JPH05305087A - 超音波診断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽度の異常血流であっても容易に検出可能な
超音波診断装置を提供すること。 【構成】 超音波を生体内に送信して生体からの反射信
号を受信し、前記受信信号からドプラ信号を検出した後
に、クラッタ成分を除去して血流信号のみを検出し、前
記血流信号から検出した平均速度、分散情報を断層像上
にカラー表示する超音波診断装置において、前記平均速
度及び分散と所定の平均速度及び分散のしきい値とをそ
れぞれ比較し、前記平均速度及び分散が前記しきい値を
越えるかどうかを判定するしきい値判定手段と、前記平
均速度及び前記分散の両者が前記平均速度及び分散のし
きい値をそれぞれ越える部分に対応する血流のカラー表
示画素を通常表示以外の特別な色相で表示する表示手段
とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軽度の異常血流部位で
あっても容易に識別でき、診断部位別の診断が容易な超
音波診断装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来の超音波診断装置の測定系を
示すブロック図である。

【０００３】図５に示すように、送受信手段２の信号に
よりプローブ１から発生された超音波は生体（図示しな
い）により反射されて再びプローブ１で受信される。こ
の受信信号は加算器３を介して、それぞれ２つのミクサ
ー４に入力する。これらの２つのミクサー４は、互いに
位相が９０°異なる基準信号が位相変換器５によって与
えられ、前記受信信号との積が取られる。ミクサー４か
らの出力信号は帯域フィルタ６に入力する。帯域フィル
タ６は前記ドプラ信号から、高周波成分及びクラッタ成
分を除去して血流信号のみを出力する。その後、周波数
解析器７によりドプラ偏移周波数が求められると共に、
生体内の平均速度、分散及びパワーが検出される。ま
た、加算器３の出力は検波手段８に入力し、断層像が検
波手段８からＤＳＣ（テジタル・スキャン・コンバー
タ）９に出力される。最終的に、ＤＳＣ９により、周波
数解析器７で検出された前記検出結果が色調コードに変
換されて、表示部１０により前記断層像上に表示され
る。

【０００４】上記のような構成において、従来は、速度
表示、分散表示、パワー表示及び速度分散表示を選択で
き、速度分散表示においてジェット流や乱流の強い部分
をモザイクパターン的になるように表示していた。ここ
で、速度分散表示は次のように行われている。平均速度
の大きさを輝度で表示し、分散の大きさを色相で表現す
る方法で表示を行う。例えば、平均速度については、血
流がプローブ１に近づく場合には赤系の色とし、血流が
プローブ１に遠ざかる場合には青系の色とし、平均速度
が大きくなるにつれて輝度を大きくする。また、分散が
大きくなるにつれて他の色（例えば、緑色）を混ぜるよ
うにしている。

【０００５】しかし、従来の速度分散表示では、平均速
度及び分散の変化を色調の連続的な変化のみで行ってい
ることから、折り返しが発生するような重度の異常血流
部位のみの抽出しかできなかった。従って、軽度の異常
血流を検出するには、従来の速度分散表示では抽出する
ことが困難であることから、多くのオペレーションを行
う必要があった。このことから、従来は、軽度の異常血
流の検出に多大な労力と多くの時間を要していた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
超音波診断装置は、軽度の異常血流の検出に多大な労力
と時間を費やさなければならない問題があった。本発明
は、上記の事情に基づいてなされたもので、軽度の異常
血流であっても容易に検出可能な超音波診断装置を提供
することを目的とする。また、本発明は、診断部位別の
診断も容易に行うことができる超音波診断装置を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために次のような手段を講じた。

【０００８】超音波を生体内に送信して生体からの反射
信号を受信し、前記受信信号からドプラ信号を検出した
後に、クラッタ成分を除去して血流信号のみを検出し、
前記血流信号から検出した平均速度、分散情報を断層像
上にカラー表示する超音波診断装置において、前記平均
速度及び分散と所定の平均速度及び分散のしきい値とを
それぞれ比較し、前記平均速度及び分散が前記しきい値
を越えるかどうかを判定するしきい値判定手段と、前記
平均速度及び前記分散の両者が前記平均速度及び分散の
しきい値をそれぞれ越える部分に対応する血流のカラー
表示画素を通常表示以外の特別な表示方法で表示する表
示手段とを備えた。

【０００９】また、本発明は、上記に対応して、前記分
散のしきい値及び前記平均速度のしきい値を変更可能な
機能を有するしきい値設定手段を更に備え、このしきい
値設定手段は、診断部位別の前記各しきい値が設定可能
であり、かつ、診断部位に応じて前記各しきい値が変更
可能である手段を含んでいる。

【００１０】

【作用】上記手段を講じた結果、次のような作用が生じ
る。

【００１１】平均速度及び分散と所定のしきい値（可変
又は固定）とを比較・判定する手段と、このしきい値を
越える平均速度及び分散を持った血流のカラー表示画素
に対して通常表示以外の特別な色相で表示する手段を備
えている。また、平均速度及び分散について容易に異常
／正常の判定しきい値を変えることができる。従って、
本発明によれば、軽度から重度までの異常血流部位が一
目で分かり、診断時間を短縮できる。

【００１２】更に、異常／正常のしきい値の変更が容易
に可能であり、表示を特別な色調で表示できるので、異
常血流部位の検出の際の操作が簡単になることから、オ
ペレータの負担も軽減される。また、診断部位毎のしき
い値も設定或いは変更できるので、診断部位毎の異常／
正常の判定が容易である。

【００１３】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の超音波診断装
置の実施例を説明する。図１は本発明の超音波診断装置
の一実施例に係る測定系の構成例を示すブロック図であ
る。

【００１４】図１に示すように、送受信手段２の信号に
よりプローブ１から発生された超音波は生体（図示しな
い）により反射されて再びプローブ１で受信される。こ
の受信信号は加算器３を介して、それぞれ２つのミクサ
ー４に入力する。これらの２つのミクサー４は、互いに
位相が９０°異なる基準信号が位相変換器５によって与
えられ、前記受信信号との積が取られる。ミクサー４か
らの出力信号は帯域フィルタ６に入力する。帯域フィル
タ６は前記ドプラ信号から高周波成分及びクラッタ成分
を除去して血流信号のみを検出する。その後、周波数解
析器７によりドプラ偏移周波数が求められると共に、生
体内の平均速度、分散及びパワーが検出される。ここ
で、周波数解析器７は、例えば、自己相関演算により平
均速度と分散及びパワーを求めている。

【００１５】次に、正規化手段１１により分散の広がり
を所定の繰り返し周波数に基づいて正規化する。その
後、しきい値判定部１２により、速度及び分散のしきい
値が所定の値を越えているかどうかを判定する。また、
加算器３の出力は検波手段８に入力し、断層像が、検波
手段８からＤＳＣ（テジタル・スキャン・コンバータ）
９に出力される。そして、ＤＳＣ９によって周波数解析
器７で検出された前記検出結果が色調コードに変換さ
れ、表示部１０によって前記断層像上に表示される。こ
こで、前記しきい値判定部１２によりしきい値を越える
と判定された検出部分は、その部分に対応する表示断層
像上の画素にフラグを立てる等の手段を用いることによ
って特別な色相で表示される。例えば、従来の速度分布
表示に対して重ねて表示させる。上記の正規化手段１１
の必要性について以下に説明する。

【００１６】生体からの血流情報より求められた分散情
報は、ナイキスト周波数＝±ｆｒ／２（ｆｒは超音波繰
り返し周波数）の範囲内での速度分布のばらつき度合い
を示す情報である。速度成分が±ｆｒ／２の範囲内に一
様に分布している時は、分散情報は最大の値を示し、逆
に、単一の速度成分しかない時は分散情報は最小の値を
示す。また、ある周波数幅の速度分布を有している血流
に対して超音波繰り返し周波数を高周波数化してナイキ
スト周波数を広げると、その分散は相対的に小さくな
り、逆の場合は当然分散は大きくなる。

【００１７】従って、ナイキスト周波数を変化させた場
合、診断精度を確保するためには、しきい値をナイキス
ト周波数の変化に応じて変更する必要がある。そこで、
しきい値を一定に保った状態で、ナイキスト周波数が変
化した場合においても、精度良く診断を行うために、相
対的な分散情報を絶対的な分散情報に正規化する必要が
ある。

【００１８】上記の理由により、しきい値設定部１１に
よりしきい値との比較を行う前に分散情報を正規化する
正規化手段１１を設けている。但し、本正規化手段１１
は分散の正規化のみを行う機能を有していることから、
平均速度の正規化は行わない。ここで、正規化のための
基準となる周波数は、分散情報が統一化できるものであ
れば、どの周波数により正規化を行っても良い。平均速
度及び分散と予め設定したしきい値との比較判定につい
て、頚動脈を例にとって、図２及び図３により説明す
る。

【００１９】一般に、正常な血流は図２（ａ）のように
層流の分布となっており、分散情報は比較的小さな値と
なっている。しかし、血流内にプラークがあると、血流
はプラークを過ぎた近傍で図２（ｂ）のような渦流とな
る。この渦流は図２（ｃ）のような順逆を含む多くの速
度成分を有しているため、当然その分散情報は大きな値
を示す。この分散情報を図２（ｄ）に示すように特別な
色相で表示することにより、異常血流の判断が容易にな
る。

【００２０】上記のように、異常血流を判断する場合、
測定された血流の分散情報と分散に対する所定のしきい
値とを比較判定することにより、異常血流か否かの識別
をすることが可能となる。

【００２１】しかし、血管壁近傍の血流も分散情報が大
きな値を示す特徴があるので、分散情報のみの識別処理
では、血管壁近傍の正常血流を異常血流として識別して
しまう可能性がある。

【００２２】そこで、これを避ける手段として、図３に
示すように分散と平均速度の２つの情報を用いて、ある
一定値以上の平均速度を有し、かつ、ある一定値以上の
分散を有する血流のみを抽出することによって、図２
（ｄ）に示すような所望の異常血流のみを識別して特別
な色相で表示させる。次に、異常血流の重症度の判定方
法について説明する。

【００２３】図２に示すような頚動脈内のプラークで
は、プラークが大きくなるにつれて、異常血流部位での
速い速度成分が増加して速度分布が広がるため、その分
散が大きくなる値を示す傾向がある。また、心臓の弁逆
流・中隔欠損の場合では、重度になるにつれて、折り返
るような速いジェット流を生じるため、その血流は速い
速度を中心とした広い速度分布となり、速度・分散共に
非常に大きな値を示す傾向がある。

【００２４】従って、症状によってしきい値の判定に用
いる各しきい値を変更したり、診断部位情報に応じて各
しきい値を変更することによって軽度から重度までの異
常血流の識別が可能になる。上記のような軽度から重度
までの異常血流を識別するために、本発明では、更に、
図１に示すようにしきい値設定部１３を備えている。

【００２５】しきい値設定部１３は、異常血流部位の強
調の度合いを設定するスイッチ（図示せず）により、し
きい値判定に用いるしきい値を変更することができる。
更に、しきい値設定部１３は、診断部位又は症状別の各
しきい値が予め設定されている。部位又は症状別のスイ
ッチを有し、各スイッチが操作されることにより、診断
部位又は症状に応じてそのしきい値を容易に変更するこ
とができる。

【００２６】本発明は、上記実施例に限定されない。例
えば、図４に示すような構成も可能である。図４は、し
きい値判定部１２をＤＳＣ９の後段に配置した例を示す
ブロック図である。図２と同じ部分は同じ符号を付し、
説明は省略する。

【００２７】動画の場合、周波数解析後の平均速度、分
散の血流情報はリアルタイムにＤＳＣ９を経て表示部１
０に表示されるが、表示画像をフリーズにした場合、Ｄ
ＳＣ９はフリーズ前の数〜数フレーム分の表示画像をメ
モリに蓄え、１画面分の血流情報を読み出してフリーズ
像を構成する。また、シネメモリ再生の場合、前記メモ
リから数〜数１０フレーム分の表示画像を読み出して再
生像を構成する。

【００２８】ここで、表示画像をフリーズした場合を例
にとると、上記のようにしきい値判定部１２がＤＳＣ９
の前段にある構成では、フリーズ後にしきい値を変化さ
せてもフリーズ像の色相は全く変化しないことになる。

【００２９】従って、このしきい値判定部１２をＤＳＣ
９の後段に構成することによって、表示画像フリーズ後
であっても、しきい値設定のオペレーションに応じて表
示画像における異常血流表示度合いを変えられるように
することが可能となる。また、上記のような手段は上記
シネメモリ再生時においても同様の効果を得ることがで
きる。その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変
形して実施できるのは勿論である。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば次のような効果が得られ
る。

【００３１】周波数解析後の速度及び分散と、予め設定
したしきい値（可変）とを比較・判定する手段と、しき
い値を越える速度及び分散を持った血流のカラー表示画
素に対しては、通常表示以外の特別な色相で表示する手
段を備えていることから、周波数解析後の速度及び分散
と、容易に異常／正常の判定しきい値を変えらることが
できる。従って、本発明によれば、軽度から重度までの
異常血流部位が一目で分かり、診断時間を短縮できる。

【００３２】更に、異常／正常のしきい値の変更が容易
に可能であり、表示を特別な色調で表示できるので、異
常血流部位の検出の際の操作が簡単になることから、オ
ペレータの負担も軽減される。また、診断部位毎のしき
い値も設定或いは変更できるので、診断部位毎の異常／
正常の判定が容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の超音波診断装置の一実施例に係る診断
系のブロック図。

【図２】頚動脈の血流に対する異常血流とその表示例及
び異常血流のスペクトル（クラッタ除去後）を示す図。

【図３】本発明における速度及び分散のしきい値判定ア
ルゴリズムの例を示す図。

【図４】本発明の超音波診断装置の変形例に係る診断系
のブロック図。

【図５】従来の超音波診断装置の診断系を示すブロック
図。

【符号の説明】

１…プローブ、２…送受信手段、３…加算器、４…ミク
サー、５…位相変換器、６…帯域フィルタ、７…周波数
解析器、８…検波手段、９…ＤＳＣ、１０…表示部、１
１…正規化手段、１２…しきい値判定部、１３…しきい
値設定部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】超音波を生体内に送信して生体からの反射
   信号を受信し、前記受信信号からドプラ信号を検出した
   後に、クラッタ成分を除去して血流信号のみを検出し、
   前記血流信号から検出した平均速度、分散情報を断層像
   上にカラー表示する超音波診断装置において、 前記平均速度及び分散と所定の平均速度及び分散のしき
   い値とをそれぞれ比較し、前記平均速度及び分散が前記
   しきい値を越えるかどうかを判定するしきい値判定手段
   と、 前記平均速度及び前記分散の両者が前記平均速度及び分
   散のしきい値をそれぞれ越える部分に対応する血流のカ
   ラー表示画素を通常表示以外の特別な表示方法で表示す
   る表示手段と、を備えたことを特徴とする超音波診断装
   置。
2. 【請求項２】前記分散のしきい値及び前記平均速度のし
   きい値を変更する機能を有するしきい値設定手段を更に
   具備することを特徴とする請求項１記載の超音波診断装
   置。
3. 【請求項３】前記しきい値設定手段は、診断部位別の前
   記各しきい値が設定可能であり、かつ、診断部位に応じ
   て前記各しきい値が変更可能である手段を含むことを特
   徴とする請求項２記載の超音波診断装置。
4. 【請求項４】前記表示手段は、特別な表示方法として通
   常表示以外の特別な色相を用いることを特徴とする請求
   項１、２又は３記載の超音波診断装置。