JPH05289030A - メガネの皮膚接触部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人体無害性、高い透明性、適度な柔軟性を有
しながら、長期間の使用によっても黄変しないすぐれた
耐光性を有するメガネの皮膚接触部品を提供すること。 【構成】 射出成型により成型された熱可塑性透明エラ
ストマー製の基材の表面を、ポリオールをベースとしポ
リイソシアネートで硬化させた被膜剤でコーティングす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はメガネの皮膚接触部
品、詳しくは透明性、柔軟性にすぐれ、黄変や汚染もし
にくいメガネの皮膚接触部品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】メガネには、ノーズパッド、テンプルエ
ンド等、メガネ使用者の皮膚に直接接触する合成樹脂製
の部品が必ず使用されている。従来においては、この皮
膚接触部品用の素材として塩化ビニール、アセテートセ
ルロース、セルロースプロピオネート、ナイロン、シリ
コーン等の合成樹脂が多く使用されていた。

【０００３】皮膚接触部品は、いずれもメガネ使用者の
皮膚に直接触れるものであり、人体に無害であること、
適度な柔軟性を有し、使用者の皮膚にソフトにフィット
すること、汗、脂によって変質、汚染しにくいこと、等
の特性を持つほか、透明性が高く、なかなか黄変しにく
いこと等が強く求められていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在ま
でのところ、これら条件をすべて満足させるメガネの皮
膚接触部品はなく、柔軟性を重視すると耐久性に欠けた
り、耐久性を重視すると柔軟性に欠け、装着感が劣る、
というように条件を満足させることはむずかしかった。
特に、軟質材料で透明性の要求を満足させることは至難
の技で、一定期間の使用によって黄変することは避けら
れず、はじめは高い透明度を持っていても、長期間の使
用によって段々黄色に濁って来る黄変現象が起きるのが
普通であった。

【０００５】本発明者は、メガネの皮膚接触部品に関す
る上記問題点を解決する方策を鋭意研究した結果、ある
特定の素材を使用し、その表面に特殊な処理を行うこと
により、無害性、柔軟性といった皮膚接触部品として本
来有するべき条件を満たしながら、長期間の使用によっ
ても黄変しにくく、永く高い透明度を保持しつづけるこ
とができる新しいメガネの皮膚接触部品を開発すること
に成功し、ここに本発明として提案するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、射出成型に
より成型された熱可塑性透明エラストマー製の基材の表
面をポリオールをベースとしポリイソシアネートで硬化
させた被膜剤でコーティングすることにより、上記課題
を解決した。

【０００７】本発明において用いられるエストマーとし
ては、熱可塑性を有する透明ポリウレタンが用いられ、
射出成型により所望の形状を有するメガネの皮膚接触部
材として成型される。

【０００８】皮膚接触部材とは、メガネの各構成部品の
うち、メガネ使用者の皮膚に直接接触する部位に用いら
れる部品であり、使用者の鼻に接するノーズパッド、耳
に接するテンプルエンド等がその代表例である。

【０００９】この射出成型された基材の硬度は保形性、
摩擦力、装着感、強度等を勘案した場合、ショアＤ３５
乃至６５が好ましい。

【００１０】又、基材の表面をコーティングする被膜剤
はポリオールをベースとした基剤をポリイソシアネート
にて硬化させたものであり、ポリオールとしてはアクリ
ル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエス
テル系ポリオール、フッ素樹脂含有ポリオールなどが用
いられる。

【００１１】この被膜剤は適度な柔軟性を有しており、
前記基材へのコーティングはディッピング、スプレー等
の手法により実施される。又、このコーティング層の厚
さは２０乃至５０μ程度が好ましい。

【００１２】この様にして製造されたメガネの皮膚接触
部品は、メガネ使用者の皮膚にソフトにフィットする適
度な柔軟性を有すると共に、高い透明性を有し、長期間
の使用によっても黄変しにくく、汗、脂の侵入による汚
染もおこりにくいすぐれた特徴を有する。又、人体に全
く害がなく、使用者の皮膚にカブレ等が生じるおそれも
皆無である。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。

【００１４】

【実施例１】熱可塑性エストラマーとして透明なポリウ
レタン樹脂を用い、射出成型によりショアＤ硬度５３の
ノーズパッド基材を作り、アクリル系ポリオールをポリ
イソシアネートにて硬化させた被膜剤でこの基材の表面
をコーティングした。完成したノーズパットはショアＤ
硬度５５であり、高い透明性、適度な柔軟性を有し、耐
光性試験機中で長時間紫外線に暴露してもほとんど黄変
が認められなかった。

【００１５】

【実施例２】ポリオールとしてポリエーテル系樹脂を用
い、前記実施例１と同様にノーズパッドを製造した。完
成したノーズパッドは実施例１と同様な透明性、柔軟
性、耐光性を有していた。

【００１６】

【実施例３】ポリオールとしてポリエステル系樹脂を用
い、前記実施例１と同様にノーズパッドを製造した。完
成したノーズパッドは実施例１と同様な透明性、柔軟
性、耐光性を有していた。

【００１７】

【実施例４】フッ素樹脂を含有したポリオールを用い、
前記実施例１と同様にノーズパッドを製造した。完成し
たノーズパッドは実施例１と同様な透明性、柔軟性、耐
光性を有するほか、耐汚染性において特にすぐれてい
た。

【００１８】

【発明の効果】この発明に係るメガネの皮膚接触部品は
上記の通りの特徴を有するものであり、無害性、高い透
明性、適度な柔軟性を有すると共に、長期間の使用によ
っても黄変しにくいすぐれた耐光性を有し、ノーズパッ
ド、テンプルエンド等メガネの皮膚接触部品として最適
な特性を有し、極めて高い実用性を持つものである。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成型により成型された熱可塑性透明
   エラストマー製の基材の表面を、ポリオールをベースと
   しポリイソシアネートで硬化させた被膜剤でコーティン
   グしたことを特徴とするメガネの皮膚接触部品。
2. 【請求項２】 ポリオールがアクリル系であることを特
   徴とする請求項（１）記載のメガネの皮膚接触部品。
3. 【請求項３】 ポリオールがポリエーテル系であること
   を特徴とする請求項（１）記載のメガネの皮膚接触部
   品。
4. 【請求項４】 ポリオールがポリエステル系であること
   を特徴とする請求項（１）記載のメガネの皮膚接触部
   品。
5. 【請求項５】 ポリオールにフッ素樹脂が含有されてい
   ることを特徴とする請求項（１）記載のメガネの皮膚接
   触部品。