JPH05280388A - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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Publication number
JPH05280388A
JPH05280388A JP4108887A JP10888792A JPH05280388A JP H05280388 A JPH05280388 A JP H05280388A JP 4108887 A JP4108887 A JP 4108887A JP 10888792 A JP10888792 A JP 10888792A JP H05280388 A JPH05280388 A JP H05280388A
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JP
Japan
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slip
control
vehicle
transmission
control level
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Application number
JP4108887A
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English (en)
Inventor
Tetsuhiro Yamashita
哲弘 山下
Osamu Michihira
修 道平
Hirozumi Eki
啓純 益
Koichi Hosoya
公一 細谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Naldec Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Naldec Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動変速機付き車両と手動変速機付き車両に
対して共通のスリップ制御装置を適用できるようにす
る。 【構成】 エンジンの制御装置のスリップ制御部におけ
るスリップ制御のルーチンにおいて、エンジン8〜S1
2のステップを設けるとともに、自動変速機(AT)用
の制御レベルテーブルと、この制御レベルよりもゲイン
を大きくした手動変速機(MT)用の制御レベルテーブ
ルとを設け、エンジン制御部から供給される識別信号に
より変速機の種別を判定し、自動変速機のときにはAT
用制御レベルテーブルを選択し、また手動変速機のとき
又は識別不能のときにはMT用制御レベルテーブルを選
択するように構成した。更に、手動変速機付きの場合に
エンジン回転数が低いときにエンストが発生するのを防
止する為に、低回転数時の燃料カット禁止領域を広く設
定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のスリップ制御装
置に関し、特に自動変速機付き車両と手動変速機車両と
に共通のスリップ制御手段を適用可能にしたものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の加速時において、駆動輪が
過大駆動トルクによりスリップして加速性が低下するこ
とを防止する為に、駆動輪のスリップ量を検出し、駆動
輪のスリップ量が目標値となるように、エンジン出力や
車輪に対する制動力の付与を制御(エンジン出力を低下
させる、又は制動力を増大させる)ように構成したトラ
クション制御技術は一般に実用化され、また、アンチス
キッド制御装置とトラクション制御装置とを備えたもの
も少なくない(例えば、特開平1−197160号公報
参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両に搭載
の変速機が自動変速機か手動変速機かに応じて、スリッ
プ制御の内容が多少異なり、車両に搭載のパワーユニッ
トが手動変速機付きの場合には、自動変速機付きの場合
に比較してエンストが生じやすいため、エンスト防止を
配慮したスリップ制御が必要である。そこで、従来、手
動変速機付き車両と、自動変速機付き車両では、相互に
異なるスリップ制御装置を適用していたが、この場合変
速機の種別に応じた2種類のスリップ制御装置を準備し
ておき、車両に搭載されるパワーユニットの変速機の種
別に対応するスリップ制御装置を組付けることが必要に
なる。その場合、スリップ制御装置の種類が増して設計
・製作コストが増加する。本発明の目的は、自動変速機
付き車両と手動変速機付き車両に対して共通のスリップ
制御装置を適用できるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両のスリッ
プ制御装置は、駆動輪の路面に対するスリップ量が所定
のしきい値を超えるときに、このスリップ量が目標値と
なるように駆動輪の駆動を制御するスリップ制御手段を
備えた車両のスリップ制御装置において、前記スリップ
制御手段は、自動変速機付き車両用に設定された第1制
御レベル設定手段と、手動変速機付き車両用に設定され
た第2制御レベル設定手段とを備え、前記車両のエンジ
ンの燃料噴射制御手段から車両に搭載の変速機が自動変
速機か手動変速機かを識別する識別信号を受け、自動変
速機搭載のときには第1制御レベル設定手段を、また手
動変速機搭載のときには第2制御レベル設定手段を選択
する選択手段を設けたものである。
【0005】請求項2の車両のスリップ制御装置は、請
求項1の装置において、前記選択手段は、識別信号によ
り変速機の種別を判別できないときには、第2制御レベ
ル設定手段を選択するように構成されたものである。請
求項3の車両のスリップ制御装置は、請求項1の装置に
おいて、前記選択手段は、識別信号により変速機の種別
を判別できないときには、第1及び第2制御レベル設定
手段のうちのゲインの高い方の制御レベル設定手段を選
択するように構成されたものである。
【0006】
【作用】請求項1のスリップ制御装置においては、スリ
ップ量が目標値となるように駆動輪の駆動を制御するス
リップ制御手段が、自動変速機付き車両用に設定された
第1制御レベル設定手段と、手動変速機付き車両用に設
定された第2制御レベル設定手段とを備え、選択手段
は、車両のエンジンの燃料噴射制御手段から車両に搭載
の変速機が自動変速機か手動変速機かを識別する識別信
号を受け、自動変速機搭載のときには第1制御レベル設
定手段を、また手動変速機搭載のときには第2制御レベ
ル設定手段を選択する。それ故、自動変速機付き車両と
手動変速機付き車両とに共通のスリップ制御手段を適用
することが出来る。
【0007】請求項2のスリップ制御装置においては、
前記選択手段は、識別信号により変速機の種別を判別で
きないときには、第2制御レベル設定手段を選択する。
即ち、手動変速機付き車両に第1制御レベル設定手段を
適用すると、この第1制御レベル設定手段は第2制御レ
ベル設定手段よりもゲインが低いことから、スリップ量
が目標値に収束するまでの時間が長くなるため、エンジ
ンの状態と走行状態又は路面状態によっては、エンスト
が発生することがあるが、変速機の種別を判別できない
ときには、第2制御レベル設定手段を選択することで、
スリップの収束を速め、エンスト発生の可能性を低減で
きる。請求項3のスリップ制御装置においては、前記選
択手段は、識別信号により変速機の種別を判別できない
ときには、第1及び第2制御レベル設定手段のうちのゲ
インの高い方の制御レベル設定手段を選択する。即ち、
ゲインの高い方の制御レベル設定手段を選択すること
で、変速機が手動変速機である場合に、請求項2と同様
にエンスト発生の可能性を低減できる。
【0008】
【発明の効果】前記作用の欄で説明したように、本発明
によれば次の効果が得られる。請求項1のスリップ制御
装置によれば、スリップ制御手段に第1制御レベル設定
手段と第2制御レベル設定手段とを設け、且つ変速機の
種別に応じた方の制御レベル設定手段を選択する選択手
段を設けたことにより、自動変速機付き車両と手動変速
機付き車両とに共通のスリップ制御手段を適用すること
が出来る。
【0009】請求項2のスリップ制御装置によれば、選
択手段により、識別信号により変速機の種別を判別でき
ないときには、第2制御レベル設定手段を選択すること
で、変速機が手動変速機である場合におけるエンスト発
生の可能性を低減できる。請求項3のスリップ制御装置
によれば、選択手段により、識別信号により変速機の種
別を判別できないときには、第1及び第2制御レベル設
定手段のうちのゲインの高い方の制御レベル設定手段を
選択することで、請求項2と同様、変速機が手動変速機
である場合におけるエンスト発生の可能性を低減でき
る。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明する。図1に示すように、車両1は左右の前輪
2a、2bが駆動輪で、また左右の後輪3a、3bが従
動輪である。車体前部にV型6気筒エンジン4が搭載さ
れ、このエンジン4からの駆動トルクが自動変速機5と
差動装置6を経て左駆動軸7aを介して左前輪2aにま
た右駆動軸7bを介して右前輪2bに夫々伝達されるよ
うに構成してある。
【0011】前記エンジン4の燃料噴射制御と点火時期
制御とこの車両のスリップ制御等を実行する制御装置8
が設けられ、この制御装置8には燃料噴射制御と点火時
期制御を実行するエンジン制御部と、スリップ制御を実
行するスリップ制御部とが設けられている。また、セン
サ類として、エンジン4の回転数を検出するエンジン回
転数センサ、ハンドルの舵角を検出する舵角センサ1
0、前記4輪2a、2b、3a、3bの制動状態を検出
するブレーキセンサ、前記4輪2a、2b、3a、3b
の車輪速を検出する車輪速センサ9a、9b、9c、9
d等が設けられ、これらセンサ類からの検出信号が制御
装置8に供給されている。
【0012】前記制御装置8は、前記センサ類からの検
出信号を受け入れる入力インターフェースと、CPUと
ROMとRAMとを含む2つのマイクロコンピュータ
と、出力インターフェースと、イグナイタや燃料噴射用
インジェクタの為の駆動回路等で構成され、前記エンジ
ン制御部のマイクロコンピュータのROMには、前記燃
料噴射制御や点火時期制御の制御プログラム及びこれに
付随するテーブルやマップが予め格納され、また前記ス
リップ制御部のマイクロコンピュータのROMには、後
述のスリップ制御の制御プログラム及びこのスリップ制
御の為の種々のテーブルやマップが予め格納され、RA
Mには種々のメモリやソフトカウンタ等が設けられてい
る。更に、エンジン制御部において、変速機の種別(自
動変速機、手動変速機)に応じた燃料噴射制御を行う為
に、エンジン制御部に対して、この車両に搭載された変
速機が自動変速機のときに「H」レベルの識別信号Ds
をまた手動変速機のときには「L」レベルの識別信号D
sをエンジン制御部のマイクロコンピュータのCPUの
所定のポートに出力するように構成してある。
【0013】前記制御装置8のスリップ制御部により実
行するスリップ制御の概要について説明しておくと、先
ず、前記センサ類からの検出信号を用いて実旋回半径R
r、舵角対応旋回半径Ri、車速V(車体速)、路面摩
擦係数μを求め、次に横加速度Gを求め、その横加速度
Gに基いてスリップ判定用しきい値 と制御目標値Tと
を横加速度Gが大きくなる程低くなるように補正する補
正係数kを求める。その後、スリップ量の演算、スリッ
プ判定、変速機の種別の判定、制御目標値Tの設定、エ
ンジン出力を調節する為の制御レベルFCの演算などを
実行し、燃料制御と点火時期制御に対してスリップ制御
の制御信号を出力する。
【0014】以下、スリップ制御部において実行される
スリップ制御のフローチャートについて図2〜図7に基
いて説明する。但し、図中符号Si(i=1、2、3、
・・)は各ステップを示すものである。エンジン4の始
動とともにこのスリップ制御が開始され、前記センサ類
から種々の検出信号が読み込まれ(S1)、次にS2に
おいて実旋回半径Rr、舵角対応旋回半径Ri、車速
V、路面摩擦係数μを求める演算が実行される。前記実
旋回半径Rrは、車輪速センサ9c、9dにより検出さ
れる従動輪3a、3bの車輪速V1、V2により数式1
により演算される。尚、Tdは車両のトレッド(例え
ば、1.7m)である。
【0015】
【数1】Rr=Min(V1,V2)×Td÷|V1−
V2|+0.5Td 前記舵角対応旋回半径Riは、ニュートラルステアリン
グにおける旋回半径に略対応するもので、これは舵角セ
ンサ10により検出される舵角θhの絶対値に基いて、
次の表1に示すテーブルから線形補完にて求められる。
【表1】 前記車速Vは、前記車輪速センサ9c、9dから検出さ
れる従動輪3a、3bの車輪速V1、V2のうちの高い
方の値として求められる。
【0016】前記路面摩擦係数μは、車速Vとその加速
度Vgとに基いて演算される。この路面摩擦係数μの演
算には、100msecカウントのタイマと、500m
secカウントのタイマとを用い、スリップ制御開始か
ら車体加速度Vgが十分に大きくならない500mse
c経過までは100msec毎に100msec間の車
速Vの変化から次の数式2により車体加速度Vgを求
め、また、車体加速度Vgが十分に大きくなった500
msec経過後は、100msec毎に500msec
間の車速Vの変化から次の数式3により車体加速度Vg
を求める。尚、V(k)は現時点、V(k−100)は
100msec前、V(k−500)は500msec
前の各車速でありK1、K2は夫々所定の定数である。
【数2】Vg=K1×〔V(k)−V(k−100)〕
【数3】Vg=K2×〔V(k)−V(k−500)〕 前記路面摩擦係数μは、前記のように求めた車速Vと、
車体加速度Vgとを用いて表2に示したテーブルから3
次元補完により演算する。
【表2】
【0017】次に、S3において横加速度Gと横加速度
対応補正係数kが演算されるが、このルーチンについて
図3により説明する。前記横加速度Gは旋回半径と車速
Vとから決まるが、横加速度Gを求めるのに実旋回半径
Rrと舵角対応旋回半径Riとを選択的に用いることと
する。路面状態と運転状態に基いて、車両が旋回走行す
るときに舵角対応旋回半径Riでの走行ラインから外れ
る傾向の大きさを判定し、その傾向が大きいときには舵
角対応旋回半径Riを選択し、またその傾向が大きくな
いときには実旋回半径Rrを選択するものとする。図3
のフローチャートにおいて、検出舵角θhの絶対値が所
定値θho以上で、かつ車速Vが所定値Vo以上で、か
つ路面摩擦係数μが所定値μo以下のときには、舵角対
応旋回半径Riを用いて横加速度Gを演算し(S31〜
S34)、また前記諸条件が成立しないときには実旋回
半径Rrを用いて横加速度Gを演算し(S31〜S3
3、S35)、その後横加速度Gに基づく補正係数kを
演算する(S36)。
【0018】前記横加速度Gは、次式により前記検出さ
れた車速Vと旋回半径R(舵角対応旋回半径Ri又は実
旋回半径Rr)から演算される。
【数4】G=V×V×(1/R)×(1/127) 次に、S36において、横加速度Gに基づく補正係数k
が予め設定された表3のテーブルから演算される。
【表3】
【0019】次に、図2のフローチャートのS4におい
て、スリップ判定用しきい値が設定される。このスリッ
プ判定用しきい値は、基本しきい値×補正係数k、に設
定され、基本しきい値は、車速Vと路面摩擦係数μとを
パラメータとして、表4の基本しきい値テーブル(スリ
ップ制御開始用)又は表5の基本しきい値テーブル(ス
リップ制御継続用)から3次元補完で演算されるが、表
4の制御目標基本しきい値テーブルはスリップ制御を開
始すべきか否かを、表5の制御目標基本しきい値テーブ
ルはスリップ制御を継続すべきか否かを夫々判定する為
のものである。
【表4】
【表5】
【0020】次に、S5において、スリップ量の演算が
実行される。このスリップ量の演算について図4のフロ
ーチャートに基いて説明すると、左右の前輪2a、2b
のスリップ量SL、SRは、左右の前輪2a、2bの車
輪速Vha、Vhbから車速Vを減算することにより演
算され(S51)、次に平均スリップ量SAvがスリッ
プ量SL、SRの平均値から演算され(S52)、次に
最高スリップ量SHiがスリップ量SL、SRの高い方
の値から演算される(S53)。次に、S6では、スリ
ップ判定が実行される。このスリップ判定において、最
高スリップ量SHiとスリップ判定用しきい値とに基い
て次の数式6が成立するときにスリップ制御必要と判定
してスリップフラグSFLが1にセットされる。
【数6】SHi≧スリップ判定用しきい値 この場合、スリップ判定用しきい値としては、S13の
ルーチンを示す図5のフローチャートのS134のステ
ップにおいて非制御状態(CFL=0)が判定されてい
るときには、前記表4の開始用の制御目標基本しきい値
が使用され、またスリップ制御中(CFL=1)と判定
されているときには表5の継続用の制御目標基本しきい
値が使用される。
【0021】次に、S7において、エンジン制御部から
変速機の種別を識別する為の識別信号Dsが読み込ま
れ、自動変速機(AT)か手動変速機(MT)かの識別
が可能か否かが判定され(S8)、識別可能であって自
動変速機であるときは自動変速機用の制御レベルテーブ
ル(表7のテーブル)が選択されフラグがセットされ
(S9)、識別不可能のとき及び手動変速機であるとき
は手動変速機用の制御レベルテーブル(表8のテーブ
ル)が選択されてフラグがセットされる(S11)。
【0022】
【表6】
【表7】
【表8】 次に、S12において制御目標値Tが設定される。この
制御目標値Tは、前輪2a、2bのスリップ量として目
標とする値で、車速Vと路面摩擦係μとをパラメータと
して表6の制御目標基本値テーブルから3次元補完によ
り求めた制御目標基本値と補正係数kから次式により演
算される。
【数7】制御目標値T=制御目標基本値×k
【0023】次に、S13において制御レベルFCが演
算される。この制御レベルFCについては、平均スリッ
プ量SAvの制御目標値Tからの偏差ENトその変化率
DENとに基いて基本制御レベルFCBを決定し、これ
に前回値FC(K−1)のフィードバック補正と初回補
正を加味して、0〜15の範囲に設定する。このS13
のルーチンについて、図5のフローチャートに基いて説
明する。先ず、S131において、偏差ENとその偏差
変化率DENが次式により演算される。
【数8】偏差EN=SAv(K)−制御目標値T
【数9】偏差変化率DEN=DSAv=SAv(K)−
SAv(K−1)
【0024】次に、S132において前記偏差ENと偏
差変化率DENとに基いて基本制御レベルFCBが、変
速機が自動変速機のときには表7の自動変速機用の基本
制御レベルテーブルから、変速機が手動変速機のときに
は表8の手動変速機用の基本制御レベルテーブルから演
算される。ここで、表8の手動変速機用の基本制御レベ
ルFCBは、早期に目標値に収束させてエンスト発生を
防止する為に、表7の自動変速機用の基本制御レベルF
CBのゲインの例えば2倍の値に設定されている。次
に、S133において、今回の制御レベルFC(K)に
前回の制御レベルFC(K−1)を加算するフィードバ
ック補正が実行され、次にS134においてスリップ制
御判定が実行され、次にS135において初回スリップ
制御判定が実行され、次にS136において前輪2a、
2bのスリップが初めて判定されてからこの最初のスリ
ップ判定がなくなるまでの間制御レベルを強制的に高め
る初回補正量が演算される。
【0025】S134のスリップ制御判定の等価回路は
図6に示す通りで、図6においてAND回路68は、ス
リップフラグSFL=1で且つ非ブレーキ状態であると
きにフリップフロップ69にセット信号を出力し、AN
D回路70は、FC≦3で且つDSAv≦0.3gのの
ときに「1」を出力する。また、OR回路71は、カウ
ンタ72を介してスリップフラグSFL=0の信号を1
00msec継続して受けるか、又はカウンタ73を介
してAND回路70から出力信号「1」を500mse
c継続して受けると、フリップフロップ69にリセット
信号を出力する。前記フリップフロップ69は、セット
信号を受けると制御フラグCFL=1(スリップ制御
中)の信号を出力する。
【0026】S135の初回スリップ制御判定の等価回
路は図7に示す通りで、図7において、AND回路74
は、今回の制御フラグCFL(K)=1で且つ前回の制
御フラグCFL(K−1)=0のときにフリップフロッ
プ75にセット信号を出力し、AND回路76は、今回
のスリップフラグSFL(K)=0で且つ前回のスリッ
プフラグSFL(K−1)=1のときにフリップフロッ
プ75にリセット信号を出力する。前記フリップフロッ
プ75は、セット信号を受けて初回フラグSTFL=1
(初回制御中)の信号を出力する。S136において、
前記初回フラグSTFL信号と、数式9に示す平均スリ
ップ量変化率DSAvとに基いて、STFL=1で且つ
DSAv<0のとき初回補正量(+2)を決定する。次
に、S137において、フィードバック補正された制御
レベルFCに前記初回補正量を加算して最終制御レベル
FCを演算する。
【0027】次に、図2のフローチャートのS14にお
いて、スリップ制御部からエンジン制御部へスリップ制
御の制御信号が出力される。この制御信号には、点火時
期をリタードさせる制御信号と、燃料カットを指令する
制御信号とが含まれている。点火時期については、図8
に示すマップに基いて、前記制御レベルに応じたリター
ド量を決定し出力する。この場合、図9に示すマップに
基いてエンジン回転数が高い領域では最大リタード量を
制限するようになっている。燃料カットについては、前
記制御レベルFCに基いて、表9の燃料カットテーブル
のうちのパターン0〜12の1つを選択することにな
る。そして、制御レベルFCが高くなる程パターン番号
も大きくなる。尚、表9中×印は、燃料カットを示すも
のである。
【表9】
【0028】ここで、図10のマップに示すように、エ
ンジン回転数が低い領域では燃料カットが制限されるよ
うに、各制御レベル毎に燃料カット禁止条件が設定さ
れ、変速機の種別が手動変速機のときにはエンストの発
生を防止する為に、折線Lmtで示すように禁止領域が
広く設定されて、エンジン回転数が1500rpm以下
では1気筒の燃料カットのみ許容され、1500〜20
00rpmでは1.5気筒の燃料カットのみ許容され、
2000〜2500rpmでは2気筒の燃料カットのみ
許容される。また、変速機の種別が自動変速機のときに
は、折線Latで示すように手動変速機の場合に比較し
て禁止領域が狭く設定されている。
【0029】以上説明したスリップ制御の作用について
図11のタイムチャートを参照しつつつ説明すると、非
制御状態からスリップ制御への移行の為のスリップ制御
開始用のしきい値は、その基本値が表4の開始用基本目
標値テーブルから演算され、比較的高いしきい値Shに
設定される。それ故、外乱等によって駆動輪の車輪速が
高く(最高スリップ量SHiが大きく)なっても前記し
きい値Shを超えない限りはスリップフラグSFLがセ
ットされず、スリップ制御が開始されない。そして、駆
動輪の車輪速がしきい値Shを超えると、スリップフラ
グSFLがセットされ、ブレーキが非作動状態であれば
制御フラグSFL及び初回フラグSTFLがセットされ
てスリップ制御が開始されることになる。
【0030】しかも、車両の旋回走行において、舵角θ
hと車速Vと路面摩擦係数μの値から、舵角対応旋回半
径Riでの走行ラインから外れる傾向が大きい(例え
ば、アンタステア傾向が大きい)と判定されたときは舵
角対応旋回半径Riを用いて車両の横加速度Gが演算さ
れる。この場合、舵角対応旋回半径Riは実旋回半径R
rよりも小さいから求められる横加速度Gが大きくな
り、補正係数kが小さくなるため、スリップ制御開始判
定用しきい値Shは低くなる。従って、スリップ量自体
はそれ程大きくなくとも、スリップ制御が早期に開始さ
れことになり、駆動輪の駆動トルクの早期低下により過
度のアンダステア傾向が出る前にこれを抑制することが
出来る。
【0031】前記の如く、車速Vと路面摩擦係数μと平
均スリップ量SAvとを求め、車速Vと路面摩擦係数μ
とに基いて制御目標値Tを求め、この制御目標値Tから
の平均スリップ量SAvの偏差ENとその変化率DEN
とを求めてこれらに基いて初回補正を加味した制御レベ
ルFCを求め、この制御レベルFCに応じた点火時期と
燃料噴射制限とを実行する。前記初回補正は、平均スリ
ップ量SAvの変化率DSAvが最初に0になるまでは
(+5)であり、そこから初回フラグSTFLが0にな
るまでが(+2)である。この初回補正により制御量が
強制的に大きくなり、スリップの早期収束を図ることが
出来る。
【0032】前記初回フラグSTFLが0になるのは、
高い方の駆動輪車輪速による最高スリップ量SHiがス
リップ制御継続判定用のしきい値以下になった時点であ
る。それ故、旋回走行において、舵角対応旋回半径Ri
での走行ラインから外れる傾向が大きいと判定されると
きには補正係数kが小さくなるため、制御目標値Tが小
さくなり、この目標値までスリップ量を下げるため駆動
輪の駆動トルクの低減量が多くなってアンダステア傾向
を早期に解消できる。前記継続判定用のしきい値Sc
は、その基本値が継続用基本値テーブルにより演算され
て比較的低いしきい値に設定される。また、舵角対応旋
回半径Riでの走行ラインから外れる傾向が大きいと判
定されるときは補正係数kが小さくなるから、継続判定
用しきい値が更に低くなり、スリップが確実に収束する
まで制御を継続させることが出来る。
【0033】一方、舵角対応旋回半径Riでの走行ライ
ンから外れる傾向が大きくないときは、実旋回半径Rr
を用いて横加速度Gが演算されるから、スリップ判定用
しきい値と制御目標値Tは実際の横加速度に合致させて
正確に補正される。そして、前記高い方の駆動輪車輪速
が継続判定用しきい値Sc以下になっても、その状態が
1秒以上かなければ制御フラグCFLはセット状態に維
持される。そして、駆動輪駆動トルクの低減量が少なく
なるのに伴って駆動輪車輪速が再び増加し、継続判定用
しきい値Scを超えると、再びスリップフラグSFLが
セットされて制御が続行される。この場合は、初回フラ
グはセットされず制御レベルFCの補正はなされない。
それ故、制御レベルFCは、当初は偏差ENと偏差変化
率DENとに基づく基本制御レベルのみで設定され、以
後は基本制御レベルに前回値をフィードバック補正で加
算したものが制御レベルFCとして設定されていくこと
になる。このように、スリップが収束していき、スリッ
プフラグSFLが1秒以上セットされない状態が続く
と、制御フラグCFLが0となってスリップ制御が終了
する。
【0034】ここで、このスリップ制御においては、基
本制御レベルテーブルとして、自動変速機搭載車両用の
テーブルと、手動変速機搭載車両用のテーブルとを設
け、前記エンジン制御部から供給れれる識別信号Dsに
基いて変速機の種別を判定し、自動変速機搭載のときに
は、自動変速機用のテーブルを、また手動変速機搭載の
ときには手動変速機用のテーブルを採用するので、自動
変速機搭載車両と手動変速機搭載車両とに共通のスリッ
プ制御を適用でき、スリップ制御部の汎用性を高め、設
計・製作のコスト低減を図ることが出来る。しかも、ノ
イズの影響等で識別信号Dsから変速機の種別を決定で
きないときには、手動変速機搭載車両用のテーブルを採
用するように構成し、また手動変速機搭載車両用のテー
ブルでは自動変速機搭載車両用のテーブルに比較して制
御レベル高くしゲインを高めるように構成したため、変
速機の種別を決定できない場合において手動変速機が搭
載されているときにおけるエンジンストールの発生の可
能性等を低減出来る。
【0035】尚、前記実施例では、表8に示す手動変速
機用の基本制御レベルテーブルのゲインを表7に示す自
動変速機用の基本制御レベルテーブルのゲインの2倍に
設定したが、2倍に限らず、2倍以下の値や2倍以上の
値に設定することも可能であるし、また自動変速機用の
基本制御レベルテーブルと手動変速機用の基本制御レベ
ルテーブルとを共通化して変速機の種別が手動変速機の
場合には、基本制御レベルテーブルから読み込んだ基本
制御レベルの値に1.0よりも大きな所定の定数を乗算
するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る車両のスリップ制御装置の全体構
成図である。
【図2】スリップ制御のルーチンのフローチャートであ
る。
【図3】図2のS3のステップのルーチンのフローチャ
ートである。
【図4】図2のS5のステップのルーチンのフローチャ
ートである。
【図5】図2のS13のステップのルーチンのフローチ
ャートである。
【図6】図5のS134のステップの等価回路図であ
る。
【図7】図5のS135のステップの等価回路図であ
る。
【図8】制御レベルに対する点火リタード量のマップの
線図である。
【図9】エンジン回転数に対する点火リタード量のマッ
プの線図である。
【図10】制御レベルとエンジン回転数に対する燃料カ
ット禁止領域の説明図である。
【図11】スリップ制御の動作タイムチャートである。
【符号の説明】
4 エンジン 8 制御装置 9a、9b、9c、9d 車輪速センサ FC 制御レベル FCB 基本制御レベル Sh スリップ制御開始用しきい値 Sc スリップ制御継続用しきい値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 益 啓純 広島県安芸郡府中町新地3番1号 ナルデ ック株式会社内 (72)発明者 細谷 公一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 ナルデ ック株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪の路面に対するスリップ量が所定
    のしきい値を超えるときに、このスリップ量が目標値と
    なるように駆動輪の駆動を制御するスリップ制御手段を
    備えた車両のスリップ制御装置において、 前記スリップ制御手段は、自動変速機付き車両用に設定
    された第1制御レベル設定手段と、手動変速機付き車両
    用に設定された第2制御レベル設定手段とを備え、 前記車両のエンジンの燃料噴射制御手段から車両に搭載
    の変速機が自動変速機か手動変速機かを識別する識別信
    号を受け、自動変速機搭載のときには第1制御レベル設
    定手段を、また手動変速機搭載のときには第2制御レベ
    ル設定手段を選択する選択手段を設けたことを特徴とす
    る車両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の車両のスリップ制御装置にお
    いて、前記選択手段は、識別信号により変速機の種別を
    判別できないときには、第2制御レベル設定手段を選択
    するように構成されたことを特徴とする車両のスリップ
    制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の車両のスリップ制御装置にお
    いて、前記選択手段は、識別信号により変速機の種別を
    判別できないときには、第1及び第2制御レベル設定手
    段のうちのゲインの高い方の制御レベル設定手段を選択
    するように構成されたことを特徴とする車両のスリップ
    制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111609546A (zh) * 2019-02-26 2020-09-01 株式会社能率 热水供给装置及热水供给系统
CN113614808A (zh) * 2019-03-29 2021-11-05 本田技研工业株式会社 信息提供装置、信息共享系统、程序以及信息提供方法

Cited By (3)

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CN111609546B (zh) * 2019-02-26 2022-11-08 株式会社能率 热水供给装置及热水供给系统
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