JPH05309224A - 酸素分離装置 - Google Patents

酸素分離装置

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JPH05309224A
JPH05309224A JP4117455A JP11745592A JPH05309224A JP H05309224 A JPH05309224 A JP H05309224A JP 4117455 A JP4117455 A JP 4117455A JP 11745592 A JP11745592 A JP 11745592A JP H05309224 A JPH05309224 A JP H05309224A
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JP
Japan
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oxygen
gas passage
magnets
gas
magnet
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Application number
JP4117455A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiro Motokawa
光博 本河
Mitsuyuki Sunose
満幸 須納瀬
Yoichi Murao
洋一 村尾
Toyohiko Masuda
豊彦 増田
Kunio Osaka
邦夫 大坂
Kazuaki Tsuda
一明 津田
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Kansai Electric Power Co Inc
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kansai Electric Power Co Inc
Kobe Steel Ltd
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Publication date
Application filed by Kansai Electric Power Co Inc, Kobe Steel Ltd filed Critical Kansai Electric Power Co Inc
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  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気等の混合ガス中からの酸素の分離効率を
高める。 【構成】 4以上の偶数個の磁石12を周方向に並べ、
かつ、これらの磁石12において中心に向かう側の磁極
が両隣の磁石12において中心に向かう側の磁極と異な
るように各磁石12を配置する。これらの磁石12で囲
まれた中心部分に、これらの磁石12の並び方向と直交
する方向に混合ガスを通過させるガス通路13を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気等の混合ガスから
磁力により酸素を分離する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、酸素は常磁性を有し、その磁化
率χ(20℃で106.2×10~6CGS電磁単位)は他の気体
に比べて特に大きい。しかも、他のほとんどの気体は反
磁性であり、また、その磁化率は非常に小さなものであ
る。従って、上記酸素の常磁性を利用することにより、
空気をはじめとする酸素含有ガスから酸素を磁力で分離
することが可能である。このような分離操作によって、
酸素濃縮ガスを低廉に得ることができ、石炭ガス化複合
発電や、微粉末燃焼発電の発電効率の向上等に寄与する
ことができる。このため、従来より混合ガス中から酸素
を磁気的に分離する手段が種々提案されている。
【0003】例えば、特開平1−157405号公報に
は、超電導材料により形成された磁石を容器内に収容
し、この容器内に空気を流すことにより、上記磁石の周
辺に空気中の酸素を磁力で集め、その後、上記酸素を加
熱してその常磁性を弱めることにより、酸素を磁石周辺
から引き離すようにしたものが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に示される装
置では、磁石を容器内に並べ、この容器内に空気を導入
することにより、磁石の周囲に一様に空気を流すもので
あるため、磁石により引き付けられる酸素は少なく、残
りの酸素はそのまま磁石を通過してしまう。従って、高
い効率で酸素を分離することは難しい。
【0005】また酸素は、上記のような常磁性を有する
といっても、その磁化率χは一般の磁性体(例えば鉄
等)と比べると小さく、従って、その分離を行うには非
常に強い磁界が必要である。このような磁界を得るた
め、上記公報に示す装置では超電導磁石を用いている
が、このような超電導磁石は高価であり、コスト高は免
れ得ない。また、超電導磁石を用いる場合でも、酸素分
離効率の向上を目指すには、より一層の磁界の改善が必
要である。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、空気等
の混合ガス中から酸素を高い効率で分離することができ
る酸素分離装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】酸素の磁化率をχ、磁場
の強さをHo 、磁場強さの勾配(以下、磁場勾配と称す
る。)をdHo/dxとすると、この磁場において単位
体積当たりの酸素に作用する磁気力Fは次の式で表され
る。
【0008】F=χ・Ho・(dHo/dx) 従って、上記磁場勾配dHo/dxもしくは磁場の強さ
Ho を高めることにより、混合ガス中から酸素を分離す
る力を強化することができる。
【0009】本発明は、このような点に着目してなされ
たものであり、酸素を含む混合ガス中から磁力により酸
素を分離する装置において、4以上の偶数個の磁石をそ
の両極が半径方向を向く状態で互いに離間させて周方向
に並べ、かつ、これらの磁石において中心に向かう側の
磁極が両隣の磁石において中心に向かう側の磁極と異な
るように各磁石を配置するとともに、これらの磁石で囲
まれた中心部分にこれらの磁石の並び方向と直交する方
向に上記混合ガスを通過させるガス通路を形成したもの
である。
【0010】ここで、「4以上の偶数個」とは周方向の
磁石の並び個数であり、ガス通路の長手方向について
は、各磁石を任意の個数に分割してもよい。
【0011】また、各磁石において半径方向外側を向く
磁極同士を磁性体からなる外側接続部材で接続すること
により、より好ましいものとなる(請求項2)。
【0012】また本発明は、酸素を含む混合ガス中から
磁力により酸素を分離する装置において、一対の磁石を
同じ磁極同士が互いに対向する向きに配置するととも
に、これらの磁石の間に、これらの磁石の並び方向と直
交する方向に混合ガスを通過させるガス通路を形成した
ものである(請求項3)。
【0013】さらに、各磁石とガス通路との間に、磁性
体からなり、ガス通路に向かうに従って断面積が減少す
る形状の磁束絞り部材を設けたり(請求項4)、各磁石
を超電導磁石で構成したり(請求項5)、上記ガス通路
の上流側に、このガス通路に導入される混合ガスを予冷
する予冷手段を設けたりすれば(請求項6)、より効果
的となる。混合ガスを予冷する場合には、上記磁石及び
ガス通路を収容する保冷容器を備え、この保冷容器にそ
の内部に混合ガスを導入するためのガス入口を設けると
ともに、上記ガス通路の入口部分を上記保冷容器の内部
に臨ませ、ガス通路の出口部分を保冷容器の外部に導出
する(請求項7)ことにより、後述のようなより優れた
効果が得られる。
【0014】また、ガス通路へのガスの出入構造につい
ては、上記ガス通路の一方の端部の中央に混合ガス入口
を設け、その径方向外側に酸素濃縮ガス出口を設けると
ともに、他方の端部の中央に酸素減損ガス出口を設け、
その径方向外側に混合ガス入口を設けたものが好適であ
る(請求項8)。
【0015】
【作用】請求項1記載の装置では、磁石で囲まれたガス
通路内に、その長手方向に沿って磁場が形成される。こ
の磁場の磁場勾配dHo/dxは、通路中心部で0、通
路周縁部で最大となり、この最大値は、単一の磁石の磁
極近傍における磁場勾配よりも非常に高い値となる。従
って、上記ガス通路内に集中して混合ガスを通すことに
より、このガス中の酸素を上記ガス通路の周縁部に高い
効率で集めることができる。
【0016】請求項2記載の装置では、上記装置の各磁
石において半径方向外側を向く磁極同士を磁性体からな
る外側接続部材で接続しているので、各磁石及び外側接
続部材によって磁気回路が形成され、これによって、磁
場が外部に漏れることが防がれる。
【0017】請求項3記載の装置においても、互いに対
向する磁石の間には、磁場勾配が中心部で0、磁石近傍
で最大値となる磁界が形成されるので、これらの磁石の
間に形成されたガス通路内に集中して混合ガスを通すこ
とにより、酸素を効率良く集めることができる。
【0018】さらに、請求項4記載の装置では、ガス通
路と磁石との間に設けられた磁束絞り部材により、各磁
石からガス通路に向けて磁束が絞られ、ガス通路近傍の
磁束密度が高められる。これに伴い、ガス通路内の磁場
の強さも高まり、混合ガス中から酸素を集めるための磁
気力はより強化される。
【0019】請求項5記載の装置では、超電導磁石によ
って強力な磁場を形成することができる。
【0020】請求項6記載の装置では、ガス通路への導
入前に混合ガスを予冷し、その温度を下げておくことに
より、混合ガス中の酸素の磁化率χを高めることがで
き、これにより、酸素に作用する磁気力を高めることが
できる。
【0021】さらに、請求項7記載の装置では、予冷し
たガスを保冷容器内に導入することにより、この保冷容
器内にある磁石を他の冷却手段を用いずに冷却すること
ができ、このように磁石の温度を下げることにより、酸
素の磁化率χをさらに高めることができる。
【0022】請求項8記載の装置では、ガス通路の双方
の端部から混合ガスが導入されることにより、ガス通路
内には対向流が形成される。すなわち、磁力による酸素
分離でガス通路の周縁部に生成された酸素濃縮ガスは、
ガス通路の一方の端部の酸素濃縮ガス出口から回収さ
れ、中央部に残った酸素減損ガスは、他方の端部の中央
に設けられた酸素減損ガス出口から通路外へ導出される
ことになり、ガス通路の一方の端部には混合ガス(原料
ガス)と酸素濃縮ガスとが併存し、他方の端部には酸素
減損ガスと混合ガス(原料ガス)とが併存する。従っ
て、ガス通路のどの地点においても、互いに併存するガ
ス同士の濃度比は小さくなる。
【0023】
【実施例】本発明の第1実施例を図1〜図4に基づいて
説明する。
【0024】図1,2において、10は水平方向のガス
通路13を内部に形成するガス通路管であり、このガス
通路管10は、ステンレス鋼等の非磁性材料で形成され
ている。このガス通路管10の周囲には、永久磁石から
なる6個の磁石12が、上記ガス通路管10の長手方向
と直交する周方向に並べて配設されている。各磁石12
は、上記ガス通路管10と平行な水平方向に延びる板状
をなし、そのNS両極が半径方向を向く状態で配置され
ており、しかも、任意の磁石12において上記ガス通路
管10側に向く磁極が、この磁石12の両隣の磁石12
において上記ガス通路管10側に向く磁極と異なるよう
に、各磁石12の向きが設定されている。すなわち、各
磁石12のうちN極がガス通路管10側を向く磁石12
の隣には、S極がガス通路管10を向く磁石12が存在
するように各磁石12が配置されている。
【0025】なお、各磁石12の具体的な材質は問わな
いが、なるべく強い永久磁石を用いることが望ましい。
具体的には、ネオジム磁石(ネオジム・鉄・ボロン磁
石)、サマリウム磁石(サマリウム・コバルト磁石)、
アルニコ磁石(アルミニウム・ニッケル・コバルト磁
石)、フェライト磁石(酸化鉄磁石)等が好適である。
【0026】各磁石12とガス通路管10との間には、
ヨーク(磁束絞り部材)14が配設されている。各ヨー
ク14は、各磁石12からガス通路管10に向かうに従
って断面積が減少するくさび状(この実施例では略三角
柱状)に形成されている。このヨーク14は、磁束の通
り易い磁性体であれば良く、その具体的な材質として
は、軟鉄(純鉄を焼き鈍ししたもの)や鉄・コバルト合
金等が好適である。
【0027】各磁石12同士及びヨーク14同士は互い
に離間しており、その間にはスペーサ16が介設されて
いる。このスペーサ16は、非磁性のものであれば良
く、ベークライト等の合成樹脂や、ステンレス鋼等の金
属、セラミックス、木材等からなるものが適用可能であ
る。
【0028】上記磁石12、ヨーク14、及びスペーサ
16は、鉄等の磁性体で形成された大内径の外管(外側
接続部材)11内に充填されており、外管11の内周面
と各磁石12の外周面との間には、同じく鉄等の磁性体
で形成された接続部材(外側接続部材)18が嵌入され
ている。各接続部材18は、磁石12の外側面と密着可
能な平面状の内周面と、外管11の内周面と密着可能な
円筒面状の外周面とを有しており、これら接続部材18
と上記外管11とにより、各磁石12において半径方向
外側を向く磁極同士が互いに接続された状態となってい
る。
【0029】前記ガス通路管10の入口側(図2では左
側端部)には、フィルタ20、ファン22、及び温度調
節器(予冷手段)24が直列に接続されている。温度調
節器24は、液化天然ガスの冷熱利用等により、ガス通
路管10内に導入される空気を一定の温度まで予冷する
ものである。ガス通路管の出口側(右側)端部は終端壁
25で塞がれており、その直手前の外周壁からは、径方
向に酸素濃縮空気導出管10aが分岐している。上記終
端壁25には、これを貫通するようにして酸素減損空気
導出管26が着脱可能に装着されている。
【0030】また、上記外管11や、この外管11内の
充填物、すなわちガス通路管10や磁石12等は、図外
の冷却手段で上記温度調節器24による予冷温度と同等
の温度まで冷却されるようになっている。
【0031】次に、この装置の作用を説明する。
【0032】まず、ファン22の作動により、原料空気
がフィルタ20を通って温度調節器24内に導入され、
この温度調節器24で一定温度まで予冷された後にガス
通路管10内に導入される。
【0033】このガス通路管10内では、上記6個の磁
石12によって磁場が形成される。図3は、上記磁場に
おける磁力線を簡略的に図示し、図4(a)(b)は、
新積分方程式法に基づいて上記磁場のコンピュータ解析
を行った結果を示したものであり、同図(a)は磁場ベ
クトル図、同図(b)は磁場強度等高線図を表してい
る。これらの図に示すように、ガス通路内においては、
3個の磁石12のN極からその両隣の磁石12のS極に
向かって磁力線が走り、しかも、磁場強度等高線は、ガ
ス通路管10の中心部分に存在せず、内周面近傍(すな
わちガス通路の周縁部)で密となっている。これは、ガ
ス通路管10の中心点Oでは磁場勾配dHo/dxが0
で、ガス通路管10の内周面近傍で磁場勾配dHo/d
xが最大となっていることを物語っており、この最大値
は、単一の磁石の磁極近傍における磁場勾配の値よりも
非常に大きなものとなっている。しかも、このような磁
場勾配の高い個所は、ガス通路13の周縁部にその全周
にわたって形成されている。
【0034】従って、このガス通路13内に導入された
空気中の酸素は、前記式に示された磁気力Fでガス通
路13の内周面近傍に高い効率で集められ、この個所に
高濃度の酸素濃縮空気が生成されることとなる。この酸
素濃縮空気は、ガス通路管10終端中心部に設けられた
酸素減損空気導出管26の外側を通って酸素濃縮空気導
出管10aから系外に回収され、残りの酸素減損空気
は、酸素減損空気導出管26を通って排気される。
【0035】以上のように、この装置では、6個の磁石
12を周方向に並べて、その中央にあるガス通路管10
の内周面近傍にその全周にわたって大きな磁場勾配を発
生させ、このガス通路管10内に集中して原料空気を通
すようにしたものであるので、従来のように磁石を収納
した容器内に漫然と原料空気を流すだけの装置に比べ、
より高い効率で酸素の分離、回収を行うことができる。
【0036】さらに、この実施例では次のような効果を
得ることができる。
【0037】(a) 磁束密度は投影面積に反比例するの
で、各磁石12とガス通路管10との間に設けたヨーク
14により、各磁石12からの磁束を絞って磁束密度を
高めることができる。これに伴い、ガス通路管10内の
磁場の強さHo を上げることができ、これと上記磁場勾
配の強化との相乗効果で、酸素の回収効率を飛躍的に高
めることができる。例えば、上記磁石12として 0.1
テスラ程度の磁束密度をもつネオジム−鉄系の永久磁石
を用いても、上記ヨーク14によって1テスラ程度の磁
束密度を容易に得ることができる。
【0038】(b) 酸素の磁化率χは、絶対温度に反比例
するので、ガス通路13への導入前に温度調節器24で
原料空気を予冷することにより、空気中の酸素の磁化率
χを高めることができ、これによって、酸素に作用する
磁気力F(式)をさらに向上させることができる。例
えば、液化天然ガス(−164℃)の冷熱を利用すれ
ば、−154℃(119K)程度の低温状態で操作する
ことができ、この場合には、常温(20℃;293K)
における酸素磁化率χ(=106.2×10~6)の2倍以上の
酸素磁化率χ(=261.5×10~6)を得ることができる。
【0039】(c) 各磁石12の外側に磁性体からなる外
管11を配し、この外管11と各磁石12の外側磁極と
を接続部材18で接続しているので、互いに隣接する磁
石12同士の間には図1破線に示すような磁気回路が形
成されることになり、これによって、磁界が装置外に漏
れることが未然に防がれる。
【0040】(d) ガス通路管10に対して酸素減損空気
導出管26を着脱可能に装着しているので、この酸素減
損空気導出管26にゴミ等が付着した場合には、酸素減
損空気導出管26を抜き取って容易に清掃することがで
き、また交換も可能となる。また、装着時には、酸素減
損空気導出管26の外側から酸素濃縮空気導出管10a
を通じて酸素濃縮空気を容易に回収するとともに、残り
の酸素減損空気を上記酸素減損空気導出管26を通じて
そのまま排気することができる。
【0041】なお、この実施例において磁石12の個数
は6個に限定されず、4個、あるいは8個以上の偶数個
の磁石12を用いても、同様の効果を得ることができ
る。この場合も、任意の磁石12において上記ガス通路
管10側に向く磁極が、この磁石12の両隣の磁石12
において上記ガス通路管10側に向く磁極と異なるよう
に、各磁石12の向きが設定すればよい。
【0042】第2実施例を図5,6に示す。ここでは、
前記実施例に示したガス通路管10が省略され、ヨーク
14及びスペーサ16の内周面によって直接ガス通路1
3が形成されている。そして、このガス通路13の終端
部に補助管10が接続され、この補助管10に前記実施
例と同様の酸素減損空気導出管26及び酸素濃縮空気導
出管10aが設けられている。
【0043】このような構造によれば、上記ガス通路管
10の省略により、ガス通路13内に直接的に磁場を形
成することができ、これによって磁場の強さを高めるこ
とができる。ただし、上記第1実施例に示した装置によ
れば、ガス通路管10の使用により、ガス通路13を通
過する空気が磁石12側に漏れるのをより確実に防ぐこ
とができる利点がある。
【0044】第3実施例を図7に示す。ここでは、前記
第1実施例におけるガス通路管10の一方の端部(図例
では左側端部)の中央に空気入口(混合ガス入口)31
が設けられ、その径方向外側の外周部に酸素濃縮空気出
口(酸素濃縮ガス出口)33が設けられるとともに、他
方の端部(右側端部)の中央に酸素減損空気出口(酸素
減損ガス出口)32が設けられ、その径方向外側の外周
部に空気入口31が設けられている。
【0045】このような構造によれば、ガス通路管10
内に対して両端部から空気が導入されるので、ガス通路
管10内には対向流が形成され、各地点において互いに
濃度の異なるガス同士が併存する。例えば、図7の左側
端部近傍では原料空気と酸素濃縮空気が併存し、右側端
部近傍では酸素減損ガスと原料空気とが併存する。
【0046】これに対し、前記第1及び第2実施例に示
すように、ガス通路管10の一方の端部からのみ空気を
導入するようにすると、この導入側端部では空気のみが
存在し、導出側端部では酸素濃縮空気と酸素減損空気と
が存在することになる。すなわち、このように一方の端
部からのみ空気を導入する場合には、その反対側の導出
側端部に近づくに従って、併存するガス同士の酸素濃度
比が次第に高くなるのに対し、第3実施例の装置の場合
には、いずれの端部においても酸素濃度比は高くならな
い。
【0047】一方、両実施例装置の酸素分離性能が等し
いとすると、いずれの装置においても、各地点で得られ
る共存ガスの酸素濃度比の限界値はほぼ同じである。従
って、空気をガス通路管の一方の端部からのみ導入する
場合には、その反対側の導出側端部に近づくに従い、共
存する酸素濃縮ガスと酸素減損ガスの酸素濃度比が限界
値に近づき、その分酸素分離効率が低減していくのに対
し、本実施例(第3実施例)のように対向流を形成すれ
ば、どの地点においても、共存するガス同士の酸素濃度
比を上記限界値より十分低く抑えることができ、これに
よって、ガス通路管10の長手方向全域にわたって効率
良く酸素分離を行うことができる利点がある。
【0048】なお、この対向流の形成は、前記第2実施
例に示した装置においても可能である。この場合には、
ガス通路13の両端部に補助管を接続し、一方の補助管
に上記空気入口31及び酸素濃縮空気出口33を設け、
他方の補助管に上記酸素減損空気出口32及び空気入口
31を設ければよい。
【0049】次に、第4実施例を図8に基づいて説明す
る。
【0050】図において、34は発砲スチロール等の断
熱材で形成された保冷容器であり、この保冷容器34
は、天壁36、底壁37、及び側壁38によって箱状に
形成されている。そして、この保冷容器34内に、前記
第1実施例で示したガス通路管10、磁石12、ヨーク
14、接続部材18、及び外管11がそのまま収容され
ている。
【0051】詳しくは、上記外管11の下面に脚42が
接続され、この脚42が上記底壁37を貫通する状態で
その下端が地盤に固定されている。ガス通路管10の入
口側端部(図8では左側端部)は保冷容器34内に臨む
一方、出口側端部は側壁38を貫いて保冷容器34の外
側に導出されており、この導出部分に、前記実施例と同
様の酸素濃縮空気導出管10a及び酸素減損空気導出管
26が設けられている。また、上記ガス通路管10が貫
いている側壁38には、これを貫く状態で空気導入管
(ガス入口)40が装着されており、この空気導入管4
0に前記実施例に示した温度調節器24及び図略のファ
ン等が接続されている。
【0052】このような装置によれば、上記温度調節器
24で予冷された原料空気は、原料空気導入管40を通
じて保冷容器34内に導入された後、この保冷容器34
の内側でかつ外管11の外側の空間を通ってからガス通
路管10内に入る。従って、この予冷済の原料空気を利
用することにより、特別な冷却手段を用いることなく外
管11及びその内部の装置要素を冷却することができ
る。そして、ガス通路管10内に原料空気が入った後
は、前記各実施例と同様にして酸素の分離を行うことが
でき、保冷容器34外側の酸素濃縮空気導出管10aか
ら酸素濃縮空気を回収することができる。
【0053】次に、第5実施例を図9に示す。この実施
例では、上記外管11及びその充填物全体をクライオス
タット内に収容するとともに、分離用の磁石として、鉄
心51及び超電導コイル52からなる超電導磁石50を
用いた例を示している。
【0054】図において、54は液体ヘリウム槽であ
り、この液体ヘリウム槽54内に液体ヘリウム56が収
容され、この液体ヘリウム56に上記外管11及びその
充填物が浸漬されている。外管11の内部は密閉されて
おり、液体ヘリウム56の侵入が阻止されている。ま
た、各超電導磁石50間のスペーサ16は、ステンレス
鋼からなる多数のピースを充填することにより形成され
ている。
【0055】上記液体ヘリウム槽54の外側には、液体
窒素61を収容する液体窒素槽60が配されており、こ
の液体窒素槽60と液体ヘリウム槽54との間には真空
層59が形成されている。さらに、上記液体窒素槽60
の外側には外筒62が設けられ、この外筒62と液体窒
素槽60との間にも真空層63が形成されている。
【0056】一方、上記外管11に収容された装置本体
は、全体がドーナツ状とされ、その内側に内筒101が
設けられている。そして、この内筒101と、上記装置
本体の内壁102との間にも真空層44が形成されてい
る。
【0057】このような装置によれば、クライオスタッ
ト内の低温下で超電導磁石50を用いることにより、極
めて強い磁界を形成することができる。
【0058】次に、第6実施例を図10に基づいて説明
する。
【0059】ここでは、図10(a)に示すように、一
対の磁石70が対向して配置されており、しかも、各磁
石70の向きは、その同じ磁極同士(図例ではN極同
士)が互いに対向するように設定されている。そして、
両磁石70の間に、図面の奥行き方向に空気を通すガス
通路13が形成されている。
【0060】このような配置においても、両磁石70の
間には図示のような磁界が形成され、ガス通路13の中
心点Oで磁場勾配が0となり、磁石70の磁極近傍で非
常に大きな磁場勾配が得られるので、上記ガス通路13
内に集中的に空気を流すことにより、従来に比べてより
高い効率で酸素を分離、回収することができる。ただ
し、前記各実施例に示したように、4以上の偶数個の磁
石を周方向に並べるようにすれば、ガス通路13の周縁
部に、その全周にわたって高い磁場勾配を発生させるす
ることができるため、ガス通路13周縁部の全周をフル
に活用して酸素の回収効率をさらに高めることができる
利点がある。
【0061】なお、上記第6実施例の場合、一対の磁石
70の同じ磁極同士を対向させることが肝要である。す
なわち、同図(b)に示すように互いに異なる磁極同士
を対向させた場合には、両磁極の間に高い磁場勾配が生
じず、高い酸素回収効率を期待することができなくな
る。
【0062】本発明は、以上説明した実施例に限定され
ることはなく、例として次のような態様を採ることも可
能である。
【0063】(1) 上記各実施例では、磁束絞り部材であ
るヨーク14を用いた例を示しているが、強力な磁石を
用いる場合、例えば図9に示したような超電導磁石50
を用いる場合には、ヨーク14の省略も可能である。
【0064】(2) 本発明において、原料となる混合ガス
は上記空気に限らず、酸素を含む種々の混合ガスから酸
素を分離する場合に、本発明を広く適用することができ
る。
【0065】(3) 上記実施例では、磁石12及びヨーク
14がガス通路13の長手方向に連続しているものを示
したが、これらが同方向に複数に分割されていてもよ
い。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば次のよう
な効果を得ることができる。
【0067】まず、請求項1記載の装置は、4以上の偶
数個の磁石を周方向に並べ、かつ、これらの磁石におい
て中心に向かう側の磁極が両隣の磁石において中心に向
かう側の磁極と異なるように各磁石を配置するととも
に、これらの磁石で囲まれた中心部分に、これらの磁石
の並び方向と直交する方向に混合ガスを通過させるガス
通路を形成したものであるので、上記ガス通路の周縁部
で大きな磁場勾配を得ることができ、このガス通路に集
中して混合ガスを通すことにより、このガス中の酸素を
上記ガス通路の周縁部に効率良く集めることができる効
果がある。しかも、上記ガス通路の周縁部に、その全周
にわたって高い磁場勾配を発生させることができるの
で、ガス通路周縁部全周をフルに活用することにより、
酸素の分離効率をより高めることができる。
【0068】ここで、請求項2記載の装置では、各磁石
において半径方向外側を向く磁極同士を磁性体からなる
外側接続部材で接続しているので、各磁石及び外側接続
部材によって磁気回路を形成することにより、磁場が外
部に漏れることを未然に防ぐことができる効果がある。
【0069】請求項3記載の装置は、一対の磁石をその
同じ磁極同士が互いに対向する向きに配置するととも
に、これらの磁石の間にガス通路を形成したものである
ので、上記磁石の近傍で大きな磁場勾配を発生させると
ともに、これら磁石の間のガス通路に集中的に混合ガス
を通すことにより、酸素を高い効率で分離することがで
きる効果がある。
【0070】請求項4記載の装置では、上記各磁石とガ
ス通路との間に、磁性体からなり、ガス通路に向かうに
従って断面積が減少する形状の磁束絞り部材を設けてい
るので、この磁束絞り部材によってガス通路周縁の磁束
密度をより高め、ひいては磁界の強さを高めることがで
き、これによって酸素の分離効率をさらに向上させるこ
とができる効果がある。
【0071】請求項5記載の装置では、上記磁石として
超電導磁石を用いることにより、より強力な磁場を形成
することができる。
【0072】請求項6記載の装置は、上記ガス通路内に
混合ガスを導入する前に、この混合ガスを予冷する予冷
手段を備えているので、この予冷によって上記混合ガス
中の酸素の磁化率を高めることができ、これにより、こ
の酸素を回収するための磁気力をさらに高めることがで
きる効果がある。
【0073】さらに、請求項7記載の装置は、上記磁石
及びガス通路全体を収容する保冷容器を備えるととも
に、この保冷容器にその内部に混合ガスを導入するため
のガス入口を設け、上記ガス通路の入口部分を上記保冷
容器の内部に臨ませ、ガス通路の出口部分を保冷容器の
外部に導出したものであるので、予冷済の混合ガスを保
冷容器内で上記磁石の外側に流すことにより、特別な冷
却手段を用いることなく磁石等を冷却することかでき、
コスト上昇を伴うことなく酸素の回収効率を上げること
ができる効果がある。
【0074】請求項8記載の装置は、上記ガス通路の一
方の端部の中央に混合ガス入口を設け、その外側に濃縮
酸素ガス出口を設けるとともに、他方の端部の中央に酸
素減損ガス出口を設け、その外側に混合ガス入口を設け
たものであるので、上記ガス通路内で対向流を形成し、
各地点において共存するガス同士の酸素濃度比を抑える
ことにより、ガス通路の長手方向全域にわたって高い効
率で酸素分離を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における酸素分離装置の断
面正面図である。
【図2】上記酸素分離装置の一部断面側面図である。
【図3】上記酸素分離装置においてガス通路管内に形成
される磁界を模式的に表した断面正面図である。
【図4】(a)は上記ガス通路管内の磁場ベクトルを表
した図、(b)は上記ガス通路管内の磁場強度等高線図
である。
【図5】第2実施例における酸素分離装置の断面正面図
である。
【図6】上記酸素分離装置の一部断面側面図である。
【図7】第3実施例における酸素分離装置におけるガス
通路管の断面側面図である。
【図8】第4実施例における酸素分離装置の断面側面図
である。
【図9】第5実施例における酸素分離装置の断面平面図
である。
【図10】(a)は第6実施例における酸素分離装置の
要部を示す正面図、(b)は本発明の酸素分離装置とは
異なる磁石の配置を示す正面図である。
【符号の説明】
10 ガス通路管 11 外管(外側接続部材を構成) 12,70 磁石 13 ガス通路 14 ヨーク(磁束絞り部材) 18 接続部材(外側接続部材) 24 温度調節器(予冷手段) 31 空気入口(混合ガス入口) 32 酸素減損空気出口(酸素減損ガス出口) 33 酸素濃縮空気出口(酸素濃縮ガス出口) 34 保冷容器 40 空気導入管(ガス入口) 50 超電導磁石
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 酸素分離装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気等の混合ガスから
磁力により酸素を分離する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、酸素は常磁性を有し、その磁化
率χ(20℃で106.2×10~6CGS電磁単位)は他の気体
に比べて特に大きい。しかも、他のほとんどの気体は反
磁性であり、また、その磁化率は非常に小さなものであ
る。従って、上記酸素の常磁性を利用することにより、
空気をはじめとする酸素含有ガスから酸素を磁力で分離
することが可能である。このような分離操作によって、
酸素濃縮ガスを低廉に得ることができ、石炭ガス化複合
発電や、微粉末燃焼発電の発電効率の向上等に寄与する
ことができる。このため、従来より混合ガス中から酸素
を磁気的に分離する手段が種々提案されている。
【0003】例えば、特開平1−157405号公報に
は、超電導材料により形成された磁石を容器内に収容
し、この容器内に空気を流すことにより、上記磁石の周
辺に空気中の酸素を磁力で集め、その後、上記酸素を加
熱してその常磁性を弱めることにより、酸素を磁石周辺
から引き離すようにしたものが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に示される装
置では、磁石を容器内に並べ、この容器内に空気を導入
することにより、磁石の周囲に一様に空気を流すもので
あるため、磁石により引き付けられる酸素は少なく、残
りの酸素はそのまま磁石を通過してしまう。従って、高
い効率で酸素を分離することは難しい。
【0005】また酸素は、上記のような常磁性を有する
といっても、その磁化率χは一般の磁性体(例えば鉄
等)と比べると小さく、従って、その分離を行うには非
常に強い磁界が必要である。このような磁界を得るた
め、上記公報に示す装置では超電導磁石を用いている
が、このような超電導磁石は高価であり、コスト高は免
れ得ない。また、超電導磁石を用いる場合でも、酸素分
離効率の向上を目指すには、より一層の磁界の改善が必
要である。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、空気等
の混合ガス中から酸素を高い効率で分離することができ
る酸素分離装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】酸素の磁化率をχ、磁場
の強さをHo 、磁場強さの勾配(以下、磁場勾配と称す
る。)をdHo/dxとすると、この磁場において単位
体積当たりの酸素に作用する磁気力Fは次の式で表され
る。
【0008】F=χ・Ho・(dHo/dx) 従って、上記磁場勾配dHo/dxもしくは磁場の強さ
Ho を高めることにより、混合ガス中から酸素を分離す
る力を強化することができる。
【0009】本発明は、このような点に着目してなされ
たものであり、酸素を含む混合ガス中から磁力により酸
素を分離する装置において、4以上の偶数個の磁石をそ
の両極が半径方向を向く状態で互いに離間させて周方向
に並べ、かつ、これらの磁石において中心に向かう側の
磁極が両隣の磁石において中心に向かう側の磁極と異な
るように各磁石を配置するとともに、これらの磁石で囲
まれた中心部分にこれらの磁石の並び方向と直交する方
向に上記混合ガスを通過させるガス通路を形成したもの
である。
【0010】ここで、「4以上の偶数個」とは周方向の
磁石の並び個数であり、ガス通路の長手方向について
は、各磁石を任意の個数に分割してもよい。
【0011】また、各磁石において半径方向外側を向く
磁極同士を磁性体からなる外側接続部材で接続すること
により、より好ましいものとなる(請求項2)。
【0012】また本発明は、酸素を含む混合ガス中から
磁力により酸素を分離する装置において、一対の磁石を
同じ磁極同士が互いに対向する向きに配置するととも
に、これらの磁石の間に、これらの磁石の並び方向と直
交する方向に混合ガスを通過させるガス通路を形成した
ものである(請求項3)。
【0013】さらに、各磁石とガス通路との間に、磁性
体からなり、ガス通路に向かうに従って断面積が減少す
る形状の磁束絞り部材を設けたり(請求項4)、各磁石
を超電導磁石で構成したり(請求項5)、上記ガス通路
の上流側に、このガス通路に導入される混合ガスを予冷
する予冷手段を設けたりすれば(請求項6)、より効果
的となる。混合ガスを予冷する場合には、上記磁石及び
ガス通路を収容する保冷容器を備え、この保冷容器にそ
の内部に混合ガスを導入するためのガス入口を設けると
ともに、上記ガス通路の入口部分を上記保冷容器の内部
に臨ませ、ガス通路の出口部分を保冷容器の外部に導出
する(請求項7)ことにより、後述のようなより優れた
効果が得られる。
【0014】また、ガス通路へのガスの出入構造につい
ては、上記ガス通路の一方の端部の中央に混合ガス入口
を設け、その径方向外側に酸素濃縮ガス出口を設けると
ともに、他方の端部の中央に酸素減損ガス出口を設け、
その径方向外側に混合ガス入口を設けたものが好適であ
る(請求項8)。
【0015】
【作用】請求項1記載の装置では、磁石で囲まれたガス
通路内に、その長手方向に沿って磁場が形成される。こ
の磁場の磁場勾配dHo/dxは、通路中心部で0、通
路周縁部で最大となり、この最大値は、単一の磁石の磁
極近傍における磁場勾配よりも非常に高い値となる。従
って、上記ガス通路内に集中して混合ガスを通すことに
より、このガス中の酸素を上記ガス通路の周縁部に高い
効率で集めることができる。
【0016】請求項2記載の装置では、上記装置の各磁
石において半径方向外側を向く磁極同士を磁性体からな
る外側接続部材で接続しているので、各磁石及び外側接
続部材によって磁気回路が形成され、これによって、磁
場が外部に漏れることが防がれる。
【0017】請求項3記載の装置においても、互いに対
向する磁石の間には、磁場勾配が中心部で0、磁石近傍
で最大値となる磁界が形成されるので、これらの磁石の
間に形成されたガス通路内に集中して混合ガスを通すこ
とにより、酸素を効率良く集めることができる。
【0018】さらに、請求項4記載の装置では、ガス通
路と磁石との間に設けられた磁束絞り部材により、各磁
石からガス通路に向けて磁束が絞られ、ガス通路近傍の
磁束密度が高められる。これに伴い、ガス通路内の磁場
の強さも高まり、混合ガス中から酸素を集めるための磁
気力はより強化される。
【0019】請求項5記載の装置では、超電導磁石によ
って強力な磁場を形成することができる。
【0020】請求項6記載の装置では、ガス通路への導
入前に混合ガスを予冷し、その温度を下げておくことに
より、混合ガス中の酸素の磁化率χを高めることがで
き、これにより、酸素に作用する磁気力を高めることが
できる。
【0021】さらに、請求項7記載の装置では、予冷し
たガスを保冷容器内に導入することにより、この保冷容
器内にある磁石を他の冷却手段を用いずに冷却すること
ができ、このように磁石の温度を下げることにより、酸
素の磁化率χをさらに高めることができる。
【0022】請求項8記載の装置では、ガス通路の双方
の端部から混合ガスが導入されることにより、ガス通路
内には対向流が形成される。すなわち、磁力による酸素
分離でガス通路の周縁部に生成された酸素濃縮ガスは、
ガス通路の一方の端部の酸素濃縮ガス出口から回収さ
れ、中央部に残った酸素減損ガスは、他方の端部の中央
に設けられた酸素減損ガス出口から通路外へ導出される
ことになり、ガス通路の一方の端部には混合ガス(原料
ガス)と酸素濃縮ガスとが併存し、他方の端部には酸素
減損ガスと混合ガス(原料ガス)とが併存する。従っ
て、ガス通路のどの地点においても、互いに併存するガ
ス同士の濃度比は小さくなる。
【0023】
【実施例】本発明の第1実施例を図1〜図4に基づいて
説明する。
【0024】図1,2において、10は水平方向のガス
通路13を内部に形成するガス通路管であり、このガス
通路管10は、ステンレス鋼等の非磁性材料で形成され
ている。このガス通路管10の周囲には、永久磁石から
なる6個の磁石12が、上記ガス通路管10の長手方向
と直交する周方向に並べて配設されている。各磁石12
は、上記ガス通路管10と平行な水平方向に延びる板状
をなし、そのNS両極が半径方向を向く状態で配置され
ており、しかも、任意の磁石12において上記ガス通路
管10側に向く磁極が、この磁石12の両隣の磁石12
において上記ガス通路管10側に向く磁極と異なるよう
に、各磁石12の向きが設定されている。すなわち、各
磁石12のうちN極がガス通路管10側を向く磁石12
の隣には、S極がガス通路管10を向く磁石12が存在
するように各磁石12が配置されている。
【0025】なお、各磁石12の具体的な材質は問わな
いが、なるべく強い永久磁石を用いることが望ましい。
具体的には、ネオジム磁石(ネオジム・鉄・ボロン磁
石)、サマリウム磁石(サマリウム・コバルト磁石)、
アルニコ磁石(アルミニウム・ニッケル・コバルト磁
石)、フェライト磁石(酸化鉄磁石)等が好適である。
【0026】各磁石12とガス通路管10との間には、
ヨーク(磁束絞り部材)14が配設されている。各ヨー
ク14は、各磁石12からガス通路管10に向かうに従
って断面積が減少するくさび状(この実施例では略三角
柱状)に形成されている。このヨーク14は、磁束の通
り易い磁性体であれば良く、その具体的な材質として
は、軟鉄(純鉄を焼き鈍ししたもの)や鉄・コバルト合
金等が好適である。
【0027】各磁石12同士及びヨーク14同士は互い
に離間しており、その間にはスペーサ16が介設されて
いる。このスペーサ16は、非磁性のものであれば良
く、ベークライト等の合成樹脂や、ステンレス鋼等の金
属、セラミックス、木材等からなるものが適用可能であ
る。
【0028】上記磁石12、ヨーク14、及びスペーサ
16は、鉄等の磁性体で形成された大内径の外管(外側
接続部材)11内に充填されており、外管11の内周面
と各磁石12の外周面との間には、同じく鉄等の磁性体
で形成された接続部材(外側接続部材)18が嵌入され
ている。各接続部材18は、磁石12の外側面と密着可
能な平面状の内周面と、外管11の内周面と密着可能な
円筒面状の外周面とを有しており、これら接続部材18
と上記外管11とにより、各磁石12において半径方向
外側を向く磁極同士が互いに接続された状態となってい
る。
【0029】前記ガス通路管10の入口側(図2では左
側端部)には、フィルタ20、ファン22、及び温度調
節器(予冷手段)24が直列に接続されている。温度調
節器24は、液化天然ガスの冷熱利用等により、ガス通
路管10内に導入される空気を一定の温度まで予冷する
ものである。ガス通路管の出口側(右側)端部は終端壁
25で塞がれており、その直手前の外周壁からは、径方
向に酸素濃縮空気導出管10aが分岐している。上記終
端壁25には、これを貫通するようにして酸素減損空気
導出管26が着脱可能に装着されている。
【0030】また、上記外管11や、この外管11内の
充填物、すなわちガス通路管10や磁石12等は、図外
の冷却手段で上記温度調節器24による予冷温度と同等
の温度まで冷却されるようになっている。
【0031】次に、この装置の作用を説明する。
【0032】まず、ファン22の作動により、原料空気
がフィルタ20を通って温度調節器24内に導入され、
この温度調節器24で一定温度まで予冷された後にガス
通路管10内に導入される。
【0033】このガス通路管10内では、上記6個の磁
石12によって磁場が形成される。図3は、上記磁場に
おける磁力線を簡略的に図示し、図4(a)(b)は、
新積分方程式法に基づいて上記磁場のコンピュータ解析
を行った結果を示したものであり、同図(a)は磁場ベ
クトル図、同図(b)は磁場強度等高線図を表してい
る。これらの図に示すように、ガス通路内においては、
3個の磁石12のN極からその両隣の磁石12のS極に
向かって磁力線が走り、しかも、磁場強度等高線は、ガ
ス通路管10の中心部分に存在せず、内周面近傍(すな
わちガス通路の周縁部)で密となっている。これは、ガ
ス通路管10の中心点Oでは磁場勾配dHo/dxが0
で、ガス通路管10の内周面近傍で磁場勾配dHo/d
xが最大となっていることを物語っており、この最大値
は、単一の磁石の磁極近傍における磁場勾配の値よりも
非常に大きなものとなっている。しかも、このような磁
場勾配の高い個所は、ガス通路13の周縁部にその全周
にわたって形成されている。
【0034】従って、このガス通路13内に導入された
空気中の酸素は、前記式に示された磁気力Fでガス通
路13の内周面近傍に高い効率で集められ、この個所に
高濃度の酸素濃縮空気が生成されることとなる。この酸
素濃縮空気は、ガス通路管10終端中心部に設けられた
酸素減損空気導出管26の外側を通って酸素濃縮空気導
出管10aから系外に回収され、残りの酸素減損空気
は、酸素減損空気導出管26を通って排気される。
【0035】以上のように、この装置では、6個の磁石
12を周方向に並べて、その中央にあるガス通路管10
の内周面近傍にその全周にわたって大きな磁場勾配を発
生させ、このガス通路管10内に集中して原料空気を通
すようにしたものであるので、従来のように磁石を収納
した容器内に漫然と原料空気を流すだけの装置に比べ、
より高い効率で酸素の分離、回収を行うことができる。
【0036】さらに、この実施例では次のような効果を
得ることができる。
【0037】(a) 磁束密度は投影面積に反比例するの
で、各磁石12とガス通路管10との間に設けたヨーク
14により、各磁石12からの磁束を絞って磁束密度を
高めることができる。これに伴い、ガス通路管10内の
磁場の強さHo を上げることができ、これと上記磁場勾
配の強化との相乗効果で、酸素の回収効率を飛躍的に高
めることができる。例えば、上記磁石12として 0.1
テスラ程度の磁束密度をもつネオジム−鉄系の永久磁石
を用いても、上記ヨーク14によって1テスラ程度の磁
束密度を容易に得ることができる。
【0038】(b) 酸素の磁化率χは、絶対温度に反比例
するので、ガス通路13への導入前に温度調節器24で
原料空気を予冷することにより、空気中の酸素の磁化率
χを高めることができ、これによって、酸素に作用する
磁気力F(式)をさらに向上させることができる。例
えば、液化天然ガス(−164℃)の冷熱を利用すれ
ば、−154℃(119K)程度の低温状態で操作する
ことができ、この場合には、常温(20℃;293K)
における酸素磁化率χ(=106.2×10~6)の2倍以上の
酸素磁化率χ(=261.5×10~6)を得ることができる。
【0039】(c) 各磁石12の外側に磁性体からなる外
管11を配し、この外管11と各磁石12の外側磁極と
を接続部材18で接続しているので、互いに隣接する磁
石12同士の間には図1破線に示すような磁気回路が形
成されることになり、これによって、磁界が装置外に漏
れることが未然に防がれる。
【0040】(d) ガス通路管10に対して酸素減損空気
導出管26を着脱可能に装着しているので、この酸素減
損空気導出管26にゴミ等が付着した場合には、酸素減
損空気導出管26を抜き取って容易に清掃することがで
き、また交換も可能となる。また、装着時には、酸素減
損空気導出管26の外側から酸素濃縮空気導出管10a
を通じて酸素濃縮空気を容易に回収するとともに、残り
の酸素減損空気を上記酸素減損空気導出管26を通じて
そのまま排気することができる。
【0041】なお、この実施例において磁石12の個数
は6個に限定されず、4個、あるいは8個以上の偶数個
の磁石12を用いても、同様の効果を得ることができ
る。この場合も、任意の磁石12において上記ガス通路
管10側に向く磁極が、この磁石12の両隣の磁石12
において上記ガス通路管10側に向く磁極と異なるよう
に、各磁石12の向きが設定すればよい。
【0042】第2実施例を図5,6に示す。ここでは、
前記実施例に示したガス通路管10が省略され、ヨーク
14及びスペーサ16の内周面によって直接ガス通路1
3が形成されている。そして、このガス通路13の終端
部に補助管10が接続され、この補助管10に前記実施
例と同様の酸素減損空気導出管26及び酸素濃縮空気導
出管10aが設けられている。
【0043】このような構造によれば、上記ガス通路管
10の省略により、ガス通路13内に直接的に磁場を形
成することができ、これによって磁場の強さを高めるこ
とができる。ただし、上記第1実施例に示した装置によ
れば、ガス通路管10の使用により、ガス通路13を通
過する空気が磁石12側に漏れるのをより確実に防ぐこ
とができる利点がある。
【0044】実際に、この第2実施例装置において、次
の表1の条件下で実験を行うことにより、表2の結果を
得ることができた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】この実験では、入口空気の酸素濃度を一定
とし、入出口の酸素濃度差をジルコニア固体電解質を用
いた固体電解質酸素濃淡電池式の酸素濃度計で測定する
ことにより、この酸素濃度差から出口酸素濃縮空気の酸
素濃度を算出した。また、測定に際しては、予め精度確
認(ゼロ点調整、スパン調整等)を行い、実際の酸素濃
度差と上記酸素濃度計の表示とが等しいことを確認した
後に実験を進めた。
【0048】上記表2に示されるように、本実施例装置
によれば確実に原料ガス中の酸素を濃縮でき、かつ冷却
を行うことにより濃縮効率を高めることが可能となる。
【0049】第3実施例を図7に示す。ここでは、前記
第1実施例におけるガス通路管10の一方の端部(図例
では左側端部)の中央に空気入口(混合ガス入口)31
が設けられ、その径方向外側の外周部に酸素濃縮空気出
口(酸素濃縮ガス出口)33が設けられるとともに、他
方の端部(右側端部)の中央に酸素減損空気出口(酸素
減損ガス出口)32が設けられ、その径方向外側の外周
部に空気入口31が設けられている。
【0050】このような構造によれば、ガス通路管10
内に対して両端部から空気が導入されるので、ガス通路
管10内には対向流が形成され、各地点において互いに
濃度の異なるガス同士が併存する。例えば、図7の左側
端部近傍では原料空気と酸素濃縮空気が併存し、右側端
部近傍では酸素減損ガスと原料空気とが併存する。
【0051】これに対し、前記第1及び第2実施例に示
すように、ガス通路管10の一方の端部からのみ空気を
導入するようにすると、この導入側端部では空気のみが
存在し、導出側端部では酸素濃縮空気と酸素減損空気と
が存在することになる。すなわち、このように一方の端
部からのみ空気を導入する場合には、その反対側の導出
側端部に近づくに従って、併存するガス同士の酸素濃度
比が次第に高くなるのに対し、第3実施例の装置の場合
には、いずれの端部においても酸素濃度比は高くならな
い。
【0052】一方、両実施例装置の酸素分離性能が等し
いとすると、いずれの装置においても、各地点で得られ
る共存ガスの酸素濃度比の限界値はほぼ同じである。従
って、空気をガス通路管の一方の端部からのみ導入する
場合には、その反対側の導出側端部に近づくに従い、共
存する酸素濃縮ガスと酸素減損ガスの酸素濃度比が限界
値に近づき、その分酸素分離効率が低減していくのに対
し、本実施例(第3実施例)のように対向流を形成すれ
ば、どの地点においても、共存するガス同士の酸素濃度
比を上記限界値より十分低く抑えることができ、これに
よって、ガス通路管10の長手方向全域にわたって効率
良く酸素分離を行うことができる利点がある。
【0053】なお、この対向流の形成は、前記第2実施
例に示した装置においても可能である。この場合には、
ガス通路13の両端部に補助管を接続し、一方の補助管
に上記空気入口31及び酸素濃縮空気出口33を設け、
他方の補助管に上記酸素減損空気出口32及び空気入口
31を設ければよい。
【0054】次に、第4実施例を図8に基づいて説明す
る。
【0055】図において、34は発砲スチロール等の断
熱材で形成された保冷容器であり、この保冷容器34
は、天壁36、底壁37、及び側壁38によって箱状に
形成されている。そして、この保冷容器34内に、前記
第1実施例で示したガス通路管10、磁石12、ヨーク
14、接続部材18、及び外管11がそのまま収容され
ている。
【0056】詳しくは、上記外管11の下面に脚42が
接続され、この脚42が上記底壁37を貫通する状態で
その下端が地盤に固定されている。ガス通路管10の入
口側端部(図8では左側端部)は保冷容器34内に臨む
一方、出口側端部は側壁38を貫いて保冷容器34の外
側に導出されており、この導出部分に、前記実施例と同
様の酸素濃縮空気導出管10a及び酸素減損空気導出管
26が設けられている。また、上記ガス通路管10が貫
いている側壁38には、これを貫く状態で空気導入管
(ガス入口)40が装着されており、この空気導入管4
0に前記実施例に示した温度調節器24及び図略のファ
ン等が接続されている。
【0057】このような装置によれば、上記温度調節器
24で予冷された原料空気は、原料空気導入管40を通
じて保冷容器34内に導入された後、この保冷容器34
の内側でかつ外管11の外側の空間を通ってからガス通
路管10内に入る。従って、この予冷済の原料空気を利
用することにより、特別な冷却手段を用いることなく外
管11及びその内部の装置要素を冷却することができ
る。そして、ガス通路管10内に原料空気が入った後
は、前記各実施例と同様にして酸素の分離を行うことが
でき、保冷容器34外側の酸素濃縮空気導出管10aか
ら酸素濃縮空気を回収することができる。
【0058】次に、第5実施例を図9に示す。この実施
例では、上記外管11及びその充填物全体をクライオス
タット内に収容するとともに、分離用の磁石として、鉄
心51及び超電導コイル52からなる超電導磁石50を
用いた例を示している。
【0059】図において、54は液体ヘリウム槽であ
り、この液体ヘリウム槽54内に液体ヘリウム56が収
容され、この液体ヘリウム56に上記外管11及びその
充填物が浸漬されている。外管11の内部は密閉されて
おり、液体ヘリウム56の侵入が阻止されている。ま
た、各超電導磁石50間のスペーサ16は、ステンレス
鋼からなる多数のピースを充填することにより形成され
ている。
【0060】上記液体ヘリウム槽54の外側には、液体
窒素61を収容する液体窒素槽60が配されており、こ
の液体窒素槽60と液体ヘリウム槽54との間には真空
層59が形成されている。さらに、上記液体窒素槽60
の外側には外筒62が設けられ、この外筒62と液体窒
素槽60との間にも真空層63が形成されている。
【0061】一方、上記外管11に収容された装置本体
は、全体がドーナツ状とされ、その内側に内筒101が
設けられている。そして、この内筒101と、上記装置
本体の内壁102との間にも真空層44が形成されてい
る。
【0062】このような装置によれば、クライオスタッ
ト内の低温下で超電導磁石50を用いることにより、極
めて強い磁界を形成することができる。
【0063】次に、第6実施例を図10に基づいて説明
する。
【0064】ここでは、図10(a)に示すように、一
対の磁石70が対向して配置されており、しかも、各磁
石70の向きは、その同じ磁極同士(図例ではN極同
士)が互いに対向するように設定されている。そして、
両磁石70の間に、図面の奥行き方向に空気を通すガス
通路13が形成されている。
【0065】このような配置においても、両磁石70の
間には図示のような磁界が形成され、ガス通路13の中
心点Oで磁場勾配が0となり、磁石70の磁極近傍で非
常に大きな磁場勾配が得られるので、上記ガス通路13
内に集中的に空気を流すことにより、従来に比べてより
高い効率で酸素を分離、回収することができる。ただ
し、前記各実施例に示したように、4以上の偶数個の磁
石を周方向に並べるようにすれば、ガス通路13の周縁
部に、その全周にわたって高い磁場勾配を発生させるす
ることができるため、ガス通路13周縁部の全周をフル
に活用して酸素の回収効率をさらに高めることができる
利点がある。
【0066】なお、上記第6実施例の場合、一対の磁石
70の同じ磁極同士を対向させることが肝要である。す
なわち、同図(b)に示すように互いに異なる磁極同士
を対向させた場合には、両磁極の間に高い磁場勾配が生
じず、高い酸素回収効率を期待することができなくな
る。
【0067】本発明は、以上説明した実施例に限定され
ることはなく、例として次のような態様を採ることも可
能である。
【0068】(1) 上記各実施例では、磁束絞り部材であ
るヨーク14を用いた例を示しているが、強力な磁石を
用いる場合、例えば図9に示したような超電導磁石50
を用いる場合には、ヨーク14の省略も可能である。
【0069】(2) 本発明において、原料となる混合ガス
は上記空気に限らず、酸素を含む種々の混合ガスから酸
素を分離する場合に、本発明を広く適用することができ
る。
【0070】(3) 上記実施例では、磁石12及びヨーク
14がガス通路13の長手方向に連続しているものを示
したが、これらが同方向に複数に分割されていてもよ
い。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば次のよう
な効果を得ることができる。
【0072】まず、請求項1記載の装置は、4以上の偶
数個の磁石を周方向に並べ、かつ、これらの磁石におい
て中心に向かう側の磁極が両隣の磁石において中心に向
かう側の磁極と異なるように各磁石を配置するととも
に、これらの磁石で囲まれた中心部分に、これらの磁石
の並び方向と直交する方向に混合ガスを通過させるガス
通路を形成したものであるので、上記ガス通路の周縁部
で大きな磁場勾配を得ることができ、このガス通路に集
中して混合ガスを通すことにより、このガス中の酸素を
上記ガス通路の周縁部に効率良く集めることができる効
果がある。しかも、上記ガス通路の周縁部に、その全周
にわたって高い磁場勾配を発生させることができるの
で、ガス通路周縁部全周をフルに活用することにより、
酸素の分離効率をより高めることができる。
【0073】ここで、請求項2記載の装置では、各磁石
において半径方向外側を向く磁極同士を磁性体からなる
外側接続部材で接続しているので、各磁石及び外側接続
部材によって磁気回路を形成することにより、磁場が外
部に漏れることを未然に防ぐことができる効果がある。
【0074】請求項3記載の装置は、一対の磁石をその
同じ磁極同士が互いに対向する向きに配置するととも
に、これらの磁石の間にガス通路を形成したものである
ので、上記磁石の近傍で大きな磁場勾配を発生させると
ともに、これら磁石の間のガス通路に集中的に混合ガス
を通すことにより、酸素を高い効率で分離することがで
きる効果がある。
【0075】請求項4記載の装置では、上記各磁石とガ
ス通路との間に、磁性体からなり、ガス通路に向かうに
従って断面積が減少する形状の磁束絞り部材を設けてい
るので、この磁束絞り部材によってガス通路周縁の磁束
密度をより高め、ひいては磁界の強さを高めることがで
き、これによって酸素の分離効率をさらに向上させるこ
とができる効果がある。
【0076】請求項5記載の装置では、上記磁石として
超電導磁石を用いることにより、より強力な磁場を形成
することができる。
【0077】請求項6記載の装置は、上記ガス通路内に
混合ガスを導入する前に、この混合ガスを予冷する予冷
手段を備えているので、この予冷によって上記混合ガス
中の酸素の磁化率を高めることができ、これにより、こ
の酸素を回収するための磁気力をさらに高めることがで
きる効果がある。
【0078】さらに、請求項7記載の装置は、上記磁石
及びガス通路全体を収容する保冷容器を備えるととも
に、この保冷容器にその内部に混合ガスを導入するため
のガス入口を設け、上記ガス通路の入口部分を上記保冷
容器の内部に臨ませ、ガス通路の出口部分を保冷容器の
外部に導出したものであるので、予冷済の混合ガスを保
冷容器内で上記磁石の外側に流すことにより、特別な冷
却手段を用いることなく磁石等を冷却することかでき、
コスト上昇を伴うことなく酸素の回収効率を上げること
ができる効果がある。
【0079】請求項8記載の装置は、上記ガス通路の一
方の端部の中央に混合ガス入口を設け、その外側に濃縮
酸素ガス出口を設けるとともに、他方の端部の中央に酸
素減損ガス出口を設け、その外側に混合ガス入口を設け
たものであるので、上記ガス通路内で対向流を形成し、
各地点において共存するガス同士の酸素濃度比を抑える
ことにより、ガス通路の長手方向全域にわたって高い効
率で酸素分離を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における酸素分離装置の断
面正面図である。
【図2】上記酸素分離装置の一部断面側面図である。
【図3】上記酸素分離装置においてガス通路管内に形成
される磁界を模式的に表した断面正面図である。
【図4】(a)は上記ガス通路管内の磁場ベクトルを表
した図、(b)は上記ガス通路管内の磁場強度等高線図
である。
【図5】第2実施例における酸素分離装置の断面正面図
である。
【図6】上記酸素分離装置の一部断面側面図である。
【図7】第3実施例における酸素分離装置におけるガス
通路管の断面側面図である。
【図8】第4実施例における酸素分離装置の断面側面図
である。
【図9】第5実施例における酸素分離装置の断面平面図
である。
【図10】(a)は第6実施例における酸素分離装置の
要部を示す正面図、(b)は本発明の酸素分離装置とは
異なる磁石の配置を示す正面図である。
【符号の説明】 10 ガス通路管 11 外管(外側接続部材を構成) 12,70 磁石 13 ガス通路 14 ヨーク(磁束絞り部材) 18 接続部材(外側接続部材) 24 温度調節器(予冷手段) 31 空気入口(混合ガス入口) 32 酸素減損空気出口(酸素減損ガス出口) 33 酸素濃縮空気出口(酸素濃縮ガス出口) 34 保冷容器 40 空気導入管(ガス入口) 50 超電導磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村尾 洋一 大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電 力株式会社内 (72)発明者 増田 豊彦 神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式 会社神戸製鋼所神戸本社内 (72)発明者 大坂 邦夫 神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式 会社神戸製鋼所神戸本社内 (72)発明者 津田 一明 神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式 会社神戸製鋼所神戸本社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素を含む混合ガス中から磁力により酸
    素を分離する装置において、4以上の偶数個の磁石をそ
    の両極が半径方向を向く状態で互いに離間させて周方向
    に並べ、かつ、これらの磁石において中心に向かう側の
    磁極が両隣の磁石において中心に向かう側の磁極と異な
    るように各磁石を配置するとともに、これらの磁石で囲
    まれた中心部分にこれらの磁石の並び方向と直交する方
    向に上記混合ガスを通過させるガス通路を形成したこと
    を特徴とする酸素分離装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸素分離装置において、
    各磁石において半径方向外側を向く磁極同士を磁性体か
    らなる外側接続部材で接続したことを特徴とする酸素分
    離装置。
  3. 【請求項3】 酸素を含む混合ガス中から磁力により酸
    素を分離する装置において、一対の磁石を同じ磁極同士
    が互いに対向する向きに配置するとともに、これらの磁
    石の間に、これらの磁石の並び方向と直交する方向に混
    合ガスを通過させるガス通路を形成したことを特徴とす
    る酸素分離装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の酸素分
    離装置において、各磁石とガス通路との間に、磁性体か
    らなり、ガス通路に向かうに従って断面積が減少する形
    状の磁束絞り部材を設けたことを特徴とする酸素分離装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素分
    離装置において、各磁石を超電導磁石で構成したことを
    特徴とする酸素分離装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の酸素分
    離装置において、上記ガス通路の上流側に、このガス通
    路に導入される混合ガスを予冷する予冷手段を設けたこ
    とを特徴とする酸素分離装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の酸素分離装置において、
    上記磁石及びガス通路を収容する保冷容器を備え、この
    保冷容器にその内部に混合ガスを導入するためのガス入
    口を設けるとともに、上記ガス通路の入口部分を上記保
    冷容器の内部に臨ませ、ガス通路の出口部分を保冷容器
    の外部に導出したことを特徴とする酸素分離装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の酸素分
    離装置において、上記ガス通路の一方の端部の中央に混
    合ガス入口を設け、その径方向外側に酸素濃縮ガス出口
    を設けるとともに、他方の端部の中央に酸素減損ガス出
    口を設け、その径方向外側に混合ガス入口を設けたこと
    を特徴とする酸素分離装置。
JP4117455A 1992-05-11 1992-05-11 酸素分離装置 Pending JPH05309224A (ja)

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