JPH05295017A - カルバメート基を有する共重合体、その製造方法及び該共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

カルバメート基を有する共重合体、その製造方法及び該共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物

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JPH05295017A
JPH05295017A JP10097592A JP10097592A JPH05295017A JP H05295017 A JPH05295017 A JP H05295017A JP 10097592 A JP10097592 A JP 10097592A JP 10097592 A JP10097592 A JP 10097592A JP H05295017 A JPH05295017 A JP H05295017A
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carbon atoms
repeating unit
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JP10097592A
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English (en)
Inventor
Naoki Kitazawa
直樹 北澤
Hiroshi Hotta
寛史 堀田
Yutaka Nakayama
豊 中山
Hideyuki Sumi
英行 角
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジニアリングプラスチック等の熱可塑性
樹脂とポリオレフィン樹脂との混和性を高める共重合体
と、この共重合体を用いた耐衝撃性の良好な樹脂組成物
を提供する。 【構成】 ポリオレフィン分子内に一般式化1で示され
る反復単位を含有させたカルバメート基を有する共重合
体、並びに、エンジニアリングプラスチックとポリプロ
ピレンとをこの共重合体で相溶化した熱可塑性樹脂組成
物。なお、化1に於いてR9,R10及びR14は各々独立に
水素原子、アルキル基等を示し、R11はアルキレン基、
アリーレン基等を示し、R13はアルキル基等を示す。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジニアリングプラ
スチック等の熱可塑性樹脂とポリオレフィン樹脂との混
和性を高める相溶化剤として機能し得る新規な共重合体
及びその製造方法、さらに射出成形や押出成形により成
形品、シート、フィルムなどとして利用できる前記共重
合体を含有した熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリングプラスチックは、一般
に、耐衝撃性などの機械的特性や耐熱性などの熱的特性
に優れているが、その反面、成形加工性が劣り高い製造
コストを必要とする等の問題点があった。
【0003】一方、ポリプロピレンに代表されるポリオ
レフィン樹脂は、成形加工性や製造コスト面において優
れているものの、耐衝撃性や耐熱性等の物性面において
はエンジニアリングプラスチックに及ばない。
【0004】そこで、上記エンジニアリングプラスチッ
クとポリオレフィン樹脂とをブレンドあるいはアロイ化
することにより、両者の欠点を互いに補完し且つ新しい
機能特性を有する樹脂組成物を得る試みが盛んに行われ
ている。
【0005】しかしながら、エンジニアリングプラスチ
ックとポリオレフィン樹脂を単純にブレンドしただけで
は両者の樹脂がうまく混和せず、その結果得られた樹脂
は、耐衝撃性が低下したものである。また、それを成形
品にしても、外観そのものが悪く層状剥離を引き起こす
という問題点があった。
【0006】樹脂の耐衝撃性に関しては、樹脂にエラス
トマー成分を添加することによって耐衝撃性をある程度
改善できるということが公知であるが、逆に、樹脂の剛
性を低下させてしまうという問題点があった。また、そ
の樹脂を成形品にした際の層状剥離や外観不良等の問題
を本質的に解決するものではなかった。
【0007】かかる問題を解決するために、相溶化剤を
用いてブレンドする樹脂同士の混和性を改善しようとい
う試みが従来より行われている。
【0008】例えば、ポリアミドに対しては、押出し機
中でポリアミドと無水マレイン酸変性ポリオレフィンを
反応させ生成するグラフト重合体が相溶化剤として用い
られる(高分子化学, Vol.29,p.259(19
72))。さらに、この系にカルボキシル基、カルボン
酸無水物基、アミノ基と反応し得る多官能性化合物を配
合し反応させることによって部分架橋せしめた相溶化剤
が知られている (特開昭64−31864号公報)。
【0009】また、ポリアミド、ポリエステル、芳香族
ポリエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、A
BS樹脂等のエンジニアリングプラスチックとポリプロ
ピレンとをブレンドする場合には、不飽和酸無水物変性
ポリオレフィンと低分子量ジオール、ジアミン、若しく
は水酸基及びアミノ基を有する低分子量化合物とを反応
させたもの、並びに必要に応じて熱可塑性ウレタンを添
加した相溶化剤用いて、これらの樹脂同士の混和性を改
善することが提案されている(特開平2−36248号
公報)。
【0010】さらに、第3級アルキル アリルカルバメ
ートをポリオレフィン類にグラフトすることにより、カ
ルバミン酸アルキルエステル基含有共重合体を得てこれ
を相溶化剤として用いることが提案されている (特開平
2−16111号公報) 。しかしながら、上記アルキル
基が炭素数4〜10個の第3級アルキル基であることに
より、アルキル アリルカルバメートが高価となり経済
的に不利である。また、この共重合体は、カルバメート
基がアルキル基を介して高分子主鎖と結合した形のグラ
フト構造であるため、相溶化剤として用いた場合成形加
工時の耐熱性が高くない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の公知の相溶
化剤を用いて樹脂同士をブレンドする方法では、樹脂同
士の混和性がまだ不十分なものであった。そのため、得
られた樹脂組成物の衝撃強度が不十分であり、また、そ
の樹脂組成物を成形品にした際に外観不良であったり層
状剥離を引き起こす等の問題点があった。
【0012】また、用いる相溶化剤の種類によっては、
成形加工時の高温により樹脂組成物自身が着色するとい
う新たな問題を惹起することがあった。
【0013】さらにまた、特開平2−16111号に開
示されたような特定の相溶化剤にあっては、相溶化剤自
身の耐熱性が劣るため、高温で混和し成形した際に期待
される物性を有する樹脂組成物が得られなかった。
【0014】本発明は、上述した従来技術の課題に鑑み
発明されたものであって、その目的とするところは、ポ
リカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂などのエンジニアリングプラスチック等の熱可塑性樹
脂と、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂との混
和性を高める相溶化剤として機能し得る新規な共重合体
及びその製造方法を提供することにある。さらに、本発
明の他の目的は、前記共重合体を含有し、耐衝撃性に優
れ成形加工した際に外観良好で層状剥離を生じない熱可
塑性樹脂組成物を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者等は、スチレン、オレフィン、その誘導体
等に由来する反復単位と、必要に応じてブタジエンなど
のジエン類に由来する反復単位と、さらに無水マレイン
酸などの酸無水物に由来する反復単位とを含む原料共重
合体に、アミノ基とカルバメート基を有する化合物を反
応させイミド化して得られる共重合体が、上述した樹脂
同士の相溶化剤として機能することを見出し、本発明を
完成した。
【0016】以下に、本発明のカルバメート基を有する
共重合体について説明する。
【0017】本発明に係るカルバメート基を有する共重
合体は、分子内に、一般式化1で示される反復単位
(I)と、一般式化2で示される反復単位 (IIIa) とを
含有し、さらに必要に応じて、一般式化3で示される反
復単位 (II) を含有し、これらの反復単位がランダム共
重合、ブロック共重合又はグラフト共重合した新規な共
重合体である。
【0018】また、本発明に係るカルバメート基を有す
る共重合体は、分子内に、一般式化1で示される反復単
位(I)と、一般式化5で示される反復単位(VIIIa) と
を含有し、さらに必要に応じて、一般式化3で示される
反復単位 (II) を含有し、これらの反復単位がランダム
共重合、ブロック共重合又はグラフト共重合した新規な
共重合体である。
【0019】さらに、本発明に係るカルバメート基を有
する共重合体は、分子内に、一般式化1で示される反復
単位(I)と、一般式化4で示される反復単位 (IIIb)
とを含有し、さらに必要に応じて、一般式化3で示され
る反復単位 (II) を含有し、これらの反復単位がランダ
ム共重合、ブロック共重合又はグラフト共重合した新規
な共重合体である。
【0020】さらにまた、本発明に係るカルバメート基
を有する共重合体は、分子内に、一般式化1で示される
反復単位(I)と、一般式化6で示される反復単位(VII
Ib)とを含有し、さらに必要に応じて、一般式化3で示
される反復単位 (II) を含有し、これらの反復単位がラ
ンダム共重合、ブロック共重合又はグラフト共重合した
新規な共重合体である。
【0021】本発明のカルバメート基含有共重合体にお
ける各反復単位の含有割合は、反復単位(I),(II)及び(I
IIa)を含有する場合、反復単位(I),(II)及び(IIIa)の合
計量に対して、反復単位(I)が40〜99.8モル
%、好ましくは45〜99モル%、反復単位 (II) が5
0〜0モル%、好ましくは40〜0モル%、反復単位(I
IIa)が60〜0.2モル%、好ましくは55〜0.2モ
ル%である。反復単位(II) は必ずしも共重合体に含有
されている必要はない。
【0022】また、本発明のカルバメート基含有共重合
体における各反復単位の含有割合は、反復単位(I),(II)
及び(VIIIa) を含有する場合、反復単位(I),(II)及び(V
IIIa) の合計量に対して、反復単位(I)が40〜9
9.8モル%、好ましくは45〜99モル%、反復単位
(II) が50〜0モル%、好ましくは40〜0モル%、
反復単位(VIIIa) が60〜0.2モル%、好ましくは5
5〜0.2モル%である。反復単位 (II) は必ずしも共
重合体に含有されている必要はない。
【0023】さらに、本発明のカルバメート基含有共重
合体における各反復単位の含有割合は、反復単位(I),(I
I)及び(IIIb)を含有する場合、反復単位(I),(II)及び(I
IIb)の合計量に対して、反復単位(I)が20〜99.
8モル%、好ましくは45〜99モル%、反復単位 (I
I) が50〜0モル%、好ましくは40〜0モル%、反
復単位 (IIIb) が30〜0.2モル%、好ましくは20
〜0.2モル%である。
【0024】反復単位 (II) は必ずしも共重合体に含有
されている必要はない。
【0025】さらにまた、本発明のカルバメート基含有
共重合体における各反復単位の含有割合は、反復単位
(I),(II)及び(VIIIb) を含有する場合、反復単位(I),(I
I)及び(VIIIb) の合計量に対して、反復単位(I)が2
0〜99.8モル%、好ましくは45〜99モル%、反
復単位 (II) が50〜0モル%、好ましくは40〜0モ
ル%、反復単位(VIIIb) が30〜0.2モル%、好まし
くは20〜0.2モル%である。反復単位 (II) は必ず
しも共重合体に含有されている必要はない。
【0026】本発明のカルバメート基を有する各共重合
体中の反復単位の含有割合について、反復単位 (IIIa)
若しくは反復単位(VIIIa) が60モル%を超える場合、
又は反復単位 (IIIb) 若しくは反復単位(VIIIb) が30
モル%を超える場合には、得られる共重合体の機械的物
性が低下するという問題を生じる。また、それら合計量
が0.2モル%未満であれば、得られる共重合体は相溶
化剤としての機能を十分に発現しない。
【0027】なお、本発明のカルバメート基含有共重合
体は、分子内に反復単位(I),(II)及び(IIIa)を含有する
場合には一般式化11で示される反復単位 (VIa)を若干
量含有することがあり、分子内に反復単位(I),(II)及び
(VIIIa) を含有する場合には一般式化12で示される反
復単位(IXa) を若干量含有することがあり、分子内に反
復単位(I),(II)及び(IIIb)を含有する場合には一般式化
13で示される反復単位 (VIb)を若干量含有することが
あり、さらに、分子内に反復単位(I),(II)及び(VIIIb)
を含有する場合には一般式化14で示される反復単位(I
Xb) を若干量含有することがある。
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】(但し、化11,化12,化13及び化1
4に於いて、R5,R6 及びR7 は、各々独立に水素原
子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシク
ロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2
〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭
素数1〜18のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜1
7のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル
カルボニル基、炭素数6〜8のアリールカルボニル基、
ハロゲン原子又はニトリル基を示し、R8 は、存在しな
いか、又はメチレン基若しくはエチレン基を示し、R9
及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアル
キル基又は炭素数6〜8のアリール基を示し、R11は、
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数5〜17のシク
ロアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素
数7〜12のアリールアルキレン基又は炭素数4〜30
のポリオキシアルキレン基を示し、R12は、水素原子又
は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R13は、炭素数
1〜8のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示
し、R14は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を
示し、さらに、nは1〜10の整数を示す。
【0033】なお、上記R5 〜R14は、それぞれ反復単
位毎に同一であっても異なってもよい。) 本発明のカルバメート基含有共重合体の分子量について
は特に制限はないが、通常は粘度平均分子量が 3,0
00〜500,000である。これは、トルエン,キシ
レン,クメン,テトラリン,1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン,ジメチルスルホキシド,アセトン,メ
チルエチルケトン等の良溶媒に、上記カルバメート基含
有共重合体を10重量%で溶解したときの粘度が10〜
50,000cpsの範囲であることに相当する。
【0034】本発明のカルバメート基含有共重合体にお
いて、反復単位(I)は一般式化1で表されるものであ
るが、その一般式中のR1 及びR2 は、各々独立に(即
ち、R1 とR2 は同じでも異なってもよい)水素原子、
炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4
のアルキル基)、炭素数3〜8のシクロアルキル基(好
ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基)、炭素数6
〜10のアリール基(好ましくは炭素数6〜9のアリー
ル基)、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4の
アルコキシ基、炭素数1〜18のアルコキシカルボニル
基(好ましくは炭素数1〜8のアルコキシカルボニル
基)、炭素数1〜17のアルキルカルボキシル基(好ま
しくは炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基)、炭素
数1〜6のアルキルカルボニル基(好ましくは炭素数1
〜4のアルキルカルボニル基)、炭素数6〜8のアリー
ルカルボニル基、ハロゲン原子(好ましくは塩素若しく
は臭素)又はニトリル基を示す。
【0035】なお、R1 及びR2 は、それぞれ反復単位
毎に同一であっても異なってもよい。すなわち、反復単
位(I)の1つがエチレン単位(R1 及びR2 が共に水
素)であり、反復単位(I)の他の1つがプロピレン単
位(R1 が水素、R2 がメチル基)であるような場合も
本発明に包含される。
【0036】また、反復単位(II)は一般式化3で表さ
れるものであるが、その一般式中のR3 及びR4 は、各
々独立に(即ち、R3 とR4 は同じでも異なってもよ
い)水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、
エチル基等)、炭素数2〜4ののアルケニル基(ビニル
基、アリル基等)又はハロゲン原子(塩素、臭素等)を
示す。なお、R3 及びR4 は、前述のR1 及びR2 の場
合と同様、それぞれ反復単位毎に同一であっても異なっ
てもよい。
【0037】さらに、反復単位(IIIa)及び(VIIIa) はそ
れぞれ一般式化2及び化5で表されるものであるが、そ
の一般式中のR9 及びR10は、各々独立に(即ち、R9
とR10は同じでも異なってもよい)水素原子、炭素数1
〜6のアルキル基(好ましくは炭素数1〜2のアルキル
基)又は炭素数6〜8のアリール基を示し、R11は、炭
素数1〜12のアルキレン基(好ましくはメチレン、エ
チレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン
等の炭素数1〜8のアルキレン基)、炭素数5〜17の
シクロアルキレン基(好ましくはシクロヘキシレン、メ
チレンシクロヘキシルメチレン等の炭素数6〜10のシ
クロアルキレン基)、炭素数6〜12のアリーレン基
(好ましくはフェニレン基、オキシジフェニレン基
等)、炭素数7〜12のアリールアルキレン基(好まし
くはキシリレン等の炭素数8〜10のアリールアルキレ
ン基)又は炭素数4〜30のポリオキシアルキレン基
(ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等の炭素
数4〜15のポリオキシアルキレン基)を示し、R
13は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基又はベン
ジル基を示し、さらに、R14は、水素原子又は炭素数1
〜6のアルキル基を示す。
【0038】なお、上記R9 〜R11,R13及びR14は、
前述のR1 及びR2 の場合と同様、それぞれ反復単位毎
に同一であっても異なってもよい。
【0039】さらに、反復単位(IIIb)及び(VIIIb) はそ
れぞれ一般式化4及び化6で表されるものであるが、そ
の一般式中のR5,R6 及びR7 は、各々独立(即ち、R
5 とR6 とR7 とは同じでも異なってもよい)の置換基
であり、前述した反復単位(I)のR1 及びR2 と同様
の置換基を示し、R8 は、存在しない(即ち、単なる結
合を示す)か、またはメチレン基若しくはエチレン基を
示し、R12は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル
基を示し、さらに、nは1〜10の整数を示す。R9,R
10,R11, R13及びR14は、前述した反復単位(IIIa)及
び(VIIIa) の置換基R9,R10,R11, R13及びR14と同
様の置換基を示す。
【0040】なお、上記R5 〜R14は、前述のR1 及び
2 の場合と同様、それぞれ反復単位毎に同一であって
も異なってもよい。
【0041】本発明のカルバメート基を有する共重合体
の製造方法は、特に制限されるものではなく様々な製造
方法があるが、本発明の製造方法によれば、他の製造方
法に比して一層効率良く製造することができる。
【0042】以下に、本発明のカルバメート基を有する
共重合体の製造方法について説明する。
【0043】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法は、分子内に、一般式化1で示される反復単位
(I)を40〜99.8モル%と、一般式化7で示され
る反復単位(IVa) を60〜0.2モル%とを含有し、必
要に応じて一般式化3で示される反復単位 (II) を50
モル%以下で含有する原料共重合体に、一般式化8又は
化10で示されるアミノ基とカルバメート基を有する化
合物(V)又は化合物 (VII)を反応させるものである。
【0044】また、本発明のカルバメート基含有共重合
体の製造方法は、分子内に、一般式化1で示される反復
単位(I)を20〜99.8モル%と、一般式化9で示
される反復単位(IVb) を30〜0.2モル%とを含有
し、必要に応じて一般式化3で示される反復単位 (II)
を50モル%以下で含有する原料共重合体に、一般式化
8又は化10で示されるアミノ基とカルバメート基を有
する化合物(V)又は化合物(VII) を反応させるもので
ある。
【0045】(但し、反復単位(IVa) 及び(IVb) は、そ
れぞれ一般式化7及び化9で表されるものであるが、そ
の一般式中のR9 及びR10は、前述した反復単位(IIIa)
等の置換基R9 及びR10と同様の置換基を示し、R5,R
6 及びR7 は、各々独立(即ち、R5 とR6 とR7 とは
同じでも異なってもよい)の置換基であり、前述した反
復単位(I)のR1 及びR2 と同様の置換基を示し、R
8 は存在しない(即ち、単なる結合を示す) か、または
メチレン基若しくはエチレン基を示し、さらに、R
12は、前述した反復単位(IIIb)等の置換基R12と同様の
置換基を示す。nは1〜10の整数を示す。なお、上記
5 〜R10及びR12は、前述のR1 及びR2の場合と同
様、それぞれ反復単位毎に同一であっても異なってもよ
い。
【0046】また、反復単位(V)及び(VII) は、それ
ぞれ一般式化8及び化10で表されるものであるが、そ
の一般式中のR11, R13及びR14は、それぞれ前述した
反復単位(IIIa)等の置換基R11, R13及びR14と同様の
置換基を示す。) 上記カルバメート基含有共重合体の製造方法において、
反復単位(I)及び(IVa) を含み、必要に応じて反復単
位 (II) を含む共重合体が原料として用いられる場合、
この原料共重合体は、各反復単位を与えるモノマーを公
知の手法によりラジカル重合又はイオン重合することに
よって製造される。
【0047】また、上記カルバメート基含有共重合体の
製造方法において、反復単位(I)及び(IVb) を含み、
必要に応じて反復単位 (II) を含む共重合体が原料とし
て用いられる場合、この原料共重合体は、反復単位
(I)(及び反復単位 (II) )を与えるモノマーを公知
の手法によりラジカル重合又はイオン重合した後、一般
式(IVb) を与えるモノマーを公知の手法によりグラフト
反応させることによって製造される。
【0048】反復単位(I)を与えるモノマーの具体例
としては種々のものがあるが、例えば、エチレン,プロ
ピレン,1−ブテン,イソブチレン,1−オクテン等の
オレフィン、スチレン,α−メチルスチレン,ビニルト
ルエン,p−t−ブチルスチレン等のスチレン類(芳香
族ビニル化合物)、酢酸ビニル,酪酸ビニル,ステアリ
ン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテ
ル,エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化
ビニル,塩化ビニリデン等のハロゲノオレフィン、メチ
ル アクリレート,エチル アクリレート,ブチル ア
クリレート,ヘキシル アクリレート,シクロヘキシル
アクリレート,デシル アクリレート,オクタデシル
アクリレート,メトキシエチル アクリレート等のア
クリル酸エステル類、メチル メタアクリレート,エチ
ル メタアクリレート,ブチルメタアクリレート,ヘキ
シル メタアクリレート,シクロヘキシル メタアクリ
レート,デシル メタアクリレート,オクタデシル メ
タアクリレート,メトキシエチル メタアクリレート等
のメタアクリル酸エステル類、アクリロニトリル,メタ
クリロニトリル等のニトリル類、メチルビニルケトン,
フェニルビニルケトン等のビニルケトンなどがあり、こ
れらを単独であるいは二種以上を組み合わせて使用する
ことができる。これらのうち、好ましいモノマーの例と
しては、エチレン,プロピレン,スチレン,メチルビニ
ルエーテル,イソブチレン,酢酸ビニル,アクリル酸エ
ステル類,メタアクリル酸エステル類等を挙げることが
できる。
【0049】反復単位 (II) を与えるモノマーの具体例
としては、ブタジエン, イソプレン,クロロプレン等の
共役ジエンがあり、これらを単独あるいは二種以上組み
合わせて使用することができる。好ましいモノマーとし
ては、ブタジエン, イソプレンを挙げることができる。
【0050】反復単位(IVb) を含む共重合体は、反復単
位(I)を与えるモノマーと、必要に応じて反復単位
(II) を与えるモノマーとを公知の方法により共重合し
て得られた共重合体に、無水マレイン酸、無水メチルマ
レイン酸、1,2−ジメチルマレイン酸、無水エチルマ
レイン酸、無水フェニルマレイン酸、無水イタコン酸等
の不飽和ジカルボン酸無水物を公知の過酸化物又は開始
剤等を用いてグラフト反応させることにより製造するこ
とができる。好ましいグラフト化モノマーは無水マレイ
ン酸である。グラフト反応は、無水マレイン酸等のグラ
フト化モノマーが反復単位(I)又は (II) の部分に結
合することによって進行する。なお、この反復単位(IV
b) を含む原料共重合体として、上記不飽和ジカルボン
酸無水物をグラフト反応させた市販の重合体(マレイン
酸変性EPRやマレイン酸変性SEBS等)を充当する
ことも可能である。
【0051】以上より、本発明のカルバメート基含有共
重合体の製造に用いられる原料共重合体を例示すれば、
分子内に反復単位(I)及び(IVa) 、さらに必要に応じ
て(II)を含む共重合体の場合、スチレン−無水マレイン
酸共重合体,エチレン−無水マレイン酸共重合体 ,プ
ロピレン−無水マレイン酸共重合体,エチレン−プロピ
レン−無水マレイン酸共重合体,イソブチレン−無水マ
レイン酸共重合体,メチルビニルエーテル−無水マレイ
ン酸共重合体,スチレン−イソプレン−無水マレイン酸
共重合体,エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチ
ル共重合体,エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メ
チル共重合体,エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸
共重合体,スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重
合体等を挙げることができる。しかし、これらの例示に
限定されるものではない。
【0052】また、分子内に反復単位(I)及び(IVb)
、さらに必要に応じて (II) を含む場合の原料共重合
体を例示すれば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ
イソプレン及びその水素添加物,ポリブタジエン及びそ
の水素添加物,クロロプレンゴム及びその水素添加物,
ニトリルゴム及びその水素添加物,エチレン−プロピレ
ン共重合体,エチレン−アクリル酸エステル共重合体,
エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体,スチレン
−イソプレン共重合体及びその水素添加物,スチレン−
ブタジエン共重合体及びその水素添加物等の重合体又は
共重合体(共重合体にあっては、ランダム共重合体,ブ
ロック共重合体,交互共重合体のいずれであってもよ
い)に、無水マレイン酸,無水メチルマレイン酸,無水
エチルマレイン酸,無水イタコン酸等の不飽和ジカルボ
ン酸の無水物をグラフト反応して得られる共重合体等を
挙げることができる。しかし、これらの例示に限定され
るものではない。
【0053】一方、本発明のカルバメート基含有共重合
体の製造方法において用いられるアミノ基とカルバメー
ト基を有する化合物(V)の具体例としては、エチル
2−アミノエチルカルバメート,iso−プロピル 2
−アミノエチルカルバメート,sec−ブチル 2−ア
ミノエチルカルバメート,ベンジル 2−アミノエチル
カルバメート,フェニル 2−アミノエチルカルバメー
ト,iso−プロピル6−アミノヘキシルカルバメー
ト,sec−ブチル 6−アミノヘキシルカルバメート
,ベンジル 6−アミノヘキシルカルバメート,is
o−プロピル6−アミノ−2,2,5−トリメチルヘキ
シルカルバメート,sec−ブチル6−アミノ−2,
2,5−トリメチルヘキシルカルバメート,ベンジル
6−アミノ−2,2,5−トリメチルヘキシルカルバメ
ート等のアミノ−直鎖又は分岐脂肪族アルキレンカルバ
メート類、iso−プロピル 4−アミノシクロヘキシ
ルカルバメート,sec−ブチル 4−アミノシクロヘ
キシルカルバメート,ベンジル 4−アミノシクロヘキ
シルカルバメート等のアミノ−脂環式カルバメート類、
iso−プロピル p−アミノメチルベンジルカルバメ
ート,sec−ブチル 4−アミノメチルベンジルカル
バメート,ベンジル 4−アミノメチルベンジルカルバ
メート等のアミノアリールアルキルカルバメート、is
o−プロピル 4−アミノフェニルカルバメート,se
c−ブチル 4−アミノフェニルカルバメート、ベンジ
ル 4−アミノフェニルカルバメート等のアミノアリー
ルカルバメート等の第一級アミノ基とN−一置換カルバ
メート基を有する化合物がある。これらの内好ましいの
は、アミノ−脂肪族及び脂環式カルバメートである。
【0054】また、別のアミノ基とカルバメート基を有
する化合物(V)としては、第一級アミノ基とN−二置
換カルバメート基を有する化合物が挙げられる。具体例
としては、エチル 2−アミノエチル−N−エチルカル
バメート,iso−プロピル2−アミノエチル−N−エ
チルカルバメート,sec−ブチル 2−アミノエチル
−N−エチルカルバメート,ベンジル 2−アミノエチ
ル−N−エチルカルバメート,フェニル 2−アミノエ
チル−N−エチルカルバメート,iso−プロピル 3
−アミノプロピル−N−メチルカルバメート,sec−
ブチル 3−アミノプロピル−N−メチルカルバメー
ト,ベンジル 3−アミノプロピル−N−メチルカルバ
メート,iso−プロピル 8−アミノオクチル−N−
エチルカルバメート,sec−ブチル 8−アミノオク
チル−N−エチルカルバメート,ベンジル 8−アミノ
オクチル−N−エチルカルバメート等のN−低級アルキ
ル置換直鎖脂肪族カルバメート、iso−プロピル 6
−アミノ−2,2,5−トリメチルヘキシル−N−メチ
ルカルバメート,ベンジル 6−アミノ−2,2,5−
トリメチルヘキシル−N−ブチルカルバメート等のN−
低級アルキル置換分岐状脂肪族カルバメート、iso−
プロピル p−アミノメチルベンジル−N−メチルカル
バメート,sec−ブチル 4−アミノメチルベンジル
−N−メチルカルバメート,ベンジル 4−アミノメチ
ルベンジル−N−メチルカルバメート等のN−低級アル
キル置換アリールアルキルカルバメート、iso−プロ
ピル4−アミノフェニル−N−エチルカルバメート,s
ec−ブチル 4−アミノフェニル−N−エチルカルバ
メート,ベンジル 4−アミノフェニル−N−エチルカ
ルバメート等のN−低級アルキル置換アリールカルバメ
ート、iso−プロピル アミノポリオキシプロピレン
−N−エチルカルバメート,sec−ブチルアミノポリ
オキシプロピレン−N−エチルカルバメート,ベンジル
アミノポリオキシエチレン−N−エチルカルバメート
等のN−低級アルキル置換ポリオキシアルキレンカルバ
メート等が例示できる。
【0055】さらに、本発明のカルバメート基含有共重
合体の製造方法において用いられる異節環状カルバメー
トのアミノアルキル化体 (一般式化10で示される化合
物 (VII) )の具体例としては、エチル N−アミノエチ
ルピペラジノカルバメート,iso−プロピル N−ア
ミノエチルピペラジノカルバメート,sec−ブチルN
−アミノエチルピペラジノカルバメート,ベンジル N
−アミノエチルピペラジノカルバメート,iso−プロ
ピル N−アミノプロピルピペラジノカルバメート,s
ec−ブチル N−アミノプロピルピペラジノカルバメ
ート,ベンジル N−アミノプロピルピペラジノカルバ
メート,sec−ブチル N−アミノブチルピペラジノ
カルバメート,ベンジル N−アミノブチルピペラジノ
カルバメート,iso−プロピル N−アミノヘキシル
ピペラジノカルバメート,ベンジル N−アミノヘキシ
ルピペラジノカルバメート,sec−ブチル N−アミ
ノオクチルピペラジノカルバメート,ベンジル N−ア
ミノオクチルピペラジノカルバメート,iso−プロピ
ル N−(4−アミノ−2,2−ジメチルブチル)ピペ
ラジノカルバメート、ベンジル N−(4−アミノ−
2,2−ジメチルブチル)ピペラジノカルバメート等が
例示できる。この内好ましいのは、エチルN-アミノエチルピペラジ
ノカルバメート,iso-プロピル N−アミノエチルピペラジノカルバ
メート,sec−ブチル N−アミノエチルピペラジノ
カルバメート,ベンジル N−アミノエチルピペラジノ
カルバメート,ベンジル N−アミノプロピルピペラジ
ノカルバメート,ベンジル N−アミノブチルピペラジ
ノカルバメート及びベンジル N−アミノヘキシルピペ
ラジノカルバメートである。
【0056】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法は、前述したように、反復単位(I)並びに反復
単位(IVa) 若しくは(IVb) 、さらに必要に応じて反復単
位(II)を含む原料共重合体に、アミノ基とカルバメート
基を有する化合物(V)又は(VII) を反応(イミド化反
応)させるものである。このイミド化反応は、スクリュ
ー押出機等を用いて無溶媒溶融状態で行うこともできる
が、局部反応を避け反応を均一ならしめる目的で、不活
性溶媒を使用することが望ましい。そのような目的で使
用できる不活性溶媒としては、ベンゼン,トルエン,キ
シレン,クメン,シメン,エチルトルエン,プロピルベ
ンゼン,ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、メチル
シクロペンタン,シクロヘキサン,エチルシクロペンタ
ン,メチルシクロヘキサン,1,1−ジメチルシクロヘ
キサン,エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ヘ
キサン,ヘプタン,オクタン,デカン,メチルヘプタ
ン,3−エチルヘキサン,トリメチルペンタン等の脂肪
族炭化水素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
(DMI),テトラメチル尿素,ジメチルスルホン,ジ
オキサン,1,2−ジメトキシエタン,ヘキサメチレン
リン酸トリアミド,ジメチルスルホキシド(DMS
O),N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極
性溶媒が挙げられる。
【0057】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法では、極性のかなり異なった反応基質同士を反応
させることになるので、一般には非極性溶媒と極性溶媒
とを同時に使用することが好ましい。
【0058】上記溶媒の使用量は、特に制限がなく状況
に応じて適宜選定すればよいが、通常は、原料として使
用する反復単位(I)並びに反復単位(IVa) 若しくは(I
Vb)、さらに必要に応じて反復単位 (II) を含む原料共
重合体(すなわち、置換又は非置換無水コハク酸を官能
基として有する多官能性共重合体)に対し、重量比で
0.3〜20倍、好ましくは1〜10倍の範囲で定めれ
ばよい。溶媒使用量が0.3倍より少ない場合は、希釈
効果が十分でなく反応混合物が高粘度になり取り扱いに
困難をきたす場合がある。一方、溶媒使用量を20倍よ
り多くしても、その使用量に相当する効果の向上が特に
認められず、経済的に不利である。
【0059】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法(イミド化反応)は特に触媒を必要としないが、
触媒を使用する場合には、例えば、トリメチルアミン,
トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジメチ
ルアニリン,N,N−ジエチルアニリン,1,8−ジア
ザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等の3級アミ
ンが好適である。
【0060】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法(イミド化反応)においては、原料共重合体と、
アミノ基とカルバメート基を有する化合物(V)又は(V
II)の使用比率は、使用する原料の種類や状況により異
なり一義的に定めることはできないが、通常は、原料共
重合体中に含まれる置換又は無置換無水コハク酸基(即
ち、反復単位(IVa) 又は(IVb) の無水コハク酸基) 1モ
ルに対し、アミノ基とカルバメート基を有する化合物
(V)又は(VII) をその分子中のアミノ基を基準にして
1.0〜10倍モル、好ましくは1.05〜5.0倍モ
ル使用する。化合物(V)又は(VII) のモル比が1.0
倍未満の場合、反応完結後も一部無水コハク酸基がイミ
ド化されずに残る。一方、上記モル比が10倍を超える
場合は、イミド化反応自体は速く進行する利点はある
が、反応試薬を多量に必要とする経済的不利益を免れな
い。
【0061】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法(イミド化反応)における反応温度及び反応時間
は、使用する溶媒及び触媒の有無によって異なるが、通
常100〜250℃、好ましくは110〜200℃で1
〜20時間反応する。反応温度が100℃未満である場
合には反応に長時間を要し、反応温度が250℃を超え
る場合には反応物の着色や導入したカルバメート基の熱
分解を起こす恐れがある。
【0062】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法において、イミド化反応を触媒を用いて行うか、
高温で行うか、または、原料共重合体に対する反応試薬
のモル比を大きくして行うと、反復単位(IIIa),(IIIb),
(VIIIa) 又は(VIIIb) の他にそれぞれ反復単位(VIa),(V
Ib),(IXa) 又は(IXb) で表されるアミド化物が多少組み
込まれる。
【0063】なお、上記イミド化反応により得られた共
重合体において、反復単位(IIIa),(IIIb),(VIIIa)又は
(VIIIb) で表されるイミド化物と反復単位(VIa),(VIb),
(IXa) 又は(IXb) で表されるアミド化物との組成は、例
えば同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペ
クトルの測定により知ることができる。すなわち、ケミ
カルシフト176〜180ppm付近に現れるイミド環
のカルボニル炭素(W)及び172〜174ppm付近
に現れるアミドのカルボニル炭素(Y)のピーク強度比
によって知ることができる。
【0064】本発明のカルバメート基含有共重合体の製
造方法 (イミド化反応) においては、反応原料の仕込み
順序等は特に制限されず様々な態様で行うことができ
る。しかし、通常は、極性溶媒にアミノ基とカルバメー
ト基を有する化合物(V)又は(VII) を溶解させた後、
反復単位(I)並びに反復単位(IVa) 若しくは(IVb) 、
さらに必要に応じて反復単位 (II) を含む原料共重合体
を徐々に加えるか、あるいは、その逆の順序がとられ
る。これらの仕込みは溶媒の加熱還流下で行ってもよ
い。
【0065】上記製造方法では、原料共重合体とアミノ
基及びカルバメート基を有する化合物とのイミド化反応
が水の生成を伴いながら進行するので、生成した水が用
いた溶媒と共に共沸してくる。従って、この共沸する水
をディーン・スターク分水器などにより反応系外へ除去
することにより、効率的にイミド化反応を進行させるこ
とができる。
【0066】また、イミド化反応の完結は、共沸水がも
はや認められなくなること、及び反応混合物を一部採取
して赤外吸収スペクトルを測定して1700cm-1 (〜
1800cm-1)付近のイミド環のカルボニルの吸収強
度の増大がもはや認められなくなることで確認できる。
【0067】上記イミド化反応により得られたカルバメ
ート基含有共重合体の精製は、得られた反応混合物をメ
タノール,イソプロパノール,イソブタノール,ヘキサ
ン,水などの貧溶媒に投入して沈澱を粉末化して回収す
ることにより容易に実施できる。
【0068】以下に、本発明の熱可塑性樹脂組成物につ
いて説明する。
【0069】前述した本発明のカルバメート基含有共重
合体(以下「C成分」という)を相溶化剤として用い、
エンジニアリングプラスチック等の熱可塑性樹脂(以下
「A成分」という)とポリオレフィン樹脂(以下「B成
分」という)とをブレンドして本発明の熱可塑性樹脂組
成物を得ることができる。ここで、A成分は、ポリカー
ボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リエーテル樹脂及びABS樹脂からなる群より選ばれた
熱可塑性樹脂である。
【0070】本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成につい
て、以下にさらに詳しく説明する。
【0071】(1) A成分について:本発明の熱可塑性樹
脂組成物中のA成分としては、上述したようにポリカー
ボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リエーテル樹脂及びABS樹脂からなる群より選ばれた
熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0072】詳細に説明すると、A成分のポリカーボネ
ート樹脂は、脂肪族、芳香族いずれのポリカーボネート
樹脂であっても良く、その例としては、2,2−ビス
(4−オキシフェニル) アルカン系、ビス(4−オキシ
フェニル) エーテル系、並びに、ビス(4−オキシフェ
ニル) スルホン、スルフィド及びスルフォキシド系等の
ビスフェノール類からなる重合物又は共重合物が挙げら
れる。
【0073】また、A成分のポリエステル樹脂の種類は
特に限定されず、各種のものを使用することができる。
脂肪族、芳香族いずれのポリエステル樹脂であっても良
いが、物性面を考慮すると後者の芳香族ポリエステル樹
脂の方が好ましい。分子量については、使用目的等に応
じて適宜選定すれば良いが、通常は固有粘度で0.2〜
2.0dl/g、好ましくは0.5〜1.2dl/gが
適合する。さらに、このポリエステル樹脂は、カルボン
酸末端若しくはアルコール性水酸基末端を有していても
良く、その比については特に制限はないが9/1〜1/
9が好ましい。
【0074】このようなポリエステル樹脂は様々な公知
の方法で製造することができ、またその種類としては多
種多様のものを挙げることができる。
【0075】本発明に用いるポリエステル樹脂の具体例
を挙げれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘ
キサジメチルテレフタレート(PCT)、さらにはポリ
アリレートなどである。
【0076】さらに、A成分のポリアミド樹脂の種類は
特に限定されず、各種のものを使用することができ、脂
肪族、芳香族いずれのポリアミド樹脂であってもよい。
分子量については特に制限はないが、得られる組成物の
成形性や物性を考慮すると数平均分子量としては、4,
000〜50,000、好ましくは5,000〜30,
000が適合する。
【0077】このようなポリアミド樹脂は、様々な公知
の方法で製造することができる。例えば、三員環以上の
ラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミ
ン等の閉環(共)重合や(共)重縮合等によって製造す
ることができる。
【0078】上述のポリアミド樹脂としては、様々なも
のを充当することができるが、その具体例を挙げれば、
ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン6,10;ナイ
ロン11;ナイロン12;ナイロン6,12;ナイロン
4,6等の脂肪族ポリアミド、ナイロン6/6;ナイロ
ン6/6,10;ナイロン6/6,12等の脂肪族共重
合ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタル
アミド;ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミ
ド;キシレン基含有ポリアミド等の芳香族ポリアミドな
どがある。さらには、ポリエステルアミド、ポリエステ
ルエーテルアミドなどを挙げることができる。
【0079】さらに、A成分のポリエーテル樹脂の種類
も特に限定されず各種のものを使用することができる。
脂肪族、芳香族いずれのポリエーテル樹脂であってもよ
い。
【0080】上述のポリエーテル樹脂としては様々なも
のがある。例えばポリオキシメチレン (POM)等のポ
リアセタール単独重合体やトリオキサン−エチレンオキ
サイド共重合体のようなポリエーテルの構造の混在した
ポリアセタール共重合体、ポリフェニレンエーテル(P
PE)、エーテル基とスルホン基とを混在させたポリエ
ーテルスルホン (PES)、エーテル基とカルボニル基
とを混在させたポリエーテルケトン (PEK)、またチ
オエーテル基を有するポリフェニレンサルファイド (P
PS)やポリスルホン (PSO)などに大別できる。
【0081】ここで、ポリアセタール単独重合体は、オ
キシメチレン単位を分子主鎖とする重合体であり、ホル
ムアルデヒドやトリオキサンを単独重合させることによ
って製造することができる。一方、ポリアセタール共重
合体は、上記オキシメチレン単位よりなる主鎖中に、オ
キシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテト
ラメチレン単位等のオキシアルキレン単位やオキシフェ
ニレンエチレン単位等をランダムに混在させたものであ
り、ホルムアルデヒドやトリオキサンとエチレンオキサ
イドなどの環状エーテルを共重合させることによって製
造することができる。
【0082】さらにまた、A成分のABS樹脂の種類も
特に限定されず、グラフト法によるものやポリマーブレ
ンド法によるもの等を使用できる。
【0083】代表例としては、ブタジエン単独のゴム成
分、またはブタジエンをスチレン及びアクリロニトリル
と共重合させたゴム成分を、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体と混合したものである。
【0084】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
上述したA成分の樹脂のいずれの樹脂とB成分のポリオ
レフィン樹脂とは十分に混和されるが、A成分の樹脂と
して、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂若しく
はポリアミド樹脂を用いたときにより優れた樹脂組成物
を得ることができる。
【0085】(2) B成分について:本発明の熱可塑性樹
脂組成物中のB成分は前述したようにポリオレフィン樹
脂であるが、詳細に説明すると、ポリオレフィン類又は
そのオリゴマー類、ポリオレフィン系熱可塑性エラスト
マー類、ポリオレフィン系エラストマー類、エチレン−
ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリルエステル
共重合体などであり、これらの各種ポリオレフィン及び
共重合体のブレンド物も含まれる。
【0086】より詳細には、上記ポリオレフィン類又は
そのオリゴマー類は、高密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレンとα
−オレフィンの共重合体などであり、上記ポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー類は、エチレン−プロピレン
ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPD
M)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ブ
チルゴム、ブタジエンゴム、低結晶性エチレン−プロピ
レン共重合体若しくはプロピレン−ブテン共重合体から
なり、上記ポリオレフィン系エラストマー類は、ポリプ
ロピレンとエチレン−プロピレンゴムのブレンドを主体
とするポリオレフィン系熱可塑性エラストマー類等であ
る。
【0087】このようなB成分のポリオレフィン樹脂の
うち、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム及び
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体 (EPDM)が
好ましい。また、平均分子量としては通常5,000〜
500,000のものが用いられるが、好ましくは1
0,000〜200,000のものが適合する。
【0088】(3) 熱可塑性樹脂組成物の組成比につい
て:本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記(1),(2) で記
載したA成分、B成分と、前述した本発明のカルバメー
ト基含有共重合体(C成分)とを必須の構成成分とする
ものであるが、さらに必要に応じて他の添加剤 (ガラス
繊維、カーボンファイバー等の強化材、無機充填材、熱
安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、耐候剤など)
を添加してもよい。
【0089】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物中の前
記A、B及びC成分の配合割合については、A成分とB
成分の合計100重量部に対して、A成分を5〜95重
量部、好ましくは20〜95重量部配合し、B成分を9
5〜5重量部、好ましくは80〜5重量部配合する。A
成分とB成分の配合割合が上記範囲外であれば、得られ
る樹脂組成物において剛性などの機械的強度が低下した
り、成形加工性が悪化するという問題を生じる。
【0090】C成分の配合割合は、A成分とB成分の合
計100重量部に対して0.05〜20重量部、好まし
くは0.5〜10重量部である。C成分の配合割合が
0.05重量部未満であれば、A成分とB成分の樹脂の
混和が不十分になり、得られる樹脂組成物の衝撃強度等
の各種物性が十分に改善されない。また、C成分の配合
割合が20重量部を超えても、C成分の配合量に相当す
るだけの各種物性の改善効果が認められず、さらには樹
脂組成物の衝撃強度が低下の傾向を示す。しかも、樹脂
組成物を製造する上で経済的に不利となる。
【0091】(4) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法につい
て:本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造の際の前記A、
B及びC成分の添加順序、添加時期、さらに添加方法に
ついては特に制限はない。
【0092】最も単純な例としてA、B及びC成分を同
時に加熱・溶融してもよいし、また、予めA成分とC成
分を溶融・混練したものをB成分に加え溶融・混練して
もよく、その他様々な組み合わせの添加順序、時期及び
方法を採用することが可能である。
【0093】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
は、具体的には、単軸押出機、二軸押出機、バリバリミ
キサー、混練ロール等の混練機、又はヘンシェルミキサ
ー等の混合機を用いて、上記各成分を加熱・溶融状態で
混練すれば良い。混練温度は用いる構成成分の種類、配
合量、製造すべき組成物の物性等に応じて異なり一義的
には決定できないが、通常は180〜340℃の範囲で
選定される。
【0094】
【作用】本発明のカルバメート基含有共重合体(相溶化
剤)の製造方法によれば、アミノ基とカルバメート基を
有する化合物をイミド化試薬として用いることにより、
アミノ基がイミド化に関与することになりこれにより架
橋反応を起こすことなく円滑に目的の共重合体を得るこ
とができると考えられる。また、イミド化反応において
生成するカルバメート基は第1級又は第2級アミンの保
護基として働いておりこれにより加熱下のイミド化反応
時において副反応を防止し、その結果、色相の良好な共
重合体を得ることができるのである。
【0095】上記本発明のカルバメート基含有共重合体
(C成分)は、熱可塑性樹脂(A成分)とポリオレフィ
ン樹脂(B成分)の混和性を高める働きがあるが、その
作用の発現機構についてはC成分の共重合体の高分子構
造を考慮して推定される。すなわち、C成分の共重合体
の幹部分がB成分のポリオレフィン樹脂と親和性を示
し、C成分の共重合体の枝部分に相当するカルバメート
基部分が高温ブレンド条件下で遊離アミノ基へと転化
し、この遊離アミノ基がA成分の熱可塑性樹脂と反応す
ることによりA成分と親和性を示し、その結果、A成分
の樹脂とB成分の樹脂の混和性が高められると考えられ
る。
【0096】
【発明の効果】本発明のカルバメート基含有共重合体の
製造方法によれば、各種ポリマーの側鎖にイミド基を介
してカルバメート基を導入することができる。
【0097】本発明のカルバメート基含有共重合体は、
相溶化剤として有効であり、これをエンジニアリングプ
ラスチック等の熱可塑性樹脂とポリオレフィン樹脂との
ブレンドに用いることにより、混和性の優れた本発明の
熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。本発明のカル
バメート基含有共重合体は、耐熱性に優れており、高温
でブレンドしても相溶化剤としての機能が損なわれるこ
とがない。故に、この共重合体を用いれば、期待される
物性・外観を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることがで
きる。
【0098】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性
に優れており、これを成形加工しても外観良好であって
層状剥離を引き起こさない。さらに、高温で成形加工し
ても、樹脂組成物自体の物性が損なわれることがなく、
着色することもなく成形品の色相は良好である。
【0099】なお、本発明のカルバメート基含有共重合
体は、相溶化剤として利用する以外にエポキシの硬化
剤、高分子アミノ試薬、接着剤の原料としても使用する
ことができる。
【0100】
【実施例】以下、本発明のカルバメート基を有する共重
合体及びその製造方法並びに該共重合体を含有する熱可
塑性樹脂組成物について実施例等により説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0101】A.無水マレイン酸グラフト共重合体の具
体的な合成例a〜j 最初に、本発明のカルバメート基を有する共重合体の製
造に用いる無水マレイン酸をグラフト反応したグラフト
共重合体の具体的な合成例について述べる。
【0102】まず、その合成例のうち無水マレイン酸グ
ラフトポリプロピレン樹脂の合成例a〔特公昭56−9
925号(「無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの
調製」)公報参照〕について以下に示す。
【0103】すなわち、重量平均分子量(Mw ) が6
0,000で数平均分子量(Mn ) が24,000の結
晶性ポリプロピレンの粉末100重量部と、無水マレイ
ン酸12重量部と、ジクミルパーオキシド4重量部とを
予め混合する。スクリュー径30mm、L/D=28の
押出機をバレル温度230℃に設定しスクリュー回転数
60rpmで前記混合物の押出反応を行い、吐き出され
たグラフト化物を粉砕した後アセトンに浸せきして未反
応の無水マレイン酸を抽出除去し、さらに乾燥して無水
マレイン酸グラフトポリプロピレン樹脂aを得た。得ら
れたグラフト化ポリプロピレン樹脂の無水マレイン酸グ
ラフト量は、ポリプロピレン100重量%に対して4.
5重量%であり、また、そのグラフト化樹脂のGPC
(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー) による分
子量はポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw ) が1
5,000で数平均分子量(Mn ) が6,500であっ
た。
【0104】また、上記合成例aと同様の方法により別
の無水マレイン酸グラフト共重合体(合成例b〜j)も
合成し、その結果を表1に示す。表1には、原料重合
体、その重量平均分子量(Mw ) 及び数平均分子量(M
n ) 、組成、無水マレイン酸グラフト量等が示されてい
る。
【0105】
【表1】
【0106】 B.無水マレイン酸共重合体の具体的な合成例k〜r 次に、本発明のカルバメート基含有共重合体の製造に用
いる無水マレイン酸を反復単位として含む共重合体を、
公知の共重合法に従って合成し、その結果を表2に示
す。表2には、共重合するモノマーの組成と、得られた
共重合体の重量平均分子量(Mw ) 及び数平均分子量
(Mn ) が示されている。
【0107】
【表2】
【0108】以下に、本発明のカルバメート基を有する
共重合体(ポリマー相溶化剤)を製造する具体的な実施
例i〜xviii について述べる。
【0109】C.実施例i 前記Aの項に記載した無水マレイン酸グラフトポリプロ
ピレン(合成例a)をエチル 2−アミノエチルカルバ
メートによりイミド化してカルバメート基を有する共重
合体(ポリマー相溶化剤)を製造した(実施例i)。
【0110】すなわち、温度計、攪拌機、滴下ロート、
ディーン・スターク分水器を備えた内容量1リットルの
フラスコにキシレン(溶剤II) を300mlと前記無水
マレイン酸グラフトポリプロピレン(合成例a)120
gを仕込んで加熱し、140℃でキシレンの還流下に溶
解した。
【0111】次に、このフラスコに、エチル 2−アミ
ノエチルカルバメート8.7gを1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン(DMI)(溶剤I) 100mlに溶
解したものを3時間かけて徐々に滴下した。この間反応
混合液はキシレンの還流温度下に保持され、イミド化反
応の結果共沸してくる水はディーン・スターク分水器で
反応系外へ除去した。
【0112】さらに、140℃で10時間反応を続け、
もはや新たな水の生成が認められなくなった時点で反応
を終了し、反応混合物をメタノール5リットル中へ投入
し沈殿として回収した。この沈殿をメタノールで洗浄し
乾燥した。収量は125.9gであった。
【0113】このようにして得られたグラフト共重合体
は白色粉末であり、B型粘度計で粘度を測定(測定溶
媒:キシレン、濃度:10重量%、温度:25℃) した
ところ151cpsであった。
【0114】また、得られたグラフト共重合体のキシレ
ンキャストフィルムを作成して赤外吸収スペクトルを測
定したところ、1775cm-1にイミド環の吸収、17
04cm-1にイミド環及びカルバメート基の吸収、さら
に1527cm-1にはカルバメート基に基づく吸収が観
測された。一方、CDCl3 中で測定した同位体炭素に
よる核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトルでは、17
6〜180ppmにはイミド環のカルボニル炭素のピー
クが強度比2.00で現れたが、172〜174ppm
のアミド基のカルボニル炭素の存在を示すピークは現れ
なかった。
【0115】上記13C−NMRスペクトルの測定から得
られたグラフト共重合体の分子中における官能基比率
(モル比) は、 (IIIbのイミド基)/(VIb のアミド基)
=100/0と決定された。
【0116】D.実施例ii 前記Bの項に記載したスチレン−無水マレイン酸共重合
体(合成例k)をベンジル 2−アミノエチルカルバメ
ートによりイミド化して本発明のカルバメート基含有共
重合体(ポリマー相溶化剤)を製造した(実施例ii)。
【0117】すなわち、温度計、攪拌機、滴下ロート、
ディーン・スターク分水器を備えた内容量1リットルの
フラスコに1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
(DMI)(溶剤I) を80mlとベンジル 2−アミノ
エチルカルバメート9.2gを仕込み、80℃に加熱し
た。
【0118】次に、このフラスコに、前記スチレン−無
水マレイン酸共重合体 (モル比95/5、重量平均分子
量(Mw ) :52,000、数平均分子量(Mn ) :2
5,000)(合成例k)71gをキシレン(溶剤II)
350mlに溶解した溶液を、滴下ロートより徐々に滴
下した。滴下終了後反応混合物を一部採取して赤外吸収
スペクトルを測定したところ、1780cm-1の酸無水
物環に基づく吸収は完全に消失していた。
【0119】さらに、加熱、昇温を続け、140℃付近
よりキシレンの還流と共に水が共沸してきたのでこれを
ディーン・スターク分水器により分離した。さらに、1
40℃で9時間反応を続けもはや新たな水の生成が認め
られなくなった時点で反応を終了し、反応混合物をメタ
ノール5リットル中へ投入し沈殿として回収した。この
沈殿を、メタノールで、洗浄し乾燥した。収量は77g
であった。
【0120】このようにして得られた共重合体は、白色
粉末であり、B型粘度計で粘度を測定(測定溶媒:トル
エン、濃度:10重量%、温度:25℃) したところ7
00cpsであった。
【0121】また、得られた共重合体のトルエンキャス
トフィルムを作成し赤外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、1775cm-1にイミド環の吸収、1700cm-1
にイミド環及びカルバメート基の吸収、さらに1530
cm-1にはカルバメート基に基づく吸収が観測された。
一方、CDCl3 中で測定した同位体炭素による核磁気
共鳴(13C−NMR)スペクトルでは、176〜180
ppmにイミド環のカルボニル炭素のピークが強度比
2.00で現れたが、172〜174ppmのアミド基
のカルボニル炭素の存在を示すピークは現れなかった。
【0122】上記13C−NMRスペクトルの測定から得
られた共重合体の分子中における官能基比率 (モル比)
は、 (IIIaのイミド基)/(VIa のアミド基) =100
/0と決定された。
【0123】E.実施例iii 〜xviii 前記Aの項に記載した無水マレイン酸グラフト共重合体
(合成例b〜j)を、表3及び表4に記載したイミド化
試薬により前記実施例iと同様の方法でイミド化し、本
発明のカルバメート基含有共重合体を得た。
【0124】また、前記Bの項に記載した無水マレイン
酸を反復単位として含む共重合体 (合成例l〜r)を、
表3及び表4に記載したイミド化試薬により前記実施例
iiと同様の方法でイミド化し、本発明のカルバメート基
含有共重合体を得た。
【0125】このようにして得られた共重合体 (実施例
iii 〜xviii)について、表3〜表6に示す。表3及び表
4には、イミド化される原料共重合体、イミド化試薬、
反応溶剤I及びII、反応温度、得られた共重合体の収量
等を示し、表5及び表6には、得られた共重合体の粘
度、スペクトルデータ、分子内の官能基比率(モル比)
及び外観を示す。なお、表5及び表6において、共重合
体の粘度の測定条件は、共重合体濃度が10重量%で温
度25℃であり、また、共重合体分子内の官能基比率
は、13C−NMRスペクトルの強度比より算出した。
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】F.実施例1〜16及び比較例1〜16 本発明の熱可塑性樹脂組成物の具体的な実施例1〜16
について以下に示す。
【0131】まず、A成分の樹脂としては表7に記載の
ものを使用し、B成分のポリオレフィン樹脂としては表
8に記載のものを使用し、さらにC成分の共重合体(相
溶化剤)としては、前記C、D及びEの項で記載した実
施例i〜xviii のものを使用する。なお、表7及び表8
には、樹脂名とその商品名、製造メーカー、さらに略号
を示した。
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】これらA、B及びC成分を表9に示した所
定の割合でドライブレンドし乾燥した後、二軸押し出し
機(KRCニーダー、栗本鉄工所製)を用いて溶融・混
練して本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0135】この樹脂組成物をペレット化した後、射出
成形機 (Hipershot3000,新潟鉄工所製)
を用いて加工し成形品を得た。この成形品のアイゾット
衝撃強度、層状剥離の有無並びに外観を調べて、その結
果を表9に示した。
【0136】なお、上記成形品の評価方法について説明
すると、アイゾット衝撃強度については、アイゾット衝
撃値をJIS K−7110に準拠して測定し、その測
定温度は23℃と−30℃で行った。
【0137】また、成形品の層状剥離の有無については
碁盤目試験により行った。すなわち、試験片の表面にナ
イフを用いて切り込みを入れ1mm×1mmの矩形10
0個をつくる。次いで、セロハンテープを圧着した後強
い力で引きはがしセロハンテープに付着せずはがれなか
った矩形の数を数える。数字が大きいほど層状剥離が起
こり難いことを示す。
【0138】さらに、成形品の外観や色相については、
目視にてフローマーク、ケバ立ち、シルバーの発生、着
色度合を判定した。外観が良好なものは○、やや不良な
ものは△、不良なものは×として表9に示した。
【0139】次に、実施例1〜16においてC成分の共
重合体 (相溶化剤) を配合しなかった例を比較例1〜1
6として、その実験結果を表9に示した。なお、成形品
の色相については、実施例1〜16のものも比較例1〜
16のものも全て白色であった。
【0140】
【表9】
【0141】表9より、実施例1〜16の成形品の衝撃
強度は、23℃と−30℃のどちらの測定温度において
も、対応する比較例1〜16の成形品の衝撃強度よりも
かなり優れていた。また、成形品の層状剥離の有無につ
いては、実施例1〜16の成形品は全く層状剥離を引き
起こさなかったが、比較例1〜16の成形品では層状剥
離性がほとんどの場合20/100以下であり碁盤目が
8割以上剥離してしまった。さらに成形品の外観につい
ては、実施例1〜16の成形品の外観は全て良好であっ
たが、比較例1〜16の成形品の外観はほぼ全部の場合
において不良であった。
【0142】G.比較例17 まず、特開平2−16111号公報に記載の相溶化剤xx
を合成した。
【0143】すなわち、重量平均分子量(Mw ) が6
0,000で数平均分子量 (Mn ) が24,000のポ
リプロピレン100重量%と、2,5−ジメチル−2,
5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン1.
0重量%と、t−ブチル アリルカルバメート10重量
%とをドライブレンドして、温度175℃、回転数40
0rpmの単軸エクストルーダーで押出した。これをメ
タノール中に投入し精製して、相溶化剤xxを得た。赤外
吸収スペクトル測定により、t−ブチル アリルカルバ
メートのグラフト量はポリプロピレン100重量%に対
して4.6重量%であると決定された。
【0144】次に、前記実施例1においてC成分として
iの共重合体の代わりに上記相溶化剤xxを用いて、実施
例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得て温度28
0℃、回転数60rpmで成形加工した(比較例1
7)。得られた成形品の物性・外観試験を行い、その結
果を前記実施例1の結果と共に表10に示した。なお、
実施例1の場合の成形加工も比較例17と同様に温度2
80℃、回転数60rpmで行ったものである。
【0145】
【表10】
【0146】表10より、C成分(相溶化剤)としてi
の共重合体の代わりに相溶化剤xxを用いると、成形品の
衝撃強度が23℃と−30℃のどちらの測定温度におい
ても低下してしまった。相溶化剤xxは耐熱性が劣るため
に、高温(280℃)で成形加工すると成形品の衝撃強
度が低下したものと考えられる。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に、 一般式化1で示される反復単位(I)を40〜99.8
    モル%と、 一般式化2で示される反復単位 (IIIa) を60〜0.2
    モル%と、を含有することを特徴とするカルバメート基
    を有する共重合体。 【化1】 【化2】 (但し、化1に於いて、R1 及びR2 は、各々独立に水
    素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8の
    シクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素
    数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ
    基、炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基、炭素数
    1〜17のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜6のア
    ルキルカルボニル基、炭素数6〜8のアリールカルボニ
    ル基、ハロゲン原子又はニトリル基を示す。また、化2
    に於いて、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素
    数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を
    示し、R11は、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数
    5〜17のシクロアルキレン基、炭素数6〜12のアリ
    ーレン基、炭素数7〜12のアリールアルキレン基又は
    炭素数4〜30のポリオキシアルキレン基を示し、R13
    は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基又はベンジ
    ル基を示し、さらに、R14は、水素原子又は炭素数1〜
    6のアルキル基を示す。なお、上記R1,R2,R9
    11, R13及びR14は、それぞれ反復単位毎に同一であ
    っても異なってもよい。)
  2. 【請求項2】 前記分子内に、一般式化3で示される反
    復単位 (II) を50モル%以下で更に含有することを特
    徴とする請求項1に記載のカルバメート基を有する共重
    合体。 【化3】 (但し、化3に於いて、R3 及びR4 は、各々独立に水
    素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のア
    ルケニル基又はハロゲン原子を示す。なお、上記R3
    びR4 は、それぞれ反復単位毎に同一であっても異なっ
    てもよい。)
  3. 【請求項3】 分子内に、 一般式化1で示される反復単位(I)を20〜99.8
    モル%と、 一般式化4で示される反復単位 (IIIb) を30〜0.2
    モル%と、を含有することを特徴とするカルバメート基
    を有する共重合体。 【化4】 (但し、化4に於いて、R5,R6 及びR7 は、各々独立
    に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
    8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、
    炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキ
    シ基、炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基、炭素
    数1〜17のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜6の
    アルキルカルボニル基、炭素数6〜8のアリールカルボ
    ニル基、ハロゲン原子又はニトリル基を示し、R8 は、
    存在しないか、又はメチレン基若しくはエチレン基を示
    し、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜
    6のアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示し、
    11は、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数5〜1
    7のシクロアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン
    基、炭素数7〜12のアリールアルキレン基又は炭素数
    4〜30のポリオキシアルキレン基を示し、R12は、水
    素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R
    13は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基又はベン
    ジル基を示し、R14は、水素原子又は炭素数1〜6のア
    ルキル基を示し、さらに、nは1〜10の整数を示す。
    なお、上記R5 〜R14は、それぞれ反復単位毎に同一で
    あっても異なってもよい。)
  4. 【請求項4】 前記分子内に、一般式化3で示される反
    復単位 (II) を50モル%以下で更に含有することを特
    徴とする請求項3に記載のカルバメート基を有する共重
    合体。
  5. 【請求項5】 分子内に、 一般式化1で示される反復単位(I)を40〜99.8
    モル%と、 一般式化5で示される反復単位(VIIIa) を60〜0.2
    モル%と、を含有することを特徴とするカルバメート基
    を有する共重合体。 【化5】 (但し、化5に於いて、R9 及びR10は、各々独立に水
    素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜8の
    アリール基を示し、R11は、炭素数1〜12のアルキレ
    ン基、炭素数5〜17のシクロアルキレン基、炭素数6
    〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリールアル
    キレン基又は炭素数4〜30のポリオキシアルキレン基
    を示し、さらに、R13は、炭素数1〜8のアルキル基、
    フェニル基又はベンジル基を示す。なお、上記R9 〜R
    11,及びR13は、それぞれ反復単位毎に同一であっても
    異なってもよい。)
  6. 【請求項6】 前記分子内に、一般式化3で示される反
    復単位 (II) を50モル%以下で更に含有することを特
    徴とする請求項5に記載のカルバメート基を有する共重
    合体。
  7. 【請求項7】 分子内に、 一般式化1で示される反復単位(I)を20〜99.8
    モル%と、 一般式化6で示される反復単位(VIIIb) を30〜0.2
    モル%と、を含有することを特徴とするカルバメート基
    を有する共重合体。 【化6】 (但し、化6に於いて、R5,R6 及びR7 は、各々独立
    に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
    8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、
    炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキ
    シ基、炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基、炭素
    数1〜17のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜6の
    アルキルカルボニル基、炭素数6〜8のアリールカルボ
    ニル基、ハロゲン原子又はニトリル基を示し、R8 は、
    存在しないか、又はメチレン基若しくはエチレン基を示
    し、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜
    6のアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示し、
    11は、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数5〜1
    7のシクロアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン
    基、炭素数7〜12のアリールアルキレン基又は炭素数
    4〜30のポリオキシアルキレン基を示し、R12は、水
    素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R
    13は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基又はベン
    ジル基を示し、さらに、nは1〜10の整数を示す。な
    お、上記R5 〜R13は、それぞれ反復単位毎に同一であ
    っても異なってもよい。)
  8. 【請求項8】 前記分子内に、一般式化3で示される反
    復単位 (II) を50モル%以下で更に含有することを特
    徴とする請求項7に記載のカルバメート基を有する共重
    合体。
  9. 【請求項9】 分子内に、一般式化1で示される反復単
    位(I)を40〜99.8モル%と、一般式化7で示さ
    れる反復単位(IVa) を60〜0.2モル%とを含有する
    共重合体に、一般式化8で示されるアミノ基とカルバメ
    ート基を有する化合物(V)を反応させることを特徴と
    する請求項1記載のカルバメート基を有する共重合体の
    製造方法。 【化7】 【化8】 (但し、化7に於いて、R9 及びR10は、各々独立に水
    素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜8の
    アリール基を示しており、前記R9 及びR10は、それぞ
    れ反復単位毎に同一であっても異なってもよい。また、
    化8に於いて、R11は、炭素数1〜12のアルキレン
    基、炭素数5〜17のシクロアルキレン基、炭素数6〜
    12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリールアルキ
    レン基又は炭素数4〜30のポリオキシアルキレン基を
    示し、 R13は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル
    基又はベンジル基を示し、さらに、R14は、水素原子又
    は炭素数1〜6のアルキル基を示している。)
  10. 【請求項10】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を40〜99.8モル%と、一般式化3で示
    される反復単位 (II) を50モル%以下と、一般式化7
    で示される反復単位(IVa) を60〜0.2モル%とを含
    有する共重合体に、一般式化8で示されるアミノ基とカ
    ルバメート基を有する前記化合物(V)を反応させるこ
    とを特徴とする請求項2記載のカルバメート基を有する
    共重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を20〜99.8モル%と、一般式化9で示
    される反復単位(IVb) を30〜0.2モル%とを含有す
    る共重合体に、一般式化8で示されるアミノ基とカルバ
    メート基を有する前記化合物(V)を反応させることを
    特徴とする請求項3記載のカルバメート基を有する共重
    合体の製造方法。 【化9】 (但し、化9に於いて、R5,R6 及びR7 は、各々独立
    に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
    8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、
    炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキ
    シ基、炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基、炭素
    数1〜17のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜6の
    アルキルカルボニル基、炭素数6〜8のアリールカルボ
    ニル基、ハロゲン原子又はニトリル基を示し、R8 は、
    存在しないか、又はメチレン基若しくはエチレン基を示
    し、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜
    6のアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基を示し、
    12は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示
    し、さらに、nは1〜10の整数を示す。なお、上記R
    5 〜R10,及びR12は、それぞれ反復単位毎に同一であ
    っても異なってもよい。)
  12. 【請求項12】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を20〜99.8モル%と、一般式化3で示
    される反復単位 (II) を50モル%以下と、一般式化9
    で示される反復単位(IVb) を30〜0.2モル%とを含
    有する共重合体に、一般式化8で示されるアミノ基とカ
    ルバメート基を有する前記化合物(V)を反応させるこ
    とを特徴とする請求項4記載のカルバメート基を有する
    共重合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を40〜99.8モル%と、一般式化7で示
    される反復単位(IVa) を60〜0.2モル%とを含有す
    る共重合体に、一般式化10で示されるアミノ基とカル
    バメート基を有する化合物(VII) を反応させることを特
    徴とする請求項5記載のカルバメート基を有する共重合
    体の製造方法。 【化10】 (但し、化10に於いて、R11は、炭素数1〜12のア
    ルキレン基、炭素数5〜17のシクロアルキレン基、炭
    素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリー
    ルアルキレン基又は炭素数4〜30のポリオキシアルキ
    レン基を示し、R13は、炭素数1〜8のアルキル基、フ
    ェニル基又はベンジル基を示す。)
  14. 【請求項14】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を40〜99.8モル%と、一般式化3で示
    される反復単位 (II) を50モル%以下と、一般式化7
    で示される反復単位(IVa) を60〜0.2モル%とを含
    有する共重合体に、一般式化10で示されるアミノ基と
    カルバメート基を有する前記化合物 (VII)を反応させる
    ことを特徴とする請求項6記載のカルバメート基を有す
    る共重合体の製造方法。
  15. 【請求項15】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を20〜99.8モル%と、一般式化9で示
    される反復単位(IVb) を30〜0.2モル%とを含有す
    る共重合体に、一般式化10で示されるアミノ基とカル
    バメート基を有する前記化合物(VII) を反応させること
    を特徴とする請求項7記載のカルバメート基を有する共
    重合体の製造方法。
  16. 【請求項16】 分子内に、一般式化1で示される反復
    単位(I)を20〜99.8モル%と、一般式化3で示
    される反復単位 (II) を50モル%以下と、一般式化9
    で示される反復単位(IVb) を30〜0.2モル%とを含
    有する共重合体に、一般式化10で示されるアミノ基と
    カルバメート基を有する前記化合物 (VII)を反応させる
    ことを特徴とする請求項8記載のカルバメート基を有す
    る共重合体の製造方法。
  17. 【請求項17】 下記A成分、B成分及びC成分を含有
    することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 (A)ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
    アミド樹脂、ポリエーテル樹脂およびABS樹脂からな
    る群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂と、
    (B)ポリオレフィン樹脂と、さらに、(C)請求項1
    から8のいずれかに記載のカルバメート基を有する共重
    合体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6251939B1 (en) * 1995-06-07 2001-06-26 Promega Biosciences, Inc. Carbamate-based cationic lipids
KR100458868B1 (ko) * 2001-12-03 2004-12-03 호남석유화학 주식회사 카바메이트기를 가지는 폴리올레핀과 폴리올레핀 공중합체및 그 제조방법
CN106479519A (zh) * 2015-09-02 2017-03-08 Jsr株式会社 液晶取向剂、液晶取向膜及液晶元件、及它们的制造方法

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