JPH05317615A - エンジンオイルフィルタ及び回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジン負荷に係わらず、長寿命のエンジン
オイルフィルタ及び回路を提供する。 【構成】 少なくとも、天然紙１１と、該天然紙１１よ
りも目の細かい人工紙１２とを重ね合わせてなる濾紙１
０を備え、エンジンオイル回路内において、前記天然紙
１１側が上流側となるように、該濾紙１０を配置してな
る構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エンジンオイルフィル
タ及び回路に係わり、殊に、エンジン負荷に係わらず、
長寿命なるエンジンオイルフィルタ及び回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンオイルフィルタは、エンジンオ
イル回路中に備えられ、オイル中に混在する各種金属摩
耗粉、砂等の侵入ダスト及び燃焼生成物なるスーツ等で
なるスラッジを補足して該オイルを清浄化し、これによ
り、エンジンに対する該オイルの潤滑作用、冷却作用及
び清浄作用等を好適にならしめている。

【０００３】従ってエンジンオイルフィルタは、メッシ
ュ（以下、目という）を細かくすればする程、スラッジ
の補足が容易となる訳であるが、この目が細かくなれば
なる程、逆に初期圧力損失が大きくなってしまう。そこ
で、エンジンオイルフィルタは、目の粗さと初期圧力損
失とはバランスも以って構成している。いずれにせよ、
エンジンオイルフィルタの使用寿命（即ち、目詰り）
は、スラッジの量及び粒径で定まる値とされている。

【０００４】尚、従来のエンジンオイルフィルタの濾紙
材としては、図６に示すように、天然紙１１又は人工紙
１２のいずれかを単体で用いている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば軽負
荷デイーゼルエンジンと、重負荷デイーゼルエンジンと
に同一のエンジンオイルフィルタを装着し、これによ
り、スラッジの量及び粒径が同一であるオイルを濾過さ
せると、後者エンジンオイルフィルタの方が前者エンジ
ンオイルフィルタよりも早く目詰まりすることが見出さ
れた。

【０００６】本発明は上記従来技術の不都合に着目し、
エンジン負荷に係わらず、長寿命のエンジンオイルフィ
ルタ及び回路を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目標を達成するた
め、本発明に係わるエンジンオイルフィルタは、図１を
参照して説明すれば、少なくとも、天然紙１１と、該天
然紙１１よりも目の細かい人工紙１２とを重ね合わせて
なる濾紙１０を備え、エンジンオイル回路内において、
前記天然紙１１側が上流側となるように、該濾紙１０を
配置してなる構成とした。

【０００８】また本発明に係わるエンジンオイルフィル
タ回路は、図５を参照して説明すれば、上流側に、濾紙
が天然紙１１であるエンジンオイルフィルタ４０を設け
ると共に、該エンジンオイルフィルタ４０によって濾過
されたオイルＬが流入する下流側に、濾紙が前記天然紙
１１よりも目の細かい人工紙１２であるエンジンオイル
フィルタ５０を設ける構成とした。

【０００９】

【作用】重負荷エンジンでは、オイル中に該オイル自体
の劣化生成物なるレジンが生じ易い。実験によれば、エ
ンジンオイルフィルタがこのレジンを捕捉すると、この
レジンは、該エンジンオイルフィルタの目の粗さよりも
小径のスラッジまでもどんどん吸着してしまい、該エン
ジンオイルフィルタを早期に目詰りさせてしまうことが
見出された。

【００１０】即ち、レジンを含むオイルを濾過する必要
がある場合、そのエンジンオイルフィルタの寿命は、単
に従来技術の通念「スラッジの量及び粒径で定まる値」
だけではなく、上記レジンの吸着特性をも考慮する必要
がある。尚、従来この種の研究がなされなかった理由
は、このレジンが、例えば大形建設機械のディーゼルエ
ンジン等、特殊な重負荷エンジンで多く発生するためで
あると考えられる。しかし軽負荷エンジンであっても、
オイルや燃料等の水準によっては、レジンは発生するも
のであり、上記考慮は総てのエンジンに対して払われる
べきである。

【００１１】かかる観点から、本出願人は、エンジンに
対するエンジンオイルフィルタの本来の機能を維持した
まま、該エンジンオイルフィルタの寿命の延長化を図る
こと目的としたものである。そして各種実験によれば、
既存の濾紙を組み合わせることによっても上記目的を達
成できると判明した。

【００１２】即ち、天然紙１１でなる濾紙でなるエンジ
ンオイルフィルタと、人工紙１２でなる濾紙でなるエン
ジンオイルフィルタとは既存であるが、従来、いずれか
一方のみを使用している（例えばエンジンオイルフィル
タ回路内に複数個のエンジンオイルフィルタを使う場
合、これら異なるエンジンオイルフィルタを混ぜて使用
するということは、管理上も、費用上も好ましくないた
めである）。そこでこれら既存のエンジンオイルフィル
タを使用して実験すると、下記表１の結果を得ることが
できた。即ち、天然紙１１でなる濾紙はレジンを捕捉し
易く、他方人工紙１２でなる濾紙は前記天然紙１１と比
較してスラッジを捕捉し易い。

【００１３】

【表１】

【００１４】上記表１を詳説すれば、実験は、天然紙で
なる濾紙と人工紙でなる濾紙とを同一レベルで目の粗い
ものと、細かいものとに分けたとき、天然紙でなる濾紙
は、目が細かいと、レジンもスラッジも捕捉し易いが、
従来技術の欄で説明したように、目詰まりが早い（即
ち、寿命が短い）という短所がある。これに対し、目が
粗いと、スラッジは捕捉し難いが、レジンを補足し易
く、かつ、目詰まりが遅い（即ち、寿命が長い）という
長所がある。他方、人工紙でなる濾紙は、目が粗いと、
寿命は長くなるが、これはレジンは元よりスラッジも捕
捉し難いためであり、エンジンオイルフィルタとしての
本来の機能不足に過ぎない。これに対し、目が細かい
と、レジンは捕捉し難いが、スラッジを捕捉し易く、か
つ、長寿命となる。

【００１５】上記における天然紙でなる濾紙と人工紙で
なる濾紙との特性の差は、前者を構成する繊維が、後者
を構成する繊維に対し、繊維の外周にけばが多く、か
つ、繊維の寸法や形状やポアサイズ等が一定しないため
であると考えられる。

【００１６】即ち、上記表１において、先ず長寿命性を
考慮して濾紙材料を選定し、次いでエンジンに対する該
エンジンオイルフィルタの機能達成面を考慮して濾紙材
料を選定すると、自ずと粗い目の天然紙でなる濾紙を上
流側に、また細かい目でなる人工紙でなる濾紙を下流側
に備える構成が最適であるという結論に達することがで
きる。

【００１７】もっとも、上記表１は、天然紙でなる濾紙
を上流側に、他方人工紙でなる濾紙を下流側に配置し、
さらに両者を目の粗いものと、目の細かいものとに分け
て得た個々の特性を示した表であって、他の実験、即
ち、配置を逆にすると、上記表１の如き好成績を得るこ
とはできない。

【００１８】以上の結果に基づき、上記成績を得るため
の具体的手段が、エンジンオイルフィルタの構成（第１
発明）と、異なる２つのエンジンオイルフィルタの配列
構成（第２発明）とである。

【００１９】

【実施例】本発明の好適な実施例を図１〜図５を参照し
て説明する。図１〜図３は第１発明の第１実施例、図４
は第２実施例を示す図である。第１実施例は、図２に示
すように、エンジンオイルフィルタエレメントの図であ
って、図１に示されるように、天然紙１１と、該天然紙
１１よりも目の細かい人工紙１２と、前記天然紙１１と
同等の目の粗さの天然紙１３とを重ね合わせてなる濾紙
１０を、互いに離脱しないように、図３に示すように、
先ず細かくプリーツ状に折り込み、次いでさらに大きく
ジャバラ状に折って構成したものである。オイルＬは、
天然紙１１と、人工紙１２と、天然紙１３との順に流
れ、レジン及びスラッジを順次捕捉してゆく。尚、天然
紙１３は、表面積の約３０％を樹脂でコーティングした
ものであり、人工紙１２から離脱した繊維等を捕捉する
役目及び濾紙１０全体の補強メンバの役目を持たせたも
のである。尚、人工紙１２の材質を選定することによ
り、該天然紙１３を省略できる。

【００２０】第２実施例は、図４に示すように、上記第
１実施例のエンジンオイルフィルタエレメント１０を専
用ケース２１内に固設してエンジンオイルフィルタカー
トリッジ２０とした構成である。

【００２１】第２発明の実施例は、図５に示すように、
油路がシリーズ回路であるオイルブロック３０に、上流
側に、天然紙１１を濾紙とするエンジンオイルフィルタ
カートリッジ４０を、下流側に、前記天然紙１１よりも
目の細かい人工紙１２を濾紙とするエンジンオイルフィ
ルタカートリッジ５０を装着したものである。

【００２２】この場合、各エンジンオイルフィルタカー
トリッジ４０、５０はそれぞれ上記材料及び目の粗さ条
件を満足する既製品が存在するならば、上記配置条件に
則して使用すればよい。

【００２３】尚、上記実施例における天然紙１１、人工
紙１２及び天然紙１３のそれぞれにおける捕捉対象物、
目の粗さ、紙厚及び材質の一覧を表２に例示しておく。

【００２４】

【表２】

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、レジン
が含まれるオイル中の該レジンとスラッジとを濾過する
に際し、単に従来技術における「スラッジの量及び粒径
で定まる値」という通念だけでは濾過性能と寿命とが低
下することに着目した点に、またこれを基にしたレジン
の吸着特性に着目してなされた点に特徴がある。即ち、
エンジンオイルフィルタは、単体それ自体であれ、又は
２つ以上のエンジンオイルフィルタが組み込まれたエン
ジンオイルフィルタ回路であれ、いずれにせよ、オイル
の上流側には天然紙１１でなる濾紙を、次いで下流側に
は前記天然紙１１よりも目の細かい人工紙１２でなる濾
紙を備えることにより、目詰まりなく（従って、使用寿
命が低下することなく）、該エンジンオイルフィルタの
本来の機能であるレジンやスラッジを捕捉することがで
きるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１発明の第１実施例なるエンジンオイルフィ
ルタエレメントの濾紙構成を説明する図である。

【図２】第１発明の第１実施例なるエンジンオイルフィ
ルタエレメントの部分斜視図である。

【図３】第１発明の第１実施例なるエンジンオイルフィ
ルタエレメントの濾紙の折る方を説明する図である。

【図４】第１発明の第２実施例なるエンジンオイルフィ
ルタカートリッジの部分断面図である。

【図５】第２発明の一実施例なるエンジンオイルフィル
タ回路の説明図である。

【図６】従来のエンジンオイルフィルタの濾紙構成を説
明する図である。

【符号の説明】

１０ 濾紙 １１ 天然紙 １２ 人工紙 ４０、５０ エンジンオイルフィルタ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも、天然紙１１と、該天然紙１
   １よりも目の細かい人工紙１２とを重ね合わせてなる濾
   紙１０を備え、エンジンオイル回路内において、前記天
   然紙１１側が上流側となるように、該濾紙１０を配置し
   てなる構成を特徴とするエンジンオイルフィルタ。
2. 【請求項２】 上流側に、濾紙が天然紙１１であるエン
   ジンオイルフィルタ４０を設けると共に、該エンジンオ
   イルフィルタ４０によって濾過されたオイルＬが流入す
   る下流側に、濾紙が前記天然紙１１よりも目の細かい人
   工紙１２であるエンジンオイルフィルタ５０を設けた構
   成を特徴とするエンジンオイルフィルタ回路。