JPH0529116U - コイルボビン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種電子機器に用いられる高圧トランスなど
のコイルボビンに関し、複数の巻線溝の移層溝の設置位
置および形状を定めることにより、巻線間における絶縁
破壊（レアショート）を防止し、品質および信頼性の高
いものを提供するものである。 【構成】 複数個に分割された巻線溝１５を有し、中間
鍔１３の移層溝１６の設置位置を、筒状部１１のコーナ
ー部で、コーナー部に対し筒状部１１の肉厚分だけ内側
に設置する構成とすることにより、巻線間および移層時
におけるコイルの接触を防ぐことができ、絶縁破壊（レ
アショート）を防止し、品質および信頼性の高いものと
することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は各種電子機器に用いられる高圧トランスなどに使用するコイルボビン に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、各種電子機器に用いられる高圧トランスの小型化が顕著に進む中で、高 圧トランスに要求されている特性，品質，信頼性は従来品と同等もしくはそれ以 上とする必要性があり、それを満足させるべく高圧トランスの構造にするととも に、コイル単体における信頼性の向上が不可欠とされている。

【０００３】 以下に従来の高圧トランスなどに用いるコイルボビンの構造について説明する 。

【０００４】 図９（ａ），（ｂ）、図１０、図１１、図１２（ａ），（ｂ）、図１３（ａ） ，（ｂ）、図１４（ａ），（ｂ）および図１５（ａ），（ｂ）は従来の高圧トラ ンスに使用されているコイルボビンの構造を示すものであり、図９〜図１４は角 形ボビン、図１５（ａ），（ｂ）は丸形ボビンの構造を示すものである。図９〜 図１４において、１は巻線部となる角形の筒状部であり、この筒状部１の両端に は両端鍔２が形成されるとともに、巻回されるコイルを分割する複数の中間鍔３ を形成して複数の巻線溝４を有するように構成されている。５は各巻線溝４に巻 回されたコイルを移層するために中間鍔３に設けた移層溝であり、この移層溝５ を通して次の巻線溝４に連線的に巻線できる構成となっている。

【０００５】 以上のように構成されたコイルボビンについて、以下その使用方法について説 明する。まず、角形ボビンにおいて、中間鍔３により複数個に分割された各巻線 溝４に巻回されたコイルを、コイルボビンの中間鍔３の中央部に設置された移層 溝５を介し、あるいは、コイルボビンの中間鍔３の最端コーナー部へ設置された 移層溝５を介すことにより次の巻線溝４へ移層されている。また、図１５に示す 丸形ボビンにおいても、前述同様に巻回されたコイル６を移層するときに、比較 的に幅の広い（角度の大きい）移層溝５を介し、次の巻線溝４へ移層されている 。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記の従来の構成では、図１２（ａ），（ｂ）、図１４（ａ）， （ｂ）に示すようにまず第一に、巻線溝４に巻回されたコイル６を中間鍔３の中 央部に設置された移層溝５を介して次の巻線溝４に移層するとき、次の巻線溝４ 内に巻回されるコイル６の巻始め部となる銅線７が、次の巻線溝４の最下部まで 沈めることができず、宙に浮いた状態にてコイル６が巻回されるため、その巻線 溝４内で巻始め部と巻終わり部が接触し易くなる。

【０００７】 第二に、前述と同様に巻回されたコイル６を、図１０，図１１に示すように中 間鍔３の最端コーナー部へ設置された移層溝５を介して次の巻線溝４に移層され るとき、最初の巻線溝４に巻回されたコイル６の巻終わりの銅線７が、次の巻線 溝４に深く沈み込むため、その銅線７が最初の巻線溝４に寄り添う状態となり、 最初の巻線溝４内に巻回されたコイル６と接触し易くなる。

【０００８】 第三に、巻線溝４に巻回されたコイル６を、移層溝５を介し次の巻線溝４に移 層されるとき、その移層溝５の設置位置が次の移層溝５と同一箇所に、また、図 １５に示すように比較的幅の広い移層溝５とされるときに、各巻線溝４に巻回さ れたコイル６が、前記移層溝５部で膨張し、また、巻回されたコイル６の線乱れ などにより、隣接した巻線溝４に巻回されたコイル６が接触し易くなる。

【０００９】 上記内容のいずれにしても、コイル６内における絶縁破壊（レアショート）に つながる要因となっており、信頼性面に欠けると言った問題点を有していた。

【００１０】 本考案は上記従来の問題点を解決するもので、コイル巻回時の移層状態におけ る絶縁破壊（レアショート）を防止し、より品質および信頼性の高いコイルボビ ンを提供することを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために本考案のコイルボビンは、角形の筒状部の両端に鍔 、中間部に複数の中間鍔を設けて形成した各々の巻線溝にコイルを分割して巻回 するとともに、次の巻線溝に移層するための移層溝を中間鍔の筒状部のコーナー 部で筒状部の肉厚分だけコーナー部に対し内側へ設置する構成とするか少なくと も３層以上に分割された巻線溝を有した丸形の筒状部の中間鍔に、筒状部の接線 に対し１０度の角度に設定された移層溝を設ける構成としたものである。

【００１２】

【作用】

この構成によって、各巻線溝に巻回されたコイルを移層されるときの銅線が、 次に巻回されるコイルあるいは、既に巻回されているコイルとの接触を防止する ことができ、絶縁破壊（レアショート）対策とすることができ、より品質および 信頼性の高いコイルボビンとすることができる。

【００１３】

【実施例】

（実施例１） 以下本考案の一実施例について、図面を参照しながら説明する。図１（ａ）， （ｂ）、図２（ａ），（ｂ）は本考案の第１の実施例における角形ボビンの構造 を示す。また、図３，図４はコイル移層部を拡大したものであり、移層の時の銅 線の通り方を示す。図１〜図４において１１は合成樹脂からなる巻線部となる角 形の筒状部、１２はこの筒状部１１の両端に一体に形成された鍔、１３は筒状部 １１に巻回されるコイル１４を分割するための中間鍔、１５は上記両端鍔１２、 中間鍔１３によって形成される巻線溝、１６は各巻線溝１５に巻回されたコイル １４を次の巻線溝１５へ移層するため中間鍔１３に設けた移層溝、１７は銅線を 示す。

【００１４】 以上のように構成されたコイルボビンについて、コイルボビンに設けられた少 なくとも３層以上に分割される巻線溝１５に巻回されたコイル１４を次の巻線溝 １５に移層するときに利用される移層溝１６を、中間鍔１３の筒状部１１のコー ナー部に相当する位置で筒状部１１の肉厚分ｔ₁だけ内側へ設置し、なお、かつ 、図１（ａ）に示すように１層目−２層目間に設置された移層溝１６に対し、図 １（ｂ）に示すように２層目−３層目間の移層溝１６を１８０度反転させた位置 に設置することにより、移層溝１６内におけるコイル１４の銅線の通り方が、巻 線溝１５に巻回されたコイル１４に対して空間距離を保つことができると同時に 、各巻線溝１５に巻回されるコイル１４が比較的に安定した状態となるために、 巻線間の接触を防ぎ、絶縁破壊（レアショート）を防止し、品質および信頼性の 高いコイル部を構成することができる。

【００１５】 （実施例２） 以下、本考案の第２の実施例について図面を参照しながら説明する。図５（ａ ），（ｂ）、図６（ａ），（ｂ）は本考案の第２の実施例を示す丸形のコイルボ ビンの構造図であり、上記第１の実施例の構成と同様なものである。第１の実施 例と異なるのは、筒状部１１の形状が丸形となるため、中間鍔１３に設ける移層 溝１６の形状を筒状部１１の接線に対し、１０度の角度に設定することにより、 上記第１の効果を得るものである。

【００１６】 （実施例３） 以下、本考案の第３の実施例について図面を参照しながら説明する。図７（ａ ），（ｂ）、図８（ａ），（ｂ）は本考案の第３の実施例を示すコイルボビンの 構造図であり、構成は上記第１の実施例および第２の実施例と同様なものである 。図１，図５の構成と異なるのは移層溝１６を同一箇所に設定した点である。

【００１７】 巻回されるコイル１４の巻数が比較的に少ない場合においては、移層溝１６を 同一箇所に設定しても、角形あるいは丸形ボビンの移層溝１６の設置位置および 形状を上記実施例と同様に設定することにより、同様の効果を得るものである。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案は、高圧トランスのボビンにおける移層溝の設置条件を、 角形ボビンに対しては、ボビンのコーナー部に筒状部の肉厚分ｔ₁だけコーナー 部に対し内側へ設置し、また、丸形ボビンにおいては、移層溝の形状を筒状部の 接線に対し、１０度の角度に設定することにより、各巻線溝に巻回されるコイル における接触を防ぐことができ、絶縁破壊（レアショート）の防止を図ることが できる。これにより、より品質および信頼性の高いコイルを提供でき、高圧トラ ンスなどに用いた場合の信頼性の確保ができるなどの利点をもち、実用的価値の 大なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ），（ｂ）本考案の第１の実施例における
コイルボビンの平面図と底面図

【図２】（ａ），（ｂ）同コイルボビンの断面正面図

【図３】同コイルボビンの移層溝部の要部拡大平面図

【図４】同要部の拡大断面正面図

【図５】（ａ），（ｂ）同第２の実施例の平面図と底面
図

【図６】（ａ），（ｂ）同第２の実施例の断面正面図

【図７】（ａ），（ｂ）同第３の実施例の角形ボビンの
平面図と断面正面図

【図８】（ａ），（ｂ）同第３の実施例の丸形ボビンの
平面図と断面正面図

【図９】（ａ），（ｂ）従来のコイルボビンを示す平面
図と断面正面図

【図１０】同コイルボビンの移層溝部の要部拡大平面図

【図１１】同移層溝部の要部拡大断面正面図

【図１２】（ａ），（ｂ）従来の他の例を示す平面図と
断面正面図

【図１３】（ａ），（ｂ）他の従来例の平面図と底面図

【図１４】（ａ），（ｂ）同断面正面図

【図１５】（ａ），（ｂ）さらに他の従来例の平面図と
断面正面図

【符号の説明】

１１ 筒状部 １２ 鍔 １３ 中間鍔 １４ コイル １５ 巻線溝 １６ 移層溝 １７ 銅線

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】角形の筒状部の両端に鍔、中間部に複数の
   中間鍔を設けて複数に分割された巻線溝を有し、各巻線
   溝にコイルを分割して巻回するとともに、次の巻線溝に
   移層するための移層溝を前記中間鍔の筒状部のコーナー
   部で前記筒状部の肉厚分だけコーナー部に対し内側へ設
   置する構造としたコイルボビン。
2. 【請求項２】少なくとも３層以上に分割された巻線溝を
   有し、中間鍔に設ける移層溝を交互に１８０度反転させ
   た位置に設ける構造とした請求項１記載のコイルボビ
   ン。
3. 【請求項３】円形の筒状部の両端に鍔、中間部に複数の
   中間鍔を設けて少なくとも３層以上に分割された巻線溝
   を有し、各巻線溝にコイルを分割して巻回するととも
   に、次の巻線溝に移層する移層溝を中間鍔の筒状部の接
   線に対して角度１０度となるように設ける構造としたコ
   イルボビン。