JPH05317065A - 光学的に活性なシアノヒドリン類の製造方法 - Google Patents

光学的に活性なシアノヒドリン類の製造方法

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JPH05317065A
JPH05317065A JP4351367A JP35136792A JPH05317065A JP H05317065 A JPH05317065 A JP H05317065A JP 4351367 A JP4351367 A JP 4351367A JP 35136792 A JP35136792 A JP 35136792A JP H05317065 A JPH05317065 A JP H05317065A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒドロキシニトリルリアーゼの存在下におけ
る、該酵素の均質水溶液および水と少なくとも実質的に
非混和性である適当な有機溶媒からなる二相溶媒系中で
の、アルデヒド類およびケトン類から選択されたカルボ
ニル化合物に対するシアン化水素の付加による、光学的
に活性なシアノヒドリンの製造方法であって、該均質水
溶液を1リットル当たり0.005−0.1モル間の緩衝
液濃度を有するアセテート緩衝液、または非−アセテー
ト緩衝液を用いて緩衝すること、有機相:水相の容量比
が約5:1−約1:5間であること、並びにシアン化水
素および該カルボニル化合物の該有機溶媒中の溶液を反
応期間中にヒドロキシニトリルリアーゼの均質な水溶液
と適度に混合する方法。 【効果】 比較的少ない溶媒量で、比較的短い反応時間
で、比較的少量の酵素を用いて転化を行うことができ、
充分な酵素再循環可能性を有しており、従って比較的少
量の酵素消費量で、且つ比較的高い光学的純度および収
率で、しかも容易な処理で光学的に活性なシアノヒドリ
ン類を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、ヒドロキシニトリルリアーゼ(h
ydroxynitrile lyase)の存在下におけるアルデヒド類ま
たはケトン類に対するシアン化水素の付加による光学的
に活性なシアノヒドリン類の製造方法に関する。
【0002】シアノヒドリン類は、例えば人間もしくは
獣医学的用途用の薬学的組成物中または作物保護剤中で
使用できる生物学的に活性な物質の製造用の応用範囲の
広い出発化合物または中間生成物である。種々のそのよ
うな活性物質はそれらの分子構造中に1個以上の偏光中
心を含有しており、従って光学的異性を引き起こす。し
ばしばエナンチオマー類の1種だけが希望する生物学的
活性を示すということが当技術で一般的に知られてい
る。組成物または試薬中の他の光学的対掌体の存在があ
る種の副作用を生じるかまたは刺激するかもしれず、そ
して患者すなわち人間もしくは動物の身体または環境に
それぞれ負担をかける。生物学的に活性な物質を、特に
希望する生物学的活性を示す実質的に単独の光学的異性
体すなわちいわゆるユトマーの形状でしかも実質的な量
で他の異なる性能の対掌体も含有している光学的異性体
類の混合物すなわちいわゆるジストマーの形状でなく、
投与することが一般的にさらに望ましいと思われてい
る。シアノヒドリン類はまた、例えば液晶の如き高いエ
ナンチオマー純度が要求される他の工業的に重要な物質
の製造用に使用することもできる。
【0003】上記の事項に関すると、生物学的に活性な
物質を製造するための出発物質または合成製造段階とし
てのこれらの化合物に対する要望増加を反映して光学的
に活性なシアノヒドリン類の製造分野における出版数が
増大している。20年前から、対応するカルボニル化合
物に対するシアン化水素の添加による特定の光学的に活
性なシアノヒドリン類の生成に対してある種のヒドロキ
シニトリルリアーゼ類が触媒作用を与えることはすでに
知られている。
【0004】酵素であるヒドロキシニトリルリアーゼは
水溶性の蛋白質であるが、有機基質すなわち出発物質で
あるカルボニル化合物は一般的に微水溶性であるため、
シアノヒドリン類の酵素的合成用の有機溶媒の適用性を
研究するということは自明である。
【0005】基質および生成物の溶解度を改良するため
の水−混和性有機溶媒の使用は文献中に、すなわちベッ
カー(Becker)他(ドイツ出願1,300,111、ドイツ
出願1,593,260、ザ・ジャーナル・オブ・ザ・ア
メリカン・ケミカル・ソサイエテイ(J. Amer. Chem. So
c.)、1966、88、4299、アンゲヴァンドテ・
ヘミイ(Angew. Chem.)、1965、77、1139)に
よりそしてブルッシー(Brussee)他(ヨーロッパ特許出
願322973、テトラヘドロン・レタース(Tetr. Let
t.)、1988、29、4485、テトラヘドロン(Tetr
ahedron)、1990、46、979)により、報告され
ている。特に、水との共−溶媒としてのメタノールまた
はエタノールの使用がしばしば述べられている。エッフ
ェンベルガー(Effenberger)他(アンゲヴァンドテ・ヘ
ミイ(Angew. Chem.)、1987、99、491−49
2)は、出発アルデヒドによるが、酵素触媒作用を受け
る転化を水/エタノール混合物中で実施する場合には希
望するシアノヒドリンの立体化学的純度はしばしば不満
足であることを示している。以下の実施例から明らかに
なるように、この溶媒混合物中で上記のアルコール類を
例えばジエチルホルムアミドの如き他の水−混和性有機
溶媒で置換しても該転化の選択性または効率を実質的に
改良するものではない。
【0006】リバノフ(Klibanov)による論評(ケミテク
(ChemTech.)、1986、16、354−359、Acc.
Chem. Res.、1990、23、114、バイオテクノロ
ジー・アンド・バイオエンジニアリング(Biotechnology
and Bioengeneering)、1977、19、1351)中
では、多くの酵素的転化用の有機溶媒として親油性溶
媒、例えば炭化水素類、が推奨されている。しかしなが
ら、例えばヘキサン、トルエンまたは塩素化された炭化
水素類の如き非−極性の水−非混和性有機溶媒の使用は
ヒドロキシニトリルリアーゼの安定性および/または活
性に悪影響を与えることが見いだされている。その結
果、酵素はそのような系では生産性がかなり低くなり、
それが光学的に活性なシアノヒドリン類を製造するため
のそのような系の商業的に許容可能な適用の障害となっ
ている。
【0007】ヨーロッパ特許出願276375から、シ
アン化水素を用いるある種のアルデヒド類の転化を、不
動化されたヒドロキシニトリルリアーゼの存在下で、緩
衝水溶液を飽和させた水−非混和性有機溶媒からなる反
応混合物中で、実施できることは知られている。記載さ
れている転化用に適している有機溶媒は、脂肪族炭化水
素類、例えばベンゼンまたはトルエン、塩素化された脂
肪族炭化水素類、例えば塩化メチレン、エーテル類、例
えばジエチルエーテル、カルボン酸アルキルエステル
類、例えば酢酸エステル類、および脂肪族の水−非混和
性のアルコール類、例えばn−ブタノール、である。酵
素をセルロースもしくは化学的に改質されたセルロース
上でまたは他の担体物質上で沈澱または吸着により不動
化させる。後者の特許出願の実施例中では、酢酸エチル
が主として有機溶媒として使用されている。これはまた
以下で述べられているエッフェンベルガー他の出版中で
選択されている溶媒でもある。同じ著者による最近の出
版(テトラヘドロン・レタース(Tetr. Lett.)、199
0、31、1249−1252)中では、ジイソプロピ
ルエーテルおよび酢酸エチルの両者が上記の転化用に適
している有機溶媒であると考えられており、そこでは上
記の如く酵素はセルロースすなわちアヴィセル−セルロ
ースR上に吸着または沈澱されている。
【0008】しかしながら、上記のシアノヒドリン合成
方法用に必要な酵素すなわちヒドロキシニトリルリアー
ゼを不動化するための工程の後にかなりの量の酵素活性
が損失されていることが観察されている。実施例から明
らかなように、これは酵素の操作効率の劇的な減少をも
たらす。エッフェンベルガー他(上記参照)により使用
されているような不動化されたヒドロキシニトリルリア
ーゼの使用時に観察される他の現象は、水分含有量に対
する酵素活性の顕著な敏感性である。不動化された酵素
の水分含有量の臨界性が反応系の正確な調節を必要とす
る。さらに、周知の毒性物質である純粋HCNのかなり
の量の使用が特殊な製造装置および特殊な安全条件を必
要としており、それが該方法をさらに高価なものにして
いる。
【0009】対応する方法でのオキシノトリラーゼの存
在下におけるシアン化水素酸を用いるオキソ化合物の酵
素的転化はヨーロッパ特許出願446826中に開示さ
れている。使用される酵素を液晶生成用のある種の表面
活性剤を用いて離液性液晶中に溶解させる。有機溶媒、
水性緩衝液および表面活性剤が三元系を形成する。実施
例から明らかなように、この酵素系の効率は酵素的転化
の工業的に魅力のある実現には不充分である。
【0010】ザンドベルゲン(Zandbergen)他による最近
の出版(Synth. Commun.、1991、21、1387−
1391)中では、単離された酵素の代わりの粗製アー
モンドひきわりの影響下での光学的に活性なシアノヒド
リン類の製造が記されている。記載されている反応は例
えば酢酸エチルの如き有機溶媒中で実施され、その中に
少量のサイトレート緩衝液で膨潤されているアーモンド
ひきわりを懸濁させている。反応時間は例えば16−8
9時間の間で変動するように極端に長く、特定されない
シアノヒドリン純度で生成物を生じる。例えばアーモン
ドひきわりの如き定義されていない出発物質を例えば基
質の150重量%のような大量で使用することは下記の
如き顕著な欠点を有している。(i)性質およびその結
果としての酵素含有量、並びに不純物(非−酵素物質お
よび他の酵素類)の量および性質が広く変動するかもし
れず、(ii)有機物質が最終生成物を非常に汚染し、
(iii)該不純物の存在により処理工程が非常に複雑と
なり、そして(iv)該不純物を廃棄しなければならず、
従って環境負担を生じる。
【0011】上記の欠点を考慮すると、シアノヒドリン
合成を可溶性にされた酵素の存在下で水−非混和性有機
溶媒および均質な水相からなる二相溶媒系中で実施する
ことが有利であろう。しかしながら、エッフェンベルガ
ー他(上記参照)に従うと、水相中での出発カルボニル
化合物に対するシアン化水素の添加によりラセミ体シア
ノヒドリン類を製造する競合非−酵素反応が生成物のエ
ナンチオマー純度の望ましくない減少をもたらすことが
ある。
【0012】最近オグニアノフ(Ognyanov)他により発表
された結果(ザ・ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
ケミカル・ソサイエテイ(J. Amer. Chem. Soc.)、19
91、113、6992−6996)は、エナンチオマ
ー的に純粋なシアノヒドリン類を製造するための二相系
における遊離シアン化水素の使用の欠点を示している。
オグニアノフ他により認識されたような遊離シアン化水
素の使用に関する問題は、緩衝水溶液および水−非混和
性有機溶媒、すなわちジエチルエーテル、からなる二相
反応混合物中でのアセトンシアノヒドリンを用いるヒド
ロキシニトリルリアーゼ介在シアン交換により回避され
た。5、6時間の反応時間後に、生成物は約70%の収
率で得られ、そして一般的には少なくとも90%のエナ
ンチオマー純度を示している。典型的な例では、ベンズ
アルデヒドは10時間の反応時間後にR−マンデロニト
リルに72%の収率および92%のエナンチオマー過剰
量(ee)で転化された。これらの結果は、アセテート
緩衝溶液中のヒドロキシニトリルリアーゼをジエチルエ
ーテル中に溶解されている出発アルデヒドおよびアセト
ンシアノヒドリンの混合物に加え、その後に、周囲温度
において撹拌することにより、得られた。
【0013】しかしながら、上記の方法は該方法の工業
的および商業的実施に関しては下記の欠点を示してい
る。有機溶媒の量およびその結果として全反応混合物の
量が転化しようとするアルデヒドの量に関して大量であ
る。さらに、反応時間が極端に長く、それが製造の収率
を限定している。エナンチオ特異的転化用に必要な酵素
の量が多い。これは、処理工程中で損失されるかもしれ
ない大量の高価な酵素が転化用に必要であることを意味
している。最後に今一つ大事なことを言うが、得られる
シアノヒドリンの純度が目標分子のエナンチオ特異的合
成における使用のためには一般的に不満足である。多く
の用途のためには、少なくとも95%のエナンチオマー
過剰量(ee)が望ましいかまたは必要でさえある。
【0014】本発明の目的は、比較的少ない溶媒量で、
比較的短い反応時間で、比較的少量の酵素を用いて転化
が行われ、充分な酵素再循環可能性を有しており、従っ
て比較的少量の酵素消費量で、且つ最後に今一つ大事な
ことを言うが比較的高い光学的純度および収率で、しか
も容易な処理でなされるような、以上で定義されている
如き光学的に活性なシアノヒドリン類の製造方法を提供
するものである。
【0015】この目的は、以上で定義されている如き光
学的に活性なシアノヒドリンを製造する方法により、す
なわちヒドロキシニトリルリアーゼの均質水溶液、およ
び水と少なくとも実質的に非混和性である適当な有機溶
媒からなる二相溶媒系中での、アルデヒド類およびケト
ン類から選択されたカルボニル化合物に対するシアン化
水素の付加により達成することができ、該方法は本発明
に従うと、該均質水溶液を1リットル当たり0.005
−0.1モル間の緩衝液濃度を有するアセテート緩衝
液、または非−アセテート緩衝液を用いて緩衝するこ
と、有機相:水相の容量比が約5:1−約1:5間であ
ること、並びにシアン化水素および該カルボニル化合物
の該有機溶媒中の溶液を反応期間中にヒドロキシニトリ
ルリアーゼの均質水溶液と適度に混合することを特徴と
するものである。
【0016】二相溶媒系を用いる本発明の方法は、以上
で定義されている条件下でシアノヒドリン合成用にシア
ン化水素を用いる時には驚異的に良好に実施される。こ
れはオグニアノフ他により例えばザ・ジャーナル・オブ
・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエテイ(J. Amer.
Chem. Soc.)、1991、113の6993頁に報告さ
れていることを考慮しての予測とは対照的である。有機
溶媒中に溶解されているシアン化水素は、シアニド源と
してアルカリシアニドを用いる抽出工程により希望する
反応のために容易に入手可能である。この方法では、H
CNの有機溶媒中溶液をその場で容易に製造できるた
め、純粋HCNの使用が避けられる。例えばアセトンシ
アノヒドリンの如きHCN−放出剤とは反対に、シアン
化水素は経済的観点から最も便利な試薬と考えるべきで
ある。さらに、それは容易に除去、再循環または分解す
ることができる。
【0017】後記実施例から明らかになるように、本発
明の方法はオグニアノフ他(上記参照)により示されて
いる溶媒量の約10%の中でそして一般的には1時間の
反応時間で良好に、しかもオグニアノフ他により報告さ
れている酵素量の約10%だけを使用することにより、
実施することができる。相間における充分な界面の面積
を確保するためには適切な混合が必要であり、これは機
械的撹拌により行うことができる。シアノヒドリン合成
が本発明の条件下で実施され、酵素は高い活性を示し、
高い転化率および95%より大きい希望するシアノヒド
リンエナンチオマー選択率を生じる。さらに、収率また
は光学的純度に悪影響を与えずに有機溶媒中の出発カル
ボニル化合物の高濃度を使用することができる。
【0018】有機相:水相の容量比が約3:1−約1:
3間であるような二相溶媒系中で本発明の転化を行うこ
とにより最適な結果が得られる。
【0019】上記の如く、アセテート緩衝液が使用され
る場合には、満足のいく結果を得るためにはこの緩衝液
は1リットル当たり多くとも0.1モルの濃度を有して
いるべきである。しかしながら、好適には1リットル当
たり0.005−0.5モルの濃度の非−アセテート緩衝
液を使用すること有利である。1リットル当たり0.0
1−0.2モルの間の緩衝液濃度において最良の結果が
得られる。非−アセテート緩衝液は好適には、緩衝溶液
のpHが3−6の間、好適には約4−約5.5の間、と
なるような方法で選択される。本発明の方法で使用する
のに適している非−アセテート緩衝液は、サイトレー
ト、スクシネート、グルタメートおよびフタレート緩衝
液である。反応温度は使用する基質および他の反応条件
によって変えることができ、一般的には希望する転化の
ためには約0℃−約30℃の間の反応温度が適してい
る。
【0020】著しく簡便な態様では、有機溶媒を用いる
アルカリ金属シアニド水溶液の抽出により得られたシア
ン化水素の有機溶媒中溶液に連続的にヒドロキシニトリ
ルリアーゼの均質緩衝溶液およびカルボニル化合物を加
え、その後に、このようにして得られた二相反応系を反
応期間中に例えば撹拌により適切に混合するような方法
で本発明の方法は実施される。この簡単で且つ速い「一
容器」反応が希望する光学的に活性なシアノヒドリンを
高いエナンチオマー純度で生成するということは実施例
から証明されるであろう。従って、この好適方法は工業
的および商業的に魅力のある実現に見事に役立つ。
【0021】酵素であるヒドロキシニトリルリアーゼが
そこから単離される物質に依存して、上記のシアノヒド
リン合成用に使用される異なる酵素、すなわちR−およ
びS−ヒドロキシニトリルリアーゼ(E.C.4.1.2.
10およびE.C.4.1.2.11)、が得られる。これ
らの酵素は基質の特異性および生触媒活性においてかな
り異なっている。基質すなわち出発カルボニル化合物お
よび希望するシアノヒドリンエナンチオマーに依存し
て、最適なヒドロキシニトリルリアーゼを選択すること
ができる。必要な酵素量は使用される基質に依存してい
るであろう。一般的には1ミリモルの基質当たり多くと
も1.5mgの量でヒドロキシニトリルリアーゼを使用
する時に、最適な結果が得られる。
【0022】本発明に従う以上で定義されている反応用
の有機溶媒の選択は、工程の高い収率および高いエナン
チオマー純度にとって重要である。従って、本発明の二
相溶媒系で使用される有機溶媒は好適には、ジ(C1−C
6)アルキルエーテル類、(C1−C5)カルボン酸(C1−C
5)アルキルエステル類、ジ(C1−C5)アルキルケトン
類、(C4−C8)脂肪族アルコール類、およびこれらの溶
媒類同士のまたは非プロトン性希釈剤との混合物からな
る群から選択される。そのような水−非混和性溶媒類の
例は、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、
ジ−イソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、
ジ−イソブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテ
ル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピ
ル、異性体状酢酸ブチル類、異性体状酢酸アミル類、メ
チルエチルケトン、ジエチルケトン、およびメチルイソ
ブチルケトンである。最も好適なものは、酢酸n−プロ
ピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブ
チル、酢酸セカンダリー−ブチルおよび酢酸アミルであ
る。非プロトン性希釈剤の適当な例は、芳香族炭化水素
類、脂肪族炭化水素類および塩素化された芳香族または
脂肪族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、トリクロロエタンまたはクロロベ
ンゼンである。本発明の方法の工業的実現用には、大量
の有機溶媒の使用を避けることが望ましい。従って、以
上で定義されている如き有機溶媒中の出発カルボニル化
合物の濃度は好適には5重量/容量%より高い。
【0023】さらに、酵素を含有している水相を驚くほ
ど簡単に再循環させることができるため、光学的に活性
なシアノヒドリン類を製造するためのカスケードまたは
連続的方法が本発明の範囲内であることも見いだされ
た。実施例中で説明されているこの再循環により、反応
が一度または繰り返し完了した後に水相を再使用するこ
とができる。この目的用には、反応期間後に、水相を有
機相から分離しそしてそのままで、例えば別の反応期間
中に該水相をシアン化水素および該カルボニル化合物の
有機溶媒中の新しい溶液と混合することにより、再使用
することができる。
【0024】本発明の付加反応用の基質としては種々の
カルボニル化合物、例えば任意に置換されていてもよい
(ヘテロ)芳香族アルデヒド類、例えばベンズアルデヒ
ド、フルオロベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアル
デヒド、フェノキシベンズアルデヒド、メトキシベンズ
アルデヒド、フルフラール、メチルフルフラール、ニコ
チンアルデヒドおよびピペロナール、飽和もしくは不飽
和の脂肪族アルデヒド類、例えばクロトンアルデヒド、
メチルチオプロピオンアルデヒド、ピバアルデヒド、
(C1−C6)アルコキシ−アセトアルデヒドおよび異性体
状ブチルアルデヒド類、並びに任意に置換されていても
よいアラルキルアルデヒド類、例えば(置換された)フェ
ニルアルデヒドおよびフェノキシアセトアルデヒド、を
使用することができる。上記のカルボニル化合物用の適
当な置換基は、(C1−C4)アルキル、ヒドロキシ、(C1
−C4)アルコキシ、フェノキシ、ハロゲンおよびヒドロ
キシ(C1−C4)アルキルである。
【0025】希望する反応用の置換基として同様に適し
ているものは、ヨーロッパ特許出願322973中に記
されている一般式
【0026】
【化1】
【0027】〔式中、Rはヒドロキシ、(C1−C5)アル
コキシ、フェノキシ、(C1−C5)アルキルカルボニルオ
キシ、アミノ、(C1−C5)アルキルアミノ、ジ(C1−C
5)アルキルアミノ、(C1−C5)アルキルカルボニルアミ
ノ、(C1−C5)アルキルスルホニルアミノ、ニトロ、
(C1−C5)アルキルスルホニル、(C1−C5)アルキルカ
ルボニル、ハロ、シアノ、(C1−C5)アルキル、(C3
6)シクロアルキルおよび(C1−C2)アルキレンジオキ
シから選択された1個以上の置換基で置換された単環式
もしくは二環式のアリールまたはヘテロアリール基であ
るか、或いはRはハロゲン、(C1−C5)アルコキシ、
(C1−C5)アルキルチオ、フェニルまたは任意に1個以
上の以上で定義されている置換基で置換されていてもよ
いフェノキシで置換されていてもよい炭素数が1−30
の飽和もしくは不飽和の直鎖または分枝鎖状のアルキル
基であり、そしてR′は水素原子または(C1−C4)アル
キル基である〕を有する化合物である。
【0028】単環式もしくは二環式の(ヘテロ)アリール
には、フェニル、ナフチル、フリール、ピリジル、キノ
リル、チエニル、ピロリル、および最後に挙げられてい
るヘテロ芳香族類のフェニレン環式誘導体類が包含され
る。
【0029】ある種の酵素的転化において酵素の実際的
な有用性に関する最も有用な因子は操作効率因子η0
ある。これに関しては、例えばザ・ハンドブック・オブ
・エンザイム・バイオテクノロジー(the Handbook of E
nzyme Biotechnology)、2版、A.ワイズマン(Wisema
n)、1986、93−94頁を参照のこと。効率因子
は、酵素にとって理想的であると考えられている条件と
比べての適用される反応条件下での酵素の効率を示して
いる。従って、操作効率因子は、種々の条件下での、例
えば上記の酵素ヒドロキシニトリルリアーゼの如き比較
的高価な生触媒の特に工業的規模での有用な用途を比較
するために非常に適している。
【0030】下記の個々の実施例では、効率因子η0(5
0)すなわち50%転化率において測定された操作効率
が使用されている。この操作因子は 0%転化率において測定された活性である。V最大は既
知の係数であり、そして最適条件下での理想的基質に対
する最大初期活性を示している。アーモンドヒドロキシ
ニトリルリアーゼに関するV最大値は、102000
(分-1)のマンデロニトリル生成に関する最大「ターン
オーバー数」および75000の分子量を基にして、1
mgの酵素当たり1360付加単位である(A.シュー
マン・ジョーンズ(Schuman Jorns)、バイオシミカ・エ
・バイオフィジカ・アクタ(Biochim.Biophys. Acta)、
1980、613、203−209)。
【0031】 V最大=102000/75=1360付加単位 因子「付加単位」は下記の如く定義されている:1付加
単位は標準化された条件下で毎分1μモルのカルボニル
化合物を(HCNの存在下で)対応するシアノヒドリン
に転化させる酵素の量である。従って、オグニアノフ他
(上記参照)により記されている実験では、η0(50)
は下記の如くして計算することができる:5mgの使用
される酵素調合物(シグマMO646R)は2mgのア
ーモンドヒドロキシニトリルリアーゼを含有している。
全反応時間の10%後にすなわち1時間後に50%転化
率(500μモル)に達したと楽観的に考えられる。
【0032】
【0033】基質の転化率、得られたシアノヒドリンの
エナンチオマー純度(ee)および酵素転化率(η0
の他に、別の因子すなわち生産能力が本発明の方法の工
業的および商業的に魅力のある実現用には重要である。
生産能力は簡便には毎分1リットルの反応器原料当たり
の転化された基質のモル数、すなわちいわゆる「生産
量」、で表すことができる。実施例から明らかなよう
に、本発明の方法を使用することにより、約10近いこ
ともあるが少なくとも1(モル.1-1.時間-1)の生産量
を実現することができ、これは既知の方法のいずれかに
関して計算された生産量より明らかにかなり高いもので
ある。オグニアノフ他(上記参照)により記されている
方法における生産量は0.01である。
【0034】本発明を下記の個々の実施例を参照しなが
らさらに詳細に記す。
【0035】
【実施例】実施例I 3.18g(30ミリモル)の量のベンズアルデヒドお
よび2.43gのHCN(90ミリモル)を25mlの
メチルターシャリー−ブチルエーテル(MTBE)中に
溶解させた。この溶液に連続的に24.5mlの10m
Mサイトレート緩衝水溶液(pH5.0)および7.2m
gの純粋なR−ヒドロキシニトリルリアーゼを含んでい
る0.5mlの酵素溶液を加えた。すると、酵素濃度
(mgの酵素/ミリモルのアルデヒド)は0.24mg
/ミリモルとなった。簡便な機械的スタラーを用いて室
温で20分間撹拌した。次に、二種の液相を分離し、水
層を25mlのMTBEで抽出し、そして一緒にした有
機相を一般的方法で処理すると、希望するシアノヒドリ
ンが出発アルデヒドを基にして98%の収率で生成し
た。エナンチオマー過剰量(ee)をHLPCにより測
定すると96%に達しており、50%転化率は2.6分
後に達した。V(50)が上記の結果から測定された。
【0036】
【0037】 η0(50)=801/1360=0.59。
【0038】生産量は1.8(モル、1-1、時間-1)で
あった。
【0039】実施例II 実施例I中に記載されている如き対応する実験で、3.
37gのベンズアルデヒド(31.8ミリモル)の10
mlのMTBE中溶液および2.43gのHCN(90
ミリモル)をMTBEを用いて25mlの量とした。こ
の溶液に連続的に25mlの0.1Mサイトレート緩衝
液(pH5.5)および10.8mgの純粋なR−ヒドロ
キシニトリルリアーゼを含有している750μlの酵素
溶液を加えた。すると、酵素濃度は1ミリモルのアルデ
ヒド当たり0.34mgとなった。20分間撹拌し、そ
して上記の如く処理すると、83%の希望するシアノヒ
ドリンが生成した。96%ee、1.5分後に50%の
転化率。
【0040】
【0041】 η0(50)=981/1360=0.72。
【0042】生産量:1.9。
【0043】実施例Iに記されているのと対応する方法
であったが、反応条件(温度T、pH、酵素濃度−mg
/ミリモルの基質)を変えて、下記の基質からシアノヒ
ドリンエナンチオマー類を製造した。生成物の収率およ
び純度、並びに関連反応条件を下表に示す。
【0044】
【表1】表A 反応条件 R-シアノヒドリン 基質 T(℃) pH 酵素濃度 収率(%) ee(%) 4-フルオロベンズアルデヒド 10 5.5 0.50 97 99 4-メトキシベンズアルデヒド 20 5.0 0.29 88 94 ピペロナール 20 5.0 0.41 91 98 5-メチルフルフラール 20 4.5 0.34 86 99 クロトンアルデヒド 20 4.5 0.67 97 97 n-ブチルアルデヒド 20 4.5 0.37 99 98 i-ブチルアルデヒド 10 4.5 1.50 99 93 フェニルプロピオンアルデヒド 10 4.5 1.50 98 約90実施例III 3.18gのベンズアルデヒド(30ミリモル)および
1.22gのHCN(45ミリモル)の5mlのMtB
E中溶液に23.6mlのpHが5.0の0.01モルサ
イトレート緩衝水溶液および20.3mgの酵素(E.
C.4.1.2.11)を含有している1.4mlのS−ヒ
ドロキシニトリルリアーゼ溶液を加えた。混合物を室温
で60分間撹拌した。二相を分離した。水相を25ml
のMtBEで抽出した。有機層を一緒にしそして減圧下
での蒸発により濃縮すると、希望するS−マンデロニト
リルが生成した。収率84%、エナンチオマー過剰量9
4%。
【0045】対応する方法で、4−ヒドロキシベンズア
ルデヒドのS−シアノヒドリン誘導体が製造された(収
率94%、ee98%)。この工程は5−メチルフルフ
ラール、4−メトキシベンズアルデヒドおよびピペロナ
ールにも適用された。
【0046】実施例IV 酵素溶液の再循環 ベンズアルデヒド(3.18g、30ミリモル)および
シアン化水素(1.22g、45ミリモル)の25ml
のMTBE中溶液に25mlのpHが5の0.01モル
サイトレート緩衝溶液および13.3mgの酵素を含有
しているR−ヒドロキシニトリルリアーゼ溶液を加え
た。二相を室温で20−25分間にわたり適切に混合し
た。
【0047】層の分離後に、有機相を普通の方法で処理
しながら、水相を上記の如きベンズアルデヒドおよびシ
アン化水素の新しい溶液に加えた。この工程を3回繰り
返した。生成物の収率および純度を下表に示す。
【0048】
【表2】 実施例V 実施例I中に記されている如き対応する方法で4−メト
キシベンズアルデヒドの転化におけるpHおよび温度の
変動の影響を研究した。該変動の結果としての転化率に
おける差を観察できるようにするために、転化が完了す
る前にすなわち2時間後に、反応を停止させた。下記の
結果が得られた:表
【0049】
【表3】 実施例VI 本発明の二相溶媒系中で異なる有機溶媒を用いてベンズ
アルデヒドからR−マンデロニトリルへの転化率を測定
した。
【0050】標準的条件: 25mlの有機溶媒、 25mlの50mMサイトレート緩衝液、pH5.0 3.18g(30ミリモル)のベンズアルデヒド 0.5mlのR−ヒドロキシニトリルリアーゼ(7.5m
g)の水溶液 1.22gのHCN(45ミリモル) T=20℃ 結果を下表に表す。
【0051】
【表4】 表D 反応時間 転化率 ee 生産量有機溶媒 (分) (%) (%) η0(50) (%) メチルt.ブチルエーテル 40 98 >99 1.0 0.9 メチルi.ブチルケトン 40 98 >99 1.1 0.9 酢酸エチル 20 >99 >99 1.0 1.8 ジイソプロピルエーテル 10 >99 >99 1.3 3.6 酢酸n-ブチル 5 >99 >99 1.3 7.2実施例VII HCN−抽出工程を含む、R−マンデロニトリルの製造
方法 58.8gのNaCl(1.2モル)の150mlの水中
溶液に、450mlのメチルターシャリー−ブチルエー
テル(MTBE)を加えた。次に90gの80%酢酸を
加えた。混合物を5分間撹拌し、そして層を分離した。
有機層に連続的に172.5mgのオキシノトリラーゼ
の500mlの100mMサイトレート緩衝液(pH
5.5)および73.7gのベンズアルデヒドを加えた。
反応混合物を室温で20分間撹拌した。層を分離し、そ
してMTBE層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、そし
て蒸発乾固した。
【0052】希望するR−マンデロニトリルが92.0
g(99.5%)の収量で得られた。
【0053】エナンチオマー過剰量(ee)は96%で
あった。
【0054】 η0(50)=350,000/(2×172.5×1360)=0.75。
【0055】生産量は2.1であった。
【0056】実施例VIII 4−ヒドロキシベンズアルデヒドは対応する光学的に活
性なシアノヒドリンの製造用には周知の困難な基質であ
る。しかしながら、本発明の方法は下記の例から明らか
なようにこの基質の転化にも適していた。
【0057】25mlの50mMサイトレート緩衝液
(pH5.0)および25mlのMTBEの混合物に連
続的に3.0ml(45mg)のオキシニトリラーゼ溶
液および1.22g(10ミリモル)の4−ヒドロキシ
ベンズアルデヒドを加えた。次に、2.70gのHCN
(100ミリモル)を加え、そして反応混合物を10℃
において7時間撹拌した。層の分離および20mlのM
TBEを用いる水層の抽出後に、一緒にした有機層を蒸
発乾固した。希望する光学的に活性なシアノヒドリンが
93%の収率で得られた(ee=94%)。
【0058】実施例A 下記の比較実験を行った。
【0059】A1:反応容器中で、25mlの水が飽和
させてある酢酸エチルおよび3gの不動化された酵素を
一緒にした。酵素調合物は、1gの官能化された有機重
合体担体であるオイペルギットCR上の44mgのヒド
ロキシニトリルリアーゼおよび2gの0.1モルサイト
レート緩衝溶液(pH5.5)からなっていた。
【0060】この混合物に0.53gのベンズアルデヒ
ド(5ミリモル)および0.35gのHCN(13ミリ
モル)を加えた。室温で20分間撹拌し、担体(酵素調
合物)を濾過し、そして担体を洗浄し、その後に一般的
な処理工程を行うと、希望するシアノヒドリンエナンチ
オマーが98%の収率で生成した。50%転化率、4.
7分後。
【0061】
【0062】 η0(50)=12.1/1360=0.009。
【0063】生産量、すなわち生産能力の測定値、は
0.60(モル、1-1、時間-1)であった。
【0064】A2:実施例A1に記されている如き対応
する方法で、今回は酢酸エチルの代わりにMTBEを用
いて上記の転化率を研究した。希望する生成物が85%
の収率で得られた。
【0065】
【0066】A3:実施例A1に記されている如き対応
する方法で、今回は30容量/容量%のDMF/水混合
物中の600mgの酵素調合物(8.6mgの不動化さ
れた酵素)を用いて上記の転化率を研究した。シアノヒ
ドリンエナンチオマーの収率、80%。90%ee。
【0067】
【0068】A4:反応溶液に25mlの30容量/容
量%のDMF/水混合物を充填した。この混合物に0.
53gのベンズアルデヒド(5ミリモル)および0.3
5gのHCN(13ミリモル)を加えた。次に、7.8
mgのヒドロキシニトリルリアーゼを含有している70
0μlの酵素溶液を加えた。室温で20分間撹拌し、そ
して一般的な処理工程を行うと、希望する生成物が71
%の収率で生成した。
【0069】99%ee。
【0070】
【0071】A5:実施例A4に記されているのと同じ
反応を実施したが、今回はDMF/水の代わりに30容
量/容量%のエタノール/水混合物を用いた。
【0072】収率82%、>98%ee。
【0073】
【0074】A6:上記のヨーロッパ特許出願2763
75の実施例I中に記されているものと全く同じに、不
動化された酵素調合物:ヒドロキシニトリルリアーゼ、
アセテート緩衝液、アヴィセルR−セルロースを製造し
た。酵素調合物を25mlの酢酸エチル中に懸濁させ、
10ミリモルのアセテート緩衝水溶液(pH5.4)を
飽和させた。この懸濁液に0.53gのベンズアルデヒ
ド(5ミリモル)および250μlのHCN(6.5ミ
リモル)を加えた。室温で2.5時間撹拌した後に、酵
素調合物を濾別し、そして濾液を一般的な方法で処理し
た。1%より小さい希望するリアーゼエナンチオマーへ
の転化率が観察された。
【0075】A7:実施例A6に記されている実験を繰
り返したが、今回はヨーロッパ特許出願276375に
記されている異なる方法で製造された酵素調合物を使用
し、最終的な酵素調合物の圧縮および乾燥を省略した。
酵素調合物は1.8mgのヒドロキシニトリルリアーゼ
を含んでいた。反応期間中、転化率は紫外線分光法によ
り追跡された。下記の転化率が観察された:表
【0076】
【表5】 上記の結果から、78分後に50%の転化率が得られた
ことがわかる。
【0077】
【0078】 η0(50)=17.8/1360=0.013。
【0079】生産量は0.08であった。
【0080】A8:上記のヨーロッパ特許出願4468
26の実施例1に記されているのと全く同じに、ベンズ
アルデヒドからR−マンデロニトリルへの転化を行っ
た:2.8mgの酵素を含有している280μlの酵素
溶液(濃度、10mgの酵素/ml);100mgの基
質=940μモル。
【0081】反応を50分間続けると、希望する異性体
が99%の光学的純度(ee)で生成した。この期間中
に、転化率はGCにより追跡されていた。1分後に50
%の転化率に達し、10分後に95%の転化率に達し
た。
【0082】
【0083】 η0(50)=167.8/1360=0.12。
【0084】本発明の主なる特徴および態様は以下のと
おりである。
【0085】1.ヒドロキシニトリルリアーゼの均質水
溶液、および水と少なくとも実質的に非混和性である適
当な有機溶媒からなる二相溶媒系中での、アルデヒド類
およびケトン類から選択されたカルボニル化合物に対す
るシアン化水素の付加により、光学的に活性なシアノヒ
ドリンを製造する方法において、該均質水溶液を1リッ
トル当たり0.005−0.1モル間の緩衝液濃度を有す
るアセテート緩衝液、または非−アセテート緩衝液を用
いて緩衝すること、有機相:水相の容量比が約5:1−
約1:5間であること、並びにシアン化水素および該カ
ルボニル化合物の該有機溶媒中溶液を反応期間中にヒド
ロキシニトリルリアーゼの均質水溶液と適度に混合する
ことを特徴とする方法。
【0086】2.有機相:水相の容量比が約3:1−約
1:3間であることを特徴とする上記1の方法。
【0087】3.非−アセテート緩衝液の濃度が1リッ
トル当たり0.005−0.5モル間、好適には1リット
ル当たり0.01−0.2モル間であること、並びに緩衝
液溶液のpHが3−6間、好適には約4−約5.5間で
あることを特徴とする上記1または2の方法。
【0088】4.緩衝液をサイトレート、スクシネー
ト、グルタメートおよびフタレート緩衝液からなる群よ
り選択することを特徴とする上記3の方法。
【0089】5.シアン化水素の該有機溶媒中の溶液を
ヒドロキシニトリルリアーゼの該均質緩衝溶液および該
カルボニル化合物に連続的に加え、その後に、このよう
にして得られる二相反応系を反応期間中に適度に混合す
ることを特徴とする上記4の方法。
【0090】6.有機溶媒をジ(C1−C6)アルキルエー
テル類、(C1−C5)カルボン酸−(C1−C5)アルキルエ
ステル類、ジ(C1−C5)アルキルケトン類、(C4−C8)
脂肪族アルコール類、およびこれらの溶媒類同士のまた
は極性希釈剤との混合物からなる群より選択することを
特徴とする前記のいずれかの項に記載の方法。
【0091】7.有機溶媒をジエチルエーテル、ジ−n
−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジ−
n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、メチル
−t−ブチルエーテル、酢酸n−プロピル、酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、異性体状酢酸ブチル類、異性体
状酢酸アミル類、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、並びにこれらの溶媒類同
士のまたは芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類および
塩素化された芳香族もしくは脂肪族炭化水素類から選択
される極性希釈剤との混合物から選択することを特徴と
する上記6の方法。
【0092】8.有機溶媒を酢酸n−プロピル、酢酸イ
ソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸セ
カンダリー−ブチルおよび酢酸アミルから選択すること
を特徴とする上記7の方法。
【0093】9.該有機溶媒中の該カルボニル化合物の
濃度が5重量/容量%より高いことを特徴とする上記
6、7または8の方法。
【0094】10.反応期間後に水相を有機相から分離
し、そして別の反応期間中に該水相をシアン化水素およ
び該カルボニル化合物の該有機溶媒中の新しい溶液と適
切に混合することにより少なくとも1回再使用すること
を特徴とする前記のいずれかの項に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ビブラント・テイ・ロース オランダ・ウエースプ・シージエイバンホ ウテンラーン36

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシニトリルリアーゼの均質水溶
    液、および水と少なくとも実質的に非混和性である適当
    な有機溶媒からなる二相溶媒系中での、アルデヒド類お
    よびケトン類から選択されるカルボニル化合物に対する
    シアン化水素の付加により、光学的に活性なシアノヒド
    リンを製造する方法において、該均質水溶液を1リット
    ル当たり0.005−0.1モル間の緩衝液濃度を有する
    アセテート緩衝液、または非−アセテート緩衝液を用い
    て緩衝すること、有機相:水性相の容量比が約5:1−
    約1:5間であること、並びにシアン化水素の溶液およ
    び該カルボニル化合物の該有機溶媒中の溶液を反応期間
    中にヒドロキシニトリルリアーゼの均質水溶液と適度に
    混合されることを特徴とする方法。
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