JPH05310580A - 眼内灌流用液剤 - Google Patents

眼内灌流用液剤

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JPH05310580A
JPH05310580A JP11155292A JP11155292A JPH05310580A JP H05310580 A JPH05310580 A JP H05310580A JP 11155292 A JP11155292 A JP 11155292A JP 11155292 A JP11155292 A JP 11155292A JP H05310580 A JPH05310580 A JP H05310580A
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corneal
perfusion
intraocular
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test
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Takeo Obara
健男 小原
Toshijiro Yamaguchi
敏二郎 山口
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 分子量20万〜250万のヒアルロン酸また
はその生理学的に許容される塩を、液剤当り0.05〜
0.2重量/容量%含んでなる眼内灌流用液剤。 【効果】 従来の眼内灌流用液剤にヒアルロン酸または
その生理学的に許容される塩を含めることにより、灌流
を通じて生じると考えられる角膜の膨潤を抑制すると共
に、当該液剤の灌流時のpH上昇を抑制することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼内灌流用液剤に関
し、特にヒアルロン酸またはその生理学的に許容される
塩を含んでなる眼内灌流用液剤に関する。さらに詳しく
は、眼科手術時に角膜を保護して膨潤を防止し、灌流時
のpH変動が少ない安全性の高い眼内灌流用液剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、白内障手術、人工水晶体挿入術、
硝子体手術など長時間の前房内あるいは硝子体腔内灌流
が必要とされる手術が発達し、広く行われている。眼内
灌流用液剤は、手術中絶えず手術部位付近の眼内組織に
接触し続けるため、眼内灌流用液剤の組成や性状の如何
によっては、それに対して一時的または永続的障害を与
えることが知られている。
【0003】眼内灌流用液剤が眼内の組織に与える障害
のうち重大なものとして注目されているのは角膜に対す
る障害であり、更に詳しくは、角膜内皮に与える障害で
ある。角膜内皮は眼球前部を形成する透明な膜である角
膜を構成する上皮、実質、内皮の3層のうちの最も内側
(前房側)の層であり、ほぼ六角形の形状をした単層の
角膜内皮細胞により形成されている。この角膜内皮は単
層の細胞に相当する厚みしかない薄い層ではあるが、角
膜全体の生理機能を維持するうえで、極めて重要な役割
を担っている。すなわち、角膜内皮細胞には、細胞間の
接合体の働きによって前房水からの水分の移動を減少さ
せる機能(バリアー機能)と角膜内皮の細胞膜に存在す
る酵素の働きによって過剰な実質内の水分を前房中に能
動的に汲み出すポンプ機能の二つがあり、この機能によ
り角膜の含水量および厚みが一定に保たれ、角膜の透明
性が維持されている。
【0004】角膜内皮細胞は角膜の生理状態の維持のう
えで上記したように極めて重要な役割を担っているにも
拘らず、眼内の他の組織の細胞に比べて手術に伴う機械
的刺激や眼内灌流用液剤による化学的影響に対して極め
て弱く、これらによって極めて容易に障害を起こして死
滅し、脱落する。しかも、ヒト等の霊長類の角膜内皮細
胞は、分裂増殖する能力を殆ど失っていることから、何
等かの原因によってそれらの細胞の一部が障害をうけて
死滅脱落した場合、その脱落部分は生存する角膜内皮細
胞の増殖によって補充されることは殆どなく、補充の大
部分は、脱落部分の周囲の細胞が拡大しつつ脱落部分に
進入して、その部位を覆うことにより行われる。角膜内
皮細胞の脱落があった場合には、こうして角膜内皮の連
続性は一時的に回復されるものの、角膜内皮細胞数が著
しく減少した場合には、それまで角膜内皮によって保た
れていた角膜の生理状態の維持が困難となり、不可逆的
な角膜混濁等の障害を生ずることが知られている。
【0005】このように、角膜内皮が障害されるとその
影響は恒久的であり、かつ角膜混濁等の重篤な症状とな
って発現するため、手術に使用する眼内灌流用液剤とし
ては、それ自身が角膜内皮の障害を引き起こす作用を持
つものでないことが最優先されるべき要件である。現
在、この要件を可能な限り満たすことを意図して開発さ
れ、実用に供されているものとしては、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウ
ム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナ
トリウムおよびブドウ糖を滅菌精製水に溶解したオペガ
ードMA(商品名、千寿製薬株式会社)、ならびに同様
の塩組成をもつビーエスエス(商品名 BSS、アルコ
ンラボラトリーズ インコーポレイテッド)および全体
的にはこれらの塩組成に酸化型グルタチオンが加えられ
たビーエスエス プラス(商品名 BSS−plus、
同インコーポレイテッド)等が挙げられる。
【0006】しかしながら、オペガードMAは角膜内皮
のバリアー機能維持の点で、BSSは角膜内皮の代謝機
能維持の点で問題があると考えられる(新家 真他:日
本眼科学会雑誌、第92巻、第127頁〜132頁、1
988年)。また、BSS−plusは、オペガードM
AやBSSに比べると房水の組成により近く、より角膜
内皮に与える影響が少ない眼内灌流用液剤である(松田
司他:眼科手術、第1巻、第113頁〜121頁、1
988年)が、製剤が2液より構成され、使用直前に2
液を合せる等の操作上の問題もあった。
【0007】さらに、多糖類の一種であるデキストラン
の分子量4万〜15万のものを1〜8重量/容量%含む
眼内灌流液も提案されている(特開昭59−10142
号公報)。しかしながら、この灌流液の処方中に含めら
れるデキストランは、血漿増量剤としてすでに使用され
てるとはいえ、元来生体外成分であり、アレルギー反応
を惹起する可能性のあることが指摘されている(A.W.Ri
chter ら:Immunol.Today, 3, 132 〜138 頁、1982) 。
また、眼科用に用いた場合、角膜内皮とデスメ膜の接着
を弱めたり、角膜内皮細胞の機能を低下させる等有害な
影響を与える可能性のあることも示唆されている(R.H.
Lindstrom ら:Br.J.Ophthalmol.,70, 47 〜54頁、198
6, E.Pelsら:Cornea, 3, 219〜227 頁、1984/1985)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記、既知の液剤は、
眼内灌流用としていずれもある程度の効果を奏するもの
の、上述のように内眼手術の中でも長時間の前房内また
は硝子体腔内の灌流が必要とされる手術が広く行われる
ようになったことから、眼内組織に対する障害が少ない
ことに加えて、pHの変動の少ない安全性の高い眼内灌流
用液が望まれている。従って、本発明の目的は長時間の
灌流に際し、眼内組織に対する障害がより軽減された眼
内灌流用液剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】眼内灌流用液剤は、その
化学組成が房水の化学組成に近いものほど角膜内皮細胞
に与える影響が少ないと考えられることから、ヒト房水
中の成分の中から、未だ眼内灌流用液剤に添加されてい
ない成分に着目した。すなわち、本発明者らは、従来の
眼内灌流用液剤に存する障害性を取り除く、若しくは顕
著に減少させることのできる物質を見い出すべく、強角
膜片の灌流による角膜膨潤速度の測定法(後記試験例1
および2に記載)を用いて、各種成分が角膜に与える影
響を測定することにより鋭意検討を重ねてきた。
【0010】その結果、房水の成分でもあり(岩田修造
編著:水晶体.その生化学的機構、第289〜296
頁、1986)、現在眼科手術補助剤として汎用されて
いるものの、術後前房内に残存すると眼圧の上昇をもた
らす懸念のあるヒアルロン酸ナトリウムを一定濃度で含
んでなる眼内灌流用液剤は、意外にも、かかる眼圧の上
昇をもたらすことなく、角膜障害の発生を抑制する作用
(角膜内皮保護作用)やpHの変動を低減する作用のある
ことを見い出し本発明を完成した。
【0011】従って、本発明によれば、ヒアルロン酸ま
たはその生理学的に許容される塩を含んでなる眼内灌流
用液剤が提供される。本発明で使用されるヒアルロン酸
は、遊離酸でもその生理学的に許容される塩の形でもよ
い。また、高純度で、混在する蛋白質やエンドトキシン
等の不純物質により細胞障害性を示さず、医療用として
支障をきたさないものであれば広く使用可能であり、そ
の由来も特に限定されない。具体的には、臍帯、硝子
体、鶏冠、微生物等から得られたヒアルロン酸が使用可
能である。なお、生理学的に許容される塩とは、造塩さ
れたヒアルロン酸が上述のような細胞障害性を示さない
ことをいう。そのため、かかる塩の種類は本発明の目的
に使用できるものである限り制限されないが、特に、本
発明の液剤に添加される他の成分との適合性を有するナ
トリウム塩またはカリウム塩の状態にあるものが好まし
い。
【0012】本発明では、分子量が20万〜250万の
ヒアルロン酸またはその生理学的に許容される塩を使用
できるが、分子量60万以上のものを使用するのが好ま
しい。これは、分子量が20万未満であると角膜の膨潤
を抑制する効果が十分でないことによる(後記試験例2
参照)。また、分子量60万未満では、ヒアルロン酸の
ような高分子物質の場合、その分子量分布が多分散性で
あることから、低分子量のヒアルロン酸が混在する可能
性が高いからである。
【0013】ちなみに、ヒアルロン酸と同じ多糖類であ
るコンドロイチン硫酸では、その分子量が1万以下であ
ると角膜の各組織中へ取り込まれてしまい、角膜移植用
の眼球保存液として用いた場合には移植後に角膜の膨化
を惹起せしめること(H.E.Kaufman,et al. : Am.J.Opht
halmol.,100, 299〜304,1985) から、コンドロイチン硫
酸を含有して成る角膜移植用のK−Sol保存液では分
子量1万以下のコンドロイチン硫酸はすべて除去されて
いる。かかる理由から、角膜と直接接する眼内灌流用液
剤にあっても低分子量の多糖類は用いないことが望まし
い。
【0014】使用するヒアルロン酸またはその生理学的
に許容される塩の液剤における濃度は、使用するヒアル
ロン酸の分子量によって至適濃度が変化するので限定さ
れないが、本発明の目的、すなわち角膜の膨潤を抑制
し、過剰に残存することにより眼圧の上昇をもたらさな
いためには、一般に、0.05〜0.2重量/容量%の
範囲内に調整するのがよい。それが0.05重量/容量
%未満では、角膜膨潤抑制効果が十分でなく(後記試験
例1参照)、また逆に0.2重量/容量%を越えると液
剤の粘度が上昇し、取り扱上の困難性も高まるからであ
る。
【0015】本発明の液剤は、本発明の特徴をなす上記
ヒアルロン酸またはその生理学的に許容される塩を含む
以外に、上述した既存の眼内灌流用液剤に含まれる成分
をそのまま、あるいは使用目的に応じてそれらの成分か
ら選ばれる1以上の成分を含めることができる。例え
ば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリ
ウム、クエン酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム等
の各種の電解質や、グルコース等の単糖類、グルタチオ
ンチおよびグルタチオンジスルフィド等のペプタイド
類、アデノシン等のヌクレオチドを配合することができ
る。
【0016】また、本発明の眼内灌流用液剤のpHは6〜
8の範囲にあることが望ましく、更に望ましくは7.0
〜7.5である。浸透圧は260〜310mOsmの範
囲に入るように調製されることが望ましく、275〜3
05mOsmの範囲に入るように調製されることが更に
望ましい。本発明の液剤は、例えば、注射用水に各成分
を個別にまたは数成分を同時に溶解した後合わせ、最後
に膜濾過などの常法によって滅菌することにより調製す
ることができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明を具体的な液剤に対する試験例
によりさらに詳細に説明するが、本発明をこれらの記載
に限定することを意図するものでない。製剤例1 下記の成分の所定量を注射用水に順次溶解し、塩酸にて
pHを7.2に調整した後、無菌濾過して眼内灌流用液剤
とした。
【0018】 組成(単位:mmol/l ) ─────────────────────────────── 塩化カルシウム 1.2 塩化ナトリウム 112.9 塩化カリウム 4.8 酢酸ナトリウム 4.4 クエン酸ナトリウム 3.4 グルコース 8.3 ヒアルロン酸ナトリウム(分子量180万) 0.05% 炭酸水素ナトリウム 25.0 ─────────────────────────────── 浸透圧296mOsm製剤例2 下記の成分の所定量を注射用水に順次溶解し、塩酸にて
pHを7.0に調整した後、無菌濾過して眼内灌流用液剤
とした。
【0019】 組成(単位:mmol/l ) ─────────────────────────────── 塩化カルシウム 1.2 塩化ナトリウム 112.9 塩化カリウム 4.8 酢酸ナトリウム 4.4 クエン酸ナトリウム 3.4 グルコース 8.3 ヒアルロン酸ナトリウム(分子量200万) 0.2% 炭酸水素ナトリウム 25.0 ─────────────────────────────── 浸透圧300mOsm 以下に本発明に係わる眼内灌流用液剤の角膜膨潤に対す
る保護作用ならびにpHの変動性に対する効果を示す。試験例1:角膜膨潤に対する保護作用(濃度の効果) 試 験 方 法 体重2.5〜3.0kgの成熟白色ウサギをペントバルビ
タール(ネンブタール:登録商標)〔大日本製薬〕の過
量投与にて屠殺後直ちに眼球を摘出した。S.Diksteinら
の方法(S.Dikstein,et al. : J.Physiol.,221, 29〜4
1,1972)に従いパーフュージョン チャンバーに強角膜
片を固定し、下記の被験液を用いて角膜内皮を灌流し
た。灌流には自動注入装置(KN204、夏目製作所)
を使用し、灌流液の温度は37℃、灌流速度は0.19
ml、灌流圧は15mmHgとした。角膜上皮側にはシリコン
オイル(信越化学工業)を満たし、角膜上皮側の乾燥を
防止した。角膜厚の測定はスペキュラーマイクロスコー
プ(コーナンクリニカルスペキュラーマイクロスコープ
・580、甲南カメラ研究所)およびそれに取り付けた
パコメーターを用いて30分間隔で4時間後まで行っ
た。なお、角膜厚の測定は5回行い、その平均値を各時
の角膜厚とし、その値の経時的変化より最小二乗法を用
いて回帰直線を求め、その傾きを角膜膨潤速度とした。
また、灌流終了時に角膜を観察し、その透明性を判定し
た。被験液 被験液としては、製剤例1に記載した眼内灌流用液剤、
製剤例1において添加するヒアルロン酸ナトリウムの濃
度を0.2%にせしめたもの(以下、製剤例1A)、製
剤例1において添加するヒアルロン酸ナトリウムの濃度
を0.01%にせしめたもの(製剤例1B)、製剤例1
においてヒアルロン酸ナトリウムを抜去せしめたもの
(対照例1)および対照例1において分子量7万のデキ
ストランを4%添加せしめたもの(対照例1A)を使用
した。なお、対照例の処方は従来の眼内灌流用液剤の一
つであるS−MA2(大鳥利文他:日眼会誌、第87巻、
第968〜973頁、1983)を基本とし、各処方例
とも6眼ずつ実施した。
【0020】試 験 結 果 試験結果は下記表1に示すごとく、ヒアルロン酸ナトリ
ウムを0.2%含んでなる製剤例1Aおよびヒアルロン
酸ナトリウムを0.05%含んでなる製剤例1は対照例
1あるいは対照例1Aと比較して明らかな角膜膨潤抑制
作用を有していた。しかしながら、ヒアルロン酸ナトリ
ウムを0.01%含んでなる製剤例1Bにおいては、対
照例1Aと比較してその角膜膨潤抑制作用は弱いもので
あった。また、灌流後の角膜は何れの処方においても透
明であった。本試験から明らかなように、ヒアルロン酸
ナトリウムを含んでなる製剤例は、対照例1あるいは対
照例1Aと比較して同等以上の効果を有しているが、顕
著な角膜膨潤抑制作用を示し得るためにはヒアルロン酸
ナトリウムの濃度は0.05%以上必要であった。
【0021】
【表1】
【0022】試験例2:角膜膨潤に対する保護作用(分
子量の効果) 試 験 方 法 試験方法は、試験例1と同様の方法で、体重2.5〜
3.0kgの成熟白色ウサギより摘出した眼球を用い、以
下に示す被験液の各処方例につき6眼ずつ実施した。被験液 被験液としては、製剤例1において添加するヒアルロン
酸ナトリウムの分子量が60万であるもの(製剤例1
C)、製剤例1において添加するヒアルロン酸ナトリウ
ムの分子量が20万であるもの(製剤例1D)、製剤例
1において添加するヒアルロン酸ナトリウムの分子量が
1万であるもの(製剤例1E)および対照例1および対
照例1Aを使用した。
【0023】試 験 結 果 試験結果は下記表2に示すごとく、眼内灌流用液剤に用
いるヒアルロン酸ナトリウムの分子量が高くなるほど、
その角膜膨潤抑制作用は強くなった。対照例1あるいは
対照例1Aより良好な角膜膨潤抑制作用を示す分子量は
20万以上で、さらに優れた角膜膨潤抑制作用は分子量
60万以上で認められた。
【0024】
【表2】
【0025】本試験結果から明らかなように、ヒアルロ
ン酸ナトリウムの分子量が高いほど角膜膨潤速度は遅
く、角膜内皮保護作用が強かった。これは、角膜内皮に
はヒアルロン酸ナトリウムの特異的結合部位があり、か
つ分子量の高いヒアルロン酸ナトリウムほど角膜内皮に
結合する力の強いことが報告されている(K.Madsen,eta
l. : Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,30,2132〜2137,198
9)ことから、高分子量のヒアルロン酸ナトリウムほど角
膜内皮に結合しやすく角膜内皮を保護する作用が強いた
めと推測された。試験例3:pHの変動に対する効果 試 験 方 法 製剤例2で得られた本発明の眼内灌流用液剤および製剤
例2においてヒアルロン酸ナトリウムを抜去せしめたも
の(以下、対照例2)を眼科手術時に用いる吸引・灌流
白内障手術装置(A.I.D.III 、イナミ)を用いて
25℃で3時間灌流した。なお、灌流に際しては口径
0.3mmの吸引チップを使用した。
【0026】試 験 結 果 試験結果は、下記表3に示すごとくで、対照例2におい
ては、3時間の灌流によりそのpHは7.70まで大幅に
上昇したが、製剤例2におけるpHは7.50までの上昇
にとどまり安定していた。
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明によって房水の成分の一つである
ヒアルロン酸ナトリウムを含有する安全性の高い眼内灌
流用液剤を提供することができる。この眼内灌流用液剤
は、前記試験例に示すとおり、角膜内皮細胞の機能障害
によって生じると考えられる角膜の膨潤を抑制すること
ができ、かつ眼内灌流用液剤のpHの変動を少なく押さえ
ることができる。従って、内眼手術において、本発明の
係わる眼内灌流用液剤を使用することにより、角膜内皮
障害の発生が防止されて角膜全体が健全な生理状態に維
持されることにより、内眼手術で不可避といわれる眼内
灌流に起因する眼内組織の障害を防止し、手術を従来よ
り安全なものとすることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒアルロン酸またはその生理学的に許容
    される塩を含んでなる眼内灌流用液剤。
  2. 【請求項2】 ヒアルロン酸またはその生理学的に許容
    される塩の分子量が20万〜250万であり、その濃度
    が前記液剤当り0.05〜0.2重量/容量%である請
    求項1記載の眼内灌流用液剤。
  3. 【請求項3】 pHが6〜8で、浸透圧が260〜310
    mOsmに調整された請求項1または2記載の眼内灌流
    用液剤。
JP11155292A 1992-04-30 1992-04-30 眼内灌流用液剤 Pending JPH05310580A (ja)

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