JPH05294173A - 車両の統合制御装置 - Google Patents

車両の統合制御装置

Info

Publication number
JPH05294173A
JPH05294173A JP4129579A JP12957992A JPH05294173A JP H05294173 A JPH05294173 A JP H05294173A JP 4129579 A JP4129579 A JP 4129579A JP 12957992 A JP12957992 A JP 12957992A JP H05294173 A JPH05294173 A JP H05294173A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amount
control
steering
linear
control amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4129579A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3212134B2 (ja
Inventor
Hidekazu Ono
英一 小野
Kaoru Takanami
薫 高浪
Yutaka Hirano
豊 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP12957992A priority Critical patent/JP3212134B2/ja
Publication of JPH05294173A publication Critical patent/JPH05294173A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3212134B2 publication Critical patent/JP3212134B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、車両の前後輪の駆動力配分が操舵系
に及ぼす影響を考慮し、旋回特性を向上することを目的
とする。 【構成】ハンドル操舵量δSWと車両の旋回運動を表す挙
動量β,R,Tとを検出する検出手段と、前記検出され
た操舵量と挙動量とに応じて、挙動量を望ましい特性に
追従させるための線形制御量を車両運動を表す線形モデ
ルに基づき線形演算する線形制御量演算手段201と、
前記演算された線形制御量を前記検出された挙動量に基
づき非線形変換して操舵制御量と駆動特性を表す駆動制
御量を出力する非線形補償手段301と、前記操舵制御
量に応じて車両の前輪および後輪の少なくとも一方に最
適な転舵角を生じさせる操舵制御手段41と、前記駆動
制御量に応じて前後輪の駆動力または制動力の配分を可
変制御する駆動制御手段51とから成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵装置と駆動
もしくは制動装置とを統合的に制御することにより、例
えば前後輪の駆動力配分が操舵系に及ぼす影響を考慮し
た高性能な旋回特性が得られる車両の統合制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の旋回特性の向上を図る
技術がある。例えば、車両の前後輪の少なくとも一方に
最適な転舵角を生じさせることにより、旋回特性の向上
を図る「車両の操舵制御装置」(特開平3-132166)があ
る。本従来技術では、操舵制御量である前後輪の実舵角
と車両の旋回運動を表す挙動量との関係は線形微分方程
式で表されることを利用して、線形制御理論の適用を図
り、高度な旋回特性の向上を実現している。しかしなが
ら、操舵系のみによる制御では、旋回特性の向上に限界
がある。すなわち、多少のタイヤの非線形特性に関して
は、制御によって補償されるものの、タイヤの非線形特
性が大きく影響する限界付近の領域においては、操舵系
の制御のみでは十分な制御効果が期待できない。このた
め、操舵系のほか駆動系の制御を組み合わせ、統合的に
旋回特性を向上させようとする研究が近年行われつつあ
る。この場合、操舵系のみの制御系設計に比較して、特
にタイヤ特性の飽和する限界付近の旋回領域において制
御性能の向上が期待される。
【0003】車両の駆動力配分と後輪舵角を統合して制
御することを目的とした従来技術としては、例えば「4
輪駆動,4輪操舵自動車の駆動力配分及び後輪舵角の制
御方法」(特開平1-182129)がある。この従来技術は、
「前輪操舵時後輪を前輪と同方向に操舵させるよう後輪
操舵角を制御する装置を装備したものにおいて、前輪操
舵時横Gセンサにて検出した実横加速度と、前輪舵角と
車速とから演算にて求めた仮想横加速度との差が、ある
設定値以上かまたは以下であった場合、上記実横加速度
と仮想加速度との差及びその時の総駆動力に応じて前後
輪への駆動力配分及び後輪操舵角を修正制御する」こと
を特徴とする制御方法である。
【0004】本従来技術は、場合分け的なアルゴリズム
が中心となっており、舵角及びトルク配分の修正量の大
きさをどのように決定するかについては明らかにされて
いない。しかしながら、この修正量の大きさは、適切な
ものでなければ車両運動をかえって悪化させることにな
り、実際の設計にはこの修正量を決定するために多大の
試行錯誤が不可欠となる。すなわち、本従来技術におけ
る制御アルゴリズムでは、例えば、実横加速度が目標と
しての仮想横加速度に比較して小さい場合、後輪駆動力
配分を増すとともに後輪舵角をオーバーステア方向に修
正している。しかし、この修正量は適正なものでなけれ
ば、かえって旋回特性を悪化させる。つまり、タイヤの
限界付近において初期の横加速度が発生せずヨーレート
のみが生じる場合、修正量が過大になり、スピン状態に
陥る可能性がある。また、本従来技術のような試行錯誤
的な設計では、最適な制御則を得ることは困難であると
いう問題点がある。
【0005】更に、操舵制御量である前後輪の実舵角と
車両の旋回運動等を表す挙動量の関係は線形微分方程式
で表されるのに対し、駆動制御量を表す駆動力または制
動力配分比と旋回運動の関係は線形微分方程式としてで
はなく、非線形微分方程式として表される。このため、
操舵系と駆動系を統合させた制御系を設計する場合、操
舵制御量および駆動制御量を直接入力とした制御系の設
計を行おうとすると線形制御理論を適用できず、試行錯
誤的な設計となってしまい、目的とする最適な制御系を
得ることが困難であるという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、従来のチューニングに基づいた制御系の設計を改善
し、線形制御理論を適用することにより、試行錯誤をな
くしたシステマティックな制御系設計を行い、前記従来
技術における問題点を解決した。
【0007】つまり、前後輪の駆動力配分が旋回特性に
及ぼす影響は非線形的なものであり、線形の車両運動モ
デルによって表すことはできない。このため、操舵系と
駆動系を統合的に制御するための制御系設計は、非線形
の車両運動モデルに基づかなければならない。しかしな
がら、線形制御理論は線形のモデルに対してのみ適用で
きるものであり、単純には、操舵、駆動統合制御系の設
計に適用することはできない。そこで、本発明者らは、
操舵系及び駆動系の制御量を車両運動モデルが線形モデ
ルとなるような変数変換によって、新たに仮想的な制御
量を定義することに着眼した。
【0008】すなわち、本発明はこのようにして導出さ
れた線形モデルに対し線形制御理論を適用することによ
って、操舵系及び駆動制動系の制御を統合的かつ最適に
行うことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に示さ
れる第一発明は、少なくともハンドル操舵量と車両の旋
回運動を表す挙動量とを検出する検出手段と、前記検出
された操舵量と挙動量とに応じて、挙動量を適正な特性
に追従させるための線形制御量を車両運動を表す線形モ
デルに基づき線形演算する線形制御量演算手段と、前記
演算された線形制御量を前記検出された挙動量に基づき
非線形変換して操舵制御量と駆動特性を表す駆動制御量
及び制動特性を表す制動制御量の少なくとも一方とを出
力する非線形補償手段と、前記操舵制御量に応じて車両
の前輪および後輪の少なくとも一方に最適な転舵角を生
じさせる操舵制御手段と、前記駆動制御量及び前記制動
制御量の少なくとも一方に応じて駆動力及び制動力の少
なくとも一方の前後輪への配分を可変制御する駆動制動
制御手段とを具備してなるものである。
【0010】
【作用】検出手段は、ハンドル操舵量および車両の旋回
運動などを表す挙動量を検出し、それらに対応する電気
信号などに変換する。つぎに、線形制御量演算手段にお
いて操舵量に対する車両の挙動を最適にするため、操舵
量および挙動量から仮想的な制御量である線形制御量を
車両運動を表す線形モデルに基づき線形演算する。
【0011】そして、非線形補償手段において前記演算
された線形制御量を、挙動量を用いて非線形変換するこ
とにより、操舵系と駆動系の直接的な制御パラメータで
ある操舵制御量と駆動制御量及び制動制御量の少なくと
も一方を出力し、効率的に車両の応答性および安定性を
向上させる。
【0012】つぎに、操舵制御手段において前記演算さ
れた操舵制御量に基づき、前輪または後輪の少なくとも
一方の転舵輪に最適な転舵角を与えるように操舵アクチ
ュエータを駆動する。
【0013】また、駆動制動制御手段において前記演算
された駆動制御量及び制動制御量の少なくとも一方に基
づき、センターデフの多板油圧クラッチやブレーキアク
チュエータなどを駆動し、前後輪の駆動力及び制動力配
分比の少なくとも一方を可変制御する。
【0014】
【発明の効果】本発明では、操舵制御量および駆動制御
量、制動制御量より非線形変数変換によって求められる
線形制御量を仮想的な制御量として導入し、この線形制
御量を制御入力とする制御系の設計を行う。この場合、
挙動量と線形制御量とは伝達関数によって記述される線
形微分方程式の関係にあるため、線形制御理論を適用す
ることが可能であり、比較的容易に操舵量と挙動量から
線形制御量を演算するための線形制御量演算手段を設計
することができる。
【0015】このように、本発明では、線形制御理論の
適用が可能となるため、線形モデルに基づき操舵系及び
駆動、制御系の制御を統合的に行うことができ、システ
マティックで最適な制御系設計が行われ、通常の旋回領
域から操舵系のみの制御では達成し得なかったタイヤの
限界領域まで、広範囲の領域で旋回特性が最適に制御す
る事ができる。
【0016】(その他の発明の説明)本発明の請求項2
に示される第二発明は、上述した第一発明の一例を具体
化したものであり、検出された操舵量に基づき目標とす
る車両の挙動量を達成するための目標制御量を演算する
目標制御量演算手段と、前記検出された操舵量に基づき
目標とする車両の挙動量を演算する目標挙動量演算手段
と、前記演算された目標挙動量と検出された挙動量とに
応じて、挙動量を目標挙動量に追従させるための補正量
を車両運動を表す線形モデルに基づき線形演算する補正
量演算手段と、前期演算された目標制御量と補正量を加
算し、制御量を演算する制御量演算手段とを更に具備し
てなるものである。
【0017】上記構成よりなる本第二発明の車両の統合
制御装置の作用は、次の通りである。目標制御量演算手
段において、操舵量に対する車両の挙動を最適にするた
め、目標とする車両の挙動量を達成するために必要な目
標制御量を操舵量から線形の車両運動特性を考慮して演
算する。この目標制御量は、線形制御理論を適用するた
めに定義した仮想的な制御量のうち挙動量の制御におい
てフィードフォワード的な制御量として作用し、操舵に
対する車両の応答性を向上させる。また、目標挙動量演
算手段では、目標となる車両の挙動量である目標挙動量
を演算する。
【0018】つぎに、補正量演算手段において、検出さ
れた実際の挙動量と目標挙動量との偏差を抑制するため
の最適な補正量を線形の車両運動特性を考慮して演算す
る。この補正量は、線形制御理論を適用するために定義
した仮想的な制御量のうち挙動量の制御においてフィー
ドバック的な制御量として作用し、車両の安定性を向上
させる。なお、この補正量演算手段は、線形制御理論を
適用することによって、システマティックに最適な設計
が行われる。
【0019】ついで、制御量演算手段において、挙動量
の制御においてフィードフォワード的な制御量として作
用する目標制御量とフィードバック的な制御量として作
用する補正量を加算し、仮想的な制御量である線形制御
量を演算する。
【0020】そして、非線形補償手段において前記演算
された線形制御量を、挙動量を用いて非線形変換するこ
とにより、操舵系と駆動・制動系の直接的な制御パラメ
ータである操舵制御量と駆動制御量及び制動制御量の少
なくとも一方とを出力し、効率的に車両の応答性および
安定性を向上させる。
【0021】つぎに、操舵制御手段において前記演算さ
れた操舵制御量に基づき、前輪または後輪の少なくとも
一方の転舵輪に最適な転舵角を与えるように操舵アクチ
ュエータを駆動する。
【0022】また、駆動制動制御手段において前記演算
された駆動制御量及び制動制御量の少なくとも一方に基
づき、センターデフの多板油圧クラッチやブレーキアク
チュエータなどを駆動し、前後輪の駆動力または制動力
配分比を可変制御する。
【0023】挙動量の制御に着目すると、車両諸元の変
動や外部環境からの外乱等がない場合、挙動量の制御に
おいてフィードフォワード的な制御量である目標制御量
によって挙動量を目標挙動量に一致させることができる
ため、偏差は零となり、挙動量の制御においてフィード
バック的な制御量である補正量も零となり、フィードバ
ック制御は働かない。
【0024】一方、車両諸元の変動や外部環境からの外
乱等がある場合は、フィードフォワード的な制御のみで
は目標となる挙動量を得ることはできず、偏差を生じ
る。この場合、補正量演算手段から偏差に対応した補正
量が出力される。この補正量は偏差を零に漸近させるよ
うに働き、車両の動特性を目標挙動量に漸近させること
ができる。
【0025】このように、その他の発明の車両の統合制
御装置では、操舵に対する挙動量の応答性を向上させる
ためのフィードフォワード的な制御量である目標制御量
を演算する目標制御量演算手段と、車両諸元の変動や外
部環境からの外乱等に対する安定性を向上させるための
フィードバック的な制御量である補正量を演算する補正
量演算手段が個別に設計できるため、制御系間における
相互の影響を考慮する必要がなく、それぞれの制御系設
計は、よりやりやすいものとなっている。
【0026】
【実施例1】本発明の車両の統合制御装置を、後輪舵角
および駆動力配分比が可変制御できる車両に適用した実
施例を実施例1として、図1および図2を用いて説明す
る。まず、駆動制御量が旋回運動に及ぼす非線形的な影
響を含めた、操舵、駆動統合系を記述した非線形モデル
について、その一例を図1を用いて具体的に説明する。
なお、以下の説明において、関数xの時間微分をx’と
表す。
【0027】図1は、各輪のスリップ角と発生するコー
ナリングフォースの関係を示したものである。各輪で発
生するコーナリングフォースは、各輪のスリップ角に対
しほぼ比例する関係を持つが、そのタイヤに駆動力や制
動力が加わる場合、比例定数であるコーナリングパワー
は減少する。本発明はこの性質を旋回特性等の車両の挙
動量の制御に活用するものである。すなわち、加減速時
の駆動、制動力の配分を前輪に大きく設定した場合、駆
動、制動力の加わる前輪のコーナリングフォースは減少
し、前輪の舵角を戻したことと同じ効果を持つ。また、
加減速時の駆動、制動力の配分を後輪に大きく設定した
場合、駆動、制動力の加わらない前輪のコーナリングフ
ォースは減少しないのに対し、駆動、制動力の加わる後
輪のコーナリングフォースは減少し、後輪の舵角を戻し
たことと同じ効果を持つ。結局これらの現象を考慮した
車両運動は次式を用いて記述することができる。
【0028】 mv(β’+R)=Ff +Fr … (1) Iz R’=af Ff −ar Fr … (2) Ff =−cf (β+af R/v−δf )・ {1−hf |T|( 1+λ) } … (3) Fr =−cr (β−ar R/v−δr )・ {1−hr |T|( 1−λ) } … (4)
【0029】ただし、 af,ar :前輪および後輪の車軸と重心との距離 cf,cr :駆動、制動力が加わらないときの前後輪のコ
ーナリングパワー Ff,Fr :前後輪のコーナリングフォース Iz :ヨー慣性モーメント m :車両質量 R :ヨー角速度 T :総駆動力(値が負のときは制動力を表す) v :車速 β :車体スリップ角 δf,δr :前後輪の実舵角
【0030】また、hf |T|(1+λ) およびhr |
T|(1−λ)は駆動、制動力によるコーナリングパワ
ーの減少を表す項である。(ただし、hf 、hr は係数
である。)λ( −1≦λ≦1) は駆動系制御に関する値
であり、λ=1は駆動力、制動力をすべて前輪に加える
ことに、またλ=−1は駆動力、制動力をすべて後輪に
加えることに対応している。
【0031】本実施例の車両の統合制御装置を、図2に
示す。車速検出手段は、車速センサ110からなり、4
輪の回転速度から車速を推定演算し、対応する電気信号
を車速信号vとして出力する。
【0032】操舵量検出手段は、ハンドルと同軸上に取
り付けられた操舵角センサ120からなり、ハンドルの
操舵角を測定し、ハンドルギヤ比に相当する値で除算し
て、ドライバーのハンドル操舵量信号δSWとして出力す
る。本第一実施例においては前輪舵角制御は行っていな
いため、δf =δSWとなる。
【0033】挙動量検出手段は、車体スリップ角センサ
131とヨー角速度センサ132と層駆動力センサ13
3とからなる。車体スリップ角センサ131は、非接触
式速度計を用いたものであり、車体スリップ角を電気信
号に変換し、車体スリップ角信号βとして出力するもの
である。なお、この車体スリップ角は、横加速度センサ
と車速およびヨー角速度から演算し、推定した値を用い
ても良い。この場合、車体スリップ角の推定精度は高く
ないが、非接触式速度計を用いる必要はなく、より実用
的なシステムとなる。また、ヨー角速度センサ132
は、車両重心に取り付けられ、該重心位置でのヨー角速
度を測定し、ヨー角速度信号Rとして出力する。さら
に、総駆動力センサ133は、スロットル開度、ギヤ
比、などから前後輪に加わる総駆動力を推定し、総駆動
力信号Tとして出力する。
【0034】目標制御量演算手段211と、目標挙動量
演算手段221と、補正量演算手段231と、制御量演
算手段241とからなる線形制御量演算手段201と、
非線形補償手段301は、車速信号と操舵量信号と挙動
量信号を入力し、操舵制御量信号としての後輪実舵角信
号δr と駆動制御量信号としての駆動力配分比信号λを
出力するディジタルコンピュータにより構成される。
【0035】以下に、線形制御量演算手段201および
非線形補償手段301における演算の内容を示す。
【0036】(2) ないし(4) 式によって表されるヨー角
速度の特性は、直接的な制御量としての後輪実舵角δr
および駆動力配分比λを次式に示される仮想的な制御量
pに変数変換することによって、線形化される。
【0037】 p=δr − (af cf /ar cr)・ hf |T|・(1+λ)・ (β+af R/v−δf )+hr |T|・(1−λ)・ (β−ar R/v−δr )+(af cf /ar cr −1)・ β … (5)
【0038】すなわち、この新しい仮想的な制御量pに
よってヨー角速度Rに関する運動方程式は、次式のよう
に線形化される。
【0039】 R’=−(af2cf +ar2cr )/(Iz v)・ R +(af cf /Iz )・ δf −(ar cr /Iz )・ p … (6)
【0040】本実施例では、線形制御量演算手段201
は、(6) 式の線形モデルに、非線形補償手段301は
(5) 式の変数変換に基づいて設計することとした。目標
挙動量演算手段221は、操舵量信号δf より車速信号
vに基づきドライバが最も操縦し易いような車両挙動量
である目標ヨー角速度R0 を目標挙動量信号として出力
する。ここでは、このような車両挙動の動特性として、
操舵に対しヨー角速度が一次遅れで追従する特性を考え
る。つぎに、ドライバーのハンドル操舵量信号δSW=
δ、車速信号vと目標ヨー角速度信号R0 の関係を表す
数式を示す。 R0 =vδf /{( af +ar)・(1+τ1 s) } … (7)
【0041】ただし、τ1 は一次遅れの時定数、sはラ
プラス演算子を表す。(7) 式の演算は、離散化して漸化
式として演算される。目標制御量演算手段211は、目
標車両挙動量である目標ヨー角速度R0 を得るために必
要な、仮想的な制御量pを挙動量に対するフィードフォ
ワード的な制御量である目標制御量信号pf として演算
する。
【0042】つぎに、目標制御量演算手段211の演算
内容について説明する。ここでは、変数変換によって線
形化された(6) 式に基づいて設計を行う。すなわち、
(6) 式を(7) 式の望ましい特性に一致させるために必要
な仮想的な制御量pは次式によって与えられる。
【0043】 p=k1 δf −k2 ・ (1+τ2 s)/(1+τ1 s)・ δf … (8) ただし、 k1 =af cf /ar cr k2 =(af +ar )/(af2ar cf cr +ar3cr2) … (9) τ2 =Iz v/(af2cf +ar2cr ) … (10) したがって、目標制御量演算手段21の演算は、(8) な
いし(10)式を離散化し、演算されるpを目標制御量信号
pf として出力することとなる。
【0044】補正量演算手段231は、目標ヨー角速度
信号R0 とヨー角速度信号Rとの偏差信号R0 −Rか
ら、この偏差信号を零に漸近させるような挙動量に対し
フィードバック的な制御量である補正量信号pb を演算
し出力する。この演算のアルゴリズムは、(6) 式の線形
状態方程式を制御対象とした制御則となる。すなわち、
(6) 式は線形状態方程式であるため、線形制御理論を適
用することが可能となる。本実施例の場合、線形制御理
論の適用によって導出された次式に示す状態方程式に基
づき補正量信号pb を演算している。
【0045】 xc ’=Ac xc +Bc ・ (R0 −R) … (11) pb =Cc xc +Dc ・ (R0 −R) … (12) ただし、Ac ,Bc ,Cc ,Dc は定数行列である。こ
の場合、制御則に動特性を含んでおり、この制御則は離
散化されて漸化式となる。また、制御則は状態フィード
バックでもよい。
【0046】制御量演算手段241は、目標制御量演算
手段211において演算されたフィードフォワード的な
制御量である目標制御量信号pf と、補正量演算手段2
31において演算されたフィードバック的な制御量であ
る補正量信号pb を加算し、線形制御量信号pf +pb
を出力する。
【0047】非線形補償手段301は、制御量演算手段
より得られた線形制御量信号pから、車速センサ110
より得られた車速信号vと車体スリップ角センサ131
より得られた車体スリップ角信号βとヨー角速度信号R
と総駆動力センサ133より得られた総駆動力信号Tに
基づき、操舵制御量信号としての後輪実舵角信号δrと
駆動制御量信号としての駆動力配分比信号λを演算し出
力する。
【0048】つぎに、非線形補償手段301における演
算の内容について説明する。線形制御量信号pf +pb
と後輪実舵角信号δr および駆動力配分比信号λの間に
は、(5) 式に示したpとδr 、λとの関係が成り立つ。
しかし、(5) 式のみから後輪実舵角δr および駆動力配
分比λについて解くことは不定となり、これらの信号、
すなわち後輪実舵角信号δr および駆動力配分比信号λ
を一意に決定することはできない。このため、ここで
は、つぎに示すアルゴリズムによって後輪実舵角δr お
よび駆動力配分比λを導出することとした。
【0049】すなわち、まず、駆動力配分比λを大きく
すること(前輪駆動に近づけること)は、ヨー角速度の
出力を抑えることに寄与し、駆動力配分比を小さくする
こと(後輪駆動に近づけること)は、ヨー角速度の出力
を増加させることに寄与するということに着目し、駆動
力配分比λを次式に示すように演算する。 λ=sgn(R)・K・ |T|・(pf +pb) … (13) ただし、Kは正の定数、sgn(R) はRの符号を意味して
いる。また、この式に総駆動力Tが含まれていること
は、駆動系が旋回特性に与える影響が小さい定速走行時
には、駆動系の制御の重みを小さく、駆動系が旋回特性
に与える影響が大きい加速走行時には、駆動系の制御の
重みを大きくすることを意味している。すなわち、Tの
値が小さい定速走行時にはλをあまり変化させず、Tの
値が大きい加速走行時にはλを大きく変化させて駆動力
配分比を有効に利用した制御則となっている。
【0050】ついで、(5) 式に(13)式のλを代入し、δ
r について解くことにより後輪実舵角を求める。 δr ={ar cr p−(af cf −ar cr )β +af cf hf |T|(1+λ)αf −ar cr hr |T|(1−λ)αr } /{ar cr −ar cr hr |T|(1−λ)} … (14) ただし、 p=pf +pb αf =β+af R/v−δf αr =β−ar R/v である。
【0051】このようなアルゴリズムによって後輪実舵
角δr および駆動力配分比λを一意に決定することは、
挙動量を望ましい特性に設定するための制御の性能を向
上させることのみならず、その制御の効率をも向上させ
ている。操舵制御手段は、操舵制御量信号としての後輪
実舵角信号δr に基づき後輪にδr に対応した転舵角を
与える後輪操舵アクチュエータ41からなる。駆動制御
手段は、駆動制御量信号としての駆動力配分比信号λに
基づき、センターデフの油圧多板クラッチの油圧を可変
制御する駆動アクチュエータ51からなる。
【0052】上記構成からなる本実施例の作用および効
果は、以下の通りである。まず、車速センサ110と操
舵角センサ120と車体スリップ角センサ131とヨー
角速度センサ132と総駆動力センサ133の出力は線
形制御量演算手段201と非線形補償手段301を構成
するディジタルコンピュータに入力される。
【0053】該ディジタルコンピュータでは、まず、目
標挙動量演算手段221において(7) 式を離散化した漸
化式にしたがって、目標とする車両の挙動量である目標
ヨー角速度R0 が演算される。
【0054】また、目標制御量演算手段211におい
て、車両挙動の動特性をドライバが最も操縦し易い(7)
式の動特性に変更するために必要な、仮想的な制御量p
を目標制御量pf として(8) ないし(10)式を離散化した
漸化式にしたがって演算する。
【0055】なお、前記目標挙動量は、ドライバが最も
操縦し易い動特性にしたがうものであり、車両諸元の変
動や横風外乱などの外部環境からの外乱がない場合、挙
動量は目標挙動量に一致する。
【0056】つぎに、補正量演算手段231において、
車両諸元の変動や外部環境からの外乱により生じる目標
挙動量と挙動量の実測値との偏差を零に漸近させるため
に必要な補正量信号pb を(11),(12) 式を離散化した漸
化式にしたがって演算する。この補正量信号により、車
両諸元の変動や外部環境からの外乱がある場合において
も、車両挙動の動特性は目標動特性に追従させることが
できる。
【0057】ついで、制御量演算手段241において、
目標制御量信号pf と補正量信号pb を加算し、線形制
御量信号pf +pb を出力する。
【0058】つぎに、非線形補償手段301において、
望ましい目標挙動量を得るための線形制御量信号pf +
pb をpとし、(13),(14) 式にしたがって、操舵制御量
信号としての後輪実舵角信号δr および駆動制御量信号
としての駆動力配分比信号λに変換する。ここでは、(1
3)式の変数変換に総駆動力Tを含めることにより、操舵
系と駆動系を効率的に協調させる制御系を構成してい
る。すなわち、駆動系が旋回特性に与える影響の小さい
定速走行時には、Tの値は小さくなるため駆動系の制御
は働かずセンターデフにおける油圧多板クラッチをむだ
に作動させることはない。また、駆動系が旋回特性に与
える影響の大きい加速走行時には、Tの値は大きくなる
ため駆動系の制御を有効に利用することとなる。
【0059】このように本実施例では、線形制御量演算
手段201で実際の制御パラメータであるδr ,λを直
接演算するのではなく、線形制御量pf +pb を演算
し、非線形補償手段301においてこれを操舵制御量δ
r および駆動制御量λに変換している。
【0060】このため、線形制御量演算手段201から
ながめた制御対象、すなわち線形制御量pf +pb =p
を入力とし、ヨー角速度Rを出力としたシステムは、
(6) 式のように線形近似され、線形制御理論を適用する
ことにより、ヨー角速度の特性を最適にするための制御
則を容易に導出することが可能となる。
【0061】さらに本実施例では、ヨー角速度の一つの
挙動量の特性を向上させるために、後輪実舵角と駆動力
配分比の二つの独立した制御量を用いている。このため
一つの自由度が冗長となるが、非線形補償手段301で
は、この自由度を有効に利用し、車両の運動状態に応じ
て効率よく制御を操舵系と駆動系に配分することによ
り、アクチュエータのむだな動きをなくした省エネルギ
な制御システムを提供している。
【0062】また、本実施例における目標挙動量(7) 式
は、ヨー角速度の低周波ゲインがニュートラルステア特
性を示す通常の2WS車と等しくなるように設定されて
いる。このため、ドライバは違和感を持つことなく操縦
することができ、かつ操舵に対して1次遅れでヨー角速
度が追従するためにオーバーシュートがなく安定した走
行が可能となる。
【0063】
【実施例2】本発明の車両の統合制御装置を、前後輪舵
角および駆動力配分比が可変制御できる車両に適用した
実施例を第二実施例として、図3を用いて説明する。な
お、本施例では、駆動制御量が旋回運動に及ぼす非線形
的な影響を含めた、操舵、駆動統合系を記述した非線形
モデルとして、前記実施例1と同じ(1) ないし(4) 式を
用いることとし、また、以下の説明において、行列Yの
転置行列をYT と表す。また、前述の第一実施例と同じ
構成については同じ番号を付し、説明を省略する。
【0064】操舵量検出手段は、ハンドルと同軸上に取
り付けられた操舵角センサ120からなり、ハンドルの
操舵角を測定し、ハンドルギヤ比に相当する値で除算し
て、ドライバーのハンドル操舵量信号δswとして出力す
る。
【0065】本第二実施例においてはδswは前輪実舵角
δf を制御するための制御信号となっている。
【0066】以下に、線形制御量演算手段202および
非線形補償手段302における演算の内容を示す。
【0067】(1) ないし(4) 式によって表される車両運
動特性は、直接的な制御量としての前後輪実舵角δf ,
δr および駆動力配分比λを次式に示される仮想的な制
御量δf*,δr*に変数変換することによって、線形化さ
れる。 δf*=δf +hf |T|・ (β+af R/v−δf )・ (1+λ)… (15) δr*=δr +hr |T|・ (β−ar R/v−δr )・ (1−λ)… (16) すなわち、この新しい仮想的な制御量δf*,δr*によっ
て車体スリップ角、ヨー角速度に関する運動方程式は、
次式のように線形化される。
【0068】 x’=A0 x+B0 u … (17) ただし、 x=[β,R]T … (18) u=[δf*,δr*]T … (19) A0 =[A1 ,A2 ] … (20) A1 =[-(cf+cr)/(mv) ,( ar cr-af cf)/ Iz ]T A2 =[- 1-(af cf-ar cr)/(mv2), -(af2cf+ar2cr)/(Iz v) ]T B0 =[B1 ,B2 ] … (21) B 1 =[cf/( mv) ,af cf/Iz ]T B2 =[cr/( mv) ,- ar cr/Iz ]T なお、このモデルは仮想的な入力としてのδf*,δr*を
それぞれ前後輪の実舵角δf ,δr に置き換えた場合、
通常扱われる4WSの線形モデルとなっている。本実施
例では、線形制御量演算手段202は、(17)ないし(21)
式の線形モデルに、非線形補償手段302は(15),(16)
式の変数変換に基づいて設計することとした。
【0069】目標挙動量演算手段222は、操舵量信号
δswより車速信号vに基づきドライバが最も操縦し易い
ような車両挙動量である目標車体スリップ角β0 と目標
ヨー角速度R0 を目標挙動量信号として出力する。ここ
では、このような車両挙動の動特性として、操舵に対し
車体スリップ角は常に零、ヨー角速度は一次遅れで追従
する特性を考える。つぎに、操舵量信号δsw,車速信号
vと目標車体スリップ角信号β,目標ヨー角速度信号R
0 の関係を表す数式を示す。 β0 =0 … (22) R0 =vδsw/{( af +ar)・(1+τ1 s) } … (23) ただし、τ1 は一次遅れの時定数、sはラプラス演算子
を表す。(23)式の演算は、離散化して漸化式として演算
される。
【0070】目標制御量演算手段212は、目標車両挙
動量である目標車体スリップ角β0および目標ヨー角速
度R0 を得るために必要な、仮想的な制御量δf*,δr*
を挙動量に対するフィードフォワード的な制御量である
目標制御量δf*f ,δr*f として演算する。
【0071】つぎに、目標制御量演算手段212の演算
内容について説明する。ここでは、変数変換によって線
形化された(17)ないし(21)式に基づいて設計を行う。と
ころで、仮想的な制御量δf*,δr*と挙動量の間の(17)
ないし(21)式の関係を(22),(23) 式で表される目標動特
性にするためには、ドライバーのハンドル操舵量δswと
仮想的な制御量δf*,δr*の間につぎの動特性が必要と
なる。 δf*=( α1 s+α2)/( α3 s+α4)・ δsw … (24) δr*=( α3 s+α4)/( 1+τ1 s)・δsw … (25) α1 =Iz /{cf(af +ar)2 }・ v … (26) α2 =af /( af +ar)+ar m/{cf(af +ar)2 }・ v2 … (27) α3 =−Iz /{cr(af +ar)2 }・ v … (28) α4 =−ar /( af +ar)+af m/{cr(af +ar)2 }・ v2 … (29)
【0072】したがって、目標制御量演算手段212
は、(24)ないし(29)式を離散化し、δf*をδf*f 、δr*
をδr*f として演算し、目標信号として出力している。
【0073】補正量演算手段232は、目標車体スリッ
プ角信号β0 と車体スリップ角信号βとの偏差信号β0
−βおよび目標ヨー角速度信号R0 とヨー角速度信号R
との偏差信号R0 −Rから、これらの偏差信号を零に漸
近させるような挙動量に対しフィードバック的な制御量
である補正量信号δf*b ,δr*b を演算し出力する。こ
の演算のアルゴリズムは、(17)ないし(21)式の線形状態
方程式を制御対象とした制御則となる。すなわち、(17)
ないし(21)式は線形状態方程式であるため、線形制御理
論を適用することが可能となる。本実施例の場合、線形
制御理論の適用によって導出された次式に示す状態方程
式に基づき補正量信号δf*b ,δr*b を演算している。
【0074】xc ’=Ac xc +Bc yc … (30) uc =Cc xc +Dc yc … (31) ただし、 uc =[δf*b ,δr*b ]T yc =[β0 −β,R0 −R]T であり、Ac ,Bc ,Cc ,Dc は定数行列である。こ
の場合、制御則に動特性を含んでおり、この制御則は離
散化されて漸化式となる。また、制御則は状態フィード
バックでもよい。
【0075】制御量演算手段242は、目標制御量演算
手段212において演算されたフィードフォワード的な
制御量である目標制御量信号δf*f ,δr*f と、補正量
演算手段232において演算されたフィードバック的な
制御量である補正量信号δf*b ,δr*b を加算し、線形
制御量信号δf*f +δf*b,δr*f +δr*b を出力する。
【0076】非線形補償手段302は、制御量演算手段
より得られた線形制御量信号δf*,δr*から、車速検出
手段110より得られた車速信号vと車体スリップ角セ
ンサ131より得られた車体スリップ角信号βとヨー角
速度センサ132より得られたヨー角速度信号Rと総駆
動力センサ133より得られた総駆動力信号Tに基づ
き、操舵制御量信号としての前輪実舵角信号δf ,後輪
実舵角信号δr と駆動制御量信号としての駆動力配分比
信号λを演算し出力する。
【0077】つぎに、非線形補償手段302における演
算の内容について説明する。線形制御量信号δf*f +δ
f*b,δr*f +δr*b と前輪実舵角信号δf ,後輪実舵角
信号δr および駆動力配分比信号λの間には、(15),(1
6) 式に示したδf*,δr* とδf ,δr ,λとの間の
関係が成り立つ。しかし、(15),(16) 式のみから前輪実
舵角信号δf ,後輪実舵角δr および駆動力配分比λに
ついて解くことは不定となり、これらの信号を一意に決
定することはできない。このため、ここでは、つぎに示
すアルゴリズムによって前輪実舵角信号δf ,後輪実舵
角δr および駆動力配分比λを導出することとした。
【0078】すなわち、まず、駆動力配分比λを大きく
すること(前輪駆動に近づけること)は、ヨー角速度の
出力を抑えることに寄与し、駆動力配分比を小さくする
こと(後輪駆動に近づけること)は、ヨー角速度の出力
を増加させることに寄与するということに着目し、駆動
力配分比λを次式に示すように演算する。
【0079】 λ=sgn(R)・K・ |T|・ (R−R0 ) … (32) ただし、Kは正の定数、sgn(R) はRの符号を意味して
いる。また、この式に総駆動力Tが含まれていること
は、駆動系が旋回特性に与える影響が小さい定速走行時
には、駆動系の制御の重みを小さく、駆動系が旋回特性
に与える影響が大きい加速走行時には、駆動系の制御の
重みを大きくすることを意味している。すなわち、Tの
値が小さい定速走行時にはλをあまり変化させず、Tの
値が大きい加速走行時にはλを大きく変化させて駆動力
配分比を有効に利用した制御則となっている。
【0080】ついで、(15),(16) 式に(32)式のλを代入
し、δf ,δr について解くことにより前輪実舵角およ
び後輪実舵角を求める。 δf ={δf*−hf |T|・ (β+af R/v)・ (1+λ)} /{1−hf |T|・ (1+λ)} … (33) δr ={δr*−hr |T|・ (β−ar R/v)・ (1−λ)} /{1−hr |T|・ (1−λ)} … (34) ただし、δf*=δf*f +δf*b,δr*=δr*f +δr*b
【0081】このようなアルゴリズムによって前輪実舵
角δf ,後輪実舵角δr および駆動力配分比λを一意に
決定することは、挙動量を望ましい特性に設定するため
の制御の性能を向上させることのみならず、その制御の
効率をも向上させている。
【0082】操舵制御手段は、操舵制御量信号としての
前輪実舵角信号δf に基づき前輪にδf に対応した転舵
角を与える前輪操舵アクチュエータ41と、後輪実舵角
信号δr に基づき後輪にδr に対応した転舵角を与える
後輪操舵アクチュエータ42とからなる。
【0083】駆動制御手段は、駆動制御量信号としての
駆動力配分比信号λに基づき、センターデフの油圧多板
クラッチの油圧を可変制御する駆動アクチュエータ51
からなる。
【0084】上記構成からなる本実施例の作用および効
果は、以下の通りである。まず、車速センサ110と操
舵角センサ120と車体スリップ角センサ131とヨー
角速度センサ132と総駆動力センサ133の出力は線
形制御量演算手段202と非線形補償手段302を構成
するディジタルコンピュータに入力される。
【0085】該ディジタルコンピュータでは、まず、目
標挙動量演算手段222において(22),(23) 式を離散化
した漸化式にしたがって、目標とする車両の挙動量であ
る目標車体スリップ角β0 および目標ヨー角速度R0 が
演算される。
【0086】また、目標制御量演算手段212におい
て、車両挙動の動特性をドライバが最も操縦し易い(2
2),(23) 式の動特性に変更するために必要な、仮想的な
制御量δf*,δr*を目標制御量δf*f ,δr*f として(2
4)ないし(29)式を離散化した漸化式にしたがって演算す
る。
【0087】なお、前記目標挙動量は、ドライバが最も
操縦し易い動特性にしたがうものであり、車両諸元の変
動や横風外乱などの外部環境からの外乱がない場合、挙
動量は目標挙動量に一致する。
【0088】つぎに、補正量演算手段232において、
車両諸元の変動や外部環境からの外乱により生じる目標
挙動量と挙動量の実測値との偏差を零に漸近させるため
に必要な補正量信号δf*b ,δr*b を(30),(31) 式を離
散化した漸化式にしたがって演算する。この補正量信号
により、車両諸元の変動や外部環境からの外乱がある場
合においても、車両挙動の動特性は目標動特性に追従さ
せることができる。
【0089】ついで、制御量演算手段242において、
目標制御量信号δf*f,δr*f と補正量信号δf*b ,δr*
b を加算し、線形制御量信号δf*f +δf*b,δr*f +δ
r*bを出力する。
【0090】つぎに、非線形補償手段302において、
望ましい目標挙動量を得るための線形制御量信号δf*f
+δf*b,δr*f +δr*b をδf*,δr*とし、(32)ないし
(34)式にしたがって、操舵制御量信号としての前輪実舵
角信号δf ,後輪実舵角信号δr および駆動制御量信号
としての駆動力配分比信号λに変換する。ここでは、(3
2)式の変数変換に総駆動力Tを含めることにより、操舵
系と駆動系を効率的に協調させる制御系を構成してい
る。すなわち、駆動系が旋回特性に与える影響の小さい
定速走行時には、Tの値は小さくなるため駆動系の制御
は働かずセンターデフにおける油圧多板クラッチをむだ
に作動させることはない。また、駆動系が旋回特性に与
える影響の大きい加速走行時には、Tの値は大きくなる
ため駆動系の制御を有効に利用することとなる。
【0091】このように本実施例では、線形制御量演算
手段202で実際の制御パラメータであるδf ,δr ,
λを直接演算するのではなく、線形制御量δf*f +δf*
b,δr*f +δr*b を演算し、非線形補償手段302にお
いてこれを操舵制御量δf ,δr および駆動制御量λに
変換している。
【0092】このため、線形制御量演算手段202から
ながめた制御対象、すなわち線形制御量δf*f +δf*b
=δf*,δr*f +δr*b =δr*を入力とし、車体スリッ
プ角βおよびヨー角速度Rを出力としたシステムは、(1
7)ないし(21)式のように線形近似され、線形制御理論を
適用することにより、車両運動の特性を最適にするため
の制御則を容易に導出することが可能となる。また、(1
7)ないし(21)式は仮想的な入力としてのδf*,δr*をそ
れぞれ前後輪の実舵角δf ,δr に置き換えた場合、通
常扱われる4WSの線形モデルとなっている。このた
め、線形制御量演算手段202は、通常扱われる4WS
のコントローラをそのまま用いることも可能であるが、
本実施例では駆動力配分が旋回特性に与える影響まで考
慮されており、この場合、同じコントローラを用いてい
るにも関わらずより高性能な制御系が実現される。
【0093】さらに本実施例では、車体スリップ角とヨ
ー角速度の二つの挙動量の特性を向上させるために、前
輪実舵角、後輪実舵角と駆動力配分比の三つの独立した
制御量を用いている。このため一つの自由度が冗長とな
るが、非線形補償手段302では、この自由度を有効に
利用し、車両の運動状態に応じて効率よく制御を操舵系
と駆動系に配分することにより、アクチュエータのむだ
な動きをなくした省エネルギな制御システムを提供して
いる。
【0094】また、本実施例においてはドライバが最も
操縦し易い車両挙動特性として(22),(23) 式を用いた
が、(22)式のように車体スリップ角を零にすることによ
り、ドライバはスピンを警戒することなく安心して操縦
できる。ところが、(22)式は通常の2WS車と比べ特性
が大きく異なるため違和感を持つドライバもある。この
場合には(22)式の代わりに車体スリップ角の特性を車速
に対して比例、操舵に対して一次遅れで追従するような
特性にすることにより解決される。また、(23)式はヨー
角速度の低周波ゲインがニュートラルステア特性を示す
通常の2WS車と等しく設定されているため、ドライバ
は違和感を持つことなく操縦することができ、かつ操舵
に対して一次遅れで追従するためにオーバーシュートが
なく安定した走行が可能となる。なお、本実施例では、
ヨー角速度の低周波ゲインがニュートラルステア特性を
示すように設定されているが、これは車速による低周波
ゲインの変化の設定によって、オーバーステア特性やア
ンダーステア特性にすることも可能である。
【0095】
【実施例3】本発明の車両の統合制御装置を、前輪舵角
および駆動力配分比が可変制御できる車両に適用した実
施例を第三実施例として、図4を用いて説明する。ま
ず、本実施例において用いた非線形モデルについて説明
する。本実施例では、後輪の舵角は常に零となっている
ため、車両運動を表す非線形モデルは、実施例1におい
て示した(1) ないし(4) 式の後輪実舵角δr を零とした
次式によって記述することができる。
【0096】 mv(β’+R)=Ff +Fr … (35) Iz R’=af Ff −ar Fr … (36) Ff =−cf (β+af R/v−δf )・ {1−hf |T|( 1+λ) } … (37) Fr =−cr (β−ar R/v)・ {1−hr |T|( 1−λ) }… (38)
【0097】本実施例の車両の統合制御装置を、図4に
示す。前述の第一実施例と同じ構成については同じ番号
を付し、説明を省略する。操舵量検出手段は、前述の第
二実施例と同様に、ハンドルと同軸上に取り付けられた
操舵角センサ120からなり、ハンドルの操舵角を測定
し、ハンドルギヤ比に相当する値で除算して、前輪実舵
角に相当する値をドライバーのハンドル操舵量信号δsw
として出力する。
【0098】挙動量検出手段も前述の第二実施例と同様
であり、車体スリップ角センサ131とヨー角速度セン
サ132と総駆動力センサ133とからなる。目標制御
量演算手段213と、目標挙動量演算手段223と、補
正量演算手段233と、制御量演算手段243とからな
る線形制御量演算手段203と、非線形補償手段303
は、車速信号と操舵量信号と挙動量信号を入力し、操舵
制御量信号としての前輪実舵角信号δf と駆動制御量信
号としての駆動力配分比信号λを出力するディジタルコ
ンピュータにより構成される。
【0099】以下に、線形制御量演算手段203および
非線形補償手段303における演算の内容を示す。(36)
ないし(38)式によって表されるヨー角速度の特性は、直
接的な制御量としての前輪実舵角δf および駆動力配分
比λを次式に示される仮想的な制御量qに変数変換する
ことによって、線形化される。
【0100】 q=δf +hf |T|・ (1+λ)・ (β+af R/v−δf ) −(ar cr /af cf )・ hr |T|・(1−λ)・(β−ar R/v) +(ar cr /af cf −1)・ β … (39) すなわち、この新しい仮想的な制御量qによってヨー角
速度Rに関する運動方程式は、次式のように線形化され
る。 R’=−(af2cf +ar2cr )/(Iz v)・ R +(af cf /Iz )・ q … (40) 本実施例では、線形制御量演算手段203は、(40)式の
線形モデルに、非線形補償手段303は(39)式の変数変
換に基づいて設計することとした。
【0101】目標挙動量演算手段223は、操舵量信号
δswと車速信号vとに基づきドライバが最も操縦し易い
ような車両挙動量である目標ヨー角速度R0 を目標挙動
量信号として出力する。ここでは、このような車両挙動
の動特性として、操舵に対しヨー角速度が一次遅れで追
従する特性を考える。つぎに、操舵量信号δsw、車速信
号vと目標ヨー角速度信号R0 の関係を表す数式を示
す。 R0 =vδsw/{( af +ar)・(1+τ1 s) } … (41)
【0102】ただし、τ1 は一次遅れの時定数、sはラ
プラス演算子を表す。(41)式の演算は、離散化して漸化
式として演算される。目標制御量演算手段213は、目
標車両挙動量である目標ヨー角速度R0 を得るために必
要な、仮想的な制御量qを挙動量に対するフィードフォ
ワード的な制御量である目標制御量信号qf として演算
する。
【0103】つぎに、目標制御量演算手段213の演算
内容について説明する。ここでは、変数変換によって線
形化された(40)式に基づいて設計を行う。すなわち、(4
0)式を(41)式の望ましい特性に一致させるために必要な
仮想的な制御量qは次式によって与えられる。
【0104】 q=k1・(1+τ2 s)/(1+τ1 s)・ δsw … (42) ただし、 k1 =(af2cf +ar2cr )/(af2cf +af ar cr ) … (43) τ2 =Iz v/(af2cf +ar2cr ) … (44) したがって、目標制御量演算手段213の演算は、(42)
ないし(44)式を離散化し、演算されるqを目標制御量信
号qf として出力することとなる。
【0105】補正量演算手段233は、目標ヨー角速度
信号R0 とヨー角速度信号Rとの偏差信号R0 −Rか
ら、この偏差信号を零に漸近させるような挙動量に対し
フィードバック的な制御量である補正量信号qb を演算
し出力する。この演算のアルゴリズムは、(40)式の線形
状態方程式を制御対象とした制御則となる。すなわち、
(40)式は線形状態方程式であるため、線形制御理論を適
用することが可能となる。本実施例の場合、線形制御理
論の適用によって導出された次式に示す状態方程式に基
づき補正量信号qb を演算している。
【0106】 xc ’=Ac xc +Bc ・ (R0 −R) … (45) qb =Cc xc +Dc ・ (R0 −R) … (46) ただし、Ac ,Bc ,Cc ,Dc は定数行列である。こ
の場合、制御則に動特性を含んでおり、この制御則は離
散化されて漸化式となる。また、制御則は状態フィード
バックでもよい。
【0107】制御量演算手段243は、目標制御量演算
手段213において演算されたフィードフォワード的な
制御量である目標制御量信号qf と、補正量演算手段2
33において演算されたフィードバック的な制御量であ
る補正量信号qb を加算し、線形制御量信号qf +qb
を出力する。
【0108】非線形補償手段303は、制御量演算手段
より得られた線形制御量信号qf +qb から、車速セン
サ110より得られた車速信号vと挙動量検出手段13
1,132,133より得られた車体スリップ角信号β
とヨー角速度信号Rと総駆動力信号Tに基づき、操舵制
御量信号としての前輪実舵角δf と駆動制御量信号とし
ての駆動力配分比λを演算し出力する 。
【0109】つぎに、非線形補償手段303における演
算の内容について説明する。線形制御量信号qf +qb
と前輪実舵角信号δf および駆動力配分比信号λの間に
は、(39)式に示したqとδf ,λとの間の関係が成り立
つ。しかし、(39)式のみから前輪実舵角δf および駆動
力配分比λについて解くことは不定となり、これらの信
号、すなわち前輪実舵角信号δf および駆動力配分比信
号λを一意に決定することはできない。このため、ここ
では、つぎに示すアルゴリズムによって前輪実舵角δf
および駆動力配分比λを導出することとした。
【0110】すなわち、まず、駆動力配分比λを大きく
すること(前輪駆動に近づけること)は、ヨー角速度の
出力を抑えることに寄与し、駆動力配分比を小さくする
こと(後輪駆動に近づけること)は、ヨー角速度の出力
を増加させることに寄与するということに着目し、駆動
力配分比λを次式に示すように演算する。
【0111】 λ=−sgn(R)・K・ |T|・(qf+qb) … (47) ただし、Kは正の定数、sgn(R) はRの符号を意味して
いる。また、この式に総駆動力Tが含まれていること
は、駆動系が旋回特性に与える影響が小さい定速走行時
には、駆動系の制御の重みを小さく、駆動系が旋回特性
に与える影響が大きい加速走行時には、駆動系の制御の
重みを大きくすることを意味している。すなわち、Tの
値が小さい定速走行時にはλをあまり変化させず、Tの
値が大きい加速走行時にはλを大きく変化させて駆動力
配分比を有効に利用した制御則となっている。
【0112】ついで、(39)式に(47)式のλを代入し、δ
f について解くことにより前輪実舵角を求める。 δf ={af cf q+(af cf −ar cr )β −af cf hf |T|(1+λ)・ (β+af R/v) +ar cr hr |T|(1−λ)・ (β−ar R/v} /{af cf +af cf hf |T|(1+λ)} … (48) ただし、q=qf +qb
【0113】このようなアルゴリズムによって前輪実舵
角δf および駆動力配分比λを一意に決定することは、
挙動量を望ましい特性に設定するための制御の性能を向
上させることのみならず、その制御の効率をも向上させ
ている。
【0114】操舵制御手段は、操舵制御量信号としての
前輪実舵角信号δf に基づき前輪にδf に対応した転舵
角を与える前輪操舵アクチュエータ41からなる。
【0115】駆動制御手段は、駆動制御量信号としての
駆動力配分比信号λに基づき、センターデフの油圧多板
クラッチの油圧を可変制御する駆動アクチュエータ51
からなる。
【0116】上記構成からなる本実施例の作用および効
果は、以下の通りである。まず、車速センサ110と操
舵角センサ120と車体スリップ角センサ131とヨー
角速度センサ132と総駆動力センサ133の出力は線
形制御量演算手段203と非線形補償手段303を構成
するディジタルコンピュータに入力される。
【0117】該ディジタルコンピュータでは、まず、目
標挙動量演算手段223において(41)式を離散化した漸
化式にしたがって、目標とする車両の挙動量である目標
ヨー角速度R0 が演算される。
【0118】また、目標制御量演算手段213におい
て、車両挙動の動特性をドライバが最も操縦し易い(41)
式の動特性に変更するために必要な、仮想的な制御量q
を目標制御量qf として(42)ないし(44)式を離散化した
漸化式にしたがって演算する。
【0119】なお、前記目標挙動量は、ドライバが最も
操縦し易い動特性にしたがうものであり、車両諸元の変
動や横風外乱などの外部環境からの外乱がない場合、挙
動量は目標挙動量に一致する。
【0120】つぎに、補正量演算手段233において、
車両諸元の変動や外部環境からの外乱により生じる目標
挙動量と挙動量の実測値との偏差を零に漸近させるため
に必要な補正量信号qb を(45),(46) 式を離散化した漸
化式にしたがって演算する。この補正量信号により、車
両諸元の変動や外部環境からの外乱がある場合において
も、車両挙動の動特性は目標動特性に追従させることが
できる。
【0121】ついで、制御量演算手段243において、
目標制御量信号qf と補正量信号qb を加算し、線形制
御量信号qf +qb を出力する。
【0122】つぎに、非線形補償手段303において、
望ましい目標挙動量を得るための線形制御量信号qf +
qb をqとし、(47),(48) 式にしたがって、操舵制御量
信号としての前輪実舵角 信号δf および駆動制御量信
号としての駆動力配分比信号λに変換する。ここで
は、(47)式の変数変換に総駆動力Tを含めることによ
り、操舵系と駆動系を効率的に協調させる制御系を構成
している。すなわち、駆動系が旋回特性に与える影響の
小さい定速走行時には、Tの値は小さくなるため駆動系
の制御は働かずセンターデフにおける油圧多板クラッチ
をむだに作動させることはない。また、駆動系が旋回特
性に与える影響の大きい加速走行時には、Tの値は大き
くなるため駆動系の制御を有効に利用することとなる。
【0123】このように本実施例では、線形制御量演算
手段203で実際の制御パラメータであるδf ,λを直
接演算するのではなく、線形制御量qf +qb を演算
し、非線形補償手段303においてこれを操舵制御量δ
f および駆動制御量λに変換している。
【0124】このため、線形制御量演算手段203から
ながめた制御対象、すなわち線形制御量qf +qb =q
を入力とし、ヨー角速度Rを出力としたシステムは、(4
0)式のように線形近似され、線形制御理論を適用するこ
とにより、ヨー角速度の特性を最適にするための制御則
を容易に導出することが可能となる。
【0125】さらに本実施例では、ヨー角速度の一つの
挙動量の特性を向上させるために、前輪実舵角と駆動力
配分比の二つの独立した制御量を用いている。このため
一つの自由度が冗長となるが、非線形補償手段303で
は、この自由度を有効に利用し、車両の運動状態に応じ
て効率よく制御を操舵系と駆動系に配分することによ
り、アクチュエータのむだな動きをなくした省エネルギ
な制御システムを提供している。
【0126】以上の三つの実施例は、駆動系の制御量と
して駆動力の前後輪配分比の制御を扱うものであるが、
これは制動力の前後輪配分比制御に容易に拡張可能であ
る。この場合、前記実施例における総駆動力T(<0)
は総制動力に対応し、駆動力配分比λは制動力配分比に
対応する。また、駆動制御手段では、前後輪のブレーキ
油圧がλに応じて可変制御される。
【0127】このように、本発明は、操舵系の制御とし
て前輪または後輪または前後輪が可変制御され、駆動系
の制御として前後輪の駆動力配分または制動力配分が可
変制御される任意の組み合わせをもった統合制御車両に
対して適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤ特性を示す図である。
【図2】実施例1の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例2の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例3の構成を示すブロック図である。
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】本従来技術は、場合分け的なアルゴリズム
が中心となっており、舵角及びトルク配分の修正量の大
きさをどのように決定するかについては明らかにされて
いない。しかしながら、この修正量の大きさは、適切な
ものでなければ車両運動をかえって悪化させることにな
り、実際の設計にはこの修正量を決定するために多大の
試行錯誤が不可欠となる。すなわち、本従来技術におけ
る制御アルゴリズムでは、例えば、実横加速度が目標と
しての仮想横加速度に比較して小さい場合、後輪駆動力
配分を増すとともに後輪舵角をオーバーステア方向に修
正している。しかし、この修正量は適正なものでなけれ
ば、かえって旋回特性を悪化させる。つまり、タイヤの
限界付近において期の横加速度が発生せずヨーレート
のみが生じる場合、修正量が過大になり、スピン状態に
陥る可能性がある。また、本従来技術のような試行錯誤
的な設計では、最適な制御則を得ることは困難であると
いう問題点がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】操舵量検出手段は、ハンドルと同軸上に取
り付けられた操舵角センサ120からなり、ハンドルの
操舵角を測定し、ハンドルギヤ比に相当する値で除算し
て、ドライバーのハンドル操舵量信号δswとして出力
する。本第一実施例においては前輪舵角制御は行ってい
ないため、δf=δswとなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】挙動量検出手段は、車体スリップ角センサ
131とヨー角速度センサ132と駆動力センサ13
3とからなる。車体スリップ角センサ131は、非接触
式速度計を用いたものであり、車体スリップ角を電気信
号に変換し、車体スリップ角信号βとして出力するもの
である。なお、この車体スリップ角は、横加速度センサ
と車速およびヨー角速度から演算し、推定した値を用い
ても良い。この場合、車体スリップ角の推定精度は高く
ないが、非接触式速度計を用いる必要はなく、より実用
的なシステムとなる。また、ヨー角速度センサ132
は、車両重心に取り付けられ、該重心位置でのヨー角速
度を測定し、ヨー角速度信号Rとして出力する。さら
に、総駆動力センサ133は、スロットル開度、ギヤ
比、などから前後輪に加わる総駆動力を推定し、総駆動
力信号Tとして出力する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】 p=δr−(af cfar cr)・hf |T|・(1+λ)・ (β+af R/v−δf)+hr |T|・(1−λ)・ (β−ar R/v−δr)+(af cfar cr−1 ・β…(5)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】本実施例では、線形制御量演算手段201
は、(6)式の線形モデルに、非線形補償手段301は
(5)式の変数変換に基づいて設計することとした。目
標挙動量演算手段221は、操舵量信号δfより車速信
号vに基づきドライバが最も操縦し易いような車両挙動
量である目標ヨー角速度R0を目標挙動量信号として出
力する。ここでは、このような車両挙動の動特性とし
て、操舵に対しヨー角速度が一次遅れで追従する特性を
考える。つぎに、ドライバーのハンドル操舵量信号δ
=δ、車速信号vと目標ヨー角速度信号R0の関係
を表す数式を示す。 R0=vδf/{(af+ar)・(1+τ1 s)} …(7)
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】 p=k1 δf−k2・(1+τ2s)/(1+τ1s)・δf …(8) ただし、 k1=af cfar cr k2=(af+ar)/(afar cf cr+arcr) …(9) τ2=Iz v/(afcf+arcr) …( 10) したがって、目標制御量演算手段21の演算は、
(8)ないし(10)式を離散化し、演算されるpを目
標制御量信号pfとして出力することとなる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】非線形補償手段301は、制御量演算手段
より得られた線形制御量信号pから、車速センサ110
より得られた車速信号vと車体スリップ角センサ131
より得られた車体スリップ角信号βとヨー角度センサ1
32より得られたヨー角速度信号Rと総駆動力センサ1
33より得られた総駆動力信号Tに基づき、操舵制御量
信号としての後輪実舵角信号δrと駆動制御量信号とし
ての駆動力配分比信号λを演算し出力する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】つぎに、非線形補償手段301における演
算の内容について説明する。線形制御量信号pf+pb
と後輪実舵角信号δrおよび駆動力配分比信号λの間に
は、(5)式に示したpとδr、λとの間の関係が成り
立つ。しかし、(5)式のみから後輪実舵角δrおよび
駆動力配分比λについて解くことは不定となり、これら
の信号、すなわち後輪実舵角信号δrおよび駆動力配分
比信号λを一意に決定することはできない。このため、
ここでは、つぎに示すアルゴリズムによって後輪実舵角
δrおよび駆動力配分比λを導出することとした。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】
【実施例2】本発明の車両の統合制御装置を、前後輪舵
角および駆動力配分比が可変制御できる車両に適用した
実施例を第二実施例として、図3を用いて説明する。な
お、本施例では、駆動制御量が旋回運動に及ぼす非線形
的な影響を含めた、操舵、駆動統合系を記述した非線形
モデルとして、前記実施例1と同じ(1)ないし(4)
式を用いることとし、また、以下の説明において、行列
Yの転置行列をY と表す。また、前述の第一実施例と
同じ構成については同じ番号を付し、説明を省略する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】 x’=A0 x+B0 u …(17 ) ただし、 x=[β,R] …(18) u=[δf*,δr*] …(19) A0=[A1,A2] …(20) A1=[−(cf+cr)/(mv),(ar cr−af cf)/Iz] A2=[−1−(af cf−ar cr)/(mv), −(afcf+arcr)/(Iz v)] B0=[B1,B2] …(21) B1=[cf/(mv),af cf/Iz] B2=[cr/(mv),−ar cr/Iz] なお、このモデルは仮想的な入力としてのδf*,δr
*をそれぞれ前後輪の実舵角δf,δrに置き換えた場
合、通常扱われる4WSの線形モデルとなっている。本
実施例では、線形制御量演算手段202は、(17)な
いし(21)式の線形モデルに、非線形補償手段302
は(15),(16)式の変数変換に基づいて設計する
こととした。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正内容】
【0071】つぎに、目標制御量演算手段212の演算
内容について説明する。ここでは、変数変換によって線
形化された(17)ないし(21)式に基づいて設計を
行う。ところで、仮想的な制御量δf*,δr*と挙動
量の間の(17)ないし(21)式の関係を(22),
(23)式で表される目標動特性にするためには、ドラ
イバーのハンドル操舵量δswと仮想的な制御量δf
*,δr*の間につぎの動特性が必要となる。 δf*=(α1 s+α2)/(α3 s+α4)・δsw …(24) δr*=(α3 s+α4)/(1+τ1 s)・δsw …(25) α1=Iz/{cf(af+ar) }・v …(26) α2=af/(af+ar)+arm/{cf(af+ar)}・v …( 27) α3=−Iz/{cr(af+ar)}・v …(28) α4=−ar/(af+ar)+af m/{cr(af+ar)}・v …(29)
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】 xc’=Ac xc+Bc yc …(30) uc=Cc xc+Dc yc …(31) ただし、 uc=[δf*b,δr*b] yc=[β0−β,R0−R] であり、Ac,Bc,Cc,Dcは定数行列である。こ
の場合、制御則に動特性を含んでおり、この制御則は離
散化されて漸化式となる。また、制御則は状態フィード
バックでもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正内容】
【0100】 q=δf+hf |T|・(1+λ)・(β+af R/v−δf) −(ar craf cf)・hr |T|・(1−λ) ・(β−ar R/v)+(ar craf cf−1・β …(39) すなわち、この新しい仮想的な制御量qによってヨー角
速度Rに関する運動方程式は、次式のように線形化され
る。 R’=−(a cf+a cr)/(1z v)・R +(af cf/Iz)・q …(40) 本実施例では、線形制御量演算手段203は、(40)
式の線形モデルに、非線形補償手段303は(39)式
の変数変換に基づいて設計することとした。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】00111
【補正方法】変更
【補正内容】
【0111】 λ=−sgn(R)・K・ |T|・(f+b) …(47) ただし、Kは正の定数、sgn(R)はRの符号を意味
している。また、この式に総駆動力Tが含まれているこ
とは、駆動系が旋回特性に与える影響が小さい定速走行
時には、駆動系の制御の重みを小さく、駆動系が旋回特
性に与える影響が大きい加速走行時には、駆動系の制御
の重みを大きくすることを意味している。すなわち、T
の値が小さい定速走行時にはλをあまり変化させず、T
の値が大きい加速走行時にはλを大きく変化させて駆動
力配分比を有効に利用した制御則となっている。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】00122
【補正方法】変更
【補正内容】
【0122】つぎに、非線形補償手段303において、
望ましい目標挙動量を得るための線形制御量信号qf+
qbをqとし、(47),(48)式にしたがって、操
舵制御量信号としての前輪実舵角信号δfおよび駆動制
御量信号としての駆動力配分比信号λに変換する。ここ
では、(47)式の変数変換に総駆動力Tを含めること
により、操舵系と駆動系を効率的に協調させる制御系を
構成している。すなわち、駆動系が旋回特性に与える影
響の小さい定速走行時には、Tの値は小さくなるため駆
動系の制御は働かずセンターデフにおける油圧多板クラ
ッチをむだに作動させることはない。また、駆動系が旋
回特性に与える影響の大きい加速走行時には、Tの値は
大きくなるため駆動系の制御を有効に利用することとな
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 111:00 113:00 137:00 (72)発明者 平野 豊 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともハンドル操舵量と車両の旋回
    運動を表す挙動量とを検出する検出手段と、 前記検出された操舵量と挙動量とに応じて、挙動量を適
    正な特性に追従させるための線形制御量を車両運動を表
    す線形モデルに基づき線形演算する線形制御量演算手段
    と、 前記演算された線形制御量を前記検出された挙動量に基
    づき非線形変換して操舵制御量と駆動特性を表す駆動制
    御量及び制動特性を表す制動制御量の少なくとも一方と
    を出力する非線形補償手段と、 前記操舵制御量に応じて車両の前輪および後輪の少なく
    とも一方に最適な転舵角を生じさせる操舵制御手段と、 前記駆動制御量及び前記制動制御量の少なくとも一方に
    応じて駆動力及び制動力の少なくとも一方の前後輪への
    配分を可変制御する駆動制動制御手段とを具備すること
    を特徴とする車両の統合制御装置。
  2. 【請求項2】 線形制御量演算手段が、 前記検出された操舵量に基づき目標とする車両の挙動量
    を達成するための目標制御量を演算する目標制御量演算
    手段と、 前記検出された操舵量に基づき目標とする車両の挙動量
    を演算する目標挙動量演算手段と、 前記演算された目標挙動量と検出された挙動量とに応じ
    て、挙動量を目標挙動量に追従させるための補正量を車
    両運動を表す線形モデルに基づき線形演算する補正量演
    算手段と、 前期演算された目標制御量と補正量を加算し、制御量を
    演算する制御量演算手段と、 を具備することを特徴とする特許請求項1記載の車両の
    統合制御装置。
JP12957992A 1992-04-21 1992-04-21 車両の統合制御装置 Expired - Lifetime JP3212134B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12957992A JP3212134B2 (ja) 1992-04-21 1992-04-21 車両の統合制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12957992A JP3212134B2 (ja) 1992-04-21 1992-04-21 車両の統合制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05294173A true JPH05294173A (ja) 1993-11-09
JP3212134B2 JP3212134B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=15012954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12957992A Expired - Lifetime JP3212134B2 (ja) 1992-04-21 1992-04-21 車両の統合制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3212134B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1464564A2 (en) 2003-04-02 2004-10-06 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha Vehicle motion control method and vehicle motion control apparatus
WO2006038474A1 (ja) * 2004-10-07 2006-04-13 Honda Motor Co., Ltd. プラントの制御装置
US7853379B2 (en) * 2006-02-02 2010-12-14 Zf Lenksysteme Gmbh Method and control structure for controlling a control angle and an output torque of a superposition angle actuator

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9780596B2 (en) 2013-07-29 2017-10-03 Alfred E. Mann Foundation For Scientific Research Microprocessor controlled class E driver
WO2020185902A1 (en) 2019-03-11 2020-09-17 Axonics Modulation Technologies, Inc. Charging device with off-center coil

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1464564A2 (en) 2003-04-02 2004-10-06 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha Vehicle motion control method and vehicle motion control apparatus
WO2006038474A1 (ja) * 2004-10-07 2006-04-13 Honda Motor Co., Ltd. プラントの制御装置
US7725239B2 (en) 2004-10-07 2010-05-25 Honda Motor Co., Ltd Plant control system
US7853379B2 (en) * 2006-02-02 2010-12-14 Zf Lenksysteme Gmbh Method and control structure for controlling a control angle and an output torque of a superposition angle actuator

Also Published As

Publication number Publication date
JP3212134B2 (ja) 2001-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10858040B2 (en) Method for the control of vehicle steering and vehicle behaviour
US7092805B2 (en) Steering apparatus for steerable vehicle
US6226579B1 (en) Method and apparatus for operating a steering system for a motor vehicle
US11873042B2 (en) Method and system for controlling vehicle steering
JP4568302B2 (ja) 加加速度情報を用いた車両の前後加速度制御装置
Horiuchi et al. Improvement of vehicle handling by nonlinear integrated control of four wheel steering and four wheel torque
US8788147B2 (en) Method for determining a toothed rack force for a steering device in a vehicle
CN111645755B (zh) 一种控制方法和装置
US20220289288A1 (en) A method and system arrangement for vehicle steering and vehicle with such a system
JP2007269295A (ja) 車両運動制御装置及び制御方法
CN110239519B (zh) 一种车辆爆胎过程的协调控制方法
GB2400358A (en) Steering rack disturbance force rejection
CN114312750B (zh) 一种主动转向和横摆力矩自学习协同控制方法
JP4613668B2 (ja) 車両挙動制御装置および車両挙動制御方法
Shim et al. Using µ feedforward for vehicle stability enhancement
JP3212134B2 (ja) 車両の統合制御装置
JPH0481316A (ja) 車両の統合制御装置
JPH04339009A (ja) 車両の統合制御装置
JP2717676B2 (ja) 車両の後輪操舵制御装置
JP2518245B2 (ja) 車両用後輪操舵装置
JP3109236B2 (ja) 車両のヨー運動制御装置
JP3216459B2 (ja) 車両用実舵角制御装置
JPH045175A (ja) 車両の統合制御装置
JPH0733039A (ja) 車両のアンチスピン制御装置及びそのゲイン設定方法
WO2020026492A1 (ja) 操舵制御装置及び操舵制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719

Year of fee payment: 9