JPH04339009A - 車両の統合制御装置 - Google Patents

車両の統合制御装置

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Publication number
JPH04339009A
JPH04339009A JP13819891A JP13819891A JPH04339009A JP H04339009 A JPH04339009 A JP H04339009A JP 13819891 A JP13819891 A JP 13819891A JP 13819891 A JP13819891 A JP 13819891A JP H04339009 A JPH04339009 A JP H04339009A
Authority
JP
Japan
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amount
control
steering
suspension
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13819891A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Ono
英一 小野
Yasuyuki Hayashi
林 靖享
Kaoru Takanami
高浪 薫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP13819891A priority Critical patent/JPH04339009A/ja
Publication of JPH04339009A publication Critical patent/JPH04339009A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵装置と懸架
装置とを統合的に制御することにより、例えば懸架系の
挙動が操舵系に及ぼす影響を考慮した高性能な旋回特性
が得られる車両の統合制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の統合制御装置の従来技術としては
、例えば、本出願人が先に出願した「車両の統合制御装
置」(特願平2−194214号)がある。この従来装
置は、「少なくともハンドル操舵量と車両の旋回運動を
表す挙動量とを検出する検出手段と、前記検出された操
舵量に基づき目標とする車両の挙動量を達成するための
目標操舵制御量を演算する目標操舵制御量演算手段と、
前記検出された操舵量に基づき目標とする車両の挙動量
を演算する目標挙動量演算手段と、前記演算された目標
挙動量と検出された挙動量とに応じて、懸架補正量と前
記演算された目標操舵制御量を補正する操舵補正量とを
線形モデルに基づき統合的に演算する補正量演算手段と
、前記演算された懸架補正量を前記検出された挙動量に
基づき非線形変換して懸架特性を表す実懸架補正量を出
力する非線形補償手段と、前記目標操舵制御量と操舵補
正量とに応じて車両の前輪および後輪の少なくとも一方
に最適な転舵角を生じさせる操舵制御駆動手段と、前記
実懸架補正量と姿勢制御量に応じて各輪のサスペンショ
ン特性を可変制御する懸架制御駆動手段と」から構成さ
れる。 【0003】これは、車両の操舵系制御と懸架系制御と
を補正量演算手段において統合的に行うことによって、
旋回運動に対する制御効果を向上させるものであり、補
正量演算手段では非線形変換によって得られた線形モデ
ルに基づいた制御系設計が可能となるため、線形制御理
論を適用した高性能な制御が実現できる。 【0004】ところで、操舵系の制御入力および懸架系
の制御入力の旋回運動への影響力は、その運動状態によ
って大きく異なるものである。すなわち、直進状態に近
い緩やかな旋回領域においては操舵系が支配的となり、
一方、限界旋回に近い急旋回の領域においては懸架系が
支配的となる。したがって、制御の効率を考慮した場合
,緩やかな旋回領域においては操舵系を中心とした制御
が、急旋回の領域においては懸架系を中心とした制御が
それぞれ行われることが期待される。 【0005】ところで、上記従来装置が行う旋回運動の
制御では、補正量演算手段が操舵系と懸架系とに制御を
分担させるという役割を果たし、非線形変換は単に線形
モデルを導出することのみに用いられている。したがっ
て、補正量演算手段は線形モデルに基づいた線形演算の
みを行っているため、運動状態によってどちらかの制御
系を優先させるということはできない。 【0006】すなわち、上記従来技術は、線形モデルに
基づいた線形演算のみを行う補正量演算手段において、
操舵制御量と懸架制御量とを統合的に演算し、操舵系お
よび懸架系に制御を分担させている。このため、車両の
運動状態によって操舵系制御および懸架系制御のどちら
かの制御量を大きくし、効率の良い制御系を構成すると
いう非線形的な操作を行うことはできない。 【0007】このように、従来技術は線形演算を行う補
正量演算手段で操舵系および懸架系の制御を分担させて
いるので、効率の良い制御系を構成することができない
。このため、この従来装置は必ずしも効率の良い車両の
制御装置とはいえないという問題点がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
、従来、補正量演算手段で行われていた操舵系と懸架系
とに制御を分担するという役割を非線形変換に持たせて
、非線形変換の構成を改良することにより、運動状態に
よってどちらかの制御系を優先させるという非線形的な
機能が達成できることに着眼し、前記従来技術における
問題点を解決した。 【0009】本発明は、車両の運動状態に合った制御の
効率を考慮した非線形変換によって、制御性能を劣化さ
せることなく、操舵系制御中心、懸架系制御中心という
ように操舵系と懸架系とを協調させる制御効率に優れた
車両の統合制御装置を提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、図1に示すよ
うに、少なくともハンドルの操舵量と車両の旋回運動を
表す挙動量とを検出する検出手段1と、前記検出された
操舵量に基づき目標とする車両の挙動量を達成するため
の目標操舵制御量を演算する目標操舵制御量演算手段2
と、前記検出された操舵量に基づき目標とする車両の挙
動量を演算する目標挙動量演算手段3と、前記演算され
た目標挙動量と検出された挙動量とに応じて、挙動量を
目標挙動量に追従させるための線形制御量を車両運動を
表す線形モデルに基づき線形演算する線形制御量演算手
段4と、前記演算された線形制御量を前記検出された挙
動量に基づき非線形変換して前記演算された目標操舵制
御量を補正する操舵補正量と懸架特性を表す実懸架補正
量とを出力する非線形補償手段5と、前記目標操舵制御
量と操舵補正量とに応じて車両の前輪および後輪の少な
くとも一方に最適な転舵角を生じさせる操舵制御駆動手
段7と、前記実懸架補正量に応じて各輪のサスペンショ
ン特性を可変制御する懸架制御駆動手段8とを具備して
なるものである。 【0011】 【作用】検出手段1は、ハンドル操舵量および車両の旋
回運動などを表す挙動量を検出し、それらに対応する電
気信号などに変換する。 【0012】つぎに、目標操舵制御量演算手段2におい
て、操舵量に対する車両の挙動を最適にするため、目標
とする車両の挙動量を達成するために必要な目標操舵制
御量を、操舵量より車両挙動の動特性を考慮して演算し
て、この目標操舵制御量を挙動量の制御においてフィー
ドフォワード的な制御量として出力し、操舵に対する車
両の応答性を向上させる。なお、この目標とする車両の
動特性は、ドライバが最も操縦し易い動特性などである
。 【0013】また、目標挙動量演算手段3では、動特性
を含んだ目標となる車両の挙動量である目標挙動量を演
算する。つぎに、線形制御量演算手段4において、横風
や路面外乱によって生じた挙動量の偏差を抑制するため
に仮想的な制御量である線形制御量を車両運動を表す線
形モデルに基づき線形演算する。 【0014】そして、非線形補償手段5において、前記
演算された線形制御量を、挙動量を用いて制御効率を考
慮しつつ非線形変換することにより、操舵系および懸架
系の直接的な制御パラメータである操舵補正量および実
懸架補正量を挙動量の制御においてフィードバック的な
制御量として出力し、効率的に車両の安定性を向上させ
る。 【0015】つぎに、操舵制御駆動手段7において、フ
ィードフォワード的な制御量である目標操舵制御量とフ
ィードバック的な制御量である操舵補正量とを加減算し
、前輪または後輪の少なくとも一方の転舵輪に最適な転
舵角を与えるように操舵アクチュエータを駆動する。 【0016】さらに、懸架制御駆動手段8において、挙
動量の制御のための実懸架補正量に基づき、各輪の懸架
アクチュエータを駆動し、サスペンション特性を可変制
御する。 【0017】挙動量の制御に着目すると、車両諸元の変
動や外部環境からの外乱等がない場合、挙動量の制御に
おいてフィードフォワード的な制御量である目標操舵制
御量によって挙動量を目標挙動量に一致させることがで
きるため、両者の偏差は零となる。したがって、線形制
御量演算手段4を通して非線形補償手段5から出力され
る、挙動量の制御においてフィードバック的な制御量で
ある、操舵補正量および実懸架補正量も共に零となり、
フィードバック制御は働かない。実懸架補正量が零であ
ることは、旋回によるロールを前後輪のサスペンション
で均等に支持することに対応しており、車体にねじれを
生じさせず、かつ各輪の荷重をなるべく均等に配分する
ようなサスペンションの制御となっている。したがって
、このように車両諸元の変動や外部環境からの外乱等が
ない場合には、車体に負担をかけず、かつタイヤ力に余
裕をもたせた制御となっている。 【0018】また、車両諸元の変動や外部環境からの外
乱等がある場合は、フィードフォワード的な制御のみで
は目標となる挙動量を得ることはできず、実際の挙動量
と目標挙動量との間に偏差を生じる。この場合、この偏
差に対応した操舵補正量と実懸架補正量とが線形制御量
演算手段4を通して非線形補償手段5より出力される。 これらの補正量は偏差を零に漸近させるように働き、車
両の動特性を目標挙動量に漸近させることができる。 【0019】このように、本発明の車両の統合制御装置
では、前記従来装置と同様に、挙動量の制御においてフ
ィードバック的な制御量として操舵補正量のほかに、実
懸架補正量を統合的に用いているので、操舵による補正
のみで偏差を零に漸近させる場合と比較してより速やか
に漸近させることが可能となり、車両変動に対するロバ
スト性や外乱に対する安定性に、より優れた車両運動が
実現できる。 【0020】また、操舵補正量である前後輪の実舵角と
車両の旋回運動等を表す挙動量との関係は線形微分方程
式で表されるのに対し、懸架特性を表す実懸架補正量と
旋回運動との関係は線形微分方程式により表すことはで
きない。しかし、非線形変数変換で新しい仮想的な変数
を定義することによって見かけ上線形化することが可能
となり、線形制御理論を適用できる。すなわち、仮想的
な変数としての線形制御量によって車両運動を記述した
モデルは、線形微分方程式として表現され、線形制御理
論の適用により、試行錯誤を必要としない高性能な制御
系設計を行うことができる。 【0021】 【発明の効果】本発明において、非線形補償手段5では
線形制御量演算手段4から出力された仮想的な変数とし
ての線形制御量を挙動量に基づき効率的に操舵補正量と
実懸架補正量とに変換している。すなわち、比較的緩や
かな旋回時には操舵系制御を優先し、また比較的急な旋
回時には懸架系制御を優先するというように運動状態に
応じて、より旋回運動に大きな影響を与える制御を優先
させているために効率の良いシステムを実現することが
できる。 【0022】そのうえ本発明では、比較的緩やかな旋回
時には操舵系中心の制御則となり、サスペンションにか
かる負荷が減少するため、懸架系制御における余裕が増
加し、高性能な姿勢制御や振動乗り心地制御の実現が可
能となる。 【0023】 【その他の発明の説明】その他の発明は、上述した本発
明を具体化したものであり、図2に示すように、車速検
出手段11と、操舵量検出手段12と、挙動量検出手段
13と、状態量検出手段15と、実舵角検出手段14と
、目標操舵制御量演算手段20と、目標挙動量演算手段
30と、偏差演算手段41と、線形制御量演算手段40
と、第1非線形変換手段51と、第2非線形変換手段5
2と、操舵制御信号演算手段70と、操舵駆動手段71
と、操舵アクチュエータ手段72と、目標姿勢制御量演
算手段61と、姿勢制御補正量演算手段62と、姿勢制
御量演算手段60と、懸架制御信号演算手段80と、懸
架駆動手段81と、懸架アクチュエータ手段82とから
なる。 【0024】上記構成よりなるその他の発明の車両の統
合制御装置の作用は、次の通りである。 【0025】車速検出手段11において車両の移動速度
を検出し、対応する電気信号などに変換する。また、操
舵量検出手段12においてハンドルの操舵量を検出し対
応する電気信号などに変換する。さらに、挙動量検出手
段13において車両の旋回運動などを表す挙動量を検出
し対応する電気信号などに変換する。また、状態量検出
手段15において車体の姿勢などを表す状態量を検出し
対応する電気信号などに変換する。さらに、実舵角検出
手段14において転舵輪の実舵角を検出し対応する電気
信号などに変換する。 【0026】つぎに、目標操舵制御量演算手段20にお
いて操舵量に対する車両の挙動を最適にするため、目標
とする車両の挙動量を達成するために必要な目標操舵制
御量を検出された操舵量や車速などから車両挙動の動特
性を考慮して演算して、この目標操舵制御量を挙動量の
制御においてフィードフォワード的な制御量として出力
し、操舵に対する車両の応答性を向上させる。なお、こ
の目標とする車両の動特性は、ドライバが最も操縦し易
い動特性などである。 【0027】また、目標挙動量演算手段30では、検出
された操舵量より車速に基づき動特性を含んだ目標とな
る車両の挙動量である目標挙動量を演算する。ついで、
偏差演算手段41では、演算された目標挙動量と検出さ
れた挙動量との偏差を演算する。 【0028】さらに、線形制御量演算手段40において
、横風や路面外乱によって生じた挙動量の偏差を抑制す
るために、演算された偏差より車両に働く外乱などに基
づき線形制御理論を適用するために定義した仮想的な制
御変数である線形制御量を線形演算する。 【0029】ついで、第1非線形変換手段51において
、線形制御量を検出された車速および挙動量を用い、車
両の運動状態によって変化する制御効率を考慮して、前
記線形制御量を変数変換することにより、操舵補正量と
懸架補正量とを、挙動量の制御においてフィードバック
的な制御量として出力し、車両の安定性を向上させる。 【0030】また、第2非線形変換手段52において、
検出された車速と挙動量と実舵角とを用いて前記懸架補
正量を非線形変換することにより、懸架系の直接的な制
御パラメータである実懸架補正量を出力する。 【0031】そして、操舵制御信号演算手段70におい
て、フィードフォワード的な制御量である目標操舵制御
量とフィードバック的な制御量である操舵補正量を加減
算して操舵制御信号を発生させる。 【0032】ついで、操舵制御信号を操舵駆動手段71
において、操舵アクチュエータを駆動するための操舵ア
クチュエータ駆動信号に増幅し、この操舵アクチュエー
タ駆動信号を操舵アクチュエータ72において前輪また
は後輪の少なくとも一方の転舵輪に最適な転舵角を与え
るように操舵アクチュエータを駆動する。 【0033】さらに、目標姿勢制御量演算手段61にお
いて、前記目標挙動量と検出された車速とより、車体の
姿勢変化を予測し、挙動量や車速変化などが車体姿勢に
及ぼす影響を相殺するための目標姿勢制御量を演算し、
姿勢の制御においてフィードフォワード的な制御量とし
て出力する。 【0034】また、姿勢制御補正量演算手段62におい
て、検出された状態量より、姿勢制御補正量を演算し、
姿勢の制御においてフィードバック的な制御量として出
力する。 【0035】ついで、姿勢制御演算手段60において、
フィードフォワード的な制御量である目標姿勢制御量と
、フィードバック的な制御量である姿勢制御補正量とを
加減算して姿勢を保持するための姿勢制御量を演算する
。 【0036】つぎに、懸架制御信号演算手段80におい
て、挙動量の制御のための実懸架補正量と、姿勢の制御
のための姿勢制御量とより、姿勢を保持しつつ、所望の
挙動量を得るための懸架制御信号を出力する。 【0037】ついで、懸架制御信号を懸架駆動手段81
において、各輪の懸架アクチュエータを駆動するための
懸架アクチュエータ駆動信号に増幅し、この懸架アクチ
ュエータ駆動信号に基づき各輪の懸架アクチュエータ8
2を駆動し、サスペンション特性を可変制御する。 【0038】挙動量の制御に着目すると、車両諸元の変
動や外部環境からの外乱等がない場合、挙動量の制御に
おいてフィードフォワード的な制御量である目標操舵制
御量によって挙動量を目標挙動量に一致させることがで
きるため、両者の偏差は零となり、したがって、挙動量
の制御において、第1非線形変換手段51で演算される
フィードバック的な制御量である操舵補正量および懸架
補正量も共に零となり、フィードバック制御は働かない
。懸架補正量が零であることは、旋回によるロールを前
後輪のサスペンションで均等に支持することに対応して
おり、車体にねじれを生じさせず、かつ各輪の荷重をな
るべく均等に配分するようなサスペンションの制御とな
っている。したがって、このように車両諸元の変動や外
部環境からの外乱等がない場合には、車体に負担をかけ
ず、かつタイヤ力に余裕をもたせた制御となっている。 【0039】一方、車両諸元の変動や外部環境からの外
乱等がある場合は、フィードフォワード的な制御のみで
は目標となる挙動量を得ることはできず、実際の挙動量
と目標挙動量との間に偏差を生じる。この場合、この偏
差に対応した操舵補正量と懸架補正量とが出力される。 これらの補正量は偏差を零に漸近させるように働き、車
両の動特性を目標挙動量に漸近させることができる。 【0040】このように、その他の発明の車両の統合制
御装置では、挙動量の制御においてフィードバック的な
制御量として操舵補正量のほかに、懸架補正量を統合的
に用いており、操舵による補正のみで偏差を零に漸近さ
せる場合と比較してより速やかに漸近させることが可能
となり、車両変動に対するロバスト性や外乱に対する安
定性により優れた車両運動が実現できる。 【0041】さらに、挙動量と線形制御量とは、伝達関
数によって記述される線形微分方程式の関係にあるため
、線形制御理論を適用することが可能であり、比較的容
易に、偏差から線形制御量を求めるための線形制御量演
算手段40を設計することができる。 【0042】ここで、第1非線形変換手段51および第
2非線形変換手段52の演算内容について、その一例を
図3および図4を用いてさらに具体的に説明する。なお
、以下の説明において、関数Xの時間微分をX’と表し
、行列Yの転置行列をYT と表す。 【0043】車両に用いられるタイヤ特性は接地荷重に
対して非線形的な性質を示すものであり、図3に示すよ
うにコーナリングフォースは接地荷重に対して飽和特性
を示す。このため、コーナリングフォースの左右2輪の
合計は接地荷重の合計が等しい場合、図4に示すように
左右輪の荷重差がないときに最大値を示し、荷重差に従
って減少する。本発明はこの性質を旋回特性等の車両の
挙動量の制御に活用するものである。 【0044】すなわち、旋回等によって生じるロール運
動を前輪のサスペンションで抑制する場合、後輪は荷重
差を生じないのに対し、前輪は車両の姿勢を保持するの
に必要な荷重差を左右輪に生じる。このため前輪のコー
ナリングフォースは減少し、前輪の舵角を戻したことと
同じ効果を持つ。 【0045】また、旋回等によって生じるロール運動を
後輪のサスペンションで抑制する場合、前輪は荷重差を
生じないのに対し、後輪は車両の姿勢を保持するのに必
要な荷重差を左右輪に生じる。このため後輪のコーナリ
ングフォースは減少し、後輪の舵角を戻したことと同じ
効果を持つ。結局これらの現象を考慮した車両運動は次
式を用いて記述することができる。 【0046】   mv(β’+R)=Ff +Fr        
                         
… (1)  Iz R’=af Ff −ar Fr
                         
        … (2)  Ff =−cf (β
+af R/v−δf )・{1−kf |vR|(1
+λ) }                    
                         
                 … (3)  F
r =−cr (β−ar R/v−δr )・{1−
kr |vR|(1−λ) }           
                         
                         
 … (4)【0047】ただし、 af ,ar :前輪および後輪の車軸と重心との各距
離cf ,cr :前後輪の各コーナリングパワーFf
 ,Fr :前後輪の各コーナリングフォースIz  
 :ヨー慣性モーメント m    :車両質量 R    :ヨー角速度 v    :車速 β    :車体スリップ角 δf ,δr :前後輪の各実舵角 |vR|  :vとRとの積の絶対値、すなわち、求心
加速度 【0048】また、kf |vR|(1+λ) および
kr |vR|(1−λ) は左右輪の荷重移動による
コーナリングパワーの減少を表す項である。λ(−1≦
λ≦1)は懸架系制御に関する値であり、λ=1は旋回
の際に生じるロールモーメントを前輪サスペンションで
支持していることに、またλ=−1は後輪サスペンショ
ンで支持していることに対応している。 【0049】ところで(1) ないし(4) 式から分
かるように、懸架系の直接的な制御パラメータである実
懸架補正量λは車体スリップ角βやヨー角速度Rに関す
る微分方程式の非線形要素として表されている。しかし
ながら、次のような二段階の非線形変換を行うと、(1
) ないし(4) 式はかなり厳密に線形化される。 【0050】まず、実懸架補正量λを次式で定義される
懸架補正量pに置き換える。   λ=af cf p/(λ1 +λ2 )    
                         
 … (5)  ただし、λ1 =af cf kf 
( β+af R/v−δf ) λ2 =ar cr kr ( β−ar R/v−δ
r )【0051】(5) 式の変換後の懸架補正量p
を用いて(1) ないし(4) 式の微分方程式を記述
し、多少の近似をおこなうと次式が得られる。   x’=A0 x+B(x) u         
                         
    … (6)  x=[β,R]T      
                         
              … (7)  u=[δ
f ,δr ,p]T               
                      … (
8)  A0 =[A1 ,A2 ]        
                         
       … (9)【0052】ただし、 A1 =〔A11,A12〕T  A2 =〔A21,A22〕T  A11=−( cf +cr ) /(mv)A12=
(ar cr −af cf )/Iz A21=−1
−(af cf −ar cr )/(mv2 )A2
2=−(af 2 ・cf +ar 2 ・cr )/
(Iz v)【0053】   B(x) =[B1 ,B2 ,B3 ]    
                         
   … (10) ただし、 B1 =〔B11,B12〕T  B2 =〔B21,B22〕T  B3 =〔B31,B32〕T  B11=cf /(mv)・( 1−kf |vR|)
B12=af cf /Iz ・(1−kf |vR|
)B21=cr /(mv)・( 1−kf |vR|
)B22=−ar cr /Iz ・(1−kr |v
R|)B31=0 B32=af cf /Iz ・ |vR|【0054
】ここで、B(x) は求心加速度を表す|vR|を含
んでおり、運動状態によって各要素が変化する関数行列
となる。すなわち、前輪舵角δf に対する係数である
B1 と後輪舵角δr に対する係数であるB2 は、
操舵系が旋回運動を支配する緩やかな旋回領域において
大きく、懸架系が旋回運動を支配する急な旋回領域にお
いて小さくなる。また、逆に懸架補正量pに対する係数
であるB3 は、操舵系が旋回運動を支配する緩やかな
旋回領域において小さく、懸架系が旋回運動を支配する
急な旋回領域において大きくなる。結局、B(x) は
旋回運動に対して操舵系と懸架系のどちらが支配的とな
っているかをそれぞれの係数の大きさで表現した行列と
なる。 【0055】つぎに、(6) ないし(10)式の操舵
および懸架補正量uを次式で定義される線形制御量u0
 に置き換える。   u=B (x)+ ・ B0 ・ u0     
                         
       … (11)   B0 =〔B01,
B02〕                     
                   … (12)
   u0 =〔δf * ,δr * 〕T    
                         
      … (13) ただし、 B01=〔cf /(mv) ,af cf /Iz 
〕T B02=〔cr /(mv) ,−ar cr 
/Iz 〕T B (x)+ :B(x) の擬似逆行
列【0056】(11)ないし(13)式の変数変換後
の線形制御量u0 を用いて(6) ないし(10)式
を記述すると次式の線形モデルが得られる。   x’=A0 x+B0 u0          
                         
    … (14)   したがって線形制御量演算
手段40は(14)式に基づき、偏差を零にするような
制御系を構成すれば良い。すなわち、(14)式は、多
入力多出力系の線形の制御対象を表しているので、線形
制御理論を適用することにより、容易にかつ迅速に演算
ができ、常に応答よく適切な制御が可能になるとともに
、容易に制御系の設計が可能である。 【0057】また、第1非線形変換手段51は(11)
ないし(13)式に従って、線形制御量u0を操舵およ
び懸架補正量uに変換することとなる。ところで、(1
1)ないし(13)式の変数変換は、B(x) の擬似
逆行列B (x)+ を用いている。このため、この変
数変換は線形制御量u0 を最もノルムの小さいuに変
換する変数変換となっている。 【0058】すなわち、緩やかな旋回領域においてはB
(x) の操舵系に関する係数は大きく、懸架系に関す
る係数は小さくなるなるため、変数変換によって得られ
る操舵補正量は比較的大きく、懸架補正量は比較的小さ
くなる。一方、急な旋回領域においてはB(x) の操
舵系に関する係数は小さく、懸架系に関する係数は大き
くなるため、変数変換によって得られる操舵補正量は比
較的小さく、懸架補正量は比較的大きくなる。 【0059】したがって、第1非線形変換手段51にお
ける変数変換は、目標挙動量と挙動量との偏差を零にす
るための線形制御量を効率よく操舵補正量および懸架補
正量に変換する変数変換となっている。また、第2非線
形変換手段52は(5) 式に従って懸架補正量pを実
懸架補正量λに変換することとなる。 【0060】 【実施例】以下、本発明の車両の統合制御装置の実施例
を、図5を用いて説明する。 【0061】本実施例の車両の統合制御装置は、車両の
前後輪操舵装置および4輪サスペンション装置に適用し
たもので、車速検出手段11と、操舵量検出手段12と
、挙動量検出手段13と、状態量検出手段15と、実舵
角検出手段14と、目標操舵制御量演算手段20と、目
標挙動量演算手段30と、偏差演算手段41と、線形制
御量演算手段40と、第1非線形変換手段51と、第2
非線形変換手段52と、操舵制御信号演算手段70と、
操舵駆動手段71と、操舵アクチュエータ手段72と、
目標姿勢制御量演算手段61と、姿勢制御補正量演算手
段62と、姿勢制御量演算手段60と、懸架制御信号演
算手段80と、懸架駆動手段81と、懸架アクチュエー
タ手段82とからなる。 【0062】車速検出手段11は車速センサ110から
なり、従動輪の回転速度から車速を演算し、対応する電
気信号を車速信号vとして出力する。 【0063】操舵量検出手段12はハンドルに対し同軸
上に取り付けられた操舵角センサ120からなり、ハン
ドルの操舵角を測定し、ハンドルギヤ比に相当する値で
除算して、操舵制御を行わない場合の前輪実舵角に相当
する値を操舵量信号δswとして出力する。 【0064】挙動量検出手段13は車体スリップ角セン
サ131とヨー角速度センサ132とからなる。車体ス
リップ角センサ131は非接触式速度計を用いたもので
あり、車体スリップ角βを電気信号に変換し出力するも
のである。また、ヨー角速度センサ132は車両重心に
取り付けられ、該重心位置でのヨー角速度を測定して該
ヨー角速度Rを表す信号を出力する。 【0065】状態量検出手段15はロール角センサ15
0からなる。ロール角センサ150は各輪のサスペンシ
ョン長さからロール角を求めるものであり、ロール角φ
を表す信号を出力する。 【0066】実舵角検出手段14は前輪実舵角センサ1
41と後輪実舵角センサ142とからなる。前輪実舵角
センサ141は前輪の実舵角δf を測定し対応する信
号を出力する。また、後輪実舵角センサ142は後輪の
実舵角δr を測定し対応する信号を出力する。 【0067】目標操舵制御量演算手段20と、目標挙動
量演算手段30と、偏差演算手段41と、線形制御量手
段40と、第1非線形変換手段51と、第2非線形変換
手段52と、操舵制御信号演算手段70と、目標姿勢制
御量演算手段61と、姿勢制御補正量演算手段62と、
姿勢制御量演算手段60と、懸架制御信号演算手段80
からなる演算手段は、車速信号と操舵量信号と挙動量信
号と状態量信号と前後輪の実舵角信号とを入力し、前後
輪の操舵制御信号と各輪の懸架制御信号とを出力するデ
ィジタルコンピュータにより構成される。 【0068】以下に各演算手段における演算の内容を説
明する。目標挙動量演算手段30は、操舵量信号δsw
より車速信号vに基づきドライバが最も操縦し易いよう
な車両挙動量である目標車体スリップ角β0 と目標ヨ
ー角速度R0 とを目標車両挙動量として出力する。こ
こでは、このような車両挙動の動特性として、操舵に対
し車体スリップ角は零、かつ、ヨー角速度は一次遅れで
追従する特性を考える。 【0069】つぎに、操舵量信号δsw、車速信号vと
目標車体スリップ角β0 、目標ヨー角速度R0 の関
係を表す数式を示す。   β0 =0                  
                         
         … (15)   R0 =vδs
w/{( af +ar )(1+τs) }    
              … (16)   ただ
し、τは一次遅れの時定数、sはラプラス演算子を表す
。(16)式の演算は、離散化して漸化式として演算さ
れる。 【0070】目標操舵制御量演算手段20は、目標車両
挙動量である目標車体スリップ角β0 と目標ヨー角速
度R0 を得るために必要な、前輪目標操舵制御量信号
δffと後輪目標操舵制御量信号δrfとを、挙動量に
対するフィードフォワード的な制御量として演算する。 【0071】つぎに、目標操舵制御量演算手段20の演
算内容について説明する。ここでは、懸架系からの影響
や求心加速度に関する非線形性を考慮しない、通常扱わ
れる線形モデルに基づいて設計する。通常扱われる線形
モデルは、(14)式において線形制御量としてのδf
 * ,δr * を、それぞれ前後輪の実舵角δf 
, δr としたものである。 【0072】ところで、前後輪の実舵角と挙動量との間
の(14)式の関係を、(15),(16) 式で表さ
れる目標動特性にするためには、操舵量δswと前後輪
の各実舵角δf ,δr との間に、次の動特性が必要
となる。   δf =( α1 s+α2 ) /( α3 s
+α4 ) ・δsw              …
 (17)   δr =( α3 s+α4 ) /
( 1+τs )・δsw             
     … (18)   α1 =Iz /{cf
 ( af +ar ) 2 }・v        
            … (19)   α2 =
af /( af +ar )         +a
r m/{cf ( af +ar ) 2 }・ v
2               … (20)   
α3 =−Iz /{cr ( af +ar ) 2
 }・v                  … (
21)   α4 =−ar /( af +ar )
         +af m/{cr ( af +
ar ) 2 }・ v2             
  … (22) 【0073】したがって、目標操舵
制御量演算手段20の演算は、(17)ないし(22)
式を離散化し、それぞれ、δf をδffに、δr を
δrfにしたものとなる。 【0074】偏差演算手段41は、目標挙動量である目
標車体スリップ角β0 および目標ヨー角速度R0 と
測定された挙動量である車体スリップ角βおよびヨー角
速度Rとの各偏差を演算し偏差信号として出力する。 【0075】線形制御量演算手段40は、車体スリップ
角偏差信号(β0 −β)とヨー角速度偏差信号(R0
 −R)とから、これらの偏差信号を零に漸近させるよ
うな挙動量に対し、フィードバック的な制御量である線
形制御量信号δf * ,δr * を演算し出力する
。この演算のアルゴリズムは、(14)式の線形状態方
程式を制御対象とした制御則となる。 【0076】すなわち、本実施例の場合、xc ’=A
c xc +Bc yc u0 =Cc xc  yc =〔β0 −β,R0 −R〕T u0 =〔δ
f * ,δr * 〕T ただし、Ac , Bc 
, Cc は定数行列によって、線形制御量信号δf 
* ,δr * を演算している。 【0077】このように、(14)式は線形状態方程式
であるため、線形制御理論を適用することが可能となる
。この場合、制御則に動特性を含んでおり、また、この
制御則は離散化されて漸化式となる。なお、制御則は状
態フィードバックでもよい。 【0078】第1非線形変換手段51は、線形制御量演
算手段40より得られた線形制御量信号から、車速検出
手段11より得られた車速信号vと挙動量検出手段13
より得られたヨー角速度Rとに基づき、(11)式に従
って操舵補正量信号δfb,δrbおよび懸架補正量信
号pを演算する。 【0079】第2非線形変換手段52は、第1非線形変
換手段51より得られた懸架補正量信号pから、車速検
出手段11より得られた車速信号vと挙動量検出手段1
3より得られた車体スリップ角信号βおよびヨー角速度
Rと、実舵角検出手段14より得られた前輪実舵角信号
δf および後輪実舵角信号δr とに基づき、(5)
 式に従って実懸架補正量信号λを演算する。 【0080】操舵制御信号演算手段70は、目標操舵制
御量演算手段20より得られた前輪目標操舵制御量δf
fと第1非線形変換手段51より得られた前輪操舵補正
量信号δfbとを加算して前輪操舵制御信号δf0とす
るとともに、目標操舵制御量演算手段20より得られた
後輪目標操舵制御量δrfと第1非線形変換手段51よ
り得られた後輪操舵補正量信号δrbとを加算して後輪
操舵制御信号δr0とし、さらに、前輪操舵制御信号δ
f0と後輪操舵制御信号δr0とを操舵制御信号として
出力する。 【0081】目標姿勢制御量演算手段61は、車速検出
手段11より得られた車速信号vと、目標挙動量演算手
段30より得られた目標ヨー角速度R0とから、旋回に
よるロールを抑制し姿勢を保持するために必要な力のモ
ーメントをフィードフォワード的な姿勢制御量である目
標姿勢制御量信号Mxfとして演算する。 【0082】つぎに、目標姿勢制御量演算手段61にお
ける演算の具体的な内容を説明する。旋回時の車両重心
位置には、車速信号vと目標ヨー角速度R0とから次式
で与えられる横加速度gy が生じることが予測される
。   gy =vR0                
                         
        … (23) 【0083】また、車
両重心回りにはこの横加速度に応じたロールモーメント
が生じるため、これを相殺するための力のモーメントと
して次式が導かれる。   Mxf=−mgy h=−mvR0 h     
                         
… (24) ただし、hは重心高さを表す。すなわち
、目標姿勢制御量演算手段61の具体的な演算式は(2
4)式である。 【0084】姿勢制御補正量演算手段62は、状態量検
出手段15より得られるロール角信号Φに所定のゲイン
Gを乗ずることにより、姿勢制御に対しフィードバック
的な制御量としての姿勢制御補正量信号Mxbを演算す
る。   Mxb=−GΦ                
                         
       … (25) ただし、Gはロール角Φ
を零に漸近させるためのゲインである。 【0085】姿勢制御量演算手段60は、目標姿勢制御
量演算手段61より得られる目標姿勢制御量信号Mxf
と姿勢制御補正量演算手段62より得られる姿勢制御補
正量信号Mxbとを加算し、姿勢制御量信号Mx0とし
て姿勢を保持するために必要な力のモーメントを演算す
る。 【0086】懸架制御信号演算手段80は、第2非線形
変換手段52より得られた実懸架補正量信号λと姿勢制
御量演算手段60より得られる姿勢制御量信号Mx0と
から、姿勢を保持し、かつ挙動量を目標値に補正するた
めの懸架制御信号としてのサスペンション制御力を演算
し出力する。 【0087】   f1 =Mx0(1+λ)/(2Tf )    
                        …
 (26)   f2 =−Mx0(1+λ)/(2T
f )                      
    … (27)   f3 =Mx0(1−λ)
/(2Tr )                  
          … (28)   f4 =−M
x0(1−λ)/(2Tr )           
               … (29) ただし
、 f1 :左前輪サスペンション制御力 f2 :右前輪サスペンション制御力 f3 :左後輪サスペンション制御力 f4 :右後輪サスペンション制御力 Tf :前輪トレッド Tr :後輪トレッド 【0088】操舵駆動手段71は、操舵制御信号演算手
段70より操舵制御信号として出力された前輪操舵制御
信号δf0および後輪操舵制御信号δr0を入力し、そ
れぞれ前輪操舵アクチュエータ信号および後輪操舵アク
チュエータ信号に変換する増幅器711,712からな
る。 【0089】操舵アクチュエータ手段72は、操舵駆動
手段71より出力された前輪操舵アクチュエータ信号お
よび後輪操舵アクチュエータ信号に基づき、それぞれ前
後輪を転舵する前輪操舵アクチュエータ721と後輪操
舵アクチュエータ722とからなる。 【0090】懸架駆動手段81は、懸架制御信号演算手
段80より出力された各懸架制御信号としてのサスペン
ション制御力信号f1 ,f2,f3 ,f4 を入力
し、懸架アクチュエータ信号に変換する増幅器811,
812,813,814からなる。 【0091】懸架アクチュエータ手段82は、懸架駆動
手段81より出力された懸架アクチュエータ信号に基づ
き4輪のサスペンション制御力を可変制御するフォース
ジェネレータ821,822,823,824からなる
。 【0092】上記構成からなる本実施例の作用および効
果は、以下の通りである。まず、車速センサ110と操
舵角センサ120と車体スリップ角センサ131とヨー
角速度センサ132とロール角センサ150と前輪実舵
角センサ141と後輪実舵角センサ142との出力はデ
ィジタルコンピュータにより構成される演算手段に入力
される。 【0093】該演算手段ではまず、目標挙動量演算手段
20において(15)式と(16)式を離散化した漸化
式に従って目標とする車両の挙動量である目標車体スリ
ップ角  β0と目標ヨー角速度R0 とが演算される
。 【0094】また、目標操舵制御量演算手段20におい
て車両挙動の動特性をドライバが最も操縦し易い動特性
に変更するために必要な前後輪の実舵角を、それぞれ前
輪目標操舵制御量信号δffと後輪目標操舵制御量信号
δrfとして(17)ないし(22)式を離散化した漸
化式に従って演算する。 【0095】なお、前記目標挙動量は車両のドライバが
最も操縦し易い動特性に従うものであり、車両諸元の変
動や横風外乱などの外部環境からの外乱がなく、かつ非
線形特性が比較的少ない緩やかな旋回の場合、挙動量は
目標挙動量に一致する。 【0096】つぎに、偏差演算手段41において車両諸
元の変動や外部環境からの外乱により生じる目標挙動量
と挙動量の実測値との偏差が演算される。 【0097】ついで、線形制御量演算手段40において
前記偏差を零に漸近させ、車両諸元の変動や外部環境か
らの外乱の影響および無視した非線形特性の影響を抑制
するために必要な線形制御量信号δf * ,δr *
 が演算される。これらの線形制御量信号により、車両
諸元の変動や外部環境からの外乱がある場合、あるいは
急旋回によって車両が無視した非線形特性の影響を大き
く受ける場合においても、車両挙動の動特性は目標動特
性に追従させることができる。 【0098】つぎに、第1非線形変換手段51において
、線形制御量演算手段40より得られた挙動量を目標挙
動量に漸近させるための線形制御量信号δf * ,δ
r * を、(11)式に従って操舵補正量信号δfb
,δrbおよび懸架補正量信号pに変換する。ここでは
、(11)式の変数変換においてB(x) の擬似逆行
列B (x)+ を用いている。このため、この変数変
換は線形制御量u0 を最もノルムの小さいuに変換す
る変数変換となっている。 【0099】すなわち、緩やかな旋回領域においてはB
(x) の操舵系に関する係数は大きく、懸架系に関す
る係数は小さくなるなるため変数変換によって得られる
操舵補正量は比較的大きく、懸架補正量は比較的小さく
なる。また急な旋回領域においてはB(x) の操舵系
に関する係数は小さく、懸架系に関する係数は大きくな
るため、変数変換によって得られる操舵補正量は比較的
小さく、懸架補正量は比較的大きくなる。このように、
効率よく操舵補正量と懸架補正量に変換する変数変換と
なっている。 【0100】ゆえに、非線形変数変換手段51は車両の
運動状態に応じて操舵系と懸架系とに効率よく制御を分
配させる役割をはたしている。 【0101】また、第2非線形変換手段52において、
第1非線形変換手段51より得られた懸架補正量pを、
 (5)式に従って実際の懸架系制御の制御パラメータ
である実懸架補正量λに変換する。なお、実懸架補正量
λは、旋回により生じるロールモーメントを前後輪何れ
のサスペンションで相殺するかを示すパラメータであり
、λ=1は前輪サスペンションのみで相殺することに、
λ=−1は後輪サスペンションのみで相殺することに、
λ=0は前後輪均等に相殺することにそれぞれ対応して
いる。 【0102】つぎに、操舵制御信号演算手段70におい
て目標操舵制御量と操舵補正量とを加算し目標挙動量を
達成するための操舵制御信号が出力される。 【0103】なお、本実施例では、第2非線形変換手段
52における (5)式で表される演算に必要な前後輪
の実舵角信号として、前輪実舵角センサ141と後輪実
舵角センサ142とから得られるセンサ信号を用いたが
、この代わりに、操舵制御信号演算手段70において演
算される操舵制御信号を用いてもよい。 【0104】このように本実施例では、線形制御量演算
手段40で実際の制御パラメータであるδfb,δrb
,λを直接演算するのではなく、線形制御量δf * 
,δr * を演算し、第1非線形変換手段51および
第2非線形変換手段52においてこれらを操舵補正量δ
fb,δrbおよび実懸架補正量λに変換している。 【0105】このため、線形制御量演算手段40からな
がめた制御対象、すなわち線形制御量δf * ,δr
 * を入力とし、車体スリップ角偏差(β−β0 )
およびヨー角速度偏差(R−R0 )を状態としたシス
テムは、  x=〔β−β0 ,R−R0 〕T   
                         
     … (30)   u0 =〔δf * ,
δr * 〕T                  
                 … (31) と
表すと、(14)式のように線形近似され、線形制御理
論を適用することにより、偏差を零に漸近させるための
制御則を容易に導出することが可能となる。 【0106】さらに本実施例では、車体スリップ角およ
びヨー角速度の二つの挙動量の特性を向上させるために
、前後輪の実舵角とロールモーメントの前後輪配分比の
三つの独立した制御量を用いている。このため一つの自
由度が冗長となるが、第1非線形変換手段51では、こ
の自由度を有効に利用し、車両の運動状態に応じて効率
よく制御を操舵系と懸架系とに配分することにより、ア
クチュエータのむだな動きをなくした省エネルギな制御
システムを提供している。 【0107】そのうえ本実施例では、比較的緩やかな旋
回時には操舵系中心の制御則となり、サスペンションに
かかる負荷が減少するため、懸架系制御における余裕が
増加し、高性能な姿勢制御と振動乗り心地制御との両立
が可能となる。また、目標制御量演算手段61において
旋回によるロールを抑制し姿勢を保持するために必要な
力のモーメントがフィードフォワード的な姿勢制御量で
ある目標姿勢制御量信号Mxfとして演算される。 【0108】さらに、姿勢制御補正量演算手段62にお
いてフィードバック的な姿勢制御量である姿勢制御補正
量信号Mxbが演算される。 【0109】つぎに、姿勢制御量演算手段60において
目標姿勢制御量信号Mxfと姿勢制御補正量信号Mxb
とが加算され、姿勢制御量信号Mx0として姿勢を保持
するために必要な力のモーメントが演算される。 【0110】ついで、懸架制御信号演算手段80におい
て、懸架系制御の制御パラメータである実懸架補正量λ
に従って姿勢制御量信号Mx0を前後輪に分配し、各輪
のサスペンション制御力を演算し、懸架制御信号として
出力される。 【0111】以上により、車両の姿勢を保持しつつ、旋
回性能を高めるための車両の統合制御装置が得られる。 【0112】また、本実施例においてはドライバが最も
操縦し易い車両挙動特性として(15),(16) 式
を用いたが、(15)式のように車体スリップ角を零に
することにより、ドライバはスピンを警戒することなく
安心して操縦できる。 【0113】ところで、(15)式は通常の前輪のみを
操舵する2輪操舵車(2WS車)と比べ、特性が大きく
異なるため違和感を持つドライバもある。この場合には
(15)式の代わりに車体スリップ角の特性を車速に対
して比例、かつ、操舵に対して一次遅れで追従するよう
な特性にすることにより解決される。また、(16)式
はヨー角速度の低周波ゲインがニュートラルステア特性
を示す通常の2WS車と等しく設定されているため、ド
ライバは違和感を持つことなく操縦することができ、か
つ操舵に対して一次遅れで追従するためにオーバーシュ
ートがなく安定した走行が可能となる。 【0114】なお、本実施例では、ヨー角速度の低周波
ゲインがニュートラルステア特性を示すように設定され
ているが、これは車速による低周波ゲインの変化の設定
によって、オーバーステア特性やアンダーステア特性に
することも可能である。 【0115】ところで、本実施例は前後輪の舵角が制御
可能な車両に対する車両の統合制御装置を示したもので
あるが、本発明の非線形補償手段を特徴とする車両の統
合制御方法は前後輪の何れか一方が制御可能な車両に対
しても容易に実施することができる。 【0116】また、本実施例ではロールに関する姿勢制
御のみを考えたが、同時にピッチに関する姿勢制御を行
うことも可能である。この場合、状態量検出手段15に
ピッチ角の検出機能を、目標姿勢制御量演算手段20に
加減速によるピッチ運動を抑制する力のモーメントMy
fの演算機能を、それぞれ加える必要がある。また、姿
勢制御補正量演算手段62に状態量検出手段から得られ
たピッチ角を抑制する力のモーメントMybの演算機能
を、姿勢制御量演算手段60にこれらの力のモーメント
を加算するMy0という演算機能を、それぞれ加える必
要がある。さらに、懸架制御信号演算手段80ではロー
ルモーメントMx0およびその前後輪配分λのほかに、
ピッチモーメントMy0も同時に実現するサスペンショ
ン制御力を演算する必要がある。 【0117】このときの懸架制御信号演算手段80にお
ける演算内容を次式に示す。 f1 =Mx0(1+λ)/(2Tf ) −My0/
{2(af +ar )}    …(32)f2 =
−Mx0(1+λ)/(2Tf )−My0/{2(a
f +ar )}  …(33)f3 =Mx0(1−
λ)/(2Tr )+My0/{2(af +ar )
}    …(34)f4 =−Mx0(1−λ)/(
2Tr )+My0/{2(af +ar )}  …
(35)【0118】さらに、懸架系の制御として姿勢
制御のほかに振動抑制制御を行う場合は、振動を抑制す
るために必要なサスペンション制御力を(32)ないし
(35)式に加算することにより、実現できる。 【0119】なお、上述した本実施例は、サスペンショ
ン制御力が可変制御可能なアクティブサスペンションに
関するものであったが、本発明は前後輪のロール剛性の
みが可変となる車両に対しても適用できる。この場合、
懸架制御駆動手段8は実懸架補正量に基づき前後輪のロ
ール剛性を演算し、その演算結果に基づき懸架アクチュ
エータにより懸架機構を制御駆動する。 【0120】すなわち、この場合、前後輪のロール剛性
は、それぞれKmin からKmax まで(Kmin
 <Kmax)可変であるとする。このとき、懸架制御
駆動手段8では前後輪のロール剛性の比が実懸架補正量
λになるべく一致するように、例えば次式に従って設定
される。   Kf =(Kmin +Kmax )/2+(Km
ax −Kmin )/2・λ    Kr =(Km
in +Kmax )/2−(Kmax −Kmin 
)/2・λ  ただし、Kf ,Kr は夫々前輪およ
び後輪のロール剛性である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】その他の発明の構成を示すブロック図である。
【図3】タイヤ特性を示す図である。
【図4】タイヤ特性を示す図である。
【図5】実施例の構成を示すブロック図である。 1  …  検出手段 2  …  目標操舵制御量演算手段 3  …  目標挙動量演算手段 4  …  線形制御量演算手段 5  …  非線形補償手段 7  …  操舵制御駆動手段 8  …  懸架制御駆動手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  少なくともハンドルの操舵量と車両の
    旋回運動を表す挙動量とを検出する検出手段と、前記検
    出された操舵量に基づき目標とする車両の挙動量を達成
    するための目標操舵制御量を演算する目標操舵制御量演
    算手段と、前記検出された操舵量に基づき目標とする車
    両の挙動量を演算する目標挙動量演算手段と、前記演算
    された目標挙動量と検出された挙動量とに応じて、挙動
    量を目標挙動量に追従させるための線形制御量を車両運
    動を表す線形モデルに基づき線形演算する線形制御量演
    算手段と、前記演算された線形制御量を前記検出された
    挙動量に基づき非線形変換して前記演算された目標操舵
    制御量を補正する操舵補正量と懸架特性を表す実懸架補
    正量とを出力する非線形補償手段と、前記目標操舵制御
    量と操舵補正量とに応じて車両の前輪および後輪の少な
    くとも一方に最適な転舵角を生じさせる操舵制御駆動手
    段と、前記実懸架補正量に応じて各輪のサスペンション
    特性を可変制御する懸架制御駆動手段とを具備すること
    を特徴とする車両の統合制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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