)を溶媒に溶解し
た状態(溶液の状態)で原料木材に含浸させた後、ホル
ムアルデヒドおよび/またはその誘導体の蒸気の存在下
で、前記原料木材を加熱し、木材内でホルマール化反応
を行わせることによって、木材組織内に不溶性硬化樹脂
を生成・定着させる改質木材の製法であって、前記化合
物Aを原料木材の表面層だけに含浸させるようにするこ
とを特徴とする。
【0012】この発明で用いられる改質のための原料木
材としては、特に限定はされず、たとえば、原木丸太、
製材品、スライス単板、ロータリー単板、合板等が挙げ
られる。それらの樹種等についても、何ら限定されな
い。この発明で用いられる化合物Aとしては、ホルムア
ルデヒドと反応して不溶性硬化樹脂化し得るものであれ
ば、特に限定はされないが、水溶性であり、木材内に含
浸、吸着しやすいものであることが好ましい。また、後
で詳しく述べるホルマール化反応により、木材成分と樹
脂との間の架橋による木材成分の親水性水酸基の疎水化
が生じ得るものであることが望ましい。
【0013】化合物Aの例としては、特に限定はされな
いが、たとえば、樹脂モノマー、水溶性樹脂ポリマー等
が挙げられる。樹脂モノマーとしては、特に限定はされ
ないが、メチロール基を有する化合物、たとえば、メチ
ロール基を有する、アミド類、フェノール類、アミン類
(アミノ化合物)等が挙げられる。その具体例を示す
と、メチロール基を有するアミド類としては、アクリル
アミド類のメチロール化物、たとえば、メチロールアク
リルアミド、メチロールメタクリルアミド等が、メチロ
ール基を有するフェノール類としては、フェノールのメ
チロール化物、たとえば、メチロールフェノール、ジ
(トリ)メチロールフェノール等が、メチロール基を有
するアミン類としては、メチロール尿素、ジメチロール
尿素、ジメチロールエチレン尿素、メチロールメラミン
等が挙げられる。
【0014】しかし、樹脂モノマーは、これらに限定さ
れるわけではない。たとえば、アクリルアミド、メタク
リルアミド、フェノール、クレゾール、キシレトール、
レゾルシノール、ハイドロキノン、尿素、エチレン尿
素、ジヒドロキシエチレン尿素、メラミン、アセトグア
ナミン、アミノフェノール、アミノトリアゾール等のよ
うに、メチロール基を持たないが、メチロール化され得
る化合物であってもよいのである。これらのモノマー
は、木材に含浸後、後述のホルマール化反応によりメチ
ロール化および架橋させることが可能であり、メチロー
ル基を有する化合物を用いた場合と同様の効果が得られ
るからである。
【0015】ホルムアルデヒドとの反応性をできるだけ
良くするためには、上述の樹脂モノマーのうち、フェノ
ール、尿素、メラミンおよびそれらの誘導体を用いるこ
とが好ましい。樹脂モノマーは、1種のみを用いてもよ
いし、複数種を併用してもよい。樹脂モノマーとして、
前述した、メチロール基を有する化合物とメチロール化
され得る化合物とを併用することができる。また、樹脂
モノマーの代わりに、そのオリゴマーを用いてもよい
し、その初期縮合物を用いてもよい。樹脂モノマーの初
期縮合物としては、特に限定はされないが、たとえば、
樹脂モノマーとホルムアルデヒド等のアルデヒド類との
反応から得られる初期縮合物等が挙げられる。
【0016】なお、後で述べる酸触媒による木材の着色
を防止する効果のあるのは、フェノール系以外のもので
あるため、フェノール系の化合物を用いる場合は、それ
以外の化合物、たとえば、尿素系やメラミン系の化合物
と併用することが望ましい。以上の樹脂モノマー、その
オリゴマーおよび初期縮合物は、互いに併用してもよい
し、これらと以下に述べる水溶性樹脂ポリマーとを併用
してもよい。
【0017】化合物Aの一例である水溶性樹脂ポリマー
としては、特に限定はされないが、たとえば、ポリオキ
シエーテル類、ポリオール類、ポリアクリル酸類等が挙
げられる。ポリオキシエーテル類の具体例としては、ポ
リエチレングリコールや、その誘導体、たとえば、ポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールメタクリレート等が挙げられる。ポリオール類の具
体例としては、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリアクリル酸類の具体例としては、ポリアクリルアミ
ド、ポリメチロールアクリルアミド、ポリメタクリルア
ミド、ポリメチロールメタクリルアミド等のポリアクリ
ルアミド類、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エ
チル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチ
ル等のポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。これ
らは、1種のみ用いてもよいし、あるいは、2種以上を
併用してもよい。
【0018】水溶性樹脂ポリマーの分子量については、
特に限定はされないが、通常、1万以下のものが用いら
れ、分子量200〜1000程度の低重合物であること
が望ましい。このような低重合物であれば、木材の細胞
壁内に含浸しやすいからである。なお、化合物Aとし
て、前述のアクリルアミド等のように重合性二重結合を
持つものを用いる場合は、必要に応じて、この化合物A
とともに、重合開始剤として、過酸化ベンゾイル等の過
酸化物や、過硫酸カリウム等の過硫化物等を含浸させ
て、木材内で化合物Aの重合を行わせるようにしてもよ
い。さらに、樹脂間の架橋を促進するものとして、塩化
アンモニウム等の塩化物やパラトルエンスルホン酸等の
酸触媒を含浸させてもよい。
【0019】この発明で用いられるホルムアルデヒド誘
導体とは、ホルムアルデヒドの供給剤を意味する。この
ホルムアルデヒド供給剤としては、特に限定はされない
が、たとえば、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、
テトラオキサン等が挙げられる。これらは、1種または
2種以上を用いることができる。また、これらのうち、
トリオキサンやテトラオキサンは、固体ではホルマリン
臭がなく、容易に昇華し、しかも分解時にホルムアルデ
ヒドモノマーが得やすいという利点を有するため、トリ
オキサンやテトラオキサンの使用が好ましい。
【0020】化合物Aの含浸に用いられる溶媒として
は、特に限定はされないが、極性溶媒の使用が好まし
い。極性溶媒は、木材を膨潤させるため、細胞壁内の空
隙が広がり、細胞壁内まで含浸しやすくなるからであ
る。極性溶媒の中でも特に水が好ましい。また、溶媒
は、1種に限らず、2種以上の混合溶媒、たとえば、水
と他の極性溶媒との混合溶媒を使用しても構わない。含
浸溶液中の化合物Aの濃度としては、特に限定はされな
いが、たとえば、1〜30重量%が好ましい。
【0021】化合物Aを木材の表面層だけに含浸させる
方法としては、特に限定はされないが、たとえば、化合
物Aの溶液を木材表面に塗布してもよいし、化合物Aの
粉末および/またはスラリーを、あらかじめ溶媒を含ま
せておいた木材の表面に散布してもよい。できるだけム
ラがないようにするためには、化合物Aの溶液を塗布す
ることが好ましい。塗布の方法についても、特に限定は
されず、たとえば、刷毛塗りする方法、スプレーで噴霧
する方法等が挙げられる。なお、化合物Aの含浸処理
は、2回以上繰り返してもよいし、2種類以上の含浸方
法を併用してもよい。
【0022】ホルムアルデヒドおよび/またはその誘導
体の蒸気濃度については、後述のホルマール化反応の程
度により特に限定はされないが、木材重量に対して5〜
50%のホルムアルデヒドモノマー量を含む濃度、たと
えば、1×10-3〜1×10 -1mol/dm3 であることが望
ましい。ホルムアルデヒドおよび/またはその誘導体の
蒸気は、通常、反応容器(槽)外であらかじめ調製して
おいたものを反応容器内へ導入して、原料木材に含浸さ
せる。ホルムアルデヒド誘導体を反応容器に入れ、それ
を反応容器内でホルムアルデヒドモノマー蒸気に分解し
ながら含浸を行ってもよいが、この方法を行うよりも、
ホルムアルデヒド誘導体をあらかじめ分解してホルムア
ルデヒドモノマーを生成させておき、これにより得られ
たホルムアルデヒドモノマー蒸気を反応容器内へ導入し
て、原料木材に含浸させるようにすることが好ましい。
この方法によれば、ホルムアルデヒド誘導体の分解に要
する時間を省くことができるため、処理時間を短縮し、
コストを低減することが可能になるとともに、厚い木材
を処理することが可能になるからである。ホルムアルデ
ヒド誘導体をホルムアルデヒドモノマーに分解する方法
としては、たとえば、ホルムアルデヒド誘導体を酸触媒
存在下で加熱する方法が挙げられる。しかし、これに限
定されるわけではなく、他の方法によりホルムアルデヒ
ドモノマーに分解してもよい。なお、このホルムアルデ
ヒドモノマーへの分解に用いられる酸触媒は、後で述べ
るホルマール化反応触媒として用いることも可能である
ため、得られたホルムアルデヒドモノマー蒸気とともに
反応容器内へ導入してもよい。
【0023】ホルムアルデヒドおよび/またはその誘導
体の蒸気は、特に限定されるわけではないが、反応容器
内へ減圧注入あるいは加圧注入することが好ましい。減
圧注入あるいは加圧注入することにより、木材内への蒸
気の浸透、拡散を促進することが可能であるからであ
る。また、反応期間中、反応容器内を加圧状態に保つこ
ともできる。加圧状態で反応を行った場合、木材内部ま
でホルマール化処理が可能となるとともに、処理時間の
短縮にもつながる。加圧の方法としては、含浸成分、木
材の揮発成分、溶媒等の反応容器内での全圧が1気圧以
上になるように、あらかじめ調整しておく方法等が挙げ
られる。しかし、これに限定されるわけではない。たと
えば、窒素等の不活性ガスを反応容器内へ導入すること
により加圧することも可能である。
【0024】以上に述べたようにして化合物Aを原料木
材の表面層だけに含浸させた後、ホルムアルデヒドおよ
び/またはその誘導体の蒸気存在下で原料木材を加熱す
ることにより、化合物Aとホルムアルデヒドとの木材内
での反応、ならびに、木材成分同士間の架橋および木材
成分と生成樹脂との間の架橋による木材成分の親水性水
酸基の疎水化反応を行う(この明細書中、これらの反応
を「ホルマール化反応」と総称する)。
【0025】ホルマール化反応は、必要に応じて、触媒
を用いて行ってもよい。使用できるホルマール化反応触
媒としては、特に限定はされないが、たとえば、塩化水
素、塩化亜鉛、塩化鉄等の塩化物、硫酸、硫酸鉄等の硫
酸塩、ほう酸、ほう酸塩ならびに二酸化硫黄等の酸触媒
等を挙げることができる。なお、酸触媒のうち、特に、
二酸化硫黄を使用した場合は、後で述べる木材の強度劣
化や変色が、比較的小さくなるので、二酸化硫黄を用い
ることが望ましい。
【0026】ホルマール化反応触媒の濃度については、
特に限定はされないが、たとえば、二酸化硫黄を用いる
場合は、ホルムアルデヒド濃度の20分の1〜2分の1
が望ましい。ホルムアルデヒド誘導体からホルムアルデ
ヒドモノマーへの分解を促進するために、他の触媒を加
え、2種以上の触媒を用いることも可能である。また、
触媒の含浸形態も、特に限定されない。すなわち、その
種類に応じて、適宜、溶液または蒸気の状態で含浸させ
ればよいのである。
【0027】ホルマール化反応の条件については、特に
限定はされないが、たとえば、温度(加熱温度)は、8
0〜150℃が好ましい。その反応時間は長い程、反応
率が向上する。また、密封系で行うことが好ましい。な
お、このホルマール化反応は、木材内の余分な水分が取
り除かれ、乾燥した状態、たとえば、木材の含水率がそ
の繊維飽和点(約30%)以下の状態で行うことが好ま
しい。これは、ホルマール化時に余分な水分があると、
ホルムアルデヒドモノマーがこの水分により重合してオ
キシメチレン鎖になりやすく、もしもオキシメチレン鎖
になった場合、寸法安定性向上効果が小さくなるととも
に、必要に応じて用いられる酸触媒との作用により木材
の変色等が大きくなり、好ましくないからである。ただ
し、前述のホルマール化反応触媒の中には、水を必要と
するものがある。たとえば、二酸化硫黄の場合、これが
ホルムアルデヒドと水と反応してヒドロキシメチルスル
ホン酸を生じ、このヒドロキシメチルスルホン酸が前述
の架橋を促進するため、水が必要となる。このため、水
を必要とする触媒を用いる場合は、木材の乾燥の程度を
調整することが好ましい。
【0028】このような木材の含水率調整のための乾燥
の方法としては、たとえば、風乾、真空乾燥、熱風乾
燥、高周波加熱、電子線照射等が挙げられ、特に限定さ
れない。2種類以上の方法を併用してもよい。また、乾
燥は、開放系で行うことが好ましい。化合物Aは、この
段階で重合および/または架橋(硬化)させてもよく、
その場合の温度は、80〜120℃程度が望ましい。し
かし、化合物Aの種類によっては、未硬化の状態で乾燥
させ、後のホルマール化反応で架橋を生じさせてもよ
い。
【0029】なお、前述したように、必要に応じては、
酸触媒を用いてもよいのであるが、酸触媒は、長時間木
材に接触させると、木材の強度劣化や変色を促進する。
これを抑えるためには、酸触媒と木材との接触時間をで
きるだけ短くすることが好ましい。そのための方法とし
ては、たとえば、ホルムアルデヒド誘導体をあらかじめ
分解しておくことにより得られたホルムアルデヒドモノ
マー蒸気を原料木材に含浸させる前述の方法が挙げられ
る。この方法によれば、前述したように、ホルムアルデ
ヒド誘導体からホルムアルデヒドモノマーへの分解時間
を省くことができるため、ホルマール化処理時間が短く
なり、その結果、酸触媒と木材との接触時間を短くする
ことができるからである。
【0030】しかし、酸触媒と木材との接触時間を短縮
するための方法は、上記の方法に限定されるわけではな
い。たとえば、化合物Aと、ホルムアルデヒドおよび/
またはその誘導体とを原料木材に含浸させ、養生を行っ
た後で、酸触媒を木材に含浸させるようにしてもよいの
である。この方法は、たとえば、以下のようにして行わ
れる。まず、化合物Aを原料木材に含浸させ、木材の含
水率を調整した後、昇温した反応容器に木材を入れ、さ
らに、トリオキサン等のホルムアルデヒド誘導体の固体
を所定量入れる。その後、減圧状態(たとえば、100
mmHg以下)下で加熱することによってホルムアルデヒド
誘導体を昇華させ、木材内に浸透、拡散させる。この
際、加熱温度は、50〜120℃が望ましく、時間は限
定されない。また、この段階で加圧処理により、浸透、
拡散を促進することも可能である。このようにして、ホ
ルムアルデヒド誘導体を木材内に充分に浸透、拡散させ
た後、酸触媒を反応容器内に所定量導入し、反応を進行
させる。なお、この酸触媒の導入は、一旦、反応容器内
の気体を排気した後で行うようにしてもよい。
【0031】ホルマール化反応終了後は、必要に応じ
て、反応容器内の気体を加熱下で減圧排気するようにし
てもよい。このような排気を充分行うことにより、木材
内の未反応気体をほとんど除去することができる。以上
のようにして、ホルマール化反応を行い、木材内に不溶
性の硬化樹脂を生成・定着させた後、必要に応じては、
木材表面の水洗等を行い、乾燥させることによって、所
望の改質木材が得られる。
【0032】
【作用】化合物Aを原料木材の表面層だけに含浸させ
て、ホルマール化処理を行うようにすると、ホルマール
化により、高度な寸法安定性と防腐・防虫性を有し、耐
水・耐湿性等の耐候性に優れ、表面の木質感が保たれた
改質木材を効率良く得ることが可能になる。しかも、化
合物Aの含浸は木材の表面層だけであるため、化合物A
の含浸量を削減することが可能になる。その結果、得ら
れる改質木材の重量が軽くてすみ、木材の長所である軽
量性を維持することができるとともに、工程の簡略化、
処理時間の短縮等が可能になり、コストの削減にもつな
がり、工業的に有利となる。
【0033】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
とあわせて詳しく説明するが、この発明は、下記実施例
に限定されない。 −実施例1− メチロールメラミンの5重量%水溶液をヒノキ材に刷毛
塗りした後、風乾を経て乾燥器内で120℃で数時間乾
燥を行うことにより、含水率を調整するとともに樹脂の
硬化を進めた。
【0034】次に、得られた処理材をホルマール化用反
応槽に入れ、槽内を昇温し、120℃に保った。反応槽
内にトリオキサン〔HCHO(ホルムアルデヒドモノマ
ー)換算:1.5×10-2mol/dm3 〕を入れた後、槽内
を減圧状態(50mmHg)にした。その後、二酸化硫黄
(SO2 :2×10-3mol/dm3 )を槽内に導入し、温度
を120℃で12時間保持することにより、改質木材を
得た。
【0035】−実施例2− ジメチロール尿素の5重量%水溶液をヒノキ材にスプレ
ー塗布(噴霧)した後、風乾を経て乾燥器内で100℃
で数時間乾燥を行うことにより、含水率を調整するとと
もに樹脂の硬化を進めた。次に、得られた処理材をホル
マール化用反応槽に入れ、槽内を昇温し、120℃に保
った。反応槽内にトリオキサン〔HCHO(ホルムアル
デヒドモノマー)換算:1.5×10-2mol/dm3 〕と所
定量の硫酸第二鉄を入れた後、槽内を減圧状態(50mm
Hg)にした。その後、二酸化硫黄(SO2 :2×10-3
mol/dm3 )を槽内に導入し、温度を120℃で12時間
保持することにより、改質木材を得た。
【0036】−実施例3− メチロールフェノールとメチロールメラミンをそれぞれ
3重量%、2重量%の割合で含む水溶液をヒノキ材にス
プレー塗布(噴霧)した後、風乾を経て乾燥器内で12
0℃で数時間乾燥を行うことにより、含水率を調整する
とともに樹脂の硬化を進めた。
【0037】次に、得られた処理材をホルマール化用反
応槽に入れ、槽内を昇温し、120℃に保った。反応槽
内にトリオキサン〔HCHO(ホルムアルデヒドモノマ
ー)換算:1.5×10-2mol/dm3 〕を入れた後、槽内
を減圧状態(50mmHg)にした。その後、二酸化硫黄
(SO2 :4×10-3mol/dm3 )を槽内に導入し、温度
を120℃で12時間保持することにより、改質木材を
得た。
【0038】−比較例− メチロールメラミンの5重量%水溶液をヒノキ材に減圧
注入および浸漬含浸した後、風乾を経て乾燥器内で10
0℃で数時間乾燥を行うことにより、含水率を調整し
た。次に、得られた処理材をホルマール化用反応槽に入
れ、槽内を昇温し、120℃に保った。反応槽内にトリ
オキサン〔HCHO(ホルムアルデヒドモノマー)換
算:1.5×10-2mol/dm3 〕を入れた後、槽内を減圧
状態(50mmHg)にした。その後、二酸化硫黄(S
2 :4×10-3mol/dm3 )を槽内に導入し、温度を1
20℃で8時間保持することにより、改質木材を得た。
【0039】以上の実施例1〜3および比較例で得られ
た改質木材について、飽水処理および全乾処理を行い、
各木材の重量と寸法を求め、それらの値から、下記式
(1) で表される含浸率と、下記式(2) で表される抗膨潤
能(ASE)を求めた。 含浸率(%)={(W2 −W1 )/W1 }×100 (1) (式(1) 中、W1 は原料木材の全乾重量を表し、W2
改質木材の全乾重量を表す。) 抗膨潤能(%)={(S1 −S2 )/S1 }×100 (2) (式(2) 中、S1 は原料木材の膨潤率を表し、S2 は改
質木材の膨潤率を表す。) また、色差計を用い、各木材の処理前後の色差変化ΔE
を求めた。
【0040】それらの結果を下記表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】表1にみるように、実施例1〜3の改質木
材は、比較例の改質木材に比べて、含浸率が低いのにも
かかわらず、抗膨潤能がほぼ同程度に高く、寸法安定性
に優れているとともに、木材の変色が少ないことが確認
された。
【0043】
【発明の効果】この発明にかかる改質木材の製法によれ
ば、高度な寸法安定性と防腐・防虫性を有し、耐水・耐
湿性等の耐候性に優れ、表面の木質感が失われていない
改質木材を効率良く得ることができる。得られた改質木
材には、その表面層だけに樹脂が生成しているため、重
量が軽くてすみ、木材の長所である軽量性を維持するこ
とができるとともに、樹脂原料である化合物Aの含浸量
を削減することができるので、工程の簡略化、処理時間
の短縮等が可能になり、コストの削減にもつながり、工
業的に有利となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 悟 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 大西 兼司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 本田 龍介 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホルムアルデヒドと反応して不溶性硬化
    樹脂化し得る化合物Aを溶媒に溶解した状態で原料木材
    に含浸させた後、ホルムアルデヒドおよび/またはその
    誘導体の蒸気の存在下で、前記原料木材を加熱し、木材
    内でホルマール化反応を行わせることによって、木材組
    織内に不溶性硬化樹脂を生成・定着させる改質木材の製
    法であって、前記化合物Aを原料木材の表面層だけに含
    浸させるようにすることを特徴とする改質木材の製法。
  2. 【請求項2】 化合物Aの溶液を原料木材表面に塗布す
    ることにより、化合物Aを原料木材の表面層だけに含浸
    させるようにする請求項1記載の改質木材の製法。
  3. 【請求項3】 あらかじめ溶媒を含ませておいた原料木
    材の表面に化合物Aの粉末および/またはスラリーを散
    布することにより、化合物Aを原料木材の表面層だけに
    含浸させるようにする請求項1記載の改質木材の製法。
  4. 【請求項4】 化合物Aが、フェノール、尿素、メラミ
    ンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれた少なく
    とも1種であり、ホルムアルデヒド誘導体が、トリオキ
    サン、テトラオキサンおよびパラホルムアルデヒドから
    なる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1から
    3までのいずれかに記載の改質木材の製法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190068334A (ko) * 2017-12-08 2019-06-18 한국원자력연구원 목재의 소수성 개질 방법 및 이를 이용하여 소수성으로 개질된 목재
KR20190113715A (ko) * 2019-09-27 2019-10-08 한국원자력연구원 소수성으로 표면 개질된 목재
CN115446939A (zh) * 2022-10-13 2022-12-09 福建农林大学 一种离子型共价有机框架复合木材及其制备方法

Cited By (4)

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KR20190068334A (ko) * 2017-12-08 2019-06-18 한국원자력연구원 목재의 소수성 개질 방법 및 이를 이용하여 소수성으로 개질된 목재
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CN115446939A (zh) * 2022-10-13 2022-12-09 福建农林大学 一种离子型共价有机框架复合木材及其制备方法
CN115446939B (zh) * 2022-10-13 2023-11-24 福建农林大学 一种离子型共价有机框架复合木材及其制备方法

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