JPH0530614B2 - - Google Patents

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JPH0530614B2
JPH0530614B2 JP61079898A JP7989886A JPH0530614B2 JP H0530614 B2 JPH0530614 B2 JP H0530614B2 JP 61079898 A JP61079898 A JP 61079898A JP 7989886 A JP7989886 A JP 7989886A JP H0530614 B2 JPH0530614 B2 JP H0530614B2
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JP
Japan
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fiber
screw member
reinforced plastic
thread
screw
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JP61079898A
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JPS6237131A (ja
Inventor
Kenji Kikuzawa
Isao Tajima
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AI ENU TEI KK
Original Assignee
AI ENU TEI KK
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Publication date
Application filed by AI ENU TEI KK filed Critical AI ENU TEI KK
Publication of JPS6237131A publication Critical patent/JPS6237131A/ja
Publication of JPH0530614B2 publication Critical patent/JPH0530614B2/ja
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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は、繊維強化プラスチツク(以下、
FRPと云う。)製ネジ部材に関し、更に詳しく
は、締付時のネジ山剪断強度が強く、効率的に多
量生産でき、安価で高品質のFRPネジ製品に係
るものである。 [従来の技術] FRPネジ製品は、耐蝕性、電気絶縁性に優れ
軽量であることから、各方面で実用化されつつあ
る。 今日まで、FRPネジ部材は種々の方法を用い
て作られてきた。 例えば引そろえたロービングに樹脂を含浸さ
せ、円筒の加熱金型の中を引抜く事によりロツド
を作製し、このロツドに後で機械加工によりネジ
切りを行う方法がある。 しかしこの方法で作られたネジ部材は、ネジ山
の繊維がネジの軸方向と平行方向に並んでいるた
め、ネジが切られていない芯部とネジ山との間に
繊維のつながりがないため、ネジ山強度が極端に
低いネジしか作りえない。 又、別な方法としてチヨツプドストランドと樹
脂をニーダーで混ぜ合せ、これをネジの形状をし
た金型を使用し加圧プレス成形してネジ部材を得
る方法がある。 この方法だとネジの芯部からネジ山部へガラス
繊維がつきささつている形となり、ネジ山の強度
は改善される。しかし繊維がネジの軸方向に配向
していないため、ネジ部材の軸方向の引張強度が
極端に低くなり、引張応力に対してネジ山がとぶ
のでなく、しばしばネジ部材そのものが切断する
結果を生じる。 FRP製のネジ部材を得る又別な方法は、樹脂
を含浸したヤーンクロスをハンドレイアツプで積
層して積層板を作製するか又は樹脂を含浸したク
ロスを重ねてプレス成形し積層板を作り、この板
より棒やブロツクを削り出し、ネジ加工を施して
ボルトナツトを得る方法である。 この方法で作られたFRPネジ部材は先に述べ
た2つの方法で作られたFRPネジ部材と比較し
て強度の優れたものが得られる。しかしこの種の
ネジ部材の製造コストは極端に高くつき、その上
ヤーンクロスは糸がバイヤスに交叉しているだけ
で層が薄く、積層してもからまないので、ネジ部
材における層間剥離が起こり、強度の満足なもの
が得られないという欠点を有する。それ故この種
のFPRネジ部材は、実際には特殊な用途に使わ
れているだけである。 これらの通常の方法によるネジ部材の弱点を克
服するために、現発明の発明者の一人は、ロービ
ング又はヤーンクロステープを用いてこれをうま
く配列させる事により、ネジ部材の強度を改善し
える方法を出願した(特願昭58−30876号特開昭
59−156718号公報及び特願昭58−30877号特開昭
59−158223号公報)。 しかし、この方法法によるネジ部材においても
更に品質改善を要するいくつかの事項があり、開
発研究を継続してきた。 又特開昭51−126262号に部材の最外層を筒状の
編んだクロスで覆つて種々の形態のFRP部材を
連続して引抜成形する方法が記載されている。こ
の発明の目的は棒状の、たとえばT形をした棒の
軸方向と直角方向の強度を強くする事にあり、ネ
ジ部材を作る事を意図していない。すなわち筒状
に編んだクロスの厚みが薄いため、これにより得
られた棒状の部材からボルトのようなネジ部材を
作製したとしても、ネジ切削の段階で筒状の編ク
ロスは切りきざまれ、ボルトネジ山強度は低下し
てしまう事になる。 [発明が解決しようとする問題点] 先にも述べたようにFPR製のネジ部材は、耐
蝕性、電気絶縁性等が非常に優れているため市場
性のある物品であるが、現状ではその強度物性が
劣つている事と極端に高い製造コストのため、用
途が限定されているのが実状である。 本発明の目的は、ボルトのようなネジ部材にお
いてナツトで締めつけた際、ネジ山部の剪断強度
が十分にあり、かつボルト自体の引張強度も十分
あるネジ部を提供する事にあり、又ナツトのよう
なメネジ部材においても十分な締めつけトルク強
度を有するネジ部材を提供する事にある。 又もう一つの目的は、このようなネジ部材が効
果的に大量生産出来、FRP製ネジ部材が安価に
提供しうる事にある。 [問題点を解決するための手段及び作用] この発明の目的は多数の強化繊維と熱硬化性樹
脂からなるFPR製ネジ部材を提供する事にあり、
ネジは部材の外側の場合オネジとなり、部材の内
側の場合メネジとなる。その特徴とする所は強化
繊維の配列にあり、ネジの軸方向に強化繊維束が
筒状に編まれ、しかもその一層の厚さがネジ山の
高さより厚いため、ネジが切られていない芯部よ
りネジ山部にかけて強化繊維束がつながつた形で
存在する事を特徴とするネジ部材を提供する事に
ある。 すなわち、本発明によれば、熱硬化性樹脂と強
化繊維束の束から構成されてなる繊維強化プラス
チツク製のネジ部材であつて、強化繊維束により
編まれた、その軸方向がネジ山部材の軸と同方向
の筒状編物の少なくとも一層が、ネジ部材の外表
面又は内表面に作られたネジ山とそれに近接する
ネジの芯部にまたがつて存在することを特徴とす
る繊維強化プラスチツクネジ部材が提供される。 本発明によれば、ネジ部材中の強化繊維は何層
かの筒編み層として存在する事になる。更にネジ
部材が棒状のネジ部材(例えばボルトのような)
又はナツトのように内面にネジを切つたようなも
のの場合、ネジ部とネジ部に隣接する芯部に強化
繊維束で編んだ筒状ニツトの一層がまたがつた形
で存在し、強化繊維束が芯部よりネジ山部につな
がつた形で存在する(又は芯部よりネジ部につき
ささつた形で存在する)事がその特徴である。又
この筒状編物の芯部にはネジ用部材の軸方向と同
方向にそろえた繊維束を入れる事により、ネジ部
材の引張強度をあげる事が可能となる。 よく知られているように、編組織においては編
物を構成しているヤーン(繊維束)はループ状に
編まれており、3次元構造となつている。すなわ
ち、ヤーン又は繊維束のループは、編組織の設計
とヤーン又は繊維束等の太さに依存する傾角をも
つて、編物の平面から規則的に立上る事になる。 それ故、編ひもがネジ切りが施されたネジ部と
それに隣接する芯部にまたがるようにうまく編構
成しうるならば、筒編物のヤーン又は繊維束はネ
ジ部とそれに隣接する芯部にまたがり、しかもヤ
ーン又は繊維束の編ひもにおける繊維角度をネジ
部材のネジ勾配にそわす事も可能である。 このように、もしヤーン又は繊維束をネジ部と
ネジに隣接する芯部にまたがらせうるならば、繊
維強化プラスチツクのネジ部材のネジ部における
剪断強度を飛躍的に増大させる事が可能となる。 本発明の目的を達成するためには、筒状編物の
一層が、ネジ部とそれに隣接する芯部にまたがつ
ている事が重要である。 そうすれば樹脂で固められたネジ部と芯部がヤ
ーン又は繊維束によりしつかりと結ばれる事にな
る。 本発明のネジ部材に使用される強化繊維として
は、低価格から、ガラス繊維を使用するのが好ま
しい。しかしながら他の繊維、たとえばアラミド
繊維又はカーボン繊維などがガラス繊維の替わり
に使用可能である。これらの強化繊維は主として
多数のフイラメントを集めて集束したストランド
の形で使われる。 又、強化繊維のマトリツクスとなる熱硬化性樹
脂との接着強度を上げるため、繊維をカプリング
剤等で処理する事が望ましい。 熱硬化性樹脂としては、通常繊維強化プラスチ
ツクに使われている樹脂、すなわちエポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹
脂等が本発明のネジ部材用樹脂として使われる。
しかしながら、高い機械的強度を持つネジ部材を
得るためには、エポキシ樹脂の使用が望ましい。 ネジ部材中の強化繊維の割合は55〜78重量%が
好ましいが、特に60〜75重量%が最も好ましい重
量割合である。もしこの割合が55重量%未満であ
ると物性に対する強化繊維の貢献度が低下してし
まい、高い機械物性を持つネジ部材を得る事が出
来なくなる。又、もしこの比率が78重量%を超え
ると樹脂が含浸していない強化繊維部分が生じ、
その結果強化繊維間の完全な結合が失われ、ネジ
部材の機械物性がばらつく事になる。 ネジ部の補強効果を増すために、他の物質、例
えばチヨツプドストランドやカールした状態のス
トランドを上記の強化繊維、すなわち筒状の編ひ
もや繊維束に加える事も出来る。 又、追加の繊維強化材を適量樹脂に練り込んで
使う事も可能である。この際追加される繊維強化
材の量は、筒状編ひもの形や太さ、編設計等や作
られるネジ部材の大きさ、用途等により変わつて
来る。 本発明の理解を助けるために、本発明による強
化繊維を用いたプラスチツク製ネジ部材の背景に
ある本質的な技術的アイデアについて添付図に基
づき詳細に記載する事にする。 先に述べたように、本発明によるネジ部材に
は、ボルト、ナツトが含まれるが、まず本発明に
基づくボルトについて説明する事にする。 第1図に本発明によるボルトの典型的な例を示
す。 ボルト1はネジ部2と芯部3からなる。第2図
に図式化されているようにネジ部2は第2図のら
せん4で示されているようにボルトのネジ部を含
んでいる。第1図のボルト1には、筒状あみひも
の2層5a,5bが配置されており、ボルト1の
コア部(中心部)には強化繊維からなる1本以上
の繊維束6を持つている。 強化繊維は樹脂7により固められている。最外
層に位置する筒状の編ひも5aは、ネジ部2とネ
ジ部2に隣接する芯部3の3a部にまたがつて存
在している。それ故、以下の第5図の説明で詳細
に述べられているように、筒状編ひも5aを構成
している繊維束はネジ部2から芯部3まで延びて
おり、それ故ネジ部2はしかりと芯部3に連結さ
れているわけである。よつて本発明に基づくボル
ト1のネジ部2は強い剪断強度を有する事が可能
となる。 筒状編ひもは数百から数万のフイラメントから
なる1本又は数十本のストランドを集束したロー
ビングを編む事により製作出来る。ロービングは
編機上で直径が0.5〜10mmある。 第3図は筒状編ひもの正面写真を示す。 第3図の筒状編物において、繊維束51,5
2,53は最初のコースで左方向に傾斜して走つ
ており、次のコースでは繊維束51′,52′,5
3′が右に傾斜した角度でもつて編込まれている。
繊維束55,56からわかるように、繊維束5
5,56のそれぞれにおいてaの部分は筒状編ひ
もの面からそれぞれ外向きに出て来ており、それ
ぞれの繊維束55,56のbの部分は筒状編ひも
の中心部へ向つてつきささつている形となつてい
る。更に繊維束55と56はそれぞれの繊維束の
太さとふり角度のニツト設計により、定まつた角
度でもつて交叉している。 又、繊維束の各部分は第3図のように編まれて
行くので、それぞれの繊維束中におけるフイラメ
ントフアイバーの配置は棒状の成形品において各
位置で全く位置関係が変わつてしまう事になる。 第4図は芯部(コア部6)及び5a,5b,5
cの3層の筒状編物からなるネジ切り前のロツド
の断面を示す。 第4図において、それぞれの繊維束中の各フイ
ラメントの配置、すなわち最外層の筒状の編ひも
5aを構成している繊維束の傾斜方向は、棒状の
円周方向の位置に応じて変つてくる。 第5図においてボルトのネジ山における繊維束
の配列の例を図式的に繊維束55,56を使つて
説明する事にする。 X軸方向はネジの谷底に対する0点を通る接線
であり、ネジの軸方向と平行である。Y軸はボル
トの半径方向を示す。Z軸はネジの谷底の0点を
通る接線方向であるが、ネジ山の円周方向を向い
た軸である。 第5図を左から右手方向にながめた時、繊維束
55はネジの芯部3から出てまずネジ部2の傾斜
面2bにそつてネジ部2の頂点2cに達した後、
繊維束55はその方向を下方にかえ、Z軸の更に
進んだ地点でネジ部2の傾斜面2aに近づく。そ
して最終的にはネジの芯部3に到達する。 それ故に繊維束は実質的にネジ山の円周方向に
そつて一定の間隔をおいてネジ部の傾斜面にそつ
て位置する事になる。この状況を第5図で示す
と、左手方向に傾斜した方向に向いている繊維束
は、ネジの傾斜面2bに実質的にそつており、5
5cの丸印で表わされている。又、右手方向に傾
斜した方向を向いている繊維束は、実質的にネジ
の傾斜面2aにそつており、×印56cで表わさ
れている。 第6図から明らかなように55c及び56cの
点は連続ではなく一定間隔をおいて配列されてい
る。しかしながら1つのネジ山について考えるな
ら、その各点において繊維の集束体は一つのネジ
山の円周方向にネジの傾斜面にそつて配置されて
おり、しかもその個々の繊維集束体はネジの芯部
(ネジが切られていない軸芯部)に入り込んでい
るわけである。したがつてボルトがナツトにより
締めつけられたり、ナツトで締めつけてあるボル
トに引張力が働いて、ネジ山に剪断力が作用して
もこの繊維集束体がその剪断力に耐えてもちこた
えてくれるわけである。 第7図は本発明のボルトにおける1つのネジ山
の断面写真である。 55cの位置にある繊維の束は、実際にネジ山
の右側の傾斜面にそつて走つており、他方57,
58の繊維束は図の面に直角な平面内を実際上走
つているわけである。 以上に述べた事から理解しえるように、ネジ山
部材、すなわちボルトやナツトに使用される筒状
編ひもの最外層(又はナツトの場合は最内層)の
層の厚みはネジ山の高さ以上あつて、繊維束がネ
ジ芯部(ネジのネジ山が切られていない部分)か
らネジ部にまでつながる事が大切である。 この種の性質を持つ筒状編物の製造方法を第8
図と第9図により説明する。 例えば筒状編物は第9図において模式的に示さ
れるような、12の編針を有する円形編機により
製造し得る。 第9A図は、1つの繊維束51が編針91と9
2を往復して編まれて行く場合を示している。こ
の場合の編構造が第8A図に模式化されて示され
ている(いわゆる1針振り)。第9B図は1つの
繊維束51が編針91と93の間を往復して編ま
れて行く場合を示す。この場合の編組織が第8B
図に示されている(いわゆる2針振り)。 更に第9C図に1つの繊維束51が編針91と
94の間を往復して編まれて行く場合を示す。こ
の場合の編組織は第8C図に示されている(いわ
ゆる3針振りのケースである)。第3図において
説明した筒状編ひもは、第8C図及び第9C図で
説明した編組織で編れた編ひもに対応する。すな
わちこの編組織は3針振りの組織として知られて
いるものである。第8C図及び第9C図の編組織
に基づいて編まれた筒状編物は、第8A図及び第
9C図による編物に比較して厚みの厚い編物とな
る。かつ、第8A図及び第9A図に基づく筒状編
物に比べ、第8C図、第9C図の繊維束51は内
部よりもつと立上がつた構造をとつている。 第10図に本発明による棒材の一例を示す。そ
れには強化繊維の構成と樹脂で固められた部位が
表わされている。 すなわち繊維束6は中心部のコア材であり、こ
の繊維束6を連続的に筒状編ひも5a,5bがお
おつている。この棒状部材の右端の部分は樹脂で
固められている。本発明の棒状部材において、通
常複数の筒編ひもを上へ上へとかぶせた構造をと
る。この際筒編ひもの層の間はお互いに適当な方
法で結合される事が望ましい。 複数の筒編ひもを使う場合、内層の編ひもは太
い繊維束を本数を少なく使つて粗く編み、外層の
編ひもは細い編ひも多数使用して細かく編むのが
よい。これは、ネジ部は編ひもが太いと欠けるお
それがあるので細い方がよく、ネジ部の基礎とな
る内部は編ひもが太い方が強く、かつ、それぞれ
の層の編ひもがからみ易いからである。先に記載
した構造をした複数の筒編層からなる棒部材は、
筒状編ひも間の剥離現象が、締めたネジ部に引張
応力がかかつても、トルク応力がかかつても、生
じる事がない。ななぜなら引抜成形法により棒状
部材が作られる時、外層の凸凹部に内層の凹凸部
がそれぞれかみ合うからである。 軸芯部に使用される繊維束は実質上、ネジ部材
の軸と平行な方向へ引そろえられる。又、筒状編
ひもや軸芯部に使われる繊維束は撚があつてもな
くてもよい。通常はずかに撚がかかつた繊維束が
その取扱いを容易にするために用いられる。 第11図にナツト8の具体的構造を示す。ナツ
ト8も又樹脂を含浸させた筒状編ひもから作られ
る。その際筒状編ひも5の繊維束は、ボルト1の
場合に述べたのと同じようにナツトのむく部より
ネジ部2に延びているのである。 ナツトはそのネジ部に高い剪断強度を有する事
が必要であるが、通常はネジの軸方向の引張強度
は必要としない。したがつてナツトの軸方向と平
行に繊維束を配向させる必要は通常ない。 ナツトのネジ山を作る方法について第13図〜
第16図を使つて説明する。第13図〜第16図
の各図は六角ナツトを作る際の各ステツプを表わ
している。まず必要な厚みを有する筒状編ひも
(必要な厚みが一層で達成出来ない時は多層に重
ねる)を作製する。 芯13を筒状編ひもの中央部の穴に通す(又は
筒状編ひもを編みあげる際に中心に芯を通して回
りに編みあげて行つてもよい)。次いでこれを熱
硬化性樹脂11の樹脂液につけ、筒状編ひもの空
隙部を樹脂で満す。この場合芯に入れる棒は離型
剤を塗布しておく事が好ましい。このようにして
熱硬化性樹脂11を含浸させた筒状編ひも5は、
次いで六角形の形をした形に押込まれる。そして
熱をかけて硬化される。 この成形工程は第16図に模式的に示してある
ようなプレス金型を作つて行なつてもよい。 プレス成形金型17は雄型18aと雌型18b
からなり、六角ナツトを作るに必要な形状をして
いる。そして製造されるナツトの大きさに応じた
幅aを有している。 成形方法としては、中空の金型又は2つ割の金
型を用いて成形し、そして各金型を加熱し硬化さ
せる方法、中空の加熱金型の中を樹脂を含浸させ
た強化繊維を連続的に引抜いて成形する方法等が
可能である。ネジ部材の総重量に占める強化繊維
の比率は金型に強化繊維と樹脂を満たす工程を調
整する事によりコントロール可能である。 たとえば引抜成形の際筒状編ひもは5〜15%伸
ばされる。よつて樹脂量は定められた値が得られ
るよう筒状編ひもの伸びを考慮して決定する事が
必要である。更に棒状部材において何らのエアだ
まりが生じないよう、強化繊維の間を樹脂で満た
す事が必要である。 硬化させて後金型17と芯13は棒状部材16
から取除かれ、棒状部材は一定の長さに切断され
る。それからカツト片の中央の穴にネジ15が切
られる。容易に切断可能な物、たとえば樹脂棒等
が芯として使われると、芯を切断すると同時に棒
状部材にネジ切りを施す事によるナツトの製造が
可能となる。 又更にネジが外周に切つてある鉄芯に離型剤を
コーテイングし、それを芯として棒状部材を作成
し、芯をらせん状にまわして抜く事により内ネジ
を切つた棒状部材を作製する事も可能である。こ
の方法を用いて作製したメネジは、ネジ山におけ
る強化繊維が切削等によつて傷付けられていない
ため、強いネジ山強度を有する。又強化繊維や樹
脂のロスがない事から、低価格で製作が可能とな
る。 筒状編ひもをガラス繊維のフイラメントの束か
ら製造する際には次の条件を満足する事が好まし
い。 Γ 繊維束中のガラス繊維フイラメント本数の望
ましい範囲は800本から30000本である。 Γ 繊維束の望ましい単位重量は0.1g/mから
10g/mの範囲である。 Γ ガラス繊維の望ましいフイラメント直径の範
囲は6μmから28μmである。 Γ 筒状編ひもを編むのに使用される繊維束の数
の望ましい範囲(すなわち好ましいニードル
数)は3〜24本である。 本発明によるボルトも又ナツトの製造方法と同
様な手段で作る事が出来る。但しこの場合、引張
強度の強いボルトを作るために棒状部材の中心部
(コア部)にロービングのような長繊維の繊維束
を使うのがよい。 更に、筒状編ひものようなひもは柔軟性に富ん
でいるので、例えば第12図に示すような両端に
ネジを有するU型のボルトのようなものでも筒状
編ひもを樹脂に含浸させ、作りたいボルトの形状
をした金型内で硬化させる事により自由に得る事
が可能である。 もし必要ならば、この方法を用いてV型ボルト
とか表面に凹凸を有するボルト等の特殊ボルトを
作る事も可能である。ネジ部材中のネジの切り方
に関しては筒状編ひもの一層以内にネジ山が切ら
れている事が重要である。すなわち編ひものルー
プにおける繊維束の端はネジを切られていない芯
部から出て、ネジ部に入つていつている事が重要
であり、繊維束の一方の端はネジが切られていな
い芯部のひもにしつかりとつながつている事が必
要である。その結果としてネジ山の剪断強度は著
しく向上する。 本発明において強化繊維としてガラス繊維束を
用いた時の機械的性質を次に記載する。 以下に述べるトルク強度は、鉄のブロツクの穴
を通したボルトにワツシヤーをはめ、これに鉄の
ナツトをはめて通常のトルクメーターにより締め
つけ、破損時のトルク強度を測定したものであ
る。 又以下に述べる引張強度に関しては、通常の引
張試験機を用い、第17図に示されているように
ボルト1の両端にワツシヤー22a,22bおよ
び鉄ナツト23a23bをはめ、これを引張治具
ホルダー21a,21bの間にはめ、上下に引つ
張つてその破断強度を測定する。
【表】 先に述べたように強化繊維の強化繊維束により
編まれた筒状編ひもは、ネジ部をネジの切られて
いないむく部にまたがつて存在しているので、本
発明によるネジ部の剪断強度は通常のFRP製ネ
ジ部材より強くなる。又、強化材として使用され
ている筒状編ひもは柔軟性に富んでいるので、特
別な形状をした種々のボルトを容易に作る事が出
来る。 更に筒状編ひもを使う事により、連続生産が可
能となり、製造コスト等が低減され、その結果と
してFRPネジ部材の用途が広がる事になる。 本発明によるネジ部材は以上に述べて来たよう
な顕著な特徴を有する事により、化学プラント用
ネジ部材として、トンネル内のアンカーボルトと
して、又コンクリート型枠用ボルトとして、又電
気絶縁ボルトとして使用可能である。 [実施例] 本発明を更に実施例により説明するが、本発明
を限定するものではない。 実施例 1 中心部に引そろえた繊維束のコア層とその外に
筒状編ひもの2層からなる編ひもが本発明により
なるボルトを作るために準備された。 コア部;米国PPG社のガラス繊維ロービング712
(8800Tex)3本 内層の筒状編物; 米国PPG社1062(1100Tex)ロービングを
12本使用しシリンダー内径17mm、ニードル
数12本の筒編機により、先のコア部の上に
筒編を行なつたもの 外層の筒状編物: 同じく米国PPG社の1062(1100Tex)のロ
ービングを12本使用し、シリンダー内径25
mm、ニードル数12本の筒編機により上述の
内層筒状編物の上に筒編を行なつたもの このようにしてコア部を入れれば3重構造の直
径が10.5〜11.0mm、重量125g/mの編ひもを作
製した。この編ひもを下記の組成の均一に混合し
た樹脂組成液に浸した。 エポキシ樹脂AER331 100重量部 酸無水物HN2200(日立化成)硬化促進剤
80重量部 1B2MZ(四国化成) 2重量部 この樹脂を含浸せしめた編ひもを120℃に加熱
した1.5mの長さの金型の内径10.5mmの穴の中を10
cm/分の速度で通過させ、10.5mmの外径を有する
棒を作成した。この棒を120℃、3時間、更に150
℃で5時間ポストキユア(後硬化)したのち、セ
ンタレスマシーンを使用して直径10mmの棒とし
た。この棒より実施例1(表1参照)に対応する
ボルトをM10のダイスを使用しネジ切りを施し作
製した。このようにして得られたボルトの物性が
表1に、熱硬化性樹脂に50%のガラス繊維を混入
して得られたロツドに転造法によりネジ切りを施
して作られた市販のM10ボルトとの比較のもとに
示されている。
【表】 実施例 2 本発明からなるナツトを作製するため、次の条
件のもとに3層構造を有する編ひもを作製した。
各層に用いられたガラス繊維ロービングは米国
PPG社の品番1062(2000Tex)のロービングであ
る。 内層筒状編物; 離型剤を塗布した直径10mmの鉄のロツドの
上に内径17mm、ニードル数12本を有する筒
編機により、上に述べたロービングを12本
使用して筒編を実施した。 中間層筒状編物; 上の内層筒状編物の上にシリンダー内径23
mm、ニードル数12の筒編機を用い、上に述
べたロービングを12本使用して作製した筒
状編物を更にかぶせた。 最外層筒状編物; このようにして得られた2重筒状編物の上
にシリンダー内径25mm、ニードル数12本を
有する筒編機を使用し、12本の先に述べた
ロービングにより筒編機を作製し更にかぶ
せた。 このようにして得られた直径約20.0〜21.0mm、
重量373g/mからなる3重構造の編ひもを実施
例1と同一の樹脂液中に浸し、その後第16図に
示されているような金型により、金型温度120℃、
圧力50Kg/cm2の条件で加圧時間1時間で加圧成形
を実施し、六角形状の棒を作製した。 この棒を120℃、3時間、150℃、5時間ポスト
キユア(後硬化)した後、16mmの厚みに切断し
た。中心部の鉄のコアをたたく事によりひき抜き
去り、この穴にM12のタツプを用い、ネジを切つ
て実施例2のナツトを作製した。このナツトの物
性を表2に示す。 実施例 3 実施例3のナツトは実施例2の鉄芯のかわりに
M12のボルトを芯材として使用し製作した。ガラ
ス繊維組成及び作製方法は実施例2と全く同一で
ある。得られた六角の形をした棒は16mmの厚みに
切断し、芯材として使用したボルトは回転して取
り除いた。実施例3としてこのようにして得られ
たナツトの物性を表2に示した。
【表】 [発明の効果] 本発明のプラスチツク製ネジ部材は、筒状編物
の形態をした強化繊維がネジ部とそれに隣接する
ネジを切られていないむく部にまたがつて存在す
るために、ネジ部において大きな剪断強度を示
す。また、強化繊維を筒状編物の形態で使用する
ため、強化繊維への熱硬化樹脂の含浸、成形、硬
化、離型等の各工程が連続して行うことができ、
大量生産が可能になり製造コストを低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるボルトの一部断面図を有
する平面図である。第2図はボルトの軸と直径方
向の断面図を示す。第3図は本発明によるボルト
の強化繊維として使用される筒状編ひもの繊維の
形状を示す拡大写真である。第4図は本発明によ
る筒状編ひもをエポキシ樹脂を含浸し硬化させネ
ジ部材用ロツドを作製した、そのロツドの断面の
繊維の形状を示す断面拡大写真である。第5図は
ネジ山部における繊維束の入り方を模式図的に説
明するために描いた、本発明によるボルトのネジ
山部の透視図である。第6図はネジ部の傾斜にそ
つて強化繊維が傾きをもつて交互に配向している
事を図式的に示すためのボルトの断面図である。
第7図はボルトの軸方向に切断されたネジ部の繊
維の形状を示したもので、ネジ部を35倍に拡大し
た顕微鏡写真である。第8図は本発明によるネジ
部材を作製するための筒状編ひもを作るための編
設計の3つの例を示す正面図である。第9図は本
発明によるネジ部材を製造するために必要な筒状
編ひもを作るための編機における、編みニードル
と繊維束の関係を模式図的に示した平面図であ
る。第10図は本発明による棒状物の繊維の形状
を示す正面写真であり、三層構造の編ひもを部分
的に樹脂で硬化させたものである。第11図は本
発明によるナツトの部分断面図である。第12図
は本発明によるネジ部材の例としてU型ボルトを
示す斜視図である。第13図〜第15図は本発明
によるナツトの製造プロセスを模式図的に示す斜
視図である。ここで第13図は棒状物の製作の第
1段階を示し、第14図は六角形状の外面を有す
る棒状物の形状を示し、第15図は棒状物からナ
ツトを切り出した状態を示す。第16図は六角形
をした棒状物を成形するための金型を示す断面図
である。第17は本発明によるネジ部材の引張強
度を測定するための装置を示す斜視図である。 1……ボルト、2……ネジ部、2a,2b……
ネジ部の傾斜面、2c……ネジ部の頂点、3……
芯部、4……らせん、5,5a,5b……筒状編
ひも(但し、5aと5bは異なる層を示す)、6
……コア部の繊維束、7……熱硬化性樹脂、8…
……ナツト、91,92,93,94……編針、
10……熱硬化性樹脂で固められた部分、11…
…熱硬化性樹脂、12……中空棒、13……芯、
14……成形型、15……ネジ、16……棒状部
材、17……金型、18a……雄型、18b……
雌型、21a,21b……引張治具ホルダー、2
2a,22b……ワツシヤー、23a,23b…
…鉄ナツト。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 熱硬化性樹脂と強化繊維束から構成されてな
    る繊維強化プラスチツク製のネジ部材であつて、
    強化繊維束により編まれた、その軸方向がネジ山
    部材の軸と同方向の複数の筒状編物で、ネジ山先
    端に対して内層になるに従つて編ひもを太い繊維
    束を本数を少なく使つて粗く編んでなる複数の筒
    状編物を複数層重ね、それらの筒状編物のうち少
    なくとも一層が、機械加工によりネジ部材の外表
    面又は内表面に作られたネジ山とそれに近接する
    ネジの芯部にまたがつて存在することを特徴とす
    る繊維強化プラスチツクネジ部材。 2 多重構造を形成している各筒状編物が互いに
    つなぎ合わされた構造を有する特許請求の範囲第
    1項に記載の繊維強化プラスチツクネジ部材。 3 強化繊維の総重量が繊維強化プラスチツクネ
    ジ部材中55〜78重量%である特許請求の範囲第1
    項記載の繊維強化プラスチツクネジ部材。 4 強化繊維束が強化繊維の複数本のフイラメン
    トからなり、該フイラメントの本数が800〜30000
    本の範囲にあり、これを平行に引きそろえた繊維
    束をもつて筒状編物となした特許請求の範囲第1
    項記載の繊維強化プラスチツクネジ部材。 5 強化繊維束の重量が0.1〜10g/mの範囲内
    にある特許請求の範囲第4項記載の繊維強化プラ
    スチツクネジ部材。 6 強化繊維のフイラメントが6〜28μmの範囲
    の直径を有する特許請求の範囲第4項記載の繊維
    強化プラスチツクネジ部材。 7 筒状編物が繊維束の本数(ニードル数)3〜
    24で編まれた特許請求の範囲第4項記載の繊維強
    化プラスチツクネジ部材。
JP61079898A 1985-04-05 1986-04-04 強化繊維を用いたプラスチツク製ネジ部材 Granted JPS6237131A (ja)

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JP7118185 1985-04-05
JP60-71181 1985-04-05

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JPS5845926A (ja) * 1981-09-16 1983-03-17 Sumitomo Electric Ind Ltd ねじ継手を有する繊維強化プラスチツク製パイプの製造法

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