JPH05315092A - 荷電粒子エネルギー分布測定装置 - Google Patents

荷電粒子エネルギー分布測定装置

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JPH05315092A
JPH05315092A JP3116959A JP11695991A JPH05315092A JP H05315092 A JPH05315092 A JP H05315092A JP 3116959 A JP3116959 A JP 3116959A JP 11695991 A JP11695991 A JP 11695991A JP H05315092 A JPH05315092 A JP H05315092A
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JP
Japan
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plasma
ions
space
energy
charged particles
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JP3116959A
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Masaharu Tanaka
正治 田中
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直接、かつ効率的に荷電粒子のエネルギー分
布を測定できる装置を得る。 【構成】 プラズマ構成する荷電粒子のエネルギー分布
測定装置に円筒鏡型静電分光器、及び磁石を具備せしめ
る。

Description

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるの荷電粒子エネルギー分布測定
装置の主要部の概略を示す説明図である。
【図2】本発明で使用される円筒鏡型静電分光器の一例
を示す説明図である。
【図3】本発明で使用される円筒鏡型静電分光器を構成
する外円筒及び内円筒の説明図である。
【図4】本発明で使用される直交電磁界型質量分析器の
一例を示す説明図である。
【図5】本発明の荷電粒子エネルギー分布測定装置の具
体例を示す説明図である。
【図6】従来のラングミュアプローブ法の原理の概略を
示す説明図である。
【図7】従来のラングミュアプローブ法により得られる
電圧VP 対プローブ電流IP 曲線を示すグラフ図であ
る。
【符号の説明】
1 金属管 2 金属板 3 金属筒 4 外円筒 5 内円筒 6 可変直流電圧源 7 磁石 7’シールド材 8 磁界 9 電子コレクター 11 増幅器 11,12 直交電磁界型質量分析器 13,14 直流電源 15 検出器 16 ファラデーカップ 17 プラズマ流 18 ガスプラズマ 19 プラズマ反応容器 22 キャビティ 23 電磁石 24 窓材 25 マイクロ波 26 ベローズ管 27 真空配管 28 真空フランジ 29 高真空排気ポンプ 30 真空排気装置 31 プラズマ空間 32 プラズマ反応容器壁 33 金属導体 34 絶縁物 35 直流電圧源 36 電流計

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマを構成する荷電粒子のエネルギ
    ー分布測定装置において、該装置が円筒鏡型静電分光器
    及び磁石を具備することを特徴とする荷電粒子エネルギ
    ー分布測定装置。
  2. 【請求項2】 直交電磁界型質量分析器を具備すること
    を特徴とする請求項1記載の荷電粒子エネルギー分布測
    定装置。
  3. 【請求項3】 前記円筒鏡型静電分光器及び磁石、又は
    前記円筒鏡型静電分光器、磁石及び直交電磁界型質量分
    析器が細孔を有する壁により、ブラズマ空間から隔離さ
    れており、かつ該隔離された空間が電子及びイオンの移
    送に必要な高真空状態に保持され、さらに磁気遮蔽され
    ていることを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子
    エネルギー分布測定装置。 【発明の詳細説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、荷電粒子エネルギー分
    布測定装置に関し、さらに詳しくはプラズマ中の荷電粒
    子エネルギー分布を直接的かつ効率的に測定する装置に
    関する。 【0002】 【従来の技術】近年、弱電離プラズマをりようしたドラ
    イプロセスが盛んになり、プラズマ化学反応を利用して
    基板表面に機能性薄膜を推積させたり、表面加工処理を
    施すドライエッチング技術が開発されている。このよう
    なプラズマプロセシングにおいては、作製した薄膜の組
    成や結晶性、加工した表面の状態などについての再現性
    が乏しく、プロセスの制御性を困難にしていた。この理
    由としては、利用するプラズマと気相粒子との化学反
    応、プラズマと基板固体表面との相互作用がよく理解さ
    れていない現状に加え、生成したプラズマの粒子密度や
    粒子エネルギー分布などのプラズマ特性についても未知
    の部分が多く残されていることなどが挙げられる。 【0003】プラズマの諸特性値は、プラズマ反応容器
    内の圧力、プラズマ生成用ガスの組成、プラズマ励起エ
    ネルギーなどの装置操作上の条件に依存し、さらにプラ
    ズマの諸特性は作製される薄膜の組成、構造、表面状
    態、加工効率などに大きく関与すると考えられる。プラ
    ズマ化学反応においては、プラズマ中の荷電粒子や中性
    励起粒子と、気相状態の他の粒子や基板固体表面との相
    互作用が複雑に起こっている。したがってプラズマの状
    態やプラズマ化学反応前後の様子すなわち反応課程に関
    わる分子、原子の挙動を知ることはきわめて重要であ
    る。 【0004】プラズマプロセシングにおいて、プロセス
    の再現性や加工効率を高めるには装置操作上のマクロス
    コピックな条件だけでは本質的な解決には至らず、プラ
    ズマの特性を所望の形態に効率よく制御するためにプラ
    ズマ中の荷電粒子の種類やそのエネルギー分布に関する
    知見が要求される。従来では、プラズマ中の電子エネル
    ギー分布がラングミューアプローブ法を応用して調べら
    れていたに過ぎない。しかし、最近のプラズマプロセシ
    ングにおいては、プラズマ用ガスとして水素、酸素、ハ
    ロゲンなどのガスが薄膜の気相合成や表面加工のために
    使われており、正イオンと共に負イオンの役割りも重要
    視されるようになってきた。このように電子のみならず
    正、負イオンの種類(イオン種)やそのエネルギー分布
    を知ることはプラズマプロセス制御性をミクロスコピッ
    クに捉えるために必要不可欠である。 【0005】プラズマ特性を表わす物理量の変化を即座
    に検出し、プラズマ状態を診断する簡単な方法としてラ
    ングミュアプローブ法が知られており、この方法につい
    てたとえば特開平1−95495号にみられるように種
    々の改良がなされている。 【0006】前記ラングミュアプローブ法を弱電離プラ
    ズマに適用する場合の原理の概略を図6に示す。プラズ
    マ空間31にそう入された金属導体33は、プラズマ反
    応容器の壁32とは絶縁物34によって電気的に絶縁さ
    れている。金属導体33には可変直流電圧源35によっ
    て、ある基準電位に対して正または負の電圧VP を印加
    する。このとき、金属導体33の電位の変化に従ってプ
    ラズマ空間31から電流IP (以下プローブ電流とい
    う)が流入し電流計36によって計測される。 【0007】VP に対応するIP の特性は図7に示され
    る。得られたIP はプラグマ空間から流入する電子ある
    いきイオン、または両者が重畳した電流であり、電流−
    電圧特性は図7に示されるように特徴的な三つの領域
    (A),(B),(C)に分けられ、JP を構成する主
    要素に従ってそれぞれ、(A)イオン電流飽和領域、
    (B)電子電流流入領域、(C)電子電流飽和領域に分
    けられる。この特性曲線を解析することにより、プラズ
    マ空間電位VS 浮動電位Vf 、電子温度Te が求めら
    れ、さらにデバイ長λD などのプラズマパラメータが計
    算で求められる。また、電子電流特性から電子エネルギ
    ー分布関数f(V)を求めることができる。f(V)は
    Vの関数でV=VP −VS である。 【0008】上記のようなラングミュアプローグ法で
    は、プローグ電流IP はVP の値に従って流入する電子
    とイオンとが混在したものであり、プローブ電圧が負の
    領域においては電子による電流とイオンによる電流が重
    畳して、測定い得られるのは電子電流Ie とイオン電流
    i との代数和であるIP である。したがって、電子電
    流特性を解析する場合には、実測で得られるIP に適当
    な補正を施してIe を推定する必要がある。なお、図7
    の曲線で実線はIP (実測値)、破線はIe を示す。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
    来行なわれてきたラングミュアプローグ法には下記のよ
    うな問題点があり、これら問題点の解決が望まれてい
    た。 【0010】1) 従来のラングミュアプローグ法で
    は、プラズマ空間中に金属導体をそう入し、導体に電圧
    を印加してプラズマから流入する荷電粒子を電流の形で
    得ることにより、導体の電位に従って、その近傍に電子
    鞘(電子シース)あるいはイオン鞘(イオンシース)が
    形成される。プラズマから流入する荷電粒子はこのシー
    スの状態によって敏感に影響を受け、さらに電子とイオ
    ンの質量の差異によって電子による電流特性とイオンに
    よる電流特性が相互に干渉する結果となり解析を困難な
    ものにしている。これは、導体に電圧を印加して電子、
    イオンという荷電粒子を直接取り込む限りは避けられな
    い欠点である。 【0011】一方、プラズマ空間では荷電粒子があるエ
    ネルギーをもって運動しており、エネルギー分布を有し
    ている。弱電離プラズマでは粒子のエネルギー分布はマ
    ックスウェル分布か、もしくはそれに近似した分布をも
    っていると考えられる。従来のラングミュアプローブ法
    では、電子エネルギー分布関数は電子電流特性の二次微
    分係数を求めることによって解析する。いわゆるドライ
    ブスタイン法によって求められていた。 【0012】前記方法は、イオン鞘に生ずる負電界に応
    じて電子を選択的に捕集するものであるが、イオンに対
    してはこの方法でエネルギー分布を求めることはできな
    かった。一般に、弱電離プラズマにおいては電子温度は
    イオン温度に比べて格段に高く、ラングミュアプローブ
    法で得られるイオンの電流−電圧特性は電子のそれと比
    較して飽和電流が小さい。したがって、従来のプローブ
    法によってプラズマイオンの特性を解析しようとすると
    誤った情報を得るおそれがある。プラズマプロセシング
    において利用されるガスプラズマでは、電子のエネルギ
    ー分布を知りこれを制御すると共に、とくにイオン密度
    が大きく、そのイオンの物理、化学的作用を用いる反応
    系ではイオンのエネルギー分布に関する知見も必要とな
    る。このため、例えば「プラズマ基礎化学」(堤井:内
    田老鶴圃)P.191 )に示されるように、磁界中において
    は電子とイオンのラーマー半径が異なることによる差を
    利用して両者を分離捕捉する方法が考案され、イオンセ
    ンシティブプローブ法と呼ばれている。 【0013】これによって得られたイオン電流特性から
    イオン温度が求められる。同様に、特開昭63−248
    100号に開示されるように磁石により発生する磁界で
    プラズマ中の電子を偏向させ負イオンのみを選択的に取
    り込みそのプローブ電流を計測する方法がある。また、
    特開昭63−257199号に開示されるように、負イ
    オンによるプローブ電流を計測回路の手法により解析し
    負イオンの密度、温度、エネルギー分布などの特性が検
    出できる。 【0014】しかし、これらの方法ではイオン電流の計
    測によって電流−電圧特性を得るもので、複雑な計測回
    路や解析手段を用いることになり煩雑である。このよう
    に、プラズマ粒子のエネルギー分布は電流−電圧特性か
    ら間接的に解析する以外になかった。 【0015】2) プラズマプロセシングにおいて、プ
    ラズマ化学反応に利用されるガスは一種類とは限らず、
    プラズマ内には複数種の正負イオンが存在している。そ
    の中で主役を演ずるイオンのエネルギー分布を調べた
    り、複数のイオン種のエネルギー分布を個別に調べよう
    とする場合には、従来のプローブ法ではイオン電流が全
    イオン種について一括して得られることになるため、特
    定のイオン種に着目した知見は得られなかった。 【0016】3) 従来のプローブ法では、金属導体を
    直接にそう入し電子またはイオンを捕集するため、金属
    導体表面には、プラズマ化学反応による反応生成物が付
    着し表面状態が変化する結果、長時間の測定では実用上
    問題があった。 【0017】例えばプラズマCVDの場合、シランプラ
    ズマを扱う系では導体表面に非晶質シリコン膜が付着し
    導体の導電率が時間的に変化して電流−電圧特性が変化
    する。細孔(オリフィス)を設けた半密閉型のプローブ
    構造にした場合でも、細孔の目づまりや内部の汚染によ
    る真空度の低下によって得られる電子電流、及びイオン
    電流が低下したり変動するおそれがあった。 【0018】本発明は上記問題を解決しようとするもの
    であり、その第1の目的は、電子、正負イオンのエネル
    ギー分布特性を直接的かつ効率的に求めることが可能な
    荷電粒子ネルギー分布測定装置を提供することにある。 【0019】本発明の第2の目的は、プラズマ励起イオ
    ンに関する個別のイオン種の同定を行なうことが可能な
    荷電粒子エネルギー分布測定装置を提供することにあ
    る。 【0020】本発明の第3の目的は、外部磁界の影響を
    受けることなく正確な測定の可能な荷電粒子エネルギー
    分布測定装置を提供することにある。 【0021】 【発明を解決するための手段】本発明の前記目的は下記
    手段により達成される。すなわち、本発明の荷電粒子エ
    ネルギー分布測定装置は、円筒鏡型静電分光器及び磁石
    を具備することを特徴とする。ここで、前記本発明の荷
    電粒子エネルギー分布測定装置は、少なくとも一種の気
    体を用いてプラズマ生成し、該プラズマの物理的、及び
    化学的作用によりプラズマエッチング、プラズマCVD
    (化学蒸着)、反応性蒸着等を行なうプラズマ処理装置
    の一部をなす、粒子エネルギー分析のためのプローブ装
    置である。 【0022】前記円筒鏡型静電分光器は、プラズマを構
    成する荷電粒子をエネルギー的に選別するものであり、
    これによりプラズマ空間に存在する電子、正負イオンの
    有するエネルギーを分析することが可能となる。 【0023】前記磁石は、同一符号電荷をもつ電子と負
    イオンとを磁界中の偏光を利用して分離する機能を有す
    る。 【0024】また、前記荷電粒子エネルギー分布測定装
    置は、直交電磁界型質量分析器を具備することが好まし
    い。該直交電磁界型質量分析器により、前記円筒鏡型静
    電分光器によって選別され通貨する正負イオンのうち、
    特定質量数をもつイオンを選択的に捕捉することが可能
    となる。 【0025】さらに、本発明の荷電粒子エネルギー分布
    測定装置は、前記円筒鏡型静電分光器及び磁石、また前
    記直交電磁界型質量分析器をプラズマ空間から隔離する
    ための壁を有することが好ましい。該壁は、前記プラズ
    マ空間から電子、及び正負イオンを取り込むための細孔
    を有している。また、該壁により前記プラズマ空間より
    隔離された空間は、電子やイオンの移送に必要かつ十分
    な高真空状態に保持されること、さらに外部磁界の影響
    から免れるため磁気しゃべされていることが好ましい。 【0026】次に、本発明の荷電粒子エネルギー分布測
    定装置を図面により説明する。図1は本発明の主要部分
    の概略を示したものである。グロー放電、ECR放電な
    どによって生成したプラズマが存在する空間とは金属管
    1により隔離された空間がある。金属管1の先端には直
    径5mmの穴があり、さらにこれに接離可能でかつ真空
    シール可能な金属板2が取り付けられている。金属板2
    の中心には直径0.5mm程度の細孔がありオリフィス
    を形成している。他の直径の細孔を有する金属板で代替
    することもできる。1、2は磁気シールド材料、例えば
    ミューメタルで作られた金属筒3で囲まれており、プラ
    ズマ空間に接するところでは開口した構造になってい
    る。4、5は図2の構成で示される円筒鏡型静電分光器
    を構成する金属円筒であり、4を外円筒、5を内円筒と
    呼び、それぞれ図3に示される外形をもつ。 【0027】前記円筒鏡型静電分光器(Cylindrical Mi
    rror Type Electrostatic Analyzer=CMA)は同軸円
    筒静電界を利用して荷電粒子のエネルギー分析を行な
    う。6は外円筒4と内円筒5の間に電圧V1 を印加する
    ための可変直流電圧源である。負の電荷をもつ荷電粒子
    に対しては外円筒4は内円筒5よりV1 だけ低い電位と
    し、正の電荷をもつ荷電粒子に対しては外円筒4は内円
    筒5よりV1 だけ高い電位にして静電場を作るため、直
    流電圧源6は極性が容易に切り換えられるものを使う。 【0028】内円筒5は、図3に示されるように荷電粒
    子の軌道上にスリットが2ケ所設けられている。プラズ
    マ空間から金属管1で隔離された空間内は高真空に真空
    排気され、荷電粒子が残留原子(分子)と衝突すること
    なく充分な平均自由行程が確保されている。金属管1で
    囲まれた空間はプラズマ空間より圧力が低く、例えばプ
    ラズマ空間が10-3Torr程度の圧力になっている場合,
    金属管1内は10-6〜10-7Torrに維持される。このよ
    うに差動排気法によって分けられた空間の圧力差によっ
    て, プラズマ空間の荷電粒子は金属板2の細孔を通り,
    円筒鏡型静電分光器に入る。 【0029】図2の位置Pにある荷電粒子は円筒軸とα
    なる角度をなす中心軌道を描き内円筒5のスリットを通
    り、4と5で作られる静電界の反射作用を受け、再び内
    円筒のスリットを通って軸上の位置Qで収れんする。 【0030】図2に示されるように、内円筒の半径を
    a、外円筒の半径をb、PQ間の距離をLとし、α=42
    °18.5’, L=6.12aなる条件で円筒鏡型静電分光器を
    構成すると、荷電粒子のエネルギーをε[ev]、印加
    電圧をV1 [V]とする場合、下記[数1] 【0031】 【数1】 で示される関係がある。[数1]より印加電圧V1に従
    い異なるエネルギーをもつ荷電粒子をPからQへ導くこ
    とができエネルギー分析が可能である。異なる符号をも
    つ荷電粒子に対してはV1 の極性を反転させる。 【0032】次に、円筒鏡型静電分光器の位置Q(図
    2)を通り抜けた荷電粒子は、図示されていないコリメ
    ート電極によってその運動方向が軸方向にそろえられ、
    磁石7によって発生された均一磁界中に入る。磁石7は
    軸(Z方向)と直角をなす方向の均一磁界(一様な磁界
    8)を発生し、その磁束密度をB1 とする。磁石7の外
    側は電磁界をしゃ断するためのシールド材7’で囲まれ
    ている。磁石の内側には円筒形の非磁性金属材で構成さ
    れた電子コレクター9が配置されている。 【0033】[数1]から、円筒鏡型静電分光器によっ
    てエネルギー的に選別された荷電粒子が均一磁界8に入
    ると、荷電粒子は磁界によって、次式[数2]で示され
    る力を受ける。 【0034】 【数2】f=qvB1 [数2]中qは荷電粒子の電荷、vは速度、B1 は均一
    磁界の磁束密度である。[数2]によって荷電粒子は磁
    場に垂直な綿内(X−Z面)では等速円運動を行なう。
    磁界B1 が荷電粒子に及ぼす力は常に速度に垂直なの
    で、fの行なう仕事はOである。すなわち、磁界中の荷
    電粒子の運動エネルギーは一定で、速度の方向は変化す
    るが速さ(速度の大きさ)は一定である。円運動の半径
    をrとすると、 qvB1 =mv2/r
    であるから 【0035】 【数3】 ただし、qは荷電粒子の電荷量(符号とは無関係) [数3]のrはいわゆるラーマー半径である。[数2]
    より荷電粒子の運動を比べると、同一エネルギーをもつ
    電子とイオンについては、その質量の大きさの相異を考
    慮しても、ラーマー半径に3桁程度の相異がある。例え
    ば、電子と窒素原子イオンを比べると、同一エネルギー
    をもつ場合について計算すると、質量を考慮しても電子
    のラーマー半径はイオンの1,000分の1程度にな
    る。 【0036】すなわち均一磁界B1によって電子は運動
    方向とは垂直の方向(y方向)にらせん運動を受け、進
    行方向に対して大きく偏向される。その結果、周囲に配
    置された電子コレクター9に捕集される。一方、大きく
    ラーマー半径で均一磁界8を通り抜けた、正または負の
    電荷をもつイオンは、図示されていないコリメーター電
    極(円孔スリットで構成される)を通り11、12で構
    成される直交電磁界型質量分析器に入る。 【0037】直交電磁界型質量分析器(以下、ウィーン
    フィルターという)は図4で示されるように、均一磁界
    Bを発生させる電極11と均一電界Eを発生させる電極
    12で構成され、それぞれ静磁界を発生させる直流電源
    13と、静電界を発生させる直流電源14が接続されて
    いる。11、12で囲まれた空間は均一磁界Bと均一電
    界Eが直交する場であり、磁界と電界の向きは図4のよ
    うに荷電粒子の入射する向きをZ軸とすると電界はX
    軸、磁界はy軸の図示された向きである。Z軸方向に入
    射した荷電粒子はその速さをvとすると、磁界によりq
    vBの力を受け、電界によりqEの力を受け、両者の力
    は反対の向きである。両者の力を等しいとおくとE=v
    0 よってv=E/Bなる速さで荷電粒子は軸上(Z
    軸)をドリフトする。これはローレンツ力 【0038】 【数4】 による運動方程式 【0039】 【数5】 を解くことによって説明でき、ドリフトする向きは荷電
    粒子の電荷の正負に依らない。 【0040】前記作用によってウィーンフィルターでは
    直線路において荷電粒子ビームの質量分離を行なうこと
    ができる。すなわち、電場Eにより荷電粒子ビームを偏
    向し、着目する荷電粒子が直線軌道(Z軸)にくるよう
    磁場により戻す。質量分離はウィーンフィルター出口の
    質量分散により可能である。荷電粒子としてイオンを考
    えると、あるエネルギーεをもったイオンは電圧に換算
    してε=qV0 であり、イオンの質量をm0 とすると 【0041】 【数6】 【0042】[数6]よりイオンのエネルギーを固定す
    ることにより、速度V0 、質量m0で決まる特定の速さ
    0 をもつイオンを直線路に通しV=V0 なるイオンは
    偏向されて軸上を通らないようにできる。ウィーンフィ
    ルター出口に円孔スリット(図示していない)を設けて
    特定の質量をもつイオンのみを通過して15で示される
    検出器でイオンを捕集する。 【0043】検出器15はファラデーカップあるいは二
    次電子増倍管を使用する。イオンのエネルギーを固定す
    る場合は、電界Eを一定して磁界の強さBを掃引するこ
    とにより質量スペクトルを得ることができる。電界Eを
    変えることにより、同様にして異なるエネルギーをもつ
    イオンを質量分離する。 【0044】上記のように、プラズマ中の荷電粒子を円
    筒鏡型静電分光器でエネルギー選別し、均一磁界中のラ
    ーマー半径の差を利用して電子とイオンを分離したの
    ち、特定のエネルギーをもつイオンを質量分離して一連
    の動作が完成される。10は電子コレクター9で捕集さ
    れた電子電流を増幅する増幅器、16はファラデーカッ
    プ、または二次電子増倍管で得られた質量スペクトル信
    号を増幅する増幅器である。 【0045】図5に本発明の装置の具体的な使用例を示
    す。21はプラズマを利用して薄膜作製などを行なうた
    めのプラズマ反応容器であり、29はクライオポンプな
    どの高真空排気ポンプである。22は弱電離プラズマを
    電子サイクロトロン共鳴法により発生させるためのキャ
    ビティである。キャビティの外側には磁界発生用の電磁
    石23が配置され、石英からなる窓材24を介してキャ
    ビティ内にマイクロ波25が投入される。キャビティ内
    には図示されていないがプラズマ生成用ガスが導入さ
    れ、ガスプラズマ20が励起される。本発明に示された
    円筒鏡型静電分光器、磁石、ウィーンフィルターはオリ
    フィスを有する金属管1によってプラズマ空間とはしゃ
    断され、さらにその外側を磁気シールドの金属筒3に囲
    まれ外部磁界をしゃ断している。 【0046】金属管1と真空フランジ28で囲まれた空
    間は真空排気装置30によって1×10-5Torr以下に保
    たれ、オリフィスを用いることにより差動排気される。
    真空フランジ28は本発明の計測系を支持し電圧印加や
    信号の受け渡しを行なうための真空フランジであり、フ
    レキシブルなベローズ管26によって、計測系をプラズ
    マ空間20に近づけたり角度を変更することができる。 【0047】27は、計測系を支持する真空フランジ2
    8を接続し、差動排気を行なうための空間を金属管1に
    よって分けるための真空配管である。オリフィスを有す
    る金属管1内の計測系は、プラズマの物理・化学的作用
    を利用して薄膜作成や加工を行なうための基板ホルダー
    (図示されていない)に位置し、プラズマ空間中のエネ
    ルギー粒子を取り込み、計測、分析を行なう。なお、前
    記図1〜図5で同一番号で示されるものは同一のものを
    示す。 【0048】 【発明の効果】本発明の荷電粒子エネルギー分布測定装
    置は、下記効果を持ちたらすことが明らかとなった。 (1)プラズマ中の電子、正負イオンなどのエネルギー
    粒子を捕捉し、そのエネルギー分布を求めるにあたっ
    て、円筒鏡型静電分光器を用いることにより荷電粒子を
    それが持つエネルギー別に選択して捕捉することによ
    り、エネルギー分布関数を直接的に求めることができ
    る。また、同一電荷符号をもつ電子と負イオンとを、均
    一磁界中のラーマー半径の差を利用して両者分離捕捉す
    ることにより同一の検出プローブによって、エネルギー
    分布特性を得ることができる。これによって従来のラン
    グミュアプローブやそれに類するプローブ法ではなし得
    なかった電子、正負イオンのエネルギー分布特性を同一
    プローブによって効率的に求めることができ、複雑な計
    測回路や解析方法が簡略化できる。ラングミュアプロー
    ブなど従来の方法では電子に関する情報が主体を占めて
    いたが本発明によって電子の特性に関しようされること
    なくイオンに関する情報が与えられる。 【0049】(2)プラズマ中の電子、正負イオンのう
    ち、円筒鏡型静電分光器と均一磁界によってエネルギー
    的に選別された正負イオンを、その質量電荷比すなわち
    質量数ごとに分離捕捉する直交電磁界型質量分析器(ウ
    ィーンフィルター)を用いることにより、同一速度、す
    なわち同一エネルギーをもつイオン種を同定し、このイ
    オン種ごとのエネルギー分布特性を求めることがてき
    る。従来のプラズマプロープや同類の方法ではエネルギ
    ー的に選別されたイオン種を同定することは全く不可能
    である。プラズマプロセングにおいて数種のガスを用い
    て生成したプラズマについては本発明の方法を用いるこ
    とにより初めて、個別のプラズマ励起に関するイオン種
    の同定を行なうことができる。 【0049】(3)プラズマを利用する処理装置におい
    ては、反応性プラズマの利用が進んでおり、従来のプラ
    ズマプローブ(ラングミュアプローブ)法では、プラズ
    マ空間に直接プローブ電極をそう入するため電極表面の
    変化によりプローブ特性が変化していた。また、膜の付
    着などにより導電率が変化し継続的にプローブ特性が得
    られなかった。さらに細孔を設けて密閉した形のプロー
    ブでも、内部が残留分子で満たされ、電子やイオンに干
    渉して正確な測定ができなかった。本発明では、プラズ
    マ空間から計測系を隔離して高真空状態に保持する。い
    わゆる差動排気方法によって不要な原子、分子を除去し
    て電子イオンの飛程を十分大きくすることができ、正確
    な測定を行なうことができる。プラズマ空間の粒子は差
    圧によって計測系内に取り込まれるが、該計測系を磁気
    シールドでしゃへいすることにより外部磁界の影響を受
    けることなく電子、イオンの検出を行なうことが可能で
    ある。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111403056A (zh) * 2020-03-31 2020-07-10 中国科学院合肥物质科学研究院 一种适用于磁约束等离子体的快电子测量探针系统

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CN111403056A (zh) * 2020-03-31 2020-07-10 中国科学院合肥物质科学研究院 一种适用于磁约束等离子体的快电子测量探针系统

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