JPH052998A - 陰極線管用電子銃 - Google Patents

陰極線管用電子銃

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JPH052998A
JPH052998A JP30962591A JP30962591A JPH052998A JP H052998 A JPH052998 A JP H052998A JP 30962591 A JP30962591 A JP 30962591A JP 30962591 A JP30962591 A JP 30962591A JP H052998 A JPH052998 A JP H052998A
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繁 菅原
Jiro Shimokawabe
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 第1電極群を介して放出される電子ビームを
蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズを形成する
第2電極群を、蛍光体スクリーン側を大径円筒部48とし
てそのカソードK 側に偏平筒部49が一体に形成された第
1電極45とこの第1電極の大径円筒部を包囲する大径円
筒部を有する第2電極46とから構成し、その偏平筒部の
長側面側に第1支持片53を、第2電極の大径円筒部に第
1電極の偏平筒部の最大径部を覆う一対の支持板を取付
けてこの一対の支持板に第2支持片54を設け、この一対
の第2支持片を電子ビームの進行方向と垂直な方向に間
隔をおいて配置し、この第2支持片を介して第2電極を
固定する部分の絶縁支持部材52の幅を第1電極群の複数
の電極を固定する部分の幅より大きくした。 【効果】 第1、第2電極を強固に固定でき、大口径電
子レンズの精度を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、陰極線管用電子銃に
係り、特に高精度の組立てが可能な大口径電子レンズを
有する陰極線管用電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に陰極線管は、図4に示すように、
外囲器1 のフェースプレート2 内面に蛍光体スクリーン
3 が形成され、外囲器1 のネック4 内に配設された電子
銃5 から放出される電子ビーム6 を外囲器1 の外側に装
着された偏向ヨーク7 の発生する磁界により偏向して、
上記蛍光体スクリーン3 を水平、垂直走査することによ
り、この蛍光体スクリーン3 上に画像を表示する構造に
形成されている。特にカラー受像管については、蛍光体
スクリーン3 に対向して、その内側に多数の電子ビーム
通過孔の形成されたシャドウマスク8 が装着され、一
方、電子銃5 を3電子ビームを放出する電子銃として、
この電子銃5 から放出される3電子ビーム6をシャドウ
マスク8 の電子ビーム通過孔により選別して、蛍光体ス
クリーン3 を構成する3色蛍光体層をランディングさせ
ることにより、その蛍光体スクリーン3 上にカラー画像
を表示する構造に形成されている。
【0003】上記電子銃には、各種構造のものがある
が、いずれも少なくともカソード、このカソードからの
電子放射を制御しかつ放射された電子を集束して電子ビ
ームを形成する複数の電極からなる第1電極群およびこ
の第1電極群から放出される電子ビームを蛍光体スクリ
ーン3 上に集束する主電子レンズを形成する複数の電極
からなる第2電極群を有する。
【0004】ところで、上記蛍光体スクリーン上に描か
れる画像を良好にするためには、蛍光体スクリーン上の
電子ビームのビームスポットを小さくすることが必要で
あり、そのためには、電子レンズ、特に主電子レンズの
レンズ性能を良好にすることが必要である。この主電子
レンズのレンズ性能を向上させる手段として、従来より
レンズ口径を大きくして、大口径電子レンズとするとよ
いことが知られている。
【0005】その大口径電子レンズを有する電子銃とし
て、特公昭57−18665号公報には、図5および図
6に示すように、主電子レンズを形成するカソード側電
極10の口径をネック4 の内径に極力近づけるように大き
くし、蛍光体スクリーン側の電極11の口径をそれよりも
小さくした構造のものが示されている。すなわち、図5
に示す電子銃については、大径のカソード側電極10と小
径の蛍光体スクリーン側電極11とをセラミックからなる
絶縁支持部材12を介して固定している。また図6に示す
電子銃については、その大径のカソード側電極10と小径
の蛍光体スクリーン側電極11とをビードガラスからなる
絶縁支持部材13により固定している。
【0006】しかし、上記のように主電子レンズを構成
すると、両電極10,11をセラミック12を介して固定する
ものについては、 (イ) 高電圧が印加されるカラー受像管などの場合に
耐電圧が不十分となり、絶縁破壊を引起こす (ロ) 加工の難しいセラミックを高精度に加工しなけ
ればならず、経済的に問題となる (ハ) セラミックに電極10,11を固定するためにスト
ッパー14a ,14b を用いなければならず、組立てが難し
い (ニ) セラミックからの吸蔵ガスが放出される などの問題がある。
【0007】また、両電極10,11をビードガラスにより
固定するものについては、通常の電子銃の組立てのよう
に、ビードガラスを片側から加熱溶融して電極の支持片
に融着させる方法では組立てることが困難である。また
他に適当な組立て方法がないなどの問題がある。
【0008】このような電子銃に対して、特公昭58−
31696号公報には、組立て可能な電子銃として、図
7に示すように、極力大径にした第2陽極(第5グリッ
ド)16のカソードK 側の端部を小径にして、この小径部
分に設けられた支持片17に絶縁支持部材18を融着させて
支持し、一方、第1陽極(第4グリッド)19を2分割し
て、その大径部20のカソードK 側に第2陽極16の小径部
分と接触しないように貫通する小径のネック部21を形成
し、電子銃組立て時に、そのネック部21でカソードK 側
部分22と接続する構造のものが示されている。
【0009】しかし、このような構造では、2分割部分
の接続にともなう組立精度低下や組立の困難さが十分に
解消されない。
【0010】この電子銃の改良構造として、特公平2−
16537号公報には、図8に示すように、極力大径に
した第2陽極(第4グリッド)16のカソードK 側端部の
一部を内側に陷入させて陷入部24を形成し、電子銃組立
ての際に、図9に示すように、第1陽極(第3グリッ
ド)19を第2陽極16に対して適当な角度θ回転させて挿
入することにより、第1陽極19の支持片25と第2陽極16
の陷入部24との接触を避け、挿入後、角度θを元に戻し
て、第1陽極19の支持片25と第2陽極16の支持片17を同
一平面上に位置させて、絶縁支持部材18により固定する
構造のものが示されている。図10(a)および(b)
は、それぞれ第2陽極16の異なる陷入部24の構造であ
る。
【0011】しかし、いずれにしてもこの例の構造で
は、組立ての際、第1陽極19と第2陽極16とを相対的に
角度θ回転させて挿入し、挿入後元に戻す必要があるた
め、依然として組立が繁雑であり、かつ量産性に欠け
る。特に図10(a)のような構造では、機械的強度が
弱く、実用性に問題がある。また図10(b)のような
構造では、図7に示した電子銃と同様に2分割部分の接
続にともなう精度低下や組立の困難さが十分に解消され
ない。
【0012】さらに、このような大径の電極(第1陽極
19)とこの電極を包囲するもう一つの大径の電極(第2
陽極16)とにより大口径電子レンズを形成する場合は、
両電極ともかなり長い電極となる。そのため、これら電
極は、きわめて強固な支持固定が必要である。しかし、
上記図7および図8に示した電子銃では、第1陽極19の
支持片25と第2陽極16の支持片17とは、同一平面上かつ
電子銃の軸方向に離れて位置させて、絶縁支持部材18に
より支持固定する構造であるため、第2陽極16の支持を
強固にしようとすると、必然的にこの第2陽極16のカソ
ードK 側端部を長くすることが必要となる。しかし、こ
のように第2陽極16のカソードK側端部を長くすると、
耐電圧上、第1陽極19の支持片25をカソードK 側に移動
しければならず、その結果、この第1陽極19と隣接する
第3グリッド26との耐電圧が問題となる。またこの第1
陽極19の支持片25からの蛍光体スクリーン側の長さが長
くなり、強固な支持固定ができなくなる。特にこの第1
陽極19の支持固定が強固でなく、そのためにその蛍光体
スクリーン側部分が動くと、電子レンズの軸が動くばか
りでなく、第1陽極19の蛍光体スクリーン側の大径部分
27と第2陽極16の大径部分28との間のわずかな隙間がさ
らに狭くなり、耐電圧不良が発生するばかりでく、第1
陽極19と第2陽極16との短絡という致命的な欠陥を引起
こすことになる。
【0013】そこで、本発明者らは、これら問題を解決
するために、先に図11に示す電子銃を開発し出願した
(特願平2−224692号)。図12(a)および
(b)は、その第5および第6グリッドの図である。こ
の電子銃では、第5グリッド28(第1電極)の径大な大
径円筒部29のカソード側にそれよりも小径の最大径部を
もつ偏平筒部30を一体に形成し、その偏平筒部30の長側
面に支持片31を設けるとともに、この第5グリッド28の
大径円筒部29を包囲する第6グリッド32(第2電極)の
大径円筒部33に上記第5グリッド28の偏平筒部30の最大
径部を覆う一対の支持板34を取付け、この一対の支持板
34に上記第5グリッド28の支持片31を両側から挟むよう
に支持片35を設けて、これら支持片31,35にビードガラ
スからなる一定幅の絶縁支持部材36を融着して、第5、
第6グリッド28,32を他の電極とともに一体に固定した
構造となっている。
【0014】この電子銃によれば、2つの径大な筒状電
極を高精度かつ強固に固定でき、しかも繁雑な組立方法
によらず容易に組立てることができ、量産性にすぐれた
実用的な電子銃とすることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来よ
り電子銃の電子レンズ性能を向上させるために、その主
電子レンズ部を大口径電子レンズとし、この大口径電子
レンズを大径の電極とこの電極の大径部分を包囲するも
う一つの大径の電極とにより形成したものがある。しか
し、この従来の大口径電子レンズは、組立てが困難であ
ったり、あるいは繁雑であり、また高精度の組立てが困
難であるなどの問題がある。また両電極の強固な支持固
定が難しく、耐電圧や両電極の接触による短絡などの問
題がおこる。
【0016】そこで、このような問題を解決するため
に、本発明者らは、先に第1電極の径大な大径円筒部の
カソード側にそれよりも小径の最大径部をもつ偏平筒部
を一体に形成し、その偏平筒部の長側面に支持片を設け
るとともに、この第1電極の大径円筒部を包囲する第2
電極の大径円筒部に上記第1電極の偏平筒部の最大径部
を覆う一対の支持板を取付け、この一対の支持板に上記
第1電極の支持片を両側から挟むように支持片を設け
て、これら支持片にビードガラスからなる一定幅の絶縁
支持部材を融着して、他の電極とともに一体に固定する
ことにより、2つの径大な筒状電極を高精度かつ強固に
固定し、かつ繁雑な組立方法を用いることなく容易に組
立てることができる電子銃を開発し出願した。
【0017】しかし、この電子銃では、一定幅の絶縁支
持部材を用いて、2つの径大な筒状電極を他の電極とと
もに一体に固定するため、絶縁支持部材とネック内面と
の間隔を耐電圧特性上必要とする十分な大きさにしよう
とすると、絶縁支持部材の幅を小さくする必要がある。
その結果、2つの径大な筒状電極の支持片の間隔が狭く
なり、これら支持片間の耐電圧特性が不十分となるとい
う問題がある。
【0018】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、大口径主電子レンズを形成する大
径の第1電極とこの第1電極の大径部分を包囲するもう
一つの大径の第2電極とを有する電子銃において、その
電子銃の組立てが容易で量産性に富み、かつその電極の
支持固定が強固で高精度の組立てが可能であり、しかも
十分な耐電圧特性を備える電子銃とすることを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】カソードからの電子放射
を制御しかつ放射された電子を集束して電子ビームを形
成する複数の電極からなる第1電極群を介して放出され
る電子ビームを蛍光体スクリーン上に集束する主電子レ
ンズを形成する複数の電極からなる第2電極群を有し、
カソードおよび第1、第2電極群の複数の電極がそれぞ
れ支持片を介して絶縁支持部材に一体に固定されてなる
陰極線管用電子銃において、その第2電極群の電極を、
蛍光体スクリーン側を大径円筒部としこの大径円筒部の
カソード側に大径円筒部よりも小径の最大径部をもつ偏
平筒部が一体に形成された第1電極と、この第1電極の
大径円筒部を包囲する大径円筒部を有する第2電極とか
ら構成し、その第1電極には偏平筒部の長側面側に第1
支持片を設け、第2電極にはこの第2電極の大径円筒部
に第1電極の偏平筒部の最大径部を覆う一対の支持板を
取付け、この一対の支持板に一対の第2支持片を設け、
この一対の第2支持片を電子ビームの進行方向と垂直な
方向に間隔をおいて配置し、この第2支持片を介して第
2電極を固定する部分の絶縁支持部材の幅を第1電極群
の複数の電極を固定する部分の幅より大きくした。
【0020】また、第2電極群の電極を、蛍光体スクリ
ーン側を大径円筒部としこの大径円筒部のカソード側に
大径円筒部よりも小径の最大径部をもつ偏平筒部が一体
に形成された第1電極と、この第1電極の大径円筒部を
包囲する大径円筒部を有する第2電極とから構成し、そ
の第1電極には偏平筒部の長側面に第1支持片を設け、
第2電極にはこの第2電極の大径円筒部に第1電極の偏
平筒部の最大径部を覆う一対の支持板を取付け、この一
対の支持板に第1支持片を中央にして両側から挟むよう
に第2支持片を設け、これら第1、第2支持片を介して
第1、第2電極を固定する部分の絶縁支持部材の幅を第
1電極群の複数の電極を固定する部分の幅より大きくし
た。
【0021】
【作用】上記のように、第1電極を大径円筒部とその大
径円筒部よりも最大径部が小径の偏平筒部とで構成し
て、この偏平筒部に第1支持片を設けるとともに、第2
電極に第1電極の偏平筒部の最大径部を覆う一対の支持
板を取付け、この一対の支持板に電子ビームの進行方向
と垂直な方向に間隔をおいて第2支持片を設けると、こ
の第2支持片は、1つの絶縁支持部材については少なく
とも2か所で、1対の絶縁支持部材については4か所
で、間隔をおいて固定される。その結果、第2電極を絶
縁支持部材に強固に支持固定することができ、かつ第2
支持片の電子銃の軸方向の長さを従来よりも短くするこ
とができる。それにともなって、第1電極を支持する第
1支持片を従来よりも第1電極の大径円筒部の近くに設
けることができ、第1電極の支持固定も強固にすること
ができる。
【0022】なお、この支持構造では、第1電極を支持
する第1支持片を第2電極の第2支持片の間に配置する
ことが可能である。この場合、第1支持片をより第1電
極の大径円筒部の近くに配置でき、第1電極の支持固定
をより強固にすることができる。
【0023】また、第2電極を固定する部分の絶縁支持
部材の幅を第1電極群の複数の電極を固定する部分の幅
より大きくしたことにより、絶縁支持部材とネックとの
間隔を耐電圧特性上十分な間隔に保って、第1電極と第
2電極との支持片間の間隔を耐電圧特性上必要とする十
分な間隔にすることができる。
【0024】さらに、第2電極に第1電極の偏平筒部の
最大径部を覆う一対の支持板を取付け、この一対の支持
板に第2支持片を設けることにより、従来のように第1
電極を回転することなく第2電極の内側に容易に挿入す
ることができる。しかも通常の電子銃と同様に絶縁支持
部材に支持固定できるため、組立てが容易となる。
【0025】さらにまた、第1電極を大径円筒部とこれ
を包囲する第2電極の大径円筒部とは、ともに一体構造
の単純な構造であるので、高精度の組立てが可能とな
り、大口径電子レンズの精度を向上させることができ
る。
【0026】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。
【0027】図1にその第1の実施例である陰極線管用
電子銃を示す。この電子銃は、カソードK 、このカソー
ドK を加熱するヒータ(図示せず)、および上記カソー
ドKの前面に蛍光体スクリーンに向かって順次配置され
た第1ないし第4グッド41〜44、第5グッド45(第1電
極)および第6グッド46(第2電極)からなる。
【0028】その第1および第2グリッド41,42は比較
的板厚の薄い板状電極からなる。第3グリッド43は比較
的浅い2個のカップ電極の突合わせた筒状電極からな
る。第4グッド44は比較的板厚の厚い板状電極からな
る。第5グリッド45は、比較的板厚の厚い1個の板状電
極47と2個のカップ電極の突合わせた4組の筒状電極と
からなり、その蛍光体スクリーン側の電極は、大径の円
筒部48と、この大径の円筒部48のカソードK 側に取付け
られ、上記円筒部48よりも最大径が小径の横長の偏平筒
部49とから構成されている(図12(a)参照)。また
第6グリッド46は、上記第5グリッド45の大径の円筒部
48を包囲する大径の円筒部50からなり、この円筒部50の
カソードK 側に第5グリッド45の偏平筒部49の最大径部
を覆う一対の支持板51が取付けられた構造に形成されて
いる(図12(b)参照)。
【0029】そして、上記カソードK 、ヒータおよび第
1ないし第4グッド41〜44、第5および第6グリッド4
5,46は、それぞれ支持片を介して一対の絶縁支持部材5
2により支持固定されている。その各支持片は、カソー
ドK 、ヒータ、第1ないし第4グッド41〜44および第5
グッド45のカソードK 側の電極については、それぞれ電
子銃の軸方向に設けられているが、第5グリッド45の蛍
光体スクリーン側の電極については、その横長の偏平筒
部49の長側面の中央部に第1支持片53が取付けられ、第
6グリッド46については、第5グリッド45の偏平筒部49
の最大径部を覆う一対の支持板51の側縁部を切起こし
て、上記偏平筒部49の長側面中央部の第1支持片53を中
央にして、この第1支持片53を水平方向両側から挟むよ
うに、しかも第1支持片53に対して電子銃の軸方向にわ
ずかにずらして第2支持片54が形成されている。そし
て、これら第1、第2支持片53,54に対応して、一対の
絶縁支持部材52は、上記第5グリッド45の蛍光体スクリ
ーン側の電極および第6グリッド46を支持固定する部分
の幅w1 が他の部分(ヒータ、カソードK 、第1ないし
第4グッド41〜44および第5グリッド45の蛍光体スクリ
ーン側の電極53を支持固定する部分)の幅w2 より大き
くなっている。特にこの電子銃の一例では、第1支持片
53を挟んでその両側に配置される第2支持片54の間隔を
8mmとし、これら第1、第2支持片53,54を支持固定す
る部分の絶縁支持部材52の幅w1 が21mmとなってい
る。
【0030】ところで、この電子銃では、カソードK を
0〜200V として、これに映像信号を加え、第1グリ
ッド41を接地電位とし、第2グリッド42に500V 〜1
kV、第3グリッド43に5〜10kV、第4グリッド44に0
〜1kV、第5グリッド45に5〜10kV、第6グリッド46
に20〜35kV程度の高電圧が印加される。そして、こ
れら電圧の印加により、カソードK および第1ないし第
3グリッド41〜43により、カソードK からの電子放射を
制御し、かつ放射された電子を集束して電子ビームを形
成する電子ビーム形成部が形成される。また第3、第4
グリッド43,44および第5グリッド45の第4グリッド44
側の電極により、上記電子ビーム形成部から放出される
電子ビームを弱く集束するユニポテンシャル電子レンズ
が形成される。さらに第5グリッド45の蛍光体スクリー
ン側の大径の円筒状部48とこの円筒状部48を包囲する第
6グリッド46の大径の円筒部50とにより、上記ユニポテ
ンシャル電子レンズにより集束された電子ビームを蛍光
体スクリーンに向かって最終的に強く集束する大口径の
主電子レンズが形成される。その結果、この大口径主電
子レンズの集束により蛍光体スクリーン上のビームスポ
ットをいちじるしく小さくすることができる。
【0031】この電子銃の組立ては、第6グリッド46の
大径円筒部50の先端部の開孔側から、第5グリッド45の
蛍光体スクリーン側の電極を挿入し、これら第5、第6
グリッド45,46の組合わせ体を、ヒータおよびカソード
K のそれぞれの支持片、第1ないし第4グリッド41〜44
および第5グリッド45の1個の板状電極47と4組の筒状
電極とからなるカソードK 側の部分とともに、電子銃の
組立て治具に所定の関係に位置決め配置したのち、その
ヒータおよびカソードK の各支持片および各グリッドの
支持片に加熱溶融させた一対の絶縁支持部材51に押圧し
て融着させることにより組立てられる。
【0032】したがって、上記のように第5グリッド48
を大径の円筒部48とこの大径の円筒部48よりも最大径が
小径の横長の偏平筒部49とから構成し、その偏平筒部49
の長側面の中央部に第1支持片53を設け、一方、第6グ
リッド46を大径の円筒部50のカソードK 側に第5グリッ
ド45の偏平筒部49の最大径部を覆う一対の支持板51を取
付け、この一対の支持板51に上記第5グリッド45の偏平
筒部49の第1支持片53を中央にして両側から挟むように
第2支持片54を設けると、2つの大径の円筒部48,50を
有する特殊構造の電子銃を通常の電子銃と同様に容易に
組立てることができる。つまり、組立て時の繁雑さがな
く容易に組立てることができる量産性にすぐれた電子銃
となる。
【0033】しかも、上記のように第5および第6グリ
ッド45,46を構成すると、従来高精度の組立てが困難で
あったこの種の電子銃を高精度に組立てることができ
る。すなわち、一般に大径円筒部を有する電極を強固に
支持固定するためには、その電極を絶縁支持部材に固定
するための支持片をなるべく大径円筒部に近づけること
が望まれる。そのために従来は、図6に示した特公昭5
7−18665号公報の支持手段があるが、この支持手
段では、絶縁支持部材の支持片への融着が困難であり、
実用的でない。また図5に示したセラミックによる方法
は、コスト、精度の面から実用的でない。さらに、図7
に示した特公平2−16537号公報の支持手段では、
第2陽極については、その大径部分の近くに支持片が設
けられているため、強固に支持固定されるが、この第2
陽極の内側となる第1陽極は、支持片がその大径部分よ
り大きく離れているため、強固に支持固定することがで
きない。この第1陽極を強固に支持固定するためには、
この第1陽極を支持する支持片を大きくすればよいが、
支持片を大きくすることは、耐電圧特性や電子銃設計の
面からの制限もあり、実用可能な電子銃とすることが困
難である。
【0034】これに対し、この例の電子銃は、第5、第
6グリッド45,46がともに大径の円筒部49,50の近くに
第1、第2支持片53,54が設けられているため、両グリ
ッド45,46を強固に支持固定することができる。すなわ
ち、第5グリッド45の偏平筒部49に設けられた第1支持
片53に対して、第6グリッド46の大径の円筒部50のカソ
ードK 側に第5グリッド45の偏平筒部49の最大径部を覆
う一対の支持板51を取付け、この一対の支持板51に第5
グリッド45の第1支持片53を水平方向の両側から挟むよ
うに第2支持片54を設けたことにより、第5、第6グリ
ッド45,46とも、大径の円筒部49,50の近くに各支持片
53,54を設けることができ、それにより両グリッド45,
46を強固に支持固定することができ、電子銃を高精度に
組立てることができる。
【0035】また、この例の電子銃は、大口径電子レン
ズを形成する第5、第6グリッド45,46の大径の円筒部
49,50を分割しない一体構造のものとしているので、高
精度の電子レンズが形成されるという利点がある。
【0036】さらに、この例の電子銃は、第5グリッド
45の蛍光体スクリーン側の電極および第6グリッド46を
支持固定する部分の絶縁支持部材52の幅w1 を他の部分
の幅w2 より大きくして、第5グリッド45の蛍光体スク
リーン側の電極の第1支持片53と第6グリッド46の第2
支持片54との間隔を大きくとれるようにしたので、第
5、第6グリッド45,46間の耐電圧特性を十分に補償す
るすることができる。
【0037】すなわち、一般に電子銃の最終加速電極に
は20〜25kV、集束電極には5〜10kV程度の電圧が
印加される。この例の電子銃においても、それらに相当
する第5グリッド45(集束電極)および第6グリッド46
(最終加速電極)に同様の電圧が印加される。そのた
め、両グリッド45,46に10〜30kV程度の電位差が生
じ、第5グリッド45の蛍光体スクリーン側の電極の第1
支持片53と第6グリッド46の第2支持片54との間に絶縁
支持部材52の表面に沿って放電が発生するおそれがあ
る。この放電を防止するためには、第1、第2支持片5
3,54間の間隔を十分大きくすることが必要である。
【0038】本発明者らの実験によれば、耐電圧特性上
必要な支持片の間隔は、電位差1kVに対して約0.2mm
である。したがって、電位差が30kVの場合は、約6mm
の間隔が必要となる。
【0039】したがって、第5グリッド45の蛍光体スク
リーン側の電極の第1支持片53を中央にしてその両側に
配置される第6グリッド46の第2支持片54としては、最
低12mmの間隔が必要であり、これを支持固定する絶縁
支持部材52の幅w1 は、各支持片53,54の厚さおよびこ
れら支持片53,54に対する絶縁支持部材52の融着余裕を
4mmとして、最低16mm必要となる。これに対し、この
例の電子銃は、前記したように第1支持片53を中央にし
てその両側に配置される第2支持片54の間隔を8mmと
し、これら支持片53,54を支持固定する部分の絶縁支持
部材52の幅w1 を21mmとしたので、十分な耐電圧特性
が得られる。
【0040】なお、上記実施例と同様の構成の電子銃に
おいて、図2に示すように、特に第5グリッド45の蛍光
体スクリーン側の電極と第6グリッド46とを支持固定す
る部分の絶縁支持部材52に、各支持片53,54の埋込み部
間に凹部56を形成すると、第1支持片53と第2支持片54
との間の絶縁支持部材52の沿面距離を大きくすることが
でき、より良好な耐電圧特性が得られる。
【0041】つぎに、第2の実施例について説明する。
【0042】図3は、前記実施例(第1の実施例)に示
した第5グリッド45の蛍光体スクリーン側の電極の第1
支持片をなくし、この第5グリッド45の蛍光体スクリー
ン側電極のカソードK 側の端部に設けられた支持片58に
より、一対の絶縁支持部材52に支持固定したものであ
る。
【0043】このような支持構造では、支持片58と一対
の支持板51の側縁部を切起こすて形成した第6リッド46
の第2支持片54との間隔Lを10mmと、第1の実施例の
場合よりも大きくすることができる。その結果、第1の
実施例よりも、さらに良好な耐電圧特性が得られ、特に
第6リッド46に高電圧を印加する場合などに有効であ
る。
【0044】またこの実施例では、第5グリッド45の蛍
光体スクリーン側の電極の第1支持片がないので、第5
グリッド45の支持強度は、第1の実施例の場合よりも若
干弱くなるが、第6リッド46を少なくとも4個の第2支
持片54で強固に支持固定することにより、第2支持片54
の電子銃の軸方向の長さを従来よりも短くすることがで
きるので、それにより第5グリッド45の蛍光体スクリー
ン側電極のカソードK側端部の支持片58をこの第5グリ
ッド45の大径円筒部48に近づけて設けることができ、第
5グリッド45の支持固定を強固にすることができる。さ
らにこの第5グリッド45を軽量材料で構成して軽量化す
ることにより、一段と強固に支持固定することが可能と
なる。
【0045】さらにこの実施例の電子銃についても、第
1の実施例と同様の方法により組立てることができ、組
立て時の繁雑さがなく、容易かつ高精度に組立てること
ができ、量産性にすぐれた電子銃となる。
【0046】
【発明の効果】カソードからの電子放射を制御しかつ放
射された電子を集束して電子ビームを形成する複数の電
極からなる第1電極群を介して放出される電子ビームを
蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズを形成する
第2電極群を、蛍光体スクリーン側を大径円筒部としこ
の大径円筒部のカソード側にその大径円筒部よりも小径
の最大径部をもつ偏平筒部が一体に形成された第1電極
と、この第1電極の大径円筒部を包囲する大径円筒部を
有する第2電極とから構成し、その第1電極に上記偏平
筒部の長側面側に第1支持片を設け、第2電極にこの第
2電極の大径円筒部に第1電極の偏平筒部の最大径部を
覆う一対の支持板を取付け、この一対の支持板に電子ビ
ームの進行方向と垂直な方向に間隔をおいて一対の第2
支持片を設けると、第2電極を絶縁支持部材に強固に支
持固定することができる。また第2支持片の電子銃の軸
方向の長さを短くすることができるため、第1電極を支
持する第1支持片を従来よりも第1電極の大径円筒部の
近くに設けることができ、第1電極の支持固定も強固に
することができる。
【0047】特に第1電極を支持する第1支持片を第2
電極の第2支持片の間に配置した構造では、第1支持片
をより第1電極の大径円筒部の近くに配置でき、第1電
極の支持固定をより強固にすることができる。
【0048】また第2電極を固定する部分の絶縁支持部
材の幅を第1電極群の複数の電極を固定する部分の幅よ
り大きくしたことにより、絶縁支持部材とネックとの間
隔を耐電圧特性上十分な間隔に保って、第1電極と第2
電極との支持片間の間隔を耐電圧特性上必要とする十分
な間隔にすることができる。
【0049】さらに第2電極に第1電極の偏平筒部の最
大径部を覆う一対の支持板を取付け、その一対の支持板
に第2支持片を設けることにより、従来のように第1電
極を回転することなく第2電極の内側に容易に挿入する
ことができ、しかも通常の電子銃と同様に絶縁支持部材
に支持固定できるため、組立てが容易となる。
【0050】さらにまた、第1電極を大径円筒部とこれ
を包囲する第2電極の大径円筒部とは、ともに一体構造
の単純な構造であるので、高精度の組立てが可能とな
り、大口径電子レンズの精度を向上させることができ
る、などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はこの発明の第1の実施例である陰
極線管用電子銃の構成を示す正面図、図1(b)はその
要部構成を示す側面図、図1(c)は図1(a)におけ
るC−C線断面図である。
【図2】第1の実施例の変形例の要部構成を示す断面図
である。
【図3】図3(a)はこの発明の第2の実施例である陰
極線管用電子銃の構成を示す正面図、図3(b)はその
要部構成を示す側面図である。
【図4】カラー受像管の全体の構成を示す図である。
【図5】図5は従来の大口径電子レンズを形成する電極
の組立て構造を示す図である。
【図6】図6は従来の大口径電子レンズを形成する電極
の他の組立て構造を示す図である。
【図7】図7は従来の大口径電子レンズを形成する電極
の異なる組立て構造を示す図である。
【図8】図8(a)は従来の大口径電子レンズを形成す
る電極のさらに異なる組立て構造を一部断面で示す正面
図、図8(b)はその第1、第2陽極部を一部断面で示
す断面図である。
【図9】図9図は図8に示した第1、第2陽極部の組立
て方法を説明するための図である。
【図10】図10(a)および(b)はそれぞれ図8に
示した大口径電子レンズを形成する第2陽極の異なる構
造を示す図である。
【図11】図11(a)は先に出願した陰極線管用電子
銃の要部構成を示す側面図、図11(b)はそのB−B
線断面図である。
【図12】図12(a)は上記先に出願した陰極線管用
電子銃の第5グリッドの斜視図、図12(b)は同じく
その第6グリッドの斜視図である。
【符号の説明】
41…第1グリッド 42…第2グリッド 43…第3グリッド 44…第4グリッド 45…第5グリッド 46…第6グリッド 48…第5グリッドの大径の円筒部 49…偏平筒部 50…第6グリッドの大径の円筒部 51…支持板 52…絶縁支持部材 53…第1支持片 54…第2支持片 56…凹部 58…支持片

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソードからの電子放射を制御しかつ放
    射された電子を集束して電子ビームを形成する複数の電
    極からなる第1電極群を介して放出される電子ビームを
    蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズを形成する
    複数の電極からなる第2電極群を有し、上記カソードお
    よび上記第1、第2電極群の複数の電極がそれぞれ支持
    片を介して絶縁支持部材に一体に固定されてなる陰極線
    管用電子銃において、上記第2電極群の電極は上記蛍光
    体スクリーン側を大径円筒部としこの大径円筒部のカソ
    ード側に上記大径円筒部よりも小径の最大径部をもつ偏
    平筒部が一体に形成された第1電極と、この第1電極の
    大径円筒部を包囲する大径円筒部を有する第2電極とか
    らなり、上記第1電極には上記偏平筒部の長側面側に第
    1支持片が設けられ、上記第2電極にはこの第2電極の
    大径円筒部に上記第1電極の偏平筒部の最大径部を覆う
    一対の支持板が取付けられ、この一対の支持板に一対の
    第2支持片が設けられ、この一対の第2支持片が電子ビ
    ームの進行方向と垂直な方向に間隔をおいて配置され、
    この第2支持片を介して上記第2電極を固定する部分の
    絶縁支持部材の幅が上記第1電極群の複数の電極を固定
    する部分の幅より大きいことを特徴とする陰極線管用電
    子銃。
  2. 【請求項2】 カソードからの電子放射を制御しかつ放
    射された電子を集束して電子ビームを形成する複数の電
    極からなる第1電極群を介して放出される電子ビームを
    蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズを形成する
    複数の電極からなる第2電極群を有し、上記カソードお
    よび上記第1、第2電極群の複数の電極がそれぞれ支持
    片を介して絶縁支持部材に一体に固定されてなる陰極線
    管用電子銃において、上記第2電極群の電極は上記蛍光
    体スクリーン側を大径円筒部としこの大径円筒部のカソ
    ード側に上記大径円筒部よりも小径の最大径部をもつ偏
    平筒部が一体に形成された第1電極と、この第1電極の
    大径円筒部を包囲する大径円筒部を有する第2電極とか
    らなり、上記第1電極には上記偏平筒部の長側面に第1
    支持片が設けられ、上記第2電極にはこの第2電極の大
    径円筒部に上記第1電極の偏平筒部の最大径部を覆う一
    対の支持板が取付けられ、この一対の支持板に上記第1
    支持片を中央にして両側から挟むように第2支持片が設
    けられ、これら第1、第2支持片を介して上記第1、第
    2電極を固定する部分の絶縁支持部材の幅が上記第1電
    極群の複数の電極を固定する部分の幅より大きいことを
    特徴とする陰極線管用電子銃。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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